る一考察 : 企業フィランスロピーを中心として
著者
中村 久人
著者別名
Nakamura Hisato
雑誌名
経営論集
巻
42
ページ
41-76
発行年
1996-02-28
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00005675/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.jaアj リカにおけ る 日系子 会社 の現地 化に関 する一 考察41
アメ リカに おけ る 日系 子会社 の現地化 に 関す る一 考察
一企業フィラソスロピT を中心として一
中 村 久 人 はじ めに1 日 本企業に よる 海外投資 と対 米投 資 現地化 の問 題点1 日本企業 の海 外投資 の新動 向2 日本企業 の対 米投資 現地化 の 問題点n アメ リカ企業 のフィ ラソ スロピ ー1 フ ィラソス ロピ ーの概念 と歴 史的 背景 こ2 アメリカ企業 に よるフ ィラソ スロ ピ ー活 動 の契 機と その 倫理3 フ ィラソス ロピ ー活動の 実際 と戦 略的 フ ィラ ソス ロピ ー Ⅲ 日系 子会社とフ ィラソス ロピ ー1 企業 フィ ラソ スロピ ーと企業 社会 的責 任 の理論 的考 察2 日系子会社 の企業 市民 活動 とフ ィラ ソス ロピ ー活動 お わ りに は じ め に 日本企 業 の 対 米 直接 投 資 は、投 資件 数お よび投 資金 額 共に88 年 にピ ー クに 達 し、 そ の後 は著 しい 円 高ド ル安 傾 向 や 国 内バ ブ ル経済 の崩 壊 等に より減 少傾 向 か続 い てい る。 現時点 (95年8 月 ) にお い て も、一 層 の 円 高に よる 景気低 迷 と企業 収 益 の悪化 に よ り、 日 本企 業 の 直接 投資 は アジ アヘ シフ ト しつ つあ る。 し かし な がら 、93年 末で の日本の 対米 直接 投資 残 高 は大 蔵 省届 け 出 ベ ース で962 億1,300 万 ド ル (21.6% の シ ェ ア) であ り1)、90年 以来 日本は イ ギ リスを 抜 い て1 位 の座 を キ ープ して い る。 日本 か ら 中 国は じ め ア ジ アに 向 か う新 規 の直 接投資 が仲 びて い る とはい って も依 然 とし て、 国別に よる投 資 額 では 対米 直 接 投 資 が ト ップ であ り、 日本企 業に とっ て の アメ リ カ市場 の 重要 性 はい さ さか も低 下 し てい ない 。80 年代 後 半 の 「集 中 豪 雨的」 対米 投 資に よる 日本企 業に 対 す る 現地 から の反発 は、 全米 自動 車労 組(UAW )の 組合 員 が 日本 車の輸 入に 反対 し てそ れを 叩 き潰 す とい っ た デ モや、東芝 コ コ ム違 反事 件 の際に 議 会 の 前で 連邦 議員 が同 社製 品を ハン マ ーで 打 ち 砕 く等 の反 日感情 とし て顕 在化 した。 また、女性 や マ イ ノリ テ ィ(特に 黒 人)に 対す る日系 企業 の雇 用率 の低 さは 、雇用 差 別 とし て これに 対す る告 訴 が 後 を 絶 だな い。アメ リカ では 公民 権法 、公 正 労働 基 準法 、雇 用機 会均 等 法、年 齢差 別 禁 止法 な ど があ り、 日本 人 が日本的 雇 用慣 行で は差 別 では な い と 思え る こと も違反 にな る場 合 があ る。企業 の必 須 な経 営資 源 とし てヒト 、 カ ネ、 モ ノ、 情報 ・技 術 等 が挙げ ら れ る が、 ア メ リカで こ れ ら が生 か さ れ る のに は 前提 条件 があ る。 そ れ は、そ の企業 が立 地 する 地 域社 会に受 け 入れら れ てい る こ と、 で あ る。 本稿 で は 、 ア メ リカに おけ る日系 企業 の投 資 摩擦 の大 き な原 因 の1 つ が地 域 社会 へ の貢 献度 の低 さ、 無 関 心 にあ るとい う仮 説 の下に 、 日 系 企 業 が 現 地 社 会 で 企 業 市 民 とし て フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー (philanthropy)活 動を 実 践 す る義務 と責 任を 果 た す必 要 があ り、そ のこ とが長 期 的に は 当該 企業 の 利 益 の増 進や 成 功 につ な が るこ とを 強調 し たい。 日本 企業 の海 外 直接 投 資 は、い か に現 地に 進 出す る か、 い かに 効 率的 な生産 シス テ ムや販 売 シ ス テ ムを 現 地 で構 築 す るか とい っ た段 階か ら、 企業 とし てい か に地 域社 会に 貢 献し受 け 入 れ て もら う か とい う新 たな 段 階に 立 ち至 っ てい る、といえ よ う。 そ れ は現 地化 の究 極的 課題 で あ り、21世 紀を 目 前に し た 日本 多 国籍 企 業 の 最大 課題 の1 つ であ る。 こ の課 題 に対 処 す るた め の核 心 こそ 企業 フ ィラ ソ スロ ピ ーの精 神 の理 解 とそ の実践 にあ る こ とを 明ら かに し て行 きたい 。 1 日 本 企 業 に よ る 海 外 投 資 と 対 米 投 資 現 地 化 の 問 題 点1 日本 企 業 の 海外 投 資 の新動 向 日本 企業 の対 外 直接 投 資 は、89年 度 に ピ ー タを 迎 え、そ の後3 年 度 に渡 って減 少 を 続け た が、93年 度 は 前年 度 比5.5 %増 の360億3 千 万 ドル と増 加に 転 じ た( 大 蔵 省届け 出 統計)。業 種別 で は製 造業 が 前 年 度 比10.7% 増(89 年 度 の約7 割 水 準) で 、中 で も電 機 の 伸 び が52% と著 しい。 他 方、非製 造業 で は 同3.8 %増 に と どま り依 然 とし て回 復力 の強 さは みら れ ない(89 年 度 の5 割 を切 る 水準)2)。 し か し、 日本 企業 の 対外 直 接投 資 が減 少し た とい っ て も、 日本 製 造企 業 の海 外 生産 比 率は 伸び て お り、93年 度 は前 年 度 の6.2% から 大 き く伸び て7.4% と発 表 され てい る( 図1 参照)。さらに 、95年 度 に は8.9 %に まで 上昇 す るこ とが 見込 ま れて い る。ま た、既 に 現地 生産 を 行 って い る企業 の海外 生産 比 率 は、18.3% の水 準に あ り、95年 度に は23.0% と非 常に 高 い 水準 に 達す る と予 想さ れ てい る3)。既 述 の ように 、93年 度 の製 造 業 の対 外 直接投 資 額 は89年 度 の約7 割 水 準に 低 下し てい る に もか かわ ら ず であ る。 従 って 、 従来 の ように 日本 企業 の 海外 事業 活 動 の趨 勢 につ い て 、対 外直 接投 資 の増 減 だ げ では 判 断 で きな い こ とに な る。 現に 、93年 度 の日系 現 地 製造 企 業 の設 備 投資 は、 日 本国 内製 造企 業 の設 備 投 資 の約1 割 の 規模を 有 す るま でに なっ て い る。 こ こで 海 外 生産 比 率 の上 昇 と対 外 直接投 資 の低 下 と の格差 を 説 明 し うる のは 日系 企業 の現地 で の 「再 投 資」 で あ る。 そ れは 、海 外 現地 企業 の 設備 投資 額 マ イ ナス 日本 側 資 金引受 額 と定 義 で き るノ そ の資 金 源 は現 地 企業 に よる利 益 と減 価償 却 で構 成さ れ る 内部 留 保、 現 地 金融 機関 か ら の借入 金、 現地 資 本 市場 や 国 際金 融 市 場等 か ら の調達 で あ る4)。
( %) 22 5 12.7' ∼If10.9 アタ リカにおけ る 日系 子会社 の現地化に 関す る一考察43 図1 海 外生産 比率 推移 23 丿 戸//17.818.3 /20.9/ 声'∼`●-1:乙考´^/17.017.3 0 ・凡 例 ・ ・一 製 造 業 全 体 ・−一一 海 外 進 出 企 業 86878889909192939495 (年 度) 予 測 予 測 (出 典)通 産省産業 政策 局国 際企業 課 編『 我が 国企業 の 海外事 業活 動』1995 こ の定 義に よっ て93年度 におけ る日系 現 地製 造 企業 の再投 資 額 を算 出す る と約129 億 ド ル と な り (表1 参 照)、直接 投資 額 の 約Ill億 ド ルと合 計 す れば 、総投 資 額 は約240 億 ド ルに 達す る( 図2 参 照)。 こ の算 出法( 総 投資 額 = 直接投資 額 十再 投 資額 )に よれ ば、ピ ー ク時 の89年 度 で約230 億 ド ル、92年 度 で226 億ド ル と な り、93年度 の総 投資 額は 、89年 度 を も上 回 っ た ことに な り、海 外 生 産 比率 の 上昇 の 説 明 が可 能 とな る。ち な みに、地 域別 で は 直接 投 資 額で 北米 を 下回 っ てい る ア ジア(3,659 百 万 ド ル) が、 総 投 資額 で は北 米 を上回 っ て(9,104 百万 ド ル) 最 大に な る( 図3 参 照)。 ( 百 万 ド ル) 42086420864 り 乙22211111 図2 総 投 資 ( 直 接 投 資 十 再 投 資 ) 額 推 移 ( 製 造 業 ) ・凡例・ 一 匹] 再投資E コ 直接投資 ( 出 典 ) 図1 に 同 じ
J 屁j ↑ 区 ︵ 嫁 ヨ ︶ 貸 賀 網 つO 乃 ← ← 一一4 一 口)CO ) 口CM 四 匂ぺ 乃COCMCO ゴe い* つ ㎝S1 −I L ←C 刀ex にQCO 卜 いi<o 四 ―enCO―I-*l ヽ− ← → ← )CD 二 軋 (C 〉 つ 丈 い →cs]CN] 側 二 卜 ト
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2 日本企 業 の対米 投 資 現地 化 の 問題 点 で は次 に、 日本企業 の対 米投 資 の 特 色と 最近 の問題 点に つい て 要約的 に 述 べ て み よ う。 日本 の対 米 直 接投 資 は85年 のプ ラザ 合意 に よる 円高 以降 、 製造 業、 非製 造業 ともに 急 激 な 拡 大 が行 わ れ88年 に ピ ークを 迎 え た のであ る(167 億 ドル 、米 国商 務 省統 計)。 そ の後 、89年 (161 億 ド ル) 以降、90年 代 に 入 ってか ら 今 日に 至 る まで 漸 減 して い る。93年 度 の対 米直 接投 資 は、 前年 の37億5 千 万ド ルか ら13 億2,400万ド ルに 急 減し た。90年 か ら3 年 間対 米直 接投 資 第1 位 を 維持 し た 日 本 ぱ、ド イ ツ(68 億3,200万 ド ル)に そ の 座を 明け 渡 し た ので あ った (2 位 −イ ギ リス65億400万 ド ル 、3 位 一英 連邦 カ リブ 諸 国38億4,800万 ドル)6)。90 年 代以 降 の対 米直 接投 資 減 少 の理 由とし て 以下 のこ とが挙 げ ら れよ う。 ① 自 動車 、 エレ タト ロ ニ タス、 工 作 機械 、 ロ ボ ット等 の大 企業 に よ る大型 設備 投 資 を 必要 とす る初 期進 出が 既に 一巡 ② 円 高 メリ ット に 加 え、 労 働 コ スト の恩 恵 が受 け ら れ、需 要市 場 とし て も 効 率 の高 ま りつ つあ る アジ アへ投資 が シフ ト ( 特にASEAN 、 中 国) ③90 年 の 松下電 器 に よるMCA の買 収 以 降、 大 型買 収 は影を 潜 め、 日本 企 業 のM &.Aの 規 模 は 縮 小 ④ アメ リカで の景 気 の後 退 や米 国 銀 行 の貸 し渋 り ⑤ 日本 国 内で はバ ブル 崩 壊 後 の景 気低 迷 に より企業 収 益が 悪化 し かし 、 こ うし た対 米直 接投 資 減少 要因 に もかか わら ず 、既 述 の ように 在米 日系 企 業 にお い て も 製 造業 では 収益 性が か な り の程度 改 善 さ れ、 再投 資 (93年 度で36 億2,700万下 ル ) や 子 会 社 ( 孫 会 社 ) へ の投資 が増加 し てい る。 また、 対 米直 接投 資 残高 につ い て も、 日本 は90年 以 降英 国を 抜い て対 米 直接 投 資 国 とし て1 位の 座を 維持 し てお り( 大蔵 省 届け 出統 計)、 対米 投 資 の重 要性 は 依然 とし て高 い もの か おる。 さて、 ア メ リカで の 日本 企業 の現 地 生産 は 、特 に 代表 格 と もいえ る一 般 ・電 気 機 械 や輸 送 用 機械 な どの機 械工 業 では 、 まず 日本 や アジ ア諸 国 から 持 ち込 ん だ部 品や 半製 品 の組 立 ・生 産 から 始 めて、 技 術 移転を 進め なが ら 次第 に部 品 の内製 や 現 地調 達を 増 やし て 現地 生産 比 率を 上 げ てい った。 そ し て 究 極的 に は、 ロ ーカ ル・ コン テ ンツ の一 層 の引 き 上げ に よ り本格 的な一 貫 生 産 体 制 の実 現 に 向け て 多 数 の企業 が 日夜 懸命 な 努力 を 払 っ てき た。 、し かし、 アメ リ カで の現地 生 産 に も問 題 が ない 訳 では ない 。 例え ば、 依然 と し て 日 本製 部 品に は コ スト 、 品質 、納 期 につい ては 優 位 性が あ り、 ロ ーカル ・ コン テ ンツ比 率 の上 昇 が 製 品 の競 争力 や 収 益性を 低 下 さ せる とい う点 で あ る。 また 、 日本 企業 の進 出分 野 の労働 生産 性 は概 し て低 く、中 進 国 と の競争 に さら さ れ る製品 分 野 で はそ れ ら中 進 国 と比 べ て労 働 コスト が 高い た めに 現地 生 産 の コ
ア メ リ カ に お け る 日 系 子 会 社 の 現 地 化 に 関 す る 一 考 察47 ス ト が高 く な り必ず し も有 利 な現地 生産 とはい え な い。 さら に、 ア メ リカの 部品 メ ーカは供 給 能力 や 競 争力 で 問題 が多 く、 ま た利用 し よ うに もあ る分 野 で は空 洞化 し てい て現 地調 達 が困 難 な場 合 も あ る。 そ こで こ の 分野 の日 系製 造企業 が 今日 行 って い る 工夫 ・ 対策 とし て 、 日本、 ア ジア、 メキ シ コ等 と ア メリ カを 結 ぶ太 平 洋に ま たが る産 業 間 ・工 程 間 の分業 が ある≒ つ ま り、 日 本 の 国 内 工 場 で は 付加 価値 の 高い ハ イテ ク部 品や完 成 品 の生産 、 アジ ア諸 国 の工 場 では 汎用 部品 や 普 及完 成 品 の生産 、 メ キ シ コ(特 に 、 マキ ラド ーラ=保税 加 工地 域) で は地 め利 と低賃 金を 生 かし た 部品 の生 産 と組 立、 を そ れ ぞ れ行 い ア メリ カで そ れらを輸 入 し て完 成 品 の組 立や 生 産さ らに は 検査 を 行 う とい う企 業 内 国 際 分業 であ る。 し か し、 妙 案 と思 え る こ うし た グロ ーバ ルな 国 際 分業 乱p ーカル ・ コンテ ン ツ比 率 上 昇 の要請 に は さ し て貢 献 しな い し、 輸送用 機械 の 場 合で も自動 車 部品 な どは日 本 の輸 出か 増 加し て 貿 易イ ン バ ラ ンス の 改善に 役 立 って いない。 また 、 日本 か ら の直 接投 資 が付 加 価値 の低 い 部 門に 集 中 し、 研 究 ・ 開発 (R&D ) 領 域で の貢献 が少 な い とい っ た批 判 もあ る8)。 こ うした 日本 製造 企業 の米国移 転(transplant)の結 果 、日系 企業 の 生産 す る製 品に 日本 か ら輸 出 さ れ る製 品 が加 わ り、多 くの 日本 製品 が ア メ リ カで の市 場 シ ェアを短 期 間 で圧 倒 的に 伸 ば し た ので あ る。 そ の代 表 例 が、 カ ラ ーテレビ、VTR 、NC 工 作 機 械、 ロボ ット、 自動 車、半 導 体 等で あ っ た。 か く して 日本 企業 に よ る短 期 間で の集 中 豪雨 的 と もい え る対 米投 資 と市 場 シェ アの増 大 は、 貿 易 摩 擦 か ら投 資 摩 擦へ とい う新 たな 摩擦 の 局面 を 惹 起 した の であ る。 オ ーバ ープ レ ゼ ン スで や り玉 に あ げ ら れ る こと の多 い 自動 車生産 で は既 に90年 の時点 で 乗用 車 が現 地 生産 車 と輸 入 車を 合 わ せて 日 本 ブ ラン ド車 だけ で30% に 達して お り、 米 国 メ ーカ のブ ランド とし て 販売 さ れる ものを 含 め る とそ れ以 上 の シ ェ アに な っ てい る9) この 問題 は95 年6 月 末行 わ れた ジュ ネ ーブ で の日 米 自動 車交 渉に み ら れる よ うに 、 日系 企業 を 含 め た 日 本企 業 のア メリ カ部 品 メー カから の 調達 率 の一 層 の引 き上げ と 輸 出で はな く現地 生 産 の拡 充 が要 請 さ れ る結 果 とな った。 特に 、後 者 は 、 日本 国 内産業 の空 洞化 と い う深刻 な 問題 を 抱 え込 み、 避け が たい ジ レンマ に遭 遇 す ることに な っ た。 さ て、 こ うし て進 行す る現地化 や投 資 摩 擦に 対 処 す る有 効 な方策 と して 、 日系 企業 は どの ような 対 策 を講 じて い る ので あろ うか。 マ ク ロ レベ ルで は 、 例え ば米 国 の輸 出進 行に 貢 献 す る とい った 方 策 が あ る。 日系 自動 車 メ ーカ のホン ダと ト ヨ タは アメ リカ で はGM に 次 いで 各 々第2 位、3 位 の 乗 用 車 輸 出企 業 と なっ てお り、肘年 の時 点 で 日系 自動 車 メ ーカ の現地 生 産 車の 内5.6 万 台 が 輸 出 さ れ て お り、 こ れは ア メリ カ、 カ ナダか ら の 自動 車総 輸 出 量の3 分の1 に あ た る。 ミ クロ レベ ル では 、 米国 企業 との 共存 共 栄を 目指 し た戦 略的 提 携が あ る。 これ に は米 国 企業 と の
合 弁 会社 設営 のほか に、米 国企 業 へ の技 術 供与 、米 国企 業 と の技 術提 携や 技術 共同 開 発 、OEM 、部 品 お よび 中 間製 品 の調達 な ど が行 わ れて い る。 確 かに 、 日系 企業 が こ れら のマ クロや ミ クロレ ベル の対 策を 講 じ るこ と は重 要 で はあ る が、 それ 以 上 に一 般 市民 や地 域 社会 の人 々と 日系 企業 との 問に 信 頼感 の厚 い友 好 的 な関 係を 醸成 す る ことこ そ 重 要 と 思わ れる。 先に 述 べ た よ うに 、 い か なる 経営 資 源 もそ の地 域社 会に 受 け 入 れら れ て こそ生 か さ れ る もの であ ろ う。 そ の 意味 に おい て 、 日系 企業 は さら な る現 地化 とし て 全 米 お よび 地 域社会 (community) へ の貢 献( フ ィラ ソス ロ ピ ー) が 求 めら れ る のであ る。 アメ リ カで は、 企業 のフ ィラ ソ スロ ピ ー活動 が 企業 活 動を 成 功に 導 く必 須要 件 とい わ れてい る が、 在米 日系 企 業 のフ ィ ラツ スロ ピ ーの検 討に 先 立 って 、次 章 では 現地 ア メ リカ企 業 のそ れに つい て考 察し たい 。 n ア メ リ カ 企 業 の フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー1 フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー の 概 念 と 歴 史 的 背 景 犬 上 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー (philanthropy ) の 語 源 は ギ リ シ ャ 語 で あ り、「愛 す る」、「親 愛 な 」、「友 人 」 等 を 意 味 す る φ2 λぺ(philos ) と [ 人 間 ]、「人 類 」 等 を 意 味 す る ゐ ∂ρω加 こ(anthropos )と を 組 み 合 わ せ て φiX 心vOp ωTi'ca(philanthropia) に な り 、「 人 を 愛 す る こ と 」、「 人 間 愛 」、寸 博 愛 」 等 の 意 味 に な っ た 。 こ の ギ リ シ ャ語 が 、 そ の ま ま ラ テ ン 語 に も 引 き 継 が れ 、 そ れ が フ テソ ス 語 な ど の ロ マ ン ス 系 諸 語 を 経 て 英 語 に 入 り 、philanthropy に な っ た と い わ れ る10)。 フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー の 同 義 語 に チ 十リ テ ィ (charity) が あ る が 、 こ れ は 「慈 善 」 と 訳 さ れ て お り 、 「貧 し く 、 困 窮 し て い る 人 々 に モ ノや カ ネ を 恵 む 」 と い う語 感 が 強 い の に 対 し 、 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー の 方 は 、 よ り幅 広 い 長 期 的 視 点 か ら 民 間 レ ベ ル で 社 会 の 問 題 解 決 の 根 源 に 迫 り 、 生 活 の 質 (qualityoflife) の 向 上 に 努 力 す る と い う違ト が あ る 。 ア メ リ カ で の フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー の 精 神 や 行 為 は 、 宗 教 、 と り わ け キ リ ス ト 教 と 密 接 な 関 係 を 有 し て い る 。 ピ ル グ リ ム ・ フ ァ ーダ ース と い わ れ る 清 教 徒 た ち は 、 ア メ リ カ へ の 上 陸 に 際 し て メ イ フ ラ ワ ー 号 上 で 誓 い を 立 て て い る 。「上 陸 後 、互 い に ど こ に い よ うと も 、 ど れ ほ ど 成 功 し よ う と 乱 新 し い 社 会 の た め に 自 分 の 時 間 、 汗 、 収 入 の 一 部 を 捧 げ よ うで は な い か 」 と い う [ メ イ フ ラ ワ ー 盟 約 ](theMayflowercompact ) で あ る 。『 新 約 聖 書 』に よ れ ば 、 他 者 本 位 の 純 粋 な 愛 、 自 己 犠 牲 的 な 愛 が 説 か れ て い る 。 ま た 、 上 記 の 盟 約 は 教 会 を 維 持 し た り、 聖 職 者 を 扶 養 す る た め な ど に 各 自 の 収 穫 ( 収 入 ) の10 分 の1 を 捧 げ る 「 ダ イ ス 」(tithe−10分 の1 税 ) と も 通 じ る も の が あ る(『 旧 約 聖 書 』の 「中 命 記 」)。 さ ら に 、 こ れ よ り 先1603 年 に 清 教 徒 だ も の 一 団 を 率 い て マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 植 民 地 に 入 植 し た ウ ィ ン ズ ロ ー(EdwardWinslow ) は 、「兄 弟 の 慈 愛 を も っ て 互 い に も て な し 、 持 ち 物 を 割 い
アタリ カに おけ る日系子 会社 の現地化に 関す る一考察49 て 他 人の 必 要を 満 たす べ し ]と戒 め てい る11)。 アメ リカ で はこ うし て キ リスト 教に よる 「隣 人愛 」 の精 神 が 綿 々 と受 け 継 が れ 、 フ ィ ラ ソ スロ ピ ーの 精神 と行 為 が 高 めら れて い った。 し かし 、な ぜ 同 じ キリ スト 教 国で あ りな が ら 、 ヨ ーロ ッパ 諸 国 より ア メリ カで フ ィラ ソスロ ピ ーが よ り本 格的 に 実践 さ れ る よ うに なっ た ので あ ろ うか。 こ れに は 、 ア メ リ カで は 国家 より先 に地 域 社会 (community) が形 成 さ れた こ と、 そ の結果 、民 主主 義 理念 の下 で中 央 政 府 よりむ しろ 地方 自治に重 点 が置か れ尊重 さ れ た こと、 さら に 現代 ア メリ カ では 教育 ・貧 困 ・麻 薬 とい う3 つ の大 き な社会 問 題に 直面 し てい るこ と、 な ど が 挙げ ら れ よう。 また、 アメ リ カに は当 初 か ら国 教が なか っ た ので、 膨 大な 数 の宗 派や 教 会 が信 者 獲得 のた め競 って 社 会 へ の貢献 活 動を 行 っ たからだ とい う説 もあ る12)。 と ころ で 、 フ ィ デソ ス ロ ピー活 動 の主た る 内容 は、寄 付活動 と ボラ ンテ ィア活 動 であ る。 アメ リ カ の場 合、寄 付 の8 割 以上(90年 度 で1,018億ド ル)が個 人 に よる も ので あ り、遺産 贈与 まで含 める と約9 割 まで 個 人に よる も のであ る。 上記 金 額 はGNP の2 %を 越え る巨 額 な も の で あ る が 、 そ う し た寄 付 の使 途 につ い て は 宗教関 係 が半 分少 々とし ち ばん多 く、 以下 教 育、 福 祉 、健 康、 芸術 ・文 化、 社会 改革 ・ 改 良、 環 境 、野生 保 護、 国際 関 係 の順 で使 わ れて い る。 ま た、 ボラン テ ィア活 動 につい て は、89年 時 点 で18歳以 上 の アメ リ カ人 の54.4% が参 加し 、そ れ に 費 やし た時 間は 週平 均4 時間 で年 間 では208 時 間に も及 んで い る。 具 体的 な 活 動 分 野 は ほ ぼ 寄 付 の使 途 の場 合 と類 似 し てい るが 、そ の他 では 仕事 に関 連 した 組織 、 レ クリエ ーシ ョン 関 係、 民 間財 団や コ ミュ ニテ ィ財 団 な ど でも活動 し てい る13)。 2 ア メ リカ 企業 に よ る1 ィラ ン スロ ピ ー活動 の 契 機と その 倫 理 既述 の ように ア メ リ カに おげ るフ ィラソ ス ロピ ー活動 の主役 は 個 人 であ る が、 こ こ4 半世 紀に お い て 企業 に よる フ ィラ ソ スロピ ー活 動 が活 発な 展 開を み せてい る。 で は この 企業 フ ィラ ン ス ロピ ーが、 表舞 台に 引 っ張 りださ れ る契 機 は ど の よ うな もので あっ たか 時 系 列 的に 整理 し て み よう。 ① 第1 次 世 界大 戦 で 参 戦し(1917年 )、ヨ ーロ ッパに 出 兵し た 同胞 支 援 のた め 、企 業 に対し て 組 織 的 な寄 付 の要 請 が な され た。臨 時的 に 株主 の了 解を 得 て 、「赤十 字 配 当」とい う名 目で 企業 に よる 寄 付が 実 施 さ れた 。 ②A 、p.ス ミス社 が プ リ ンスト ン大 学 に1,500ド ル の寄付を 行 った 行為 に対 し 、 本 来 なら ば 株 主 に還 元 す べ き利 益 が 削ら れた とし て 、株 主 の一 人が 提訴 し た 。 こ れに 対 し て 、 ニ ュ ージ ャ ー ジ ー州 最 高裁 判 所 は そ の寄 付を 合 法 とす る判 決を 下 し た(1953年 )。 そ の判 決は、「企 業 が個 人 と同 様に 現代 の よ き市民 とし て の義 務を 引 き受け るこ と は正義 に か な 引 、 と す る も の で あ っ
た。 ③60 年 代後 半 に な る と、 ラル フ ・ネ ータ ーの消費 者運 動 な どに 象 徴 さ れる 大企 業 の横 暴に 対す る市 民 の 反発 が 表面 化 した 。 ④ 同時 期 か ら、 ニュ ーヨ ーク、 デ トロイ ト 等大 都市 で毎 年 黒 人暴 動 が多 発 す るな ど、 都 市 の荒 廃 が 進行 し た。 そ の 他に も、 家 庭 の崩 壊 、10代 の非 行 ・妊 娠 、 失業 の増加 、 麻薬 問 題、 マ イノ リテ ィ問 題 等、 企業 が社 会 問題 に 関わ らざ るを 得 ない 社会 的 背 景 が存 在し た14) ⑤80 年 代 に 入 る と、 レ ―ガ ン政 権 は減 税 の一環 と して 連 邦歳 入 法 の慈 善 目的 控除 枠 を 従来 の税 引前利 益 の5 % から10 %に 拡大 し た(1981年)。 そ の一 方 で 民 間 の非 営利 団 体 へ の 補 助 金 を 大 幅に 削 減し た。 ② の時 期に お い て特 記 さ れ るべ き こ、とは 、企 業に よる寄 付 額 が増 加 す ると 同時 に 、「企 業 財団」の 設立 が 相次 い で い るこ とで あ る。 企業 財 団は 企業 が拠出 し た寄 付 金を 基 金 とし て設立 さ れ るため、 景気 変動 や 企業 利 益 に左 右 されず に 慈善 団 体へ の継 続的 ・ 安定 的 な 寄付 が 可 能 とな る メリ ットを 有 し てい る。 ③、 ④に つ い て は、 企業 側が 単に 寄 付を す るだげ でな く、 さ らに 社 会的 問題 の究 明 とそ の根 絶に 向け て 、企 業 自体 がフ ィラ ソ スロ ピ ー活動 に対 し て取 り組 む よ うに な る強 力 な 動機 づけ となっ た。 例 えば フ ォ ード 社 の よう に 、 これ まで 疎外 さ れて い た人を 意識的 に 採 用 し、 彼 らに 汗水 を 流す 仕事 の場を 提供 す ると い う よ うな企 業 も現 れ て きた。 ⑤につ い て は、 レ ーガ ン政 権 の思 惑通 りに 資 金難 に陥 っ た民 間 の 公益 団 体 が今 ま で以 上に 企業 か ら の支 援を 求 め る よ うにな っ た ので あ る。 では 、 ア メ リカ企 業 が フ ィ ラソ ス ロピ ー活 動 を 行 うよ うに な った 上 記 の よ うな政 治的 ・ 法律 的・ 経 済的 動機 とは別 に 、 そ の精 神 的動 機 の基 盤に あ る ものは 何 で あ った の か。 そ れに は、つ① 既述 の個 人に よるフ ィ ラソ ス ロピ ーと同 様に 宗 教、 特に キ リスト 教的 精 神、 ② 金 持ち や 資 本家 が貧 困者 、病 人、被 災 者 等に 対 し て払 う義務 とし て のノブ レ ス・ オブ リ ージ ュ(noblesseoblige )、③国 民 が地 域 社 会 の公 共的 問 題 や 社会 的 問題 に 関心 を 持ち 、そ れら解 決 のた めに 自ら 参加 す るとい うア メリ カン ・デ モ ク ラシ ーの精 神、 ④ アメ リ カの社 会的 変 化を 推進 す る エ ネル ギ ー とな って きた アメ リカ人 が 有す る多 元 的 価値 観(pluralism) 等 が挙げ ら れ よう。 さらに 、 企業 のフ ィ ラソ スロ ピ ー活動 ぱ 、企 業 の営 利活 動 と の関 係 で は どの ような要 因 が推 進力 に なっ てい る の だろ うか。 以 下 の こと が考 え ら れる。 ① 啓 発 さ れ た 自己 利 益 (enlightenedselトinterest) 企業 が利 潤 を 追 求 した と して 乱 社 会 問題 が深 刻 であ っ た り。 教育 が 荒 廃し て い る ような 社会で は 充分 な利 益 を 上げ ら れ るはず がな い。 企業 は 健全 で活 力溢 れ る社会 で あ っ て こそ は じめて 最大 の
アメ リカに おけ る日系子 会社 の現地化に 関 する一考 察51 利 益を 上げ ら れるは ず で あ る。 従 っ て、 そ うし た社 会 を作 るた めに 企 業 が社 会貢 献 す るこ とは 結局 は 企業 の利 潤 追 求活 動 に 矛盾 する どころ か 長期 的に は 大い に 役 立 つ も の で あ る と す る 考 え 方 で あ る15レ ② よき企 業市 民 (goodcorporatecitizenship) 犬 企業 は 市民 と して 重 大 な責 任を 有 す る社 会的存 在 で あ る。 シテ ィズ ソ シ ップ ( 市民 とし て の意識 ・行 動) とし てい ろ い ろ な企業 フ ィラ ソス ロピ ーを 実 践す る こ と は 、 よ き 企 業 市 民 と し て の義 務 で あ るレ 企業 が地 域 社 会 の市 民 とし て の社 会的 責任 を 自覚 し な け れ ば 、 結 果 的 に は 社 会 を 破 壊 す るこ とに な り、ひ い て は そ の企 業 に と っ て の市 場 そ の も の を も 失 い か ね な い 。 教 育 さ れ た 労 働 力 、 貧困 者 の減少 、 犯 罪 率 の低下 とい っ た 健全 で活 力 のあ る 社 会 の 存 続 と い う 前 提 が な け れ ば 、 企 業 の存 続は あ り得 な い。 そ のた めに は 、利 益 の一 部 を社 会 に 還 元 七 、 社 会 を 再 構 築 す る 必 要 が あ る16)。 ③ ステイ クホル ダ ー(stakeholder) に 対 す る義 務 し ア メ リカで は従 来 企業 は 株主(stockholder ) の もの とい う考 え方 が 強 かっ たが 、 次第 に 社会 が 複 雑 化 して きて 、企業 行動 や そ の決定 に 際 し て株主 以 外に も取 引 先( サ プ ライ ヤ ーや 下 請 企業 )、消費 者 、 従業員 や そ の家 族 、 中央 や地 方 の政 府 、地 域社 会 の人 々等 の幅広 い利 害 関 係 者 に対 七て も重要 な 義務 を果 た す こと が 必要 に なっ て きた。 ④ 「戦 略 競争 上 の 優 位」 の考 え 方 し従 来ぱ 消費 者 が製 品 や サ ービスを 購 入 す る 際の 選択 基準 は、 価 格、 品 質、 機能 、 安全 性 とい った も の であ った。 し か し 、最 近 では 各 社 の製 品 ・サ ービ スは 価格 が 同 じで あ れば 他 の 要素 もぽ とん ど 同 じに な る傾 向 かあ る。 そ こで消 費者 の選 択基 準 は、 そ れらを 供 給し て い る企業 が 社会 的 責任 を 自 覚 し、 い かに 社会 に貢 献 して いる 企業 で あ る か、 信頼 に足 る企 業 であ る か とい うこ とを 目安に す る 方 向に な って きた 。 こ うし た 新 し い 傾 向 を 受 け て 、 例 え ば 、「 経 済 優 先 度 評 議 会 」(TheCouncilonEconomicPriorities) ぱ 企業 の 社 会的 貢 献度を 評価 す る10項 目か ら成 る基 準を 開 発 して 、そ れ をそ の組織 が発 行 す る「シ ョ ッピ ン グガ イ ド」誌 に 掲 載し 、消費 者 の参 考に供 し て い る17)。こ うし た 考 え方 とそ の実 践 は後 述す る ジ ョイ ン ト ・ マ ーケテ ィン グ型 のキ ャン ペ ーン活 動(cause-relatedmarketing )と も 関 連し て くる。 3 フ ィラ ン スロピ ー 活動 の実際 と戦 略的 フ ィラン ス ロピ ー そ れでは 次 に、 アメ リ カ企業 は 具 体的 に ど の ような 制度 を通 じ てフ ィラ ソ スロ ピ ー活 動を 行 っ て い る のか みて 行 きたい 。
① マ ッチ ン グ ・ギフ ト ・プ ロ グラ ム(matchinggiftprogram) こ の制 度は 、 従業 員 が公 益 団 体に 寄 付を す ると、 企業 あ るい は 財 団か ら、 そ の寄 付金 額 に対し て、 同 額 とか2 倍 と か の比 率で 、 従業 員 の寄 付 額に 上 乗せ さ れた 額が 寄 付さ れ る も ので あ る。 ただし 、 こ の制度を 有 す る企 業 で も、 必 ずし も すべ て の従業 員 の寄 付 に上 乗 せを 行 うわけ で は な く、寄 付 の 対 象を 限定し た り、 上 限 額を 設 定 して い る場 合 があ る。 ② ア ダプト ・ ア・ ス ク ール ・プ ロ グラ ム(adaptaschoolprogram ) こ れは、 地域 社 会 の特 定 校( 小 、中 、 高 校) と企 業が 一 種 の養 子縁 組を 結 ぶ 制 度 であ る。 企業 が そ の学 校に 図 書や 教 育機 器 を 寄贈 す る とい った 活動 だけ で な く、 社 員が 学 校に 出向い て、 例え ば勉 強 の遅れ てい る生 徒 に 読 み・ 書 き ・計 算 とい った 基 礎的指 導を し た り、 教 師に 対 し て も教 育法 に関 する コン テ ストを 開催 す るな どし て 、 優秀 な先 生 を表 彰し 、 教 育・ 研 究費を 補 助す る とい っ た制度 であ る。 企業 で は ない が、 レ ーガ ン政 権 時、 ホ ワイ ト ハウ ス も首 都 ワシ ント ン の 小学 校 とこ の 「養 子縁 組」 を 結 んで 、 レ ーガ ン 大統 領 自身 もそ の学 校を 訪 れ てい る。 こ のプ ロ グラ ムは 、78年 に ロ サ ンゼル スで始 ま った とさ れ る18)。 そ の モデ ル にな っ た の は アト ラ ソテ ィ ヅク・ リ ッチ フ ィ ール ド 社(ARCO ) の地 元小 学 校 との 縁組 で あ った。 ③ ユ ナイ テ ィ ッド ・ ウ ェイ(UnitedWay ) へ の寄付 全 米最 大 の共 同募 金 活動 団 体 であ る。 現 在 、 ア メリ カの企 業 寄 付総 額 の約 半 分( 年 間30億 ドル) に も達 し てい る。 こ の団 体 の本 部は バ ージュ ア州 アレ キサ ソト`リアに あ るが、 そ の起 源は コロ ラド 州 デ ンバ ーで1887年 に 誕 生し た チ ャリテ ィ ー組 織教 会に あ る とい わ れる。 ゴ ール ド ラ ッシ ュ後に 取 り残 さ れた 貧困 者 た ちを 援 助す るた めに5 人 の地 域の リ ーダ ーが立 ち上 が り町 を あげ ての募 金 活動 をし た のが 始 ま りで あ る。63年 にそ れ まで、 コ ミュ ニテ ィ・ チ ェ スト とか ユ ナ イテ ィ ッド ・フ ァン ド と呼ば れ てい た30 以上 の団 体 が連 合し て ユ ナイ テ ィ ッド・ ウェイ と命 名 さ れ た。 こ れら の活 動を 支 援し た り、 募 金活 動 に 参加 す る ボ ランテ ィア の教育 訓 練を 担 当す る中 央 本 部 が 「 ユナ イテ ィ ッド ・ ウェイ ・ オブ ・ ア メ リカ(UWA )」 であ り、そ の 財 源は 各地 のユ ナイ テ ィ ッド ・ ウ ェイか ら のい わゆ る「上 納金 」( 各地 域 組織 の募金 額 のi % 拠 出)で賄 わ れてい る 。本 部 の機 能 はそ の他 に、議 員 へ のロビ ー活 動 、 テ レビ の 統一 キ ャンペ ーン広告 の実 施、 全 国 大会 の開 催、 キ ャン ペ ーン ・フ ィル ムの制作 と そ れ の地 域 組織 へ の提 供 等 であ る。 企 業 側も 寄 付金を 効 果 的 かつ 効 率 的に 運 用し て くれ る 団体 とし て こ れを 選 ぶ こ とが多 い。 募 金 の 方 法は 大半 が 職場 で の 募金 で あ り、 従業 員 個 人 の寄付 は 給料 か ら 天引 きす る形 も認 め ら れてお り、 こ れに 企業 が マ ッチ ン グす る場 合 もあ る。 最近 のUWA の発 表 に よれば 、企業 従 業員 から の 寄 付 が65 % で企業 か ら の寄 付 は23 %で あ る とい う。 そ の他、 幾 つ か の企 業 は ユ ナイ テ ィ ッド ・ ウ ェイに 社員を ボ ラ ンテ ィ アとし て出 向さ せ、 運 営に
ア タ リ カ に お け る 日系 子 会 社 の 現 地 化 に 関 す る 一 考 察53 当ら せて い る。 も ち ろ ん 彼 ら の 給 料 は 企 業 負 担 で あ る。89 年 に は 全 米 で 約2,400 万 人 が ユ ナ イ テ ィ ッド ・ ウ ェイを 通し て ボラン テ ィア活 動を 行 っ てい る 。 ④ ソ ーシ ャフレ・ サ ービ ス・ リーブ (socialserviceleave) 従 業 員 が ボラ ンテ ィ ア活動に 参加 す る場 合、 企 業 が一 定 期 間有 給 の休 暇を与 え る制度 で あ る。 こ の社 会 奉 仕 休 暇制 度 の導 入に は経営 ト ップ の理 解 が 不可 欠 であ ろ う。 こ うし た従 業 員 の ボ ラン テ ィ ア活 動 に よっ て、 社 会は そ の企業 に対 して 感謝 と 敬 意 の念 を抱 き、社 員 も生 き甲 斐 ・ 働 き甲 斐を 見 い 出す 上 に そ の企業 に対 する ロイ ヤ リテ4 ーを 強 め る可 能 性 は高い 。 そ のこ とぱ 、 大 局的 見 地か ら す れば 、 社 会 のた め、 企業 のためで もあ る こ とを 経営 者 は 認識 す べ きで あろ う。 三 菱電 機か ら 出向し て三 菱 セ ミコソ ダ クタ ー. アメ リカ 社 長 と し て 、 フ ィラ ソ ス ロ ピ ーを 身を も って 体 験 し た渡 逞一 雄 氏に よれば、「こ の休暇 制 度 を 社 内制 度 とし て導 入し て い る か ど うか は 、 そ の企業 や 経営 ト ップ が フ ィラソ スロ ピ ーに どの 程度 理 解を 示 し てい る かを計 る バロ メ ータ ーとも い え る」 と述 べてい る19)。 ⑤ ジ ョ イ ント ・ マ ー ケテ ィン グ型 の キ ャンペ ーンに ょ る寄 付 こ れ は 自社 製 品や サ ービス の販 売 促 進 のため に 、特 定 期 間中 に 特定 の 公益 団体 とタ イ ア ップ し て、 当 該 商 品 (デ ービ ス)を 購 入す る と、 そ の売 上 高 の一 定 比 率 の額 がそ の 公益 団体 を 通 じて 特定 の福 祉 や 慈 善 目的 に 寄 付さ れ るとい うマ ーケテ ィ ン グ型 のフ ィラ ン スロピ ーであ る20)。 こ れ は 社会 に アピ ールし そ うな問題 と マ ー ケ テ ィ ン グを 結 び つ げ た も の で、「 コ ー ス ・ リ レ ー テ ィ ッド ・ マ ーケテ ィン グ」 と呼ば れ てい る。 有名 な 例 とし て 、 ア メ リ カ ン ・ エ キ スプ レ ス( ア メ ッ クス) の1 セ ント ・ キ ャンペ ーン があ る。 同 社は 自由 の女 神 の修 復工 事 のた めに 、 顧 客 が同 社 カ ードを 利 用す るた びに 手 数料 の中か ら1 セ ントを 寄 付 す る とい う一 大 キ ャンペ ーンを 張 り、 販売 促 進 に成 功し た。 か くして 、企業 フ ィ ラソ ス ロピ ーの新 しい パラ ダイ ムは、企 業 のマ ーケテ ィン グ やPR の方 法 を変 化 さ せつ つあ る。 \ と ころ で、 最近 の米 国企業 のフ ィラ ンス ロピ ー活 動 の傾 向 とし て、 企業 の寄 付 行為 が 経営 戦 略に 直 結 す る タイ プ の も のが増 えてい る。 企業 内で も フ ィ ラソ ス ロピ ー部 門 と事業 部 門 とが 戦略 的 に協 力 し始 め てい るレ そ の狙 い とす る ところ は 、消費 者に 対 す る知 名度 の ア ップ 、 従業 員 の生 産性 の 向上 、 あ るい は研 究 開発 費 の削 減、 規 制 障壁 の克服 、そ し て事 業 活動 へ の波 及効果 など にあ る≒ た とえ ば、 環境 団 体 と の関 係で も企 業 は有 効 な経 営 戦略 を 策定 すべ きで あ る。89 年 に エ クソン 社 の バ ルデ ィ ーズ 号は アラ スカ沖で史 上 最悪 とい わ れる 原 油流 出 事 故を 起こ して し まった が、 そ れ ま で エ タ ソ ソ教 育財 団 は、 本業 とは 何 の関 わ り もない 分 野に 多 額 の 支援を し てお り、本 社 の企 業 施設 から も完 全 に 独立 し てい る こ とで 企業 の内外 か ら特 に賞 賛 さ れ て い た。 し か し こ の 事 故 の勃 発 に
よっ て 判 明し た こと は、 経営 ト ップ は財 団 が育 成 し た環 境 問題 のリ ーダ ーと の人 的 コ ネ クシ ョン も な く、 危機 を処 理 す るた め の アドバ イ スを 求 める 先 が見 あ たら ない とい うこ と であ った 。 ト ップ は 環 境 問題 専門家 たち に対 し て反抗 的 態度 を と る以 外 に術 が な く、し彼ら は エ クソ ン社を 絶 好 の 標的 に し て 攻 撃し たの であ った。 他方 、 ラ イバ ル企業 のアル コ(ARCO ) 社 は、71 年に 環 境 団 体に 資金 援助 す る と ともに 提 携 関 係 を 結 び 、 フ ィラ ソス ロピ ーを 戦略 的 に利 用 し て きた。 アル コの役 員は 、 環境 団 体 との パ ート ナ ーシ ップ に よ り、 彼ら から 環境 に 関 する知 識 と情 報を 吸 収し 、 事 故 が起 きた ら素 早 く オ ープ ン な態 度 で彼ち に対 応 で き ると 確信し てい る。 ま た、 環 境団 体 のほ うにし て も、 カ リフ ォル ニア州 の 大気 汚染 防止 法 の よ うな法 律制 定 に関 し て アル コ から 支持 の 証 言を 取 り付け る こと がで き たの であ る。 こ の よ うな戦略 的 な提 携 関 係は、 一 部に は 石 油企 業 と環 境 団 体 との馴 れ合 い た と批判 す る向 きも あ るが 、 新し い 企業 フ ィ ラソ スロ ピ ーの パ ラダ イ ムに 不可 欠 な もの であ る。 な ぜ なら、 取 り返し の つ かな い ほ ど企業 の評判 を 低 落さ せた り、 事業 に壊 滅 的 打撃 を与 え か ねない 世 間 の悪 評を 未然に 抑 え るこ と が で きる から であ る。 また 、 戦 略的 フ ィ ラソ スロ ピ ーの象 徴的 な 例 とし て 、94年AT &T は2 万人 近い 社 員を レ イ オフ す る方 針 を 発表 し たが 、AT &T 財 団 では 予 算を 約3,800万 ドル まで 引 き上げ る こ とが で き た のであ る。 社 員 を レ イ オフす る よ うな状 況に もかか わ ら ず、 な ぜ寄 付 しな け れば なら ない のか とそ れを 問 題 視す る 声 に対 し て、「価 格 と企業 市 民活 動 の両 方 」 で競 争 す るほ うが、「価格 のみ」 で 競争 す る よ り利 口な 戦 略 であ る と主張 し てい る。 Ⅲ 日 系 子 会 社 と フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー1 企 業 フ ィラ ン スロピ ー と企 業 社会 的責 任 の 理論 的 考 察 こ こで は 、 こ れま でみ てき た企 業フ ィラ ソ ス ロピ ー( 企 業 の社 会的 貢献 )を 広 い 意味 で 「企 業 社 会 的責 任 」 の範 躊 に含 ま れる 概念 と措 定 す る こ とに より、 ま た企業 社 会的 責任 と の関 係を い くつ か の説を 参考 に して 掘 り下げ る こ とに より、 企業 フ ィラ ソ スロ ピ ーの概 念的 特質 を 浮 き彫 りにし て 行 きたい 。 ま ず、 企 業 の社 会的 責 任 の範 囲につ い て は 、消 極 論 と積 極 論に2 分 され る。 前者 は、 フ リ ード マ ン(M.Friedman )に よ って代 表 され る説 で あ る。企 業 の社 会的 責任 は、何 とい っ て も消費 者 の欲 す る製 品や サ ービ スを 生産 ・販 売 す るご とに 尽 き る。 そ うし た 目的 のた めにだけ 企業 の経営 資 源を 投 入す べ き であ っ て、 直接 ビ ジ ネ スと関 係 のな い 目的 のた めに 行 動す る こと は問 違 って い る。 つ ま り 企 業 は 本 来 の 目的で あ る利 潤 追 求活 動を 行 う場 合に のみ正 当 化 さ れる、 とい うも ので あ る。
アメ リカに おけ る日系子 会社 の現地化に 関す る一 考察55 一 方 、 積 極 論 で は 、 企 業 の 社 会 的 責 任 の 範 囲 と し て 、 企 業 は そ の 持 て る 資 源 を 利 潤 追 求 以 外 に も 、 公 益 の た め に 積 極 的 ・ 自 発 的 に 活 用 す る 責 任 が あ る と す る 。 現 代 社 会 に お い て は 、 株 主 の 期 待 に 応 え る の は 企 業 の 行 動 目 的 の1 つ に 過 ぎ ず 、 も っ と 広 く 利 害 関 係 者(stakeholder ) の 期 待 に も 社 会 関 与 (socialcommitment) と し て 対 応 す べ き で あ る 、 と い う 主 張 で あ る 。 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー は 積 極 論 に 立 脚 し て い る こ と は 言 う ま で も な い が 、 こ こ で さ ら に 企 業 責 任 と は 何 か 、 つ ま りモ の 責 任 の 内 容 に 立 ち 入 っ て 検 討 し て み よ う 。 電 通 総 研 の メ ン バ ー は 、 企 業 の 社 会 的 責 任 を 分 析 す る た め の フ レ ー ム ・ ワ ー ク を 提 示 し て お り、 そ の 中 で 社 会 的 責 任 を 「 経 済 的 責 任 」、「受 託 者 責 任 (trusteeship )」、「企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー 」 の3 種 に 分 類 し て い る22)。 ま ず 、 経 済 的 責 任 を 「規 制 や 法 律 を 遵 守 し 、 消 費 者 ニ ー ズ に 合 致 し た 商 品 や サ ー ビ スを 効 率 的 に 生 産 ・ 供 給 し 、 消 費 者 、 株 主 、 従 業 員 の 各 利 益 を 増 進 さ せ る 責 任 」 と 、 定 義 し て い る。 こ こ で は、 経 済 的 責 任 を 第 一 義 的 な 企 業 の 社 会 的 責 任 と 認 識 す る の で あ る が 、 だ か ら と い っ て 無 制 約 に 企 業 の 利 潤 を 追 求 す る こ と を 意 味 し な い 。 す な わ ち 、 そ れ は 遵 法 義 務 を 伴 っ た 上 七 効 率 的 に 利 潤 追 求 活 動 を 行 う 責 任 で あ る 。 表2 で は 、 経 済 的 責 任 に 基 づ い て 、 企 業 の 利 害 関 係 者 の 各 々 に 対 し て 企 業 が 果 た す べ き 具 体 的 な 責 任 内 容 が 明 ら か に さ れ て い る 。 し か 七 、 個 々 の 企 業 に よ る 私 的 な 利 潤 追 求 に よ っ て 社 会 全 体 の 福 利 水 準 が 効 率 的 に 向 上 す る た め に は 、 市 場 に お い て 独 占 や 寡 占 の な い 、 完 全 競 争 に 近 い メ カ ニ ズ ム が 有 効 に 機 能 し て い る 必 要 が あ り、 ま た 経 済 学 で い う 「 外 部 不 経 済 」 が 存 在 し な い こ と な ど が 前 提 条 件 と な ろ う 。 第2 の 受 託 者 責 任 に つ い て の定 義 は 、「企 業 の 本 来 的 活 動 に 関 し て 影 響 を 及 ぼ す 利 害 関 係 者 の 便 益 の 向 上 に 配 慮 す る 責 任 」 で あ る。 こ れ は 表2 に 示 す よ う に 、「社 会 の 便 益 の た め し て は な ら な い こ と を 、 法 で 定 め ら れ た 基 準 よ り 厳 し い 基 準 で 自 己 規 制 す る 」 自 己 規 制 責 任 ( 企 業 倫 理 責 任 ) と 、「法 定 基 準 以 上 に 利 害 関 係 者 の 各 々 の 便 益 向 上 に 努 め る 」 積 極 関 与 責 任 と に2 分 さ れ る 。 尚 、 後 者 に つ い て は 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー の 一 部 を 含 む と 理 解 さ れ る。 現 代 の 企 業 は 利 潤 を 獲 得 す る だ け で な く 、 当 該 ビ ジ ネ ス に 関 わ る あ ら ゆ る 利 害 関 係 者 の 便 益 と 損 失 に 対 し て 十 分 に 配 慮 し て 経 営 を 行 う よ う 社 会 か ら 委 託 を 受 け て い る 。 こ う し た 責 任 を 受 託 者 責 任 と 呼 び 、 経 済 的 責 任 と 合 わ せ て 狭 義 の 社 会 的 責 任 と 位 置 づ け て い る 。 受 託 者 責 任 の 考 え 方 は 、1920 年 代 の ア タ リ カ の 大 企 業 で 「資 本 と 経 営 の 分 離 」 が 進 み 、 企 業 ( 経 営 者 ) が 株 主 か ら 経 営 を 受 託 し た こ と に 端 を 発 し 、 現 代 で は さ ら に 広 く 利 害 関 係 者 全 体 か ら 企 業 が 受 託 す る 局 面 へ と 拡 大 進 展 し た も の と み な す こ と が で き よ う。 第3 の 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー に つ い て は 、「企 業 本 来 の業 務 と は 直 接 関 係 の な い 領 域 で も 、 公 益 の た め に 自 発 的 に 自 社 の 経 営 資 源 を 活 用 す る 責 任 ]、 と 定 義 し て い る 。
表2 企 業 の 社 会 的 責 任 の 定 義 と 実 例 経 済 的 責 任 規 制 や 法 律 を 遵 守 し て 消 費 者 ニ ーズ に 合 っ た 商 品 や サ ービ ス の 生 産 ・ 供 給 を 効 率 的 に 行 い 消 費 者 利 益 、 株 主 利 益 や 従 業 員 の利 益 を 増 進 さ せ る 責 任 〔 実 例 つ 株 主 : 利 益 の 拡 大 、 適 正 な 配 当 の 実 施 、 正 当 な 権 利 の 付 与 従 業 員 : 労 働 関 係 法 を 遵 守 し て 従 業 員 の 生 活 の 向 上 を 図 る 顧 客 : ニ ー ズ に 合 っ た 商 品 の 生 産 ・ 販 売 取 引 先 : 独 占 禁 止 法 の 遵 守 地 域 社 会 : 雇 用 創 出 に よる 地 域 経 済 の 活 性 化 一 般 社 会 ・ 国 家 : 正 し い 納 税 国 際 社 会 : 直 接 投 資 に よ る 雇 用 創 出 、 技 術 移 転 受 託 者 責 任 企 業 の 本 来 的 活 動 を 行 う 上 で 影 響 を 及 ぼ す ス テ ー ク ホル ダ ー ズ の 便 益 の 向 上 に 十 分 配 慮 す る 責 任 ○ 自 己 規 制 責 任 : 社 会 の 便 益 の た め に 行 っ て は な ら な い こ と を 、 法 定 基 準 よ り 厳 し い 基 準 で 抑 制 す る。 企業 倫 理 責 任 と も い え る 〔 実 例] 株 主 : 大 株 主 と 少 数 株 主 と の 差 別 的 扱 い を し な い 従 業 員 : 女 子 や 外 国 人 の 昇 進 に お け る 差 別 を し な い 顧 客 : 価 格 差 別 を し な い 、 誇 大 広 告 を し な い 取 引 先 : 取 引 差 別 を し な い 地 域 社 会 : 法 定 基 準 以 上 の 環 境 対 策 を お こ な う 一 般 社 会 ・ 国 家 : 貿 易 摩 擦 を お こ さ な い 国 際 社 会 : 現 地 経 済 を 混 乱 さ せ な い ○ 積 極 関 与 責 任 : 法 定 基 準 以 上 に ス テ ー ク ホ ル ダ ー ズ の 便 益 の 向 上 に 関 与 す る こ と 。 フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー 活 動 の 一 部 と も 考 え ら れ る[ 実 例 〕 株 主 : 積 極 的 な 情 報 の 開 示 従 業 員 : 積 極 的 な 福 利 厚 生 の 充 実 顧 客 : 法 定 基 準 以 上 の 製 造 物 責 任 の履 行 取 引 先 : 積 極 的 な 技 術 供 与 地 域 社 会 : 地 域 か ら 優 先 的 に 雇 用 す る 一 般 社 会 ・ 国 家 : リ サ イ タル シ ス テ ム の 確 立 国 際 社 会 : 積 極 的 な 経 済 発 展 の 寄 与 コ ー ポ レ ー ト ・ フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー 企 業 本 来 の 業 務 と 直 接 関 係 の な い 分 野 で も 、 公 共 の 目的 の た め に 経 営 資 源 を 活 用 す る 責 任 〔 実 例 〕 従 業 員 : 身 障 者 の 積 極 的 雇 用 顧 客 : 低 所 得 者 に 対 す る 赤 字 覚 悟 の廉 価 販 売 地 域 社 会 : 施 設 の 解 放 一 般 社 会 ・ 国 家 : 福 祉 ・ 文 化 活 動 支 援 国 際 社 会 : 地 球 規 模 の 環 境 問 題 解 決 へ の 支 援 (出 典) 電 通 総研 『 企業 の社会 貢献 』 日本経 済新 聞社 、1991
ア タ リ カ に お け る 日 系 子 会 社 の 現 地 化 に 関 す る 一 考 察57 既 述 の よ う に 受 託 者 責 任 に お け る 積 極 関 与 責 任 も 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー に 部 分 的 に 含 ま れ る が 、 両 者 の 本 質 的 相 違 は ど こ に あ る だ ろ うか 。 積 極 関 与 責 任 の 主 た る貢 献 対 象 は 、 依 然 と し て 株 主 、 顧 客 、 従 業 員 、 取 引 先 、 当 該 企 業 が 立 地 す る 地 域 社 会 な ど ど ち ら か と い え ば 、 企 業 本 来 の 義 務 と 直 接 関 係 の あ る 集 団 で あ る 。 こ れ に 対 し て 、 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー の 貢 献 対 象 は 、 当 該 企 業 の 本 来 的 業 務 活 動 と 関 係 あ る な し に 関 わ ら ず 、 よ り 広 範 な 社 会 一 般 と か 国 際 社 会 で あ る 。 ま た 、 活 動 内 容 に つ い て い え ば 、 積 極 関 与 責 任 は 、 人 事 管 理 や 生 産 管 理 、 競 争 戦 略 と い っ た 本 来 的 業 務 活 動 の 範 囲 の な か で 社 会 貢 献 を 行 う の に 対 し て 、 企 業 フ ィ ラ ソ ス ロ ピ ー で は 本 来 的 業 務 活 動 と 内 容 的 に 関 係 が な く て も貢 献 活 動 を 行 う点 が 挙 げ ら れ る 。 歴 史 的 に は 、 受 託 者 責 任 は 企 業 と 社 会 の 利 害 関 係 の 拡 大 か ら 広 が っ て き た も の で あ る の に 対 し 、 企 業 フ ィ ラ ン ス ロ ピ ーは 、 日 米 で は 社 会 背 景 に 違 い も あ る が 、 少 な く と も ア メ リ カ で は 市 民 社 会 の 伝 統 へ の 企 業 の 参 加 と い う 経 緯 を た ど っ た 点 に 相 違 が あ る 。 次 に 、 キ ャ ロ ル (A.B.Carroll ) に よる 「3 次 元 概 念 に よ る 企 業 社 会 業 績 モ デ ル 」 の 中 で 明 ら か に さ れ る 企 業 社 会 的 責 任 に つ い て 検 討 し よ う23ト キ ャ ロ ル は さ ま ざ ま な 企 業 社 会 的 責 任 の ど の 側 面 を 問 題 に す る か に よ っ て 、 ① 社 会 的 責 任 の 範 躊 、 ② 関 与 す る 社 会 的 諸 項 目 、 ③ 社 会 対 応 の 哲 学 、 の3 つ の タ イ プ に 分 類 し 、 そ れ ら を 各 軸 に モ デ ル を 構 築 し た 。 こ こ で 特 に 注 目 す べ きは 、 社 会 的 責 任 の 範 躊 に つ い て の 分 析 で あ る 。 彼 は 、 社 会 的 責 任 を 、 社 会 が あ る 時 点 で 諸 組 織 に 対 し て 抱 く 期 待 を 内 包 し た 責 任 と し て 基 礎 的 定 義 を 提 示 し 、 具 体 的 に は 、 ① 経 済 的 責 任 、 ② 法 的 責 任 、③ 倫 理 的 責 任 、 ④ 裁 量 的 責 任(discretionaryresponsibility )の4 つ を 挙 げ て い る 。 そ し て 企 業 は 経 済 的・法 的 責 任 を 越 え て 、ど こ ま で 自 発 的 に 責 任 を 負 う か 、そ の 範 囲 を 問 題 に す る 。 倫 理 的 責 任 は 、 成 文 化 さ れ て い な い に も か か わ ら ず 、 社 会 に よ る 期 待 に 応 え る と こ ろ の 責 任 で あ る 。 裁 量 的 責 任 は 、 あ る 種 の 社 会 的 負 担 を 担 っ て 欲 し い と い う 社 会 的 期 待 に 応 え る も の で 意 欲 的 責 任(volitionalresponsibility) と も 言 っ て い る 。こ れ ぱ ま さ に 企 業 フ ィ ラ ン ス ロ ピ ー に 相 当 す る 概 念 で あ る 。 さ ら に 、森 本 三 男 教 授 は キ ャ ロ ル の モ デ ル を 援 用 し て 、「 企 業 社 会 責 任 の 修 正3 次 元 モ デ ル 」を 構 築 し て い る≒ 同 教 授 の モ デ ル で は 、社 会 的 責 任 の 範 躊 と し て 、 ① 法 的 責 任 、 ② 経 済 的 責 任 、 ③ 制 度 的 責 任 、 ④ 社 会 貢 献 (socialcontribution ) の4 つ を 提 示 し て い る ( 図4 )。 こ こ で は 、 ま ず 経 済 的 責 任 に 優 先 さ せ て 法 的 責 任 を 位 置 づ け て い る 。 そ れ は す べ て の 社 会 的 制 度 の 前 提 要 件 で あ り、 他 律 的 ・ 強 制 的 に 規 定 さ れ る だ け で な く 、 能 動 的 ・主 体 的 ・ 自 発 的 に 実 践 す る 側 面 も あ る か ら で あ る。
責 任 の 範 躊 狭 義CSR 図4CSR 修 正3 次 元 モ デ ル ( 例 示 は 典 型 的 な も の の み ) 実 践 の 姿勢 賛 調 和 犬 社 会 貢 献 制度的 責任 経済的 責任 法 的 責 任 ← こ → こ ← 経済的環境 社会的環境 物的環境 期待 の源 泉 注:CS=consumersatisfactionPL=productliability ’ ( 出 典 ) 森 本 三 男 『 企 業 社 会 責 任 の経 営 学 的 研 究 』 白 桃 書 房 、1994 制 度 的 責 任 は、キ ャロル の倫 理的 責 任を 置 き換え た も ので あ る。そ れは 、法 的 責 任 と経 済 的責 任を 越 えて 非 経 済的 期待 に も応 え る とい う点 で は キ ャロル の倫理 的責 任 と同 様 であ る が、「倫 理」では 他 の すべ て の責任 に も関 わ るこ とに な るか ら であ る。 そ れ よ り も、 現 代に おけ る 企業 は社 会 的制 度で あ り、 そ れ 故に 企業 市 民 とし て法 的責 任 や 経 済的 責任 を超 えて 自発 的に 遂行 さ れる べ き責 任 とい う 意味 で こ の名称を 用 い てい る。し か し、そ の責 任 内 容は 、上 記2 つ の 責任 を超 え てい る とは い って も、 当該 企 業 の本来的 機 能 から 生 ずる責 任 を 大 き く超 え る もの では な く、 関係者 の 合 意度 が 高 い期 待 へ 対 応 し た も のであ る。 合 意度 の低い も のは、 さ ら に 高次 の キ ャロル のい う裁 量 的 責 任に 該 当 する。 同 教 授 は、裁 量的 責任 につ い て も、「社会 貢 献」と 呼び 換 え てい る。そ れ は企 業 の基 本 的 ・本 来的 機能 と は直 接か かお りのな い社 会 的 ニ ーズに 自発 的に 対 応し てい る こ とであ り、 そ れを 「責任」 と 呼 ぶこ と の 正否に つ い て問 題 なし とし な い から で あ る。 そ れは、 ま さに 「企 業 の自発 的 意 志 と裁量 に 委 ね ら れ た社 会的 役 割の 先取 り」で あ り、「単 に社 会 の圧 力 に反 応し て 行動 す る の では な く、企業 の長 期 的役 割を 考え て行 動 す るこ と」 で あ り、 社会 に対 す る投資 で あ り貢献 で あ る。 まさ に この段 階 が 企 業 フ ィラ ソ ス ロピ ーであ る。
ア ノ・ リ カ に お け る 日系 子 会 社 の 現 地 化 に 関 す る一 考 察59 以 上 の よ うな観 点 から 、同 教授 は法 的責 任、 経 済 的責 任 、 制度 的責 任を 企業 の固 有 の社 会 責任 も し く は狭 義 の 社会 責 任 とし、 こ れに 社 会貢 献を 加 え て広 義 の 企業 社会 責 任 とする 立 場を とっ てい る。 さら に 、 当 モデ ル の キ ャロル モデル と の違い は 、 水平 軸 で あ る 「社 会 的諸 項 目」を 企 業 に 対す る 期待 の源 泉 と して の 環境 区 分(経 済的 ・ 社会 的 ・物 的 、 さら に各 々を 内部 ・外部 に 区 分) に 置 き換 え てい る点 で あ る。 キ ャ ロルが列 記し た 社会 的諸 項 目は選 択 基 準が 不 明であ る とし てい る。 尚、 第3 の軸 ( 実 践 の姿 勢) に つい ては キ ャロ ル のモデ ル を そ のま ま踏 襲し て い る。 森 本教 授 のモ デル から 、 企業 の広義 の 社会 的責 任 の内容 は 、 まず 法的 責任を 最 低次 の責 任 とし て、 経 済 的責 任 、 制度 的 責任 、 社会貢 献 と順 次高 次化 し て い く と理 解さ れ る のであ る。 確か に、企 業 の 社 会 的責 任 め内 容は 、 次第 に拡 大・ 膨張 ・多 様化 し 、 発 展し てい く。 し かし 、 こ こ で問題 な のは、 こ う し た責 任 の高次 化 や発 展が、「責 任 の階 層構 造」 とし て 理 解さ れる べ きか とい うこ とで あ る。 同 教 授は 、「責 任 の階 層 構造」 とい う考え方 に は 補 正を 要 す る と 述 べ てい る2≒ マ ズ ロ ー(A 且Maslow ) の欲 求5 段 階説 の構 造に なぞ ら えて 、「い ず れ の責 任 も、そ れに 先 行す る相対 的 に 低次 の 責 任 が 遂行 さ れるこ と に よって 初め て有 意義 に な る] のであ り、 例え ば、 経 済的 責 任を 果 さな い企 業 が い くら 社 会 貢献 を し てみて も意 味を な さな い 、 と みてい る。従 っ て、 責任 内 容 は、 単 に階 層構 造を なし てい るめ では な く、図5 の ような 「包 摂 的 階層 関 係」 に ある と みる べき だ と主 張 さ れる。 図5CSR の 「 組 織 欲 求 階 層 」 構 造 ( 出 典 ) 図4 に 同 じ −− −一一一一社 会 貢 献 −--- 一一制 度 的 責 任 万 。 一 経 済 的 責 任--一一一一 法 的 責 任 狭 義CSRY ト ト ー 士 皿 皿 次 次 高 低4 ︲1111 ︲1 ︲11 − t 次 に、 企 業 フ4 ラン ス ロピ ーと の関 係で 、同 教 授 のい う「社 会 戦略」 につ い て み て み よう。 マ ク ロ的 視 点 から 社 会貢 献 は民 間部 門 の企業 が 提供 す る 大変 公 共性 の高い 財 とい うこ と にな る が、 そ れ は 私的 財 で も公 共財 で も ない、 い わば [準 公共 財] と て も位置 づけ ら れ る ような 中 間的 性 格を 持 っ てい る26)。そ れ が効 率 的 な資 源配 分と して 意 味 があ る のは 、い わ ゆ る「市場 の 失敗 」と、政 府 活動 の 非 効 率 さや 過 大 さ から 生 じ る「政 府 の失敗 」 の双 方 を 補完 す る働 きを す る からで あ る2≒ こ の 両 種
の失 敗 の ど の部 分を ど の ように 補完 す るか の 選択 こそ が 社 会戦 略 の問 題であ る 。 よ り具 体的 ・実践 的にい え ば 、社 会 戦略 と は既 述 の4 種 類 の 「社会 的責 任の 多 種多 様 な 内容を、 何を 基 準 にし て、 い かに 選択 し 、 ど のよ うな 態度 で 実践 し て 行 くべ きか の基本 的 指 針」 で あ る。 最後 に 、 こ の社会 戦略 の枠 組 につ い て考 察 し よ う。 ここ で重 要 な こ とは、社 会戦 略 は広 い 意味 で の経営 戦 略 の一 環 であ り、 そ れは通 常 の経 営 戦略 と同 様、 明 確 な経営 理 念(経 営 活 動を 通 じて 実現 し たい 価 値 、 思想、 信 条、 哲学 )に 導 か れた 戦略 であ る とい うこと であ る。 従 っ て、 逆説 的 に 言え ば、 経営 理 念 とい うのは広 義 の社 会的 責 任 向け の 特殊 な理 念 を 別に 持つ とい うの では な く、 社 会戦 略 も含 んだ 経営 活 動全 般を 貫 く理 念 であ る必 要 が あ る。そ うで なけ れ ば広義 の 社 会的 責 任 の実 践ぱ 責 任 の遂 行 で はな く宣 伝的 社 会活 動 とみ な さ れて し ま うであ ろ うし 、 そ れでは 当 該企 業 に 寄 せら れ る期 待に 応 え る こと はで きな い であ ろ う。つ ま り、 社会 的責 任 のため の社 会戦 略 と通 常 の 経営 戦略 と は共 通 の経 営理 念 に よって 統 合さ れ るこ と が、 社 会戦 略 が 機能 す るた めの絶 対 的 前提 条 件 であ る。 こ うし た 理解 の下 で、 社会 戦略 の枠組 は 、 既述 の 「修正3 次元 モデ ル」 から 導 き出 さ れる。 図4 に おけ る 第3 次 元 の「実 践 の姿 勢」 は、 経 営 者 が賛 同 す れば 、そ れ以 上 問題に す るこ とは な い ので、 社 会戦 略 は 、「期待 の 源泉( 第1 次元 ) と責任 の範 躊(第2 次元 )の組 合わ せを 、経営 理念 に 即し て い かに 具 体 的に 策定 す るか の問 題」、と 措定 し て い る。さ らに 責任 の範 躊におい ては 、法的 責 任に は 実 施に 関 し て 選択 の余 地ぱ ない こ と、 経 済的 責 任に つ い ては 、 通常 の経 営戦 略 で カ バ ーさ れ ると の 理 由 で対 象 から 除 去さ れて い る。 さ らに 「期 待 の源 泉」(第1 次元 )につ い て は 企業 環境 に 換 えて 、ド メイ ン(本 業 関 連)と ア ウト ド`メイ ン( 本業 関 連に 近い 周 辺 領域 お よび 本業 関 連 から 遠 く離 れた外延 領域) の名 称で 各 社 会貢 献 の 領域 区 分を 提示 して い る。 か くし てで き たの が図6 に 示 す 「社会 戦 略 の枠 組」 であ る。 さ らに 、 こ の図 では 制度 的 責 任 と社 会貢 献 の 背後 に 、 スチ ュ ワ ード シ ップ(stewardship 一奉仕 ) ま たはト ラステ ィ ーシ ップ (trustee-ship 一信 託) とチ ャ リテ ィ(charity 一慈 善) とい う社会 戦 略 の価 値基 準 とな る原 理 の存 在を 措 定 し て い る。 前者 に より多 種多 様な 利 害関 係者 か ら 信 託さ れた企 業 の制 度的 責 任が 実践 され、 後 者を 背 景 とし て 利潤 を 獲得 し た企 業 は社 会 のた めに 慈 善的 活 動 ( フ ィラ ソ スロピ ー) を 行 うこ とに な る。 こ こ で はstewardship が制 度的 責 任 ばか りで な く狭義 の社 会的 責任 に 強 く結び つ き、charityが 社 会 貢 献 と 強 く結 びつ く関 係 とし て捉 え ら れてい る。 図6 に おけ る矢 印は 、 実践面 に おい て 枠 組 の左 下方 の部 分 ほ ど、企業 が 直接 遂 行 し、 かつ 企 業 に と って 優先 順 位 の高い 領 域で あ る。 逆に 、 右上 方 に 行 くほ ど、 企 業 は間接 的に 遂行 し (例 え ば、 財 団や 他 の公 益 団 体を 通 じ て)、か つ 優先 順 位 が低 く、 自発 的行 動 が望 ま れる 領 域 とい え る ので あ る。