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Academic year: 2021

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(1)

−79−

Eudesrnane型セスキテルペン類の機器分析による研究(第5報)') ヘキサヒドロサントニン類のIRスペクトル

軽部昭夫・松枝 澄*・豊嶋幸子

StudiesonEudesmane‑SesquiterpenesbyAnalytical InstrumentsV: IRSpectraOfHexahydrosantonins

AkioKARUBE,SumuMATSUEDA*,YukikoTOYOSHIMA

(昭和59年10月31日受理)

ThestereochmistryofhydIoxylgroupsofhexahydrosantonins(HHS)wasdiscussedfromtheir IRspectra.ThestructuresofHHSwerecharacterizedbytheirabsorptionbandsofintermolecular hydrogenebondingofhydroxyls

1 .

スペクトルから純品であることを確認した。 IRスペ クトルは日立分光光度計EPI‑G2型を用いた。遊離水 酸基の測定は重水素クロロホルム溶液によった。溶 液の濃度は0.04Mとした。 CDCl3は3500cm‑'に"C‑H の吸収が現れないので都合がよい。また,極性溶媒 で低波数に移動することも考えられるが,同じ系列 のHHS類なので"OHの比較にはさしつかえない8)。分 子間水素結合のりOHの測定はNujol法によった。

Eudesmane型セスキテルペン類の機器分析による 研究の一還として,L−a−サントニンの環元で得られ る7種類のヘキサヒドロサントニン(以下HHSと略 す)についてIRスペクトルの検討を行った。HHS類 のIRスペクトルは相互に類似しているが, 3500cnl‑' 付近の〃○Hと指紋領域に特徴がある。なかでも,〃○H の吸収は立体構造と密接な関係が認められた。

環状アルコール類の立体構造が分子間水素結合に 影響し,それがIRスペクトルの"OHに現れる例は何 種類かの化合物について報告されている苧竹下ら4)

はborneolとiso‑borneolについて"OHを比較している。

それによると, CS2中で測定した遊離水酸基の吸収 では差がないが,Nujol中で測定するとborneolの吸 収がiso‑borneolの吸収より低波数に移動している:**

すなわち, borneolの方がiso‑borneolよりも分子間水 素結合ができやすい構造になづている。また,Hirsjarvi ら5)はfencholの4異性体について〃OHの吸収を比較 し,立体構造から同様の結果を報告している。

今回,HHS類において水酸基の吸収が立体構造と 明確な関係を示すことを確認した。

***

IRdataofborneolandisoborneol(cn'‑')

入:

へV

P P H

2.試料および測定

borneol(endo) isoborneol(exo) HHS類は前報6,7)と同様に合成し,mp,IR,NMR

*弘前大学教養部

.*水酸基のIRスペクトについては西長の総説がある2)。空 間配置とIRスペクトルの関係については大橋,中西の紹 介がある3)。

昭和60年2月

(2)

−80−

軽部昭夫・松枝 澄*・豊嶋幸子

り分子間水素結合が出来やすい構造と思われるが,

Vより高波数に吸収がある。これはⅦの構造が立体 障害のため歪が大きく,水酸基が完全なaxial結合を

とっていないためと推定する。すなわち,Ⅶが図2 のような立体構造をとるとすると,下図のように,

3. 結果および考察

7種類のHHS類についてCDCl3溶液中で測定する と3600cni‑1付近にほぼ等しい遊離水酸基の吸収を示 した。それに対してNujolの測定では分子間水素結合 により吸収が低波数にずれるが,その割合が水酸基 の立体構造と密接な関係を示した。

表1および図1, 2はこれらの関係を示したもの である。A/B環trans結合の場合, IとⅢでは水酸基 がequatorialであるうえにβ結合なので, C‑10メチ ル基との立体障害も大きい。したがって,分子間水 素結合ができにくい構造になるので, "OHの吸収は 高波数になり,遊離水酸基との差は小さい。なかで もIはC−4メチル基との立体障害もあるので,吸収 は最も高波数で形は鋭い。一方, IIとⅣの水酸基は q‑axial結合なので,分子間水素結合ができやすく,

"OHの吸収は低波数にずれている。なかでも, IIは C−4メチル基がβ結合なので,吸収は最も低波数で巾 広い。A/B環cis結合の場合は,水酸基がβ結合にな ると分子間水素結合が出来やすく, α結合になると B環やC環の関係で分子間水素結合が出来にくい構造

となる。したがって,Vlの〃OHの吸収は最も高波数 で,形も鋭い。ⅦはC−4メチル基がα結合なのでVよ

店竃

HO

C−4メチル基がC‑7およびC‑9の水素と立体障害を

生じる。 したがって,ⅦのA環は歪が大きく完全な

椅子型はとっていないものと推定する。よって,水 酸基も完全なaxial構造はとれず,Vの吸収よI)も高 波数にずれている。

以上のようにEudesmane型セスキテルペンラクト ン類において, IRスペクトルから分子間水素結合の 難易を推定し, それから水酸基の立体構造を判別で きることを明らかにした。また,Ⅶの構造では立体 障害が大き<,A環が歪んでいることを明らかにした。

このことは前報')における6−テトラヒドロサントニ ンのCDスペクトルの結果とも一致する。

蛾:

HH

錦逗

Hぴ

専騒 的の

11

副登逗

HO.

職ⅢⅦ

Tablel lRdataofHHS(cm-')

I■■

FreeOH (inCDCl3) HHS

IⅡⅢⅣVⅥⅦ

3595 3593 3595 3595 3592 3595 3610

283

55

秋田高専研究紀要第20号

BondedOH (inNujol)

3545 3310 3515 3475 3446 3540 3470

(3)

Eudesmane型セスキテルペン類の機器分析による研究(第5報) −81−

ヘキサヒドロサントニン類のIRスペクトル

参考文献 (4) 竹下常一,北島正栄,日化, 78, 993 (1957)

(5) P.HirsjarviSuomen,Kemistibehti, 29B, 138 (1956) : [C.A., 51,85d(1957)]

(6) 軽部昭夫,松枝澄,佐藤孝行,秋田高専研究紀 前報:軽部昭夫,松枝澄,佐藤孝行,秋田高専

研究紀要, 17, 82(1982)

西長明,"日本化学会編,実験化学講座(続5上) ',,

丸善(1965) p335

大橋守, 中西香爾, 赤外線吸収スペクトル,第 6集,化学の領域増刊32号;,南江堂(1958)pl (1)

要, 13, 48(1978)

同上, 14, 39 (1979)

松枝澄,薬誌, 91, 926 (1971)

(2) 117811

(3)

eOH

CDCl3 H 企=

(I)

H◎ △〜

Jへ囮 (m)

〔Ⅲ〕

≦ご=

J−6

〔Ⅳ〕

H

J,

(II)

3400 3200 cnl−1

3600

Fig. I IRspectraofHHS(A/Btrans)

昭和60年2月

(4)

−82−

澄*・豊嶋幸子 軽部昭夫・松枝

freeOH inCDCl3

ユアミ云宅

H

l (}一:イh1

HO 〔Ⅵ〕

IH。

3

〃ミ=

〔Ⅶ〕 H 〔Ⅶ〕

3470

"ミ黄

H◎

H (V)

44『

3600 3400 3200 cm '

Fig.2 IRspectl・aofHHS(A/Bcis)

秋田高専研究紀要第20号

参照

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