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【対象と方法】

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Academic year: 2021

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内 容 の 要 旨

【目的】

臼蓋形成不全では荷重によるストレスや不安定性から関節唇断裂が生じ、疼痛の原因や股関節症の進 行に関与していると報告されている。関節唇断裂を伴う臼蓋形成不全に対する手術療法は、骨切り術や 骨切り術に関節唇部分切除術または縫合術を併用する方法など、様々な方法が報告されているが一定の 見解が得られていない。今回、術中に股関節鏡による関節唇の評価を行い、関節唇断裂の有無と臼蓋形 成不全に対する curved periacetabular osteotomy(CPO)の治療成績を検討した。

【対象と方法】

2011 年 1 月から 2012 年 1 月までに臼蓋形成不全に対し CPO を施行した 36 例 36 股(男性 2 股、女性 34 股)を対象とした。全例術中に股関節鏡を行い、Beck分類を用いて股関節唇を評価し、normal、

degeneration を関節唇断裂なし群(12 股)、full-thickness tear、detachment を関節唇断裂あり群(24 股)と定義した。手術時年齢は関節唇断裂あり群が平均 39 歳(17 ~59 歳)、関節唇断裂なし群が平均

38 歳(17 ~58 歳)、経過観察期間は関節唇断裂あり群が平均 35 ヶ月(26 ~44 ヶ月)、関節唇断裂なし群 が平均 33 ヶ月(25 ~38 ヶ月)であった。手術は関節唇断裂あり群では CPO単独が 12 股、osteochondro- plasty併用した CPO を12 股に施行し、関節唇断裂なし群では全例CPO単独で施行した。臨床評価は術前、

術後の Harris hip score(HHS)、再手術率を調査し、放射線学的評価は術前、術後の lateral center- edge angle(LCEA)、acetabular roof obliquity(ARO)、acetabular head index(AHI)、anterior cent- er-edge angle(ACEA)、head lateralization index(HLI)、alpha angle、Tönnis grade を評価した。

氏 名・(本籍)

学 位 の 種 類 報 告 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目

論 文 審 査 委 員

はぎ

 尾

 友

とも

 宣

のぶ

(福岡県)

博 士 (医 学)

甲第 1542 号

平成 27 年 3 月 24 日

学位規則第 4 条第 1 項該当(課程博士)

Periacetabular Osteotomy for the Treatment of Symptomatic Acetabular Dysplasia in Patients with and without Labral Tears

(関節唇断裂を伴う臼蓋形成不全に対する寛 骨臼回転骨切り術の治療成績)

(主 査) 福岡大学 教 授 内 藤 正 俊

(副 査) 福岡大学 教 授 大慈弥 裕 之

福岡大学 教 授 立 花 克 郎

福岡大学 教 授 塩 田 悦 仁

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【結果】

臨床評価では HHS が関節唇断裂あり群では術前 76.8 ± 8.6 点が最終調査時 90.3 ± 10.4 点に改善し、

関節唇断裂なし群では術前 75.5 ± 8.6 点が最終調査時 92.8 ± 5.2 点に改善しており、2 群間の術前、術 後の HHS に有意差を認めなかった。関節唇断裂あり群では 24 股中 2 股(8%)に術後 15 ヶ月、24 ヶ月 に再手術を行ったが、関節唇断裂なし群では再手術が必要な症例はなかった。放射線学的評価では術 前、術後の LCEA、ARO、AHI、ACEA、HLI に 2 群間で有意差を認めなかったが、術前の alpha angle は関節唇断裂あり群で有意に大きかった。術前、術後の Tönnis grade は関節唇断裂あり群では

24 股中 2 股が改善し、2 股が進行しており、関節唇断裂なし群では 12 股中 2 股が改善し、1 股が進行し ていた。

【結論】

関節唇断裂の有無に関わらず臼蓋形成不全に対し、CPO を施行し短期ではあるが良好な術後成績を得 ることができた。また、今回の検討では関節唇断裂による変形性関節症の進行および再手術のリスクの 増加は認めなかった。

審査の結果の要旨

寛骨臼回転骨切り術は股関節臼蓋形成不全に対する代表的な治療法として 1956 年以降広く普及し、

良好な術後成績を得てきている。一方、最近の MRI の発達や股関節鏡の導入により股関節臼蓋形成不全 に臼蓋唇断裂が高頻度に合併することが明らかになっている。そこで股関節臼蓋形成不全に対する寛骨 臼回転骨切り術の術後成績が術前の臼蓋唇断裂の有無によって影響を受けるかどうかについて後方視的 な臨床的な研究を行った。対象は臼蓋形成不全に対し寛骨臼回転骨切り術(Curved Periacetabular Osteotomy)を施行した 36 例 36 股であり、術中の股関節鏡検査により関節唇断裂のない群が 12 股、関 節唇断裂があった群は 24 股と確認した。術後経過観察期間は関節唇断裂あり群が平均 35 ヶ月、関節唇 断裂なし群が平均 33 ヶ月であった。術前の alpha angle が関節唇断裂あり群で有意に大きかったが、臨 床成績や臼蓋形成不全の程度を示す放射線学的指標には、術前、術後とも両群間に有意差は認められな かった。術後の変形性関節症の推移についても両群間に有意差は認められなかった。

1.斬新さ

寛骨臼回転骨切り術は股関節臼蓋形成不全に対する代表的な治療法であり、良好な術後成績が数多く 報告されている。最近、股関節臼蓋形成不全に臼蓋唇断裂が高頻度に合併することも明らかになってい る。本論文の斬新さは、臼蓋唇断裂の有無に着目して寛骨臼回転骨切り術の術後成績を検討したことで ある。

2.重要性

臼蓋唇断裂の有無は少なくとも寛骨臼回転骨切り術の短期術後成績には有意の影響を与えなかった。

このことは寛骨臼回転骨切り術と同時に臼蓋唇断裂に対する操作を行う必要がないことを示唆し、不必 要な侵襲の防止に繋がる。

3.研究方法の正確性

症例は 2011 年 1 月から 2012 年 1 月までに臼蓋形成不全に対し寛骨臼回転骨切り術を施行した連続的

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な 36 例 36 股(男性 2 股、女性 34 股)であり、無作為に抽出されている。臨床成績や放射線学的指標の 測定は術者と無関係な医師により電子カルテに記録されたデータである。統計学位的判定には Mann- Whitney U検定、Wilcoxon の符号順位検定、Fisher の正確確率検定が用いられている。

4.表現の明確さ

正確で解りやすい英語で記載されており、native speaker のチェックも受けている。整形外科的用語 や放射線学的用語も適切に使用されている。

5.主な質疑応答

Q: 臼蓋唇の有無と手術成績との関連を研究した動機は何か ?

A: 内視鏡検査導入以前と導入後の寛骨臼回転骨切り術の手術成績が殆ど変らないので、関節唇損傷の 有無が手術成績に余り影響しないのではと考えた。

Q: 臼蓋唇損傷の有無が手術成績に関連がない原因は ?

A: 寛骨臼回転骨切り術より関節唇損傷を起こしていた環境が改善されるためだと思う。

Q: 肥満度(BMI)と手術成績の相関はあったか?

A: 今回の研究では肥満度(BMI)と手術成績の相関を調べていないが、肥満度が高い方が成績は悪いよ うな印象がある。

Q: Cam Impingement と手術成績の関連はあるか?

A: Cam Impingement があると成績は不良になると思う。そこで今回の症例でも alpha angle が大きく て Cam Impingement がある症例には、Cam Impingement に対する治療(osteochondroplasty)を併 用している。

Q: 内視鏡所見を示す写真があった方が良いのでは?

A: 写真は沢山撮っているので検討する。

Q: 手術成績を評価するための経過観察期間は十分か?

A: 確かに術後経過観察期間は関節唇断裂あり群が平均 35 ヶ月、関節唇断裂なし群が平均 33 ヶ月とい ずれも平均 3 年未満であり、短期手術成績になる。

Q: 術後臨床成績を調べる評価方法について?

A: 今回の臨床成績の評価には国際的に最も普及している Harris Hip Score を用いた。我が国では JOA スコアが最も多く使用されている。ただ、Harris Hip Score も JOA スコアも医師主導型評価方法で あり、患者主導型の評価方法の導入も検討している。

Q: 手術部位は外側大腿皮神経に近いので術後に神経障害が起こるのでは?

A: 確かに上前腸骨棘の内側を通る外側大腿皮神経の障害が起こることがある。そこで上前腸骨棘のよ り外側から皮膚切開するように変更している。

Q: 寛 骨 臼 回 転 骨 切 り 術 は 臼 蓋 形 成 不 全 に 対 す る 治 療 方 法 で あ る の で タ イ ト ル“Periacetabular Osteotomy for Labral Tears in Patients with Symptomatic Acetabular Dysplasia”が不適切では?

A: 確かにご指摘の通りで、“Periacetabular Osteotomy for the Treatment of Symptomatic Acetabular Dysplasia in Patients with and without Labral Tears”に変更する。

Q: 手術方法の説明が長く、文献には記載間違いがないか?

A: 手術方法の説明を簡潔にし、文献には幾つか記載ミスがあるので訂正する。

Q: 再手術した 2 症例の手術適応は suspected labral tear であったのか?

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A: この 2 症例の手術適応は labral tear であった。

以上の内容の斬新さ、重要性、研究方法の正確性、表現の明確さ、及び質疑応答の結果を踏まえ、審

査員で討議の結果、本論文は学位に値すると評価された。

参照

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