発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援に
関する諸問題(10)ネパールにおける早期発達支援シ
ステム構築のためのポーテージプログラムの適用と
CBR活動の支援
著者
清水 直治
雑誌名
東洋大学文学部紀要. 教育学科編
号
40
ページ
61-70
発行年
2014
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00007341/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja6
1
発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援
に関する諸問題
(
1
0
)
ーネパールにおけ
る早期発達支援シ
ステ
ム構築のための
ポーテー
ジプ
ログラムの適用と
CB
R
活動の支 援
-清
水
直
治
牢
IBR(施設型リハビリテーション)に代わって、1
9
7
0
年代後半になると、 CBR(地域 に根ざしたリハビリテーション)が提唱された。IBRが障害の医学モデルに従っていた のに対して、 CBRは地域住民と一緒になって地域の開発を目指すなかで、障害のある人 のQOL (生活の質)を向上させようとする社会モデルの理念が根底にあった。 認定NPO法人日本ポーテージ協会は、アジア地域のCBR活動のなかでポーテージ・ モデルを普及させようとして、1
9
9
0
年代からアジアの国や地域で、ポーテージプログラ ム研修セミナーを開催してきた。そうしたなかで今回は、障害福祉や障害のある子ども の学校教育がなかなか進展しない、後発開発途上国に認定されているネパールにおいて、 障害のある乳幼児とその親・家族を支援するために、ネパールポーテージ協会によって 企図された、ポーテージ・モデルを適用した早期発達支援システム構築の1
5
カ年計画J
とCBR活動の活性化について検討した。 キーワード目ポーテージプログラム、ポーテージ・モデル、ネパールポーテージ協会、 CBR活動、早期発達支援システム、毅・家族支援 は じ め に -CBR活動:障害のある人の工ンパワ メン卜と地域開発2
0
1
1
年6
月 に 、 世 界 保 健 機 関 (WHO)と 世 界 銀 行 は 、 歴 史上最 初 の 世 界 規 模 の 概 算 データ を 掲 載 し た 『障害 に 関 す る 世 界 報 告書 (World Report on Disability2
0
1
1
H
を発表した (WHO,2
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1
1
)
。この報告書 に よ れ ば 、 世 界 で1
0
億人以上が何らかの障害を抱えており、その約5
分の lに相当する I億l千万人から l億9千万 人が、 重大な困難に直面していた。そして、障 害のある人たちのニーズに応える適切な仕組み を整備していた国はほとんどない、ことが強調 されている。 開 発 途 上 国 の な か で も 特 に 開 発 が 遅 れ て い る 国 々 は 、 国 連 開 発 計画委員 会 (CDP) の 認 定 基 準 に も と づ き “ 後 発 開 発 途 上 国 (Least *しみず なおじ 東洋大学文学部教育学科 Developed Countries: LDC )" に 認 定 さ れ る が、世界49カ国の LDCのうちアジア地域には 現在その9カ国があり、ネパール連邦民主共和国 (FederalDemocratic Republicof Nepal :以 下、ネパールという)はその一つである (外務 省,
2
0
1
1
)
。世 界 の 障 害 児 ( 者 ) の ほ ぼ80%
が生 活しているとされるアジア地域の後発開発途上 国や開発途上国の障害のある人たちは、政府の 予算が国の発展のために優先して使われ、障害 福祉や障害教育の政策は最も後回しになってし まう結果、いまだに放置されたままか十分な支 援が受けられないままになっている現状がある。1
9
7
8
年にWHOは、こうした開発途上の国々 のPHC(Primary Health Care) の 新しい施策 として、“地I攻に+艮ざしたリハビリテーション (Community-Based Rehabilitation: CBR)" を 採 用した。1
9
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8
年のW HOによる最初の定義では、-6
1
-62 「東洋大学文学部紀要」第68集 教育学科編 XL (2014年度) iCBRとは,地域資源を利用して、地域社会で行 うリハビリテーション活動であって、障害のあ る人とその家族を含み、地域全体の参加によっ て実施される方略である
J
とした (WH0,1978)。 地域社会への障害のある人たちのエンパワメン トを 目的として、地域資源を利用することが提 唱された。 認定NPO法人日本ポーテージ、協会は、1985年 の創立以来、「発達に遅れや偏りのある乳幼児を 育てる親・家族がどこに住んでいても、必要な 支援が地元で受けられるような早期発達支援シ ステムの構築」を目標に、「ポーテージプログラ ムJ
a
ポーテージ早期教育ガイドj(Shearer&
Shearer,1972)、『ポーテージ乳幼児教育プログラ ムj(山口.1983)、『新版ポーテージ早期教育プ ログラムj(日本ポーテージ協会,2005)の総称。 以下、同じ)の日本国内への普及活動とともに、 1990年代からは、アジアの後発開発途上国や開 発途上国への普及にも活動を拡げ、 CBR活動の なかでポーテージプログラムの活用と CBR活動 の支援を促進するために、 CBR活動の実態調査 やポーテージプログラム研修セミナーをアジア 各国・各地域で開催してきた(山口・清水・土橋・ 古川,1997;清水・山口・ 土橋 ・古川,1997;清水・ 山仁l'土橋・吉川.1998)。 本稿では、日本ポーテージ協会がこれまでに アジア各国・各地域で開催してきたポーテージ プ ロ グ ラ ム 研 修 セ ミ ナ ー や CBR活 動 の 実 態 調 査を踏まえて、ボーテージプログラムを適用し たCBR活動が、早期発達支援や親・家族支援に おいて有効に作用するにはどうすればいいかを 検討することを目的とする。具体的には、後述 するように、アジアの5カ国
5
地域で実施した CBR 活動のなかでのポーテージプログラムの活 用に関する実態調査やポーテージプログラム研 修セミナー(山口,1998)、及ひ、ネパール・カトマ ンズ、パネパで開催したポーテージプログラム 研修セミナーなどの開催 (西永・清水,2014)を 通して、ポーテージプログラムを適用したCBR 活動の在り方、及びネパールにおける障害のあ る乳幼児の早期発達支援システム構築に関する CBR活動の現状と課題について検討を行う。 I .ポーテージプログラムとアジア地域のCBR 活動 1.ポーテージプログラムとポーテージ・モデ Jレ
1972年に実験版として公刊された“『ポーテー ジ 早 期 教 育 ガ イ ドj(Portage Guide to Early Education: PGEE)" (Shearer& Shearer.l972)は、 1975年にはアメリカ合衆国合同普及検討委員会 により、 早期教育プログラムとしての有効 性 が 公的に認定され、アメリカ合衆国全域に普及さ れることが決定した。1975年以降も、アメリカ 合衆国内の各地で追試され、さらにその有効性 が実証された。 日本ポーテージ協会は、 PGEEの1976年改訂版 (Bluma,Shearer,Froman
&
Hillard,1976) を もとに、発達に遅れや偏りのある乳幼児の早期 からの発達相談や親・家族支援を行うために、 『ボーテージ乳幼児教育プログラムJ
を1983年 に翻案・出版した(L1.1口,1983)。そして、現在では、 2005年に改訂した 『新版ポーテージ早期教育プ ログラムj(日本ポーテージ協会.2005)をもとに、 各種の研修セミナーを通してポーテージ相談員 を養成するなかで、現在では全国48支部を中心 にポーテージ活動を展開している(清水.2012)。 そして2000年には東京都からNPO法人の認証 を受け、 2014年には同じく東京都より認定NPO 法人として認定された。 ポーテージプログラムの最も重要な特徴は、 一定期間ごとに訪問するポーテージ相談員の指 導を受けながら、障害のある子どもの親が家庭 や 日 常 生 活 の な か で そ の 子 ど も の 子 育 て を 行 い (Home-BasedProgram)、 家 族 全員が 参 加 してその障害のある子どもに対応する (Family -Focused Intervention) プログラムであるという ことである (清水,2005)。“自然な環境 (natural environment) "である家庭を主な指導の場とす る、親・家族に焦点を当てたこのプログラムに よれば、特別な施設・設備や専門家を必要とし ない。 2. CBR活動のなかのポーテージプログラム 障害のある人たちへのサービスの形態には、 ①施設型 (Institute-BasedRehabilitation:IBR) 障害のある人が自分からサービスを受ける場所 円 / ﹄ 円 h U発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援に関する諸問題(10) まで出向いてサービスを受ける、 医学モデルに もとづくアプローチ、 ②アウトリーチ~~! :専門 家の方から地域活動に出向く訪問型サービスで、 医学モデルにもとづくサービスである。そして ③CBR型がある。 CBRはIBRの 限 界 か ら 提 唱 さ れ た サ ー ビ ス 形態であるとされるが、 ILO.WHO& UNESCO
(1994)の定義によれば、 iCBRとは,隙害のあ るすべての人たちのリハビリテーション、機会 均等、社会統合のための地域開発における方略 である。CBRは障害のある当事者やその家族、 地域社会の人たちの力を集め、適正な保健、教育、 職業、社会サービスが行われることによって実 施される」とされている。 1970年代後半になると、ポーテージプログラ ムは英国に導入された。英国では英国ポーテー ジ
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会のもとに「ポーテージ・モデル」が実践 され、 1980年代にはその有効性が実証されて国 の 制 度 と し て 採用された (Cameron.1986:Whi te & Cameron.1987)0 2000年代までに、イングラ ンドでは「ポーテージ・サービス」として 180 カ所ほどの訪問指導を行う拠点が作られ、ポー テージ相談が展開された(清水.2002)。 CBR 活 動 の な か で の ポ ー テージプログラム の 適 用 に つ い て は 、 中 南 米 ・カリブ地域では、 1972年に ドミニカ ・リハビリテーション協会が 最初に導 入したのを契機に、 1975年 に は ジ ャ マイカが取り入れ、 1986年までに9カ国がポー テージプログラムを使った早期対応サービスを 開始した。それ以降、開発途上国における CBR 活 動 の な か で 盛 ん に 活 用 さ れ る よ う に な っ た (e.g.Thorburn.1990)。
障害のある子どもの親や家族が、ポーテージ プログラムを用いて家庭を指導の場として早期 対 応 を 行 う と い う ボーテージ・モデルは、基 本 的 に はCBRの 考 え 方 に 合 致 し て い る (清 水.1998)。親 や 家 族 が 直 接 に 子 ど も の 療 育 や 指 導に当たることが基本であり、親による家庭指 導を過して、子どもの発達を促進することはも とより、親をエンパワメントしようとするプロ グラムである。 CBR 活動にポーテージプログラムを用いた指 導には、次のような利点がある。 ①プログラム の構成や指導の手続きは構造化されているが、 柔軟に変更して適用できる。 ②家庭や地域社会 63 を基盤とするプログラムであり、獲得したスキ ルの日常生活への般化や維持が容易である。 @ 文化背景や言語体系に合わせて翻案して適用で きる。 ④障害のある乳幼児やその置かれた環境 に対して、総合的・持続的なアプローチができる。 ⑤家族に障害受容や発達支援の枠組みを与える。 ⑥発 達 水 準 が6歳 ま で の 乳 幼 児 に 適 用 で き る。 ⑦就学前教育から小学校教育への移行が円滑に できる。 また、ポーテージ・モデルをCBR活動に採}り することによって、次のような利点が挙げられ る。 ①IBR
に 比 べ て 経 費 が 少 な く て 済 む 専 門 の施設・設備の建設や整備、専門家を雇用する 費用、専門の施設に通う交通費などの経済的負 担がかからない。②地理的条件。公共交通機関が 整備されていない島部や山岳地域でも適用でき る。 ⑧地域社会への統合。障害のある乳幼児の支 援を地域住民が協力して行うことで、障害のあ る人とその家族が住民とともに地域に根ざした 生活が可能になる (清水.1998)。 3.アジア地域におけるCBR活動とポーテージ フ。ログラム アジアの匡1
.
也l:I或では、インド、フィリピン、 バングラデシュ、ネパール、マレーシア、パキ スタン、シンガポール、台湾、韓国、中固など の国々に、ポーテージプログラムが導入された (e.g.Kohli.l990: Zaman&
Islam.1990)。
日本ポーテージ協会は、アジアの国・地域の CBR活動へのポーテージプログラムの普及を目 的に、 1980年代からポーテージプログラム研修 セミナーを 開 催 し て き た 。 第一期 は 1989年 1994年で、アジア4カ国6地域(大連・北京・ 南京 (以仁、中国)、台北(台湾)、マニラ (フィ リピン)カラチ(パキスタン)J
でポーテージプ ログラム研修セミナーを実施した。第二期は、 三 菱財団の助成金を得て 1996年 ・1997年にアジア 5カ国5地域〔大連(中国)・台北 (台湾)・ダパ オ(フィリピン)・カラチ(パキスタン)・ダッカ(/¥ ングラデシュ)で、 CBR活動の実態調査とポー テージプログラム研修セミナーを実施 し た (U
I
口 ・ 清 水・土橋 ・吉川.1997:清水・iJl仁1.土 橋 ・吉川.1997:清水.111口・土橋・吉川.1998)。 そして2003il::には、聖愛 (成都・中国)におい て、ポーテージプログラム研修セミナーを行っ つJ n h U6
4
「東洋大学文学部紀要」第6
8
集 教育学科綜i
XL
(
2
0
1
4
年度) た。多くの研修セミナーの日程は3日間で、そ の内容は、第1日:ポーテージ早期教育プログ ラムの概要・早期教育の意義と効果、指導の実際・ アセスメントの仕方とカリキュラムの立て方と 記録の方法、第2
日:応用行動分析の原理 ・課 題分析と活動チャートの説明・課題分析の実習・ 活動チャートの実習、第3日・親支援と指導事例・ グループ指導であった。CBR
活動の実態調査は、ポーテージプログラ ム研修セミナーの (事前)に、 ①居住地域の位 置・人口、②参加者の職業、③地域の障害児 (者) 対 策一医療サービス,福祉サービス,教育(特 に就学前)サービス、親の会の有無、現在あるC
BR
活動、④居住地域でのポーテージプログラ ム適用の可能性、⑤居住地域でのボーテージプ ログラム適用への参加の可能性、 ⑥居住地域に おける障害者理解と親の参加の可能性について、 参加者に個別に聞き取り調査を行った。CBR活 動の実態調査 (中間・ 事後)は、研修セミナー 終了後6カ月及び1年後に、 ポーテージプログ ラムの適用状況や効果の評価の調査などについ て、調査用紙を郵送して回答を求めた。 主な結果をみると、 ①病院や保育所、幼稚園 などの医療、福祉、教育サービス体制の整備は、 ほとんどの固において十分で‘はなかった。②早 期発見のシステムは保健所が多くの国でその役 割を果たしていた。③CBR
活動は、それぞれの 国の状況に応じて様々に展開されていたが、い ずれも準備資金や活動資金の調達に困難があっ た。 ③障害のある人の見方や態度については、 障害や障害のある人を知らないという回答が多 かったが、無関心だ、ったり否定的な態度も表明 された。 ④ポーテージプログラムを用いたCBR
活動の なかで予想される困難としては、経済的・財政 的問題、親の協力体制が作れない、ボランテイ アの募集ができない、教材 ・教具が調達できな い、親のプログラムの理解不足などが挙げられ た。 ⑤希望する支援には、人的資源や経済的基 盤の強化、早期対応に対する知識と技術の提供、 特別なニーズのある子どもの教育に関するセミ ナーやワークショップの開催などがあった。 実態調査の結果からは、円滑なCBR
活動の運 営にとって、 ①CBR
活動のための準備資金 ・活 動資金の安定的な供給・篠保、 ②CBR
活動の組6
4
織作りと整備・充実、 ③CBR
活動への親の積極 的な参加とポーテージプログラムの適切化など が指摘された。それぞれの国 ・地域の実情に合 わせて実際的に検討することが求められた。I
I
.
ネパールのCBR
活動とポーテージプログラム
1 .ネパールの障害福祉と障害のある子どもの学 校教育 ネパールは、2
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1
年の国勢調査によれば、人 口2
.
6
4
9
万人、人口増加率1.35%
であった。束、 西、南の三方をインドに、北方を中国チベッ ト 自治区に接する西北から東南方向に細長い内陸 国であり、 匡l
土面積は1
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目7
万平方キロメー トル の多民族 ・多言語国家である。行政区分は5
つ の“開発地域(
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と7
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の“郡(
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..に分かれ、さらにその下に市と村が 設置されている (外務省.20
1
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)
。 政治体制は、絶対王制の時代を経て1
9
8
9
年の 民主化運動以降に大きく変化し、2
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0
8
年5
月に 王制が廃止されて共和制へと転換した。このよ うな政治体制の変化のなかで、障害のある人に 対ーする政策の理念は、初期の医療リハビリテー ションや医療ケアを優先した観点から、社会の なかでの位置づけや障害のある人の自立生活を 求める観点へと転換した (井上.
2
0
1
0
)
。 ネパールでは、障害のある人の福祉に関連し て、1
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8
1
年に"労働 ・社会福祉省(
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が 設置され、1
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年には、障害のある人を扱った最初の法律であ る1
輩害者福祉法[
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PWA
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J"が制定され、 その1
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年後の1
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年に出された障害者福祉規 則[
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のもとで施行された。DPWA1982
では、1
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1
年の国際障害年に呼応して障害のある人を 定義し、障害のある人の権利とその対応を明示 した。 教育に関連しては、ネパールでは1
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1
年に教 育法(
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1)が制定され、そのな かで障害のある児童に対する特殊教育の提供が 初めて明記された。 同じく1
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1
年には“国家教 育制度計聞(
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)
が発表され、特殊教育にも言及された。発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援に関する諸問題 (10) そして
1
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3
年には、教育省のなかに “特殊教育 委員会(
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が設 置された。1
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年 教 育 法 は、2
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年 後 の1
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年 に 出 さ れ た 教 育 規 則(
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によっ て 施 行 さ れ た。こ れ に 伴っ て “ 国 家 教 育 委 員 会(
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が 設 立 され、基礎・初等教育プロジェクト(
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が組織さ れ、 障害のある児童に対する学校教育に関して、 統合学校(
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という概念が採用 された。 ネパール で は 教 育 制 度 に 関 し て は こ れ ま で、基礎・初等教育の普及を最も重要な課題と し、初等教育の完全普及を達成することに力を 傾 注 し て き た と言える。19
9
0
年にタイのジョ ム テ イ エ ン に お け る “ 万 人 の 教 育(
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..宣言と2
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年ダカールのセネ ガルにおける“万人の教育.ダカール行動枠組 み(
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"を中心に、障害のある子どもを含むす べての子どもにおける学校教育の現状改善を目 指してきた。2
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1
年に“万人のための教育実施 計画(
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-
2
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1
5
)
"が発表され、このEFA
の目標とし て、 ①平等な就学機会の確保、 ②教育の質の向 上と改善、 ③制度運用の効率と能力の向上、 が 挙げられた。2
.
ネパールのCBR
活動とポーテージプログラ ム ネパールでは小規模なCB
R
活動が数多く存在 するが、 それらのCBR
活動は、従来の医学モデ ルによる障害へのアプローチよりも、近年では 社会環境の改善に焦点を当てたアプローチを重 視しており、障害のある当事者を中心に近隣の 人たちを巻き込んで、いる点に特徴がある。 ネパールのCB
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活動は、1
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年に“ネパール 障害協会(
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)
"
がカト マンズ近郊にアウト リーチ型のCBR
を開始した ことに遡り、2
0
0
0
年頃からは、 開発途上国に係 る開発NGO
との連携のもとにCBR
活動が実施 されている。CBR
ワーカーは、担当地域を巡回 して障害のある乳幼児の早期発見や基礎的なリ ハビリテーションを指導したり、相談の会合を 65 聞くなど多様な機能と役割を果たしている。B
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)
は 、 ネ パ ー ルでは社会資源が少なく識字率も低く、女性の 就労時聞が長いなどの多くの困難があったもの の、CBR
活動として“親から親へモデル(
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Mode
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)
"
を開発した。このモデルによっ て、地域社会において、障害のある子どもを育て た経験がある親やそのきょうだいが、現在障害 のある子どもを育てている親の支援や相談を行 うシステムを構築した。リハビリテーションの 専門家がいない地域で、障害のある子どもを育 てた経験のある親やそのきょうだいをスーパー 親やスーパーきょうだいとして、 自分が過去に 抱えていた困難と同様の困難に出会っている親 やきょうだいの支援や相談が担当できるように 人材養成を行う。 親同士が助け合うモデルである“親から親へ モデル"は、ピラ ミッ ド型の人材養成階層モデ ルから成っている。すなわち、最も地域住民に 近い地点に、スーパー親やスーパーきょうだい が相互支援者として位置づけられ、その上の層 に障害のある乳幼児を家庭で指導する担当相談 員、さらにその上の層には、家庭指導の専門家 や親を指導する専門技術者、 最も上層には専門 技術者を訓練する理論家が位置する。この人材 養成階層モデルにおいて、CBR
活動を実践する 中で、スーパー親やスーパーきょうだいに非常 に重要な機能と役割が与えられている。m
.
ネパールにおける早期発達支援システムの構 築とCBR
活動 1 .ワークショップセミナーとネパールポーテー ジ会議の開催2
0
1
4
年3
月 に 、 日 本国際 協 力 シ ス テ ム (JI
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SKGO)
からの助成金を得て、 「障害乳幼児 の親・家族を早期から支援するためのネパール ポーテージ協会との人材育成の協働事業」を実 施した甘)。その契機となったのは、1
9
9
9
年にネ ノfールのカトマンズで開催された第1
4
回アジ ア知的障害会議のプレカンファレンス・ワーク ショップにおいて、日本ポーテージ協会がポー テージプログラム石i
i
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1
1
疹セミナーを行:ったことに 端を発する。 この石青 修 セ ミ ナ ー の 後に ネ パール で は、 ベ U円 。
ハ hu p h u 「東洋大学文学部紀要」第68集 教育学科編 XL (2014年度) 2001年 に ネ パ ー ル ポ ー テ ー ジ 協 会 (Portage Programme Nepal : PPN) が設立され、パネパ を拠点にポーテージ活動が開始された。今回の プロジェクトは、ネパールポーテージ協会の要 請を受けて2012年9月にパネパで開催したポー テージプログラム研修セミナーに引き続き、ネ ノfールポーテージ協会によって作成された
1
5
カ 年計画 (2014 年~2018年)Jの目標を実現する ために、その第 l年目のポーテージプログラム 研修セミナーとして開催された。ネパールポー テージ協会はこの機会に同時に、ネパールにお ける障害のある人に関連する研究者や国・地域 の行政担当者、関連団体の活動状況などを報告・ 協議する「第1
回ネパールボーテージ会議」の 開催を企画した。 日本ポーテージ協会とネパールポーテージ、協 会 及 び そ の 上 位 団 体 で あ る ネ パ ー ル ポーテー ジ ・ リ ハ ビ リ テー シ ョ ン 協会 (Portageand EehabilitationAssociationNepal:PEAN)が協働 して開催した〈第1
回ネパールボーテージ会議 とポーテージプログラム研修セミナー〉には、 講師を含めて、ネパールの各地域から総数約70 名の参加者があった。参加者の職種は各地域で ホ 。ーテージ活動を実践しているポーテージ相談 員、教師、学校長、フィールドワーカ一、障害 者団体の代表、行政担当者、国会議員など多岐 にわたっていた。 第1
日日の開会式には、ネパール副大統領パ ラマーナンダ・ジャー (ParmandaJha)氏がチー フゲス トとして開会式 に 点 灯 式 と 挨 拶 を 行 い、 第3
日日の閉会式には、国・地域の福祉行政担 当者がチーフゲス トとして挨拶を行った。この ように、ネパール副大統領や国会議員、国・地 域の福祉 ・教育の行政担当者が参列し、ネパー ルにおける障害のある人たちに対する教育や福 祉、そしてポーテージプログラムの活用につい て言及したことは、ネパールにおける障害のあ る人たちへの福祉・教育施策の向上や、ポーテー ジプログラムをネパール全域に普及させようと するうえで、大きな効果があったと言えよう。2
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ネパールポーテージ協会との5
カ年計画と 早期発達支援システムの設計とポーテージ プログラムの活用 ネパールポーテージ協会の1
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カ年計画」に よれば、ネパールにある 75郡のうち 25郡にお いて少なくとも 1人は、ポーテージプログラム の初級研修レベルの研修やワークショップが開 催できる知識と技術を持ったトレーナーを養成 し、それらのトレーナーを中心として、今後の5 年間でネパール全域にポーテージプログラムを 普及・整備することによって、約l.500人の障害 のある乳幼児を対象とする早期からの発達支援 のためのポーテージ相談を実施する「早期発達 支援システム」の構築が企図された (PEAN& NPP,2013a)。
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カ年計凶J
と早期発達支援システムの設計 の概要は、次のとおりである。 <展望・目的>:①実施計画:2014 年~2018年 (5年間)に、ネパールにある 75郡のうち 25郡 において、この5年間に初級研修セミナーや中 級研修セミナーの実施を通して、 300人の教師や フィールドワーカー、保健師、政府機関の担当 職員などを養成する。そして、約1.500人の障害 のある乳幼児を対象に、質の高い生活が営める ようにポーテージプログラムを用いた相談活動 を実施する。 ②長期目標 :この5年間に、ネパールの 25郡に おいて、約1.500人の障害のある乳幼児を対象に ポーテージプログラムを用いた相談活動を開始 する。 ③短期目標・ 長期目標を達成するための年次目 標は、次のとおりである。2014年 少なくとも 8郡において、約 500人 の 障 害 乳 幼 児 に 対 し て ポーテージプログラムを用いた相談活動を開始 するために、ポーテージプログラム初級砂f修セ ミナーを開催して、1
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0
人の教師・相談員を養 成する。2015年 ・少なくとも 5郡において、約 300人の障害乳幼児に対してポーテージプログラ ムを用いた相談活動を開始するために、ポーテー ジプログラム初級研修セミナーを開催して、 50 人の教師・相談員を養成する。 2016年 少なくとも 5郡において、約 300人 の障害乳幼児に対してポーテージプログラムを 用いた相談活動を開始するために、ポーテージ プログラム初来」同iJf修セミナーを開催して、 50人 の教師・相談員を養成する。 2017年ー少なくと も5郡において、約 200人の障害乳幼児に対し てポーテージプログラムを用いた相談活動を開 始するために、ポーテージプログラム初級研修 66発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援に関する諸問題(10) 67 セミナーを開催して、 50人の教師・相談員を養 成する。2018年:少なくとも 5郡において、約 200人の障害乳幼児に対してポーテージプログラ ムを用いた相談を開始するために、ポーテージ プログラム初級石iJf {l~ セミナーを開催して、 50 人 の教師・相談員を養成する。 ④5カ年間計画の成果指標 ネパールポーテー ジ協会による独自のモデルプログラムの開発、 関連機関と共同したプログラム開発、ネパール ポーテージ協会が研修を担当する関連機関のプ ログラム開発である。 <研修・ワークショップ実施計画>・ 短期目標:入門セミナー.参加者各
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人で2
日 間実施する。 中期目標:初級研修セミナー 参加者各20~ 25 人で42時間実施する。 長期目僚・認定相談員 (中級研修セミナー)参 加者各20~ 25人で、 90時間実施する。 スーパーパイザー養成研修セミナー:認定スー ノfーパイザ一、参加者75人(各 15~ 20人)で6
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時間実施する。 コーデイネーター養成研修セミナー:認定コー デイネータ -:4~5 人に対して 90 時間実施する。3
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トレーニングセンターの建設 ネパールでは、それまで障害のある乳幼児に 対する早期対応はほとんど行われていなかった が、 2001年 か ら 英 国 の 企 業 か ら 活 動 資 金 の 援 助を得て、ネパールポーテージ協会の活動を開 始した。それ以来、身体障害やさまざまな障害 のある子どもたちの支援に携わり、顕著な効果 をあげてきた。その結果、障害のある子どもに 対 す る 社 会 や 親 た ち の 意 識 に 変 化 を も た ら す ことカfで き た (PRAN& PPN.2012; PRAN&
PPN.2014)。
ネパールポーテージ協会はさらに、ポーテー ジプログラムをパネパ以外のネパールの地域に も漸次普及させていくことを構想しているが、 ポーテージプログラムによる支援活動を拡大す るためには拠点となるトレーニングセンターが 必要であり、 こうしてトレーニングセンターの 建設を計画した (PRAN&
PPN.2013b)。このト レーニングセンターは、敷地は5.
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76平方フィー ト 、 3階建てで28部屋があり、その全体が現時 点ではいまだ完成はしていないが、建物の3階 のl室を使って、 2014年 3月にすでに就学前イ ンクルージョンクラスを開設した。 このトレーニングセンターの目的は、次のと おりである。ボーテージプログラムに関する情 報を提供する。年間200人がトレーニングを受 けられるような環境を整備する。 ②トレーニン グセンターに通わないで、ボーテージプログラ ムのオンライン・トレーニングを行う。 ③少な くとも 15人の就学前の障害のある幼児を対象に、 毎年適切な環境で就学前活動を実施し、その進 歩が観察できるようにする。④ 6 歳~ 18歳まで の少なくとも 8~ 10人の特別なニーズのある子 どもたちが、適切に学習ができる環境を提供す る。⑤就学前クラスや特別クラスの開設を希望 するNGO
や行政機関の担当者と直接に会って、 そのために必要な知識や情報を提供する。⑥部 屋が使用されていないときには、別の団体に部 屋を有料で貸出し、ポーテージ相談の活動資金 を得る。 V.総合考察 (1)障害の社会モテ守ルと QOLの向上 ネパールは後発開発途上国に認定されており、 社会の治安の確保・維持はもとより、貧困や教育、 水利・道路などの社会のインフラ整備という課 題の解決が優先されて、障害のある人たちの福 祉・教育政策は自ずと後回しの順位になってい た。 1990年代以降ネパールにおいても、地域社会 の な か の 障害のある人の位置づけや社会参加、 人権擁護、経済的自立などのテーマが取り上げ られるようになり、政策もその方向に志向され てはきたものの、その実態は依然として医療リ ハビリテーションと社会福祉に重点が置かれて おり、政策の理念と実施の実態との議離が大き な問題であるとされている。そして、政策や制 度が改善されても僻地や過疎地に行政の手が届 きにくい状況にあって、地域格差の拡大を阻J会卜 する手段に乏しい現状が、障害のある人たちに 対する支援政策や制度設計の大きな支障になっ ている(井上.2010)。 ノーマライゼーションやバリアフリー、イン クルージョンの理念をもとに機会均等や社会統 合など、障害のある人が自立して生活できるよ -67-6
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「東洋大学文学部紀要J
第6
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集 教育学科編XL
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年度) うな地域社会を地域住民と障害のある人が一緒 になって 創 造 す る と い う 、 地 域 開 発 の 理 念 が CBR活動の根底にある。しかし、障害のある人 が望むようなCBR活動は、いまだに見られない。 それは、専門家や行政担当者が地域社会で障害 のある人をサービスの受益者として見てしまい、 障害のある人が地域社会で担っていた役割を肯 定しない状況を作ってしまうことが、 CBR活動 への障害のある人の参加が進まない理由の一つ であるとされる。現行のCBR活動が社会モデル に立脚しない限り、障害のある人の主体性は無 視され続けてしまう(中西,20
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)
。地域資源を 有効に活用したCBR活動に、│濠筈:のある人自身 が主体的に参加することを通して、障害のある 人がエンパワメントされ、QOL
(生活の質)が 向上し、そして地域住民の障害のある人に対す る意識が肯定的に変容されることが期待されて いる。(
2
)
アジア地域におけるポーテージ・モデルの 発展 この3
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数年間に,ポーテージ・モデルは、 ① ポー テ ー ジ プ ロ グ ラ ム に よる発達進歩のモニ 夕、②親・スタッフの人材養成、 ③プロジェク トの計画・管理の3相に関連して、水平方向の 拡大と垂直方向の拡大が示された (Brouillette&
Brouillette.
l
989。) 水平拡大とは、 ①では、ポーテージプログラ ムの各国版における指導項目の削除・追加、 ① では、親を他の家族が指導できるように養成、 ③では、それぞれの家庭での指導や施設におけ る指導、施設での親のグループ指導、施設での デイケアサービスである。垂直拡大とは、①では、 より年長児あるいは学齢児を含むポーテージプ ログラムの開発、②では、 学i~íî 児の親対親の支 援グループの養成、 ③では、 CBR活動のなかの 活用であった。このような水平方向の拡大と垂 直方向の拡大は、ポーテージプログラムが極め て柔軟で、あることの証左であろう。 ネパールには、2
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1
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年8
月現在で、6
歳以前 の障害のある乳幼児が約51万人いることが示さ れた。それにもかかわらず、現状のネパールに おいては、障害のある乳幼児の早期発見や早期 対応を担当する行政組織・機関が整備されてお らず、ネパールポーテージ協会のような民間組 織の活動に多くが委ねられている。準備資金や 活動資金の調達とテクニカル ・アシスタントの 提供が、今後の大きな課題である。 CBR 活 動 と し て ポ ー テ ー ジ プ ロ グ ラ ム を 適 用する│祭には、次のような点を検討する必要が ある。一つは非専門家の活用である。もともと CBRは、非専門家である地域住民が中心となっ て参加することを重視していた。そして、専門 家が養成される時間的な余裕がなく早急に対応 することが要求されたり、養成するための資金 調達が困難な後発開発国や開発途上国で盛んに 実施 さ れ て き た。ネパールにおけるスーパー 親やスーパ ー き ょ う だ い の 養 成 の 例 の よ う に (Brouill巴tte&
Brouillette.l988)、障害乳幼児の 親や地域住民からのボランテイアの人材養成や 活用に関して、いっそうの工夫が求められる。 ポーテージプログラムをアジア文化に適用す る際には、 ①拡大家族が多い・そのために数多く の家紋全員に指導が必要である。②女性が就労 していたり、就労時聞が長い.母親が子どもを 家庭で療育する時間の確保が困難である。①他 人に家庭に入られることを好まない場合がある・ ポーテージ・モデルの適用が困難である。 ④発 達支援という理念が理解されにくい・ポーテージ プログラムの適用が困難である、という特徴に 留意する必要があった。そして、これらのこと を踏まえて、アジアの国・地域でポーテージプ ログラムがCBR活動で適切に活用されるには、 ①家族全員に焦点が当てられ、家族全員のニー ズが把握され考慮されているか、 ②療育活動に 親が実際に参加しているか、 ③療育計画が障害 のある子どもとその家族の日常生活の中に統合 されているか、④医療・教育・福祉の他の地域サー ビスと連携 ・統合されているか、について検討 することが求められる。 (3)ポーテージプログラムによる CBR活動の支 援 CBR 活動は、繰り返せば、地域社会に居住す る障害のある人のリハビリテーションという狭 義の意味だけではなく、障害のある人自身も主 体的にその活動に参加しエンパワメントし、そ の地域住民の障害や障害のある人についての認 識を変えることを通して、地域社会を開発しよ うとする活動でもあったc しかしながら、その CBR 活動の実践には、次のような困難が伴うこ とがある。①CBR活動やプログラムの実施に必 口 δ 円h U発達に障害のある乳幼児への早期介入と家族支援に関する諸問題(10) 69 要な知識や技術の伝達に時間を要する。例えば、 実態調査によれば、バングラデシュでは、 CBR ワーカーの養成に 2~3 週間のラーニングワー クショップを実施した (清水.1998)。②訓練さ れた CBRワーカーの定着率がよくなかったり、 キーパーソンとしての専門家の獲得が困難であ る。③障害や障害のある人の理解を基盤とする 社会変革は長時間を要する、ということである。 また他方、ポーテージ・モデルが陥りやすい 次のような問題が挙げられる。 ①親による家庭 指導を主とするプログラムであるので親、こと に母親の負担が増加してしまわないか、 ②発達 支援の責任が親や家族に移行してしまわないか、 ③親参加という考え方は、アジアの後発開発途 上国・開発途上国や地域において文化的に妥当 な理念か、などが十分に考慮される必要があろ う。そして、 ①親、とくに母親による指導はそ の文化において実際的か、 ②親自身が参加を積 極的に歓迎しているか、 ③課題達成型のプログ ラムであるので指導効果を求めすぎる危険性は ないか、 ④情緒的な交流や養育などの母親役割 を損なわか、ということである。総じて、それ ぞれの固や地域の文化に適合してプログラムを 利用しやすく適正化するなかで、家族全員に焦 点が当てられたポーテージプログラムを用いた 相談活動が実行されることが求められよう。 さらに、アジアの後発開発途上国や開発途仁 国における CBR活動が、ポー デ ー ジ プ ロ グラ ムの活用を踏まえて円滑に運営されるためには、 次の事項が検討され必要がある。 ①地域社会の 中に CBR活動システムをどう組織化するか、 ② CBR活動の計画や管理の中に、障害のある人と その家族をどう参加させるか、⑧CBR活動に必 な財源をどう調達・確保するか、 ④地域住民に 障害や障害のある人をどう認識させるか、 ⑤多 株な種別・程度の障害のある人一人ひとりにど う適切なサービスを行うか、⑥CBRワーカーな どCBR活動を実践する人たちの養成をどう実施 するか、 ⑦ CBR活動で用いる早期教育プログ ラムをどう文化適合させるか、⑧CBR活動に必 要な教材・教具をどう調達・確保するか、とい うことである。 (4)主体的な早期発達支援システムの構築 そうしたCBR活動の中でポーテージ・モデル は、発達に遅れや偏りのある乳幼児とその親・ 家族への早期対応の形態として、多く肯定的に 評 価 さ れ て き た。CBRワ ー カ ー が 、 障 害 の あ る子どもの家庭を定期的に訪問し、家族と交流 しながら母親と共感し合うことによって、母親 の情緒的安定と心理的支援がもたらされ、その ことが母子関係をよりよくし家族の凝集性を高 め、適切な療育活動の基盤となる。障害のある 子どもを育てている親とその家族に直接に接す るCBRワーカーの養成は、ポーテージ・モデル に則ったCBR活動が成功する重要な鍵となろう。 CBR 活 動 を 通 し た 外 部 か ら の 経 済 的 ・ 人 的 支援は一時的なものであり、将来的に地域社会 の人たちが主体的に選択し決定し、活動できる ようになるための支援である。CBRの基本理念 は、 障害のある人たちを含む地域社会の人たち が自分自身で選択し決定することを本質的に尊 重している。アジアの5カ国・5地域で実施した CBR調査 (事前)の結果にみられるように、 障 害のある子どもを育てている親によって組織さ れる 「親の会」も親や家族の自立を促進する重 要な要因になると考えられる。そして、ネパー ルポーテージ協会による
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カ年計画のもとでそ の実現が待たれる、早期発達支援システム構築 に関しでも、このCBRの基本理念が相互に共有 されることが重要で、あろう。 !tJ平成25年度]lCSNGO支援 事 業 「障害乳 幼 児 の 親 ・ 家族 を早期から支援 す る た め の 不 パールポーテージ協会との 人材育成の 協働事業J(事業代表者 清水i!{治) 引 用 文 献 Blllma.
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