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全文

(1)

「〜テイル」と「〜テイルところだ」

大高博美

要  旨

本稿の目的は,「〜テイル」と「〜テイルところだ」の意味上の本質的違 いを考察することにある。結論としてこれまでの解釈と異なるのは,「〜テ イルところだ」が厳密には「最中」の意味をもたないという点である。つま

り「〜テイルところだ」は,動作のピーク状態を表わすのではなく,ある一 っの抽象化されたスクリプト空間(全集合)の中の一段階(部分集合)にあ ることを表わす表現なのである。換言すれば,日本語話者が「〜テイル」で はなく,わざわざ「〜テイルところだ」を使う時,話者の頭の中では必ずそ の全集合としてのスクリプト空間が意識されているのである。しかしこの空 間は,文の表面では逐一言及されることがない。この見えない空間の存在をど のようにして学習者に見えるようにしてやるかは,教育上重要な課題である。

1.はじめに

すべての言語にいえることであろうが,日本語文法にも外国人学習者を悩 ませるものがたくさんある。しかしその原因はたいてい教える側にある場合 が多い。つまりそれは,教える側も実のところ文法がよく分かっていないか らなのである。そのような,外国人にとっても日本人にとっても難しい文法 項目の一つに,標題の「〜テイル」と「〜テイルところだ」がある。

(1)a 加藤君は今猫と遊んでいる。

b 加藤君は今猫と遊んでいるところだ。

これら両文の意味上の違いを明確に説明するのは,思ったほどそう易しくは ない。aの文もbの文も,一見意味的にはさほど違いがないかのように思え

(2)

る。どちらも共に,進行中の動作を表現しているという点で同様だからであ る。違いがあるとすれば,それは明らかに,文の最後に

1 ' "

ところだ」が付

くか付かないかによって生じているはずである。

日本語教育事典(大修館)でこの「ところだ」の項目をヲ│くと

1 ' " "

テイ ルところだ」 は何かが行われている最中であることを表わす,とある。 (P.

3 9

1)つまり

1 ' " "

テイルところだ」は,単なる進行を表わす

1 ' "

テイル」と は異なり,

1

最中」の意味をもつために動作のピーク状態を示すという解釈 である。

日本語の「最中」は,

1

最」が「まん中」の「まん」と同様に「最も」と か「一番」の意味をもっているという点において,基本的には「まっ最中」

と同様ピークのニュアンスをもっているといえる。後者は前者の意味がより 強調されてできた形である。さて現在の日本語教育では,この「最中」の解 釈が 1'""テイルところだ」の説明に際して広く採用されている。例えば A

D i c t i o n a r y  o f  B a s i c  ] a p a n e s e  Grammar(Makino  &  T s u t s u i  1 9 8 6 )

では,

1 ' " "  

テイルところだ」と

1 ' " "

テイル」にはそれぞれ

b ei n  t h e  m i d s t  o f  ' " "   i n g "

b e  ' " "   i n g "

の対訳が与えられて両者の区別が説明されている。

1 ' " "

テイルと ころだ」に

b ei n  t h e  m i d s t  o f  ' " "   i n g "

を当てるのは,やはりそれが「最中」

のニュアンスをもっという点を強調したいからである。この解釈に従えば,

例えば先の

( 1 )

a

とbは,以下のように英訳されることになる。

( 2 )   a M r .  K a t o  i s   p 1 a y i n g  w i t h  a  c a t .  

('""テイル)

b M r .  K a t o  i s   i n  t h e  m i d s t  o f  p 1 a y i n g  w i t h  a  c a t .  

('""テイルところ

だ)

確かに,学習者が英語を理解するのであれば,このような異なる対訳による 説明は,意味上の違いを教える上で大変有効であろう。しかし問題は,日本 語の

1 ' " "

テイルところだ」の真の意味が英語の

b ei n  t h e  m i d s t  o f  ' " "   i n g "

に よってどの程度まで正確に表わされているのか,という点である。翻訳によ って真の意味(本質)が完全に伝わることは,たL、てい希である。

本稿の目的は

1 ' " "

テイルところだ」と

1 ' " "

テイル」の意味が本質的にど う異なっているのかを考察することにある。もし

1 ' " "

テイルところだ」の意

(3)

r~ テイル」と r~ テイルところだ」

2 3 7  

味が本当に「最中」のピークの意味であるとしたら,では

1 ' " "

テイルところ だ」と

1 ' " "

テイル最中だ」にはどのような差があることになるのであろうか。

又,

1 ' " "

テイルところだ」の意味は本当に

bei n  t h e  m i d s t  o f  ' " "   i n g "

で表わ しうるのであろうか。言葉で表わす際の世界(空間)の切り取り方において,

両者に違いはないのであろうか。

2 .   , . . . . . . テ イ ル

1 ' " "

テイル」は,よく知られているように,以下のような三種類の相(進 行,継続,完了)を表わす。

( 3 )   a 

あ い つ , あ ん な と こ ろ で ギ タ ー な ん か 弾 い て る 。 ( 進 行 )

彼 は 毎 晩 食 事 の 前 に ギ タ ー を 弾 い て い る 。 ( 継 続 )

C  彼 は も う 八 時 間 以 上 も ギ タ ー を 弾 い て い る 。 ( 完 了 )

直 1 ' " ' ‑ '

テイル」は「座っている」のように状態表現をも可能にするが,こ れはある対象物の動作の継続相と完了相に話者の焦点が合わされた結果可能 になるものと考えられる(梶原

1 9 8 6 )

このように

1 ' " ' ‑ '

テイル」は,これ自体かなり複雑な意味を有する補助動詞 であるが,本稿では進行相を表わすものとしての

1 ' " ' ‑ '

テイル」のみを問題と

したい。なぜなら

1 ' " ' ‑ '

テイルところだ」との間で学習者に意味的な混乱を生 じさせるのは,常にこの進行相の意味をもっ場合の

1 ' " ' ‑ '

テイル」だからであ る。

3 .   ,...テイルところだ

1 ' " ' ‑ '

テイルところだ」の本質的な意味を理解するために,まず「ところ」

という語がもっ概念を考察してみよう。「ところ

J

(所)は,もともと空間内 における一定の範囲を示す言葉だったと考えられる。つまり,それはある集 合の中で一つの部分集合を位置づけるという世界の切り取り方で,普通,主 体や対象である事物が生起したり存在したりする空間的位置をいうために使 われる。この概念は,我々が「ところ」とL、ぅ言葉の意味を理解する際に,

認知レベルで最も本質的な機能を果たしているものと考えられる。

(4)

( 4 )   a 

君はいい所に住んでいるね。

ここはぼくが三年前に三億円を拾った所だ。

C  質問があったら,ぼくの所へ来たまえ。

d  どんな所でも住めば都だ。

「ところ」は更に,意味が敷街されることにより,対象の事物が占める時 間的な位置や抽象的な個所をも示すようになる。しかしここでもその概念自 体に変化はない。それは依然,ある抽象空間の中で,ある一部分が存在して いることを示している。

( 5 )   a 

聞くところによれば,彼女は今長崎にいるそうだ。

昨日の試験は,俺達が最後の授業で習ったところが出たよ。

C  苦しくても弱音を吐かないところが偉いね。

d  もうちょっとのところで時間が来てしまった。

すんでのところで車が止まり,電柱にはぶつからなかった。

さて,ここで視点を

r

,,‑,テイルところだ」の「ところ」に戻そう。この場 合の「ところ」は動詞に付いて,明らかに動作や現象が生じた時点を示して いる。

( 5 )

の文でいえば,

d

e

の用法に近い。これらの「ところ」の後には,

「ヘ,で,を,に,だ」などの助詞や助動詞が続くのが特徴である。そして

r

,,‑,シタところシテイルところスルところ」は,それぞれの先行動 詞の時制に応じて「直後,最中,直前」の意となる。

( 6 )   a 

子供は今寝たところだ。

子供は今寝ているところだ。

C  子供は今寝るところだ。

(直後) (最中) (直前) 外国人にとって

( 6 )

aと

Cは,比較的理解が容易い。又,教える側にとって もそれらを扱うのはそう難しいことではない。しかし一方

b

の文は,先にも 述べたように,

r

子供は今寝ている。」との間に生じるニュアンスの違いを説 明しなければならないという点で,やっかいであるo

r

子供は今寝ていると ころだ。」は,必ずしも子供が熟睡していると思われなくとも使えるのであ る。又,この表現は子供が寝入ってすぐにも使えるし,そろそろ起きるだろ うと思われる頃であっても使える。つまり「最中」のもつピークの概念は,

(5)

r~ テイル」と r~ テイルところだ」

2 3 9  

必ずしも

1 " ‑ '

テイル」と

1 " ‑ '

テイルところだ」の違いが説明できる特効薬に はなっていないように思えるのである。

日本語話者はどんな時に

1 " ‑ '

テイルところだ」を

1 " ‑ '

テイル」から区別し て使うのであろうか。それは本当に 1"‑'テイル最中だ」というピークのニ ュアンスを出すために使われるのであろうか。まずこの表現の使い方を以下 に見てみよう。 a‑‑‑‑‑dまでは

1 " ‑ '

テイルところだ」と

1 ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

テイル」が一応 相互に入れ換えできる場合の例であり

eとf

はそれができない場合の例で ある。

( 7 )   (A 

:この間君が言っていた例の本は,もう書き終ったかい。

~

l B  

:いや,現在第八章を書いているところですよ。

(A:

みち子,ちょっと買物に行ってきて。

b < 

l B :

今勉強しているところだから,あとで。

(A:

中山は現在どの辺を走っていますか。

~

l B :

現在,ちょうど約半分の

2 0 k m

地点を走っているところです。

(A:

もうご飯の仕度できた?

l B  

:まだよ。今二つ目のおかずを捺えてるところ。

e  A:

あっ,茜ちゃんが自転車に乗ってる(乗っているところだ)

A:

この写真は,茜がおもちゃで遊んでいるところです(遊ん

でいます)。

ここで気づくことは,

1 " ‑ '

テイルところだ」は,ある進行中の動作を一つの 抽象化した空間(範囲)の中で位置づけようとする時に最も自然に使われる ということである。例えば

( 7 )

a

では,すべての章を書き上げることを一つ の抽象的空間と見倣し,現在進行中の動作(つまり第八章を書くこと)は,

その空間中の一つの段階(部分集合)であることを示している。又

b

におい ては,いろいろな活動の集合から成る一日が一つの空間と見倣され,その中 の一活動(勉強)がちょうど現在時点を占める位置にあることが示されてい る。その結果,勉強ではなく他の活動をしている時であったら買物に行くこ とが可能というこュアンスが出ている。同様に

c

d

では,それぞれ

4 2 .1 9 5  

加を走ることとご飯の仕度をするためのプロセスが,進行中のそれぞれの動

(6)

作を位置づけるための全体集合としての抽象空間となっている。これは,結 局「ところ」のもつ本質的概念が

r

",テイルところだ」の中でもそのまま生 きているからだと思われる己「ところ

J

(所)は,先にも述べたように,もと もと空間中における一定の範囲を示すために使われたものである。このこと は,換言すれば,

r

ところ」とL、う空間が存在するためには,更にもう一つ のそれを包含する空間が必要であることを示している。この意味で

r

",テイ ルところだ」も?それが「ところ」という語を内に含む表現である以上,上 述の,図に対する地としての空間をもつことは自然である。結論として

r

"

テイルところだ」は,種々の段階(部分集合)から成る一種のスクリプトの ような空間の中で当事者が現在どんな動作を進行している段階にあるかを示 す表現であるといえる。

一方

r

",テイル」の使われ方には上述のような世界(空間)の切り取り 方は全く関与していない。

r

",テイル」は,動作の進行そのものに話者の焦 点が当てられた時に使われる表現である。このことは,

( 7 )

e

r

",テイル ところだ」が不適確であることから分かる。その文で話者の焦点は進行中の 動作そのものに合わされており,上述のようなスクリプト空間は存在しない。

r

",テイルところだ」が不適確となる理由である。しかしもしここで,例え ばトライアスロン競技というようなスクリプトが与えられているとしたな ら,

r

あっ,茜ちゃんが自転車に乗っているところだ

!J

は適確文となる。

部分集合としての「ところ」を包含するための空間が存在することになるか らである。一方

f

の「この写真は茜がおもちゃで遊んでいるところです。」

という文は,まず一写真についての説明のためものであって,進行中の動作 そのものに焦点が当てられた結果発されたものではない。我々が一写真につ いて説明しようとする時,普通背後にあるのは「その写真は連続する多くの シーンの内の一場面を写したものだ」と

L

、ぅ論理である。写真はシーンを動 的に再現できないからである。この意味で

r

",テイルところだ」の使用は,

写真の説明文として適確であるといえる。つまりそれを使うことによって,

子供が見せる他の様々な動態が暗示されるのである。

ところで

r

",テイル」と

r

",テイルところだ」は,

( 7 )

eとfのように相

(7)

r~ テイル j と r~ テイルところだ」

2 4 1  

互に入れ換えができない場合もあるし a'"'‑'dのようにできる場合もある。

しかしどちらかといえば,実際の会話においては後者の方,つまり相互に入 れ換えのできる場合の方が多いといえる。このことは

e

とfのような前者 の場合の例が少ないという事実から理解できる。ともあれこの事実は,一見 学習者にとってプラスのことのように思われるが,言語習得という観点から は必ずしもそうではない。一般に,あるこつの文法項目の使い方が似ていれ ば似ているほど,それらの間にある本質的な違いを習得するのは困難になる からである。

( 7 )

のa'"'‑'dでB氏が 1'"'‑'テイルところだ」を使っているのは,

繰り返すが,現在進行中の動作を位置づけるためのスクリプト空間が存在す ることを意識しているからである。又逆に,もしそこで

B

氏が

1 ' " ' ‑ '

テイルと ころだ」の代わりに

1 ' " ' ‑ '

テイル」を使ったとすれば,それは単に進行中の動 作のみを意識したからに他ならない。

4.  ,‑‑‑テイルところだj と bei n   the midst o f  " ‑ '   i n g "  

まず,英語の

bei n  t h e  m i d s t  o f  ' " ' ‑ '   i n g "

がもっ意味概念を図式化してみよ う。これも明らかに空間に係わる概念をもっー表現である。

( 8 )   A : i s  i n  t h e  m i d s t  o f  B .  

(図1) 

m i d s t "

という語は「中央」とか「中心」の意味をもっ。よって図

l

に おける

A

は,あくまで空間

B

の中央に位置していることが分かる。更にここ では,動作の主体Aが空間

B

(動作)の内に存在するという概念によって,

A

が動作Bの進行に係わっていることが示されている。つまり同概念の異な る怠味への転写である。因みに,

Aがいっその動作に係わるかはあくまで時

制上の問題であり,以上に示された概念によって表わしうるものではない。

具体的には,

bei n  t h e  m i d s t  o f  ' " ' ‑ '   i n g "

1 ' " ' ‑ '

テイルところだ」において時

(8)

制は,動作の主体

A

が時制上のどこに位置する(存在する)かによって示さ れている。このことは,時制が上述の概念に係わらず,

be

動詞や「だ」の 形態変化によって変えられることから理解できる。

( 8 ) '   A i s   i n  t h e  m i d s t  o f  B .  

(

2) 

be i n  t h e  m i d s t  o f  ‑ ‑ ‑ ‑ ‑i n g "

f ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

テイル最中だ」。を比べると,そこに共通 点を見つけることができる。それは,どちらも共に動作のピーク状態を表わ しうるという共通点である。これは勿論,

A

B

の中心に存在するという概 念によって表わされている。ここで

A

B

の内に存在するということは,英 語では

be i n  

'"'‑'''そして日本語では

f " ‑ '

だ」で表わされているのが分かる。

後者は,

f ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

テイル最中だ」の「だ」が「田中は今教室だ。」の「だ」と同様 に

f

",に存在する」の意味をもっていることから理解できる。このように 見てくると,結局

bei n  t h e  m i d s t  o f  ‑ ‑ ‑ ‑ ‑i n g "

f ' "

テイル最中だ」は全く同 じ概念化によって生まれた表現であることが分かる。よって先の

( 2 )

b

Mr. Kato i s  i n  t h e  m i d s t  o f  p l a y i n g  w i t h  a  c a t .  

"の厳密な日本語訳は,

f

加 藤君は今猫と遊んでいる(まっ)最中だ。」となり,あくまで「加藤君は今 猫と遊んでいるところだ。」とはならない。なぜなら

fA

B

シテイルとこ

( 9 )   A

B

シテイルところだ。

Time 

(図

3) 

(9)

I~ テイル」と I~ テイルところだ J

2 4 3  

ろだ。」において,

A

は必ずしも空間

B

の中心になくてもよいからである。

2

と図

3

から,

i . ‑ . . . . . ‑

テイルところだ」が

b ei n   t h e  m i d s t  o f   . ‑ . . . . . ‑i n g "

i . ‑ . . . . . ‑

テイル最中だ」と混同され易い理由が分かる。それぞれの

A

は共に空間

B

の内に存在している点で同様だからである。しかし,繰り返すが,

iA

B

シテイルところだ。」では,必ずしも

A

は空間

B

の中心になくともよい。

よって結論として

i . ‑ . . . . . ‑

テイルところだ」は

b ei n  t h e  m i d s t o f  . ‑ . . . . . ‑i n g "

と等 しくないということになる。もっとも「必ずしも

A

B

の中,心になくともよ L 、」ということは,

A

B

の中心にあることも含まれる訳であるから,この 意味で

i . ‑ . . . . . ‑

テイル最中だ」や

b ei n  t h e  m i d s t  o f  . ‑ . . . . . ‑i n g "

i . ‑ . . . . . ‑

テイルとこ ろだ」が表わせる意味の一部だとはいえる。よって広い意味では

i . ‑ . . . . . ‑

テイ ルところだ」が

b ei n  t h e  m i d s t  o f  . ‑ . . . . . ‑i n g "

i . ‑ . . . . . ‑

テイル最中だ」と解釈され るのも間違いではないということになる。しかしあくまでそれらは,上述の とおり,全く同じ意味をもつものではない。この点は教育上重要であろう。

日本語の場合,どうしても

B

における

A

の位置の中央性を強調したい時には,

i . ‑ . . . . . ‑

テイルところだ」の代わりに

i . ‑ . . . . . ‑

テイル(まっ)最中だ」が使われるの が普通である。これはやはり,

i . ‑ . . . . . ‑

テイルところだ」が本質的に

i . ‑ . . . . . ‑

テイル 最中だ」とは異なっているからであろう。

さて

i . ‑ . . . . . ‑

テイルところだ」の場合,

b ei n  t h e  m i d s t  o f  . ‑ . . . . . ‑i n g "

i . ‑ . . . . . ‑

テイ ル最中だ」には見られないもう一つの大きな特徴がある。それは,先にもす でに言及したが,部分集合

A

B

以外にもそれらを包含するもう一つの空間

C

が存在することである。概念構造上これらの空間がどのような関係にある かを以下に図式化して見てみよう。

現 在

Time 

( 1 0 )   A

は,

c c

の一部である)

Cを)シテ イルところだ。

(10)

例えば先の

( 7 ) ‑ a  ‑ B

の文「現在第八章を書いているところです。」をこ の図式に当て依めて省察してみると,本を書き上げるためになされる様々な 事柄(ここでは全章を書くこと)は

C

の空間に相当し,第八章を書くという 動作は

B

の空間に相当する。

A

は勿論動作

B

の主体である。そして

A

が空間

B

の内に存在するという概念によって,

A

が第八章執筆中であることが表象 されている。直,時制に関しては現在であるから,

A

の存在は時制上の「現 在」に位置していることが分かる。

5 . 結 語

ところで日本語では

1 " ' ‑ '

テイルところだ」の表現を使う時に,普通上述 の空間

Cに関することは逐一文の表面で言及されることがない。これが,取

りも直さず

1 " ' ‑ '

テイルところだ」の理解を難しくしている原因になっている と考えられる。よって

1 " ' ‑ '

テイルところだ」の正しい使い方を外国人学習者 に正確に教えられるかどうかは,まさに上述の見えない空間 Cをどのように して見えるようにしてやれるかに掛かつており,これより先は教える側の本 文が関われる技術の問題となる。

参 考 文 献 日本語教育学会編

(982)

~日本語教育事典』大修館

梶原秀夫

( 9 8 6 ) I

状態表現と相との関係について

J

~言語~

Vo

l.

1 5  N o .   1 1   P .   9 2 ‑ 9 8 .

修館

国立国語研所編

(985)

~現代日本語のアスペクトとテンス』秀英出版

Makino  &  T s u t s u i ( 9 8 6 )  

D i c t i o n a r y  o f  B a s i c  J a p a n e s e  Grammar ;  The J a p a n  T i m e s .  

森田良行

( 9 8 0 )

~基礎日本語』角川書庖

(11)

r~ テイル」と r~ テイルところだ」

2 4 5  

く Summary>

Remarks on t h e  D i f f e r e n c e  between  " ‑ ' t e i r u "  and  " ‑ ' t e i r u

t o k o r o d a "

by  H i r o m i  OHTAKA 

The p u r p o s e  o f  t h i s  p a p e r  i s  

c1

a r i f y  t h e  d i f f e r e n c e  i n  meaning b e t w e e n  t h e   J  a p a n e s e  a u x i l i a r y  v e r b s  

"‑' t

e i r u "  a n d  

"‑' t

e i r u ‑ t o k o r o d a .  " 

I n  E n g l i s h  t h e s e  two 

"‑' 

t e i r u "  a n d  

"‑' 

t e i r u ‑ t o k o r o d a "  h a v e  b e e n  t r a n s l a t e d  i n t o  

b e  " ‑ '   i n g " , be i n  t h e  m i d s t  o f  " ‑ '   i n g " ,  r e s p e c t i v e l y .  However we w i l l  s e e  t h a t  

t h e  meaning o f

"‑' 

t e i r u ‑ t o k o r o d a "  i s   n o t  e x a c

t1

y  t h e  same a s  t h a t  o f b e  i n  t h e  

m i d s t  o f  " ‑ '   i n g . "   The l a t t e r  means c e n t r a l i t y  o f  t h e  p l a c e ,  o r  f u r t h e r m o r e  peak 

o f  t h e  a c t i o n  when a  g e r u n d  i s   u s e d  a f t e r  t h e   o f " .   On t h e  o t h e r  hand 

"‑' 

t e i r u ‑

t o k o r o d a "  i s  b e s t  u s e d  when t h e  s p e a k e r  i s   t a k i n g  an a c t i o n  t h a t  i s   a  p a r t  o f  t h e  

w h o l e  o r  t h e  a c h i e v e m e n t  t h a t  h e  i s  e v e n t u a l l y  g o i n g  t o  m a k e .  I n  o t h e r  words one 

i s  a l w a y s  c o n s c i o u s  o f  h i s  a c t i o n  a s  a  p a r t  a g a i n s t  t h e  w h o l e  t h e n

, 

w h i c h  i s  n o t  r e f ‑

f e r e d  t o  o n  t h e  s u r f a c e  o f  a  s e n t e n c e .  I

t i

s  i m p o r t a n t  t o  e n a b l e  s t u d e n t s  t o  s e e  t h e  

u n v i s i b l e  w h o l e  i n  t e a c h i n g  

“~

t e i r u ‑ t o k o r o d a .  " 

参照

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