• 検索結果がありません。

-地下水汚染の技術動向等に関する調査研究-

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "-地下水汚染の技術動向等に関する調査研究-"

Copied!
161
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

日機連 16 環境安全-1-2

平成 16 年度

環境問題の多面化に対応した環境負荷 低減対策に関する調査研究報告書

-地下水汚染の技術動向等に関する調査研究-

平成 17 年 3 月

社団法人 日本機械工業連合会

社団法人 産 業 と 環 境 の 会

(2)
(3)

近 年 、 技 術 の 発 展 と 社 会 と の 共 存 に 対 す る 課 題 が ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ 、 機 械 工 業 に お い て も 環 境 問 題 、 安 全 問 題 が 注 目 を 浴 び る よ う に な っ て き て お り ま す 。 環 境 問 題 で は 、 京 都 議 定 書 が 発 効 し 、 排 出 権 取 引 や C D M な ど の 柔 軟 性 措 置 に 関 連 し た 新 ビ ジ ネ ス の 動 き も あ り 、 政 府 や 産 業 界 は 温 室 効 果 ガ ス の 削 減 目 標 の 達 成 に 向 け た 取 り 組 み を 強 化 し て い る と こ ろ で あ り ま す 。 ま た 、 安 全 問 題 も 、 E U に お け る C E マ ー キ ン グ 制 度 の 実 施 や 、 平 成 1 2 年 に は 厚 生 労 働 省 か ら 「 機 械 の 包 括 的 な 安 全 基 準 に 関 す る 指 針 」 が 通 達 と し て 出 さ れ る な ど 、 機 械 工 業 に と っ て き わ め て 重 要 な 課 題 と な っ て お り ま す 。

海 外 で は 欧 米 諸 国 を 中 心 に 環 境 ・ 安 全 に 配 慮 し た 機 械 と し て の 具 体 的 な 形 が 求 め ら れ て き て お り 、 そ れ に 伴 う 基 準 、 法 整 備 が 進 め ら れ て い る と こ ろ で あ り ま す 。 グ ロ ー バ ル な 事 業 展 開 を 進 め て い る わ が 国 機 械 工 業 に と っ て 、 こ の 動 き に 遅 れ る こ と は 死 活 問 題 で あ り 早 急 な 対 処 が 必 要 で あ り ま す 。

こ う し た 内 外 の 情 勢 に 対 応 す る た め 、 当 会 で は 早 く か ら 取 り 組 ん で き た 環 境 問 題 や 機 械 標 準 化 に 係 わ る 事 業 を 発 展 さ せ て 、 環 境 ・ 社 会 と の 共 存 を 重 視 す る 機 械 工 業 の 在 り 方 を 追 求 し て 参 り ま し た 。 平 成 1 6 年 度 に は 、 海 外 環 境 動 向 に 関 す る 情 報 の 収 集 と 分 析 、 環 境 適 合 設 計 手 法 の 標 準 化 、 そ れ ぞ れ の 機 械 の 環 境 ・ 安 全 対 策 の 策 定 な ど 具 体 的 課 題 を 掲 げ て 活 動 を 進 め て き ま し た 。

こ う し た 背 景 に 鑑 み 、 当 会 で は 機 械 工 業 の 環 境 ・ 安 全 対 策 の テ ー マ の 一 つ と し て 社 団 法 人 産 業 と 環 境 の 会 に 「 環 境 問 題 の 多 面 化 に 対 応 し た 環 境 負 荷 低 減 対 策 に 関 す る 調 査 研 究 」 を 調 査 委 託 い た し ま し た 。 本 報 告 書 は 、 こ の 研 究 成 果 で あ り 、 関 係 各 位 の ご 参 考 に 寄 与 す れ ば 幸 甚 で あ り ま す 。

平 成 1 7 年 3 月

社 団 法 人 日 本 機 械 工 業 連 合 会 会 長 金 井 務

(4)
(5)

は じ め に

地下水は、飲料として直接摂取するのみでなく、工業や農業等にも用いられ、

私たちの生活にあらゆる面で密接に関わっている貴重な資源です。昭和 50 年 代に揮発性有機化合物 (VOC 等 ) による地下水汚染が社会問題となって以来、地 下水汚染対策の重要性が高まっています。

地下水汚染の主な原因物質は、揮発性有機化合物、重金属、農薬、硝酸性窒 素及び亜硝酸性窒素等であり、それぞれの性質に応じた対策を講じることが必 要であり、地下水汚染対策として、早期調査による汚染の拡散防止に努めるこ とと有効な浄化対策を実施することが重要です。

地下水の水質汚濁に係る環境基準が平成 9 年に制定されて以来、環境基準の 達成または維持のため、自治体による地下水常時監視や事業者による自主的対 策などの各種対策が実施されてきました。しかしながら、平成 15 年度の地下 水測定結果での環境基準超過率は、平成 14 年度の超過率 6.7%を上回る 8.2%

であり、より一層の地下水汚染対策の推進が求められています。

地下水は一度汚染されてしまうと、広範囲に汚染が広がり易いため、浄化が 容易ではありません。また、浄化には多額の費用と多くの時間が要されます。

さらに、地下水汚染は土壌汚染と密接に関わっているため、地下水の浄化対策 とともに土壌の浄化対策も必要となってきます。

かかる状況を踏まえ、本報告書では、地下水汚染対策技術の現状及び導入状 況、今後の技術動向、国や自治体における施策の方向性について、課題を抽出 して取りまとめを行いました。

本報告書が、今後の地下水汚染対策を推進するための一助となれば幸いです。

最後に、本調査研究を推進するにあたり、多大なご協力を賜った関係各位に 深甚の謝意を表す次第であります。

平成 17 年 3 月

社団法人 産業と環境の会

会 長 濃 野 滋

(6)
(7)

目 次

第1章 地下水汚染対策等の現状 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 1.1 地下水汚染の現状 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

1.1.1 地下水の利用状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1

1.1.2 地下水の水質汚濁に係る環境基準 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 1.1.3 水質汚濁防止法に基づく地下水質の測定 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 1.1.4 汚染物質の検出状況とその背景 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 1.2 地下水汚染対策の現状 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9 1.2.1 地下水汚染対策の変遷 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9 1.2.2 地下水汚染対策に係る法制度 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 1.3 海外における地下水汚染対策の動向 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16

1.3.1 米国 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16

1.3.2 EU ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17

第2章 地下水汚染対策技術の適用状況 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 19 2.1 地下水汚染の分析・調査技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 20

2.1.1 分析関係の技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 25

2.1.2 調査関係の技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 32

2.2 地下水汚染の対策技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 34

2.2.1 対策技術の概要 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 34

2.2.2 揮発性有機化合物対象の浄化技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 35 2.2.3 重金属等対象の浄化技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 45 2.2.4 硝酸性窒素・亜硝酸性窒素対象の浄化技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 49 2.2.5 その他物質対象の浄化技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 52 2.2.6 各技術と浄化対応物質の対応 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 58 2.3 土壌・地下水汚染浄化技術の開発・研究事例 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 59

第3章 今後の技術動向 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 64 3.1 ファイトレメディエーション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 64

3.2 生態系評価 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 68

3.3 バイオレメディエーション ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 69 3.4 原位置土壌洗浄法 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 71 3.5 リスク基準の浄化・修復措置 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 72 3.6 欧米諸国における技術動向 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 73

(8)

3.6.1 オランダにおける浄化・修復技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 73 3.6.2 米国における浄化・修復技術 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 76

第4章 地下水汚染対策推進に向けて ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 80 4.1 地下水汚染技術開発・普及促進のための支援制度 ‥‥‥‥‥‥‥ 80 4.1.1 環境省及び所管団体による研究支援、技術の実証評価等 ‥‥‥‥ 80 4.1.2 経済産業省及び所管団体による研究支援、技術の実証評価等 ‥‥ 85 4.1.3 東京都における地下水浄化技術普及活動 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 86 4.1.4 その他の地下水浄化対策に関する支援制度 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 90

参考文献等 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 93

参考資料1 平成15年度地下水質測定結果 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 96 参考資料2 土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針の概要 ‥‥‥‥‥‥‥‥ 105 参考資料3 硝酸性窒素による地下水汚染の現状と対策 ‥‥‥‥‥‥‥‥ 115 参考資料4 微生物によるバイオレメディエーション利用指針について ‥‥ 127

(9)

第 1 章 地下水汚染対策等の現状

1.1 地下水汚染の現状

1.1.1 地下水の利用状況

地下水は、一般的に土壌層を通過してくる間に、地中の微生物による有機物の分解、イ オン交換、ろ過などの浄化作用をうけるため良質である。また、その汲み上げに大規模な 供給施設を必要としないなどの特徴から、様々な用途に利用されている。

図1-1-1に、我が国の地下水使用状況を示した。

図1-1-1 日本の地下水使用状況

出典:平成13年度 日本の水資源より作成

(1) 全国の水使用量 (単位:億t)

工業用水, 136.7, 15%

農業用水, 586.2, 66%

生活用水, 164.2, 19%

(2) 地下水の使用量 (単位:億t)

生活用水, 37.6, 34%

工業用水, 41.4, 38%

農業用水, 30.6, 28%

887.1億t 100% 109.6億t 100%

(3) 地下水依存率 5.2 12.4 22.9 30.3

0%

20%

40%

60%

80%

100%

生活用水 工業用水 農業用水 全使用量

(10)

図1-1-1(3)からわかるように、地下水は全国の水使用量の約1割以上を占めており、

そのうち都市用水(生活用水+工業用水)の使用量が大変大きいことが窺える。各用途に おける地下水依存率からみても、生活用水では約2割、工業用水では約3割、使用されて いることがわかり、重要な資源のひとつであることがわかる。

1.1.2 地下水の水質汚濁に係る環境基準

地下水の水質汚濁に係る環境基準(表1-1-1)は、平成9 年に設定された。当時、地下 水における有害物質による汚染が各地で顕在化したことや、地下水は、流速が大変遅く、

希釈拡散による自然浄化が極めて難しいこと等の背景から、環境基本法に基づく環境基準 の設定が必要になったためである。その後、設定された環境基準の達成・維持のため、各種 対策が講じられている。

なお、地下水の水質汚濁に係る環境基準は、公共用水域の水質環境基準と整合性を持た せるため、公共用水域と同じカドミウム、鉛等の 26 物質となっており、その評価基準も 同じである。また同様に、将来汚染が危ぶまれるものとして要監視項目として指針値が設 置されている(表1-1-2)。

環境基準の達成状況の評価は、基準値が長期摂取による健康影響を考慮して設置されて いる項目については、年間平均で判断し、急性毒性が懸念されるもの(全シアン)は、最 高値で評価することとなっている。

表1-1-1 地下水の水質汚濁に係る環境基準

項目 環境基準値

カ ド ミ ウ ム 0.01mg/L 以下

全 シ ア ン 検出されないこと

鉛 0.01mg/L 以下 六 価 ク ロ ム 0.05mg/L 以下

砒 素 0.01mg/L 以下

総 水 銀 0.0005mg/L 以下

ア ル キ ル 水 銀 検出されないこと

P C B 検出されないこと

ジ ク ロ ロ メ タ ン 0.02mg/L 以下 四 塩 化 炭 素 0.002mg/L 以下 1 , 2- ジ ク ロ ロ エ タ ン 0.004mg/L 以下 1 , 1- ジ ク ロ ロ エ チ レ ン 0.02mg/L 以下 シ ス -1,2- ジ ク ロ ロ エ チ レ ン 0.04mg/L 以下 1 , 1 , 1- ト リ ク ロ ロ エ タ ン 1mg/L 以下

(11)

1 , 1 , 2- ト リ ク ロ ロ エ タ ン 0.006mg/L 以下 ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン 0.03mg/L 以下 テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン 0.01mg/L 以下 1 , 3- ジ ク ロ ロ プ ロ ペ ン 0.002mg/L 以下

チ ラ ウ ム 0.006mg/L 以下

シ マ ジ ン 0.003mg/L 以下

チ オ ベ ン カ ル ブ 0.02mg/L 以下

ベ ン ゼ ン 0.01mg/L 以下

セ レ ン 0.01mg/L 以下

硝 酸 性 窒 素 及 び 亜 硝 酸 性 窒 素 10mg/L 以下

ふ っ 素 0.8mg/L 以下

ほ う 素 1mg/L 以下

表1-1-2 要監視項目

項目 指針値

ク ロ ロ ホ ル ム 0.06mg/L 以下 トランス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L 以下 1 , 2- ジ ク ロ ロ プ ロ パ ン 0.06mg/L 以下 p - ジ ク ロ ロ ベ ン ゼ ン 0.2mg/L 以下 イ ソ キ サ チ オ ン 0.008mg/L 以下 ダ イ ア ノ ジ ン 0.005mg/L 以下 フ ェ ニ ト ロ チ オ ン (M E P) 0.003mg/L 以下 イ ソ プ ロ チ オ ラ ン 0.04mg/L 以下 オ キ シ ン 銅 ( 有 機 銅 ) 0.04mg/L 以下 ク ロ ロ タ ロ ニ ル ( T P N) 0.05mg/L 以下 プ ロ ピ ザ ミ ド 0.008mg/L 以下

E P N 0.006mg/L 以下

ジ ク ロ ル ボ ス ( D D V P) 0.008mg/L 以下 フ ェ ノ ブ カ ル ブ (B P M C) 0.03mg/L 以下 イ プ ロ ベ ン ホ ス ( I B P) 0.008mg/L 以下 ク ロ ル ニ ト ロ フ ェ ン (CNP) -

ト ル エ ン 0.6mg/L 以下

キ シ レ ン 0.4mg/L 以下

フ タ ル 酸 ジ エ チ ル ヘ キ シ ル 0.06mg/L 以下

ニ ッ ケ ル -

モ リ ブ デ ン 0.07mg/L 以下 ア ン チ モ ン 0.02mg/L 以下 塩 化 ビ ニ ル モ ノ マ ー 0.002mg/L 以下 エ ピ ク ロ ロ ヒ ド リ ン 0.0004mg/L 以下 1 , 4 - ジ オ キ サ ン 0.05mg/L 以下

全 マ ン ガ ン 0.2mg/L 以下

ウ ラ ン 0.002mg/L 以下

(12)

1.1.3 水質汚濁防止法に基づく地下水質の測定

水質汚濁防止法に基づく地下水質の調査方法については、平成元年に環境庁から「地下 水質調査方法」として通知が出されている。各都道府県知事は、地下水の水質状況を常時 監視することになっており、毎年作成する測定計画に従って水質測定が実施されている。

平成15 年度に実施された地下水の水質測定結果では、調査を実施した井戸5,129 本の うち、421本の井戸において環境基準の超過が見られた。また、全体の環境基準超過率は 8.2%であった(参考資料1参照)。

水質汚濁防止法に基づく水質調査は、概況調査、汚染井戸周辺地区調査、定期モニタリ ング調査があり、以下のような概要で実施されている。

(1) 概況調査

地域における地下水質の概況を把握することを目的とし、年次計画を立てて実施される 調査である。調査項目は、地下水の水質汚濁にかかる環境基準項目と該当地域における特 性に応じた項目とされているが、汚染の可能性が低い場合は、適宜その測定項目を減らす ことができる。調査地点及び回数は、鉛直方向の汚染の広がり、汚染可能性、利水影響、

長期的観点等を留意して設定することとされている。

(2) 汚染井戸周辺地区調査

地下水汚染が確認された場合、その汚染範囲を把握するために実施することを目的とし た調査である。汚染発見後、早急に調査を実施することが望ましいとされている。調査項 目は、概況調査の場合と同じである。調査地点は、汚染が想定される範囲を含むこと、地 下水の流向、飲用に使用されている井戸をできるだけ調査する等の事項に留意して設定す ることとされている。

(3)定期モニタリング調査

汚染井戸周辺地区調査により、確認された汚染の継続的な監視を目的として実施される モニタリング調査である。対象井戸について、季節的な変動を考慮したうえで、毎年同じ 時期に1回以上測定することが望ましいとされている。

1.1.4 汚染物質の検出状況とその背景

平成15年度末までに都道府県等が把握した地下水汚染判明事例は、4,223件あり、その

(13)

うち、平成15年度末時点で環境基準を超過した井戸が存在する数は、2,844件(累積)で あった。

その超過事例を地下水環境基準項目別に示したものが表1-1-3である。

なお、要監視項目については、水質汚濁防止法における地下水質測定においては、いず れの項目についても超過はみられていない。以下、汚染物質の区分別にその検出状況とそ の背景について記述した。その各区分をまとめたものが、表1-1-4である。

表1-1-3 項目別の超過事例数

件数

項目名 区分

超過事例(累積) 超過事例のうち 平成15年度判明分

カ ド ミ ウ ム 3 0

全 シ ア ン 10 2

鉛 38 10

六 価 ク ロ ム 23 2

砒 素 380 42

総 水 銀 28 2

ア ル キ ル 水 銀 0 0

P C B 2 1

チ ラ ウ ム 0 0

シ マ ジ ン 0 0

チ オ ベ ン カ ル ブ 0 0

セ レ ン 2 1

ふ っ 素 122 28

ほ う 素

重金属等

46 10

ジ ク ロ ロ メ タ ン 14 5

四 塩 化 炭 素 39 2

1 , 2 - ジ ク ロ ロ エ タ ン 26 3

1 , 1- ジ ク ロ ロ エ チ レ ン 85 8

シ ス -1,2- ジ ク ロ ロ エ チ レ ン 291 19

1 , 1 , 1- ト リ ク ロ ロ エ タ ン 20 1

1 , 1 , 2- ト リ ク ロ ロ エ タ ン 9 2

ト リ ク ロ ロ エ チ レ ン 455 27

テ ト ラ ク ロ ロ エ チ レ ン 635 32

1 , 3- ジ ク ロ ロ プ ロ ペ ン 1 0

ベ ン ゼ ン

揮発性有機 化合物

(VOC)

21 4 硝 酸 性 窒 素 及 び 亜 硝 酸 性 窒 素 硝酸・亜硝

酸 1,237 257

合計(累積) 2,844 403

*複数の項目による超過事例があるため、各項目の件数の和は合計に一致しない。

出典:平成15年度地下水質測定結果 参考資料

(14)

表1-1-4 物質ごとの地下水汚染の特徴

汚染物質 VOC 重金属 硝酸・亜硝酸性窒素

性質

揮発性、低粘性で水よ り重く、土壌・地下水 中を浸透し、地下水に 移行しやすい。(ベン ゼンは水より軽く、他 のV OCと比べ ると 分解されやすい)

水 にわず かに 溶解 す るが、土壌に吸着され や すいた め移 動し に くい。(重金属によっ ては水に溶けやすく、

動 きやす いも のも あ る)

土 壌に吸 着さ れに く く、地下水に移行しや すい。土壌中の微生物 の働きにより、アンモ ニ ア性窒 素等 が酸 化 されて生じる。

汚染の原因

溶剤使用・処理過程の 不適切な取り扱い、漏 出。廃溶剤等の不適正 な埋立処分、不法投棄 など。

保 管・製 造過 程の 漏 出、排水の地下浸透、

廃 棄物の 不適 正な 埋 立 処分、 自然 由来 な ど。

過剰な施肥、家畜排泄 物の不適正な処理、生 活 排水の 地下 浸透 な ど。

汚染の特徴

地下 浸透しやす く深 部ま で汚染が広 がる ことがある。

液状 のままガス とし ても 土壌中に存 在す る。

移動性が小さいため、

一 般に汚 染が 局所 的 で 深部ま で拡 散し な い場合が多い。自然由 来(土壌からの溶出)

に よって 地下 水環 境 基 準を超 過す るこ と もある。

農 地など 汚染 源そ の も のに広 がり を持 つ ため、汚染が広範囲に 及ぶことが多い。

備考

トリクロロエチレン、

テト ラクロロエ チレ ン等 は分解して シス

-1,2-ジクロロエ チレンや、1,1-ジク ロロ エチレン等 に変 化することがある。

六 価クロ ム等 の陰 イ オ ンの形 態を とる も のは、土壌に吸着され にくいため、地下深部 まで汚染が及び、また 広 範囲に 汚染 が広 が ることもある。

土 壌への 窒素 負荷 を 完 全にな くす こと は 困難である。

出典:環境省「地下水をきれいにするために」

(15)

(1) 揮発性有機化合物

揮発性有機化合物は、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン及びその分解物のシ ス-1,2-ジクロロエチレンにおける超過事例数が多い。

トリクロロエチレン等の有機塩素化合物は、洗濯業、電子部品・デバイス製造業及び金 属製品製造業等において、ドライクリーニング溶剤、金属部品や電子部品の脱脂洗浄に幅 広く使用されている。

これら物質は、比重が重い、粘性や表面張力が小さい、土壌への吸着力が小さい等の理 由から、水平方向には拡散せず、垂直方向へ浸透する性質があるため、もし原液か原液に 近い状態のものが地下浸透すると、高濃度な汚染が検出されることが考えられる。

これまでに判明した汚染源は、工場・事業場における溶剤タンクや配管からの漏出、不 適切な廃棄物処理等がある。近年、汚染源が主に事業場であるトリクロロエチレンやテト ラクロロエチレンの超過率は減少してきている傾向にある。

(2) 重金属等

超過事例数としては、砒素、ふっ素、ほう素、総水銀における超過事例が多い。重金属 による汚染は、岩石や土壌等からの溶出による自然由来のものが多く、超過事例の約7割 を占める。

(3) 硝酸性窒素・亜硝酸性窒素

硝酸性窒素・亜硝酸性窒素は、地下水の水質汚濁に係る環境基準の他の基準項目に比べ、

高頻度・高濃度で地下水から検出され、環境基準の超過率が高い。硝酸性窒素・亜硝酸性 窒素は、平成5年に要監視項目に設定され、その後、平成 11年に環境基準項目に追加さ れている。現在、対策が実施されているにもかかわらず、依然として超過率は高く、都道 府県等が水質汚濁防止法に基づいて実施した地下水の水質測定結果を環境省が取りまとめ たものによると、平成 15 年度の測定結果において、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素は、調査 対象井戸4,288 本のうち280本(6.5%)が環境基準を超過していた。また、平成15年度末 までの累積の環境基準超過事例2,844件のうち、硝酸性窒素・亜硝酸性窒素における超過 事例は、1,237件で環境基準項目の中で最多であった。

硝酸性窒素・亜硝酸性窒素は、過剰摂取によりメトヘモグロビン血症を引き起こしたり、

窒素肥料の多量施用により土壌や地下水を酸性化し、土壌から有害金属を溶出させたりす ることで知られている。

汚染源としては、生活排水・工場排水の土壌浸透にかかるもの、農地に施用された肥料

(16)

からの溶出、家畜排泄物の不適正な処理等多岐にわたるため、地域の自然的・社会的特性、

汚染実態、発生源等の状況に応じた実施可能な対策を講ずる必要がある。しかし、硝酸性 窒素・亜硝酸性窒素は、土壌に吸着されにくく、汚染源が面的に広がっているため、地下 浸透規制をはじめとした従来の点源汚染対策だけでは解決が困難である。

硝酸性窒素・亜硝酸性窒素による地下水汚染を解消するには、原位置で実施可能な対策 を考える必要があり、水田あるいは休耕田を利用した高濃度の畑地地下水の浄化硫黄酸化 細菌や脱窒菌を利用した微生物分解といった手法が、実際に実証試験されている。

(4) その他の汚染物質

環境基準項目には含まれていないが、PCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)や臭素 等の農薬由来の汚染物質が地下水から検出されている。石油類としては、指針値を超過し ていないがフタル酸ジエチルヘキシルやアジピン酸ジエチルヘキシルが検出されている。

(17)

1.2 地下水汚染対策の現状

1.2.1 地下水汚染対策の変遷

表層水が土壌を通過してくる地下水に汚染があるということは、土壌も汚染されている 可能性が高いといえる。従来、地下水と土壌の汚染は、区別してきたところがあるが、主 に両者は一体となって発生することから、本節では、その両方における歴史的事例、対策 の現状について記述する。

表1-2-1に土壌・地下水汚染対策の変遷についてまとめた。昭和56年に米国のシリコン バレーにおける地下水汚染事故を受けて、わが国では初めて、全国的な地下水汚染調査が 実施された。この調査の結果、全国各地においてトリクロロエチレン、テトラクロロエチ レンによる汚染が顕在化し、様々な地下水汚染対策が実施されるようになったことが窺え る。

表1-2-1 土壌・地下水汚染対策の変遷

年代 土壌・地下水汚染対策の変遷

昭和56年 米国シリコンバレーにおける地下水汚染の判明 昭和57年 全国的な地下水汚染実態調査開始

平成元年 水質汚濁防止法の改正

平成2年 東京江東区の六価クロム処理問題の判明 平成3年 土壌環境基準の設定(10項目)

平成5年 環境基本法の制定

平成6年 土壌環境基準の項目追加(25項目)

重金属に係わる土壌汚染調査・対策指針

有機塩素化合物に係わる土壌汚染調査・対策暫定指針 平成8年 水質汚濁防止法の改正

平成9年 地下水の水質汚濁に係る環境基準の設定 平成11年 土壌汚染調査・対策暫定指針の改訂 平成14年 土壌環境保全対策法制定

平成元年における水質汚濁防止法の改正により、有害物質等を含む水の地下浸透の規制、

地下水質の常時監視が行われるようになったことをはじめに、平成5年には、水質汚濁防 止法における地下浸透の規制項目の10項目から23項目への大幅な拡充、平成6年には土 壌汚染にかかる調査対策における指針が策定されるなどの対策がとられてきた。

しかし、その後も依然として汚染が見られたことから、平成8年における水質汚濁防止 法において、地下水の浄化措置命令についての制度化がなされることとなった。また、平

(18)

成14年には、土壌汚染環境保全法が制定されている。

1.2.2 地下水汚染対策に係る法制度

地下水汚染対策に係る関係法令を図1-2-1に示し、その主な概略について、以下に説明 する。

媒体 関係法令 基準 指針

土壌 土壌環境基準

地下水 地下水

環境基準

廃棄物 埋立基準

(排水基準)

図1-2-1 地下水汚染関連法制度

出典:土壌・地下水汚染の診断

(1) 水質汚濁防止法

① 地下水の常時監視及び測定

都道府県知事は、地下水の水質の汚濁状況を常時監視しなければならない。また、測定 計画に基づき測定を行った結果を公表しなければならない。

② 健康影響のおそれのある地下水の浄化措置命令

都道府県知事は、特定事業場において有害物質に該当する物質を含む水の地下水への浸 透があり、現に人の健康に係わる被害が生じたり、又は生じるおそれがあるときは、事業 者に対し、その被害を防止するための措置を命じることができる。

(2) 土壌汚染対策法

法は、ある一定の状況にある場合に、土壌汚染の調査や汚染浄化の措置を求めるもので あるが、その要件や概要について、施行令、規則に示されている。

その中において、土壌汚染のおそれがあり、その地下水に飲用リスクがある場合、土地 所有者等に対して調査や浄化措置を求めることができることが決められている。

土壌汚染対策法

水質汚濁防止法

廃棄物処理法

ダイオキ対策別措置法環境基本法 土壌・地下水汚染に係

調査策指針及び用基準

(19)

(3) 廃棄物の処理および清掃に関する法律(廃棄物処理法)

廃棄物処分基準や最終処分場の構造基準を定め、地下水汚染等にかかる未然防止対策を 実施している。また、基準に反した処理により、生活環境の保全上支障が生じ、又は生じ るおそれが認められる場合、都道府県知事等は、排出事業者等に対して支障の除去を求め ることができるようになっている。

(4)土壌・地下水汚染に関する条例

市街地で土壌・地下水汚染が顕在化した地方自治体においては、独自の対策に関する指 導要綱や条例を制定しているところがある。東京都、千葉県、名古屋市など制定自治体数 は、200 を超えており、今後も増加傾向にある。それら条例及び指針等の概要は、様々で あり、ひとくくりにまとめることは困難であるが、主に対象項目の拡大や調査、公表、行 政への届出に関することについて定められている。

(5)土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び運用基準

土壌・地下水の汚染に係る調査又は対策を実施する場合の一般的な技術的手法を示す指 針として、平成11 年に環境庁(当時)において策定されたものである。参考資料2にそ の概要を添付する。

(6)各地方自治体の条例等

各地方自治体で定められている条例等の代表的な例を以下に示す。(表1-2-2~4)

表1-2-2 地下水の保全を目的とした条例の例

自治体名 名称 地下水汚染に関わる主な内容 千葉県 地下水汚染防止対策

指導要綱

・ 事業者は事業場で使用する対象物質による地下水 汚染が確認された場合は、自らの責任において、

汚染物質の除去に努めなければならない。

・ 事業者は、対象物質および対象物質を含む水等を公 共用水域へ排出する場合は、その排出水、事業場内 に井戸がある場合は、井戸水の対象物質の濃度を定 期的に測定して記録し、3年間保存するものとする。

・ 上記の結果、基準に適合しない場合は、直ちにその

(20)

旨を管轄市町村長を経由して知事に報告する。あわ せて、原因を究明し、改善措置を講ずるとともに、

その経緯を市町村長を経由して知事に報告する。

・ 知事は上記の報告等を受け、必要と認めたときは事 業者に対しとるべき措置について指導を行う。

秦野市 地下水保全条例 ・ 対象物質の使用事業場を設置しているものは、毎年 度の搬入量及び搬出量に関する物質収支を市長に 報告しなければならない。

・ 市長は、汚染のそれがある土地について、汚染状態 の概況を把握する調査(以下「基礎調査」という)

を行うものとする。ただし、市長以外のものが基礎 調査を行うことを妨げない。

・ 市長は、基礎調査等の結果に基づいて、詳細調査を 行わなければならない。

・ 市長は、詳細調査の結果に基づいて、浄化事業を行 わなければならない関係事業者を指定するものと する。指定を受けた関係事業者は、その日から 3 ヶ月以内に浄化事業の計画を定め、市長の承認を受 けなければならない。

・ 土地を所有し、又は占有する者は、市長の許可を受 けなければ、その土地に井戸を設置することができ ない。

・ 地下水の水質を保全する事業その他必要な事業を 行うため、秦野市地下水汚染対策基金を設置する。

岐阜県 地下水保全条例 ・ 対象物質の使用事業者は、使用事業場内の地下 水等について、その濃度を年 1 回以上測定(自 主点検)し、その結果を 3 年間保存するものと する。

・ 使用事業者は、自主検査の結果が汚染基準を超 えた場合、その結果を直ちに市長に報告しなけ ればならない。

(21)

・ 使用事業者は、使用事業場内の地下水等につい て、対象物質濃度が汚染基準を超えたことを知 ったときは、その原因を究明し、地下水の汚染 の拡大を防止する措置、又は、汚染を予防する 措置を講じなければならない。

・ 使用事業者は、対象物質の搬入量及び搬出量に 関する物質の収支を記録し、保存するものとす る。

・ 掘削する深さが10mを超え、かつ建築面積が 1,000㎡を超える工事、又は、掘削する深さが 10mを超える砂利採取の場合は、その工事を 開始する 7 日前までにその内容について市長 に届け出なければならない。

表1-2-3 環境保全全般を対象とした条例の中で土壌及び地下水汚染に関する規定を定めてい る例

自治体名 名称 地下水汚染に関わる主な内容 東京都 都民の健康と安全を

確保する環境に関す る条例

・ 知事は、地下水の汚染が認められる地域がある場 合は、有害物質取扱事業者に対し、その敷地内の 土壌の汚染状況を調査し、その結果を報告するよ う求めることができる。

・ 知事は、上記の調査の結果、汚染土壌処理基準を 超える場合、有害物質取扱事業者に対し、汚染処 理計画書を作成し、汚染土壌を処理することを命 ずることができる。

・ 3,000 ㎡以上の土地の改変を行うものは、過去の 有害物質の取扱事業場設置状況等について調査 し、その結果を知事に届け出なければならない。

・ 土地改変者は、調査の結果、汚染土壌処理基準を 超えていることが判明したときは、汚染拡散防止

(22)

計画書を作成し、知事に提出しなければならな い。

岡山県 環境への負荷の低減 に関する条例

・ 有害物質取扱事業場を設置しているものは、敷地内 において、土壌又は地下水の汚染を発見したとき は、速やかにその旨及び講じた応急措置の内容を知 事に届け出なければならない。

・ 知事は汚染の発見について届け出があったときは、

当該汚染の原因等を調査するものとする。当該届け 出をしたものは、当該調査の実施に協力しなければ ならない。

・ 調査の結果、有害物質取扱事業所の事業活動に起因 して土壌又は地下水の汚染が生じていると認めら れるときは、有害物質取扱事業所を設置しているも のは、浄化対策計画を作成し、知事に報告しなけれ ばならない。

表1-2-4 環境保全全般を対象とした条例の中で土壌汚染に関する規定を定めている例

自治体名 名称 地下水汚染に関わる主な内容 大阪府 生活環境の保全等に

関する条例

・ 土地の所有者等は3,000 ㎡以上の敷地において土 地の形質変更をしようとする場合には、過去の有 害物質の使用状況、その他の規則で定める事項(特 定有害物質の製造・使用・処理の状況、ダイオキ シン類の発生もしくは処理の状況等)を調査(以 下「土地の利用履歴等調査」という。)し、その結 果を知事に報告しなければならない。

・ 土地所有者等は、以下の場合には、規則で定める 調査対象となる管理有害物質による土壌の汚染状 況について、知事が指定する調査機関に調査させ て、その結果を知事に報告しなければならない。

(23)

① 土地の利用履歴等調査の結果、管理有害物質 が、製造・使用・処理等された可能性がある 場合。

② 有害物質使用届出施設、ダイオキシン特定施 設(以下「管理有害物質」という)又は、有 害物質使用特定施設を設置している工場・事 業所の敷地において、土地の形質変更をしよ うとする場合。

③ 有害物質使用届出施設等が廃止された場合。

・ 知事は、土壌汚染状況調査の結果、当該土地の管 理有害物質による汚染状態が規則で定める基準に 適合していないと認める場合には、当該土地の区 域をその土地が管理有害物質によって汚染されて いる区域(以下「管理区域」という)として指定 するものとする。

・ 知事は土壌の管理有害物質による汚染により、人 の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあ るものとして規則で定める基準に該当する管理区 域内の土地があると認めるときは、当該土地の所 有者等に対し、相当の期限を定めて、汚染の除去 等の措置を構ずるべきことを命ずることができ る。

横浜市 横浜市工場等跡地土 壌汚染対策指導要綱

・ 事業者は、工場等の跡地の汚染土壌については、そ の責任において必要な措置を講ずるとともに、横浜 市が実施する汚染土壌に関する施策に努力するも のとする。

・ 跡地の所有者(事業者である所有者を除く)は、横 浜市が実施する汚染土壌に関する施策に協力する ものとする。

・ 事業者は、工場等の移転をしようとする場合、跡地 面積が1,000㎡以上のもの(めっき業又は表面処理

(24)

業の跡地は、1,000㎡未満を含む)であるときは、

速やかに当該跡地の利用経過等について土壌汚染 概況調査票に必要事項を記入し、市長に報告する。

・ 市長は、この報告を受けて、跡地の土壌に汚染がな いことが明らかな場合を除き、事業者に対し、詳細 調査として当該跡地に関する表土調査、ならびに必 要に応じ、ボーリング調査及び地下水調査を実施す るよう指導するものとする。

・ 事業者は、調査の結果、土壌が土壌汚染の判定基準 に掲げる物質について判定基準に該当する場合は、

当該土壌を汚染土壌とし、あらかじめ市長の指導を 受け、汚染土壌の処理対策を講ずるものとする。

出典: 環境省 「地下水をきれいにするために」

1.3 海外における地下水汚染対策の動向

1.3.1 米国

米国における地下水汚染対策は、未然防止の観点から、排水の有害物質等の規制を実施 する水質汚濁防止法(Clean Water Act)、有害廃棄物の管理・処理を定めた資源保全再生 法(Resource Conservation and Recovery Act )、また、地下水汚染の浄化を目的として 制定された包括的環境対処・補償・責任法(Comprehensive Environmental Response, Compensation and Liability Act;CERCLA, 通称スーパーファンド法)等により、実施 されている。

(1) 水質汚濁防止法(Clean Water Act)

地下水をはじめとする水質保全のために、各業種における汚濁物質排出基準の設定、水 質基準の設定、排出許可制度等が盛り込まれた制度である。

(25)

(2) 資源保全再生法(Resource Conservation and Recovery Act)

有害廃棄物の輸送、貯蔵タンクや一般廃棄物埋立地、有害廃棄物処分設備等から、汚染 物質が漏出することを防止することで汚染を防止する制度である。

(3) 包 括 的 環 境 対 処 ・ 補 償 ・ 責 任 法 (Comprehensive Environmental Response, Compensation and Liability Act;CERCLA, 通称スーパーファンド法)

地下水・土壌汚染の浄化を行政が実施する際、巨大な基金(連邦政府の場合:石油税、

化学原料物質税等により設立されている)から出資し、その後、責任機関に請求するとい った制度である。

(4)その他

安全飲料水法(The Safe Drinking Water Act)、連邦殺虫・殺菌・殺鼠剤法(The Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act)、有害化学物質規制法(The Toxic Substance Control Act)、各州で制定されている条例等(開発時における地下水保護を含めた開発や 計画の要求や帯水層汚染の識別レベルの設定、土地利用等)により、地下水の水質保全対 策がなされている。

1.3.2 EU

欧州委員会(EU)は、2003年9月に地下水汚染を防止するための指令(COM(2003)550) を採択している。以下にその内容について示す。

(1) 地下水のモニタリング義務

地下水質の汚染の状況を判断したり、化学的状況を評価したりするためにモニタリング をしなければならないとしている。現行の案に加えて、間接的汚染から地下水を保全する 手法を取り入れている(土壌や底土を通過した地下水汚染の改善)。

(2) 地下水の水質測定

EU既存の窒素、植物保護剤、殺生剤等の基準をもとに測定データを検証し、達成状況 を把握することとしている。EUの基準が設定されていないものについては、加盟国が 2006年6月までに上限値を設定することを求めている。

(26)

(3) 汚染の判断と改善

測定結果を「期間」と「環境上の重要性」からみて、一定のレベルを超える場合は、各 国は、対策を講じなければならないとしている。EUの水質基準値及び各国により設定さ れた上限値の75%を超える場合は、この対策を講じなければいけない状況にあるといえる。

(4)備考

2012年に、地下水を含む水質汚濁の規制及び防止措置の包括的プログラムは、水枠組み 指令の下で、準備することとなるであろうとある。また、本指令により獲得した測定デー タは、地下水汚染の規制及び防止ための施策の立案のために利用されるであろうとしてい る。

(27)

第 2 章 地下水汚染対策技術の適用状況

地下水汚染は都道府県等による地下水常時監視等、事業者による自主的調査によって判 明することが多くなっている。

地下水汚染が判明したときは図2-1-1のような形式で調査対策が進められる。

図2-1-1 地下水汚染判明時の調査・対策フロー図

出典:環境省「地下水をきれいにするために」

事業者による調査

常時監視による 地下水汚染の判明

過去及び現在の事業活動から見て、土壌・地下水 汚染のおそれがあって、自主的に調査を行う場合

何らかの契機により汚染が発見された場合

資料等調査

(汚染源調査)

資料等調査 地下水汚染源推定調査

概況調査

詳細調査

対策の立案

浄化対策

効果の確認

終了

(28)

2.1 地下水汚染の分析・調査技術

地下水汚染の有無を調べるにあたって、実施される各調査の概要をまず説明する。その 後、現在一般的に実用化されている各調査技術・装置等についてまとめる。(簡単なフロー を図2-1-3に示す)

(1)資料調査

事業所で汚染が発見された場合、事業所内の汚染状況を調査する際の項目及び汚染源の しぼりこみにあたっては、事業所の履歴、土地利用や有害物質の使用状況、排水路、漏洩 事故歴などを調べ、有害物質の地下浸透箇所を把握する。また、地形や地質等、汚染井戸 周辺の土地履歴を調べる。

(2)概況調査

概況調査は、対象地での汚染の概況を把握するために行うものである。地下水汚染の状 況を判断するために、一般的には、井戸の水位、水質分析、ストレーナの位置など井戸構 造調査等を行う。地下水汚染を引き起こしている土壌汚染状況を判断するには、例えば、

VOCの場合は土壌ガス調査、重金属の場合は表層土壌資料採取及び分析を行う。

土壌ガス調査は、土壌中に存在するガス中の VOC の濃度を測定して、土壌汚染の有無 を判定したり、高濃度汚染地点を見つけ出したりするために行う。

一般には、ボーリングバーなどを使用し、地下約 1m程度の穴を開けてガスを採取し、

ガスクロ等により濃度を測定する。

表層土壌試料は、表層土壌の土壌溶出量や土壌含有量を調査して、土壌汚染の有無を判 定するために行います。一般には手掘り又はダブルスコップ等を使用して深さ50mまでの 試料を採取する。採取した試料で溶出試験や含有量分析を行い、有害物質の濃度を測定す る。

(3)詳細調査

詳細調査は、対象地での汚染範囲を調べ、浄化等の有効な対策を立案するために行う。

ボーリング調査は、一般にボーリング機械を使用して汚染状況と地質構成を調べるために オールコアボーリング(連続的に地質試料を採取する方法)を行う。また、地下水試料を 採取して分析を行い、さらに地下水位測定に加えて、流向、流速測定、透水試験、電気検 層等の地下水流動状況調査を行うこともある。

(29)

ボーリング調査は、地層中に吸着している有害物質をそのままの状態で採取するために、

地下水面までは原則無水掘をする。地下水面付近や帯水層の底に有害物質が存在する場合 は、掘削の仕方によって、汚染を拡大させてしまうこともある。ボーリングコアは掘削終 了後、所定の箱に整理し、柱状図及び地質断面図を作成する。(図2-1-2参考)

図2-1-2 ボーリング調査と汚染マップ

出典:三菱重工業 神戸造船所 資料

(30)

<一般的な汚染土壌調査・除去処理フロー>

① 資料等調査

土壌汚染の可能性を把握 ・既存資料収集・解析 ・聞き取り調査

・現地・周辺環境の調査

② 概況調査

土壌汚染の有無を把握 ・表層土壌調査 ・表層土壌ガス調査

・土壌汚染簡易調査サービス ・ 5点混合法による調査 ・オンサイト分析

ガス検知管分析 パックテスト

可搬型装置によるX線分析 ・ラボ分析

③ 詳細調査

土壌汚染の平面方向・深度方向の分布の把握 ・追加調査・分析

・機械ボーリング ・サンプリング ・ラボ分析 ・観測井設置

・地下水流向流速測定 ・高密度電気探査

・地下水流動・汚染物質拡散 3D シミユレーシヨン

(31)

図2-1-3 汚染土壌調査・除去処理フロー

④ 汚染機構の解明

汚染源の特定、浄化工法の検討 ・浄化物質特定

・汚染土量の算出 ・法規制の確認 ・行政指導確認 ・コスト比較検討 ・安全性検討 ・処理適応性試験 ・環境影響検討

⑤ 土壌浄化・地下水浄化

対象物質・濃度・処理に応じた提案 ・ハイドロエアリフトシステム ・シーリングソイルシステム ・地下水揚水曝気

・土壌ガス吸引 ・ホットソイル工法 ・微生物浄化処理 ・掘削除去

・原位置不溶化処理 ・焼却処理

⑥ モニタリング

浄化の効果確認

・浄化確認調査 (土壌・地下水)

・モニタリング井戸掘削 水質監視機器設置

・周辺環境調査 (土壌・地下水・表層水)

・ラボ分析

(32)

(4)地下水に関する法律・指針における調査

法律・指針による地下水汚染の調査は、(1)土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査 と(2)環境省による土壌・地下水汚染に係る調査対策指針および運用基準に基づく調査 の2通りに区分される。これら調査の相違点を図2-1-4に示す。

(2)環境省による土壌・地下水汚染に係る調査対策指針および運用基準に基づく調査 の場合、PhaseⅠ(土壌汚染等の可能性検証)及びⅡ(土壌汚染の有無の確認)における 調査によって、土壌汚染対策の実施の有無を決定し、Phase Ⅲにより、その対策を行うた めの土壌汚染等の実態把握を実施するというものである。

一方、(1)土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査の場合は、土壌汚染対策調査によ って対象地の詳細の一部まで調べること(土壌・地下水汚染に係る調査対策指針でいう phase Ⅲの一部)となっている。

図2-1-4 土壌汚染対策法と指針調査との相違点

出典:「土壌汚染対策技術」(一部加筆)

土壌汚染対策法 土壌・地下水汚染に係る調査対策指針 調査レベル

対象地資料調査

対象地概況調査

対象地詳細調査

Phase

土壌汚染等の可能性検証

Phase

土壌汚染の有無の確認

Phase

土壌汚染等の実態把握

措置の実施 浄化・修復措置 土壌汚染対策調査

(資料等調査を含む)

● 調査を実施する上で必要となる情報 の収集および資料採取等地点の設定

● 資料採取等と測定(分析)及び汚染状 況の把握(指定基準との適合確認)

浄化・修復措置に必要な調査

(必要に応じて実施)

● 汚染範囲(主として深度)の確定

● 措置の実施に必要なデータ等の取得

(土質,地下水理定数等の測定等)

(33)

2.1.1 分析関係の技術

土壌・地下水調査の分析方法は、公定法と簡易分析法に区分される。それらの概要を比 較したものを表2-1-1に示した。

重金属類の調査対策において、土壌汚染対策法では、汚染の有無や状況を把握する場合、

公定法による分析を行うことが決められている。公定法は、分析精度が高いため、利点と して、定量下限値が小さい、すべての土壌環境項目の調査が可能であること等があげられ る。一方、「分析するために使用する機器やランニングコストが高価である」、「分析時間が 長くかかる」、「分析においてある程度の熟練が必要である」、といった短所もある。

簡易分析法は、分析精度については公定法より劣るが、分析機器、ランニングコストも 比較的廉価で、分析時間が短く、迅速に土壌・地下水汚染の有無がわかるといった利点が あげられる。

重金属類による土壌汚染現場は、汚染物質の分布が不均一であるため、サンプリング地 点とずれが生じる場合が多いという。そのため、必要に応じて、簡易分析技術により、公 定法を補完していく手段は、有効的であるといえる。

以下に、現在使われている分析(公定法を除く)の概要について説明する。

表2-1-1 公定法と簡易分析法の比較

比較項目 公定法 簡易分析法

分析精度 高い 低い

再現性が少ない場合もある

定量下限値 低濃度まで可能 公定法に比べ定量下限値は大きい値 となる

対象物質 すべて 分析できない成分や精度の低い物質

も存在する

妨害物質への対応 対応可 対応できない場合が多い

時間 数日~数週間 即時~数日

分析費用 高い 安い

評価 計量証明書によって公的データ 相対的な参考データ

操作性 要習熟度(専門家) 容易

試料の必要量 多い:500g以上 少ない(分析排水も少ない)

出典:「土壌汚染対策技術」

(34)

① 簡易分析

(1)簡易比色法 1)試験紙法

発色試薬を染み込ませて乾燥させた試験紙を検液につけ、イオンとの反応による色の変 化を標準色と比較して濃度を求める方法である。古くから利用されているが低濃度の測定 はむずかしい。pH試験紙、重金属試験紙などがある。

2)パックテスト法

パックテストは水質検査用に対象物質を簡易に検出するキットとして、ある民間企業か ら市販されているものである。

この方法は、ポリエチレンチューブの中に試薬が密閉されており、使用時に開封して試 料水をスポイトのように吸い込み、指定時間後に比色する方法である。分析対象の種類が 多く、試験紙に比べて一桁程度分析精度も高い。

メリットとして、以下のようなものがあげられる。

・ pH5~9の範囲で測定が可能でpH調整が不要

・ 穴をあけるかアンプルを折るだけで分析器具を用いない

・ 測定時間は5分以内で結果が早い(試料調整や検液作成時間は除く)

・ 小さくて壊れにくく携帯性が良い

一方、デメリットとして、以下のようなものがあげられる。

・ 共存物質(妨害物質)により、誤発色することがある

・ 環境基準を検出できる項目は少なく、分析できない環境基準項目(例えば、鉛など)

がある

3)比色管法

試料を試験管にとって、用意された試薬を加えて発色させ、指定時間後に比色する方法 である。民間の企業から、市販されているポナールキットなどがある。パックテスト法と 同様な長所、短所を有する。

4)検知管法

処理剤や発色剤をつけた粒子を細長いガラス管に封入したもので、対象物質との反応に よって着色した層の長さから濃度を求める方法である。吸水用検知管を直接検液に浸漬す る方法や検液を吸引する方法、水中から気化したガスを吸引する方法がある。シアン、水

(35)

銀、砒素などの測定方法が開発されている。高感度の水質検知管がヨシテストとして民間 の企業から市販されている。

(2)簡易分光光度法 1)分光光度計

簡易比色法の欠点である目視による個人差、詳細な数値を読み取れないこと等の問題点 を解決するため、準備された試薬を加えて発色させ、あらかじめ検量線をプログラムした 光電比色計か分光光度計で測定し、濃度を求める方法である。

測定できる項目も多く、小型化が進められている精度の高い簡易法ではあるが、前処理

(発色処理)が必要になる場合、測定項目によっては操作が煩雑になり分析時間を要する 場合もある。

(3)その他

1)イムノアッセイ法

対象物質と反応する抗体を用いて抗体と抗原との特異的な反応を利用する測定法である。

鉛などを対象としたキットが市販されている。

2)蛍光X線分析法

土壌汚染対策法においては含有量に対しても基準値を設定している。

前出した簡易分析法は溶出量に対する分析であったが、含有量に対する検討に対しては、

近年、蛍光X線分析装置を用いた手法が研究開発されている。

エネルギー分散型蛍光X線分析装置のメリットを以下に示す。

・ 小型・軽量であるため、現場まで持ち運びが可能

・ 100V電源で稼動し、X線管球が空冷のため冷却水が不要

・ 土壌構成元素の定性分析を迅速(数分間)に実施

・ 検量線を用いて、重金属元素の定量分析(検出限界は10ppm)が可能

・ 最新モデルはX線検出器をペルチェ冷却し、液体窒素が不要

今後、蛍光X線分析法で求めた含有量分析法と公定法含有量分析法の相関を求める等の 検証の積み重ねにより、現場での簡易分析法として普及されていくことと考えられる。

(36)

② 石油類分析

「石油あるいは石油類」とは天然に産する炭化水素の混合物、あるいはそれを部分精製 して得られる製品群を指す一般名称である。したがって、純物質ではないので、一言に石 油といっても具体的にどんな化学物質を示すのかは明確ではない。

石油製品の中でも最も単純といわれるガソリンでさえ、同定できている主要な成分のみ でもその数は300を超え、このほかにも同定できない無数の微量成分が含まれている。

石油は原油として地下より掘り出された後に主に蒸留工程を経て部分精製され、石油製 品となる。蒸留も化学分析のような精密蒸留ではないので、各製品に含まれる物質は、互 いに重なることが多い。さらに原油種(主に産地)、精製工程の違い(製油所により異なる)、

精製条件の違い(例えば、夏季と冬季で異なる)などにより同じ名称の製品であっても成 分的には異なることが多い。

このように混合物であり、成分にある程度の変動幅を有しているので、通常の化学分析

(特定成分のみを対象とする)とは、やや趣が異なる。

石油類の分析法を以下表2-1-2 示す。

表2-1-2 石油類の分析法

分析方法 原理(分析対象物質) 特徴 分光学的方法

・ 紫外線吸収法

・ 蛍光分析法

・ 赤外線吸収法

・ ペトロフラッグ法

二重結合等の紫外吸収を持つ 構造の物質(芳香族化合物等)

蛍光を発する物質(芳香族化 合物等の一部)

C-H結合を有する物質

極性のちがいによるエマルジ ョンの形成

物質や油種によって感度が異 なる。

物質や油種によって感度が異 なる。

物質の飽和度(C:H比)に よって感度が異なる。

物質や油種によって感度が異 なる。

GC-FID法 GC による分離と物質の燃焼 で生じる電子数の定量

ほとんどの物質で感度が同じ 物質の沸点情報が得られる。

(油種判定が可能)

重量法 抽出物質の重量 抽 出 ― 乾 燥 に よ る 損 失 が あ る。

出典:「土壌汚染対策技術」

(37)

1)石油類(芳香族化合物)分析法

石油類中の芳香族化合物を利用する分析法には、紫外線の吸収を用いた方法と蛍光を用 いた方法がある。

石油には芳香族化合物が多く含まれている。ベンゼン、トルエン等の単環化合物、ナフ タレン等の2環化合物から構造の解明されていない多環化合物までその種類は豊富である。

また、これらの環状化合物の分解物と考えられる二重結合を有する化合物も多く含まれて いる。このため、石油は一般的に紫外線吸収が強く、これを利用して定量することが可能 である。つまり、紫外吸収のない溶媒によって土壌等から石油類を抽出して紫外吸収を測 定する方法である。簡便な方法であるので現場分析等には向いている。

しかし、紫外吸収は、共役位の二重結合とそれをとりまく官能基の存在によって吸収ス ペクトルもモル吸光係数(分子当たりの吸収強度)も異なる。つまり、物質によって紫外 吸収の強さと物質の量との関係が決まっているのである。したがって、たとえ混合物であ っても組成が一定であるならば紫外線吸収の強さによって定量することが可能であるが、

組成が異なる場合には定量性はまったくなくなる。汚染状況を考慮して、同一の石油類に よる同一汚染源からの汚染が明確な場合にのみ定量性が確保される。

さらに、紫外吸収の値は単位を持たない無次元の値であり、これを単位のある絶対値に 換算する必要がある。もっとも有効な手段は汚染現場で採取した石油類(その場所におけ る汚染物質)を標準として換算する方法である。

しかし、汚染現場で採取した石油類を標準サンプルとして扱うには、土壌などからの抽 出と抽出溶媒の除去(多くの場合には風乾)の作業が必要である。比較的揮発しにくい石 油類であれば抽出溶媒を除去するときにその損失が少なく、無視できるものであると考え られるが、揮発しやすい石油類である場合、抽出溶媒を飛ばすときに、そのサンプル自体 が減ってしまうため、正確な定量結果は期待できない。

また、石油類かどうかにかかわらず、紫外吸収のある物質(土壌有機物や色素など)が サンプルに混入すれば、検出されてしまう。色素等の場合には、モル吸光係数が大きいの で、ごくわずかな混入が測定に大きな影響を与える。

紫外吸収と同様に芳香族化合物などに由来する蛍光を測定する方法もある。

蛍光は紫外線を物質に照射して、励起された物質が元の状態(基底状態)にもどる際に発 する光(蛍光)を測定する方法である。蛍光は無方向に発せられるので、土壌サンプルの ように光を通さない物質に対しても直接測定することができる。ボーリングマシンの先端 に蛍光測定装置を装着した機器を用いて無掘削で地下の石油類による汚染を調査する技術 も提案されている。

(38)

しかし、蛍光も紫外吸収と同様に石油類組成や油種によってその強度が異なること、石 油類以外の物質の妨害を受けることを注意しなければならない。

2)石油類(炭化水素化合物)分析法

石油類の基本構造は炭化水素化合物であり、一部が環状化、重合したり、酸素、窒素、

硫黄等が結合したりしている。石油類の基本構造のうちC-H結合を対象とした定量法が赤 外吸収法である。

C-C結合やC-H結合などの原子同士の結合は電子の共有によってなっており、絶えず振 動している。この振動は、原子の組み合わせや振動様式(収縮やねじれなど)によって吸 収するエネルギー(波長)が決まっており、物質の化学構造を推定するための重要な情報 になっている。

石油類の定量にはCH3-CH2結合に由来する2930±10カイザー(㎝-1、赤外吸収にお いては波長の逆数である波数で標記)付近の極大吸収量が用いられている。

汚染調査以外にも石油製品の生物分解性試験で採用されている。

具体的には、CH3-CH2結合をもたない溶媒(四塩化炭素など)を用いて土壌などから、

石油類を抽出して赤外吸収を測定する方法である。四塩化炭素は年々規制等のため、使用 が難しくなる傾向にあるため、代替フロンの一種を用いる方法もある。

紫外吸収ほどの変動はないが、赤外線においても吸収波長やその強さは物質によって若 干変動する。

3)ガスクロマトグラフィー分析

水素炎検出器(FID)を装備したガスクロマトグラフィー(GC)は石油製品の品質管理 などで広く一般的に用いられている分析機器である。

FID は水素炎中に可燃物質が入り、燃焼する際に生ずる電子を捕らえる検出器である。

可燃性の物質であれば多くの物質で質量あたりのシグナル(検出感度)がほぼ一定してい ることが知られている。したがって、炭化水素化合物である石油類においては、いかなる 組成であっても、油種が異なっていても、FIDのシグナルは質量に比例する。したがって、

組成や油種によりシグナル値が異なる紫外吸収などに比べて定量性は格段に優れている。

また、GC は無極性のカラムを用いることで、物質の保持時間は沸点に順ずる(沸点温 度とGCのカラム温度は必ずしも直線関係にない)。したがって、蒸留性状に近い情報を得 ることができるのである。GC の機種によっては、沸点のわかっている標準物質(n-アル カン)の保持時間からGCのカラム温度を沸点温度に補正して蒸留性状をシミュレーショ

表 1-1-4  物質ごとの地下水汚染の特徴  汚染物質  VOC  重金属  硝酸・亜硝酸性窒素  性質  揮発性、低粘性で水より重く、土壌・地下水中を浸透し、地下水に移行しやすい。(ベン ゼンは水より軽く、他 のV OCと比べ ると 分解されやすい)  水 にわず かに 溶解 するが、土壌に吸着されや すいた め移 動し にくい。(重金属によっ ては水に溶けやすく、動 きやす いも のも ある)  土 壌に吸 着さ れに くく、地下水に移行しやすい。土壌中の微生物の働きにより、アンモニ ア性窒 素等 が
図 2-2-8  バイオレメディエーションによる地下水浄化の模式図  出典:日本総合研究所  資料      このほか、95 年から経済産業省所管の RITE(地球環境産業技術研究機構)のプロジェ クトとして千葉県君津市のトリクロロエチレン汚染地下水を用いて実証試験が行われてい る。98 年に微生物活性化法により効果を確認した後、2000 年初頭からは、地上で培養さ せた分解微生物を地下に注入させ分解する手法(バイオオーグメンテーション:微生物添 加法)が試みられており、分解が確認されている。注入した微生物
図 2-2-12  原位置封じ込めの概略図  出典:土壌汚染対策技術  ②  遮水工封じ込め    この方法は、汚染のある土壌を掘削後、その場所に遮水構造をした遮水層を別途設置し、 この中に掘削した汚染土壌を埋め戻して、封じ込める方法である。封じ込め構造を図 2-2-13 に示す。    この構造の概略を説明すると、埋め戻した土壌の底面と側面に、遮水シートを用いた遮 水層を設けたものである。遮水層の構造は、遮水シートの上面は、損傷を防止する保護マ ットを、下面には、粘性土や水密性アスファルトコンクリートを敷
図 2-2-13  遮水工封じ込め構造例  出典:土壌汚染対策技術  2.2.4  硝酸性窒素・亜硝酸性窒素対象の浄化技術    硝酸性窒素・亜硝酸性窒素による地下水汚染の原因は、生活排水及び工場排水の土壌浸 透、農地での過剰な施肥、家畜排泄物の不適正な処理等と多岐にわたる。生活排水に対し ては、下水道や排水路及び下水処理場の整備により排水を浄化することや、地下浸透させ ないことが必要である。家畜排泄物に対しては、生活排水同様の対策と敷地内や畑地での 野積みが汚染の原因になっていることから、降雨による流出や
+7

参照

関連したドキュメント

国の5カ年計画である「第11次交通安全基本計画」の目標値は、令和7年までに死者数を2千人以下、重傷者数を2万2千人

製造業その他の業界 「資本金3億円を超える」 かつ 「従業員数300人を超える」 「資本金3億円以下」 または 「従業員300人以下」

ここで, C ijkl は弾性定数テンソルと呼ばれるものであり,以下の対称性を持つ.... (20)

 汚染水対策につきましては,建屋への地下 水流入を抑制するためサブドレンによる地下

1. 東京都における土壌汚染対策の課題と取組み 2. 東京都土壌汚染対策アドバイザー派遣制度 3.

(2)工場等廃止時の調査  ア  調査報告期限  イ  調査義務者  ウ  調査対象地  エ  汚染状況調査の方法  オ 

解体の対象となる 施設(以下「解体対象施設」という。)は,表4-1 に示す廃止措置対 象 施設のうち,放射性

一般の地域 60dB 以下 50dB 以下 車線を有する道. 路に面する地域 65dB 以下 60dB 以下