原債計算様式の理論
︑
論 三 ニ ー 序
言
生産様式と原債計算檬式
原債計算様式に關する諸観
直接原債計算と間接原債計算
旨の摘要
序
冨
木村重義
● 職
鼓に原債計算の様式といふのは︑断るまでもないであらうが︑生産様式の相異に由來する原債計算方法の差
異に就いて言ふので︑綜合原債計算法と個別原債計算法との匪別の類を指すのである︒本稿の主要目的は原債
計算様式のこの大種別の概念を本質的に規定すると同時に︑この種別が如何に原債計算の全般に亙つて理論的
關聯を有するかを考察するにある︒綜合・個別原債計算の種別が原慣計算法の大種別であることが充分認識さ
'原佃齢訂曾鼻檬式の理論(木村)︑︑八九
.九〇
れなければならないといふだけでなく︑原慣計算理論もこの種別を福機として展開さるべきことは筆者の主
張である︒また本年四月に閣令・陸軍省令・海軍省令により﹃原便計算規則﹄が公布されたが︑これに附随し
の
て︑直接的にではないけれども︑彊制的に適用さるべき﹃製造工業原債計算要綱﹄(以下軍に要綱と稻する)が
正式に制定された︒この要綱の規定に於ける原債計算様式の取扱方に就き批判的解読をなすことも亦本稿の目
的の一つである︒
生産襟式と原便計算襟式
先づ綜合原債計算と個別原便計算との種別を規定するに當り︑その手段としてこの爾原債計算法の中間型的
様式と考へられる組別原便計算法の本質を検討することは有勒である︒組別原債計算法は個別原債計算には非
すして,若は少くとも典型的の個別原債計算には非すして︑しかも数種の製品を生産する生産様式の経螢に適
用される原債計算法の一つであるといふことができる︒今製品生産工程が原債計算上一階程のみよグなる場合
につき︑経螢が藪種の製品を生産する場合の生産諸檬式を︑個別原便計算の適用さるべき生産檬式をも含め
て︑圖式を以て示すに次頁の如くである︒
等級別生産は等級別原債計算が行はるべき場合の生産様式であるが︑その現實に於ては所謂軍純綜合計算叉
は軍一綜合計算の行はるぺき場合或は組別原債計算の行はるべき場合と異らないのであつて︑ただ等級別計 }
〆
1
1
博
等級別 生産
製 品部門別
生 産
♪
≒
→
組 別 生 産
個 別 生 産
・・tr‑・ ゆ
算はこの現實の生産様式を箪一綜合計算の行はるべき場合の生産檬式と看徹して原債計算の實質については全
く綜括的方法をとるQである︒この場合﹂箪一綜合計算法によつて激められた期間綜合原債に封してあとから
等債比率を適用することに於て等級別原債計算本來の虚理法が見られる︒そこで︑原債計算の實際に於ては︑,
等級別原債計算は軍一綜合計算を行つた上になさるべき計算であり︑等級別計算は他の原便計算檬式と並ぶも
のではない︒綜合原便計算に於て︑或は個別原債計算に於てすら︑計算樹象が多数箪位製品から成るとき︑軍
位製品原債を算出するために平均的分割計算を行ふが︑これは等債係数による輩債の計算と正當に封照される
原﹁僧ハ計伸昇様式の理訟醐(・木村)・九一
■
九二
方法である︒等級別生産は︑上述の如くその生産様式に就ては特異のものではないので︑今の問題に關して考
察の外に置くを得る︒
製品部門別生産に於ては維螢は数種の製品を反復連績して生産するが各種の量的製品毎に異つた製造部門が
設けられてゐる場合である︒それ故経螢としては複数種類量的生産の場合であるけれども︑一部門箪一種類生・
産として軍純な綜合的計算の行はるべき場合と爲すべきである︒これに野して圖式にも示されてゐる通り︑組
別生産は一部門に於て歎種の量的製品が生産される場合であつて︑例へば経螢が三個の製品部門よりなる場合
と︑三種の組別製品を生産する噌部門よりなる場合とは︑同一基準に於ける比較はできない筈であるが︑とも
かくも製品部門別原便計算と組別原債計算との異同を考察することは︑爾計算檬式の概念を明白にするのに有
効である︒後にも述べる如くこの爾法はいつれも綜合原債計算法に驕するが︑前者は経螢が原債部門に分割さ
れる檬式に關聯し︑後者は}部門に於ける原債計算様式に關聯する︒かくこの爾者は相互に矛盾するものでは
ないので︑製品部門別組別生産及び原債計算なるものも存在し得る筈であるが︑まつ普通各製品部門は軍一綜
合計算を行ふものとして表象すべきである︒経螢が数種の量的製品を生産する時︑如何なる場合製品部門別計
算を行ぴ如何なる場合組別計算を行ふべきであるか︒歎種の量的製品が原料品・勢力・設備等の生産諸要素︑
殊にその利用する設備に於て異るときは︑製品部門が自然に生じ叉は必然的に要求されるb即ち数種の製品
に封して夫々別の專用の設備がなくてはならす︑それは場所的にも明白に匠別された部門を形成する︒これ
● に封して︑もし藪種の量的製品が相互に相當程度類似し〜同一の設備を共通に利用し︑叉は現實に利用する設
備は同一のものでなくとも︑例へば同種の機械が幾豪も並んで蓮輻されどの品種も何れの機械を以てしても製
造され得るしまたさう行はれてゐる場合には︑その敏種製品間に部門の匝別は認められす︑一部門数種量的製
品の生産様式及び原債計算様式となる︒從つて製品部門別計算に於ては生産要素原債を鶉造部門に賦課し終れ
ば同時に特定種製品の綜合原債が求められたことになるのに射して︑組別計算に於てはその上更に製造部門原
●債の組別製品への配賦といふ仕事があり︑この鮎個別原便計算と似てゐて組別計算が個別原債計算に属すると
も看られることある場合の理由である︒もしかくの如き個別原慣計算類似の稻めんだうな方法を避けたいなら
ば︑組別生産ではあるけれども等級別原債計算が行はれ得る場合も少くない︒ただ等級別計算は︑方法が簡軍
で機械的であるだけ︑その時々の事情をよく反映した精確な原便計算の方法であるとは言へない︒等級別製品
の生産の場合と異妙︑組別生産に於ては各組別製品の生産量比率は時期に從つて攣動することが當然豫想され
なければならない︒等級別原債計算の場合︑各製品生産の操業度が攣るときは普通に等債比牽は當然別のもの
でなければならす︑特定の等債比率は本來特定の操業度の場合のもの︑各等級別製品生産量の特定割合の場合
のものであり︑此等の基礎が攣るときは特定の等便比率はなかなか近似的にも適合し難い︒それ故全経螢の操
業度や各種製品生産の操業度關係の攣化が相當に激しい時には︑等級別原債計算を行つてゐたとしても之を慶
めて組別原債計算を行はなければならない︒箪位製品原便が操業度の高くなるに從ひ低まることは固定的原便
原償計算様式の理論(*村)九三
︑ 願
九四
存在の爲であるが︑噌製造部門内で生産される一組別製品生産の操業度が低くとももし他の組別製品生産活動
が補償的に高ければ︑その部門製品翠債は何れの組別製品に就いても各組別の操業度の攣化からの影響をあま
り受けない︒これに封して原債部門相互聞には部門操業度の相封的攣化による部門原債焚生の右の如き補償關
係は緩い︒部門原便は固定的原債を多く含むからである︒それで製品部門別原債計算にあつては︑各部門量的
製晶生産の操業度が各製品原債に及ぼす影響は猫立的に各別であつて相互に補償しない︒甲製品部門操業度が
高ければ甲製品は軍債割安であり︑同期聞に乙製品部門操業度が低くとも甲部門の高操業度により補償されす
に乙製品は割高となる︒組別製品相互間と製品部門別製品相互間とには斯くの如き差異の存することは︑経螢
計算の實質を見る場合︑重要な事實と爲さなければならない︒
原債計算様式の種別は工場全艦に就いてのものとして老へる先に︑本來工場を分割して設定される製造部門
毎の原便計算様式について考察さるべきであるから︑製品部門別計算をその儘組別計算に比較することは同一
標準からの比較とは言はれ得ない︒比較は箪一綜合計算と組別計算との間に行はるべきである︒此庭で軍一綜
合計算と云ふのは一製造部門が軍一種製囁を量的生産してゐる場合に適用されるべき比該的簡輩な綜括的原債
計算を指すので︑この意味で一部門が数種量的製品生産をなす場合の組別計算と正當に封比される︒軍一綜合
計算に於ては製造主要部門にすべての原贋要素を賦課すれば製造原債計算としての主要操作を絡つたことにな
るが︑組別計算に於てはなほその後に部門の製品が激種あるその各々に部門別の総原便を分割しなければなら \
︑
磁 爾
ないだけな匠一段の手数を要する︒言ふまでもなく︑翠一量的製品生産部門が横に並んで存する場合は普通の
製品部門別生産であり︑縦に並んで存する場合は普通の工程別生産である︒
次に組別原債計算を個別原債計算と比較しやろとするが︑この個別計算も製造部門の生産様式から由來する
その部門の原債計算様式について言ふのでなければなちない︒綜括的原債計算を行ふ部門がどんな様に寄の集
つても個別原債計算を行ふ工場が出來上るととはないので︑工場が個別原債計算を行ふといふ場合に︑そして
工場がいくつかの製造部門に分たれてゐる場合に︑少くとも何れかの原債部門は個別計算を行つてゐるにちが
ひない◎組別・個別爾法はやはり部門の原債計算法として比較さるべきである︒個別原債計算法は個別生産を
行ふ部門に於ける原債計算法であるが︑個別生産様式は︑先の圖式に就いても見られる如く︑典型的に唯同時
に激種の製品が生産されるのみならす前後の時期に異る製品が相縫いで生産される様式を言ふのである︒そし
て一部門に於て同時に藪種の製品が生産されるといふことは量的製品生産たる組別生産の場合にも見られるこ
とで︑個別生産の特徴とはみなし難く︑各種の製品が特定量を有し或時間部門の仕事または仕事の輔部を享け
その操作封象となつた後他の特定量の製品にその地位を譲るといふことがその特徴として探らるべきである︒
この場合同時に然してまた相糧いで生産される各特定品種・特定量の製品を個別製品と呼ぶ︒個別製品は同一
品種︒同一規格のものが時を隔てて生産されること絶無ではないが︑通常その各々が個六別々の品種であク︑
の新しい規格のものであるから︑製造開始に當つてその製法︒数量その他の明細を指示する所の製造指圖書が稜
原僧円計暫暑檬式の理訟脚(・木村)九五