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方法であるが ロットが大きくないと採算に乗らないので大手銀行でなければ事業化は困難と言われている 後者は相当高度な技術が要求される 具体的には期間のリスクと金利のリスクを回避するための資産 負債管理システム (ALM:asset liability management) の手法を駆使して収益性と流

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Academic year: 2021

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住宅ローンアドバイザー会報

11

月号

●特集

サブプライムローンと

資産担保証券

今日話題のサブプライムローン問題は、07 年 7 月に米国で表面化、当初は低所得者 向け住宅ローンの単なる焦げ付き程度に考えられていたが、住宅ローン債権を証券化 して、これを格付け会社からトリプルAの格付けを取得し、大量に銀行または保険会 社等の機関投資家に販売したが、トリプルAの格付け証券が実際は元本の償還見通し の低いジャンク債であったことから一挙に値下がりし、購入した銀行、保険会社等の 投資家が巨額の損失を被った由々しき出来事である。 金融検定協会 土師清次郎

1、住宅ローン債権の証券化

(1)資産担保証券の必要性 今回の出来事を理解するには、まず「住宅ローン債権の証券化」の必要性を理解し なければならない。例えば、銀行が短期の預金を原資に 30 年にわたる長期の住宅ロー ンに資金運用を行うと、①短期の資金を預金の形で預かって、これを 20 年から 30 年 の住宅ローンに運用すると、預金者が仮に一斉に預金を引き出した場合、支払い不能 に陥る懸念がある、②固定金利の住宅ローンだと 20~30 年の間、固定金利で融資する ために、この間、原資である預金金利が上昇し住宅ローン金利を超えた場合、逆ザヤ となって銀行の収益を圧迫し場合によっては経営が破綻する。この 2 点を避けるため に銀行は住宅ローン債権を証券化する専門の業者に債権と抵当権を売り渡し、資産か ら除外する。 銀行は住宅ローン債権を資産から除外することにより、資産の固定化から解放され 新たな住宅ローンや企業融資に資金を向けることが可能となり、それを可能にした資 産担保証券(MBS:mortgage backed securities)は極めて大事な金融商品という ことが出来る。 (2)銀行自前の住宅ローン開発について 銀行が自前の住宅ローンを開発するには大きく分けて2つの方法がある。1つは自 前の資産担保証券を組成する方法と、2つは住宅ローン債権を回収が完了するまで資 産として残す方法がある。 前者は専門業者に売却するのではなく自前でMBSを組成し機関投資家に売却する

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方法であるが、ロットが大きくないと採算に乗らないので大手銀行でなければ事業化 は困難と言われている。

後者は相当高度な技術が要求される。具体的には期間のリスクと金利のリスクを回 避するための資産・負債管理システム(ALM:asset liability management)の手法 を駆使して収益性と流動性の管理を行うことになるが、現実にはこれに対応できる金 融機関は世界的にも少なく、日本でもメガバンク3行程度と言われている。 (3)わが国では住宅金融支援機構がMBSを発行 住宅ローン債権の証券化は、前述の通り期間のリスクと金利のリスクを避け、同時 に商業銀行が多額の資産を長期の貸付に運用し固定化することの弊害から逃れるため の手法としては容認されるものである。 このため、わが国では地域銀行、信用金庫、信用組合等は自社開発の住宅ローンで はなく、住宅金融支援機構に住宅ローン債権を売却し、資産から分離することでリス クを回避している。その仕組みは米国のサブプライムローン債権の証券化(RMBS) と大筋では同じであるが、ローン利用客、融資審査基準、融資条件等の資産担保証券 自体の信用力が異なるので同一には論じられない。 (4)変動金利の活用と消費者のリスク 金融機関自前の住宅ローン固定金利のリスクを回避するために、今日では変動金利 の採用が多く見られるが、この場合は、金融機関には金利リスクは回避できるが、長 期金利に連動している住宅ローンの金利が高騰すると、借入者であるローン利用者の 金利負担が大きくなり、今回米国で発生した住宅ローン金利の急激な高騰によるロー ン返済の焦げ付きのように、リスクが消費者にシフトすることとなる。 もっともわが国では、変動金利の上昇で金利負担が大きくなった場合、一定の返済 額を変えずに借入期間の延長で対処しているので、米国のように金利上昇による元利 返済が困難となってデフォルトに到るケースは余りない。

2、米国の住宅ローン市場

では米国のサブプライム問題がなぜ発生したのか、これを理解するために米国の住 宅ローン市場について概観してみる。 ① サブプライムローン 米国住宅ローン市場(図 1 参照)は 20 兆円市場といわれているが、富裕層向けの ローンが約半分の10 兆㌦、今回の低額所得者向けサブプライムローンも半分の 10 兆 ㌦となっており、共に銀行の貸出しによるものである。 サブプライムローンは変動金利となっており、米国内の長期金利高騰で僅かこの1~ 2年に当初の7.5%から 8.5%→9.5%→10.5%に高騰し本年に入って 11.0%まで上昇 した。加えて米国内の景気悪化による失業者の増加、収入の減少等によりローン返済 が困難な借入者が多発し、07年6月ごろから今日にかけて約 180 万人のローン利用 客が破綻に追い込まれる状況となった。 しかし、富裕者を対象とするプライムローンは固定金利のため、金利上昇のリスク

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がなかったこと、比較的収入が安定していたこと等により今回の破綻には到っていな い。 ② 住宅ローン債権の証券化 サブプライムローンから6兆㌦、プライムローンから4兆㌦の合計10 兆㌦(約 1,060 兆円)が、銀行の貸出しから切離されて資産担保証券(RMBS)に組成され、機関 投資家に売却された。ところが、この資産担保証券が格付会社のAAAが額面通りで あれば問題がなかったが、住宅ローン借入者の経済的破綻、住宅価格の暴落による回 収難(競売価格の下落)等により資産担保証券の価格が急落し、これを購入した機関 投資家(銀行、保険、年金運用機関等)が巨額の損失を被ったのである。

3、住宅ローン債権の証券化

(1)証券化のスキーム では住宅ローン債権の証券化とは、どんな仕組みになっているのであろうか、住宅 ローンアドバイザーのために平易に解説する。 (図2)住宅ローン債権証券化の仕組み ③貸付債権・抵当権 ⑤信用格付 ④資金 ①貸付 ②抵当権 ⑥証券化 ⑦売却 ⑧景気悪化、金利高騰

⑨競売・立退き

60 兆円の損失発生

(図1)米国サブプライムローンと住宅市場 住宅ローン市場 20 兆ドル(2,300 兆円) サブプライムローン 健全な住宅ローン 10 兆ドル(1,060 兆円) 10 兆ドル(1,060 兆円) ② 内630 兆円 ② 内 420 兆円 資産担保証券(ABS) ③ 10 兆ドル(1,060 兆円) 住宅ローン 金融機関 債務者 米住宅貸付 抵当公社等 2 社 格付会社 資産担保証券 (RMBS) 日本の金融機関 欧州の金融機関 米国の金融機関 ローン返済焦付き 住宅価格値下がり 回収不能 証 券 価 値 下落

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① 住宅ローン貸付 米国サブプライムローン利用者は低額所得者で、日本では融資の対象にならないと 言われているが、米国では、この数年来住宅価格の値上がりが顕著で、購入⇒転売で 利益を稼ぐ利用者もあり、モーゲージブローカー(住宅ローン仲介人)の橋渡しによ って比較的貸付審査は甘いようであったと伝えられている。 更に米国では、取得した住宅を担保にクレジットカードを使用して、収入を考えな い消費がみられ、景気悪化・ローン金利上昇・失業者の増加等によってこうした債務 者の家計は一挙に破綻したようである。 ② 抵当権設定 ローン実行と同時に抵当権を設定するのは日本と変わりがない。異なるのは返済が 滞るような場合、日本では、変動金利の上昇のときは返済額を一定に保ちながら返済 期間の延長で対応するが、米国の場合こうした緩和措置がなく、延滞即立退・競売と なり、これが住宅価格の下落を招き資産担保証券の下落となった。 ③ ローン債権の売却 住宅ローン取扱金融機関は、長期の貸出を抱えることはリスクが大きいため、これ を資産担保証券(RMBS)に組成する連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅 貸付抵当公社(フレディマック)に売却し、自らの資産勘定から分離する。但し、売 却しても住宅ローンの回収業務は当初の取扱金融機関が行うこととなっているので、 ローン借入者には債権が売却されたことは分からないのは日本と同様である。 ④ 資金受取 住宅ローン債権の売却代金の回収で固定資産が流動性資産となり、金融機関にとっ てこれが新たな融資の原資となるので、更に業容の発展が期待される。 ⑤ 信用格付 住宅ローン債権はBIS規制によりリスクウエート(信用不安)が一般の融資に較 べて低いため、相対的に信用格付けは高いはずである。従って、米国格付け会社のト リプルAは単純に考えれば額面通りに受け取れるが、米国のサブプライムローンは、 融資審査をクリアできない対象者にローンの実行が大量になされ、これらのローンと 健全なローンを混成させ、外部には分からないようにして資産担保証券という金融商 品を開発した点に問題がある。 格付け会社がこうしたデリバティブ商品の仕組みを検証できなかったことが、被害 を大きく広げた原因とされている。 ⑥ 住宅債権の証券化 資産担保証券は、金融機関の貸出がリスクを伴うために、これを証券化して機関投 資家に買い取って貰う点に狙いがある。仕組みは1件1件の小口不動産の抵当権を寄 せ集めてロットの大きい抵当証券(資産担保証券)に組成し、資金に余裕のある機関 投資家に売却することで、金融機関の住宅ローン需要に対応したものである。 ⑦ 機関投資家に売却 機関投資家は、資金運用利回りの高い金融商品に投資し利ザヤを稼ぐ銀行、保険会

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社、年金基金等が挙げられ、今回の被害はこうした機関投資家の資金運用の失敗とし て注目されるが、信用格付けに騙された被害者とも言える。 ⑧ 景気悪化・金利高騰 米国内の景気停滞とそれに追い討ちをかけた住宅ローン金利の高騰で、その直撃を 受けたサブプライムローン利用客は、住宅価格が値上がり傾向にあった当初は、住宅 を売却して値上がり益をとり、買い替えで凌いできたが、住宅価格の急激な値下がり によってこの思惑が崩れ、破産に追い込まれた。 ⑨ 競売・立退き 住宅ローンの焦げ付きを抵当権の執行で代物弁済を求めるための競売は、住宅価格 の下落に一層拍車をかけた。これが更なる資産担保証券の価格下落となり機関投資家 の含み損を一層大きくさせるところとなった。 ⑩ 機関投資家の損失 米国の住宅価格はピーク時の 60%まで値下がりし全体で 6,000 億㌦(約 63 兆円) の損失が発生、08 年 9 月時点でも今後 10%の下げがあるとする見方が多いので、損 失額は更に増える見通しにある。

4、金融機関の破綻

今回のサブプライムローン問題で、住宅ローンアドバイザーが忘れてならないこと は、世界の大手金融機関が軒並み大きな被害を受け、自力で再建が出来なくなった点 である。また、サブプライムローンで自宅を購入した利用客は、約定通りの返済を出 来なかった加害者であるが、変動金利にリスクのあることを知らされていなかった点 では被害者でもある。 住宅ローンアドバイザーは、この世界的な金融危機に対して 20~30 年ローンを提供 する業者の立場から、世界の銀行が今どのような影響を受け対処しているのか、知っ ておくことが望まれる。 (1)公的資金の注入 ① 金融機関の救済ルールが確立 日米欧7カ国(G7)財務省・中央銀行総裁会議は 10 月 10 日会議を開き「銀行等 金融仲介機関が信認回復に向けて公的資金と民間資金の双方で資本増強できるように する」決議を行ったが、市場は「協議するだけでなくいつ実行するのか」懐疑的見方 が強く世界的に株価は暴落した。 危機感を募らせた欧米政府は 10 月 13 日、「公的資金注入の決定・早期実行の決議」 を行い、これを受けて市場は即日NYダウ工業株 30 種平均が過去最大の上げ幅をみせ、 14 日には日経平均が一時 1000 円を超えた先週の下げ幅から反発し、前場 1000 円を超 える上昇となった。また、円相場は先週 90 円台に突入したが 14 日には 102 円に下が り 100 円台に戻った。 今回の大きな収穫は、金融機関の破綻に対する救済のシナリオに各国政府が「迅速 に公的資金を自己資本に注入し経営破綻を食い止めた」ことである。つまり不良債権

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の買い取りだけでは買取価格が安いと金融機関の損失が膨らみ、債務超過に陥り破綻 する懸念があった。 ② 米英仏独4ヶ国が公的資金を資本に注入 10 月 13 日、英財務省が公的資金をロイヤル・バンク・スコットランド(RBS)、 HOBS、ロイズTSBの大手銀行3行に 370 億ポンド(約 6 兆 7000 億円)注入する と発表。また、仏政府は銀行救済策として 3600 億ユーロ(約 50 兆円)の公的資金の 注入を決めた。一方、独連邦議会も政府提案の銀行救済策として 5000 億ユーロ(約 70 兆円)を計上し、内 4000 億ユーロを政府保証の銀行資金繰り支援を発表した。 また米政府は 14 日、金融危機打開に向けた金融安定化策に基づき 7000 億㌦(約 70 兆円)の公的資金のうち 2500 億㌦(約 25 兆円)を銀行の資本注入に当てると発表し た。 ③ 日本では大和生命が経営破綻 10 月 10 日、国内生保ランキング 33 位の大和生命が有価証券の損失が拡大、08 年 9 月中間決算で 114 億円の債務超過となり、東京地裁に更生特例法を申請し受理され 経営破綻した。負債総額2,695 億円。原因は「高コストの本業を高利回りの有価証券 の運用で補填する特異な収益構造が主因で、他の保険会社とは状況が異なる」(日経 10/10 夕刊)ようで連鎖の心配はないという。しかし、問題なのは今回の米国型資産 担保証券(中身が分からない)の価格下落に歯止めがかからなければ、被害が更に大 きく膨らむ怖れがある。

5、住宅ローンの今後について

① わが国の住宅ローンの仕組み 米 国 サ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン の 破 綻 と わ が 国 住 宅 ロ ー ン は 同 一 に は 論 じ ら れ な い 点 が 5つある。 イ、 サブプライムローン利用客の米国と日本とでは客層が全く異なり、わが国で は融資審査をクリアできないこと。 ロ、 米国の利用者の生活パターンが住宅を担保に入れてクレジットカードで消費 を謳歌しているといわれるが、わが国では考えられないこと。 ハ、 米国では住宅の価格値上がり時に売却し、買い替えを進めながら利益を稼ぐ 習慣がわが国には皆無であること。 ニ、 サブプライムローンは変動金利であるのに対し、わが国のフラット35 は固定 金利であるので利用者に金利リスクは発生しないこと。一方、銀行自前の住宅ロ ーンで変動金利商品があるが、金利上昇時には返済期限延長で利用者の負担には ならないこと。 ホ、 米国サブプライムはノンリコースローンを採用し、金融機関が抵当権を実行 すると競売価格が融資元本を下回っていても回収が出来ないこと。 以上の違いは、わが国では米国型の住宅ローン担保証券の破綻は考えられないことで ある。

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② フラット 35 のローン金利の仕組み 住宅ローン金利の場合、フラット 35 は長期固定金利のため新規貸出し時に毎月改 定している。この場合、前月の 10 年利付国債利回りに、①資産担保証券(MBS) として購入する機関投資家の投資利益分、②住宅金融支援機構の手数料等が上乗せさ れて金融機関に提供される。金融機関は以上の調達コストに、③ローン販売手数料・ 回収手数料等を加算して翌月の住宅ローン申し込み客に提供する仕組みとなっている。 従って、長期国債利回りの見通しがどうなるかが一番の関心事となる。国債価格は 投資家が証券会社に売買を委託する取引所売買価格で決定される。景気が悪く投資家 が投資にシビアなときには価格は下がるが利回りは上がる。利回りが上がれば住宅ロ ーン金利も上がるのが常識的な見方である。9月 14 日~16 日の 10 年長期国債利回 りは 1.4%であったが 10 月 13 日では 1.5%に上昇しており、市場では 1.4~1.6%程 度で推移するとみており、年末に向けて長期金利は 1.8%まで上昇する見方が強いよ うである。 次に、フラット 35 の場合、住宅金融支援機構が住宅ローン債権を資産担保証券に まとめて販売するときに、機関投資家の投資利益分の上乗せ、住宅金融支援機構の業 務利益(事務コスト+利ザヤ)を加算して住宅ローン債権買取価格を決める。これを 受けて民間の住宅ローン取扱金融機関(りそな銀を含む地銀、信金、信組、労金等) は、販売手数料・回収手数料等を上乗せして新規申込客のフラット 35 固定金利が決 まる。10 月のフラット 35 住宅ローン固定金利は 2.77%で推移しているが、長期金利 の上昇があると3%を上回る見通しにある。 なお、現在フラット 35 を利用した住宅ローン取扱金融機関では、手数料の多少に よって実効金利に1%の開きが出ている。この点は住宅ローンアドバイザーとしてお 客様にキチンとした説明が出来るようにしたいものである。 (08/10/14 土師清次郎)

参照

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