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(1)

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

救急外来で遭遇する急性腹症

への実践的アプローチ

香川県立中央病院外科

大橋龍一郎

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

Mini Lectureの目次

• 急性腹症への臨床的アプローチ総論

• 各論

– 急性虫垂炎と鑑別疾患

– 腸閉塞

– 上腸間膜動脈閉塞症

– 消化管穿孔

– 肝胆膵の炎症

– 1度みておくと役立つ疾患

– 付録:腹部外傷

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

急性腹症とは

• 激しい腹痛を主症状とし,

開腹手術などの外

科的処置が必要か否か

,の鑑別を要する腹

部の急性疾患の総称.

• 最近は急性腹症を広義に解釈して,緊急手

術の適応を判断しなければならない,消化管

出血,閉塞性黄疸,腹部外傷なども,合わせ

て取り扱う傾向がある.

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

急性腹症初診時の留意点

• 全身状態の把握を優先する

– ショックはないか?

• 腹腔内の病態の程度を判断する

– すぐに開腹手術が必要なのか?

• 診察を繰り返す

– 病状の経過観察が必要なこともある

• 異常所見が現れにくい患者さんには要注意

– 高齢者,肥満者,脳梗塞後遺症患者など

• 腹部以外の疾患でも激しい腹痛は起こりうる

– 心筋梗塞など

• 判断に迷う場合は誰かに相談する

– 夜でも指導医や外科医に相談することを躊躇しない

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診察時は

(理学所見)

• ショック(出血性/敗血症性)はないか?

• 腹膜刺激症状はないか?

(画像所見)

• 遊離ガス像はないか?

• 腹腔内に液体貯留はないか?

(血液検査所見)

• 炎症所見(WBCと分画/CRP)はないか?

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病因は頻度の高い疾患から系統的に考える.

そして,

合理的なストーリーを構築する.

ほとんどの場合に,

そのストーリーは一元的である.

• 炎症

• 腫瘍

• 機械的

• 血管性

• 外傷

わからなかったら,

ともかく,

患者をよく診る.

Assessmentでは

(2)

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• Common diseaseをていねいに診断する.

例)急性虫垂炎と鑑別疾患

• うっかり見落としやすい疾患を見落とさない.

例)老人の鼠径ヘルニア嵌頓

• その疾患の可能性を想定しなければ診断で

きない疾患を知っておく.

例)急性上腸間膜動脈閉塞症

少し慣れてくれば,DU穿孔や急性胆嚢炎で迷うことは少ないでしょう.

急性腹症疾患の鑑別では特に下記のような疾患を注意すればよいと思います.

鑑別疾患が多いと悩む必要はありません

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画像では多分CTが一番役に立つ

• 多くは単純CTでOK.

– 脂肪条件も必ずとる

– Effusion? Free air?

– 造影CTが有用な場合もある.可能ならば,SMA閉塞症な

らヘリカルCT.実質臓器損傷ならばダイナミックCT.

• 腹部単純写真は可能ならば立位と仰臥位で.

– 仰臥位で腸管のバランスなどをみる

– 立位では鏡面像とFree air

– Free airは胸部XPの方がよく検出する

• USが有効な場合がある.

– 胆嚢疾患,腹水胸水,実質臓器損傷など

– Doppler USで大まかな血行障害の有無が確認できる

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腹部の1臓器だけにとらわれるな

• 腹腔臓器の異常でなくても腹痛が主訴の場

合がある:心筋梗塞など

• 腹痛が全身疾患中の1症状である場合もあ

る:膠原病による血管炎など

• 外傷性では他臓器損傷の可能性を必ず考

える

他のストーリーの可能性はないか?見落としはないか?

別の視点で冷静に見直してください.油断しないことです.

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急性虫垂炎

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急性虫垂炎の診断

• ていねいな腹部触診がきわめて重要!!

– 圧痛の最強点はMcBurney点にあることが多い

– Blumberg徴候の有無,その範囲

– 腹を押さえて歩く.ぴょんと飛べない.

– 虫垂が背側にある時は症状が少ない

– 麻痺性になるため腸雑音はやや減少していることが多い

• 画像もていねいにみる

– 腫脹した虫垂や,周辺のeffusionを探す

– 糞石があれば虫垂炎の可能性が高い

– 盲腸付近の腸管ガスは減少しており,終末回腸(ガス)は停

滞と麻痺性で拡張気味

• 血液検査

– 白血球,CRPは重症度の目安になる

(3)

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急性虫垂炎の手術適応

• 抗生物質のみでかなり多くの症例は治療できるが,

圧痛が強い場合には穿孔する可能性があるので,

早めに手術を行った方が無難.

• 特に小児と老人は注意しておいた方がよい.

• 私は以下の所見を参考に手術を考えます.

– 筋性防御がある.あるいは腹膜刺激症状の範囲が広い

– WBCが15000近くある(小児は除く)

– 急激に病状が進行している.抗生剤で改善傾向が少ない.

– 糞石がある.

– 過去に虫垂炎の既往がある.

– 基礎疾患があって重症化すると危険.

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症例1:急性虫垂炎(典型例)

• 70歳女性,昨日朝から右下腹部痛が出現して,本日午後に

救急外来受診.McBurney点に圧痛あり,Blumberg徴候陽

性.WBC13500, CRP7.2

圧痛

追加のポイント

・最初は心窩部痛を訴えて,次第

に右下腹部に限局していく例あり.

・発症して間がない症例はCRP陰

性のこともある.

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回盲部のガス

減少

終末回腸付近の拡張

症例1:急性虫垂炎(典型例)

追加のポイント

・腹単で糞石がみえ

ることもある.

・立位では終末回腸

に軽い鏡面像がみ

られることもある.

腹単(仰臥位)

胆石合併例

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糞石

回盲部のeffusion

腫脹した虫垂

Window幅を拡げた脂肪条件

左側に比べてケバダチが強く,

回盲部に炎症が存在している.

Toldt筋膜は保たれている

症例1:急性虫垂炎(典型例)

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糞石

膿性の内容物

症例1:急性虫垂炎(典型例)

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症例2:急性虫垂炎(腹腔内膿瘍)

• 54歳男性.3ヶ月前より右腹部痛があり,憩室炎が疑われて

抗生物質治療を受けていた.糖尿病性腎症は次第に悪化し

た.10日まえより,腎不全による全身倦怠感出現したため,

透析目的に入院.発熱は37度台.右下腹部に圧痛の最強

点はあるが,腹膜刺激症状は軽度.WBC25700, CRP10.1,

BUN177.2, Cr12.5

追加のポイント

・数日から2週間程度の比較的長い期間のhistoryがある.

・背側の閉鎖腔に膿瘍形成しているので,症状はそれほど強くない.

・WBC 20000, CRP 30など高値を示す.DMがあれば血糖コントロール

がつきにくくなっている.

(4)

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盲腸

膿瘍

膿瘍

腎筋膜を破って

後腹膜腔に炎症が波及

症例2:急性虫垂炎(腹腔内膿瘍)

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回腸

膿瘍腔

すでに融解してしまった

虫垂の根部

虫垂間膜

症例2:急性虫垂炎(腹腔内膿瘍)

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急性虫垂炎と鑑別を要する疾患

A)炎症性腸疾患:結腸憩室炎,Meckel憩室炎,

感染性腸炎,エルシニア腸炎,Crohn病

B)他の腸疾患:腸重積症,移動性盲腸,結腸癌,

悪性リンパ腫

C)婦人科疾患:卵巣嚢胞内出血,卵巣腫瘍茎捻

転,子宮外妊娠,子宮付属器炎,骨盤腹膜炎

(Fitz-Hugh-Curtis症候群)

D)その他:腸間膜リンパ節炎,大網蜂窩織炎,尿

路感染症

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症例3:憩室炎穿孔例

• 72歳男性.10日前より右下腹部痛あったが

放置.腰痛も強くなったため受診.38.6度.

WBC 17200, CRP 31.8

圧痛(+)

腹膜刺激症状は強くない

追加のポイント

虫垂炎に比べて圧痛点が,

・憩室炎ではやや上より

・骨盤炎ではやや下より

であることが多い.

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上行結腸

結腸背側の膿瘍腔

炎症は腎筋膜の背側にも波及している

症例3:憩室炎穿孔例

症例3:憩室炎穿孔例

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穿孔部

憩室炎による発赤

内腔側

漿膜側

膿瘍形成部

虫垂

(5)

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憩室炎穿孔:他症例

腸間膜側の憩室が穿通したため,便が腸

間膜内に貯留.一部は腹腔内に流出.

穿孔部

内腔側

漿膜側

S状結腸

症例3:憩室炎穿孔例

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症例4: 骨盤腹膜炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)

• 29歳女性.昨日からの右下腹部痛と38度の発熱.腹痛は増

強して腹部全体に,Blumberg徴候陽性.筋性防御+/-くらい.

WBC17800, CRP12.8

下腹部が最も強いが

上腹部を含めて

腹部全体に圧痛(+)

Blumberg徴候(+)

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骨盤腔を中心に肝周囲にも少量

だが腹水がみられる

症例4:骨盤腹膜炎 Fitz-Hugh-Curtis syn

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右横隔膜下の膿性腹水

Liver

Appendix

Douglas窩の膿性腹水(多量)

虫垂は反応性炎症のみ

症例4:骨盤腹膜炎 Fitz-Hugh-Curtis syn

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• 骨盤内感染性疾患(PID)とは,子宮付属器炎,骨盤腹膜炎,子宮

内感染,子宮傍組織炎及び骨盤死腔炎を包括した総称である.

• 感染経路は膣,子宮頚管からの上行性感染がほとんどである.

起炎菌は好気性,嫌気性細菌による複数菌感染が多く,近年で

はChlamydia trachomatisによるものが増加している.

骨盤腹膜炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)

または,

骨盤内感染性疾患(Pelvic Inflammatory Disease;PID)

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(6)

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腸閉塞

• 癒着性腸閉塞と癌性腹膜炎が最も多い.

• 手術既往がない腸閉塞の場合には,以下のような

可能性がある.

– 腫瘍による閉塞

– 索状物による腸閉塞

– ヘルニア嵌頓

– 腸捻転(S状結腸軸捻転,腸回転異常症),腸重積

– その他:腹腔内の慢性炎症による癒着,外傷性など

• 腹膜刺激症状や炎症所見がある場合は,すでに腸

管壊死がおこりつつある状態の可能性があるため

要注意.

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症例5:腸閉塞(癒着性)

• 72歳男性.2年2ヶ月前に腹腔鏡下ヘルニア根治手術を受け,

術後腸閉塞のためイレウス解除術を受けている.その後も

何度かイレウス症状をおこし,保存的治療で改善していた.

再び腹部膨満,嘔吐にて緊急入院となった.イレウス管挿入

し保存的治療を約1ヶ月行ったが改善しなかった.

腹部膨満

腸雑音は亢進して不規則

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

イレウス管のバルーン

狭窄部のひとつ

正中創に癒着した腸管の癒着剥離術を行った.

鏡面像

症例5:腸閉塞(癒着性)

ていねいに触診すれば、イレウスの原因部位に

圧痛点がみられることがあります。

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症例6:腸閉塞(大腸癌による閉塞)

• 57歳男性.3ヶ月前より腹部膨満感出現.6日

前より,排便がなくなり腹部膨満が強くなった

ため,近医受診.鏡面像認め,同日当院紹介.

翌日,CF下に経肛門的イレウス管挿入.

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多数のNiveau

下行結腸癌

経肛門的に挿入されたイレウス管

下行結腸癌による狭窄部

症例6:腸閉塞(大腸癌による閉塞)

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拡張した口側の結腸

拡張していない肛門側の結腸

3型結腸癌による狭窄

(7)

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

症例7:腸閉塞(索状物)

• 53歳男性.手術既往歴なし.昨日朝より心窩

部痛出現.次第に腹痛は強くなり,腹部膨満

も増強.3度嘔吐.本日,昼前に受診.WBC

7200, CRP 0.2, CK 771.

追加のポイント

・腹部膨満が強いのに,炎症所見はほとんどない.CKも正常なことが多い.もしも,

炎症所見が陽性でCKが高値であれば,腸管壊死の可能性があるので,敗血症性

ショックになる前に早期の処置が必要.

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小腸の著明な拡張

結腸ガスはすでにほとんどない

臥位

立位

鏡面像

症例7:腸閉塞(索状物)

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

大網の癒着による索状物

絞扼されていた腸管(切除せず)

症例7:腸閉塞(索状物)

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

症例8:腸閉塞(S状結腸軸捻転)

• 69歳男性.既往歴にパーキンソン病.4/1にS状

結腸軸捻転に対して外来でCFによる整復術を受

けた.6/1より再び腹部膨満.軸捻転の再発であっ

た.整復して経肛門的にイレウス管を挿入したが

捻転を繰り返すため,切除目的紹介.

腹部膨満

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

Coffee bean

4/1

仰臥位

立位

CFによる整復

症例8:腸閉塞(S状結腸軸捻転)

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

6/1再発

(8)

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拡張したS状結腸を56 cm切除した.

症例8:腸閉塞(S状結腸軸捻転)

拡張したS状結腸

正常な下行結腸

結腸を脱転したところ

頭側

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症例9:腸閉塞(閉鎖孔ヘルニア嵌頓)

• 81歳女性.大腿骨骨折のため近医でリハビリ中で

あった.3日前より腹痛,嘔吐が出現.腹単で

niveau(+).昨日より腹痛増強し嘔吐もみられたた

め紹介入院.WBC 8800, CRP 1.6 CK 27

腹痛

圧痛なし

Blumberg徴候陰性

腸雑音は聴取可能

金属音なし

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症例9:腸閉塞(閉鎖孔ヘルニア嵌頓)

仰臥位

右下側臥位

小腸の拡張

鏡面像

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閉鎖孔に

嵌頓した腸管

大腿の血管

拡張した小腸

症例9:腸閉塞(閉鎖孔ヘルニア嵌頓)

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ヘルニア嵌頓部

拡張した口側の小腸

嵌頓部のみ切除した

症例9:腸閉塞(閉鎖孔ヘルニア嵌頓)

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(9)

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上腸間膜動脈閉塞症

• 初期は症状が軽いため,この疾患を疑わなければ診断が難

しい.

• 腹膜刺激症状は少ないが,お腹の中央付近に鈍重な腹痛が

あって,何となく軽症ではない印象をうける.

• 血液検査は進行しないと異常値にならない

• 単純レントゲンでは腸管麻痺のような拡張像.造影CTでは

SMAを末梢までていねいに追っていけば,その造影欠損に

よって診断がつくことがある.また,SMV<SMAとなっている.

• 初期であればinterventional therapyで治療可能であるが,

遅れると広範囲腸切除が必要となり,予後も不良となる.

• 既往歴が参考になることもある.心房細動,脳梗塞,DM,避

妊薬の使用等

• 原因に塞栓症と血栓症がある

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症例10:上腸間膜動脈閉塞症(生存例)

• 62歳男性.昨日20:00より急に腹痛出現.21:00近

医受診.症状改善せず,CTにて上行結腸穿孔が

疑われて本日3:30紹介受診.WBC 33000, CRP

0.1, CK 439

腹痛あり

腸雑音は減弱

圧痛

追加のポイント

・通常は穿孔がないの

でBlumberg徴候陰性

・臍付近を中心に鈍い

腹痛.わずかに圧痛

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・こんな感じで,比較的

広範囲の小腸拡張が

みられる.症状が弱い

けれど,腹単では腸管

が麻痺性のように拡張

しているような印象

・本例は上行結腸が穿

孔しているため,右腹

部に小腸ガスが少ない

症例10:SMA閉閉塞症(生存例)

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・上行結腸には大網が癒着してカ

バーされていた.

・空回腸;切除270cm, 温存110cm

結腸;横行結腸まで切除

・術後は普通食と下痢止めでコント

ロール可能

症例10:SMA閉塞症(生存例)

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上腸間膜動脈閉塞症:症例2(死亡例)

• 67歳男性.既往歴にSSSにてペースメーカー挿入.

現在は脳梗塞にて老健施設に入所中.昨日夕方に

コーヒー残渣様吐物を数回嘔吐.今朝よりショック

状態となり当院へ搬送.血圧70程度.WBC 16600,

CRP 14.4, CK 1151

腹部膨満

筋性防御(+)

腸雑音消失

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門脈ガス血症(予後不良)

すでに著明に拡張した腸管

(10)

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十二指腸から直腸までの広範な壊死

腸管は切除せず閉腹した.

9時間後死亡された

症例11:SMA閉塞症(死亡例)

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SMA閉塞症でいくらか役立つ画像診断

1)造影CT(ヘリカルなら更に有用):

SMAの造影欠損ー末梢部でわかることもある

2)単純CT:SMV smaller sign(還流してくる血液量

の減少によりSMVがSMAより小さくなることがある)

2)血管造影:診断と治療を兼ねる

再開通したが狭窄が

少し残っている

4)Doppler US:腸管拡張があるため観察困難例

も多いが,SMA根部が広く同定できればSMA閉塞症

を否定できる.

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

消化管穿孔

Dep. of Surgery., Kagawa Pref. Central. Hp

消化管穿孔での注意

• 上部消化管穿孔は待てるが,下部消化管穿孔は

Golden Time(6時間)を過ぎると予後不良となる.

• 下部消化管穿孔の予後不良因子は,術前に,ショック・

敗血症・長時間の経過が存在する症例.

• 逆に下部消化管穿孔でも,腹膜炎が限局している場合

(後腹膜側や腸間膜側への穿孔,腹腔内癒着が高度)

や,前処置後のCFによる医原性穿孔の予後は悪くな

い.

• 下部消化管ほどではないが,胆汁性腹膜炎も早く手術

かドレナージをした方がよい.

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症例12:十二指腸潰瘍穿孔

• 62歳,女性.2日前より腹痛にて近医に入院.次第

に増強し,腹水も認められるため当院紹介.WBC

5400, CRP 40.8

上腹部を中心に圧痛

特に強いところ

Blumberg徴候陽性

筋性防御なし

(11)

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十二指腸壁の肥厚

Morisson窩から右側腹部のeffusion

Free Air

両側横隔膜下のeffusion

Free Air

症例12:DU穿孔

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十二指腸球部前壁の穿孔部

頭側

大網充填術施行

症例12:DU穿孔

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十二指腸潰瘍穿孔に対する保存的治療の適応

• 経過時間が短い:12時間以内くらい

• 腹部所見が限局:腹膜刺激症状は上腹部に限局.腹水は

500mlくらいまで

• 全身状態が良好:高齢者や基礎疾患合併例,状態不良例

は除外する

• 潰瘍の状態と十二指腸の変形:内視鏡:穿孔(5mm以内)や

潰瘍(2cm以内)が大きくなく,十二指腸の変形狭窄が少な

い.既往歴で潰瘍を繰り返している場合は手術を考慮する

治療法

・絶飲食,補液

・胃管挿入

・PPI,抗生剤

・厳重観察(症状,炎症所見,腹水量)

・急性期をすぎたらHP除菌も考慮せよ

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症例13:大腸癌による穿孔例

• 83歳男性.夕食後より腹痛を出現.次第に増強して,腹膜刺

激症状も存在.発症して約12時間後の開腹.既往歴に直腸

癌(ハルトマン手術),認知症.WBC 2200, CRP 2.0

ストーマ

圧痛

筋性防御

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Free Air

腹腔内に漏れ出た便

症例13:大腸癌穿孔

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上行結腸に

穿孔部

肝転移

狭窄

大腸癌の底部に直接穿孔す

ることの方が多いです.

症例13:大腸癌穿孔

大腸癌による狭窄があって,

その口側の腸管が穿孔していた

(12)

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症例14:胃潰瘍穿孔

• 66歳男性.強い腹痛あり救急車にて来院.GIFで胃潰

瘍を認めたが,Free Airないため抗潰瘍療法を施行.

3日後に腹痛増強.CTにてFree Air認め緊急手術.

上腹部全体に圧痛

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Free Air

Free Air

CTではFree Airは肝の腹側がわかりやすいですが,

深部にもみられることもあるので注意してください.

症例14:MU穿孔

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胃潰瘍穿孔はDUに比べて,

年長者に多く,

制酸剤が効きにくい症例もあります.

症例14:MU穿孔

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肝・胆・膵の炎症性疾患

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症例15:急性胆嚢炎

• 78歳女性.1週間前より右上腹部痛あり,内

服の抗生物質による治療を受けていた.改善

せず入院.WBC 13500, CRP 22.0

圧痛あり

Murphy徴候(+)

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右胸水

右横隔膜下

腹水

二重線

胆泥(膿性胆汁)

結石の一つ

症例15:急性胆嚢炎

(13)

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追加のポイント

・胆道系感染症では

抗生剤治療だけでなく,

治療的ドレナージの可能性も

考えましょう.

壊死によって薄くなった胆嚢壁

胆嚢内腔面

症例15:急性胆嚢炎

頭側

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症例16:肝膿瘍

• 37歳,男性.心窩部痛と39度の発熱出現.既往

歴・海外渡航歴などに特記事項なし.WBC 11400,

CRP 18.9

圧痛(+)

腸雑音は正常

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膿瘍

経皮的ドレナージと洗浄を行ったが,

改善せず手術となった.

症例16:肝膿瘍

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膿瘍腔

開窓術

大網充填術

膿瘍壁部分

充填した大網

症例16:肝膿瘍

頭側

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症例17:重症急性膵炎

• 46歳男性.朝より食欲不振,心窩部痛あり,

救急車で来院.既往歴には特記事項なし.

WBC 15800, CRP 0.2, AMY 730

圧痛(+)

筋性防御(+)

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来院時

5日後

仮性膵嚢胞

膵炎による壊死組織

膵腫脹

仮性嚢胞は発症後

2-3週間して出現することが多い

症例17:重症急性膵炎

(14)

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重症急性膵炎と外科的治療

• 急性期には積極的保存的治療:循環/呼吸/

体液の集中管理,蛋白分解酵素阻害剤(動

注),抗生剤,血液浄化療法

• 晩期(3週間程度してから)に,感染壊死巣が

あれば壊死物質除去(ネクロゼクトミー)と持続洗

浄を考慮する

• 仮性嚢胞の半数は4-6週間後に自然消失す

るが,残るようならドレナージやバイパス術を

考慮する.

症例17:重症急性膵炎

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1度みておくと役に立つ症例

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症例18:壊疽性筋膜炎(Fournier syn)

• 54歳男性.1週間前より肛門部痛あり.3日前より近

医で抗生剤投与を受けたが改善せず,下腹部に広

がる皮下気腫がみられるようになったため紹介受診.

既往歴に糖尿病(無治療).39.1度.WBC 39000,

CRP 27.8

発赤・圧痛

皮下気腫

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筋膜上に存在する皮下気腫

睾丸

陰嚢内の気腫

肛門周囲膿瘍部から広がっていく皮下気腫

症例18:壊疽性筋膜炎Fournier syn

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手術前

肛門周囲膿瘍

多分,ここが原発

皮下気腫

腫脹した睾丸

手術時

治癒時

・筋膜の表面に沿って,ガス産

生菌特有の悪臭を伴うガスと膿

汁が存在しました.

・ドレーンは23本挿入し,術後は

強酸性水による洗浄と強力な抗

菌療法を施行しました.

症例18:壊疽性筋膜炎Fournier syn

(15)

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症例19:腹腔動脈瘤破裂

• 53歳男性.3日前強い腹痛があり,腹部膨満が出

現.その後は膨満感は続いていたが,本日午後の

排便後に強い腹痛と一時的な意識消失が出現した

ため,救急車で来院.既往歴に高血圧.

WBC10300, Hb5.3

Soft and flat

圧痛あるが

腹膜刺激症状はごく軽度

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Free air (-)

盲嚢内の血腫

横隔膜下のeffusion

ショックのため緊急手術施行.

SMA根部近傍の動脈瘤破裂と診断した

症例19:腹腔動脈瘤破裂

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症例20:回盲部腫瘍による腸重積

• 71歳男性.5年以上前より右下腹部が時々

痛むことがあった.最近,強い右下腹部痛が

3回あったため来院.WBC 4000, CRP 0

現在は腹痛なし.

痛むときはこのあたりに腹痛出現

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症例21:回盲部腫瘍による腸重積

同心円状の

腸管と腫瘍

(Target sign)

重積

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症例20:回盲部腫瘍による腸重積

回腸脂肪腫

腹腔鏡下回盲部切除術施行

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症例21:腸回転異常症による腸捻転

• 15歳,男性.以前より腹痛が発症しては自然寛解し

ていた.昨夜より腹痛出現し小児科入院.腹痛が軽

減せず外科紹介.血液検査異常なし.

腹痛あり

圧痛(+/-)

Blumberg徴候陰性

腸雑音減弱

腹部膨満は軽度

小児外科の対象例では腸回転異

常症の大半が生後一ヶ月以内の

発症ですが,こうした軸捻転によ

る腸閉塞の形で,成人になり発

症する症例が時々あります.

(16)

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特徴的な

反時計回りの渦巻き

wheel pool sign

盲腸が上下転倒

症例21:腸回転異常症

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SMAを軸として小腸と右結腸がその軸に巻き付いている(前スライドのCTとは別症例)

症例21:腸回転異常症

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症例22:胃切除後の急性輸入脚閉塞症

• 61歳,女性.7ヶ月前に胃癌に対して胃全摘術,

Roux-en-Y再建術.(por1, se, n2).1ヶ月前より,

上腹部の膨満感と寛解を繰り返していた.1週間前

より再び腹痛出現.改善せず2日前より発熱も出現

して緊急入院.WBC 16000, CRP 4.4

腫瘤状に膨隆

圧痛あり

・本症例の発熱は胆嚢炎

・入院した日に緊急開腹術

を施行しました.

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著明に拡張した

十二指腸水平脚

胆嚢の腫大

十二指腸

(Y脚)断端

腸閉塞のような腹痛があるのに

Niveauはみられない.

症例22:急性輸入脚閉塞症

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Y脚狭窄部

拡張した胆嚢

著明に拡張した

Y脚断端

胃癌再発による

腹膜播種結節

小腸は拡張なし

腹膜播種高度

肝転移なし

バイパス手術

症例22:急性輸入脚閉塞症

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症例23:潰瘍性大腸炎/Toxic Megacolon

• 65歳男性.5月より近医にてUC治療開始.コント

ロール不良で,便回数増加し,腹部膨満も増強する

ため6月10日に当院紹介.絶食,ステロイド注,白

血球除去療法など行ったが効果なく,6月23日に腹

単で穿孔発見.WBC 5800, CRP 0.7

腹部膨満著明

圧痛あるが

筋性防御はない

(17)

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6/10

6/23

6/20

6/17

FREE AIR

拡張しつつある結腸

症例23:UC/Toxic Megacolon

症例23:UC/Toxic Megacolon

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緊急に大腸亜全摘術施行.術後,残った直腸にはステロイドを注腸.

広範な出血性潰瘍

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付録:腹部外傷

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注意して欲しいこと

• 他臓器損傷の可能性を常に考えてください

– 頭蓋内出血はありませんか?

• 多発外傷では頭部CTを撮影しておいた方がよろしい.

• 後日,慢性硬膜下血腫が発生する可能性もあります.

– 気胸はありませんか?

• 気胸患者に全麻で陽圧換気を行うと増悪します.

– 腹腔内に副損傷はありませんか?

• 腸間膜からの出血,腸管の小さい穿孔など.

– 四肢の小さい骨折を見落としていませんか?

• 例外を除くと多くのものは少し待てます.しかし,見落

とすと後日にトラブルとなります.

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症例24:外傷性脾損傷

12歳,女性.自転車走行中に1.5m下の側溝へ転落.貧血が進行するため緊急手術

脾損傷と

血性腹水

血性腹水

(18)

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症例24:脾損傷

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脾損傷分類(抜粋)

日本外傷学会

I型:被膜下損傷

II型:被膜損傷

III型:実質損傷

a.単純型

b.離断型

c.複雑型

d.粉砕型

IV型:脾門部血管損傷

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外傷性脾損傷の取り扱い

• 保存的治療可能症例が多いが,ショックにな

るような症例にはTAEまたは手術が必要に

なる.

• 肋骨骨折,気胸,他の腹部外傷など,合併

損傷に注意.

• 脾損傷単独の死亡例は少なく,ほとんどが

合併損傷による死亡.

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症例25:外傷性肝損傷

36歳,女性,自損の交通外傷.血圧80台,

血圧維持困難Hb 6.3, AST 617, ALT 500

門脈損傷を伴う肝損傷

血管縫合と肝縫合術施行

単純CT

造影CT

肝実質損傷部

造影剤の血管からの漏出

被膜下血腫

血性腹水

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半年後

3ヶ月後

1ヶ月後

症例25:外傷性肝損傷

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肝損傷分類(抜粋)

日本外傷学会

I型:被膜下損傷

a.被膜下血腫

b.中心性破裂

II型:表在性損傷

III型:深在性損傷

a.単純型

b. 複雑型

(19)

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外傷性肝損傷の取り扱い

• 保存的治療可能例が多いが,血圧維持困難

例やIII型損傷は緊急手術となる.

• 損傷や出血が大きい場合には,damage

control surgeryとして,止血目的のパッキン

グだけで終了して,二期的に肝切除術などを

行う場合もある.

• 術後にbillomaを形成すると難治性になること

がある.

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症例26:外傷性膵損傷1

66歳男性.飲酒運転中に自損事故

膵損傷

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十二指腸下行脚

膵の横断損傷

症例26:膵損傷1

頭側

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症例27:外傷性膵損傷2

(十二指腸損傷合併例)

十二指腸損傷部

膵損傷部

Free Air

受傷直後ははっきりせず,

48時間後に

膵頭十二指腸切除術施行

受傷48h後

43歳男性,自動車で電柱に

正面衝突

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十二指腸下行脚を横断して損傷

十二指腸に連続し,

膵を横断して損傷

症例27:膵損傷2(十二指腸損傷合併例)

十二指腸下行脚

損傷部

膵も水平方向に断裂

頭側

頭側

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膵損傷分類(抜粋)

日本外傷学会

I型:挫傷 contusion

II型:裂傷 laceration

III型:膵管損傷

a.膵体・尾部

b.膵頭部

(20)

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外傷性膵損傷の取り扱い

• 局所所見が少なく,画像診断(造影CTが有用)や血液

検査異常(アミラーゼが正常でも否定できない)でわかり

にくいことがある.従って早期の診断が難しいことが

多い.6-72時間で次第に悪化してくる.

• 主膵管の損傷の有無が診断できれば有用だが,

ERPは施行困難なことが多い.

• ハンドル損傷が多い.皮膚をよくみれば皮下血腫な

どの外傷がみられることもある.

• 膵液の漏出と出血.その後は膵仮性嚢胞,膿瘍形成,

敗血症など.合併症を含めると死亡率は50%と高い.

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症例28:外傷性小腸損傷(腸間膜損傷例)

血性腹水(++), free air(-)

限局性に拡張した腸管

腸間膜の出血

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症例28:外傷性小腸損傷

腸間膜損傷により,血管断裂がして血腫を

形成している.この血管の支配領域の腸

管は虚血になっている.

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小腸損傷分類(抜粋)

日本外傷学会

I型:非全層性損傷

a.漿膜・漿膜筋層裂傷

b.壁内血腫

II型:全層性損傷

a.穿孔

b.破裂

c.離断

III型:血行障害

a.全層性損傷を伴わない

b. 全層性損傷を伴う

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外傷性小腸損傷の取り扱い

• Free airがあれば開腹の判断がつきやすい

が,free airがない場合には可能性を考えて

診断していくことが必要.

• 細菌は少なく,ほぼ中性のpHなので,受傷

早期であれば腸内容が漏出しても最低限の

腹膜炎徴候にとどまる.

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がんばってください.

参照

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