• 検索結果がありません。

多様な生きものの生活を支えるため池 兵庫県下には約120種の水草が存在すると言われて います そのうち神戸には約100種の水草が記録されてお り 8割にあたる約80種の水草がため池に見られます こ れは全国に見られる水草の約半分に相当し 一つの市域 でこれだけの水草が見られる場所は他に例がありません

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "多様な生きものの生活を支えるため池 兵庫県下には約120種の水草が存在すると言われて います そのうち神戸には約100種の水草が記録されてお り 8割にあたる約80種の水草がため池に見られます こ れは全国に見られる水草の約半分に相当し 一つの市域 でこれだけの水草が見られる場所は他に例がありません"

Copied!
23
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)

- 1 - - 2 -

多様な生きものの生活を支えるため池

ガガブタが群生するため池(上)

ガガブタの花(右)

黄色い花を咲かせるイトタヌキモ

は じ め に

 ため池は、農業用水を確保するために築造された人工 的な水域です。さらには、天然の池ちしょう沼や、灌かんがい漑目的以外 のものも、ため池と呼ばれることがあります。これらの水 辺には、長い年月の間にさまざまな植物や動物たちが移 り住み、豊かな生態系を形成してきました。

 自然豊かなため池を訪れると、岸辺にはヨシやマコモ が群落を作り、水面にはヒシ、ガガブタ、ジュンサイなど の水草が葉を浮かべています。水中にはクロモ、セキショ ウモなど水中生活に適応した水草が生育しています。タ ヌキモの仲間が水に浮かび、黄色い花を咲かせている 池もあります。

 水草の間を飛ぶいろいろなトンボ、水面を泳ぎ回るミズ スマシやアメンボ、水中にはゲンゴロウの仲間やミズカマ キリが泳ぐ姿を見ることもできます。古い池にはヒルもいま す。淡水海かい綿めんや淡水クラゲのような珍しい生きものたちも

ため池の住人です。

網を入れれば、さら にいろいろな生き ものを探すことがで きるでしょう。

主に山間部の谷池に生息する        ニホンイシガメ

(3)

- 1 - - 2 -  兵庫県下には約120種の水草が存在すると言われて います。そのうち神戸には約100種の水草が記録されてお り、8割にあたる約80種の水草がため池に見られます。こ れは全国に見られる水草の約半分に相当し、一つの市域 でこれだけの水草が見られる場所は他に例がありません。

 また、日本に分布する約180種のトンボのうち、半数近 い約80種がため池を主な生活場所としており、そのうち 神戸市内では約60種が確認されています。

 ため池は人間が管理して利用してきた水域ですが、多 くの生きものたちにとってもかけがえのない場所なので す。 この冊子が、皆さんにため池を中心とした里地・里山 の自然に目を向けてもらうきっかけとなり、ため池をとりま く農村環境が育む生物多様性とその保全を考えていた だく一助になれば幸いです。

 神戸カワバタモロコ保全推進協議会

減り続けるフトイの生育池

緩傾斜の岸辺を好むナニワトンボ

群れで泳ぐメダカ 神戸市内では数箇所のため池でしか見られないフサモ

多様な生きものの生活を支えるため池

(4)

- ₃ - - ₄ -

神戸のため池

■神戸のため池

 兵庫県には、平成22年4月現在、約43,000箇所の ため池があり、その数は全国一です。県内のため池の 分布を見ると、瀬戸内海沿岸地域にため池が集中し ているのがわかります。これは、全般的に雨が少ない ことや、地形的な理由から河川水を水田灌かんがいに利用 することが困難な地域が多いためです。

 神戸にはそのうち15%を占める約6,000箇所のた め池がありますが、市内のため池の大半は、近郊農 業地帯を抱える北区と西区に分布しています。

 神戸の緑のシンボルである六甲山上にも、大小約 30の池があり、六甲池ちしょう沼群として生物学的にも重要 な地域です。

■ため池の形態

 一ロにため池と言っても、何haもあるような大きな 池から、個人で所有・管理される10m四方くらいの小 さな池まで、その規模はさまざまです。

 ため池は自然の地形を最大限に利用してつくられ ており、その立地条件によって池の形態、構造、水質、

周辺環境などが異なります。加えて、池の歴史、使わ れ方や管理方法などの多くの要素が複雑にからみ あって、ため池の自然環境が形成されています。した がって、一つひとつのため池ごとに環境は異なり、そ の多様で豊かな水辺環境が、生物多様性や優れた 景観を支えています。

 平野部では窪地の周囲に堤防を築いてため池を つくりました。水深は比較的浅く、底が平らな形になる ことから「皿池」と呼んでいます。皿池の周囲は住宅 地や田畑であることが多く、水質的には富栄養化傾 向にあります。

 

 一方、丘陵地や山間部では谷をせき止めてつくった

「谷池」が普通です。谷池の堤防(池尻)は水深が深 く、両側の岸辺も急勾配なことが多く、水生植物群落 の発達が良くありません。しかし、池の奥(谷こくとう)側に は浅水域や湿地があり、自然度の高い水辺になって いることがあります。

 谷池は谷筋に沿って棚状に3、4個の池が連なって いることも多く、特有の景観を形成しています。上池、

中池、下池といった池の名前は、その位置関係からつ けられたものです。谷池の集水域は林間部で人為的 な汚染は少なく、水質的には良好です。

■六甲山の池沼群

 六甲山には、三国池、ひょうたん池、つげ池、猩しょうじょう 池、修はら池など、登山者にはおなじみの池があり ます。その多くは、明治から大正初期にかけて、採氷 のために掘られた池であるといわれています。六甲山 の地質の大部分は非アルカリ性岩質である花こうがん が占めているため、この地につくられた池は、酸性で 貧栄養の水質を持った、山頂に特徴的な水域となり ました。そこには、ジュンサイ、ヒツジグサ、フトヒルムシ ロなどの浮葉植物や、水面に浮遊する食虫植物のイ 六甲山再度公園内の修法ヶ原池(神戸市北区山田町)

皿池(神戸市西区岩岡町岩岡ポンプ池)

谷池(神戸市西区丸尾谷五番池)

(5)

- ₃ - - ₄ -

神戸のため池

ヌタヌキモなど貧栄養の水域に特徴的な水草が見ら れます。

 また、六甲山や丹生・帝釈山地のため池の谷こくとう や池岸の一部が湿地になっているところがあり、湿地 特有の動植物が見られます。

■神戸市北区・西区のため池

 北区・西区の近郊農業地帯にも、豊かな自然環境 が保たれているため池がまだ残っています。

 北区の山間部や丘陵地帯のため池は貧栄養のも のが多く、六甲山上同様にジュンサイやヒツジグサが 多く見られます。農村部のため池では、農地の肥料の 流入などによりやや富栄養化し、ヒシの優占する池が 目につくようになります。

 西区の池になると、さらに富栄養化が進行している ことが多く、これは、周辺の開発が進んでいることだけ でなく、地質が沖積層や海成層(海面上昇により河 谷へ土砂が堆積した水分を多く含む層)であることに もよります。これらの地層に含まれる地下水は、もとも と多量の栄養塩類を含んでいます。このような池では、

ハス、ガガブタ、オニバスなどが生育します。

■神戸のため池の変遷

 兵庫県はため池の数が日本一で、神戸市域にも北 区・西区の田園地域を中心に、ため池が数多く分布 していますが、今、その数がどんどん減っています。

1970年代から現在までの神戸市内のため池の数の 推移は以下の通りです。

 神戸市域では、1970年代から現在までに約半分の ため池が姿を消していることがわかります。これは、都 市化に伴い、農地が住宅用地や産業用地に転用さ れ、ため池が埋め立てられたことや、水利権の統廃合 により、ため池が統合されたりしたためです。

 ため池をつくる技術は古墳時代に大陸から伝えら れたといわれています。しかし、多くのため池がつくら れたのは、新田開発が盛んに行われた江戸時代中期 六甲山三国池(神戸市灘区六甲山町)

オニバスが繁茂するため池(神戸市西区神出町)

丹生・帝釈山地のため池(上)とその周りの湿地 に生育するモウセンゴケ(右)(神戸市北区淡河町)

ヒシの繁茂するため池(神戸市北区淡河町)

  年 

神戸市域のため池の数  (括弧内は兵庫県域全体の数) 1972  12,604 (55,490)  1982  11,372 (54,072)  1992  10,861 (52,289)   2002  6,748 (43,926)   2010  6,314 (43,321) 

(出典) 兵庫県調べ(※農業用水施設以外のため池も含む) 

(6)

- ₅ - - ₆ -

ため池の現状

から明治時代にかけてで、現 存するため池の多くはこの時 代につくられたものです。

 特に、神戸市域は、瀬戸内 式気候を反映して、全国平均 よりも雨量が少ないことから、

農業用水確保のため、ため池 や用水路の造成が積極的に行 われてきました。また、急勾配の 小河川の多い六甲山南麓地 域では、流水が急速に排出さ れてしまうこと、さらに、河川の 発達が悪く、河川水を灌かんがい 水に利用できないなどの地理・

地形上の理由から、灌かんがいには ため池が必要で、山地寄りの 谷を利用して、江戸時代以降、

ため池が造成されてきました。

 しかし、昭和30年頃から日本 経済は高度成長期に突入し、

神戸市域も例にもれず、都市 化、すなわち、農業用地の住 宅用地や産業用地への転用 が図られるようになりました。昭 和30年代末からは大規模な区 画整理事業や住宅団地の開 発がスタートし、主なものとして は、昭和40年前後には、多聞・

鈴蘭台・玉津・白川地区での 区画整理事業、明石舞子地 区・有野台地区での住宅団地 開発事業、昭和45年前後には 名谷・新丸山(現在のひよどり 台)・横尾・西神ニュータウンと ますます大規模化していき、農

地の宅地化とともに、ため池も 埋め立てられたり、統合された りして数を減らしていきました。

国土地理院撮影空中写真:神戸市西区井吹台・伊川谷町の1969年の写真(上)と2004年の写真(下)

西神南ニュータウンの造成と伊川谷町の農地の圃場整備により、埋め立てられたため池や、統合・改修され て形状が変わってしまったため池も多く見られる。

(7)

- ₅ - - ₆ -

■ため池の環境悪化

 老朽化したため池は防災のための整備が行われま す。今までは、ともすれば生態系のことが配慮されず に改修エ事が進められてきました。しかし近年では、工 事に先立ち、生態系の調査を行い、防災上の機能を 損ねない範囲で、生態系に配慮した工事が行われる ようになってきました。また、改修工事を機に、ため池 の管理者や農家に対して、ため池の生態系について の啓発も行われるようになりました。

 しかしながら一方で、水田耕作面積の減少や農業 従事者の高齢化、担い手の不足などにより、ため池 の十分な管理が行われなくなり、その結果、ため池の 埋め立てや、枯れ木・落ち葉などの有機物の堆積に よる水質の悪化や水枯れ、廃棄物の不法投棄などを 引き起こし、動植物の生息・生育環境の悪化を招い ています。

 さらに近年では、釣り人によるオオクチバス(通称:

ブラックバス)やブルーギルなどの魚食性外来魚の 違法放流や、ウシガエル、アメリカザリガニの繁殖な ど、外来生物の侵入による生態系の破壊が深刻に なっています。

ため池の現状

 また、裏六甲の北神地域では、阪神・播磨臨海部の 著しい都市化・工業化による都市用水の需要の増大 を受け、地域用水の開発と都市近郊の農業構造の 強化を図るため、昭和45年に東播用水事業が開始さ れました。この東播用水事業は、神戸市北部地域をは じめ近隣3市1町に及ぶ地域を対象として農業灌かんがい 水の供給を行うもので、ダムの建設及び河川を経由 した導水路の建設により、市域の既存田畑への用水 補給、未利用の山林の農地造成と畑地灌かんがい用水の 補給が実施されました。また、これにあわせて、地区内 に点在する非効率なため池の埋め立てを含む圃ほじょう場整 備が実施され、効率的な農業経営が可能となりました。

 しかし一方で、近年では、ダムや河川に侵入した外 来魚が、導水路を通って農村地域のため池にまで侵 入してくるケースが問題となっています。

■ため池の生態系

 ため池の生態系は、河川などと比べると、一段と閉 鎖的です。植物・動物の死骸は微生物によって分解さ れ、最後には硝しょうさん酸塩えんとなり、これが藻類によって吸収さ れて再び有機物に変えられます。藻類は水生昆虫な どの小動物のエサとなり、水生小動物はエビやモロコ、

フナなどの魚類に食べられます。池に飛来する鳥は、こ れらの水生小動物、エビ、魚類などを捕食しています。

 しかし、田畑からの肥料の流入や、ゴミの投棄、管 理放棄による落ち葉の堆積などによって、ため池の 水質は富栄養化し、その結果として藻類や水生植物 が異常発生するようになります。大発生した藻類や水 生植物はそれだけでも多量の酸素を消費し、魚類の 呼吸困難などを引き起こしますが、藻類や水生植物 が死んで池底に沈降し分解する際、さらに多量の酸 素を消費するため、底層は無酸素状態になり、底生 動物の死を招き、池の生態系の破壊につながります。

ため池の場合、河川と違って生態系が閉鎖的である だけに、いったん悪化した生態系の回復にはかなりの 年月が必要となります。

ため池の改修

富栄養化が進行し、アオコの 発生した池

美しい花を咲かせるホテイアオイ だが、水が汚れている証でもある

放棄され、水が枯れてしまったため池

ウシガエル 埋立前後のため池(神戸市北区淡河町)

埋立前(左)

埋立後(右)

オオクチバス

(8)

- ₇ - - ₈ -  植物体は水中に沈んでいても、花だけは水面上に

咲かせる水草があります。これはかつての陸上生活 の名残です。水草は陸上の植物が水中生活に適応 して進化したものと考えられています。

■ため池の水草の適応

 水草の中には、水が引いて干上がっても陸生形を 形成して生き延びる種類があります。陸生形は、ため 池のように水位が下がる環境で生きる水草にとって は重要な適応です。水中と陸上でまったく形の異なる 葉を展開する性質(異形葉)も、興味深い適応です。

このような性質を持っているからこそ、水位変動の激 しいため池で生き残ることができるのでしょう。

 その他にも水草には興味深いさまざまな適応が見 られます。雄花を水面に漂わせ、水面で受粉するセキ ショウモの花はその一例です。

 秋から冬にかけて、多くの水草がさまざまな形をし た越えっとう(殖しょくと呼びます)を形成します。食用にす るクワイやレンコンも、殖しょくの一種です。冬季には管 理や改修工事のために池の水が抜かれることがあり ますが、乾燥や低温に耐えることができる殖しょくの形成 によって、冬を無事に乗り越えることができるのです。

ため池の水草の 適応例:

キクモ

(沈水形)(左)

ため池の水草

■ため池と水草

 ため池や河川などの水域に生育する植物たちを水 草(水生植物)と呼んでいます。神戸市内では約100 種の水草が確認されており、そのうちの約8割をため池 で見ることができます。神戸は、市街地から農耕地、丘 陵・山地まで変化に富んだ自然環境をもつ地域であり、

その多様な地形に対応して、さまざまな形態や水深の ため池が存在しています。そのため、水質も山間部の 腐植栄養ないし貧栄養なものから、平地にあって富栄 養化の進んだものまで見られます。そして、その多様な 環境が神戸の豊かな水草相を形成しているのです。

■水草の生育形

 水辺の浅い場所には、ヨシやガマのように茎や葉 が水面上に出る抽水植物が生えています。ジュンサ イやヒツジグサのように葉を水面に浮かべているのは 浮葉植物です。一生を水中に沈んだままで暮らすク ロモやセンニンモなどの「藻」は、沈水植物と呼ばれ ます。ホテイアオイやウキクサのように根を張らず水

面に浮いている浮遊植物もあります。 キクモ(陸生形)(右)

水が干上がると、陸 生型に形態を変化さ せる

雄花を水面に漂わせるセキショウモ 抽水植物の例:ガマ

浮葉植物の例:ヒツジグサ

沈水植物の例:センニンモ

浮遊植物の例:ウキクサ

葉 や 茎 り上に出が水面よ

水中や水 面に浮い ている

根は水底 に固着

根は水底 に固着

根は水底 に固着 に浮く葉が水面

葉も水面

(9)

- ₇ - - ₈ -

■平野部のため池の水草

 平野部にあるため池は、まわりを堤防に囲まれた皿 池で、水深は浅く水質は富栄養化が進んでいます。

このような池の周囲にはヨシ、マコモ、ヒメガマなどの 大型抽水植物が群落を形成し、水面はヒシ、オニビシ、

オ二バスなどの浮葉植物がおおっています。ホテイア オイ、マツモ、ウキクサ類が群生している池もあります。

■丘陵部や山間部のため池の水草

 丘陵部や山間部には、谷をせき止めて築かれた谷 池が数多く見られます。水質は中栄養~貧栄養です。

林に囲まれた池は、たくさんの落ち葉が入るために水 の色が褐色をした腐植栄養と呼ばれる水質になって います。

 貧栄養~腐植栄養の水質の池に典型的な水草は ジュンサイ、ヒツジグサ、フトヒルムシロです。水中にイ ヌタヌキモが漂い、水底にはスブタやミズニラが生育 していることもあります。

ため池の水草

 中栄養のため池になるとガガブタやヒルムシロが 優占してきます。ノタヌキモの黄色い花が水面を染め るのもこのような池です。セキショウモやクロモなどの 沈水植物が多産し、最も種の多様性が大きくなるの は中栄養の池です。

■水草と人間の暮らし

 水草の中には、人間の暮らしと密接にかかわってき た種類があります。例えばヒシは最も普通に見られる 水草ですが、飢きんの際の救きゅうこう荒植物として利用された ために広がったと考えられています。

 若芽を食用にするジュンサイ採りも昔は盛んに行 われていました。しかし、最近は水質の悪化により良 質なジュンサイが採れる池は少なくなっています。

 人間の生活とは関係のないように見える水草も、さ まざまな生きものの生活基盤を提供したり、水辺の景 観を構成する上で大切な役割を果たしています。

ヤナギスブタ フトヒルムシロ

ヒルムシロ クロモ

ミズニラ イヌタヌキモの花 オニバス(神戸市西区神出町)

ヒシ(上)とその実(右)(神戸市北区山田町)

ジュンサイの花(上) ジュンサイ採りの様子(右)

(神戸市西区櫨谷町)

(10)

- ₉ - - 1₀ -  ため池の堤ていたいには、希少種も多く見られますが、草

刈りがおろそかになれば、これらの植物も消えていく 運命にあります。

■湿地の植物

 ため池の谷こくとう部や池尻堤ていたいの外側の斜面に湿地 が形成されることがあります。ここで言う湿地とは、日 照りが続いてもじわじわと水が湧き出して、いつも水 が浅くたまっているような場所です。このような湿地に は特有の植物が生育しています。

 湿地には美しい花を咲かせるラン科の植物が見ら れますが、盗掘が跡を絶たず、大きな絶滅要因のひと つとなっています。

 湿地は時間の経過とともに遷せんが進み、草地化し ていきます。ヌマガヤが侵入している湿地は、乾燥化 して遷せんが進んでいることを示しています。

ため池の堤体・湿地植物

■ため池の堤ていたいの植物

 ため池に水を溜めるために築かれた土手は堤ていたい 呼ばれています。人間が造成した場所ですが、草刈 りや火入れなどの手入れがよく行われている堤ていたいは、

草原生の植物が生育して良好な草地環境が保たれ ていることがあります。農業形態の変化や燃料革命 により丹念な草刈りが行われなくなり、良好な草地 環境が失われつつある中、ため池の堤ていたいは重要な 草原生植物の生育場所となっています。

 よく管理された堤ていたいには外来植物の侵入が起こり にくい傾向が見られます。これは、在来の草原生植物 が刈り込みに強い特性を持っていることも関係してい るものと考えられています。

オミナエシ(左)とキキョウ(右) ササユリ

ため池の谷頭部に形成された湿地(神戸市西区神出町)

カワラナデシコ スズサイコ

カキラン

ヒナノカンザシ サワギキョウ ゴマクサ サギソウ

ツリガネニンジン ミソハギ

ヌマトラノオ ヒメシロネ

(11)

- ₉ - - 1₀ -

います。

 水草はトンボの生活にとって重要な役割を果たし ています。ヤゴでは水草につかまって生活したり、羽 化の際に抽水植物を利用するものが多く、成虫では 水草帯が摂食や繁殖の場となっており、その植物組 織内に産卵するものも多数あります。

■トンボの生息環境の危機

 ため池の埋め立てや都市化の進展による生息環 境の悪化のほか、水質汚濁の進行や池の改修工事 等による水生植物群落の衰退が各地で起こっており、

これらはため池のトンボ相にも大きな打撃を与えてい ます。植生豊かなため池に生息しているチョウトンボ やアオヤンマなどは、すっかりその数を減らしてしまい ました。

■ため池のトンボ

 これまでに兵庫県では約100種、神戸市域では約 90種のトンボが記録されています。トンボはその生息 場所の違いから、止水性と流水性の大きく二つのグ ループに分けることができます。ため池で見られるの は止水性のトンボで、約60種がこれにあたります。

 ため池は豊かなトンボ相を維持していくために必要 な水辺環境を提供しています。中でも、草原や林と隣 接する植生豊かなため池では、たくさんの種類のトン ボが見られます。

■トンボの生活史

 トンボは幼虫(ヤゴ)の時代を水中で過ごし、成虫 はエサ場や休息場所として池とそのまわりの草原や 樹林を利用します。また、肉食のため、多くのエサとな る小動物が必要です。これらのことから、トンボは自然 環境の豊かさを知るひとつのバロメーターにもなって

交尾中のギンヤンマ

コシアキトンボ タイワンウチワヤンマ

ショウジョウトンボ

トラフトンボのヤゴ ウチワヤンマ羽化殻

アオモンイトトンボの交尾の様子 オス(上)とメス(下)

アオイトトンボの連結産卵

はね

の光沢が美しいチョウトンボ アオヤンマの羽化

ため池のトンボ

(12)

- 11 - - 12 -

ため池の水生昆虫

■ため池の水生昆虫

 ため池で見られるトンボの仲間を除く水生昆虫とし ては、トビケラの仲間、コウチュウ目(鞘しょうしもく翅目)のゲン ゴロウやミズスマシの仲間、カメムシ目(半は ん し も く翅目)のア メンボ、マツモムシ、タイコウチ、コオイムシやミズムシ の仲間などがあります。これらの水生昆虫はため池な どの止水域や流れの緩やかな水路、水田などでも見 られます。

 ため池で越冬した成虫は、初夏になって田んぼに 水が張られると、田んぼに移動してしまい、ため池の 水生昆虫が一時的に少なくなってしまうことがありま す。これは、水の入った田んぼには、ミジンコをはじめと した豊富なエサがある

からだと考えられてい ます。しかし、田んぼ で 使 わ れる農 薬 に よって、水 生 昆虫が 影響を受ける場合も あります。

 コウチュウ目では、中型種のハイイロゲンゴロウや 小型種のツブゲンゴロウ、マメゲンゴロウなどがよく 見られる種です。かつては多く見られたヒメゲンゴロウ や水面をクルクルまわって泳ぐミズスマシ、オオミズス マシなどはすっかり見られなくなってしまいました。大 型種のゲンゴロウや自然度の高い池で見られた中型 種のシマゲンゴロウも最近では見つかっていません。

 水生昆虫の主役である水生カメムシには、多くの 種類があります。水面を滑るように進むアメンボの仲 間にはオオアメンボ、アメンボ、ヒメアメンボ、コセアカ アメンボなどがあります。これらのアメンボは、水面に 落ちた昆虫などをエサにしています。マツモムシは、た め池で最も普通に見られる水生昆虫です。オールの ような後肢を使って巧みに泳ぎます。タイコウチやミズ カマキリ、ヒメミズカマキリもため池の代表的な水生 昆虫です。鎌のように発達した前肢で獲物を捕らえて、

その体液を吸ってしまいます。コオイムシは、メスがオ スの背中に卵を産みつけるという、おもしろい習性を 持っています。オスは卵がかえるまで、背中の卵に適 度な水分を与えながら世話をします。ミズムシの仲間 は目立たない水生昆虫ですが、レッドデータの選定種 もあります。

 ため池の脇に形成された ゆう

すい

湿地では、タイコウチよ

りも小さく、呼吸管が短いヒメタイコウチが生息してい ることがあります。全国でも限られた地域にしか分布し ていない湿地の昆虫です。

水生昆虫の大切なすみかである ため池と水田(神戸市北区山田町)

ハイイロゲンゴロウ

マツモムシ

タイコウチ

コオイムシ アメンボ

コシマゲンゴロウ

シマゲンゴロウ

オオミズスマシ ヒメタイコウチ

(13)

- 11 - - 12 -

■ため池の魚

 ため池の多くは、川の氾はんらんげん濫原を利用したり、谷川を せき止めたりして、その水を引き込んでつくられていま す。そのため、ため池で見られる魚は、川の淀みや植 物の茂みの中で生活している魚と共通しています。ま た、水草の繁茂する皿池では、夏季の早朝に溶存酸 素濃度が低下し、日中には水温が30℃を超えるような 環境となります。そのような池では生息できる魚の種 類が限られてしまいます。

 ため池の魚で、最もよく知られているのはギンブナ、

モツゴ、メダカ、ドジョウです。メダカやドジョウは、以 前には水田や用水路でも普通に見られた魚ですが、

ほじょう

場整備や水路の改修などにより、平野部からは姿 を消しつつあります。しかし、ため池ではまだその姿を 見ることができます。

 兵庫県のため池を代表する魚は、帰化種を除けば モツゴとカワバタモロコです。この2種は、昔は用水路 などでも見られましたが、むしろ池で多く見られ、ため 池という環境に最もよく適応し、繁栄してきた魚です。

ため池の魚

 特に、カワバタモロコは、かつては各地のため池で 見ることができましたが、オオクチバスなどの肉食性 外来魚の無秩序な放流によって、多くの池から姿を 消してしまい、全国的にも希少な絶滅危惧種となって しまいました。今では、車で近寄ることのできない山の

中の小池などに、細々と生き残っているだけです。

 谷池でよく見られるのがヨシノボリ類とドンコです。

ともにハゼ科の魚で、水底で生活しています。ため池 のヨシノボリ類は、地域によって種類が異なることが あり、現在分類学的な研究が進められています。将来、

正式な名前がつけられることになるでしょう。

 ドンコは大きな口を持つ肉食魚で、水底に潜んで 小魚やエビなどを捕らえて食べます。

ギンブナ

メダカ

ドジョウ

モツゴ

カワバタモロコ

ヨシノボリの仲間

ドンコ

ドンコの大好物ともなるエビ類 スジエビ(左)とミナミヌマエビ(右)

(14)

- 1₃ - - 1₄ -

ため池の両生類

■ため池の両生類

 神戸市で記録された両生類は、カエル類が14種と サンショウウオ・イモリ類が4種です。両生類は、水中 に産卵し、幼生期は水中ですごすため、水辺と陸地 が必要です。特に、水田や里山などに生息する種類 が多く、それらの何種かがため池でも繁殖します。両 生類にとって農地環境は繁殖・生活場所として大変 重要です。

 モリアオガエルは、水辺の樹上で生活・産卵する非 常に珍しい生態を持ったカエルです。モリアオガエル が生息しているため池では、繁殖期になると池の周囲 にある樹木に泡状の卵塊を見つけることができます。

ふ化したオタマジャクシは、池の中に落下して、水の 中で成長します。

 まだ寒い春先(2~4月)に産卵するのはニホンヒキ ガエル、ニホンアカガエル、カスミサンショウウオです。

水田にはまだ水が張られていないことが多いため、湧 き水のある素掘りの水路や水たまり、ため池などが産 卵場所として利用されます。ふ化したオタマジャクシ は、夏までに変態し上陸します。成体は繁殖期以外に は付近の草むらや林床部などで生活しています。

 トノサマガエル、アマガエル、ツチガエル、シュレー ゲルアオガエルは、田植えの前後に主に田んぼで繁 殖します。成体は比較的乾燥に強いため、上陸すると 草むらや林などに広く移動します。ため池周辺に現れ ることもあります。

 アカハライモリは、変態後から成体になるまで林床 部で生活し、繁殖できる大きさになると浅い池や川に 戻り、水草などに1粒ずつ卵を産み付けます。

 以上のように、両生類は種ごとに利用する水辺の 形態や依存度に違いがありますが、幼生にとっては浅 い水域が必要不可欠です。一方、成体にとってはエ サとなる昆虫の多い畦、草地、広葉樹の林などが必 要です。また、幼生と成体の生活場所が異なる場合 には、U字溝、広い道路、住宅地などが移動の大きな 妨げとなってしまいます。

 たくさんの両生類が暮らしている地域は、水辺だけ ではなく、その周辺に豊かな自然環境が残されている ことを示しています。

モリアオガエル(成体)(上) 樹上の卵塊(左) 

ニホンヒキガエル

外えらを持つカスミサンショウウオの幼生(左)と成体(右)

トノサマガエル

シュレーゲルアオガエル

ニホンアカガエル

ツチガエル

アカハライモリ

(15)

- 1₃ - - 1₄ -

 ため池は、採食場所・休憩場所であるとともに、結 婚相手を見つける出会いの場所でもあります。春ま でにカモたちはぺアを作り、カルガモ以外は北国で子 育てをするために帰っていきます。カイツブリ、バン、オ オヨシキリなども池で繁殖し、いずれも営巣にはヨシ などの抽水植物が必要です。

 夏から秋にかけて、シギ・チドリの仲間は、北国から はるか東南アジアまでの旅の途中に、各地の干潟を 訪れます。しかし、干潟の多くが失われたため、今では 干上がった池が貴重なエサ場や休息場所となってい ます。

 これらの野鳥たちは、人の農耕活動による環境の 変化に合わせて、ため池及び周辺の農耕地をうまく 利用して生活しています。池で見られる野鳥の種類 数は池の自然度を示すバロメーターといえます。

■ため池の鳥

 さまざまな野鳥がため池を生活の場としており、そ のうち、年間を通じて見られるのがサギ類です、サギ はため池を含む農耕地を主な生活の場としている野 鳥です。サギにとって水辺は大切なエサ場で、よく見 られるサギ類のうち、ダイサギは池の魚を主食とし、コ サギは浅い水辺で小魚などをとっています。アオサギ は深い場所でもエサがとれるため、コンクリート護岸 の池でもよく見られます。

 一方、水辺の草むらを主に利用するチュウサギは、

池の埋め立てや護岸工事あるいは圃ほじょう場整備などの ため、エサをとる場所が少なくなり、絶滅危惧種に指 定されるほど減少しています。

 秋から冬には、北国からたくさんのカモが渡ってき て、ため池で冬を越します。ヒドリガモ、マガモなどの 池で見られるほとんどのカモは、水草の葉、茎、種子 などを食べますが、キンクロハジロなどの潜水ガモは ザリガニや貝などをとっています。しかし、水量の少な い池では、カモは昼間休んでいることが多く、夜になる と周辺の田んぼなどへエサをとりに出かけます。

アオサギ カイツブリ オオヨシキリ

コガモ

タカブシギ ホシハジロ

カルガモ

コチドリ ダイサギ

オナガガモ

ため池の鳥

(16)

- 1₅ - - 1₆ -

絶滅が危惧される生きもの

 かつては水辺で普通に見られたメダカのような生き ものが、急速に私たちのまわりから姿を消しつつあり ます。それは、ここ20~30年の間の出来事です。水辺 は多くの絶滅危惧種が集中する場所ですが、ため池 も例外ではありません。ため池は身近な存在で、これ までそこに暮らす生きものたちには、あまり関心が向け られていませんでした。しかし、身近なため池の生きも のたちにも絶滅の危機が迫っていることに、私たちは 留意しなくてはなりません。

■ため池の生きものが絶滅に追いやられる主な原因

①ため池の理め立てや改修工事による生息・生育環 境の消失と悪化

②水質汚濁の進行や農薬の影響による生息・生育 環境の悪化

③外来生物の侵入や人為的な放流・移植による生 態系の破壊

④一部のマニアや業者による乱獲や盗掘

■神戸からいなくなってしまった生きものたち

 ベッコウトンボは、「種の保存法(正式名称:絶滅の おそれのある野生動植物の種の保存に関する法 律)」における国内希少野生動植物種に指定されて おり、神戸市内にもかつては生息地のため池が存在 していましたが、震災の影響でため池の水が抜けてし まい、今では見られなくなってしまいました。

 そのほか、同じトンボではマダラナニワトンボ、水生 昆虫のタガメやゲンゴロウの一部、水生・湿地性植 物のトチカガミ、ヤチスギラン、ドクゼリ、アサザ、ムサ シモなどが神戸から姿を消してしまいました。

ベッコウトンボ トチカガミ

出典:「神戸の希少な野生動植物 神戸版レッドデータ2010」(神戸市)より。表中のカテゴリー区分は、〔Ex〕:市内での確認記録、標本があるなど、

かつては生息・生育していたと考えられるが、現在は見られなくなり、生息・生育の可能性がないと考えられる種。〔A(ランク)〕:神戸市内において 絶滅の危機に瀕している種など、緊急の保全対策、厳重な保全対策が必要な種。国のレッドデータブック(RDB)の絶滅危惧Ⅰ類に相当。〔B(ラン ク)〕:神戸市内において絶滅の危機が増大している種など、生息環境、自生地などの保全が必要な種。国のRDBの絶滅危惧Ⅱ類に相当。〔C(ランク)〕:

神戸市内において存続基盤が脆弱な種。極力生息環境、自生地などの保全が必要な種。国のRDBの準絶滅危惧に相当。〔D(ランク)〕:最近減少の著し い種、優れた自然環境の指標となる種などの貴重種に準ずる要注目種。〔調(要調査)〕:神戸市での生息・生育の実態がほとんどわからないことなどに より、現在の知見では貴重性の評価ができないが、今後の調査によっては貴重種となる可能性のある種。国のRDBの情報不足に相当。

■神戸市内で絶滅が危惧されるため池及びため池周辺の生きもの

水草

トンボ

その他 の水生 昆虫

魚類

Ex Ex

A B C D 調 Ex

A

C

調 A D A

B

C

Ex A B C

アゼオトギリ

ベッコウトンボ、マダラナニワトンボ

アオヤンマ

カワバタモロコ

ギンブナ、タモロコ、ドンコ

オイトトンボ、カトリヤンマ、ナニワトンボ ネアカヨシヤンマ、マルタンヤンマ

D

C メダカ

爬虫類 B D

ニホンイシガメ クサガメ C ニホンスッポン

両生類 C アカハライモリ、シュレーゲルアオガエル B カスミサンショウウオ、ツチガエル、モリアオガエル ミシマサイコ、ヤブレガサモドキ

調 ヒロハハナヤスリ 堤体

植物

ヒメシロアサザ、アサザ、トチカガミ、ムサシモ、

アンペライ

ツチグリ、タヌキマメ、イヌハギ、マキエハギ、タ カトウダイ、キキョウ、オカオグルマ、ユウスゲ サンショウモ、オニバス、イトタヌキモ、マルバ オモダカ、マルミスブタ、コバノヒルムシロ、イ トモ、ヤマトミクリ、シズイ

サイコクヒメコウホネ、フサモ、ノタヌキモ、ヒ メタヌキモ、スブタ、サガミトリゲモ、ナガエミ クリ、ヒメミクリ、アギナシ

ハマハナヤスリ、カワラナデシコ、ヒメカンアオ イ、タチカモメヅル、スズサイコ、コカモメヅル、

ヒキヨモギ、オケラ、キンラン

ミズニラ、オニビシ、オグラノフサモ、タチモ、

ガガブタ、ヤナギスブタ、イトトリゲモ、オオト リゲモ、セイタカハリイ、ヤリハリイ、フトイ、

ミズオオバコ

ベニイトトンボ、コバネアオイトトンボ、ルリボシ ヤンマ

ムスジイトトンボ、トラフトンボ、ヨツボシトンボ、

キトンボ、ノシメトンボ、オオキトンボ

コウベツブゲンゴロウ、シマゲンゴロウ、ジュウサ ンホシテントウ、キンイロネクイハムシ

鳥類

哺乳類 A B C 調

ヤマセミ

オシドリ、ヨシガモ、シマアジ、ミサゴ ニホンイタチ

ゴイサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、トモエ ガモ、セイタカシギ、コアジサシ

タガメ、マルコガタノゲンゴロウ、コガタノゲンゴ ロウ、マルガタゲンゴロウ、マダラシマゲンゴロウ ホッケミズムシ、オオミズムシ、ナガミズムシ、コ バンムシ、ムツボシツヤコツブゲンゴロウ、ゲンゴ ロウ、ミズスマシ

エサキアメンボ、キベリマルクビゴミムシ、キイロ コガシラミズムシ、マダラコガシラミズムシ、クロ ゲンゴロウ、ガムシ、ミサキツノトビケラ Ex

A

B

C

ヤチスギラン、ナガバノウナギツカミ、ドクゼリ サイコクヌカボ、ゴマクサ

湿地 植物

シロガヤツリ、ヤマドリゼンマイ、ハンゲショウ、

ミズオトギリ、イシモチソウ、ヒナノカンザシ、

イヌセンブリ、ムラサキミミカキグサ、サワオグ ルマ、サギソウ

ゴキヅル、ミズスギ、コモウセンゴケ、タコノア シ、ムカゴニンジン、サワギキョウ、ヒナザサ、

ケミンジュガヤ(マネケミンジュガヤ)カキラン、

ミズトンボ、コバノトンボソウ、トキソウ、ヤマ トキソウ、ツクシクロイヌノヒゲ、ヌマガゼグサ

コオイムシ、ビワアシエダトビケラ、ホタルトビケラ

(17)

- 1₅ - - 1₆ -

絶滅が危惧される生きもの

■ため池及びため池周辺に見られる絶滅危惧種

マルバオモダカ マルミスブタ コバノヒルムシロ イトモ

シズイ サイコクヒメコウホネ ナガエミクリ ミシマサイコ

ヤブレガサモドキ ツチグリ ユウスゲ サイコクヌカボ

ハンゲショウ ミズオトギリ イヌセンブリ サワオグルマ

ベニイトトンボ コバネアオイトトンボ オオミズムシ コバンムシ

カワバタモロコ カスミサンショウウオ モリアオガエル ニホンイシガメ

ヤマセミ ゴイサギ チュウサギ トモエガモ

(18)

- 1₇ - - 1₈ -  水中に繁茂するオオカナダモやコカナダモはため

池から河川にまで広く分布しています。日本産の沈水 植物の多くが減少傾向にあり、これらの外来種の侵 入による影響は無視できません。

 ため池の池岸に繁茂し、多くの在来種を駆逐して いるのがチクゴスズメノヒエです。時に大きな群落を 作り、浮島状になって水面を覆っていきます。

■外来植物(堤ていたい植物)

 ため池の堤ていたいにも、数多くの外来種が侵入・定着し ています。草刈りなどの管理が十分に行われていな かったり、改修等で表土が攪かくらんされた堤ていたいでの外来 種の侵入が特に目立ちます。セイタカアワダチソウ、

ヒメムカシヨモギ、メリケンカルカヤなどの外来種は、

今では堤ていたいに普通に見られる植物となってしまいまし た。

ボタンウキクサ

セイタカアワダチソウ オオカナダモ

水面を埋め尽くすアゾラ

チクゴスズメノヒエが繁茂したため池

オオフサモ

メリケンカルカヤ コカナダモ

ため池の生態系を破壊する外来生物

 海外から持ち込まれた動植物が、その適応力や繁 殖力で定着し、在来種を食害したりそのすみかを奪う ことなどによって、日本固有の生態系に看過しがたい 影響・被害を与えています。

 ため池もその例外ではありません。神戸市内でも 多くの外来種がため池で確認されており、在来種の 絶滅要因となっている例もあります。

 2005年には「外来生物法(正式名称:特定外来生 物による生態系等に係る被害の防止に関する法 律)」が施行され、特定の外来生物について飼育、栽 培、保管、運搬、輸入、野外へ放つことの原則禁止等 の規制が行われています。「神戸の希少な野生動植 物 神戸版レッドデータ2010」(神戸市)では、神戸 市域の在来種や生態系に著しい被害を与えている又 は与える恐れのある外来種をブラックリストとして掲載 しており、ため池及びその周辺で見られる外来種とし ては、植物23種、動物11種がリストアップされています。

■外来植物(水草)

 水草では、ホテイアオイやボタンウキクサ、オオフサ モなど、従来、園芸店等で簡単に購入できた種がため 池に逸出し、水面を埋め尽くすほどに繁殖しているこ とがあります。また、アイガモ農法で導入されたアゾラ

(移入されたアカウキクサ属植物)が水面を赤く染め て繁殖している風景も各地で見られるようになりました。

(19)

- 1₇ - - 1₈ -

■外来動物

 ため池には多くの外来動物が侵入・定着していま す。ため池の生態系に最も大きな被害を与えている のが、オオクチバスとブルーギルです。オオクチバス は、ルアーフィッシングの流行に伴い、釣り人が各地 のため池に放流し、同時にブルーギルもそのエサ用 の魚として放流したことで、分布を広げたと考えられ ています。これらの魚食性外来魚から身を守る手段を 持たない在来の魚類やエビ類は、食べ尽くされるほど の勢いで激減しています。

 食用として養殖する目的で輸入されたウシガエルと そのエサのアメリカザリガニは、養殖場から逃げ出し たり、遺棄されたものが各地で繁殖し、ため池の生態 系に大きな被害を与えています。ウシガエルはため池 に強く依存して生活しており、エビの仲間や昆虫など、

動くものなら何でも食べてしまいます。アメリカザリガ ニは雑食性で、水生小動物から水草までも食害しま す。

 ミシシッピアカミミガメは、年間数十万匹~100万 匹が輸入されており、その子ガメはミドリガメの名称で 広く販売されています。カメは寿命が長いこともあっ て、ペットとして飼われていたアカミミガメの遺棄が跡

ため池の生態系を破壊する外来生物

を絶たず、特に市街地に近い平地のため池では、アカ ミミガメばかりが目立ち、在来のニホンイシガメ、クサ ガメはすっかり見られなくなってしまいました。アカミミ ガメは在来のカメより低温でも活動できること、繁殖 力も旺盛なことなどから、在来種を駆逐して分布を広 げています。

 哺乳類では、草食性のヌートリアがため池の水草 や池岸植物を食害するだけでなく、農作物にまで被 害を与えています。

 今後、市内のため池にも侵入して、生態系を破壊 する恐れがあると考えられるのが、カダヤシとスクミリ ンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)です。

 カダヤシは、卵胎生で繁殖力が強く、成長も早いう え、魚卵や稚魚を食害するため、メダカを駆逐してし まいます。外見がメダカに非常によく似ているため、メ ダカと間違われて放流されたり、気がつかないうちに メダカがカダヤシに置き換わってしまった例が全国各 地にあります。

 スクミリンゴガイは、淡水産の巻貝で、在来種のオ オタニシよりも外形に丸みがあります。水田や水路に 見られることが多いですが、ため池にも侵入しています。

オオクチバス

ため池に広く分布する ウシガエル

駆除が困難な アメリカザリガニ

カダヤシ スクミリンゴガイ ブルーギル

ため池で一番多く見られるアカミミガメ

泳ぎが得意なヌートリア

参照

関連したドキュメント

ヒョウモンモドキを守る ~年3回の保全活動が必要~ ●

4 gDM/m2 /dまで低下した.OG草地におけるフラ クトサンの蓄積速度は試 a 験期間の進行l こともない次

(Konsen Agric. はじめに 放牧利用に適したオーチヤードグラス COG)

別 紙 【無料バス運行ルート】 「草木ダム探訪」に来られる方のため無料バスを運行します。 バスは 、草木湖 まつり会 場(東 運動公園

らゼニタナゴを守ってきた.しかし近年,減反政策など

2.草刈機 (4)自走式草刈機の事故(モア) ④

4 写真G やっと開花 写真H 刈りこまれた 写真I ノウルシ保全草刈 写真J アゼゴケ① 写真k アゼゴケ② 石井 実 さん 伝右川、稚魚 ち ぎ ょ

The History of Semi-natural Grassland Use in Oguni, Yamagata Prefecture Yoshiyuki