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処分性の解釈と行政過程の構造分析 : 労災就学援護費不支給決定事件を素材に 利用統計を見る

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(1)

処分性の解釈と行政過程の構造分析 : 労災就学援

護費不支給決定事件を素材に

著者名(日)

高木 英行

雑誌名

東洋法学

54

3

ページ

1-29

発行年

2011-03-29

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00000800/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

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第一章   はじめに   近年最高裁は、処分性 (行政事件訴訟法三条二項) を拡張的に解釈し、取消訴訟等の提起を柔軟に認める判例を打 ち出してきている。これら処分性拡大判例をめぐっては、その賛否をはじめ様々な議論が展開してきている。本稿 も処分性拡大判例について考察するのであるが、これまで提起されてきた論点を網羅的に考察するものではない。 むしろ本稿は、もっぱら、処分性拡大判例を通じて見出される「仕組み解釈」と言われる解釈手 ( 1) 法に焦点を当て、 かつ、その手法の背景にある「認識枠組み」が何であるのかという問題意識からの考察にとどめる。というのもこ のような考察をすることによって、処分性拡大判例に内在している、行政救済法にとどまらない、行政法総論にも 関わりうる理論的含意が見えてくるのではないかと考えるからであ ( 2) る。   しかしこのように論点を絞るとはいえ、本稿のみで処分性拡大判例すべてを対象とした考察をすることは、筆者 1 《 論    説 》

処分性の解釈と行政過程の構造分析

――

労災就学援護費不支給決定事件を素材に

 

  

 

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の能力からも紙幅の都合からもできかねる。また筆者は、すでに一部の処分性拡大判例を対象に不十分ながらも考 察 を し て き て い 3) る。 そ こ で 本 稿 は、 処 分 性 拡 大 判 例 の な か で も 労 災 就 学 援 護 費 不 支 給 決 定 事 件 最 高 裁 判 決 (最 判 平 成一五年九月四日:判時一八四一号八九頁、以下「本判決」 ) に対象を絞って、そこでの解釈手法を検討するとともに、 その背景にある認識枠組みを考察する。以下本稿の構成は、第二章で事実の概要と本判決の内容とを紹介し、第三 章で解釈の筋道を分析する。また第四章では、この分析結果を手掛かりに、かつ、学説の議論を踏まえながら、本 判決の解釈手法と認識枠組みに迫っていく。第五章では以上の考察結果をまとめ今後の研究課題を提示する。 第二章   判決の概要   労 働 者 災 害 補 償 保 険 法 (平 成 一 一 年 法 律 第 一 六 〇 号 に よ る 改 正 前。 以 下「労 災 法」 ) に 基 づ く 遺 族 補 償 年 金 受 給 権 者 で あ る 原 告 (控 訴 人、 上 告 人) は、 被 告 中 央 労 働 基 準 監 督 署 長 (被 控 訴 人、 被 上 告 人) に 対 し、 外 国 の 大 学 に 進 ん だ 自 ら の 子 の 学 資 に 係 る 労 災 就 学 援 護 費 (以 下「援 護 費」 ) の 支 給 申 請 を し た と こ ろ、 被 告 は 同 大 学 が 援 護 費 の 支 給 対 象 と な る 学 校 教 育 法 一 条 所 定 の 学 校 に 当 た ら な い と し て 支 給 し な い 旨 の 決 定 (以 下「不 支 給 決 定」 ) を し た。 原 告 は この不支給決定に対し取消訴訟を提起。かくて本件では不支給決定の処分性が争点となったのだが、この決定は制 度上次のような位置づけにある。   労災法二三条一項二号は、政府が労働福祉事業として、被災労働者又はその遺族の就学援護事業を行いうるとす る。また同条二項は事業実施に必要な基準を労働省令で定めるとする。労働省令である労働者災害補償保険法施行 規 則 (平 成 一 二 年 労 働 省 令 第 二 号 に よ る 改 正 前。 以 下「規 則」 ) 一 条 三 項 は、 援 護 費 支 給 事 務 を 労 働 基 準 監 督 署 長 (以 2

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下「署 長」 ) が 行 う と す る。 た だ し、 こ れ ら 労 災 法 や 規 則 は そ の 支 給 に 係 る 詳 細 を 定 め て お ら ず、 む し ろ 通 達 が そ れ を 定 め て い る。 す な わ ち「労 災 就 学 援 護 費 の 支 給 に つ い て」 と 題 す る 労 働 省 労 働 基 準 局 長 通 達 (昭 和 四 五 年 一 〇 月 二 七 日 基 発 第 七 七 四 号。 以 下「通 達」 ) は、 学 校 教 育 法 一 条 所 定 の 学 校 の 在 学 者 と い っ た 支 給 対 象 者 の ほ か、 申 請 を受け署長が支給決定により行うといった支給手続についても定めている。しかしさらに詳しい要件や手続につい ては、この通達の別添「労災就学等援護費支給要綱」 (以下「要綱」 ) の定めるところである。   一審判決 (東京地判平成一〇年三月四日判時一六四九号一六六頁) は、労災法令において支給内容や手続が規定され る 災 害 補 償 に 関 す る 保 険 給 付 (以 下「保 険 給 付」 ) と そ う で な い 援 護 費 支 給 と で は 相 違 が あ る こ と、 労 災 法 二 三 条 の 委任が公定力をもった行政処分としての支給に関する決定を認めるものではないこと、さらに援護費支給に関し規 則が支給の実体上の要件や金額等の内容並びに事務処理上の細則を定めていない以上、支給対象者には請求権が付 与されておらず、贈与契約を通じて支給される政策がとられていることを指摘する。以上のことから、援護費の支 給 内 容 及 び 手 続 等 を 具 体 的 に 定 め る 通 達 や 要 綱 が あ る か ら と い っ て、 不 支 給 決 定 の 処 分 性 は 肯 定 さ れ え な い と す る。   原 判 決 (東 京 高 判 平 成 一 一 年 三 月 九 日 LEX/DB 2804 2970 ) も、 一 審 判 決 の 理 由 に 次 の 点 を 付 け 加 え て 原 告 の 訴 え を 却下。援護費支給に関する決定の場合には、保険給付に関する決定の場合とは違って、審査請求及び再審査請求に 関する規定や不服申立前置を定めた規定がないこと、また援護費支給に関する通達や要綱は、その支給の事務処理 を定めた行政組織内部の命令にすぎず、国民の権利義務に直接影響を及ぼすものではないこと。しかしながら、最 高裁は不支給決定の処分性を認め、原判決を破棄差し戻した。   最 高 裁 は、 援 護 費 支 給 に 関 す る 決 定 を め ぐ る 労 災 法 ― 規 則 ― 通 達 ― 要 綱 の 関 係 規 定 を 検 討 し た 上 で (①) 、 こ う 3

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い っ た「援 護 費 に 関 す る 制 度 の 仕 組 み に か ん が み れ ば」 、 労 災 法 が 保 険 給 付 を「補 完」 す る た め に、 労 働 福 祉 事 業 と し て、 保 険 給 付 と「同 様」 の 手 続 に よ り、 援 護 費 を 支 給 し う る 旨 規 定 し て い る と 指 摘 す る (②) 。 そ し て 最 高 裁 は、被災労働者又はその遺族は、所定の支給要件を具備するときは所定額の援護費支給を受けうる抽象的地位を与 え ら れ て い る 一 方、 署 長 の 支 給 決 定 に よ っ て は じ め て そ の 具 体 的 な 支 給 請 求 権 を 取 得 す る と い う (③) 。 以 上 の こ と か ら 最 高 裁 は、 「援 護 費 の 支 給 又 は 不 支 給 の 決 定 は、 法 を 根 拠 と す る 優 越 的 地 位 に 基 づ い て 一 方 的 に 行 う 公 権 力 の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有する」として、処分性を肯定 する (④) 。 第三章   解釈の筋道   まず①は、援護費支給に関する決定をめぐる「制度の仕組み」の解説部分である。次に②は、①を基礎に、援護 費支給が保険給付の「補完」であり、また支給決定手続と保険給付手続が「同様」であるとの理解に立った上で、 支 給 に 関 す る 決 定 に は 保 険 給 付 に 関 す る 決 定 の 場 合 と 同 じ く、 行 政 処 分 で あ れ ば 求 め ら れ る 法 律 上 の 根 拠 (以 下 「法 的 根 拠」 ) が あ る と の 議 論 を 導 き 出 4) す。 ③ は、 援 護 費 支 給 に 係 る 被 災 労 働 者 又 は そ の 遺 族 の 抽 象 的 地 位 を 認 め、 さらにこの地位を基礎に具体的請求権を認める。いわば③は、行政処分であれば求められる法的地位の直接具体的 な 変 動 (以 下「法 的 効 果」 ) の、 そ の 前 提 た る 法 的 地 位 を 認 め る の で あ る。 そ し て ④ は、 ② と ③ か ら、 支 給・ 不 支 給 決定につき「処分性公 ( 5) 式」の「法的根拠」要件も「法的効果」要件も充足されているとして、処分性を肯定す ( 6) る。   以 上 の う ち 最 後 の、 “② と ③” か ら ④ を 導 き 出 す 議 論 は 問 題 と し な い。 と い う の も 支 給・ 不 支 給 決 定 に つ き、 処 4

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分性公式の要件充足を認める以上、その論理的帰結として処分性肯定の結論が導き出されたとしても、さしあたり 問題がないように思われるからである。しかし他方で、本判決①、②、③の論証上の相互関係が不明瞭である。と くに③を経て④へと法的効果が肯定される論拠が、①にあるのか②にあるのかわかりづらい。   仮にそれが①にあると解するなら ( 7) ば、援護費に関する制度の仕組み、とりわけ支給・不支給決定を通じて援護費 支給の可否が決まるということから、なにゆえに支給・不支給決定につき行政処分としての法的効果があるという ことが導き出されるのか、説明不十分であ ( 8) る。他方でそれが②にあると解するなら ( 9) ば、本判決は支給・不支給決定 に 法 的 根 拠 が あ る と い う こ と か ら、 論 理 必 然 的 に そ れ ら 決 定 の 法 的 効 果 が 導 か れ う る と 理 解 し て い る よ う に も 読 め、そうであるとすると、両要件の充足をそれぞれ別問題として考えるべきという観点からは疑問があ ( 10) る。   いずれにせよ、判決理由全体のなかでの③の論証上の位置づけが不明瞭であることは否めない。ただし④で法的 効果が肯定されている以上、この肯定に至るに当たって本判決が何らかの前提的な議論に依拠していることは推測 されうる。換言すれば本判決は、法的効果の肯定を導き出すに当たって、判決理由では明示的には論及されていな い黙示的な議論を介在させているのではないかということである。しかしながらこの問題については、追ってさら に検討するので、さしあたりここでは措いておく。   以 上 仮 に ② か ら ④ ま で の 論 証 過 程 に 問 題 が な い と し て も、 こ れ ら 論 証 過 程 が 展 開 さ れ る「大 前 提」 、 す な わ ち ① から②の導出については問題がある。というのも、援護費支給に関する「制度の仕組み」から、支給・不支給決定 に法的根拠があることを導き出す議論が明確でないからである。確かに本判決では、保険給付に対する補完的役割 やその手続との同様性が議論として媒介された上で、法的根拠が認められているのかもしれない。しかしそうであ るとしても、援護費支給と保険給付とでは法律上明確に異なったものとして取り扱われていることもまた事実なの 5

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であって、本判決ではこの点に関する説明が尽くされていな ( 11) い。   さ ら に、 一 審・ 原 判 決 (以 下「両 判 決」 ) が「制 度 の 仕 組 み」 か ら み て 支 給・ 不 支 給 決 定 に 法 的 根 拠 が な い と 判 断 しているところ、本判決は同じ「制度の仕組み」からみてそれがあるとの逆の結論を導く。同じ仕組みを前提とす るのにもかかわらず、この結論の相違をどのように理解すべきなのか。ひるがえって、両判決では法律上の不服申 立て規定の欠如や通達の内部効果性を理由に法的根拠が否定されていたとこ ( 12) ろ、本判決ではこれら否定論に対して 正面からの応答がなされていな ( 13) い。したがって、これら否定論の着目点を手掛かりとして上記結論の相違を理解す ること、さらにそれを通じて本判決の法的根拠をめぐる仕組み解釈の意義を議論することには限界があるように思 われる。   そ れ ゆ え に、 本 判 決 の 法 的 根 拠 を め ぐ る 仕 組 み 解 釈 の 意 義 を 探 る に 当 た っ て は、 別 の 観 点 に 着 目 す る 必 要 が あ る。そこで本稿では、本判決が明示的に言及し、かつ、両判決も前提としている「制度の仕組み」という観点に着 目する。いわば支給・不支給決定の法的根拠を制度の仕組みから導き出せるのかという解釈問題であ ( 14) り、またその 前提としての、その仕組みをどのように把握するのかという認識問題であ ( 15) る。 第四章   認識枠組み   本章は、不支給決定に係る処分性の仕組み解釈に当たって、最高裁がどのような「仕組み」を念頭に置いている の か と い う 問 題 を、 「認 識 枠 組 み」 の 問 題 と 構 成 し 直 し た 上 で、 こ の 問 題 に つ い て 検 討 す る。 そ し て こ の 検 討 に 当 た っ て は、 「法 的 根 拠」 ・「法 的 効 果」 両 要 件 を め ぐ る 解 釈 手 法 の 特 徴 に つ い て 学 説 を 素 材 に 論 じ た 上 で、 そ の 議 論 6

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を踏まえて認識枠組みの議論へと進むというアプローチをとりたい。 第一節   法的根拠 一.学説の理解   ま ず 塩 野 宏 16) 氏 は、 本 判 決 に つ い て、 「検 討 の 素 材 と す る 下 位 の 一 連 の 規 定 か ら、 最 高 裁 判 所 が 逆 算 し て 法 的 仕 組 みを認定判断していることについては問題の残るところ」としつつも、規律力に着目している点では従来の処分性 認定の基本的枠組みに立っていると指摘する。ついで西田和弘 ( 17) 氏は、不支給決定の処分性を認めた従来の下級審裁 判 18) 例 の 論 理 と 本 判 決 の 論 理 と の 相 違 に つ い て、 従 来 の 裁 判 例 が「労 災 保 険 法 の 規 定 か ら 演 繹 的 に 捉 え た」 の に 対 し、本判決が「要綱から帰納的に労災法との一体性を見いだし、法令に基づくと判断した」点にあるとす ( 19) る。   ま た 下 井 康 史 20) 氏 は、 本 判 決 が「通 達 や 要 綱 も 含 め た 制 度 全 体 の 仕 組 み を 解 釈 す る。 」 と い う 点 で、 近 時 の 最 高 裁 判決による処分性の判定手法と共通すると指摘する。もっとも、従来の判例――とくに不支給決定に処分性を認め た 従 前 の 下 級 審 裁 判 21) 例 ―― の「仕 組 み 解 釈 の 起 点 は 法 で あ る。 」 の に 対 し、 「本 判 決 は、 通 達 と 本 件 要 綱 の 内 容 か ら、法律に根拠があることを肯定した。 」ものであり、 「法規性を欠く下位規範を起点とした、逆算の仕組み解釈で ある。 」として、これでは「処分性の有無を行政が左右できてしまう」難点を指摘する。   さ ら に 太 田 匡 彦 22) 氏 は 本 判 決 に つ き、 「援 護 費 の 仕 組 み を 通 達 を 基 礎 に 認 定 し、 そ こ か ら『保 険 給 付 と 同 様 の 手 続』 で 行 わ れ る 援 護 費 の 仕 組 み を 法 が 規 定 し て い る と 解 釈 し て い る。 」 と す る。 そ の 上 で こ う い っ た 下 位 の 内 部 規 範から上位の法規範の解釈を行うような論理、あるいは、労災保険給付と労働福祉事業では法律上明確に区別され ているにもかかわらず、それぞれにおける行政の応答を同様の事実過程に見られる同一のものとして法的に性格づ 7

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けてしまう論理の問題性を挙げながら、本判決の論証が「大雑把」であると評価される一方、この大雑把さをどこ まで肯定しうるかという課題を提起する。   つ い で 嵩 さ や か 23) 氏 は、 本 判 決 の 特 徴 の 一 つ と し て、 「援 護 費 制 度 を 定 め る も の と し て 労 災 法・ 省 令 ・ 要 綱 等 を 一 体的に捉えた上で、労基署長の地位、支給請求権や要綱上の手続を含めた制度全体の根拠を労災法に認める点」を 挙 げ る。 そ し て 嵩 氏 は、 「労 災 法 が 援 護 費 に 関 し 保 険 給 付 と 同 様 の 手 続 を 予 定 し て い た こ と の 根 拠 が 全 く 示 さ れ ず、 む し ろ 要 綱 上 の 手 続 規 定 か ら 帰 納 的 に 労 災 法 の 趣 旨 を 理 解 す る と い う 逆 の 論 理 思 考 に 従 っ た と も 読 め る。 」 と して、労災法のより詳細な検討が必要であったと批判する。   そ し て 米 田 雅 宏 24) 氏 は、 「本 来 契 約 と し て 構 成 で き る 行 為 を、 立 法 政 策 上 行 政 処 分 と し て 構 成 し た、 と い う こ と が 法 的 仕 組 み か ら 読 み 取 る こ と が で き る か 否 か」 と の 視 点 か ら 本 判 決 を 整 合 的 に 理 解 す る と、 本 判 決 は「 『法 律』 か 『通 達』 か と い う 形 式 的 な 違 い よ り も、 む し ろ 通 達 ・ 要 綱 を 含 め た 労 災 法 全 体 の 制 度 的 仕 組 み に 着 目 し て、 個 別 の 法律規定の内容を解釈した結果である」と評価することになるという。ただし本判決がこのような評価を十分に裏 付けえているかは、労災法の法的仕組みを見る限り疑問が残るとも指摘する。   加 え て 榊 原 秀 訓 25) 氏 は、 本 判 決 に つ き、 「法 律 規 定 に 言 及 し つ つ、 実 質 的 に は 通 達 ・ 要 綱 の 仕 組 み」 か ら 不 支 給 決 定 の 処 分 性 肯 定 へ と 導 く 点 と と も に、 本 判 決 が 一 審 ・ 原 判 決 等 と 比 較 し て 厳 格 な 法 律 規 定 を 要 求 せ ず、 「法 律 上 の 仕 組 み で あ る こ と を 強 調 し て い な い」 点 に 着 目 す る。 ま た 大 久 保 規 子 26) 氏 も、 本 判 決 が、 「労 災 法 や 施 行 規 則 の 文 言 のみならず、通達 ・ 要綱も含めた制度の仕組みと法の趣旨・目的を総合的に考慮すること」により処分性を認める 解釈を導き出している旨を指摘する。 8

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二.行政過程の規範構造   以上学説は、本判決の不支給決定の「法的根拠」をめぐる解釈手法につき、大まかに言って二つの異なった理解 に立っているように思われる。すなわち一方で、通達 ・ 要綱を含めて労災法が解釈されているという意味での《全 体 的 解 釈》 、 他 方 で、 通 達・ 要 綱 に よ っ て 労 災 法 が 解 釈 さ れ て い る と い う 意 味 で の《逆 転 的 解 釈》 で あ る。 こ こ で、仕組み解釈の「仕組み」がどのように認識されているのかという観点からこれら解釈手法の特徴を理解し直す ならば、前者の解釈は仕組みが法律・法規命令のみならず通達・要綱をも含む関係規範全体から構成されていると いう「全体性」に着目しているもの、後者の解釈は仕組みが「法律・法規命令」と「通達・要綱」との間で形成さ れているという「関係性」に着目しているものと言えよう。   思うに、どちらも本判決が念頭に置く仕組みの一側面を的確に捉えているのではないか。ただし本判決では、法 律や法規命令を通じて、立法者によって他律的に「制度化」された仕組みというよりは、通達や要綱を通じて、行 政実務によって自律的に「制度化」した仕組みが問題となっているという点についても留意すべきであろう。また このことから学説では、後者の仕組みを念頭に置く本判決に対し、前者の仕組みを念頭に置き疑問を投げかける向 きがあ ( 27) る。いわば法令上の仕組みに立脚して、不支給決定の法的根拠を問題視するわけであ ( 28) る。さらに一審・原判 決も、法令上の仕組みに立脚して不支給決定の法的根拠を否定的に捉えていたと解しえよう。   もっとも本稿では、さしあたり、不支給決定をめぐって批判論が念頭に置く「法令上の仕組み」と、本判決が念 頭に置く「行政過程の仕組み」とでは、同じ「仕組み」といっても異なったものと理解され評価されうるという点 に着目したい。そして批判論の前提には、処分性の解釈にあたっては、あくまでも法律 (及びその委任を受けた法規 命 令) を 基 礎 と す べ き と す る、 「法 律 に よ る 行 政」 の 考 え 方 が あ る よ う に 思 わ れ 29) る。 そ れ ゆ え 本 判 決 の 仕 組 み 解 釈 9

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の意義を理解するに当たっては、それぞれの仕組みの、それぞれの局面に由来する質的相違について、概念的な相 違として踏まえておく必要があろう。以下本稿では、前者につき「法令上の仕組み」とする一方で、後者につき表 現を変えて、 「行政過程の構造」として論じていく。   そうすると、不支給決定の法的根拠をめぐって形成されている行政過程の構造とは何か。それはおそらく、全体 的解釈であれ逆転的解釈であれ、その理解に当たって念頭に置いていること、すなわち不支給決定をめぐる行政過 程全体のなかで、通達や要綱があたかも法律や法規命令と同じような意味合いを持ってしまっているという、規範 を め ぐ る 制 度 的 な 関 係 性 (構 造) が 形 成 さ れ て い る こ と で あ ろ う。 以 下 こ の よ う な 関 係 性 を「行 政 規 則 の 外 部 30) 化」 の規範構造として論ず ( 31) る。 第二節   法的効果 一.序説   あ ら た め て 確 認 し て お く べ き こ と は、 通 達 や 要 綱 に 基 づ く 決 定 に 法 的 根 拠 が 認 め ら れ る の か ど う か と い う 論 点 と、その種の決定に行政処分としての法的効果が認められるのかどうかという論点とは、切り離して議論しうると いうことである。したがって不支給決定に法律上の根拠が認められるからといって、そのことから論理必然的に、 その決定によって市民の法的地位が直接具体的に変動するわけではな ( 32) い。それゆえ仮に不支給決定に「法的根拠」 が認められるとしても、それに加えて不支給決定に「法的効果」が認められるためには、別途それを正当化する議 論が必要となってくる。このことから、本判決が法的効果をめぐってどのような解釈手法を採用しているのかを明 らかにする必要がある。 10

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  こ の 点 先 ほ ど の 学 説 を み る と、 例 え ば 塩 野 氏 は「規 律 力」 と い う 行 為 形 式 (行 政 行 為) に 随 伴 し た 概 念 を 基 礎 に 説明しているようである。あるいは太田氏は、援護費支給をめぐる行政の応答が保険給付同様の「事実過程」に位 置 づ け ら れ て い る と い っ た よ う に、 行 政 過 程 に お け る 不 支 給 決 定 の 位 置 づ け を 念 頭 に 説 明 し て い る よ う に 思 わ れ る。いわば一方は「行為形式」の効力問題として、他方は「行政過程」における位置づけの問題として論じている のではないかということである。ただしそうであるとしても、両議論に内在する理論的含意についてはさらに検討 する必要がある。そこで以下示唆を与える議論として、山本隆司氏の「手続構造」概念を用いた分析と、橋本博之 氏の解釈論的分類論とを検討する。 二. 「手続構造」概念   まず山本 ( 33) 氏は、援護費支給手続の制度化について、労災法は、契約・処分どちらの仕組みをも許容するところ、 行政段階では、この労災法上の委任の範囲内で、かつ、援護費に類似する保険給付手続をも考慮しながら、通達や 要綱を通じて処分の仕組みが採用されているとする。そしてこの本判決の法的根拠をめぐる解釈を「法の体系的解 釈」と特徴づけ、法律上の明文の根拠規定を問題とする一審・原判決との違いを見出す。   ま た 山 本 氏 は、 「手 続 構 造 と し て の 法 形 式 ・ 行 為 形 式 の 選 択」 と い う 観 点 か ら 本 判 決 を 分 析 し、 給 付 行 政 に お い て 法 の 体 系 的 解 釈 に よ り 処 分 性 を 認 め る 最 高 裁 の 方 法 の 是 非 に つ い て、 「行 政 行 為 の 効 力 を 分 解 ・ 分 節 し て 捉 え た 上で、行政行為と契約を、法的効力のみならず、とられる手続全体の構造を視野に入れて比較することにより、検 討する。 」必要性を指摘する。そしてその検討の結果、山本氏は、 「行政行為は、行政機関が公益判断を行い、私人 が自らの権利利益を主張するという役割分担が、比較的明確であり、また、段階づけられた手続の構造をとるのに 11

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対し、契約は、協働的なコミュニケーションの反復を特徴とする手続の構造をとる。 」と指摘する。   そ の 上 で 山 本 氏 は、 大 ま か に 言 え ば、 「社 会 全 体 に お い て 財 を 公 正 に 配 分 す る 観 点 を 強 く 要 す る 決 定 や、 多 種 の 法 関 係 を 派 生 さ せ る 基 礎 に な る 決 定」 に つ い て は 行 政 行 為 が、 「受 給 者 の 個 別 の 事 情 に 柔 軟 に 対 応 す る 必 要 が 強 い 場合」の決定については契約が、それぞれ適切な法形式・行為形式であるとする。もっとも実際の制度設計や解釈 を通じて行政行為・契約間の手続構造は接近するし、また行政行為が適切な給付決定と契約が適切な給付決定との 違いも相対的なものであるという。そして給付決定をめぐり行政行為・契約のどちらを選択するかは、第一次的に は法律文言に現れた立法者の意思によるとする。   もっとも本判決のように、上記の法形式・行為形式の適切性を考慮しながら、法の体系的解釈により給付決定に つき行政行為と認め、処分性を肯定することもありうるとする。そして山本氏は、本判決につき、援護費の支給決 定が統一的かつ公平に判断される必要があると考えられたことから、行政行為でもって行う適切性があると判断さ れ、処分性が肯定されたのではないかと推察する (以上の山本氏の所説を「山本X説」 ) 。   かくして山本X説は、もっぱら不支給決定の「法的根拠」を検証する文脈において、契約と行政行為との「手続 構造」の相違に着目する。ここで同氏が念頭に置く「手続構造」概念は、契約や行政行為といった「法形式 ・ 行為 形式」を、手続的側面に着目して分析する意図のもとで用いられているように見受けられる。ただし山本氏は、関 連 す る 論 考 で 再 び こ の「手 続 構 造」 概 念 を 用 い て 本 判 決 を 議 論 し て い る の で、 今 度 は そ ち ら の 議 論 (以 下 の 山 本 氏 の所説を「山本Y説」 ) を見ていこう。   山 本 Y 34) 説 は、 本 判 決 を 含 む 処 分 性 を め ぐ る 近 時 の 最 高 裁 判 決 の 判 断 枠 組 み に つ い て、 「処 分 性 を 承 認 さ れ る 行 為 が決定の手続の中で、および決定の手続として持つ性格に注意しつつ分析」する旨を明らかにし、このことを「手 12

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続 構 造 の 中 で 見 た『処 分』 」 の 問 題 と 指 摘 す る。 そ の 上 で 処 分 性 公 式 か ら 導 き 出 さ れ た「権 力 性」 、「規 律 性」 、「具 体 性」 の 三 要 件 の な か で も、 「規 律 性」 (「当 該 決 定 が 行 わ れ 執 行 さ れ る プ ロ セ ス か ら 判 断 し て、 行 政 庁 が 当 該 決 定 に よ っ て私人を『規律』すること」 ) につき、 「法効果と手続構造」という着眼点から従来の判例を分析する。   そ の 結 果、 本 判 決 を 含 む 近 時 の 最 高 裁 判 例 の 判 断 枠 組 み に 関 し、 「行 政 機 関 が 私 人 に 対 し て 処 分 の (一 部) 要 件 を前倒しして最終決定する制度ないし慣行を形成している場合」に処分性が認められるという点で、ある程度一貫 し て 理 解 し う る と し て、 次 の よ う に 指 摘 す る。 「概 し て 言 う な ら、 処 分 性 は、 規 律 な ど の 法 的 効 果 を 重 視 し て 判 断 されてきたが、徐々に、行政機関が私人に対して行う決定・執行のプロセスにおける当該行為の位置 (最終性など) が、判断要素としてのウェートを増している。 」   こ の よ う に 山 本 Y 説 は、 法 的 効 果 を め ぐ る 議 論 の 文 脈 に お い て、 再 び「手 続 構 造」 概 念 を 用 い て 議 論 を 展 開 す る。しかしここでの「手続構造」は、行為形式をめぐる手続的側面という理解にとどまらず、その行為形式が置か れ て い る「行 政 過 程」 を 念 頭 に 置 き 用 い ら れ て い る。 い わ ば 山 本 X 説 の「手 続 構 造」 概 念 が、 「法 的 根 拠」 を 認 め る 前 提 と し て の「行 為 形 式」 の 手 続 的 理 解 に 関 わ る も の で あ っ た の に 対 し て、 山 本 Y 説 の「手 続 構 造」 概 念 は、 「法的効果」を認める前提としての「行政過程」のなかでの行為形式の位置づけの理解に関わるものと言えよう。   かくして山本氏の「手続構造」概念は、X説とY説とで若干のブレはあるように見受けられるものの、処分性問 題について、解釈手法に係る考察とは別次元での考察の余地を示唆する点で興味深 ( 35) い。もっともこのブレを、解釈 手法の見地から批判的に論ずるのが次に紹介する橋本説である。 13

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三.解釈論的分類論   橋 本 氏 は 処 分 性 の 解 釈 論 と し て 二 つ の 思 考 軸 を 設 定 す 36) る。 す な わ ち、 「抗 告 訴 訟 と し て 争 う の が 適 切・ 合 目 的 か 否 か と い う 訴 訟 類 型 配 分 論 (訴 訟 類 型 配 分 型 の 解 釈 論) 」 (以 下「A 型」 ) と、 「行 政 過 程 の ど の 段 階 で 争 い の 成 熟 性 が 認 め ら れ る か と い う タ イ ミ ン グ 論 (成 熟 性 判 定 型 の 解 釈 論) 」 (以 下「B 型」 ) と で あ る。 A 型 は、 も と も と 係 争 行 為 形式段階で潜在的に何らかの訴訟の提起が認められるべきところ、その訴訟形態が「抗告訴訟」であるべきか、そ れとも「民事訴訟」ないし「当事者訴訟」であるべきかといった、紛争の「受け皿」を問題とする解釈論のことを 指 37) す。 こ れ に 対 し B 型 は、 そ も そ も 係 争 行 為 形 式 段 階 に お い て、 「抗 告 訴 訟」 を 含 め 一 般 に 訴 訟 提 起 が 認 め ら れ る べきか否かといった、紛争の「成熟」を問題とする解釈論のことを指 ( 38) す。橋本氏は個々の処分性拡大判例につき、 この二つの思考軸 (ないし座標軸) の中へと位置付けながら、それぞれの仕組み解釈のあり方を検討す ( 39) る。   そ し て 橋 本 氏 は 本 判 決 に つ い て、 A 型 が ウ ェ イ ト を 占 め て い る と 評 価 す 40) る。 と い う の も 本 判 決 は、 「法 的 仕 組 み の解釈を経て、給付請求権の側に着目した民事訴訟とすべきか、申請拒否処分と解釈して抗告訴訟に乗せつつ処分 の 適 法・ 違 法 (裁 量 権 の 逸 脱 濫 用 や 平 等 原 則 の 有 無 等) の 問 題 と す べ き か と い う 枠 組 み の 中 で 判 断 さ れ た」 か ら で あ 41) る。また橋本氏は、 「私人の法的地位にかかわる行政決定としてのファイナルな性格 (最終性) に着目したから」 と の B 型 理 解 に 対 し て 反 論 し、 「行 政 決 定 と し て の フ ァ イ ナ ル 性 を 手 が か り に、 民 事 訴 訟 に よ る 給 付 の 訴 え で は な く、給付行政であっても行政決定を形成的に争う取消訴訟に配分すべきという」A型の解釈論がされているに過ぎ ないと指摘する。以上の観点から橋本氏は、本判決をめぐってA型に相当する理解を示す山本X説には同調しつつ も、B型に相当する理解を示す山本Y説には疑問を提起す ( 42) る。   さらに橋本氏は、本判決の仕組み解釈のポイントとして、援護費支給が法定の労災保険制度の「補完」と位置付 14

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けられていることから、処分性に係る公権力性要件が導き出されていることを指摘する。そして本判決の仕組み解 釈 の 方 法 で は、 「支 給・ 不 支 給 決 定 か ら 生 じ る 法 的 効 果 の 定 位 や、 通 達 に 基 づ く 支 給 決 定 手 続 で あ っ て も 行 政 手 続 としての法的効果を認める (申請権と解釈する) という側面よりも、法定された給付制度と等価なものである (法令 に根拠があると解釈できる) という側面に解釈論上の重点が置かれてい ( 43) る」と指摘する。その上で本判決が、不支給 決定をめぐる仕組みの中で、当該決定を契約ではなく行政行為と仕分けたものと理解 ( 44) し、この点でまた山本X説と 合流する。 四.行為形式間の関係   以 上 山 本 Y 説 と 橋 本 説 と の 相 違 点 を ま と め よ う。 一 方 で 山 本 Y 説 は、 本 判 決 に つ き「法 的 効 果」 の 観 点 か ら、 フ ァ イ ナ ル 性 を 重 視 す る 他 の 処 分 性 拡 大 判 例 (以 下「フ ァ イ ナ ル 性 判 例」 ) の 延 長 線 上 で 理 解 す 45) る。 こ れ に 対 し 橋 本 説は、本判決の仕組み解釈を訴訟類型配分型と理解した上で、本判決が不支給決定の「法的根拠」について、援護 費支給制度と保険給付制度との等価性から導き出していることを重視す ( 46) る。   思うに、山本Y説のように、本判決をファイナル性判例の延長で特徴づけることは、本判決がそれら判例とは異 な っ て、 後 続 行 政 行 為 が 続 く 事 案 で は な い こ と か ら み て も、 違 和 感 が あ る。 す な わ ち、 山 本 Y 説 が 参 照 し て い た フ ァ イ ナ ル 性 判 例 で あ る 食 品 衛 生 法 事 件 (最 判 平 成 一 六 年 四 月 二 六 日: 民 集 五 八 巻 四 号 九 八 九 頁) や 医 療 法 事 件 (最 判 平成一七年七月一五日:民集五九巻六号一六六一頁、最判平成一七年一〇月二五日:判時一九二〇号三二頁) のほかにも、 土 地 区 画 整 理 法 事 件 (最 判 平 成 二 〇 年 九 月 一 〇 日: 民 集 六 二 巻 八 号 二 〇 二 九 頁) を 加 え た 三 判 決 を み て み る と、 食 品 衛 生法違反通知の後には「輸入不許可処分」 、医療法勧告の後には「保険医療機関指定拒否処分」 、土地区画整理事業 15

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計画決定の後には「換地処分」といったように、不利益な作用を持つ「行政行為」が続く事案であったところ、不 支給決定の後にはこういった行政行為が続かないのであ ( 47) る。   他方で橋本説も、本判決をもっぱら法的根拠の観点から論じることから、通達や要綱に基づく不支給決定によっ て、なにゆえに法的地位の直接具体的な変動が生じるのかという法的効果の観点が十分に説明されていないように 思われ ( 48) る。先に挙げた三判例を含む他の処分性拡大判例ではこの法的効果が共通の争点となっており、これら判決 と本判決との間の関連を探る観点からも、また先に述べた法的根拠と法的効果とを分離し論ずる観点からも、法的 効果の問題としても本判決の解釈手法を検討することが求められるのではないか。   以上のことから、本判決の解釈手法については、一方ではファイナル性判例との「事案の異同」を把握しつつ、 他方ではそれら判例でも問題となっていた「法的効果」の文脈で検討する必要がある。以下ではこのことを踏まえ 本判決の解釈手法を検討しよう。   まずファイナル性判例であるが、前述のように、係争行為の性質について、後続行政行為との関係のもと解釈し ている。そこで他の行為形式との関係という見地から、本判決をあらためて見直してみると、本判決は援護費支給 制度が保険給付制度を補完しているという観点、また支給決定手続と保険給付手続とが同様であるという観点に立 ちながら、 「不支給決定」の性質について、 「保険給付拒否決定」との関係のもとで解釈するといった手法をとって いるように思われ ( 49) る。   す な わ ち、 少 な く と も 支 給 決 定 手 続 と 保 険 給 付 手 続 と が 同 様 と 解 さ れ る 以 上、 後 者 の 手 続 の「保 険 給 付 拒 否 決 定」と同じように、前者の手続の「不支給決定」に対しても法的効果を認めようという議論である。それゆえ第三 章で検討を留保しておいた点に戻るならば、判決理由③から④へ至る法的効果の肯定論は、①の支給・不支給決定 16

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により援護費支給が決まるという「制度の仕組み」論を明示的な論拠としている とともに 4 4 4 4 、②の法的根拠の議論の 中で示唆されている他の行為形式 (保険給付決定・拒否決定) との黙示的な“対比”論をも論拠として導き出されて いると理解するのが妥当なのでは ( 50)( 51) ないか 。   かくして、ファイナル性判例では係争行為の性質が“後続する”行政行為との関係において解釈されているのに 対 し、 本 判 決 で は 係 争 行 為 の 性 質 が“代 替 す る” 行 政 行 為 と の 関 係 に お い て 解 釈 さ れ て い る と の 相 違 が 浮 か び 上 がってき ( 52) た。もっともこういった相違があるとしても、両議論とも係争行為の性質について、講学上の分類や直接 の根拠となった法規定の趣旨に基づき解釈しているのではなく、むしろ《関連する》行政行為との関係において解 釈しているという点では共通する。それゆえファイナル性判例と本判決との間において、法的効果をめぐる解釈手 法を比較するに当たっては、こうした「共通点」がありながらも「相違点」もあるということを概念的に捉える必 要がある。   そこで本稿では、これら二つの解釈手法について、試みに「言語学」の概念を類推ないし転用して、次のように 議 論 し て み た い。 す な わ ち、 前 者 の 関 係 に お い て 解 釈 す る 手 法 を「連 辞 関 係」 の も と で 解 釈 す る 手 法 (以 下「連 辞 的 解 釈」 ) と、 ま た 後 者 の 関 係 に お い て 解 釈 す る 手 法 を「連 合 関 係」 の も と で 解 釈 す る 手 法 (以 下「連 合 的 解 釈」 ) と 特徴づけ ( 53) る。 五.行政過程の手続構造   も っ と も 本 判 決 は、 「行 為 形 式 間 の 連 合 的 解 釈」 を す る に 当 た っ て、 両 行 為 形 式 そ の も の に 着 目 し た ス ナ ッ プ ショット的な対比をしているわけではないだろう。むしろ両行為形式が、それぞれの行政主体と関係市民との紛争 17

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のなかでどのように手続的に位置づけられているのかといった、その位置づけの認識を媒介として、両行為形式が 対比されているのではないか。したがってその意味では、本判決の行為形式間の連合的解釈の背景には、それを正 当化するに足りうる、両行為形式をめぐる認識枠組み面での前提があると言えよ ( 54) う。   こ の 点 を 理 解 す る た め に、 食 品 衛 生 法 事 件、 医 療 法 事 件、 土 地 区 画 整 理 法 事 件 の「連 辞 的 解 釈」 に 係 る 三 判 決 と、 「連 合 的 解 釈」 に 係 る 本 判 決 と を、 こ の 認 識 枠 組 み と い う 観 点 か ら 再 度 比 較 検 討 し て み よ う。 も っ と も こ れ ら 判決における連辞的解釈の認識枠組みについては、すでに別稿で検討してい ( 55) る。そこでは、行政過程全体を通じて 行政主体と関係市民との間の紛争が、 後続する行政行為 (食品輸入不許可処分、 保険医療機関指定拒否処分、 換地処分) 段 階 で は な く、 そ れ に 先 立 つ 係 争 行 為 (食 品 衛 生 法 違 反 通 知、 医 療 法 勧 告、 土 地 区 画 整 理 事 業 計 画 決 定) 段 階 で 成 熟 し ているといった手続をめぐる制度的な関係性、すなわち「紛争の早期成熟」の手続構造があることを確認した。   これに対し連合的解釈を採用している本判決であるが、紛争の早期成熟という「行政過程の手続構造」が問題と な っ て い る わ け で は な い。 む し ろ 本 判 決 で は、 行 政 過 程 全 体 を 通 じ て、 係 争 行 為 (不 支 給 決 定) を め ぐ る 行 政 主 体 と関係市民との間の紛争が、 あたかも行政行為 (保険給付拒否決定) を介在させた紛争と同じような意味合いを持っ てしまっているという、手続をめぐる制度的な関係性が問題なのである。いわば、行政主体と関係市民間の係争行 為をめぐる紛争形態が、それと対比されうる行政行為をめぐる紛争形態へと変換可能なものとなっているという、 行 政 過 程 の 手 続 構 造 で あ る (以 下「紛 争 の 形 態 変 換」 の 手 続 構 造 と す る) 。 そ し て こ の よ う な 行 政 過 程 の 手 続 構 造 を 念 頭に置いた、本判決の法的効果をめぐる仕組み解釈に対しては、学説上、労災法に係る「手続をめぐる法令上の仕 組み」の観点から疑問が提起されていることにも留意すべきである。   い ず れ に せ よ、 上 記 三 判 決 も 本 判 決 も、 「行 政 過 程 の 手 続 構 造」 に 立 脚 す る 点 で は 認 識 枠 組 み 上 の 共 通 性 が あ 18

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る。 す な わ ち、 ど ち ら も、 行 政 過 程 に お い て 行 政 主 体 と 関 係 市 民 と で 手 続 を め ぐ る 制 度 的 な 関 係 性 (構 造) が 問 題 と な っ て い る こ と、 ま た こ の 手 続 構 造 の 認 識 を 踏 ま え て、 行 政 行 為 と し て の「法 的 効 果」 が 認 め ら れ る 解 釈 (連 辞 的 な い し 連 合 的 解 釈) が な さ れ て い る こ と で あ る。 た だ し 三 判 決 と は 違 っ て、 本 判 決 で は、 手 続 構 造 と し て、 「紛 争 の 早 期 成 熟」 で は な く、 「紛 争 の 形 態 変 換」 が 問 題 と な っ て い る。 そ の 限 り で、 三 判 決 と 本 判 決 と で は 認 識 枠 組 み 上の相違がある。いわば認識枠組みの“形式”面では共通するが、その“内容”面では相違するのである。 第三節   小括   以 上 本 章 は、 学 説 の 検 討 を 踏 ま え て、 本 判 決 の「法 的 根 拠」 及 び「法 的 効 果」 の 両 要 件 に 係 る 解 釈 手 法 を 考 察 し、かつ、それぞれの要件に係る解釈手法において念頭に置かれている認識枠組みがいかなるものであるのかにつ いて論じてきた。ここであらためて、これら両要件をめぐる認識枠組みの共通の特徴を整理しておこう。   まず、規範の側面であれ手続の側面であれ、援護費支給をめぐる行政過程全体のなかで不支給決定の位置づけを 捉 え る と い っ た 視 点 (全 体 性) で あ る。 ま た こ の 不 支 給 決 定 の 位 置 づ け を、 行 政 過 程 に お け る 規 範 や 手 続 に 関 す る 諸 要 素 間 の「関 係 の 束」 を 通 じ て 捉 え る と い っ た 視 点 (関 係 性) も 挙 げ ら れ よ う。 す な わ ち、 労 災 法・ 規 則・ 通 達・要綱といった諸規範の「関係の束」を通じて捉え、また申請から訴訟へと至る諸手続の「関係の束」を通じて 捉えるといった視点である。さらにこういった不支給決定の位置づけが、行政過程において制度化しているという 視 点 (制 度 性) も あ ろ う。 た だ し こ の 位 置 づ け は、 立 法 者 の 意 思 に よ っ て 他 律 的 に 制 度 化 さ れ て い る の で は な く、 むしろ行政実務の展開を通じて自律的に制度化しているという点にも注意せねばならない。いわば法令の局面では なく、行政過程の局面で見出しうる位置づけであって、伝統的な「法律による行政」の原理からすれば、本来視野 19

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に入らない (あるいは入れるべきではない) ものである (不可視 ( 56) 性) 。   要するに、本判決は、以上の「全体性」 、「関係性」 、「制度性」 、「不可視性」の諸特徴からなる認識枠組みを踏ま え た 上 で、 「法 令 上 の 仕 組 み」 か ら で は 必 ず し も 引 き 出 し え な い、 不 支 給 決 定 の「行 政 行 為」 と し て の 性 質 を 引 き 出 す と と も に、 「処 分 性 公 式」 に 準 拠 し た 上 で、 そ の 決 定 の 処 分 性 を 肯 定 し て い る の で は な い 57) か。 し た が っ て、 こ ういった認識枠組みに関して「行政過程の構造」と呼ぶのであれば、結局のところ本判決は、次の二つの構造の交 錯を認識した上で、不支給決定の処分性を肯定しているとまとめることができよう。   す な わ ち 一 方 で、 本 判 決 は、 「法 的 根 拠」 要 件 の 解 釈 を め ぐ っ て、 不 支 給 決 定 を め ぐ る 行 政 過 程 全 体 の な か で、 通達や要綱があたかも労災法や規則と同じ意味合いを持ってしまっているという、関係規範間で形成されている規 範 を め ぐ る 制 度 的 な 関 係 性 (構 造) ――《行 政 規 則 の 外 部 化》 の 規 範 構 造 ―― を 前 提 に 議 論 を し て い る。 ま た 本 判 決 は、 「法 的 効 果」 要 件 の 解 釈 を め ぐ っ て、 不 支 給 決 定 を め ぐ る 行 政 過 程 全 体 を 通 じ て、 そ の 決 定 に 係 る 申 請 者 と 行 政 主 体 間 の 紛 争 形 態 が あ た か も 行 政 行 為 (保 険 給 付 拒 否 決 定) を 媒 介 と し た 紛 争 形 態 と 同 じ 意 味 合 い を 持 っ て し ま っ て い る と い う、 関 係 当 事 者 間 で 形 成 さ れ て い る 手 続 を め ぐ る 制 度 的 な 関 係 性 (構 造) ――《紛 争 の 形 態 変 換》 の手続構造――を前提に議論をしている。 第五章   むすびにかえて   以 上 本 稿 は、 「仕 組 み 解 釈」 に よ り 処 分 性 を 肯 定 し た と さ れ る 労 災 就 学 援 護 費 不 支 給 決 定 事 件 最 高 裁 判 決 の 解 釈 手法、またその背景にある認識枠組みを探究した。すなわち従来の学説では、本判決の「法的根拠」をめぐる解釈 20

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手 法 に つ い て は、 大 ま か に 言 っ て「全 体 的 解 釈」 な い し「逆 転 的 解 釈」 と し て 特 徴 づ け ら れ て き た と こ ろ、 こ う い っ た 解 釈 手 法 の 背 景 に は、 認 識 枠 組 み と し て、 《行 政 規 則 の 外 部 化》 と い う「行 政 過 程 の 規 範 構 造」 が あ る の で はないかと指摘した。また他方で、本判決の「法的効果」をめぐる解釈手法について、ファイナル性を重視する処 分 性 拡 大 判 例 と 比 較 す る と、 「連 合 的 解 釈」 と「連 辞 的 解 釈」 と い っ た 相 違 が あ る と と も に、 こ の 相 違 の 背 景 に は、認識枠組みとして、 《紛争の形態変換》と《紛争の早期成熟》といった、 「行政過程の手続構造」における内容 的相違があるのではないかと指摘した。そして本判決の仕組み解釈は、これら規範構造および手続構造に係る交錯 的認識を踏まえた上で、処分性を肯定しているのではないかと結論づけた。   以上の考察結果を踏まえて、今後の研究課題を提示しておきたい。まず処分性拡大判例のうちいまだ考察をして い な い、 二 項 道 路 一 括 指 定 事 件、 登 録 免 許 税 拒 否 通 知 事 58) 件、 保 育 所 廃 止 条 例 事 件 に つ い て 考 察 し て い く 必 要 が あ る。 ま た 本 稿 で 提 示 し た 連 辞 的 解 釈 と 連 合 的 解 釈 と い っ た 解 釈 論 的 分 類 論 が、 処 分 性 拡 大 判 例 の 整 理・ 分 析 に 当 たってどこまで有用であるのかについても、従来からの解釈論的分類論との比較をも含めて、再検討しなければな らない。さらに本稿のように、処分性の仕組み解釈につき、解釈手法のみならず認識枠組みをも通じて考察するこ とが解釈論上いかなる実益をもたらすのかについて、近時学説で激しい議論となっている取消訴訟と確認訴訟との 役割分担論に対しどのような示唆を与えうるのかという点をも含めて、明らかにしていく必要がある。そして本稿 で提示した「法令上の仕組み」と「行政過程の構造」という概念的区別についても、従来からの行政法学方法論で ある「法的仕組み論」や「行政過程論」が抱いてきた理論的な問題意識や、それらが行政法学にもたらしてきた理 論的な成果をも踏まえた上で、さらに考察していかなければならない。   最 後 の 研 究 課 題 に 関 わ っ て 若 干 の 敷 衍 を し て お こ う。 筆 者 は 本 稿 を 通 じ て、 「行 政 過 程 論」 を 念 頭 に 置 い て 検 討 21

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を 進 め る と と も に、 「構 造」 と い う 概 念 を 媒 介 に し な が ら 論 じ て き た。 も っ と も、 あ る 事 象 に 関 し て 構 造 概 念 を 媒 介に考察しようという方法論は、すでに「人類学」などの他の学問分 ( 59) 野で発達してきた、いわゆる「構造主義」的 思考においても見いだされるものであ ( 60) る。それゆえここにおいて、行政過程論と構造主義的思考との方法論的接合 いかんという論点が出てこよう。しかしながら、そもそもこのような着想からの議論は、管見の限りにおいては、 従 来 の 行 政 法 学 (少 な く と も わ が 国 の 行 政 法 学) で は 試 み ら れ て こ な か っ た よ う に も 思 わ れ 61) る。 そ し て そ う で あ る な らば、こういった着想そのものの妥当性をも含め、さらなる慎重な研究の必要があるのであって、この点について もやはり今後の研究課題とせねばならない。 (注) ( 1)   「仕組み解釈」の意義や沿革等については、橋本博之『行政判例と仕組み解釈』 (弘文堂、二〇〇九年)一頁以下参照。 ( 2)   一 連 の 処 分 性 拡 大 判 例 の 理 解 に つ い て は 次 の 二 つ の 仮 説 が 成 り 立 ち う る の で は な い か と 思 わ れ る。 一 方 で は、 ① こ れ ら 判 例 が 「行 政 行 為(行 政 処 分) 」 に 準 拠 す る 伝 統 的 な「処 分 性 公 式」 (後 掲 注( 5) 参 照) を 適 用 し て い な い 4 4 4 と い う 仮 説 と、 他 方 で は、 ② そ れ を 適 用 し て い る 4 4 と い う 仮 説 と で あ る。 ① と 理 解 す る な ら ば、 こ れ ら 判 例 は 行 政 行 為 以 外 の 行 政 活 動 に つ い て も 例 外 的 に 処 分 性 を 肯 定 し て い る と い う、 行 訴 法 の 解 釈 論 の 問 題 に な る。 し か し ② と 理 解 す る な ら ば、 そ れ ら 判 例 は 従 来 と は 異 な っ た か た ち で 行 政 行 為 を 認 識 し、 処 分 性 公 式 へ と 当 て は め て い る こ と に な る。 し た が っ て こ の 場 合 に は、 行 政 行 為 を め ぐ る 認 識 論 が 問 題 と な る。 筆 者 と し て は、 処 分 性 拡 大 判 例 を 通 じ て も、 基 本 的 に は 処 分 性 公 式 の 適 用 を 示 唆 す る「法 的 効 果」 要 件 が 踏 襲 さ れ て い る こ と に 照 ら す と、 ② の 仮 説 に 立 っ て 検 討 を 進 め て い く の が 妥 当 な の で は な い か と 考 え る。 関 連 し て 塩 野 宏『行 政 法 Ⅱ[第 五 版] 』(有 斐 閣、 二〇一〇年)一一八~一一九頁参照。 ( 3)   拙 稿「経 済 行 政 過 程 に お け る 行 政 指 導 と そ の 処 分 性」 『佐 藤 英 善 先 生 古 稀 記 念 論 文 集 経 済 行 政 法 の 理 論』 (日 本 評 論 社、 22

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二 〇 一 〇 年) 二 三 三 頁 以 下 所 収、 同「処 分 性 に 係 る 仕 組 み 解 釈 と そ の 認 識 枠 組 み」 早 法 八 五 巻 三 号(二 〇 一 〇 年) 六 八 九 頁 以 下、 同「処分性に係る仕組み解釈に関する一考察」洋法五三巻三号(二〇一〇年)六一頁以下参照。 ( 4)   従 前 の 裁 判 例 で 不 支 給 決 定 の 処 分 性 を 肯 定 し た 東 京 地 判 昭 和 五 八 年 一 二 月 一 二 日(労 民 集 三 五 巻 六 号 六 二 〇 頁) は、 不 支 給 決 定 の 法 的 根 拠 を 労 災 法 の 一 般 的 な 規 定 か ら 導 き 出 し て い る。 た だ し そ の 控 訴 審、 東 京 高 判 昭 和 五 九 年 一 一 月 二 六 日(労 民 集 三 五 巻 六 号 六 一 五 頁) は、 通 達 に 省 令 内 容 を 補 充 す る 機 能 が あ る と し て 通 達 の 存 在 を 重 視 し て お り、 「行 政 規 則 の 外 部 化」 を 踏 ま え て い る と い う 点 で は、 本 判 決 と も 共 通 す る 面 が あ る よ う に 思 わ れ る。 ま た 最 判 昭 和 六 〇 年 一 二 月 五 日( LEX/DB 27 61 3379 ) は、 雇 用 保 険 法 施 行 規 則 に 基 づ く 高 年 齢 者 雇 用 確 保 助 成 金 不 支 給 決 定 の 処 分 性 を 肯 定 し て い る と 解 し う る が、 当 該 規 則 中 に 支 給 対 象 や 支 給 期 間 等 が 具 体 的 に 定 め ら れ て い る 事 案 で あ っ て、 そ う で は な い 本 件 と は 事 案 が 異 な る。 本 判 決 一 審 コ メ ン ト 判 時 一 六 四 九 号 一 六 八 頁参照。 ( 5)   最 判 昭 和 三 九 年 一 〇 月 二 九 日(民 集 一 八 巻 八 号 一 八 〇 九 頁) 。「公 権 力 の 主 体 た る 国 ま た は 公 共 団 体 が 行 う 行 為 の う ち、 そ の 行 為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているもの」 。 ( 6)   下 井 康 史「判 批」 社 会 保 障 百 選〔第 四 版〕 (二 〇 〇 八 年) 一 二 五 頁 は、 本 判 決 が 処 分 性 に 関 す る 従 来 の 枠 組 み を 維 持 し つ つ も、 実 質 的 に は そ の 範 囲 を 拡 大 し た と 指 摘 す る。 ま た 間 史 恵「判 批」 ひ ろ ば 五 七 巻 三 号(二 〇 〇 四 年) 七 三 頁 ~ 七 四 頁、 下 山 憲 治 「判批」法セ五九四号(二〇〇四年)一一四頁、太田匡彦「判批」行政百選〔第五版〕 (二〇〇六年)三四三頁も参照。 ( 7)   ③にある「上記のとおり」という判決理由中の文言が、①を指すことを重視して読む理解である。 ( 8)   支 給 請 求 権 が 行 政 の 決 定 で 具 体 化 す る の は、 処 分 性 が 否 定 さ れ る 場 合 で あ っ て も 同 じ で あ る の で(こ の 場 合 の 決 定 の 法 的 性 質 は「契 約 締 結 の 意 思 表 示」 と な ろ う。 太 田・ 前 掲 注( 6) 三 四 二 頁) 、 判 決 理 由 ③ の 議 論 は 処 分 性 を 基 礎 づ け る 説 示 で は な い と 指 摘する太田・前掲注( 6)三四三頁や下井・前掲注( 6)一二五頁参照。関連して間・前掲注( 6)七四頁も参照。 ( 9)   ③にある「そして」という判決理由中の文言が、②を受けることを重視して読む理解である。 ( 10)   塩 野・ 前 掲 注( 2) 一 一 七 頁 は、 「行 政 処 分 の 所 在 の 認 定 と 法 律 の 留 保 の 理 論 の 意 味 に お け る 法 律 の 根 拠 と は 別 の 問 題 で あ る。 」 と し た 上 で、 「法 律 の 根 拠 が あ る か ら と い っ て、 当 該 行 為 が 当 然 に 公 権 力 の 行 使 で あ る こ と に は な ら な い」 と 指 摘 す る(な お 23

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関 連 し て 米 田・ 後 掲 注( 11) 一 一 一 頁 は、 処 分 性 を め ぐ る 法 律 上 の 根 拠 論 で 言 う「法 律」 と は、 《法 律 の 留 保》 原 則 に 言 う そ れ で は な く、 《法 律 の 法 規 創 造 力》 原 則 に 言 う そ れ で あ る と 指 摘 す る。 た だ し 後 掲 注( 32) の 指 摘 も 参 照) 。 ま た 文 脈 は 異 な る が、 山 本 隆 司「処 分 性(一) 」 法 教 三 三 一 号(二 〇 〇 八 年) 一 〇 九 頁 ~ 一 一 〇 頁 は、 通 達 や 要 綱 と い っ た 行 政 規 則 の 外 部 効 果 及 び 保 護 規 範 性 だ け で は、 不 支 給 決 定 が 処 分 で あ る こ と の 論 証 に な ら な い と 批 判 す る。 と い う の も、 外 部 効 果・ 保 護 規 範 性 を 持 つ そ れ ら 行 政 規 則について、処分ではなく行政契約により実現することも考えられるからである。 ( 11)   例 え ば 太 田・ 前 掲 注( 6) 三 四 三 頁 参 照。 ま た 米 田 雅 宏「判 批」 法 学 六 九 巻 三 号(二 〇 〇 五 年) 一 一 二 頁 ~ 一 一 三 頁 も、 労 働 福 祉 事 業 に 関 し 不 服 申 立 て 制 度 を 法 律 が 用 意 し な か っ た の は、 処 分 性 を 否 定 す る 立 法 者 の 判 断 が 明 確 に 現 わ れ て い る か ら と 指 摘 す る。さらに橋本博之「判批」判評五五四号(二〇〇五年)一七〇頁も参照。 ( 12)   例えば塩野・前掲注( 2)一〇四頁~一〇五頁参照。 ( 13)   例えば間・前掲注( 6)七四頁参照。 ( 14)   関 連 し て 一 審 コ メ ン ト 判 時 一 六 四 九 号 一 六 七 頁 は、 本 件 の 判 断 を め ぐ っ て、 通 達 や 要 綱 が 定 め て い る 制 度 が 労 災 法 の 委 任 に 基 づくものかどうかで不支給決定の処分性についての結論が分かれると指摘する。 ( 15)   こ の 点 本 判 決 コ メ ン ト 判 時 一 八 四 一 号 九 〇 頁 は、 本 判 決 が 法 的 根 拠 を 従 来 の 判 例 よ り は 緩 や か に 解 釈 し て は い る も の の、 こ れ ま で の 判 例 理 論 と は 異 な る 判 断 基 準 を 持 ち こ ん だ も の で は な く、 そ れ ゆ え 労 働 福 祉 事 業 に 関 す る 一 般 的 な 法 規 定 で も っ て 当 該 要 件 が 充 た さ れ る も の で は な い と 注 意 的 に 指 摘 す る。 本 判 決 が、 「法 律」 上 の 根 拠 の み な ら ず、 制 度 的 な 仕 組 み を も 媒 介 と し て 判 断 し ていることを示唆するものと思われる。 ( 16)   塩野・前掲注( 2)一〇六頁参照。 ( 17)   西田和弘「判批」判評五五二号(二〇〇五年)一六九頁参照。 ( 18)   前掲注( 4)参照。 ( 19)   そ れ ゆ え 本 判 決 の 射 程 は、 通 達 や 要 綱 に し か 根 拠 の な い 給 付 に は 及 ば な い こ と に つ き、 西 田・ 前 掲 注( 17) 一 六 九 頁 及 び 一七一頁参照。関連して間・前掲注( 6)七二頁も参照。 24

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( 20)   下井・前掲注( 6)一二五頁参照。 ( 21)   前掲注( 4)参照。 ( 22)   太田・前掲注( 6)三四三頁参照。 ( 23)   嵩さやか「判批」法教二八三号(二〇〇四年)一〇五頁参照。 ( 24)   米田・前掲注( 11)一一四頁参照。 ( 25)   榊原秀訓「判批」民商一三〇巻一号(二〇〇四年)一五三頁参照。 ( 26)   大久保規子「処分性をめぐる最高裁判例の展開」ジュリ一三一〇号(二〇〇四年)二一頁参照。 ( 27)   本 文 で 紹 介 し た 各 議 論 の ほ か、 例 え ば 太 田・ 前 掲 注( 6) 三 四 三 頁 は、 行 政 が 処 分 性 の あ る 決 定 を、 そ の 内 部 規 範 ―― 裁 判 所 も 国 民 も 本 来 は 拘 束 さ れ な い は ず の も の ―― で も っ て、 任 意 に 作 り 出 し て し ま う こ と が、 出 訴 期 間 や 仮 処 分 の 排 除 等 の、 国 民 に 対 し も た ら さ れ る 行 訴 法 上 の 特 殊 な 制 限 に か ん が み て、 疑 問 が あ る 旨 論 ず る。 ま た 室 井 力 ほ か 編 著『行 政 事 件 訴 訟 法・ 国 家 賠 償 法 [第二版] 』(日本評論社、二〇〇六年)四八頁【岡村周一】も参照。 ( 28)   例 え ば 米 田・ 前 掲 注( 11) 一 一 〇 頁 及 び 一 一 三 頁 は、 処 分 性 の 判 断 の あ り 方 と し て「法 律 の 制 度 的 仕 組 み に 即 し た 解 釈」 が 求 め ら れ ね ば な ら な い こ と、 ま た「処 分 性 の 有 無 は、 法 律 か ら 一 義 的 に 性 質 決 定 さ れ る も の で あ り、 そ れ が ま た 訴 訟 形 式 の 選 択 の 際 の予見可能性を高めることになるのであって、紛争毎の判断はあくまでも例外的な場合に限定されるべき」ことを指摘する。 ( 29)   下山・前掲注( 6)一一四頁参照。 ( 30)   桑 原 昌 宏「判 批」 愛 学 四 九 巻 一 ・ 二 号(二 〇 〇 八 年) 一 二 七 頁 は、 本 判 決 が「要 綱 を 法 と 同 等 の も の と 取 り 扱 っ た」 と 表 現 す る。また申請者の行政規則に対する信頼保護との関連で「行政規則の外部法化」を指摘する下井・前掲注( 6)一二五頁参照。 ( 31)   な お こ の よ う な「行 政 規 則 の 外 部 化」 の 規 範 構 造 が、 本 判 決 の み な ら ず、 別 の 処 分 性 拡 大 判 例 で あ る 食 品 衛 生 法 事 件(本 文 で 後に言及する)においても見いだされることについては、前掲注( 3)で挙げた拙稿・早法論文参照。 ( 32)   米 田・ 前 掲 注( 11) 一 一 五 頁 脚 注( 11) は、 支 給 決 定 が 通 達 や 要 綱 で は な く 法 律(こ こ で の 法 律 の 意 義 に つ い て は 前 掲 注 ( 10) 参 照) で 認 め ら れ て い れ ば 直 ち に 処 分 性 が 認 め ら れ る と い う 関 係 に あ る わ け で は な い こ と に つ き、 具 体 例 を 紹 介 し な が ら 論 25

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じ た 上 で、 「“通 達・ 要 綱 に 基 づ い た 行 政 処 分 は 認 め ら れ る か” と い う 問 題 設 定 は、 処 分 性 有 無 の 判 断 要 素 を 限 定 す る お そ れ が あ り、必ずしも適切なものとは言えない。 」と指摘する。 ( 33)   山本(一) ・前掲注( 10)一一〇頁以下参照。 ( 34)   山本隆司「処分性(四) 」法教三三五号(二〇〇八年)四八頁以下参照。 ( 35)   な お 山 本(四) ・ 前 掲 注( 34) 五 六 頁 以 下 で は、 「手 続 構 造 と し て 見 た 取 消 訴 訟」 と い う よ り 広 い 見 地 か ら 処 分 性 拡 大 判 例 を 検 討し、その課題を導き出している。 ( 36)   橋本・前掲注( 1)一六頁~一七頁参照。また同六四頁~六五頁も参照。 ( 37)   A 型 の 背 景 に は、 行 政 行 為 論 に 内 在 す る 裁 判 管 轄 配 分 基 準 と い う 性 格 の 残 滓 が 反 映 し て い る と い っ た 歴 史 的 理 論 的 な 側 面 の ほ か、 抗 告 訴 訟 の 利 用 強 制 を ど の 範 囲 で 認 め る べ き か と い っ た 制 度 的 機 能 的 な 側 面 が あ る 点 に つ い て、 橋 本・ 前 掲 注( 1) 一 七 頁 や 同六四頁~六五頁参照。 ( 38)   B 型 の 背 景 に は、 「法 律 上 の 争 訟」 の 範 囲 の 切 り 分 け 等 の 司 法 権 に 係 る 憲 法 解 釈 の 問 題、 い わ ば 司 法 審 査 の 入 り 口 と し て の 訴 訟要件の機能と関わる問題となる点について、橋本・前掲注( 1)一七頁や同六五頁参照。 ( 39)   関 連 し て 橋 本 博 之「平 成 一 六 年 行 政 事 件 訴 訟 法 改 正 後 の 課 題」 自 研 八 六 巻 九 号(二 〇 一 〇 年) 九 頁 ~ 一 一 頁 参 照。 な お 二 つ の 思 考 軸 に つ い て は、 渡 井 理 佳 子「住 民 票 の 記 載 と 処 分 性 を め ぐ る 諸 問 題」 慶 應 法 学 一 四 号(二 〇 〇 九 年) 九 三 頁 が「常 に 相 互 排 他 的な関係にあるとは限らない」と指摘するほか、橋本・前掲注( 1)三三頁も同旨の指摘をしている。 ( 40)   橋 本・ 前 掲 注( 1) 一 七 頁 ~ 一 九 頁 参 照。 ま た 橋 本・ 前 掲 注( 1) 六 六 頁 ~ 六 九 頁 も 参 照。 さ ら に 太 田・ 前 掲 注( 6) 三 四 三 頁も参照。 ( 41)   関 連 し て 橋 本・ 前 掲 注( 1) 一 八 頁 は、 本 判 決 の 事 案 に お い て、 不 支 給 決 定 で は な く、 そ の 前 提 た る 要 綱 に 関 し て 抗 告 訴 訟 が 提起されるのであれば、B型の解釈論のウェイトが高まると指摘する。同六八頁~六九頁も参照。 ( 42)   橋本・前掲注( 1)一九頁注( 25)参照。 ( 43)   橋本・前掲注( 1)六七頁参照。もっとも桑原・前掲注( 30)一二六頁参照。 26

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( 44)   橋本・前掲注( 1)六七頁~六八頁参照。 ( 45)   亘 理 格「行 訴 法 改 正 と 裁 判 実 務」 ジ ュ リ 一 三 一 〇 号(二 〇 〇 六 年) 八 頁 も、 本 判 決 を 含 む 処 分 性 拡 大 判 例 に つ い て、 「そ れ 自 体 法 的 保 護 に 値 す る 相 手 方 の 法 的 地 位 の 帰 趨 を 決 定 づ け る よ う な フ ァ イ ナ ル 性 を 有 す る 行 政 決 定 に 対 し て、 処 分 性 を 認 め た」 と の 共通点があると指摘する。 ( 46)   本 判 決 が 法 的 根 拠 の 文 脈 に お い て、 援 護 費 支 給 手 続 と 保 険 給 付 手 続 の 共 通 性 や 類 似 性 に 着 目 し て い る こ と に つ い て は、 ほ か に も、 例 え ば 下 山・ 前 掲 注( 6) 一 一 四 頁、 下 井・ 前 掲 注( 6) 一 二 五 頁、 西 田・ 前 掲 注( 17) 一 七 〇 頁、 大 久 保・ 前 掲 注( 26) 二 〇 頁、 米 田・ 前 掲 注( 11) 一 一 一 頁 以 下 等 も 参 照。 ま た こ の 観 点 か ら の 射 程 論 と し て 太 田 幸 夫「判 批」 平 成 一 六 年 度 主 民 判 解 (判タ一一八四号、二〇〇五年)二六七頁も参照。 ( 47)   も っ と も「フ ァ イ ナ ル 性」 の メ ル ク マ ー ル を 後 続 行 政 行 為 の 存 在 と リ ン ク さ せ る の で な け れ ば、 四 判 例 と も 共 通 し て い る と も 言 え よ う。 し か し そ う す る と、 「 処 分 4 4 の(一 部) 要 件 を 前 倒 し し て 最 終 決 定 す る」 (強 調 は 筆 者) と の 先 の 山 本 Y 説 の 議 論 と 整 合 し なくなるようにも思われる。 ( 48)   も っ と も 橋 本・ 前 掲 注( 1) 八 八 頁 ~ 九 〇 頁 は、 本 判 決 を 含 む 処 分 性 拡 大 判 例 に つ い て、 「国 民 の 手 続 的 利 益 の 侵 害」 と い う 共 通 す る メ ル ク マ ー ル を 見 出 し て お り、 処 分 性 拡 大 判 例 一 般 に 関 し て、 法 的 効 果 に も 十 分 に 留 意 し て 議 論 し て い る よ う に 思 わ れ る。 し か し 他 方 で 橋 本 氏 は、 本 判 決 に 関 し て は、 先 ほ ど の 本 文 で の 引 用 箇 所 に あ る よ う に、 法 的 効 果 よ り も 法 的 根 拠 に 着 目 す べ き ことを強調している。 ( 49)   関 連 し て 榊 原・ 前 掲 注( 25) 一 五 三 頁 ~ 一 五 四 頁 は、 本 判 決 の 特 徴 に つ い て、 保 険 給 付 に 関 す る 支 給 決 定(法 定 形 式 的 行 政 処 分)と、援護費に関する支給決定(解釈による形式的行政処分)との関係のもとに議論する。 ( 50)   そ れ ゆ え 判 決 理 由 ② は、 論 証 上、 ① を 受 け て の 法 的 根 拠 の 肯 定 へ と 導 く 部 分 で あ る と と も に、 ③ を 導 く た め の 根 拠 付 け の 部 分 として、いわば二重の役割を果たしているものと思われる。 ( 51)   も っ と も、 本 判 決 が 法 的 効 果 の 文 脈 に お い て も、 援 護 費 支 給 手 続 と 保 険 給 付 手 続 の 共 通 性 や 類 似 性 に 着 目 し て い る と い う 点 に つ い て な ら ば、 例 え ば 嵩・ 前 掲 注( 23) 一 〇 五 頁 が す で に 指 摘 し て い る ほ か、 間・ 前 掲 注( 6) 七 四 頁 ~ 七 五 頁 や 前 田 雅 子「行 政 27

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