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レオナルド・ダ・ビンチは画家・彫刻家・建築家・

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Academic year: 2021

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 今から2 0数年前に、紫綬褒章を受章された高名な 先生と一緒に帰宅途中の車の中で「先生のご専門は、

○○ですね」とお尋ねしたら、「私は○○の専門家 ではないですよ。専門というのはその分野だけしか

‘センモン’ということですよ。 」と博多弁のダジャ レまで飛び出した返答が返ってきた。さらにその先 生は、「学際的」という言葉が存在するのはおかし いという趣旨のこともおっしゃった。この先生以外 に、大学院で私の研究指導をしてくださった先生を 含め、5、6名の紫綬褒賞受章の先生方に講義や議 論をしていただいたことがある。先生方皆、特定の 専門分野はないのではないかと思うくらい、他分野 についても造詣が深く、中には実際に多くの異分野 で顕著な業績を上げた先生もおられた。そういえば、

レオナルド・ダ・ビンチは画家・彫刻家・建築家・

科学者としても名を馳せる万能人であった。ハーバー ト・サイモンは、アメリカ合衆国の政治学者・認知 心理学者・経営学者・情報科学者であり、人工知能 と認知心理学への基礎的貢献が認められ、計算機科 学のノーベル賞と言われるチューリング賞を受賞し た。また、大組織の経営行動と意思決定に関する生 涯にわたる研究で、1 9 7 8年にノーベル経済学賞をも 受賞している。

 今から4 0年前、私が大学院時代にお世話になった 研究室では、昭和3 0年代から4 0年代後半にかけて、

自作のアナログコンピュータを使ったパンタグラフ の理論の研究、原子炉シミュレータの試作、地震に 関する都市防災の研究、人工心肺の研究、自動車を 運転する人間の制御特性の研究、衝撃に対する人間 の安全に関する研究、ミニコンを使ったロボットアー ムの制御、などが行われ、機械工学における従来型 の研究分野以外に車両工学、原子力工学、防災工学、

医工連携、人間工学、安全工学、メカトロニクスな どの研究がすでに行われていたのである。そしてそ

の成果の一部は、実際に新幹線の集電技術や自動車 のパワーステアリング技術に活かされている。一つ の研究室でこれほど多岐にわたる分野の研究が行わ れてきた研究室に配属されると、従来型の分野の研 究をしていては時代から取り残されるという錯覚を 覚えたくらいである。またこの学科では、医学部を 卒業された先生もおられ、母親のおなかにいる赤 ちゃんの心音の研究や、ロボットアームの各関節を それぞれマイクロプロセッサで駆動する自律分散制 御の研究、無人運転による新交通システムの研究な ども行われていた。また、電子計算機のことをわか りやすく解説した日本初の一般読者向け単行本を出 版された先生もおられた。この先生は機械工学の分 野ではかなり著名な先生であるが、

CAI

(コンピュー タ支援による教育システム)に関する研究をされて いた。小学生の理解度に応じて、コンピュータが自 動的に次の教材(問題)を選択して生徒に提示する ものである。

 以上は4 0年前以前に行われたことである。現在こ の学科では、これらの研究分野を源流として、情報 工学はもちろん医療・福祉工学、心理学、

LSI

技術、

脳型情報処理、生物学など多方面にわたる分野との 学際的な研究が行われてきている。一つの分野だけ でなく、多くの分野を学んで欲しいという大学の配 慮なのか、この大学院では当時、他の学科および他 の大学(一校だけではあるが)の授業科目を履修で き単位をもらえる制度があった。私は、計算機関連 の科目を計数工学科や電気工学科で受講し、この時 に学んだ計算機の

OS

や関数型プログラミングの概 念は、その後の研究を進めるうえで大いに役に立っ た。

 もともと専門化、細分化を進行させてきた学問分 野とは、便宜上知識や概念を体系立てて、内容の一 貫性や理解のし易さなどから対象を限定して取り

―  ―1

アカデメイア

学際的研究のススメ

工学部長 

荒 牧 重 登

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扱っているものである。教育についてはそれでよい が、研究すべき分野や実際に社会で起きている解決 すべき問題領域からみれば学問分野の境界がないも のがほとんどであろう。先の「学際的」という言葉 に否定的であった先生もこう言いたかったのだと思 う。

 本学は一つのキャンパスに9学部3 1学科が集まっ ている。これほど学部や学科の枠を超えて学際的な 領域の教育研究を行うための環境に恵まれたところ はない。もっと学部や学科間の垣根を取り払って、

相互の交流を行い、 「他分野を受け入れる許容性が、

新たな観点、発想、手法、技術を生み出す」という 認識を高め、学際的な研究を推し進めるためのソフ ト面でのインフラの整備をしていく必要があるので はないかと思う。

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参照

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