行政行為の遮断効―「違法性の承継」問題を手掛か
りに
著者
高木 英行
著者別名
Hideyuki Takagi
雑誌名
東洋法学
巻
57
号
3
ページ
37-66
発行年
2014-03-31
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006480/
第一章
はじめに
行
政
行
為
(行 政 処 分)は
た
と
え
違
法
で
あ
っ
て
も、
原
則
と
し
て、
取
消
訴
訟
を
通
じ
取
消
さ
れ
な
い
限
り
有
効
で
あ
り
続
け
る
(行 政 事 件 訴 訟 法[以 下「行 訴 法」 ] 三 ( 1) 条)。
行
政
法
総
論
で
言
う「行
政
行
為
の
公
定
力」
で
あ
り、
行
政
救
済
法
で
言
う
「取
消
訴
訟
の
排
他
的
管
( 2)轄
」
で
あ
る。
ま
た
取
消
訴
訟
は、
原
則
と
し
て、
違
法
な
行
政
行
為
を
受
け
た
こ
と
を
知
っ
た
日
か
ら
六
カ
月
以
内
に
提
起
せ
ね
ば
な
ら
ず、
そ
れ
を
過
ぎ
る
と
も
は
や
争
え
な
い
(行 訴 法 一 四 条)。
同
じ
く「行
政
行
為
の
不
可
争
力」
で
あり、
「取消訴訟の出訴期間」である。
かかる行政行為の「特殊な効力」としての公定力・不可争力、ないしは、取消訴訟の「制度的効果」としての排
他
的
管
轄・
出
訴
期
間
(以 下 適 宜「公 定 力(排 他 的 管 轄) 」・ 「不 可 争 力(出 訴 期 間) 」 と 記 ( 3) す)に
関
わ
っ
て、
「違
法
性
の
承
継」
問
題
が
あ
る。
「先
行
行
政
行
為」
の
違
法
性
を
――
通
常
そ
の
取
消
訴
訟
の
出
訴
期
間
が
徒
過
し
た
段
階
で
の
――「後
続
行
《 論 説 》行政行為の遮断効
――
「違法性の承継」問題を手掛かりに
髙
木
英
行
政
行
為」
取
消
訴
訟
の
中
で
主
張
し
う
る
か
否
か
と
い
う
解
釈
問
題
で
あ
( 4)る
。
最
判
平
成
二
一
年
一
二
月
一
七
日
(民 集 六 三 巻 一 〇 号二六三一頁: 「二一年最 ( 5) 判」 )は、最高裁として初めて違法性の承継を正面から「肯定」し
( 6)た
。
学説では違法性の承継が例外的に肯定されるための判断基準を中心に、議論が活発に展開してきてい
( 7)る
。他方で
違法性の承継が原則として否定され
( 8)る
論拠に関しては、さほど議論が深められてきていない。もちろん救済の成否
に直結するという意味での解釈論的実益からすれば、判断基準に焦点が置かれることも妥当ではあ
( 9)る
。しかし違法
性
の
承
継
を、
公
定
力
(排 他 的 管 轄)・
不
可
争
力
(出 訴 期 間)と
の
関
係
で
い
か
に
理
解
す
る
か
と
い
っ
た
理
論
的
な
考
察
も
必
要となってきているのではないか。
そこで本稿では、違法性の承継が
原則として否定される論拠
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0に着目して考察し、またこの考察を手掛かりに、公
定
力
(排 他 的 管 轄)・
不
可
争
力
(出 訴 期 間)両
概
念
に
係
る
再
検
討
の
余
地
を
模
索
す
る。
以
下
公
定
力
説
(第 二 章)、
遮
断
効
果
説
(第 三 章)、
不
可
争
力
説
(第 四 章)と
学
説
展
開
を
検
討
す
る。
こ
れ
ら
一
連
の
検
討
を
通
じ
て、
公
定
力
(排 他 的 管 轄)・
不
可
争
力
(出 訴 期 間)に
共
通
す
る「遮
断
効」
の
あ
り
よ
う
を
浮
き
彫
り
に
す
る。
さ
い
ご
に
若
干
の
概
念
整
理
を
試
み、
今
後
の研究課題を指摘する
(第五章)。
第二章
公定力説
伝統的に違法性の承継否定の論拠として公定力が挙げられてきた。本章では戦前戦後のこの公定力説の推移を検
討する。
第一節
戦前
美
濃
部
達
吉
( 10)氏
は、
「数
個
の
行
為
が
相
連
続
し
て
一
の
手
続
を
な
し、
そ
の
結
合
に
よ
っ
て
そ
の
目
的
た
る
特
定
の
法
律
的
効
果
を発生する場合と、数個の行為が各々別個の目的を有し、たとえその効果において相関連するとしても、各個の行
為
が
独
立
に
そ
の
効
果
を
生
ず
る
場
合」
を
区
別
し、
前
者
で
は
違
法
性
の
承
継
を
認
め
る
べ
き
だ
が、
後
者
で
は「そ
の
行
為
[髙 木 注: 後 行 行 為]自
身
の
適
法
性
を
争
い
う
る
に
と
ど
ま
り、
そ
の
他
の
行
為
[同 注: 前 行 行 為]は
公
定
力
を
も
っ
て
効
力
が
確
定
し
て
い
る
も
の
で
あ
る
か
ら、
行
政
裁
判
所
も
そ
の
行
為
[同 注: 前 行 行 為]の
適
法
性
を
審
理
す
る
権
限
な
く、
し
た
が
っ
て
他
の
行
為
[同 注: 前 行 行 為]の
違
法
な
る
こ
と
を
も
っ
て、
行
政
訴
訟
の
理
由
と
な
し
う
べ
き
も
の
で
は
な
い。
」
と
し
て、
違
法
性の承継を否定する。
こ
こ
で
美
濃
部
説
は、
今
日
の
違
法
性
の
承
継
に
係
る
通
説
的
判
断
基
準
(以 下「同 一 性 基 準」 )を
提
示
す
る
一
( 11)方
、
原
則
否
定
の
論
拠
と
し
て
公
定
力
を
持
ち
出
( 12)す
。
た
だ
し
美
濃
部
氏
は、
「国
家
意
思
の
優
越
( 13)性
」
と
そ
れ
に
基
づ
く「適
法
性
の
推
定」
の
考
えを媒介
( 14)に
、行政行為のみならず
それ以外の行政庁の活動にも
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0公定力を認めるのだか
( 15)ら
、今日の公定力概念と射程
が
異
な
( 16)る
。
ま
た
美
濃
部
説
は、
司
法
裁
判
所・
行
政
裁
判
所
と
い
う
二
元
的
裁
判
所
制
度
(大 日 本 帝 国 憲 法 六 一 ( 17) 条)並
び
に
出
訴
事
項
の
制
限
列
挙
主
義
(行 政 裁 判 法 一 五 条、 明 治 二 三 年 法 律 一 〇 六 号、 行 政 庁 ノ 違 法 処 分 ニ 関 ス ル 行 政 裁 判 ノ ( 18) 件)の
下
で
の議論であって、今日の違法性の承継論と前提も異な
( 19)る
。
第二節
戦後
田
中
二
郎
氏
は、
行
政
行
為
を、
「行
政
庁
が、
法
に
基
き、
公
権
力
の
行
使
と
し
て、
人
民
に
対
し、
具
体
的
な
事
実
に
関
し
法
律的規制をなす行
( 20)為
」と定義し、私法行為と比較したその性質を「実定行政法秩序全体の構造」に求め
( 21)る
。その性
質
の
中
で
も「公
定
力」
は、
「行
政
行
為
が
違
法
の
行
為
で
あ
る
に
拘
ら
ず、
権
限
あ
る
機
関
に
よ
る
取
消
の
あ
る
ま
で、
一
応、
適法の推定を受け、相手方はもちろん、第三者も国家機関も、その効力を否定することを得ない効
( 22)力
」である。
他
方
で
違
法
性
の
承
継
に
つ
き
い
わ
く。
「相
連
続
す
る
二
以
上
の
行
為
が
結
合
し
て
一
の
法
律
的
効
果
の
発
生
を
め
ざ
し
て
い
る
場
合
(例 え ば 買 収 計 画 の 決 定 と 買 収 処 分、 滞 納 処 分 と し て の 財 産 の 差 押 と 公 売 処 分 等 々)に
は、
違
法
性
の
承
継
を
認
め
る
べ
き
で
あ
り、
各
行
為
が
そ
れ
ぞ
れ
一
応
別
個
の
法
律
的
効
果
の
発
生
を
目
的
と
す
る
独
立
の
行
為
で
あ
る
場
合
(例 え ば 町 村 議 会 に お け る 歳 入 出 予 算 の 議 決 と こ れ に 必 要 な 町 村 税 の 賦 課、 租 税 賦 課 と 租 税 の 滞 納 処 分 と の 間)に
は、
先
行
行
為
の
違
法
性
の
承継は認められないと解すべきであろ
( 23)う
」。
このように田中説は、美濃部説の同一性基準を踏襲する一
( 24)方
、原則否定の論拠に関しては詳らかではない。美濃
部説同様「公定力」を念頭に置くと推察されるが、そうだとすると両説間での公定力の用語法や説明の相違、また
戦前戦後の裁判制度の相違――二元的裁判所制度を廃止する日本国憲法七六条や、出訴事項に関し一般概括主義を
採用する行政事件訴訟特例法の制定等――を踏まえ、いかなる議論の相違が生じうるのか疑問も浮か
( 25)ぶ
。
第三節
小括
以上美濃部説から田中説へと学説の継承過程を中心に、違法性の承継否定の論拠としての公定力説の展開をみて
き
た
が、
今
日
で
も
同
説
は
根
強
( 26)い
。
例
え
ば
櫻
井
敬
子
=
橋
本
博
之
両
氏
は、
「後
続
処
分
に
お
い
て
先
行
処
分
の
違
法
性
を
主
張
す
る
こ
と
が
遮
断
さ
れ
な
い
と
す
る
と、
違
法
性
が
後
続
行
為
に
承
継
さ
れ、
先
行
処
分
の
公
定
力
が
実
質
的
に
否
定
さ
れ
て
し
ま
( 27)う
」
と
指
摘
す
る。
し
か
し
問
題
は、
「実
質
的
に」
否
定
さ
れ
る
こ
と
の
意
味
で
あ
る。
ま
た
兼
子
仁
氏
は、
「『違
法
性
の
承
継』
が認められない限り、取消争訟期間を過ぎた営業停止処分の適法性とその効果を、許可取消処分の取消訴訟におい
て
争
う
こ
と
は、
先
行
処
分
の
公
定
力
に
反
す
る。
」
と
指
摘
す
( 28)る
。
し
か
し
問
題
は、
公
定
力
に
よ
り
違
法
性
の
主
張
ま
で
も
禁
じ
られるのかととも
( 29)に
、違法性の承継否定の論拠として不可争力
(出訴期間)と公定力
(排他的管轄)との関係をどの
ように考えるかである。以下これらの点にも留意し、公定力説以外の学説を検討していく。
第三章
遮断効果説
違法性の承継否定の論拠として、公定力説の課題点を明らかにしつつ登場してきたのが、小早川光郎氏の「遮断
効果」説であ
( 30)る
。本章では同説の展開を検討する。
第一節
公定力と遮断効果
小
早
川
氏
は、
「本
案
の
請
求・
抗
弁
ま
た
は
そ
の
先
決
問
題
に
つ
い
て、
行
政
庁
が
す
で
に
行
政
行
為
(確 認 行 為)に
よ
り、
ま
た
は
行
政
行
為
を
な
す
前
提
と
し
て
認
定
判
断
を
下
し
て
い
る
場
合
に、
右
行
為
の
取
消
が
な
く
て
も、
当
事
者
お
よ
び
裁
判
所
が、
そ
れ
と
異
な
る
主
張
お
よ
び
判
断
を
な
し
う
る
か」
を「行
政
行
為
の『遮
断
効
果』
」
問
題
と
呼
( 31)び
、
そ
の
具
体
例
と
し
て
違
法性の承継問題を挙げ、
「実体法上の先決関係の有無」と「手続法的な考慮」に基づく判断基準を提示す
( 32)る
。
ま
た
違
法
性
の
承
継
否
定
の
論
拠
に
つ
き、
「滞
納
処
分
に
対
す
る
訴
訟
に
お
い
て
課
税
要
件
の
誤
認
が
原
則
と
し
て
滞
納
処
分
の
違法事由にならないということは、課税処分の本来の効果をのちの訴訟において通用せしめる公定力とは別個の、
課税要件の存否の主張に関する遮断効果が課税処分に結びつけられてい
( 33)る
」結果と解すべきで、一般に「行政行為
には、その具体的効果の通用力としての公定力のほかに、そこで行政庁によって下された認定判断についての遮断
効果をも認めることに合理性の認められる場合があり、また、現在通用している解釈論でも、このような遮断効果
の承認されている場合があ
( 34)る
。」と指摘する。
このように小早川説は、同一性基準とは異なる判断基準を提示するとともに、違法性の承継否定の論拠も公定力
で
は
な
く
遮
断
効
果
に
見
出
す。
そ
し
て
同
説
は、
「取
消
訴
訟
手
続
の
排
他
性」
が「行
政
行
為
の
遮
断
効
果
の
一
般
的
承
認
を
も
帰結する」論理必然性はなく、遮断効果の有無は「現行取消訴訟手続の制度的な仕組に対して考慮を払いつつ、行
政
上
の
必
要
と
権
利
救
済
の
要
請
と
の
機
能
的
な
調
和
の
見
地
か
ら
判
断
さ
れ
る
べ
き」
で、
「い
か
な
る
種
類
の
行
政
行
為
に
つ
き、いかなる種類の請求・抗弁との関係で遮断効果が認められるかは、それぞれの場合の関係法規の解釈によって
決
せ
ら
れ
る
べ
き」
と
主
張
す
( 35)る
。
例
え
ば
課
税
処
分
に
つ
き
違
法
性
の
承
継
が
認
め
ら
れ
な
い
理
由
は、
「課
税
要
件
の
存
否
に
関
す
る
争
の
早
期
確
定
と
滞
納
処
分
手
続
の
安
定
を
考
慮
し
て、
滞
納
処
分
取
消
訴
訟
に
お
い
て
は」
、
実
体
法
上
先
決
関
係
が
あ
っ
て
も「課税要件不存在の主張をもはや許さないとする政策的選択」が採られている結果にあ
( 36)る
。
こ
う
し
て
同
氏
は、
「取
消
訴
訟
手
続
の
排
他
性」
に
由
来
す
る
公
定
力
と、
関
係
法
規
を
も
踏
ま
え「個
別
的
に
追
求
し
て
い
く
こ
と
が
必
要」
な
遮
断
効
( 37)果
と
を
区
別
す
る。
た
だ
し
同
氏
は、
「行
政
行
為
の
実
体
法
的
効
果
の
通
用
力
と
し
て
の
公
定
力
の
存
在
が一般的に肯定される以上、行政行為の遮断効果もその限度では包括的に承認されている」と、両者が重なる余地
を
認
め
て
い
わ
( 38)く
。「あ
る
行
政
行
為
の
効
果
の
通
用
の
否
定
が
妨
げ
ら
れ
る
と
い
う
こ
と
は、
当
該
行
為
の
要
件
の
欠
如
に
つ
い
て
のあらゆる主張――当該行為を違法とする主張――が妨げられることにほかならず、その意味で、いかなる行政行
為であれ、当該行為の実体法的効果の通用の有無が先決問題となるすべての訴訟に対する関係で、遮断効果を認め
られることにほかならない。問題は、右の限度を越えて遮断効果がそれ以外の訴訟に対しても認められるか否かに
あ
( 39)る
。」
以
上
の
分
析
を
踏
ま
え
同
氏
は、
「一
方
で、
学
説
判
例
上
一
般
的
に
認
め
ら
れ
て
い
る
公
定
力
が、
行
政
行
為
の
厳
密
な
意
味
に
おける法律効果の通用力以上のものではないことを明確にすると同時に、他方、機能的にそれを補うものとしての
行政行為の遮断効果を、公定力とは別個のものとして観念し、その有無および範囲を先決問題の種類ごとに検討し
ていく必要があると考える。そのような区別を認識したうえで、この遮断効果をも公定力の内容ないし効果に含ま
しめるか否かは、もとよりことばの問題というべ
( 40)き
」と指摘する。
かくして小早川説の意義は、従来「公定力の範囲」の問題として、公定力に従属して論じられてきた違法主張に
関わる問題部分を取り出し、それを「遮断効果」として新たに構成し直した点にあると言えよう。次節では小早川
説を受けた学説展開をみていく。
第二節
公定力の概念規定
高野修
( 41)氏
は、取消訴訟の排他的管轄が「行政行為の効力を否定する場合か行政行為を違法と認定する場合をも含
む
か」
問
題
提
起
し
た
上
で、
「取
消
訴
訟
の
排
他
的
管
轄
が
行
政
行
為
の
法
効
果
を
取
り
消
す
場
合
の
問
題
で
あ
る
と
な
る
と、
違
法性の承継の問題は、その内容のとらえ方によっては、取消訴訟の排他的管轄の問題ではない」との理解の余地を
指
摘
す
る。
し
か
し
同
氏
は
こ
の
限
定
的
な
理
解
を「表
面
的
に
す
ぎ
る」
と
し、
違
法
性
の
承
継
問
題
が、
「裁
判
所
が
本
案
判
決
に
必
要
な
限
り
で
先
決
問
題
判
断
と
し
て
先
行
行
為
の
効
果
を
否
定
す
る
こ
と」
「を
も
取
消
訴
訟
の
排
他
的
管
轄
の
範
囲
に
含
ま
せ
るのか否か」といった行訴法の解釈問題であるとする。
そ
の
上
で
同
氏
は、
小
早
川
説
が、
「排
他
的
管
轄
に
留
保
さ
れ
て
い
る
の
は
法
効
果
の
否
定
か
違
法
性
主
張
か
の
議
論
に
つ
い
て、法効果の否定の立場のように窺えるが、そうではなく、法効果の通用の否定につながるあらゆる違法性の主張
が
遮
断
さ
れ
る」
見
解
で、
「行
政
行
為
の
公
定
力
の
か
か
る
範
囲
を
個
別
の
行
政
行
為
ご
と
に
解
釈
に
よ
っ
て
得
ら
れ
た『本
来
の
法効果』に限定し、必要な場合に関係法規の解釈によって『遮断効果』を導き出す」考えと分析す
( 42)る
。
つぎに藤田宙靖
( 43)氏
は、公定力を「正規の取消手続外で行政行為の効果を否定する権能」に関わる概念と解する限
り、
「違
法
性
の
承
継」
は「
『公
定
力』
の『限
界』
な
い
し『例
外』
で
は
な
く、
理
論
的
に
全
く
独
自
の
法
現
象」
と
指
摘
す
る。そこでこの場合に問題となる、取消制度の排他性の効果に関しては、
「『公定力』とは別の名称を与える必要が
生
じ」
る
が、
小
早
川
説
は「行
政
行
為
の
遮
断
効
果」
と
い
う
言
葉
を
与
え
る
と
す
る。
そ
し
て
藤
田
氏
も、
「行
政
行
為
を
め
ぐ
る
様
々
な
法
的
効
果
に
つ
い
て
そ
の
相
互
の
理
論
的
な
関
係
を
で
き
る
限
り
明
確
に
す
る
た
め」
、「
『公
定
力』
の
概
念
に
関
し
て
も
その輪郭をできるだけ明確にした方が望ましい。
」との問題意識に立ち、以下の整理を提案する。
「
i)
行
政
行
為
の
違
法
性
0 0 0一
般
で
な
く、
効
果
0 0の
有
権
的
認
定
の
み
に
関
わ
る
概
念
で
あ
っ
て、
か
つ、
ii)
行
政
行
為
の
実
体
法
的
効果が及ぶ範囲内でのもの、という、最狭義の公定力概念を、一応明確に確立しておく必要がある」
。「但し、この
意味での公定力概念には入らないような『取消制度の排他性』の効果の場合でも、それらが法解釈論上認められる
理由は、行政庁の事実認定・法的判断等を他の国家機関等は一応尊重するのが合理的である、という実践的な判断
によるのであって、この点において右の最狭義の公定力概念とさしあたっての共通性を持つことは疑い無いから、
こ
の
点
に
重
点
を
置
く
限
り、
右
の
よ
う
な
最
狭
義
の
公
定
力
概
念
と
並
び、
『取
消
制
度
の
排
他
性』
の
効
果
一
般
を
広
く
含
め
た
広義の公定力概念を用いることにも
(右の理論的関係が明確にされている限り)、それなりの合理的な理由が認められ
( 44)る
」。
かくして小早川説を受け学説では、法効果の取消しを阻害する意味での公定力と違法主張を認めない意味での遮
断効果との区別を明らかにする一
( 45)方
、狭義・広義等の概念規定を通じて遮断効果を再び公定力概念へ統合する議論
も
展
開
さ
れ
て
き
て
い
る。
そ
し
て
近
時
小
早
川
氏
も
関
連
し
て
い
わ
く。
「筆
者
は、
か
つ
て、
こ
れ
[髙 木 注: 課 税 処 分 に 係 る不 当 利 得 返 還 請 求 が 認 め ら れ な い こ と]