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化学プロセスの最適化問題

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化学プロセスの最適化問題

西尾雅年・城子克夫・梅田富雄

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1

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はじめに 化学プロセスは所与の原料から,より付加価値 の高い製品を物理的,化学的な各種操作によって 経済的に製造するシステムであり,中心的な役割 を果たす生産設備および原料,製品の入出荷設 備,熱,動力,水などを供給する用役設備を含ん でいる. 化学プロセスの計画,設計,運用に関する各種 問題を数理計画的な観点から分析してみると,一 般にそれらは各種制約条件を満足する独立な決定 変数を,所定の評価関数が最大または最小となる ように決定する問題とみることができる.問題が 定式化されれば,数理計画法の適用によって所望 の解を得ることが期待されるが,観点を変えれば 数理計画法が適用可能なように問題を巧みに定式 化しなければならないことに留意する必要があ る.すべての計画,設計,運用業務が数値計算に よって実施されるわけで、はないので)必然的に一 部の計画,設計,運用業務だけが数理計画問題と して取り扱われることになる. ここでは,まずプロセスの設計と運用について 概説し,数理計画法の応用面からどのような問題 が数理計画の対象となるかについて触れたのち, 最近の研究成果の一端として「化学プロセスの最 にしおまきとし,しろこ かつお,うめだ とみお 千代田化工建設

3

4

4

適燃料供給システムの決定」について紹介する.

2

.

化学プロセスの設計と運用 化学プラントに代表される生産設備は反応,分 離,混合などの単位操作を行なう装置が有機的に 結合されたシステムであり,入荷設備から供給さ れる原料を,用役設備から各種操作に必要な水, 蒸気,電力などの供給を受けて製品に変換するも のであるといえる.多くの化学プラントは,原料 から製品にいたる物質の流れが連続的であり,原 料の入荷や製品の出荷が断続的に行なわれる場合 には,プラントの連続処理とのギャップを調整す るための貯蔵設備が必要になる.図 1[ 1 ]は,こ れらの設備と物質およびエネルギーの流れについ ての関係を概念的に示したものである.化学プラ ントの設計にあたり,生産設備とその他の設備と の関係から種々の制約条件が課せられ, トータ ル・システムのなかの生産設備として整合性のあ るシステムを設計する必要がある.基本計画段階 で化学プラントの設計条件が決定され,プロセス の基本設計,詳細設計,構成機器や配管の設計, 制御システムの設計などを経て一連の設計作業が 終了する.図 2

[2

]は,プロセス設計の作業系統 を示したものであり,意思決定の内容としてはシ ステムの構造に関するものと,システムの構成要 素の特性に関するものより構成されていると考え ることができる.費用・効果分析の観点から化学 プロセスをながめると,プロセスシステムの効果

(2)

は設計および運用の両段階において決定されるの で,システムの多面的な評価尺度を設定し,設 計,運用の目標を明らかにする必要がある. 化学プロセスの設計および運用問題を,設定さ れた評価関数を最大または最小になるよう独立変 数を決定する最適化問題としてとらえることがで 設計条件の設定 プロセスシステムの合成 「一一一吋 l プロセスシステムの静特性解析

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(物質,エネル¥ー,運動量収支) !単位操作機器の凡計

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コントロールンステムの合成 (計器配置,警報ンステムを含む) 更

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i システムの動特性解析 i コントロールユニソトの設計 『一一一一, 一・+パラメータの変更 ー+主ノレート システム構造,ユニット設計 結果のまとめ 図 S プロセスシステムの合成,解析,最適化 1982 年 6 月号 基本計画 プロセスプラント 詳細設計 図 2 プロセス設計作業系統図 きるが,通常の設計手順を考慮し運用に関す る諸問題を内蔵した形のサブ問題により構成 すると,図 3[3J に示す関連図が得られる. 個々の設計,運用業務の内容を支配するもの はそれぞれの固有技術であり,これらが個々 の評価関数を設定し,固有技術の数式表現の 結果を制約条件の一部としてこれを満足しな がら評価関数を最適にするよう個々の設計ま たは運用に関する意思決定を行なうことにな る.数理計画問題としてこれらの個別の設計 または運用問題を定式化し,最適解を求める ことの可能性が理解されることと思う.国有 技術の数式表現にあたって経験的な要素をい かにして取り扱うかは重要な課題の l つとな る. (39)

3

4

5

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(3)

表 1 プロセスシステムの最適化における各種の特徴

立場[長適問題「目的関数|制約条件|激減!状

態|代表的手法|決定のレベル

言十 画 線 形 線 形 大 定 常 線形計画法 上 位 設計 設 計 非線形 非線形 定 常

探非線形索計画法

下 位 運用計画 線 形 線 形 大 非定常 線形計画法 上 位 運用

変もと分づ原く理方法

運 用 非線形 非線形 非定常 下 位 表 2 プロセス設計,運用における数理計画法の主要応用分野 ヒューリス

一日i\ 技法

分解原理 ¥ ¥ 、~ー~、、、一、ティ・y クス システム構成要素の決定 。 大規模システムの構成 基本システム構造の決定 。 反応,分離システムの構成 。 熱交換システムの構成 。 単位操作機器の設計 。 システムの運転条件の決定 コ γ トロールシステムの構成 。 コントロールユエットの設計 。 起動停止システムの構成 。 システムの異常診断 システムの高信頼度設計 。 システムのデータ処理

3

.

プロセスの最適化の手法と応用分 野 [IJ[3J[4J[5J 。 。 。 。 定式化された最適化問題を解く場合,問題の内 容によって採用すべき最適化手法が異なるが,最 適化手法の選定に当っては問題を次の各項目に着 目して分析すればよいと考えられる.

(

1

)

静的システムか動的システムか (め線形システムか非線形システムか

(

3

)

制約条件(不等号,等号)があるか否か 仏) システム構造が複雑か否か

(

5

)

システムの規模(独立変数の数)が大きい か否か 表 1 は,プロセスシステムの計画,設計,運用 の各段階において,最適化問題の特徴を手法の選 択を行なう意図からまとめたものである.従来比 較的多く取り扱われてきたものとして,線形計画 法によるリファイナリ(製油所)生産設備計画お

警整(組のむ数合処)計せ理蘭間を

寺轄藷

グラフ・ネ 線形計画 動的計画 ットワーク 理論 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 よび生産計画,探索法を用いた個別プロセスシス テムの最適設計および最適運転をあげることがで きる.表 2[6J は,代表的な数理計画法と図 3 に 含まれるサプ問題とを関連づけたものである. 表 2 に示した各種問題に対する数理計画の応用 は,これまで必ずしも成功しているとは言い難い. その理由の 1 っとして数理計画法の応用は複雑な 問題に対して必要であるにもかかわらず,複雑な 問題に対する数理計画法による定式化がしばしば 難解であるうえに,最適解に対する物理的解釈が 自明でないことである.ヒューリスティッグス(経 験または一般則)を利用したプロセスの固有技術 による取り扱いが依然として多くみられるのは, 結果に対する物理的解釈が比較的容易である点に ある.固有技術によるアプローチと数理計画法に もとづくアプローチの適当な組合せが,さらに検 討される必要があると思われる.

(4)

数理計画法に着目して,特 定の問題が解けるよう問題を 分析し定式化されるために は,分解原理にもとづくシス テムの分割,元問題の分解, マルチレベル的接近の採用な どが必要である.元問題は一 般に複雑,異質なものの集合 であることが多く,巧妙にサ プ問題に分解し構造化がなさ れれば,数理計画法が適用可 能となり,同じ問題に複数の 解き方が見い出し得る.現実 問題に仮定を設けて数獲計画 法の適用を可能にすることも 多いが,得られる解を現実的 な解の近似値として検討の対 象にするか,仮定の除去法をアルゴリズムとして 組み込んだ形で数理計画法の適用を考え,より現 実的な解を求めるようにするかなどの配慮が必要 不可欠になる. I

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化学プロセスの最適燃料供給システ ムの決定

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1

問題の配述 化学プロセスに供給される燃料は,反応に使用 される他は大部分,プロセス加熱用加熱炉に使用 されるものと用役設備としてのボイラーで使用さ れるもので占められている.ボイラーで発生され るスチームは,一部プロセス注入用等を除いてス チームターピ γ による動力発生およびプロセス加 熱用に利用される.このように燃料は,最終的に は加熱需要,動力需要を賄うために供給されてい るといえる.それでは加熱需要,動力需要が与え られた場合,燃料をどのように加熱炉とボイラー へ供給配分するのがよいだろうか. 従来高温の熱負荷に対して加熱炉を用いていた が,昨今のエネルギ一事情により加熱炉の効率向 1982 年 6 月号 動力需要 コンデンセート 図 4 エネルギーフローダイヤグラム 実線:燃料,スチーム,純水,コンデ γ セート 破線:加熱負荷 一点鎖線:動力負荷 上,あるいは他の加熱方式の選択などが検討され ている.高温の加熱負荷に対してボイラーで発生 ずるスチームを用いるスチーム加熱方式は,これ までボイラーの高圧化の技術的問題と装置費用の 面からあまり用いられていなかったが,上述のご とく見直されてきている.特に背圧タービン方式 による動力と熱を同時に供給する方式は,エネル ギー効率上きわめて好ましいことが予想される. 以上の観点から燃料の供給配分問題を取り上げ, 定式化を行ない解法を提示する. いま 2 種の加熱需要 Hl> H2' スチーム需要 H8 および動力需要 W が与えられた場合の設備相 互関連図を図 4 に示す.加熱需要 Hl> H2に加熱 (41)

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4

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(5)

可能解のセット X6

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(6)

生用凝縮ターピンのために供給される燃料を X6 , とする時,燃料最適供給問題は以下のごとく定式 化される.

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4

.

2

問題の解法 上述の問題は線形計画法 (L P) を用いて解く ことが可能である.通常 LP で定式化された問題 は,与えられた条件下で LP コードを用いて数値 解を得る方法を取る.条件が異なるケースに対し ては,パラメトリックスタディを行ない組織的に 解を得ることができるが,あくまでも特定的な最 適結果を与えるにすぎず,しかも他の可能解を同 時に提示することはない.特定の条件下で数値解 を得る代わりに,任意の条件に対して一般解を求 め分岐構造に解を整理する方法が次元の少ない L P 問題に対して報告されているが[ 7],上記問題 に対して適用すると非常に多岐(1 81 本)に分れた 樹木構造となり実用性メリットは少ない. 表 3 に示す解は,問題の本質的解析にもとづき 導出した一般可能解である.これらの解の中に任 意の条件に対する最適解が存在することは,線形 計画法の性質にもとづき保証されるが,可能解は 単に制約条件を満たしているにすぎない.ここで 等号付制約条件は制約条件式 (1 )-(4) が満足され ねばならないこと,不等号制約条件は変数が正で なければならないことからそれぞれ求められる. 表 3 に示した可能解を加熱需要および動力需要 の大きさによって可能解を分類すると,表 4 のよ うに表わされる.最適なケースの決定は各領域に おける可能解の比較によって行なわれることにな るが,この方式による解の提示の利点は,需要に 対応した解の構造が明確で、あり代替案との比較が 容易である点にある.現実に,システム選定は省 エネルギー以外の評価項目を考慮した総合評価に もとづいて行なわれることになるので,このよう な可能解の整理は有効と思われる.

4

.

3

数値例 上で示した方法の例題として,典型的な加熱お よび動力需要が与えられた場合,すなわち動力需 要にくらべて加熱需要が多い場合(領域 1 )および 加熱需要にくらべて動力需要が多い場合(領域 V) 表 4 需要の大きさによる可飽解の分類

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(1司 1982 年 6 月号 © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. (43)

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署長事 例露援のパラメータ綴および計算結果

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AICHE 74th Annual

表 1 プロセスシステムの最適化における各種の特徴 立場[長適問題「目的関数|制約条件|激減!状 態|代表的手法|決定のレベル 言十 画 線 形 線 形 大 定 常 線形計画法 上 位 設計 設 計 非線形 非線形 定 常 探非線形索計画法法 下 位 運用計画 線 形 線 形 大 非定常 線形計画法 上 位 運用 運 用 非線形 非線形 非定常 変もと分づ原く理方法に 下 位 表 2 プロセス設計,運用における数理計画法の主要応用分野 ヒューリス 一日i\ 技法¥  ¥  、~ー~、、、一、 ティ・y クス

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2013