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胸部X線画像のポジショニング不良による Temporal Subtraction 処理への影響 櫻井典子

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Academic year: 2021

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胸部X線画像のポジショニング不良による Temporal Subtraction 処理への影響

櫻井典子1)

1)

新潟医療福祉大学 医療技術学部 診療放射線学科

【背景・目的】 現在医用画像において、コンピュータ支 援診断システム(

Computer-Aided Diagnosis,CAD

)の研 究開発がされている。

CAD

の目的は、読影効率と診断精 度向上である。

その中の一つである

Temporal Subtraction(TS)

処理は、

同一患者の過去

-

現在画像を入力とし

2

画像を重ね合わせ 差分する。重ね合わせるために、

2

段階からなるマッチン グ処理を用いた自動重ね合わせ処理により経時的変化を 強調させるシステムである。ただし

2

画像のマッチングが 正確でなければアーチファクトが出現し経時的変化を混 乱させてしまう。実際には人体の複雑な動きによる呼吸や ポジショニングなどのズレがあり等しい

2

枚の画像を得 ることは難しい。

本研究では撮影時のポジショニングのズレが

TS

処理に 及ぼす影響を検討し、適切な

TS

画像を得るために許容で きる角度の範囲を明らかとすることを目的とする。

【方法】本研究では、

TS

処理画像におけるアーチファク トの検討のため、胸部ファントムの画像を用いてポジショ ニングの角度変化ごとに視覚評価を行った。

TS

処理画像は、ファントムを立位正面背腹(

Posterior- Anterior,PA

)方向で撮影した基準画像に対し、ポジショ ニングを角度変化させた比較画像を差分処理したものと する。比較画像は、正面画像以外に、右前斜位(

RAO

)・ 左前斜位(

LAO

)・前傾・左右側屈の方向にそれぞれ

1

度 刻みに1度~

9

度までずらしたものとした。この

9

度と は、

RAO10

度において処理エラーとなったため

5

方向と も一律

9

度とした。

評価者は、診療放射線技師

14

名を対象とし

5

段階の画 像評価を求めた。スピアマンの順位相関係数より

5

方向に よる処理結果への影響が明らかとした。また平均値より容 認できるズレの角度を明確にした。さらに

Tukey

法より

0

度と比較し有意差を生じない最大角度を算出した。

【結果】 スピアマンの順位相関係数によるポジショニン グの角度と評価点の相関関係は、

RAO

LAO

及び前傾 では、強い負の相関関係が認められた。右側屈では有意な 負の相関関係が認められ、左側屈では弱い負の相関関係が 認められた。

また、

RAO

LAO

・前傾・右側屈・左側屈それぞれの平 均値と標準偏差を算出し、容認できる角度を求めた。平均 値において

5

段階評価の容認できるレベルである

3

点を 満たした角度は、

RAO

では

3

度で、

LAO

では

4

度であっ

た。前傾では

2

度であり、右側屈と左側屈では共に

9

度ま での範囲では

3

点を下回ることはなかった。

さらに

Tukey

法の検定では、

0

度と比較し

RAO

LAO

共に

3

度で有意差が認められ、前傾では

2

度で、右側屈で は

9

度で有意差が認められた。左側屈では、有意差が認め られなかった。この有意差を生じない範囲の最大角度は、

RAO

LAO

は共に

2

度であり、前傾においては

1

度で最 も低い結果であった。右側屈では、

8

度で、左側屈におい ては、

9

度までの範囲では、有意差を生じないことが明ら かとなった。平均値においては、標準偏差はあるもののT

ukey

法と共に同様の傾向がみられた。

Table 1

に示す。

Table.1

容認できる角度

【考察】結果より、

TS

処理は、左側屈・右側屈のように、

フラットパネル面に対し

2

次元方向へのズレには、処理へ の影響が少なかった。しかし、それに対し

RAO

LAO

・ 前傾のように、

3

次元方向へのズレは、処理への影響が大 きいことが明らかとなった。

適切な

TS

画像を得るためには、撮影時のポジショニン グの管理が重要である。臨床においては、最も影響を受け やすい前傾のズレを1度以下に抑えられればアーチファ クトのない経時差分処理画像を得ることができる。前傾1 度とは、計算上になるがパネル下端においてパネルと体が

0.75

㎝離れることとなる。これが理想的ではあるがかな り厳しい条件ではある。それに加えて

3

度以上のズレが生 じると容認できない画像処理結果となるためこのことも 念頭に置いて撮影することが望ましい。前傾

3

度とは、

2.4cm

離れることになり目視での確認も可能な隙間と考

える。

我々診療放射線技師の役目として検査依頼項目の胸部 X線画像の撮影をするだけでなく、その先にある適切な

TS

処理画像を得ることも意識し撮影を行うことが重要で ある。我々の心がけで、

TS

処理の有用性が十分に発揮さ れた時に、精度の高い医師の診断につながる。

【結論】

TS

処理への影響は、ズレの方向により差が生じ た。

X-Y

軸方向へのズレは、処理への影響が少なく、それ に対し

Z

軸方向へのズレは大きく影響を及ぼすことが明 らかとなった。特に影響を受けやすい前傾のズレは

3

度に 抑えることが重要であると考える。

方向 RAO LAO 前傾 右側屈 左側屈

 角度

(評価点3 点未満)

4度 5度 3度

角度

(有意差な し)

2度 2度 1度 8度

評価点の平均点で3点を下回った角度

0度と比較し有意差を生じない最大角度

P-43

- 70 -

第19回 新潟医療福祉学会学術集会

参照

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