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化学発光分析法による高分子の劣化評価

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Academic year: 2021

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化学発光分析法による高分子の劣化評価

キーワード:化学発光、高分子、劣化、ラジカル、ルミノール 概要

  高分子劣化の問題は製品の寿命、価格、

設計などに大きな影響を与えます。このよ うに工業的に重要度の高い高分子の劣化を、

今回ルミノール発光試薬を用いた分析法に より評価することができました。本方法は 従来法に比べ簡便かつ迅速に行えることが わかりました。

高分子の劣化

  高分子の劣化は図1に示されるように連 鎖的なラジカル生成に基づく、自動酸化反応 によって起こることが知られています。すな わち、いったんラジカルが生成されるとアル キルラジカル(R・)、ペルオキシラジカル(R O2・)、アルコキシラジカル(RO・)及びヒ ドロペルオキシド(ROOH)などの活性種 が徐々に増加し、劣化反応が促進されます。

この反応は高温では容易に進みますが、室温 のような温和な条件下でも様々な要因によ り起こることが知られています。また、劣化 速度は試料の安定性やその履歴に関係し、同 じ条件下でも大きな違いが生ずることもあ ります。このような劣化の原因となるラジカ ルは光、温度、湿度、熱履歴など様々な要因 により生成します。

一般的な高分子材料ではこのような自動 酸化反応の進行を防ぐためヒンダードフェ

ノール(BHT)などの安定剤を添加してい ます。また、紫外線によるラジカル生成を防 ぐため紫外線吸収剤などを加えています。

高分子劣化の評価方法

  従来、高分子の劣化評価には物性試験や化 学構造の測定などいろいろな手法が用いら れてきました。しかし、これらはかなりの労 力を必要とし、また目的に応じた的確な方法 を選択するために経験と技術を要します。

 一方、劣化を早期に発見することは、前述 の高分子の自動酸化反応を考えますと、非常 に重要です。しかし、劣化の初期段階(ラジ カルの生成)を的確に評価する方法はこれま でほとんど知られていませんでした。近年、

高性能の化学発光測定装置を用い、高分子中 のラジカルから放射される極微弱光を直接 測定すれば、劣化評価に応用が可能であると いう報告[1]がなされました。しかし、こ の装置は高性能の光電子増倍管を備え、さら に温度制御を必要とするなど複雑でかつ高 価なものです。

当研究所ではこのような従来法の欠点を 解決するため、ごく一般的なルミノール化学 発光を用いた高分子表面の活性種(ラジカ ル)測定を検討し、一定の成果を得ました。

この結果に基づき、化学発光分析法を高分子 劣化の評価に応用することを試みました。

高分子劣化の評価

  試験法の概要を図2に示します。このよう に、化学発光分析装置内部の試料室(暗室) におかれた高分子試料にルミノール溶液を 滴下し、そのときに放射される光を検出器で 検出します。実際の試験においてはルミノー ル溶液滴下後、すぐに高分子表面から光が放 射されます。発光量とラジカル量(劣化度合 い)との間には相関関係があるため、この光 の強度を測定することにより、高分子の劣化 度評価を行うことができます。また、測定時 間は数分で、従来の強度試験等に比べてかな り迅速に評価することができます。

実際の高分子に応用した例を図3に示し

(2)

ます。この図はポリエチレンペレットを熱間 圧延してフィルムを作製し、それを室温で放 置した場合の化学発光強度の変化を示した ものです。図からよくわかるように添加剤

(安定剤)を添加した一般のポリエチレン (UPPE S681)ではフィルム作製後から徐々に 発光量が増加しますがその割合はわずかで す。一方、安定剤を添加していない特殊なグ レードのポリエチレン(SHOLEX F5012M)では、

試料作製直後は一般グレードのものと、その 発光量には違いがありませんが、時間経過と ともに発光量が大幅に増加していることが わかります。しかし、この保存期間(20 日間) において、この2つのサンプルは両者とも外 見上変化がありませんでした。このように、

本方法では比較的容易に目では判断できな いような高分子劣化の初期段階(ラジカルの 生成)を評価することができます。さらに、

測定を長期にわたり行うことにより、高分子 の劣化を的確に捉えることが可能です。

用途

本方法は現在のところ装置の制約があり、

板状もしくは粉末状のものしか測定できま せんが、高分子(チップ、フィルムなど)、各 種保護被膜、塗料などの劣化度の評価に応用 が可能です。さらに、劣化促進試験と組み合 わせることによりポリマーの添加剤(安定 剤)などの評価も可能です。また、プラスチ ックに限らず繊維製品の光劣化などにも応

用できるものと思われます。

参考文献

[1] 大津善次郎,防錆管理,33,78(1989)

作成者   生産技術部 高分子表面加工グループ  中島陽一 Phone:0725‑51‑2582 発行日   平成10年7月31日

参照

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