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小児の心室性頻拍症の臨床的検討

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(1)

日本小児循環器学会雑誌 2巻3号 321〜328頁(1987年)

小児の心室性頻拍症の臨床的検討

(昭和59年12月1日受付)

(昭和62年1月14日受理)

松島 正気1 兼子 哲一3

1.社会保険中京病院小児循環器科 2.名古屋大学小児科

3.藤田学園保健衛生大学小児科 4.同 医用電子

長嶋 正実2 小川 昭正1 奥村 直哉1 大須賀明子3 矢崎 雄彦3 岡島 光治4

key wards:心室性頻拍症,ホルター心電図,

     心室性頻拍症

トレッドミル運動負荷試験,運動誘発性心室頻拍症,持続性

       要旨

 小児の心室性頻拍症32例の臨床的検討を行った.年齢は平均8.4歳で0日から15歳までであった.5例 は基礎心疾患をもち他は 特発性 であった.VTの発見率はホルター心電図,トレッドミル試験で高かっ

た.VTの波型はLBBB型が21例, RBBB型が6例,多源性が5例であった. Prematurity indexと

Vulnerability indexで危険範囲のものはなかった.症状のあるものは6例で失神,心不全,動悸であっ

た.そのうち運動誘発性のものが3例,持続性のもの2例,反復性1例であった.運動誘発性のものは RBBB型で1例はARVDであった.持続性のものはLBBB型, LADを示した.両者特徴的な,発生頻 度,連発数発生様式を示した.VT拍数は150/分以上が問題であった.

 抗不整脈剤は20例に投与し平均27.4ヵ月経過観察した.症状をもつ2例が死亡,VT消失5例,減少6

例,不変19例であった.

 失神や心不全症状を呈するVTや無症状でも運動誘発生や持続性のVTは注意して治療・管理すべき

である.その他の 特発性 のVTは一般に予後良好と思われた.

      緒  言

 心室性頻拍症(以下VTとする)は心室細動から突 然死に至る可能性をもつ危険な不整脈である.特に成 人の領域では,虚血性心疾患や心筋症などを基礎疾患

として持つことが多く,迅速な診断・治療が必要であ るとされている1)一 3).最近,小児科領域でも学校検診な どで心電図をとる機会が増え,またホルター心電図や

トレッドミル運動負荷試験(以下トレッドミル試験と する)が施行されることが多くなり,VTが発見される

頻度が高くなってきている4)一一一13).

 我々は32例のVTを経験し,その臨床的検討を行っ たので報告する.

別刷請求先:(〒457)名古屋市南区三条町1−23      社会保険中京病院小児循環器科        松島 正気

        対象および方法

 3連発以上の心室性期外収縮(以下VPCとする)を VTとし,安静12誘導心電図,ホルター心電図,トレッ

ドミル試験のいずれかの検査で見た32例を対象とし

た.

 出生当日から15歳までで平均8.4±4.4歳であった.

男児13例,女児19例であった.基礎心疾患をもつもの は5例で,心室中隔欠損,心室中隔欠損兼肺動脈狭窄,

ファロー四徴,僧帽弁閉鎖不全手術後,Arrhyth−

mogenic Right Ventricular Dysplasia(以下ARVD とする)の各々1例であった(表1).

 安静12誘導心電図は32例全例に,ホルター心電図は 31例,トレッドミル試験は18例に施行した.ホルター 心電図はフクダ製記録器SM−24と解折器SCM−240,

またはAvionics社製記録器Mode14458と解折器

(2)

表 1

症状を訴える症例

男児 13例  女児 19例 8.4±4.4歳

      6例

(失神 3例,心不全症状 2例,動悸 1例)

検査,VT発見率

治 療

ECG

HOLTER ECG Treadmill試験 Proplanolol Carteolol Verapamil 併用

9/32 (28.1%)

26/31 (83.9%)

15/18 (83.3%)

5例 10例 2例 3例 転帰(経過観察期間 27.4±21.3ヵ月)

VT波形

死亡

VT消失 VT減少

不変

LBBB型 RBBB型

多源性

2例 5例 6例 19例

21例 6例 5例

Model 9500を使用した.記録はCM5,CM、の2誘導ま

たはCM5の1誘導で行った.トレッドミル試験は

Avionics社製Model D−10BあるいはQvinton社製 Model 18−54を使用し, Bruceのprotocolに従って 行った.記録はCM5,CM、の2誘導またはCM5の1誘 導で行い,負荷前,負荷中,負荷終了後10分の全時間 心電図を記録し,30秒毎に心拍数を測定し,1分毎に 血圧を測定した.

 32例の臨床経過を検討するとともに,VTの発生様 式,1日のVTの発生回数, VTの連発数,最大連発 のVTの各種計測(VTの拍数, VT直前の洞調律の拍 数,VTの連結期,先行洞調律のQT時間)を行い検討

した.VTの発生様式は矢永らの基準に準じて行っ た14).ホルター心電図と同時に記録した行動表により,

覚醒時と睡眠時に分け,それぞれの時間あたりのVT 回数を算出し,VT回数が覚醒時に全体の70%以上を 占めるものを昼型,睡眠時に70%以上のものを夜型,

いずれにも属さないものを混合型とした.

 VTの特殊型として,30秒以上VTが続いたものを 持続性VT,運動負荷中にVTが新らたに発生したり,

最大負荷まで消失しないものを運動誘発性VT,30秒 以上は続かず,多くは3〜10連発で間に1〜2発の洞 収縮を伴うVTを繰り返すものを反復性・非持続性 VTとした.

6  5  4  ︵﹂  2  1  0

ψ

Z

山︼↑<江﹂O︐OZ

辺MALE口FEMALE 一 一

一 珍 萎

1

l     I

0 6M IY 2 3 4 5

67B910111213141516 AGE

図 1

      結  果  ①年齢分布

 1ヵ月未満例が2例あり,その他7歳をピークに3 歳から15歳まで広く分布した(図1).1ヵ月未満例は 出生当日に見られた基礎疾患のないものと,出生19日 で見られたファロー四徴症例で,前者は自然に,後者

はpropranolol投与により数日の経過でVTは消失

した.

 ②各種検査による発見率

 VT発見のきっかけは,検診がきっかけだったもの が16例,症状の検索中が6例,診察中に偶然発見され たもの5例,他の基礎心疾患の検索中が5例であった.

 安静12誘導心電図でVTが記録されたものは9例

で28.1%の発見率であった(表1).その他頻発性VPC

(3分間記録中5−6発以上)が15例,VPCの2連発が 5例であった.ホルター心電図は31例で施行し26例

(83.9%)にVTが試録された.トレッドミル試験は18 例に行い15例(83.3%)にVTが記録された,負荷中 に誘発されたものは3例で,その他は負荷直後に見ら れたものが多かった.

 ホルター心電図とトレッドミル試験の両検査とも施 行した18例中,両者にてVTが記録されたもの12例,

ホルター心電図でのみ記録されたものが3例,トレッ ドミル試験でのみ記録されたものが3例であった.

③心電図所見

 VTのQRS波型はLBBB型が21例, RBBB型が6

例,多源性が5例であった.多源性VT例中2種類の

LBBB型を示した1例以外はLBBB型とRBBB型

の2源性であった.

 Prematurity index(RR /QT)は1.42±0.24でLO 以下のRon Tを示すものはなかった(図2a). Vul−

nerability index(RR・QT/RR )は0.45±0.17で心室 細動に移行しやすいとされるL4以上のものはなかっ た(図2b).症状のある症例で両index上特徴的なも のは見られなかった.

(3)

昭和62年5月1日 323−(69)

表 2

名 前 年齢 症状 VT波型

VT型

治  療 経過観察期間 転 帰

1.吉○ 8歳 失 神

LBBB

運動誘発性 (一) 4ヵ月 死 亡

2.阿○波 8歳

失 神

LBBB

運動誘発性 Carteolol 4年 VT減少

3,佐○ 11歳 失 神

LBBB

運動誘発性 Carteolol 5年 VT減少

RBBB

Disopyramide

4.黒○ 11歳 心不全

RBBB

持 続 性 Propranolo1 7ヵ月 死 亡

L−AD Disopyramide Procainamide

5.伊○ 6歳 心不全

RBBB

持 続 性 Propranolo1 2.5年 VT消失

L・AD Procainamide

6.加○ 10歳 動 悸

LBBB

反 復 性 (一) 6ヵ月 不 変

9  只V7  6  5  ム﹁ ︵づ  2  1

Z

山︼ト&﹂O.OZ

目symptomatic    patlents

ロコ

09 10  11 t2 1.3 14 15 16 17 1.8 19 20 21

 PREMATURITY INDEX(RRソQT)

      図2a

10

9  87  6  5  4  3  2  1

ψ

Z

U一↑<江﹂O.OZ

01 0.2 03 0.405 06 07 0.8 09 1.0 11

VULNERABILITY INDEX        (RRxQT/RR

    図2b

④症状

 症状を認めた症例は比較的少なく32例中6例であ り,他はVT時にも全く無症状であった.この症状を 認めた6例は治療や予後上最も問題になったものであ る(表2).年齢は6歳から11歳で,失神を繰り返すも の3例,心不全症状を呈したもの2例,動悸を訴えた もの1例であった.症例1から3はいずれも運動誘発

性のもので主にLBBB型であった(症例3のみ

RBBB型も伴っていた).症例3は心腔内心電図にて delayed potentialを認め,右室造影にて右室前壁に hypokineticな部分がありARVDと診断した.これら のうち初期の例である症例1は学校で走行中突然死 し,症例2・3はVTは減少しコントロールされてい

る.

 症例4・5は持続性VTで人為的な治療をしなけれ

ぽ止まらないものであった.両例ともRBBB型で

LADを呈していた.症例4は治療中,心室細動をおこ

し失った.

 症例6は反復性VTでLBBB型であった.心不全

はなく経過観察期間中無治療で,状態不変であった.

 この他に運動誘発性と思われるものは2例,反復性 のものは4例あったが,全例無症状で突然死したもの もなかった.

 ⑤発生頻度と発生様式

 1日のVTの発生頻度やVTの最大連発数をみる

と,発生頻度が少なく1日に25回以下で連発数も3

4連発でも,運動誘発性のものでは重大な症状があ り,1日に250回以上発生しても多くが3〜10連発で間 に洞収縮を混ずる反復性のものには症状がみられな かった(図3,4).

 VTの拍数は110前後と150前後に多い2峰性で,症 状のあるものは150以上で比較的頻脈のものであった

(図5).

 先行洞調律の心拍数は100前後と150前後に多く見ら れたが,運動誘発性のものは140以上の心拍数であった

(図6).

 発生様式と発生頻度との関係をみると1日に250回 以上の持続性のものと反復性のものは混合型が多く,

それ以外では昼型が多かった(図7).ホルター心電図 を2回以上記録したものは28例であるが,1例が夜型 から全日型と変わった以外は同型であり再現性は高

(4)

9  ΩU7  ︵◎  5  ム﹁ 3  2  1

Z

巴ト庄﹂O.OZ

8

7  声◎  5  ム﹁ 3  2  1

Z

巴↑<江﹂O.OZ

7

6  5  4  ︵﹂  ︵∠  −

Z

﹈一↑<ユLO.OZ

図sympt・matic

      ■      一      ﹁      一      .      一

z

patlents

0    1−25  26−TOO 101−250 251一

NO. OF EPISODES OF VT lN 24−HOUR HOLTER MONITERING     図 3

●       ●

z

田sympt。rnatic    patients

3  4−5 6−9 10−50 51一 NO. OF BEATS IN THE LONGEST RUN OF VT

    図 4

目symptomatic

    patients

100 110 120130140 150160170180190200210 RATE OF VT(Beats min)

     図 5

かった.

 ⑥治療と転帰

 治療はpropranololを5例, carteololを10例, ver−

apamilを2例に使用し,その他の3例に複数種類の抗 不整脈剤を使用した(表1).

 平均27、4±21,3カ月間経過観察をした.転帰は死亡 2例,VT消失5例, VT減少6例,不変19例であった.

7

  5  ムプ 3  2  1

Z

山一ト臣﹂OdZ

50 60 70 80  90 100 110 120 130 140150160

HEART RATE BEFORE VT

     図 6

M

S P OF O N

6 7 5 4 2 3 0 1

    2    2    一5  50

    ロ      ェ

ー  5  50        2      2

Z

ρ

O

m

逗ψOOmψO市く↓

Z

O

巳﹇刀=OZコm刀一ZO

7

VT消失5例は自然消失1例, carteolol使用2例,

propranolol 1例, procainamideとpropranolo1併用 1例であった.

 ⑦死亡例の検討

 表2で示した6例中,症例1・4が死亡しており,

経過と心電図を呈示する(図8).

 a)症例1.8歳女児・半年前より,3回運動中失神 発作あり, てんかん 疑いとして抗癌李剤が投与され ていた.心拡大なく,安静時心電図も肥大所見やQT 延長,不整脈などみられなかった,運動中の発作であ るため,テープ心電計をつけ,マスター負荷試験を施 行した.開始後2分30秒で胸部不快感を訴え中止した.

テープ心電図を分析すると運動中1分よりVPC, VT が出現し,直後にも3〜5連発のVTがみられた(図 8a).ホルター心電図,等の検査の計画をし運動制限 の指示をした.1週間後,学校での休み時間走行中倒 れ,救急車で運ぼれたが死亡した.

 b)症例4.11歳男児.5ヵ月前他院での外来で偶然 頻脈に気付かれ心電図にてVTと診断され入院した.

治療抵抗性のため当院へ転院した.拍数140〜150の持

続性VTでQRS波形はRBBB型, LADであった(図

8b).胸X−Pで軽度心拡大,心エコーで左室腔の拡大 と収縮力の低下を認めた.carteolol, disopyramideを 使用し,一時的な洞調律やVTも拍数120〜130と減少

(5)

昭和62年5月1日

a)症例1

 マスター負荷直後

b)症例4

騨 麟

襯 牌馴淵

1    11

III

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VV 5 6 〈 ㎜ 酬牌・図

し,心拡大も軽快してきた.転院1ヵ月後,再びVT拍 数は150〜160となり,腹部不快感や腰痛を訴えたし警 戒中,突然心室細動をおこした.蘇生し,procainamide を加えたが,転院2ヵ月後,突然再度心室細動をおこ

し死亡した.

 症例1,4とも剖検はできなかった.

      考  案

 一般にVTは心室性期外収縮が3拍以上連続した

ものをいう.心電図上,幅広いQRS波と変形したST−

T波をもつほぼ規則的な頻拍で,先行するP波はな く,房室解離が認められ,ときに心室捕捉や融合収縮

をみるものである1)2).

 心拍数は成人では100〜250/分の値をとるとされて いるが小児では定説はない.Garsonは120/分以上と 報告しているが,今回我々は100/分以上の症例とし

た4).

 VTの原因は成人では虚血性心疾患が最も多く,次 いで弁膜症,高血圧性心疾患,心筋症,心筋炎などに みられる2).Lownらは虚血性心疾患を背景にした心室 性不整脈を5段階に分類した.そのうち3段階以上の

325−(71)

もの即ち多源性VPC,2連発VPCあるいは3連発以

上のVT, R on Tを示すVPCを危険なものとして治 療すべきであると述べている3}.

 小児でのVTは従来はまれなものとされていたが,

近年小児の不整脈への関心が高まり,またホルター心 電図やトレッドミル試験が日常的に施行されるように なり,その報告例が多くなってきている5ト13).

 諸報告では基礎疾患の有無がVTの予後を規定し ているというものが多い.

 Rocchiniらは38例のVT例を報告し,21例は基礎心 疾患(僧帽弁逸脱,心筋症,心筋炎,QT延長症候群,

ファロー四徴術後,大動脈狭窄・閉鎖不全など)があ り,うち17例に失神などの重大な症状を認めたとして いる11).また17例は基礎心疾患を認めず,症状のあるも のも少なかったとしている.

 Radfordらは8例中6例に, Pedersonらは18例中 12例に同様の基礎心疾患をもち,それらの心疾患の有 無がVTの予後を左右すると報告している6)7).

 Garsonも小児のVTをnormal heartとabnormal

heartに分けabnormal heartには上記の心疾患の他 洞不全症候群,完全房室ブロック,心臓腫瘍,ARVD などがあり致死的なVTになる可能性があるとして

いる12).

 我々の基礎心疾患をもつ5例のうちARVDの1例

以外は,心不全や強い低酸素症があった症例ではなく,

VTと直接関係があるとは考えられず,また4例とも 自覚および他覚症状はみられなかった.

 小児ではこの他に基礎心疾患のみられない 特発性 というべきVTが多く発見されるようになってきた.

この 特発性 のVTの予後や治療が重大な関心を集 めている.

 Bergdahlらは自験5例も含め過去の文献例71例を まとめ,死亡は4例だけで少なかったとしている9).

Pedersonらは 特発性 が明らかならば,治療の有無 にかかわらず予後良好といい7),GarsonらもVT 27例 中15例が不整脈以外正常心で,平均5年の経過で死亡 例なく寛解3例を含め予後良好としている2}.

 しかしHernandezらの 特発性 例7例中3例に矢 神がみられるという報告や,柴田らの同様の9例中2 例に緊急治療を要した報告からすると,予後が楽観で

きないものも含まれている可能性がある5)8).

 我々の32例中5例が重大な症状があり,うち2例が 死亡している. 特発性 例の大部分の症例は予後良好 であるが,なかに重大な症状を呈し,致死的となる可

(6)

能性をもつものがあることを示している.

 症状のあった5例中3例のQRS波形はLBBB型 でしかも運動誘発性であり,2例はRBBB型かつ

LADで持続性のものであった.このそれぞれ特徴ある

波形を持つ2つの型のVTには充分注意を払う必要

があると思われる.Victoriaらの 特発性 VT 7例

の中でもLBBB型とRBBB型かつLADの波型が多

いことが報告されている11).

  特発性 と思われるVTのもう1つの問題は,精 査により新らたに基礎心疾患が判明することがあり得 ることである.難治性VTの手術中に心臓腫瘍が発見 された症例13),心筋生検により心筋症所見が認められ た報告1),心腔内心電図や心血管造影によりARVDが 発見された報告などがある16).我々の症状をもつ症例 中症例3は失神を伴なうVT発作を繰り返し,断層心 エコー図で右室前壁の僅かな壁運動異常を疑い,心腔 内心電図と右室造影にてARVDと診断したものであ る.基礎心疾患が全くないという診断には慎重さが必

要である.特にLBBB型波形のものにはARVDも念

頭に置いて精査すべきものと思われた.

 症例6はときにVPCが30連発となり,その際動悸 を訴えた例であるが,多くは5〜9連発の間に洞調律 を挾み心不全症状のないものであった.この例のよう な反復性・非持続性のものの予後は比較的良いように 思われた.

 VTの各パラメーターを症状のある症例を中心にみ た.VTの拍数は従来からの報告と同様に150/分以上 のものであった.運動誘発性のものは先行洞調律140/

分以上で発生し,1日の発生回数や連発数は少なく昼 型で,運動とともにVT拍数は増加し,運動中に症状 を訴えている.持続性のものや反復性のものの先行洞 調律は測定できるものは100以下と少なく,1日の発生 回数や連発数は多く,混合型が多かった.

 従来から成人に於て危険因子とされている

Prematurity index, Vulnerability indexは全例危険 といわれる値をとっていなかった17)18).症状のある症 例でも特徴的な所見は見られず,予後をあらわすもの

とは思われなかった.

 治療に関しては必要に応じてVTの原因機序を解 明しつつ,それに適する抗不整脈剤を投与すべきであ

る.一般には急性期で症状のある場合はVaughan

WilliamsのクラスIB lidocaineを中心としたものを

まず使用する.無効の場合や慢性期の治療・予防には クラスIAのprocainamide, disopyramide, quinidine

を使用する.また運動誘発性VTなどカテコールアミ ンが関与している可能性のあるVTにはクラスIIの propranolol, carteololが効果がある.クラスIVの

verapamilなどCa拮抗剤が有効なVTは発生機序と

してtriggered activityが疑われる19)20).

 我々は,今までβ・blockerを中心に投与してきたが,

今後VTの発生機序を考慮しつつ他の薬剤も使用し ていくつもりである.

 治療対象としては,原則として全例に投与してきた.

しかし効果が認められなくても症状をもつ症例以外は 悪化例はなく,予後は全体に良好と思われた.今後は 治療対象を症状のあるもの,症状はなくても運動誘発 性のものや,持続性のものに限定していくことが可能 であると思われた.

 ホルター心電図やトレッドミル試験はVTの発見 や診断,解折に必要なだけでなく,日内変動や日差変

動のあるVTの治療効果判定にも不可欠であっ

た21)22).

 患児の生活管理は「心疾患児の生活指導指針による 研究班」による不整脈の管理基準に準じて行うべきで ある23).治療が必要な症例(失神や心不全症状のあるも の,運動誘発性のもの,持続性のもの,心室拍数が150 以上あるもの,基礎心疾患のあるもの)には厳重な管 理が必要である(1〜2,A〜D).それ以外のものは体育 的部活動または強い運動だけの制限でよいと思われる

(3,D,Ei禁).

      ま と め

 1.小児のVT 32症例の臨床的検討を加えた.

 2.失神や心不全症状のあるものは重大で突然死の 可能性をもっている.運動誘発性VTと持続性VTと があり,それぞれ特徴的な波形,連発数,頻度,発生 様式を示した.

 3.症状のあるもの以外は 特発性 で運動誘発性や 持続性でないものが多く,これらのVTの予後は良好

と思われた.

 4.以上のVTの発見,経過観察にはホルター心電 図やトレッドミル試験が不可欠であった.

 本文の要旨は第20回日本小児循環器学会(松山1984年6 月)にて報告した.

         文  献

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(7)

昭和62年5月1日

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(8)

Clinical Characteristics of Ventricular Tachycardia in Children M.Matsushimai}, M. Nagashima2}, A. Ogawa1), N. Okumura1}, T. Kaneko3},

       A.Ohsuga3), T. Yazaki3}and M. Okaj ima4)

      1)Department of Pediatric Cardiology, Chukyo Hospital        2)Department of Pediatrics, Nagoya University         3)Department of Pediatrics, Fuhita Gakuen Health University

4)Laboratory of Medicine Eng.&Computer Science, Fujita Gakuen Health University

   To characterize ventricural tachycardia(VT, 3 or more VPC)in children, we studied 32 pts, aged O day to 15 yrs(mean 3.4 yrs). Twenty seven pts had no apparent heart disease and the other 5 pts had organic heart diseases(congenital heart diseaes 4, ARVD 1). In routine ECG,VT could be recorded in 9 pts,frequent VPC in 15 pts and couplet in 5 pts. Holter ECGwas recorded in 31 pts and VT was seen in 26pts(83.9%). Of 18 pts performed treadmill test,15 had VT during the test(83.3%). The longest run of VT was consisted of three to five VPC in 15 pts, six to nine in 4 pts and ten or more in 13 pts.The mean rate of VT was 144.5±38.2 beats/min. The mean heart rate immediately before VT was 105.9±27.1 beats/min(range 59 to 158). The average prematurity index was 1.42±0。24(range 1.01 to 2.02)and the vulnerability index was O.45±0.17(range O.24 to 1.08). Morphologies of VT were LBBB in 21pts,

RBBB in 6 pts and multifocal in 5 pts. Symptoms possibly originating from VT could be seen in 6 pts

(syncope 3, heart failure 2, palpitation 1). Three of them had exercis・induced type and the other two had sustained type. Twenty pts were administered antiarrhythmic agents(propranolol 5, carteolo110,

verapamil 2, combination 3). Mean follow−up period was 27.4 mos(range l mo to 5 yrs). Two pts belonging to symptomatic group died suddenly during the follow−up course. One was exercise−induced type and the other was sustained type. VT in 4 pts abolished, in 6 pts decreased and in 19 pts persisted.

   In conclusion:1)Holter ECG and treadmill test are useful means in detecting and characterizing VT in children.2)Prognosis of VT in asymptomatic pts is generally benign.3)VT in symptomatic pts may have poor prognosis, so we must treat and manage them carefully.

表 1   齢性年 症状を訴える症例 男児 13例  女児 19例8.4±4.4歳       6例 (失神 3例,心不全症状 2例,動悸 1例) 検査,VT発見率 治 療 ECG HOLTER ECGTreadmill試験 Proplanolol Carteolol Verapamil 併用 9/32 (28.1%)26/31 (83.9%) 15/18 (83.3%)5例10例2例 3例 転帰(経過観察期間 27.4±21.3ヵ月) VT波形 死亡 VT消失VT減少不変 LBBB型 RBBB型 多源性

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