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部首分類体日本古辞書の項目構造の多様性に対応した マークアップ・ツールの開発

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Academic year: 2021

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部首分類体日本古辞書の項目構造の多様性に対応した

マークアップ・ツールの開発

劉 冠偉(北海道大学文学研究科) 李 媛(京都大学人文科学研究所・日本学術振興会) 鄭 門鎬・張 馨方・池田証壽(北海道大学文学研究科) 部首分類体の日本古辞書の項目構造は,掲出字と注文からなるが,注文は大別して音注,意義注,字 体注,和訓の4 つの要素からなる.さらにこの 4 要素には多様な形式で注記が施され,それぞれの要 素に数種のタイプが認められる.したがって,日本古辞書のデータベース化には,項目構造の多様性に 対応したタグセットとマークアップ・ツールの開発が求められる.本研究は観智院本『類聚名義抄』を 対象として,注文内容のタグセットと日本古辞書に特化したマークアップ・ツールを実装した.

Development of a Mark-up Tool for the Diversity of Structure in Early Japanese

Dictionaries Indexed by Radicals of Chinese Character

Guanwei Liu (Graduate School of Letters, Hokkaido University) Yuan Li (Institute for Research in Humanities, Kyoto University, JSPS)

Munho Jung / Xinfang Zhang / Shoju Ikeda (Graduate School of Letters, Hokkaido University) Early Japanese dictionaries indexed by radicals of Chinese character have a structure of entry and definition. The definitions usually contain four elements, which are Sino-Japanese reading, definition in Chinese character, annotation of character variants and Japanese reading. Besides, the four elements are annotated with variety of styles, each element can be written in several types. Therefore, tagset and mark-up tool are required for compiling a database of early Japanese dictionaries for the diversity of structure. In this study, we designed a tagset to describe and cover early Japanese dictionaries, and developed a mark-up tool for Kanchi'inbon Ruiju Myogi Sho.

1 はじめに

部首分類体の日本古辞書の項目構造は,掲出字 と注文からなるが,注文は大別して音注,意義注, 字体注,和訓の4 要素からなる.さらにこの 4 要 素には多様な形式で注記が施され,それぞれの要 素に数種のタイプが認められる.さらに訓点,傍 訓などデータ化しにくい情報が存する.したがっ て,日本古辞書のデータベース化には,項目構造 の多様性に対応したタグセットとマークアップ・ ツールの開発が求められる.本研究では,観智院 本『類聚名義抄』を対象にして,タグセットとそ れに対応させた日本古辞書マークアップ・ツール 「Tag Zuke!」について報告する. 「平安時代漢字字書総合データベース」(HDIC) は日本平安時代に編纂された漢字字書の総合デ ータベースである[3][4][5].データベースの対象 としては,高山寺本『篆隷万象名義』,天治本『新 撰字鏡』,図書寮本『類聚名義抄』,観智院本『類 聚名義抄』の4 点となる.これらの内,図書寮本 と観智院本の『類聚名義抄』は項目構造が複雑で あり,多様性が顕著である.音注には,反切・類 音注,仮名音注,声点などがあり,意義注は漢字 1 文字で注記されることが多いが,2 文字以上の こともある.字体注は,「正」「通」「俗」などが注 記される.和訓は,万葉仮名や片仮名で注記され, 声点が施されることも多い.詳細は後述する. 国語学の研究では,このような項目構造の多様 性に対応した検索と表示が求められており,それ を可能にするには,適切なマークアップが必要で ある.しかし,既存のマークアップ・ツールは効 率性の点で満足できないところが少なくない.そ こで,JavaScript と HTML でマルチデバイス対応 のマークアップ・ツール「Tag Zuke!」を独自に開 発した. なお,本研究は文献の全体をマークアップする ことよりも,日本古辞書の項目の内,特に注文の 構造をマークアップする方法に注目するもので ある. 順序として,第2 章では HDIC のデータ形式, 第3 章ではマークアップの形式,第 4 章ではツー ル「Tag Zuke!」について述べる.

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2 観智院本『類聚名義抄』全文データベ

ースについて

2.1 観智院本『類聚名義抄』の項目構造 観智院本『類聚名義抄』は12—13 世紀,真言宗 の学僧によって編纂され,改編本系として唯一の 完本である.原撰本系と言われる図書寮本と比べ ると,仏教関係の情報の削除,漢文注の省略,万 葉仮名から片仮名への変換,片仮名注記の増加が 見られる.池田(2008)によると,120 の部首に 約 32,000 個の項目があるという.項目の形式と しては単字,異体字,熟語の形式があり,図1 は 左から順に単字,異体字,熟語の例を挙げた. 図1 観智院本『類聚名義抄』記載例(原本模写) また,次の表1 は項目の字数によって統計した 結果である. 表1 観智院本『類聚名義抄』項目文字数 仏 法 僧 項目数 1 字 8,671 8,776 6,068 23,515 2 字 2,138 2,025 2,899 7,062 3 字 270 324 516 1,110 4 字 65 42 81 188 5 字 21 24 16 61 6 字 3 9 10 22 7 字 2 4 2 8 8 字 2 2 2 6 9 字 2 1 3 6 12 字 1 0 0 1 計 11,175 11,207 9,597 31,979 項目の文字数は 1 字と 2 字がほとんどを占め ている.2 字以上の項目には異体字と熟語の両方 が含まれている.「力」部をサンプルとして,合計 105 項目に対して,次の表 2 のとおり項目種類と 項目数を統計した. 表2 「力」部項目数 字数 種類 項目数 1 字 単字 73 2 字以上 異体字熟語 16 16 総計 105 項目の性質は注文の種類に依存するため,注文 の種類と内容の検討を優先的に行う.注文は音注, 義注,字体注,和訓の4 大要素からなる.1 項目 に4 大要素がすべて用いられることは少ない.ど の注記の種類が用いられるかは,それぞれ異なっ ており,4 大要素の有無のパターンとしては 16 通 りの可能性が想定される.「力」部を対象にし,注 文のパターンをまとめると次の表 3 のとおりに なる(音=音注,意=意義注,字=字体注,和=和訓 注,○は有,×は無). 表3 「力」部注文の分類 分 類 No 音 意 字 和 計 分類計 A 1 ○ ○ ○ ○ 9 9(8.6%) B 2 ○ ○ ○ × 9 18(17.1%) 3 ○ ○ × ○ 6 4 ○ × ○ ○ 3 5 × ○ ○ ○ 0 C 6 ○ ○ × × 15 41(39.0%) 7 ○ × ○ × 4 8 ○ × × ○ 18 9 × ○ ○ × 0 10 × × ○ ○ 0 11 × × ○ ○ 4 D 12 ○ × × × 6 31(30.1%) 13 × ○ × × 0 14 × × ○ × 7 15 × × × ○ 18 E 16 × × × × 6 6(5.8%) 計 105 105(100%) A はすべての 4 大要素を備えるもので,9 例し かない.B は 3 種類の要素を持っているものであ るが,すべての場合で字音注を有する.C は 2 種 類の要素を持っているものであり,6 の音注と義 注,8 の音注と和訓がほとんどを占める.D は 1 種類の要素しか持っていないものであり,15 の 和訓のみが約3 分の 2 を占める.注文の 4 大要素 の組み合わせは注文の多様性を示している. また,各々の注文の形式も多岐に亘っているこ とがわかっており,更に注文を被注字にした場合 があるため,非常に複雑な体裁で構成されている. 図1 を例にすると,注文の「音工 コウ クウ」 は音注の類音注と和音注,「續也 事也 成也」

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は義注,「タシカニ」は和訓,「㓛歟」は字体注で ある.字の周りの点は声調を表す声点であり,「亠」 と「ヽ」はそれぞれの「音」と「也」の略符であ る.これらの要素は4 大要素(レベル 1)の下位 要素(レベル2)となるので,音級,義級,字級 という下位要素を設定する.それの対応関係をま とめると,次の図2 となる. 図2 観智院本『類聚名義抄』の項目構造 すなわち,音級,義級,字級とは,注文要素の 種類を示す文字や符号である.音級は「反」「音」 「和」など,義級は「ヽ」(也)など,字級は「正」 「俗」などがある.音注はこの音級と発音を表す 文字との組み合わせである.義注は義級と意味を 表す漢文との組み合わせである.字体注は字級と 異体字を表す漢字との組み合わせである. さらに,複数の4 大要素に見られる機能的な要 素(レベル3)も少なくはない. 表4 機能要素(レベル 3) 要素 種類 共通機能要素 声点;転倒符,見消符,補入符;又, 亦;「|」符;踊り字;略字;未詳 など 個別機能要素 活用形;鼻音符;仮名遣など 4 大要素の内,2 つ以上の要素に出現する機能 的な要素と 4 大要素の内のいずれか 1 つに出現 する機能的な要素がある.前者を共通機能要素, 後者を個別機能要素と呼ぶ. 2.2 観智院本『類聚名義抄』の CSV データ ここではHDIC で公開予定である観智院本『類 聚名義抄』データベースを例にする.池田(2008) は観智院本『類聚名義抄』のデータベース化を提 案して,画像データベース,画像掲出字対応デー タベースを経て全文テキストデータベースを構 築した.現在は内容を校正・点検している.デー 1 注文に繰り込まれた項目. タベースの内容は表5 のとおりである. 表 5 観智院本『類聚名義抄』CSV データ フィールド名 例 KRID S31605 KR2ID K0808481 KR_Tenri_p Tc090810 KR_vol_radical v8#83 KR_vol_name 僧上 KR_radical 力 Entry 功 Entry_original KR2::KR_def 音工(L-R)「コウ(@N)」「クウ(@N)」 續 也 事 也 成 也 タ シ カ ニ (LHLH) 㓛歟 KRID は通し番号,KR2ID は風間書房版の所在, KR_Tenri_p は八木書店版の所在,KR_vol_radical は巻・部首番号,KR_vol_name は仏法僧所在, KR_radical は部首,Entry は掲出字,Entry_original は原本に近い字形,KR2::KR_def は注文である. 注文はできる限り原本に近づけてテキスト化さ れたが,国語学者がよく利用する次の4 点の情報 は文字とアルファベットに変換して注文フィー ルドに入れる. (1)略符は漢字に翻刻する. (2)声点は平声を「L」,上声を「H」,去声 を「R」,入声を「S」とし,それぞれ括弧 に入れて示す.声点がないことは「@」で 示す.1 つの字に複数の声点がある場合, 「-」で繋ぐ. (3)合点は「*」で示す. (4)一般の注文より著しく小さな字体で記載 された「小字注記」は「〈〉」で括る. 2.3 データベースの点検と構造化に関する課題 データベースを構築する際には,データの入力 よりも点検・校正に手間取ることが多い.上述の ように,観智院本『類聚名義抄』データベースの 注文フィールドは複雑な構造を持っている.これ らのデータを校正するには観智院本『類聚名義抄』 と図書寮本『類聚名義抄』や『篆隷万象名義』な どの文献を参照することが必要である.さらに, 誤字や声点の確認・修正には観智院本『類聚名義 抄』に対する現代の研究成果を用いて信頼性を高 めることが必要である. 今までの点検作業では,掲出字をリレーション シップにして,他文献のデータベースと照合する 方法を用いている.しかし,この方法では注文の 中に掲出している埋め項目1の下にある注文を参 考することは難しい. データベースを用いて研究を行う際は,字音と 和訓を抽出する必要が多くなると見込まれる.字

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音の前後に「音」,「反」などのマーカーが付いて いる場合は正規表現を利用して抽出できるが,そ うではない場合もある.和訓も同様に,表記上で は片仮名がほとんどであるが,符号と漢字を補助 的に併用することがあるため,簡単に部分的な注 文を抽出できる構造が求められる. もちろん,現段階のデータベース間のリレーシ ョンシップを最大限保留するため,データベース のスキーマそのままで,注文の構造化を行うこと が前提である.

3 段階的なマークアップ

3.1 辞書類を対象にしたマークアップの前例 マークアップ言語XML は幅広く用いられ,メ タ言語として非常に自由性が高いが,一方では互 換性の低さをもたらす.人文系資料をデジタル化 するためのText Encoding Initiative(TEI)が提唱 され,コーパス化に多く利用されており,辞書の データベースにも応用例がある[1][6].資料の可 視化によって,研究作業の負担低減もすでに実践 されている[2].詳細な階層構造を付けて,タグと それの中に属性を付与することによって,資料に 対しての忠実性を高めることができる. 中国辞書のデータベースにおいて,漢字データ ベースプロジェクト2の広韻データベースがXML の形式で公開されており,これは周祖謨『校正宋 本廣韻』を用いて UCS 符号化したデータベース である[7].目次,掲出字とそれらの注文は構造化 されているが,マークアップは項目レベルに止ま っており,注文中の要素については触れていない. 日本の古辞書に対しては,申(2016)が図書寮 本『類聚名義抄』をマークアップしており,目次 (篇),注文,すべての内容を構造化できる仕様 を提案した.体系的なタグセットを目指している が,図書寮本『類聚名義抄』には未解読の箇所も 少なくはなく,実際のマークアップ作業の実現性 はまだ分からない. 観智院本『類聚名義抄』のマークアップの難易 度について,『校正宋本廣韻』と図書寮本『類聚名 義抄』を比較してまとめると表6 となる. 表6 マークアップの難易度の比較 宋本広韻 図書寮本 観智院本 書体 楷 書 ( 印 刷) 行書を交え た楷書(筆 写) 楷書(筆写) 文字 漢字のみ 漢 字 が 多 く,仮名注 が少ない 漢字が少な く,仮名注 が多い 分量 554 頁 346 頁 1,331 頁 2 http://kanji-database.sourceforge.net/ 符号類 僅少 種類・量と もに多い 種 類 少 な く,量多い 句読・ 種類・ 可読性 無 有・朱点・や や難 有・空白・容 易 観智院本『類聚名義抄』の分量は他の二書より 著しく多いが,楷書で書写され,注文の間は空白 で区切られていることから,注文要素の弁別が容 易である. 3.2 マークアップの準備 観智院本『類聚名義抄』の注文をマークアップ する前に,まず,影印本のコピーに消せる蛍光ペ ンで仮マークアップを付ける作業を行い,マーク アップをする際に生じる可能性がある問題点を 明らかにした. 仮マークアップの作業では,消せる蛍光ペンが 見えやすいよう白地に黒字の風間書房版のコピ ーを用い,注文の4 大要素ごとに色分けをした. 著者らが分担して一人10 ページずつ実験的に 作業をした結果,次の2 点の問題点が明らかにな った. (1)字音注の仮名音注と和訓との区別や,音・訓 の出典と義注との区別は判断が難しい箇所 があり,作業者の経験と知識によるところが 大きい. (2)蛍光ペンでの色分け作業はペンの切り替え に一定の時間がとられる. この2 点を解決するため,残りの部分の作業で は次の2 つの対策を講じた. (1)風間書房版に付された和訓索引と広韻など の辞書類を参照しながら作業を行った. (2)4 大要素の色付けは一人の作業者に 1 つの 要素を分担し,作業が終わると次の担当者と 交代するようにした.なお,池田は疑問箇所 の検討を担当した. 結果として,合計の作業時間は40 時間となり, 平均して1 項目に 4.5 秒かかった. 3.3 段階的なタグセット拡張 大規模なデータベースを構築する際には,共同 で作業を分担することがよく行われている.しか し,XML 言語の利用と TEI の応用にはいずれも 一定の前提知識が必要となり,多人数の共同作業 を行うのはかえって負担になると考えられる. TEI P5 の 9. Dictionary(辞書類)部分に記載さ れているタグセットと構造は日本古辞書に適用 しにくい点が多い.例えば,注文の和訓を,定義 を表す<def>と発音を表す<pron>のどちらに入れ るべきかという問題がある.注釈<note>に入れて, 属性@type に注文の種類を表すこともできるが,

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<note>の下位タグ3に制限され,埋め項目4の処理 は難しい.そのため,本研究はTEI 標準に依拠せ ず,独自のタグセットを設定することにした. 注文は多様な要素だけでなく,複雑な構造を有 する.本研究で設定したタグセットは浅い構造か ら深い構造への進行においても実現性が高い.特 に字音注・和訓においては未解明な箇所もあり, 研究の進行に合わせてタグが変更できる柔軟性 を要する. また,既存のシステムとの互換性も考慮すべき である.HDIC データベースは関係データベース で構築されたため,既存のスキーマのままで注文 の構造化を行う. したがって,本研究は観智院本『類聚名義抄』 のすべてをXML 化するのではなく,既存のデー タベースにある注文フィールドのみのマークア ップから始める.マークアップのタグセットの命 名には次の2 つの条件を満たす必要がある. ①簡単な構造:タグ名が短く,入力の労力を低 減する. ②可読性:機械が読みやすく,人間が読みやす い.タグは一定の情報性が見えるものとし, <s></s>,<q></q>などは短すぎるので採用し ない. ①と②は矛盾するが,バランスをとって,次の 表 7 のとおりに 4 大要素の基本タグセットを作 成した. 表7 タグと要素の対応 タグ 要素 <jion> 音注 <jitai> 字体注 <wakun> 和訓 <kanbun> (漢文)義注 長さと対応性とを考慮してタグ名を付与する ことにした.例えば,「和訓」の英訳に当たる <japanese-reading>などをやめ,日本語ローマ字の まま<wakun>をタグ名にした.「義注」は,「和訓」 との区別を強調するため,<kanbun>にした. 研究対象の解読と研究を進めながら,段階的に マークアップを行う.2.1 節の図 2 と表 4 で述べ たレベル1,レベル 2,レベル 3 に対応するよう 三つのステップに分けて作業を行う. ステップ1:分類 音注:<jion>音工(L-R) </jion><jion>コウ(@N) </jion><jion>クウ(@N)</jion> 漢 文 注 :<kanbun> 續 也 </kanbun><kanbun> 3 「may contain」ということである. 4 一般の項目と同様に,掲出字・掲出語と注釈から なる.TEI のレファレンスによると,<note>の下位タ グには掲出字<entry>が入っていない.埋め項目の掲 事也</kanbun><kanbun>成也</kanbun> 和訓:<wakun>タシカニ(LHLH)</wakun> 字体注:<jitai>㓛歟</jitai> ステップ2:属性

音注:<jion type=”ruion”>音工(L-R) </jion>< jion type=”kana”>コウ(@N) </jion><jion type=”k ana”>クウ(@N)</jion>

漢文注:<kanbun type=”tanji”>續也</kanbun> <kanbun type=”tanji”>事也</kanbun><kanbun type =”tanji”>成也</kanbun>

和訓:<wakun>タシカニ(LHLH)</wakun> 字体注:<jitai>㓛歟</jitai>

ステップ3:階層

音注:<jion type=”ruion”><hojo>音</hojo>工 (L-R) </jion><jion type=”kana”>コウ(@N) </jion ><jion type=”kana”>クウ(@N)</jion> 漢文注:<kanbun type=”tanji”>續<hojo>也</h ojo></kanbun><kanbun type=”tanji”>事<hojo>也</ hojo></kanbun><kanbun type=”tanji”>成<hojo>也< /hojo></kanbun> 和訓:<wakun>タシカニ(LHLH)</wakun> 字体注:<jitai>㓛<hojo>歟</hojo></jitai> ステップ 2 の属性名とステップ 3 のタグ名は 現時点で仮とし,今後検討する必要がある.

4 マークアップ・ツール「Tag Zuke!」

4.1 マークアップ・ツールの必要性 市販のXML エディターを利用してテキストデ ータをマークアップしたり,タグ編集したりする ことができるが,ソフトのライセンス,学習コス トを考えると,古辞書に特化したマークアップ・ ツールの開発が必要である. 4.2 「Tag Zuke!」の開発と利用 筆者らはHTML と JavaScript でローカルの CSV ファイルをマークアップするツール「Tag Zuke!」 を開発した.効率化,簡易化マークアップ・ツー ルを目指して,次の機能を実装した. ①CSV(TSV)ファイルの読み込み ②CSV(TSV)ファイルの書き出し ③クリック操作による注文のタグの付与 ④注文の修正 実際の操作画面は図3 のとおりである. 出字を<term>に入れることは考えられたが,<term>と セットである<gloss>に埋め項目の字体注や音注を入 れるかどうかは問題となる.詳細はTEI レファレンス<note>に参考する.

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3 Tag Zuke!操作画面 作業の手順としては,ファイルを読み込み,画 面の上にあるメニューのなかからタグを選択し て,対応する注文要素をクリックすることによっ てマークアップする.マークアップする要素はオ レンジ(和訓),赤(字音注),緑(字体注),青(義 注)で示す.「保存」ボタンから作業ファイルをダ ウンロードして保存する. 4.3 本ツールの有用性 前述のように,本マークアップ・ツールは HTML と JavaScript によって作成したもので,イ ンターフェースはレスポンシブ・デザインを応用 することによって,スマートフォン・タブレット 端末でも作業できる. 開発は筆頭著者劉が担当して,マークアップ作 業は第二著者ほか3 名が担当し,実際の作業を通 じて改善点を補っている.本ツールを用いて,各 作業者は約 200 項目をマークアップして実験し た.実験の結果として,1 項目の注文をマークア ップするには平均約6 秒かかった.前述の蛍光ペ ンによるマークアップ作業よりは遅いが,実用で きる程度に達したと考えられる.ツールの改善と 作業者の熟練度によって,作業のスピードアップ が期待できる. また,本ツールはオープンソースのソフトであ り,「Tag Zuke!」というプロジェクト名でソース コードを https://github.com/toyjack/tagzuke に公開 している.

5 おわりに

本研究はHDIC に公開予定の観智院本『類聚名 義抄』データベースの注文データを対象として, 段階的にタグを付与することにより語学的な情 報を追加した.また,タグ付けツール「Tag Zuke!」 の開発によって,効率的なタグ付け作業プロセス を試みた. 2.1 節に述べたとおり,観智院本『類聚名義抄』 の項目は1 字から 12 字まで多様な形式で掲出し ている.そのなかで,各項目の配列にどのような 連続性があるのかが問題となる.例えば,図1 の 二番目の項目「助」字とその下にある2 字の項目 は,連続性があるといえる.その初出の項目を親 項目と呼び,2 番目以降の項目を子項目と呼んで 区別する.このような連続性には形からの異体字 関係と意味からの熟字関係が見られる.注文をマ ークアップすることによっての構造化が完成す ると,観智院本の項目配列を明らかにすることが 期待できる. また,本研究は従来のマークアップと異なり, すでにデータベース化された文献の一部分にタ グを付与して,テキストデータベースへの情報追 加を実験したに過ぎない.関係データベースに保 存された日本古辞書をXML 化する際には,文献 情報,項目構造を加えて,さらに検討すべき点が 少なくない.

参考文献

1) Charles Muller, Kiyonori Nagasaki and Jean Soulat:The XML-Based DDB:The DDB Document Structure and the P5 Dictionary Module; New Developments of DDB Interoperation and Access, 中華佛學學報,Vol. 25,pp. 105-128(2012). 2) 青野道彦,永崎研宣,下田正弘:仏教文献に おける注釈構造の可視化に関する予備的研究― パーリ語仏教文献を事例として―,研究報告人 文科学とコンピュータ(CH),Vol. 2017-CH-114,No. 2,pp. 1-5(2017). 3) 池田証壽:観智院本類聚名義抄の掲出項目数 と掲出字数,北海道大学文学研究科紀要,Vol. 124,pp. 137-151(2008). 4) 池田証壽:平安時代漢字字書総合データベー スの構築,北海道大学文学研究科紀要,Vol. 142,pp. 79-90(2014). 5) 池田証壽,李媛,申雄哲,賈智,斎木正直: 平安時代漢字字書のリレーションシップ,日本 語の研究,Vol. 12,No. 2,pp. 68-75(2016). 6) 高橋晃一:XML による仏教重要語彙定義集 の作成と課題,研究報告人文科学とコンピュー タ(CH),Vol. 2010-CH-86,No. 2,pp. 1-5(2010). 7)漢字データベース:宋本広韻データ,入手 先:<http://kanji-database.sourceforge.net/dict/sbgy /index.html> 8) 申雄哲:図書寮本類聚名義抄の本文解読とデ ータベース作成の問題点,漢デジ2016,2016 年 8 月 26 日,北海道大学(2016).

謝辞

本研究は北海道大学大学院文学研究科「共生の 人文学」プロジェクトの助成を受けたものです.

図 3 Tag Zuke! 操作画面   作業の手順としては,ファイルを読み込み,画 面の上にあるメニューのなかからタグを選択し て,対応する注文要素をクリックすることによっ てマークアップする.マークアップする要素はオ レンジ(和訓),赤(字音注),緑(字体注),青(義 注)で示す. 「保存」ボタンから作業ファイルをダ ウンロードして保存する. 4.3  本ツールの有用性 前述のように,本マークアップ・ツールは HTML と JavaScript によって作成したもので,イ ンターフェースはレスポンシブ・

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