論文 内 容の 要旨
Sulfone を用 いる炭 素 -炭 素 結 合 形 成 反 応 は,その有 用 性 からこれまで広 く有 機 合 成 に利 用 されている.申 請 者 の所 属 する研 究 室 では allyl phenyl sulfone 由 来 のスルホニルカルボア ニオンを,脱 離 基 を有 するエポキシドに対 し作 用 させ one-pot でシクロアルカンを合 成 する手 法 を既 に開 発 している.申 請 者 は,本 反 応 の基 質 適 用 性 を拡 大 させた拡 張 型 one-pot シクロアル カン合 成 法 の開 発 と,本 反 応 を鍵 反 応 として用 いた海 洋 天 然 物 hybridalactone,xestenone お よび sinularianin B の全 合 成 を行 った.
1. 海 産 エイコサノイドHybridalactoneの全 合 成1 )
位 の第 二 級 水 酸 基 を利 用 した立 体 選 択 的 エポキシ化 ,riboflavin 誘 導 体 触 媒 を用 いた末 端 二 重 結 合 のジイミド還 元 によりエポキシアルコールとし,さらに水 酸 基 の保 護 ・脱 保 護 の後 ,IBX 酸 化 によりアルデヒド 6 とした.アルデヒド 6 に対 し,別 途 調 製 したリンイリドを用 いて Z 選 択 的 Wittig 反 応 を行 い,hybridalactone の全 ての炭 素 を備 えたジエステルを得 ,最 後 にジエステル の加 水 分 解 の後 ,椎 名 マクロラクトン化 を行 い,hybridalactone を合 成 した.得 られた hybridalactone のスペクトルデータおよび比 旋 光 度 は天 然 物 のそれらと良 い一 致 を示 し,ここに hybridalactone の全 合 成 を達 成 した. 2. 三 置 換 エポキシドを用 いた拡 張 型 One-potシクロアルカン合 成 法 の開 発2 ) 四 級 不 斉 炭 素 を持 ち,さらにその隣 接 位 に酸 素 官 能 基 が存 在 するシクロ アルカン I は海 洋 天 然 物 に多 くみられる共 通 部 分 構 造 である.申 請 者 は,反 応 基 質 として三 置 換 エポキシドを用 いる拡 張 型 one-pot シクロアルカン合 成 法 による,共 通 部 分 構 造 I の一 般 的 合 成 法 の確 立 を目 的 に研 究 を行 った. 2-1. 5-Exo型 One-potシクロペンタン合 成 法 を用 いた共 通 部 分 構 造 の構 築
脱 離 基 を有 する三 置 換 エポキシド 7 に対 し,allyl phenyl sulfoneおよびn
1 のエポキシヨージド 12 に本 法 を適 用 すると,予 想 された 4-exo 環 化 体 ではなく,5-endo 環 化 体 であるシクロペンタン 13 が生 成 した.
3. 海 産 ノルジテルペノイドXestenoneの全 合 成3 )
4. 海 産 セスキテルペノイドSinularianin Bの全 合 成4 )
Sinularianin B は,Sheu らにより台 湾 産 の軟 体 サンゴ Sinularia sp.から単 離 された,valerenane 骨 格 上 に 4 連 続 不 斉 中 心 およびγ-スピロラクトンを有 す る三 環 性 化 合 物 である.申 請 者 は,5-endo 型 one-pot シクロペンタン合 成 法 を用 いて本 化 合 物 のシクロペンタン部 を構 築 することにより,本 化 合 物 の全 合 成 および未 だ不 明 である絶 対 配 置 の決 定 を目 指 した研 究 を行 った. Sharpless 不 斉 エポキシ化 反 応 を経 て合 成 した光 学 活 性 なエポキシヨージ ド 20 に対 し 5-endo 型 one-pot シクロペンタン合 成 法 を適 用 しスルホニルシクロペンタン 21 を単 一 生 成 物 として得 た.さらに脱 スルホニル化 の後 ,脱 Bn 化 ,続 く酸 化 によりアルデヒド 22 を合 成 した.アルデヒド 22 をα-シロキシニトリルへと変 換 後 ,C-8 位 にアリル基 を導 入 しジエン 23 を 得 た.ジエン 23 に対 し Grubbs 第 二 世 代 触 媒 を用 いる閉 環 メタセシスを行 い,trans-5,6 縮 環 し た母 核 を構 築 した後 ,ニトリルの還 元 ,TMS 基 の脱 保 護 によりα-シロキシアルデヒド 24 とした. α-シロキシアルデヒド 24 の C-1 位 水 酸 基 をホスホナートへと変 換 後 ,分 子 内 Horner-Wadsworth-Emmons 反 応 により七 員 環 不 飽 和 ラクトン 25 を得 た.ラクトン 25 に対 し, TBS 基 の脱 保 護 と分 子 内 アシル転 位 を one-pot で行 い,sinularianin B を合 成 した.得 られた sinularianin B のスペクトルデータおよび比 旋 光 度 の符 号 は天 然 物 のそれらと良 い一 致 を示 し, ここに最 初 の全 合 成 を達 成 するとともにその絶 対 配 置 を決 定 した. 【研 究 結 果 の掲 載 誌 】
1) Chem. Eur. J., 18, 13531−13537 (2012), 2) Tetrahedron, 65, 8668−8676 (2009), 3) Mar. sinularianin B HO H H O O I OBn O , n BuLi, THF, –78 °C to –45 °C
then nBuLi, Me3Al,