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チタン開発50周年特集号発刊にあたって稲葉嘉昭

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Academic year: 2021

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日本におけるチタンの板,管,棒,線,鍛造品など展 伸材の年間生産量は,約 13 000 トンとステンレス鋼圧延 品の約 0.4%, アルミ圧延品の約 0.5% に過ぎませんが,

生産量の年平均伸び率は約 9% と先輩金属に劣りませ ん。

これは多くの諸先輩が困難といわれていたチタンの製 造技術,材料技術,利用技術,用途開拓に取組み,また その製品の販売に努力され,信頼される製品と新製品の 供給を続けられたことにより,国内外のチタン関連産業 と化学,エネルギ,航空機などの産業の発展に寄与され た成果であります。

金属の歴史において,チタンは銅の 6 000 年,鋼の 4 000 年にくらべて非常に短く,アルミの 100 年にくらべ ても約半分の 50 年余と短い歴史です。

当社がチタンの研究に着手してから,今年は 50 周年 になります。米国に近い当社の 50 年の歴史は,日本の チタンの歴史でもあります。この 50 年は失敗と成功の 連続であったと聞いていますが,成功を重ねながら,ま た失敗を引き継ぎながら,当社はつねに日本のチタンの リーディングカンパニとして材料技術,製造技術,利用 技術の開発と用途開拓に取組んできました。

当社のチタンに関する技術開発の様子は,過去 1971 年と 1982 年の R&D/神戸製鋼技報のチタン特集号に報 告されました。

1971 年の特集号では,「第 3 の金属」としてのチタン への期待に満ちた展望が語られ,化学工業用途の純チタ ンを中心とする加工技術,用途開発とともに,純チタン とチタン合金の特性が報告されました。

1982 年の特集号では,長年の努力が実現した発電所 の全チタン製復水器用と海水淡水化装置用薄肉チタン溶 接管および Ti-6Al-4V を中心とする航空機用チタン合金 の特性や加工法が報告されました。これらの報告は,今 でも多くの論文やパンフレットに引用される貴重な技術 資料となっています。

今回の特集号は,各需要分野に貢献した当社のチタン の 50 年を振り返るとともに,前回の特集号以降の 10 数 年の間に,より一層進んだ溶解技術,純チタンとチタン 合金の材料技術,製造技術および用途開拓の成果を報告 いたします。その中では,前 2 回の特集号で登場しなか った建材用途や民生品への用途拡大が特徴になっていま す。また開発のベースとなった Ti-15Mo-5Zr が 1 回目の 特集号に登場し,2 回目の特集号でその特性が報告され

た Ti-15Mo-5Zr-3Al が,耐食性高強度材料としてではな くゴルフクラブ用材料として花開き,今回,民生用途で 紹介されるのも多くの特徴を持つチタンならではの使わ れかたといえるでしょう。

従来,チタンは反応容器・熱交換器・配管・各種電極 として化学工業に,火力・原子力発電所の復水器・蒸気 タービンブレードや海水淡水化装置の伝熱管などとして エネルギ産業に,また航空機の機体・ジェットエンジン やロケット部品として航空宇宙産業にと,かなり限られ た産業分野の比較的少品目で,中または大量の用途に使 用されていました。

ここ 10 年あまりの間に,チタンの用途はめがね・時 計などの日用品,屋根・壁・モニュメントなどの建築分 野,ゴルフクラブを初めとするスポーツ用品,釣り具・

バイクマフラ・自転車フレームなどのレジャ用品,人工 骨・車椅子などの医療・福祉分野にと幅広く展開されま した。

近い将来,自動車,エレクトロニクス・家庭電化製品,

舶用品が,チタンの大きな需要分野に成長すると予想さ れており,当社も用途開拓に必要な材料と利用技術の開 発に取り組んでいます。

チタンがさらに広く,多く利用されるようになるには,

展伸材のコストダウンが必須となります。当社では,1959 年高砂工場に本格的なチタン溶解工場を建設したときか ら,合理的なスクラップリサイクル技術を実行しており ますが,今後はより簡潔なスクラップリサイクルが必要 であり,現在新溶解法の開発にも取組んでいます。

さらに,チタンの酸化特性や加工特性から必要となっ ている多くの加工工程を省略したり,歩留りを上げる技 術の開発が必要となります。

チタンはこれまでに与えられた 夢の金属 , 宇宙時 代の金属 , 第三の金属 というキャッチフレーズをそ れぞれ着実に実現しながら, 21 世紀の金属 になろう としています。当社のチタンの発展にご協力いただいた 多くのユーザと流通関係者をはじめ,通商産業省や大学

・国立研究機関,および,チタン業界団体の社団法人日 本チタン協会などのご協力のお陰であると考えます。改 めて紙上からお礼申しあげる次第です。

今後とも当社のチタン製品をご愛顧いただくととも に,より良き製品を作るためのご指導をお願いいたしま す。

■チタン開発 50 周年特集 FEATURE : The 50th Anniversary of Titanium Development

チタン開発 50 周年特集号発刊にあたって

稲葉嘉昭

常務執行役員・鉄鋼カンパニー(鋳鍛鋼事業部・チタン本部・鉄粉本部担当)

New Trend on Titanium Development in Kobe Steel

Yoshiaki Inaba

神戸製鋼技報/Vol. 49 No. 3(Dec. 1999) 1

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