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地域住民ボランティア参加による認知症患者のパーソンセンタードケア;「思い出ブック」の在宅医療への効果測定

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 理事長 住野 勇 殿. 2016 年度(前期)一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書 テーマ:. 地域住民ボランティア参加による認知症患者のパーソンセンタードケア; 「思い出ブック」の在宅医療への効果測定. 申請者 :加瀬裕子 所属機関:早稲田大学人間科学学術院 〒359-1192 埼玉県所沢市三ヶ島 2-579-15 共同研究者:赤津拓彦 所属機関 :医療法人社団. 医凰会 並木病院. 研究報告者:山村正子 所属. :早稲田大学人間総合研究センター. 提出年月日:2017 年 8 月 29 日. 1.

(2) Ⅰ.はじめに. 1.急がれる在宅認知症患者を地域で支えるシステムの構築 認知症の発症率は、85 歳以上の高齢者では2割を超え、超高齢社会における認知症対策 は喫緊の課題である(1)。一方で、厚生労働省は 2025 年を目途に、 「高齢者の尊厳の保持と自 立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最 期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシ ステム)の構築を推進」しており、在宅医療における医療と介護の連携を大きな課題として 掲げている。同時に、地域住民のボランティア等の活動を地域包括ケアシステムに組み入れ、 その活力を生かす方策も模索されている(2)。在宅で暮らす認知症患者を地域で支える仕組み の構築が急務である。しかし、厚生労働省が提唱する地域住民のボランティアによる支援シ ステムの構築は端緒についたばかりであるのが現状である。 2.市民ボランティアグループ「ピアところ」の活動 筆者らは 2013 年6月~7月に「認知症ベストケアパートナー養成市民講座」(勇美記念 財団の助成による。以下市民講座)を実施し、260 名の参加を得た。その後、2014 年1月~ 4月に市民講座参加者を対象に、東京近郊 T 市において「認知症サポート技術講座①『思 い出ブック』の作成」 (全7回)を開催した。この技術講座は、回想法と写真を用いた家族 (3)(4) 介護者支援のための「Couples Life Review」 (ミシガン大学) を応用した「思い出ブッ. ク」の作成をテーマにしたものであった。この技術講座参加者(59 名:平均年齢 70 歳前後) の中から有志による認知症サポート市民ボランティアグループ「ピアところ」が結成され、 「認知症になっても住み続けられるコミュニティをつくる」を目標に、認知症の啓発活動及 びボランティア活動を行っている。 「思い出ブック」については、市内のグループホームA において「思い出ブック」作成活動を行い、2017 年 4 月現在、グループホーム入居者 8 名 の「思い出ブック」が完成している。 3. 「思い出ブック」の効用 「思い出ブック」はグループホームの介護現場において、①介護職が、認知症患者の本来 の人物像を立体的、躍動的に理解できる、②認知症患者の会話を引き出すツールになる、③ 認知症患者と初対面のスタッフやボランティアに会話のきっかけを提供する、④これまで 知らなかった利用者のことや昔のことを知ることができた、という評価を得ている。さらに、 作成したボランティア自身も、認知症患者の思い出を視覚化かつ言語化することで、認知症 患者本人との親和性が高まっていることが報告された。また、現場から「若い学生が聞き手 の場合、認知症患者本人の発話が活発になる」との指摘があり、学生の参加協力を得ること により、より効果的な成果が得られる可能性も示唆されている。. 2.

(3) 4.先行研究 高齢者のこれまでの人生の語りに注目する回想法では、認知症高齢者に対して行う回想 法の効果についても多くの研究成果が報告されている(5)(6) 。さらに、画像などの視覚的刺激 を用いながら、回想法で語られた内容を言語化・可視化した成果物(以下冊子)を作成し、 その冊子がもたらす効果について明らかにした研究も蓄積されてきた(7)(8)(9) 。しかし、冊子 の効果についての多くの研究は、言語化・可視化に関わった当事者の意識変容などに焦点を 当てたもの(7)(8)(9)で、冊子それ自体が介護の現場で専門職にどのような効果を持つのかに焦 点を当てた研究は多くはない。また、冊子の作成は専門職や看護学系の学生が行っており 、一般の地域住民が関わった研究は見当たらない。地域包括ケアシステムの構築が急. (7)(8)(9). がれる現状において地域住民参加による回想法を用いた認知症患者サポートに関する研究 を行う意義は大きいと考える。. Ⅱ.研究目的 認知症ケアの基本は、本人の尊厳を尊重し利用者本位の視点に立つパーソンセンタード ケアである。 「思い出ブック」は、認知症患者の本来の姿を具体的に想起させ本人理解を促 す点において、パーソンセンタードケアに貢献できるツールであると考える。また、在宅の 認知症患者のチームケアにおいて、医療、介護、その他のスタッフが、 「思い出ブック」を 介して認知症本人の具体的な本人像をイメージすることができ、共通理解を促進する必須 のツールとなることが予想される。 本研究の目的は、一般学生と地域住民ボランティアが、認知症患者の昔の懐かしい写真に ついての話を聴き、その内容を言語化・可視化した「思い出ブック」を作成し(ステップ A) 、 その「思い出ブック」が認知症患者介護に関わる専門職(在宅医療関係者)の認知症患者理 解にどのような効果をもたらすかについて検証する(ステップ B)ことである。 【研究全体図】. 3.

(4) Ⅲ.研究方法 1.ステップ A (1) 「思い出ブック」作成対象者 研究対象者、 「思い出ブック」作成者(学生、地域住民ボランティア) 、実施施設、 「思い 出ブック」作成期間を【表 1】に示す 「思い出ブック」作成のチラシを作成し、T 市内でボランティアや学生が訪問可能なエリ ア内の施設(デイサービス、居宅介護支援事業所、ケアハウス)に協力を要請し対象者を募 った。 【表 1】 「思い出ブック」作成実施結果 対象者. 施設. 対象者. 性別. 年齢. 1. X. A. 男性. 88. 介護度 認知程度. 学生. ボランティア. 開始日. 完成日. YS,GC. YM. 2016/10/24. 2017/2/6. 2. X. B. 女性. 72. 3. X. C. 女性. 88. 3. 重度. HS. TK. 2016/10/25. 2016/12/20. US. NG. 2016/11/2. 4. X. D. 女性. 82. 支援2. 2017/1/18. N. YN. YM. 2016/11/9. 5. X. E. 女性. 87. 2017/3/15. 2. N. IN. AB. 2016/11/3. 2016/12/15. 6. X. F. 男性. 7. X. G. 女性. 87. 1. 軽~中. AB,NA. 2017/1/31. 2017/4/11. 71. 5. 重度. ST. TA. 2017/2/15. 8. X. H. 2017/3/29. 女性. 86. 1. 重度. SR. NA. 2017/3/6. 9. Y. I. 2017/4/10. 女性. 92. 4. 中程度. TN,DI. 2016/12/8. 10. Z. 2017/4/18. AB,NA. 2017/5/16. J. 女性. 76. 1. 軽度. 2017/7/25. 11. Z. K. 女性. 87. 1. 軽~中. 12. Z. L. 男性. 86. 2. 中~重. SW. TN,DI. 2017/5/23. 2017/7/25. YA. 2017/6/7. 13. X. M. 男性. 90. 2. 中程度. UT. 中止. YA. 2017/6/12. 2017/7/24. 13. 自宅. N. 女性. 73. 1. 軽度. FU,YA. 2017/7/4. 進行中. 1. 軽~中. 支援2 軽~中. 認知程度は介護スタッフからの聞き取りによる(※). (2)ボランティアと学生 本研究に参加したボランティアは、認知症サポート市民ボランティアグループ「ピア ところ」のメンバーである。 「ピアところ」では、毎月1~2回認知症サポートに関す る講習会及び勉強会を行っており、本研究に参加したボランティア 5 名は、認知症や認 知症患者への対応についての知識を持ち、T 市内のグループホームおいて、ボランティ ア活動としての「思い出ブック」作成の経験を有している。 また、研究に参加した学生は、大学のボランティアサークルに所属し高齢者施設での 傾聴の経験を持つ者、あるいは大学の社会福祉論や老年学ゼミを受講し認知症に関する 講義を受講している者である。 ※ 施設には利用開始時あるいは介護度認定時の判定値(医師の診断、あるいは日常生活自立度)の記録 がある。それを基準とする。また、現在の状態が利用開始時とは大きく違うケースでは、現場でのス タッフによる評価が、スタッフ間で差が見られないことから、これを認知程度して用いることとした。. 4.

(5) (3) 「思い出ブック」作成方法 ①対象者一人に対して、ボランティアと学生、あるいはボランティア同志の二人一組 となり、週 1 回を基本に、施設を訪問し、対象者から「昔の思い出」について話を 傾聴する。 ②訪問時間は 2 時間半から 3 時間、対象者へのインタビューは 1 時間以内とし、残り の時間で訪問先において「思い出ブック」を作成する ③「思い出ブック」は、B5版横のファイルを使用し、左ページに写真、イラスト、 コラージュ等の視覚的刺激、右ページにインタビュー内容のコメントを漫画の吹き 出しをイメージし、短文で読み易い形で記載する。写真、画像は時系列にファイル する。 ④対象者が写真を用意できる場合は、提供された写真を接写し、その場でプリントア ウト(ポータブルプリンターを使用)して「思い出ブック」に用いる。原本はその 場で対象者に返却する。 ⑤対象者が写真を用意できない場合は、傾聴した内容を思い起こさせるような画像を インターネットや雑誌の切り抜きなどから入手して使用する。また、ボランティア がイラストを描いたりコラージュを作るケースもあった。 ⑥1 冊を 10 ぺージから 30 ページの内容に仕上げる。 ⑦スタッフも同席する場で対象者の方に「思い出ブック」をお渡しする。 2.ステップ B 完成した「思い出ブック」を介護スタッフ立ち合いの場でご本人にお渡しし、 「思い出 ブック」の内容をご本人、ボランティアや学生、施設スタッフ間で共有する。さらに、 「思い出ブック」を介護の現場で使うように依頼する。 後日、在宅の医療関係者に「思い出ブック」の現場での活用についてインタビュー調査 を行った。 (表 2) (表 2)インタビュー実施結果. 対象者. 職種. 実施日. Xa. 施設管理者. 7月18日. Za. ケアマネジャー. 8月8日. Xb. ケアマネジャー. 8月9日. Zb. PT(訪問リハ). 8月10日. インタビューは対象者の了解を得て録音記録を取り、文字起こしにより逐語データを作 成した。 3.倫理的配慮. 5.

(6) 「思い出ブック」を作成するボランティアと学生に対しては、研究で得られた個人情報の 守秘について口頭で確約をした。また、施設内、あるいは在宅での「思い出ブック」の使用 に関しては、対象者あるいはその家族の了解を得て行った。本研究は、筆者が所属する大学 の人を対象とする研究に関する倫理委員会の承認を得て実施した。承認番号【 2016-178】. Ⅳ.結果 及び 考察. 1.インタビュー対象者の選定 「思い出ブック」を作成した対象者の中で、終了時に在宅の医療系サービスを受けている 者は 2 名であり、 そのうち医療関係者へのインタビューが実現したのは 1 件のみであった。 そこで、対象者のケアマネジャー、デイサービスの管理者へのインタビューも行った。 2.パーソンセンタードケアと「思い出ブック」 パーソンセンタードケアの根幹は介護する側と介護される側の信頼関係であり、認知症 患者の思いをよく知り理解することである。 「思い出ブック」によって、認知症罹患以前の 認知症患者の生活歴や趣味、嗜好、信条などを介護スタッフが知ることは、信頼関係を育む。 さらに、認知症患者が「思い出ブック」を介して自分の事を自ら語ることが報告されたが、 これは認知症患者が自分自身のアイデンティティを確認し自ら周囲の人間関係に働きかけ ている姿(この情景は、グループホームおける「思い出ブック」作成現場でも常に確認され ている。)である。社会とのかかわりがおぼろげになってくる認知症患者にとって、社会で の自分の位置を確保し、自分を主体とする相互交流が可能になる瞬間と云う事もできる。こ のような相互交流こそ、パーソンセンタードケアの実現には不可欠であり、 「思い出ブック」 はそれを実現する有効なツールであることが示唆されたと考える。 <インタビュー内容> ・新しい施設に行ったとか、病院に入院することになったとか、転院したとか、いう時には、名刺代わ りというか、その人のエピソードがのっているあれはいいツールになる。 (Xa) ・例えば「思い出ブック」とか、ショートに持っていかれて、目で見て、ああこうだったんだっていう のは、すごくその方の理解に役に立ちますよね。そうすると、ケアの仕方もかわってくると思うんで すよね。それは、常にどこに行くのも介護施設に持って歩かれたらいいと思いますですね。 (Za) ・ (介護って)やっぱり人間関係が基礎にある。人間関係を育まなかったら介護なんて始まらない のに、なのに、お仕事してた頃なんて全然知らないで、 「介護を、サービスを使い始めました。拒否 が多い人です」ってなり(理解する努力を怠り)がちなのが、前のエピソードがあれば、もちろんケア の時に活かせるっていうのもありますけど、何よりも利用者と職員の人間関係を育むのにとてもいい んじゃないかと思います。 (Xa). 6.

(7) ・結局自分だけでなくて、みんなで、 「見て、見て」っていうのがあったんですね。それがやっぱりす ごい。 (Za) ・最後に「こんな自分のお話を聞いてくれて嬉しい」って。(Xa) ・私達の業界の人間って、その人に介護が必要になってからが”初めまして“じゃないですか?(中略) ケアが必要になる前のその人を知る機会って本当にないので、そういう意味では本当にいいと思う (Xa). 3.在宅医療と「思い出ブック」 在宅に入る医療(訪問リハビリ、訪問看護等)は 20 分を 1 単位とするケアプランに組み 込まれたメニューをこなすことが最大のタスクであり、コミュニケーションの為の時間は ない。 実際にインタビューの為に訪問リハビリの場を訪問したが、理学療法士はバイタルチェ . ックをしながら、リハビリの指導をしながら、絶えずコミュニケーションをとっていた。な .. .. がらコミュニケーションがすでに実践されており、ここにさらに「思い出ブック」を見なが . らを期待することが出来ない事は明らかであった。しかし、 「思い出ブック」に記載された 患者の情報は、リハビリの為の情報として、また信頼関係構築の情報として有用であること は示唆され、在宅訪問時ではなく、担当者会議の場、または事務所への持ち帰りにより、活 用できることが示唆された。 <インタビュー内容> ・担当者会議とか、そういうふうな、こう皆でこの人のケアプランを考えましょうっていうか情報共有の 時に(見てもらうことが出来ると思う) (Xa) ・医療関係者が「思い出ブック」で、なんか、その人の認知症の改善というよりも、 「思い出ブック」をみ て、その人の生活歴何とかを理解する、そういうあれにはすごく役にたつと思います。 (Za) ・ 「思い出ブック」ということになると医療関係の作業療法士さん、作業療法士だったらそれをうまく使え るかなと思う(Za) ・時間がびしっびしって決められていて、早く次に行きたい職員っていうかヘルパーさんばかりなので、 (日常業務の中では難しい) (Xa) ・在宅に入ると、僕が見るとしたら、持って帰って、1 回見て、また持ってくという形になっちゃうですね。 で、その中で、プランを立ててやるっていう形を取らせてもらうと思うんです。まあ、一緒に読みなが らだとやっぱり時間が限られていると思うんで、ちょっと厳しいかなって思います。 (Zb). 3.家族と「思い出ブック」 「思い出ブック」が、家族(介護者)と認知症患者のコミュニケーションを促し、ともに. 7.

(8) 来し方を振り返ることにより、家族(介護者)が原点に返り、介護の活力を得ることが出来 ることが示唆された。また、認知症患者が亡くなった後のグリーフケアにも有効である可能 性が示された。家族に関するこれらの結果は、先行研究である夫婦の思い出ブック「二人の アルバム」研究において示唆されており(10)、その結果を支持するものである。しかし、家 族が「思い出ブック」を望まないケースもあり、家族の賛同・協力に対する配慮が当研究の 課題であることも示された。 <インタビュー内容> ・二人で、隣に座って、一生懸命見てたんですね。 (Xb) ・久々にご夫婦で昔話が出来たって(Xb) ・家族も嬉しかったし、また、その、介護をしてたり、する活力にもなったのかなって、家族自身も、ご 本人だけじゃなくって、こんな歴史もあったんだよねっていうふうに、また、原点に返れたり、そうい ったいいチャンスも与えたし、作ってく過程もよかったんでしょうけど、やっぱり、それって家族にと ってもいいことだなあって、思いましたよね。 (Xb) ・こうだよって家族との会話ははずみますよね。会話、家族の会話、とかここで会話がはずんで、思い出 しながら、脳の活性化、それはすごくあると思うんです。 (Za) ・最終的には永眠される場合に、 (中略)家族の立場として、すごい嬉しいプレゼントにもなるのかなって 思いますよね。 (Xb) ・もし、万が一亡くなって、ご家族が、ああこうだったね、っていうのは、とってもこう、あれがあると 思うんですよ、家族にとっての価値はあると思うんですよね。 (Za) ・家族はこういう所でしゃべってんじゃないよっていう気持ちがあるのかな。 (Xa). 4. 「思い出ブック」作成について 「思い出ブック」作成は、個人の歴史、環境、嗜好など非常に個人的な内容に踏み込むも のであり、それを専門職ではなく、ボランティアや学生が作成することについては賛否両論 があることは当然である。しかし、ボランティアが認知症患者の信頼を得、その利用者と向 き合って「思い出ブック」を作成することは可能であり、そこに醸成される人間関係は、専 門職との人間関係とは異なるものであることが示唆された。 <インタビュー内容> ・実は、もうひとかた、お一人、お二人、写真もっていらっしゃる方いるんですよ、でもやっぱり、知らな い人に、しゃべるっていうのに抵抗があって実現しなかったんですね。 (Za) ・製作の過程で、あんなに涙ながらに. 昔話をしゃべっているのは. すごいなあって思ってみてたので、. ああいう環境って、要は、職員には出せない環境です。 「 (Xa) ・いきなりボランティアさんで、 「思い出ブック」ですよーでなくって、こう、なんとなく慣れてきていた だいて、それでその方と信頼関係を得て、だったら(「思い出ブック」作成が)すっとうまくいったのかな. 8.

(9) って思うんですよ。 (Za). Ⅴ.まとめ ボランティアが作成する「思い出ブック」は、認知症患者への理解を深め、認知症患者自 らの発話を促し、パーソンセンタードケアの実現に貢献するツールであることが示唆され た。同時に家族介護者にとって、認知症患者との会話を引き出し、認知症患者に対する再理 解を促すツールになる可能性も示唆された。一方で、介護の現場、特に在宅医療の現場での 日常的な活用には至らないことが明らかになった。しかし、介護現場、医療現場でもインテ ークの場面では認知症患者理解に有効に活用できる可能性が示された。 「思い出ブック」の作成方法や構成などに改善を加え、現場でも活用できる「思い出ブッ ク」を作成すること、同時に、ボランティアと認知症患者の信頼関係構築にも焦点を当て「思 い出ブック」を作成していくことが今後の課題である。 【引用文献】 (1)厚生労働省 「みんなのメンタルヘルス」 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html. (2017/8/26). (2)厚生労働省 「地域包括ケアシステム」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/c hiiki-houkatsu/ (2017/8/26) (3) Berit Ingersoll Dayton, Beth Spencer, Minyoung Kwak, Kristin Scherrer, Rebecca S. Allen & Ruth Campbell (2013). The Couples Life Story Approach: A Dyadic Intervention for Dementia Journal of Gerontological Social Work 56(3), pp 237-254 (4) Kristin S. Scherrer, Berit Ingersoll-Dayton, Beth Spencer(2014,). Constructing Couples’ Stories: Narrative Practice Insights from a Dyadic Dementia Intervention Clinical Social Work Journal 42(1), pp 90–100 (5) 黒川由紀子(2008)『認知症と回想』金剛出版 (6) 李 泰俊 , 松本 義明 , 加瀬 裕子(2014)「施設介護職が語る認知症介護における回想 法 : 回想法の効用プロセスと介護実践評価 」『日本認知症ケア学会誌』 13(2). 469-481. (7)尾台保子(2005)「ライフレビューブック作成による利用者理解の効果」『松本短期大学紀 要』15. 15-26. (8)武分祥子(2005)「介護療養型医療施設における『メモリーノート』作成の効果と課題―高 齢者理解を目指して―」『介護福祉学』12(1) 54-62 (9)山本由子、亀井智子(2013)「認知症高齢者のライフレビューに基づくメモリーブック作. 9.

(10) 成とその利用による行動変化の検討」『聖路加看護学会誌』2013. 1-9. (10) Masako Yamamura (2014) 「Effects of a Couples Album on improving the caregiver’s will to continue support for their spouse with dementia」http://www.swsd2014.org/wp-content/uploads/Saturday12-July-2014-1100-1230_FINAL.pdf p70 なお、本研究は公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成によって行った。. 感想: この度貴財団より助成を頂き、ボランティアや学生の協力を得て「思い出ブック」を作成 し、 「思い出ブック」の持つ可能性と課題を明らかにすることが出来た。介護保険制度にお いて、専門職がコミュニケーションを主とする時間が取れない中で、 「思い出ブック」を現 場の専門職が作成することは不可能であり、 「思い出ブック」はボランティアならではの活 動であることが再認識できた。 厚労省が推進する地域包括ケアシステムではボランティアの担う役割も明示されている ものの、ボランティアの募集、教育、啓蒙、等の対策は具体化していないのが現状である。 これから徐々に整備、統合されていくであろうボランティア活動の組織化において、 「思い 出ブック」作成が一定の評価を得られるように今後も励んでいきたいと思う。 このような機会を与えて頂き感謝申し上げます。. 10.

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