• 検索結果がありません。

水平方向から入射するミューオンの天頂角分布

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "水平方向から入射するミューオンの天頂角分布"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

水平方向から入射するミューオンの天頂角分布

功*

(昭和47年9月31日受理)

Zenith Angle Distribution of Horizontally lncident Muons

Isao MlyAJI

(Received September 31, 1972)

 Zenith angle of the incident muons is obtained by two large spark chambers on both sides of a calorimeter. The zenith angle distribution of horizontally incident muons is obtained above 660. From th is result it seems to be reasonable to use the result of Allen and Apostolakis calculated under the assumption that all the muons are produced by the decay of pions from several GeV to several hundred GeV.

1 序

 高エネルギーミューオンの相互作用の研究に,大きな天 頂角で入射する宇宙線が利用されている。従って,その強 度を決めることは重要なことである。

 Allen and Apostolakis1)1ま,電磁石を用いて写真乾板か らミューーオンの運動量を決める方法で65。〜85Qの天頂角 で入射するミューオンのエネルギー分布を求めている。ま た,Ashton et・al.2)は,マグネットスペクトロメーターを 用いて77.5。〜90。の天頂角で入射するミューオンのエネル ギー分布を求めている。前者の場合1〜100GeV,後者の場 合3〜500GeVのエネルギー範囲において,ミューオンの 親粒子をパイオンとした期待値と実験値がよく一致したこ とを示している。

 鉄とシンチレ・・一・ションカウンターで構成されたカロリー メーター中で,カスケードシャワーを起こしたミューオン の天頂角分布を求め,Allen et al.の結果との比較はすで に報告した3)。その後の実験データーを加え,またAshton et al・の結果とも比較を行なった。その結果をここに報告 する。

2 実 験 装 置

メインカウンターとしてFig・1に示すように,5台の大

型液体シンチレーションカウンターを使用し,東西方向に 配置してある。アンティコインシデンス用のカウンターは 4台ある。メインカウンター5台と各メインカウンターの 間に吸収体として挿入された厚さ10cmの鉄4層とでカロ リーメーターを構成している。このカm!) 一メーター全体 の大きさは,85cm×85cm×200cmである。

 この装置により天頂角66。〜90。,方位角一23。〜23。の範 囲で入射してくるミューオンを観測することができる。こ のカロリーメーターに入射してくるミューオンの天頂角と 方位角を求めるために,東側と西側に大型スパークチェン バーをFig.1に示すように2台つつ配置した。このスパー

クチェンバーの有効容積は,136cm×166cm×4cmのもの と,116cm x 110cm×4cmのものである。

 シンチレーションカウンターとスパークチェンバAに

は,図に示してあるように,東側からS1, S2, S3, S4. S5;

SC1,SC2, SC3, SC4とそれぞれに番号をつけた。これらカ ロリーメーター,スパークチェンバー,カメラ,鏡などの 配置をFig.1に示す。

3 天頂角と方位角の決定方法

*機械工学科

 スパークチェンバーの平面を飾y平面ととし,これに垂 直に2軸を取る。東側から入射したミューオンか,西側か ら入射したミューオンかの判別は,ミューオンが地中から 来ることはないとして4台のスパークチェンバーのうち,

夕座標が一番大きい方向から入射してきたものとした。

一 273 一

(2)

津山高専紀要第3巻第3号(1973)

A

 川+鵬

.cα  十Camera B 一L4 Ft!c4 t M6

M2 O 50cm Ms

1し

Ml

SCI

IL

M3

SC2

Shower Detector

Shower Detector

「1  口■  I       l  Ill   iiii  目ll   li

Fig.1 Plane view of the apparatus.

    S1〜S5;Sc血tillation counter     SCI t・vSC4 ; Spark chamber     MIAvMs ; Mirror

    IL;Iron and lead     I ; lron

Ms

S(為

IL

SC4 M7

tL

 入射してくる側の2つのスパークチェンバーの座標が,

(X1, Yl,Z1),(X2, Y2,92)とすれば,天頂角θと方位角g は,次の式で与えられる。

  θ一t。、、一・ゾ(x・一x・)2+(2・一2・)2一   (・)

      Yl 一 Y2        Xl 一 X2

      (2)

  9}=tan−1

       21 − 22

ここで,Zl,92はスパークチェンバーの位置により決ま り,Zl 一z2=60cmに固定してある。

4 突 験 結 果

 天頂角分布は,(a)全てのメインカウンターが少なくと も1個以上の粒子数に相当する信号を同時に出したとき,

および(b)S3のカウンターが約22個以上,その他のカウン ターが1個以上の粒子数に相当する信号を同時に出したと きの2つの場合について求めた。

 これらの結果をTable 1にまとめ, Fig.2, Fi9.3に示 した。尚,(b)の条件での観測時間は,約6. 56 × 106secで ある。

5 検討および議論

Table 1 Number of incident events for each zenith angle.

Zenith angle  (degree)

66.IN68.0

68.1・一一70.0

70.1t−72.0 72.1・v74.0 74.1一一76.0

76.i一一78.0

78.1一一80.0

80.IN82.0 82.IN84.0 84.iN86.0 86.1r−88.0 88.IN90.0

Total .

Numbers of events in observation (a)

East 24 105 112 145 153 158 128 121 84 49 34 20 1133

West

32 62 119 145 172 128 126 116 106 48 32 9 1095

Total 56 167 231 290 325 286 254 237 190 97 66 29 2228

Nnmbers of events in observation (b)

East 1 16 23 35 52 39 46 59 52 52 29 13 417

West

5 23 26 34 42 57 42 52 29 38 11 1 360

Total 6 39 49 69 94 96 88 111 81 90 40 14 777  ある天頂角θeとehの間に入射するミューオンの数N,

は,次のように表わされる。

一 274 一

(3)

水平方向から入射するミューオンの天項角分布  宮 地

Ne (ee〈ef{geh)

一∫塩・鴫(E,, e) s,sine de J 一9gM.dg (3)

この式において,i(Eμ,θ)はカロリーメーターに天頂角θ で入射するエネルギー一Eμのミコ.一オンの強度で,gは入射 する方位角で,方位角の最大値ePmは,23。である。また;

EOminは最小転移エネルギーである。 Saは入射し得る面積

で,

  S,=85 (85−200cote) sine (4)

とした。

 (b)の条件のときは,発生層としての有効吸収層の厚さ および相互作用する確率を考慮して,ある天頂角θeと砺の 間に入射するミ=・・一オンの数NaBは,次のように表わされ

る。

  NeB (ee〈es{ eh)

一∫鼠盟∫詐聴)1(E・)峨偽(E・)・・

    s…d・∫隼鯉     (・)

3so

soo

250

   0   0   2.切芒O︾O

.OZ 50

IOO

50 f

  06mhO

         2enifh dngle(e}

Fig.2 Zenith angle distribution of horizontally incid−

   ent muons. The curve is followed fro皿the re−

   sult of Allen and Apostolakis.

ここで,Φ(Eμ,Eo)はエネルギー,Eyのミューオンがカロ リーメーター内で相互作用して転移エネルギーEoを生じる 確率,t (Eo)は発生層としての有効吸収層の厚さである。

 カロリーーメーターに入射してくるミューオンの微分エネ ルギー分布は,Allen e c al.の結果1)を使った。この微分分 布を積分した分布は,シングルミューオンの入射数と誤差 範囲内でよく一致する。

 入射エネルギー一Eμのミューオンがカロリーーメーター中 で相互作用する確率は,鉄を標的にして,ノックオン,制 動輻射,直接対創生および核相互作用の確率を考えること によって計算できる。しかし,核相互作用は,現在取扱っ ているエネルギー範囲内において,他の相互作用より小さ く,いま考えている精度の10%より小さいので考慮しない ことにする。相互作用する確率は,ノックオンについて は,Rossiによる式4),制動輻射と直接対創生については,

Kobayakawaによる式5)牽用いた。

 有効吸収層の厚さは,平均カスケードシャワー曲線に似 ているRossiのカスケードシャワー曲線6》7)を用いて,ト

リガリングの条件を考慮して決めた8)。

 以上のことを使って計算した(a),(b)の条件による期待 値をそれぞれFig.2, Fig・3に示す。これらの期待値は,

現象の総数に合うように規格化した。

 図からわかるように,(a),(b)の条件による天頂角分布 の実験値と期待値がよく一致している。ただ,Fig.3にお いて,入射角86。〜90。の範囲の実験値は,期待値に比較し

IOO

80

     0     6切皿.儒O>㊥いO.oZ

40

20

1

  0  66 68 70 72 74 rs 78 80 82 84 86 8B 90          Zenith angle {S

Fig.3 Zenith angle distribution of horizontally incid一一    ent muons on biased run. The curve is obtained    by tihe result of Allen and Apostolakis and bia−

   sed effects.

て小さい。この原因としては,周囲の山の影響などが考え られる。Ashton et al.によるミューーオンの微分エネルギー 分布を用いた期待値は,図に示していないが,76。以上の

一 275 一

(4)

津山高専紀要 第3巻 第3号(1973)

現象の総数に合うように規格化して比較を行なった。彼ら の期待値は,80。〜86。の範囲でAIIen et al.の期待値より 少し大きい。その差は,83。のあたりで約10%であり,80。

あるいは86。に近づくにつれ小さくなる。それ故,両者の 違いは余り問題にならない。

 従って,数GeVから数100GeVまでのエネルギー範囲で は,我々のカロリーメーターに入射する天頂角66。から90。

までの天頂角分布の実験結果と期待値の比較から,ミュー オンの親粒子をパイオンであるとして計算したAllen et al.

のミューオンのエネルギー分布を使って問題ないと思われ る。また,76。から900までの範囲については,Ashton et a1・のエネルギー分布を使っても問題ないと思われる。

6 結

 鉄とシンチレーションカウンタ…で構成されたカロリー メーター一とスパー一一クチェンバーを用いて天頂角を66。から 90。まで観測した結果,水平方向から入射するミューオン のエネルギー分布は,数GeVから数100GeVまでのエネル ギー範囲では,ミューオンの親粒子をパイオンであるとし て計算したAllen et al.の結果を使って問題ないと思われ

る。

      文    献

1) J. E. Allen and A. J. Apostolakis;

   Proc. Roy. Soc., 265, (1961), 117

2)F. Ashton, Y. Ka!niya, P. K. Mackeown,エL. Osborne,

 J. B. M. Patrison, P. V. Ramana Murthy and A. W. Wo−

 lfendale;

   Proc. Phys. Soc., 87, (1966), 79 3)宮地 功;

   宇宙線研究,16,(1972),363

4) B. Rossi;

   High Energy Particles, (1952) , 24, Prentice Hal1 5) K. Kobayakawa;

   Nuovo Cimento, 47B, (1967) , 156 6) B. Rossi and K. Greisen;

   Rev. Mod. Phys., 13, (1941), 240 7) B. Rossi;

   High Energy Particles, (1952) , 257, Prentice Hal1

8)宮地功;

   津山高専紀要,3,(1971),163

 終りに,終始御指導を戴き有益な御教示を戴いた岡山大 学理学部 柴田啓行教授,金子達之助助教授に感謝致しま す。未発表のデーターの使用を心良く御許可下さったこと に感謝致します。御指導御助言を戴いた岡山大学理学部核 物理研究室の皆様に感謝致します。また,終始暖かい御支 援を戴いた津山工業高等専門学校坂手邦夫校長に感謝致し ます。

一 276 一

参照

関連したドキュメント

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも

単に,南北を指す磁石くらいはあったのではないかと思

○国は、平成28年度から政府全体で進めている働き方改革の動きと相まって、教員の

 分析実施の際にバックグラウンド( BG )として既知の Al 板を用 いている。 Al 板には微量の Fe と Cu が含まれている。.  測定で得られる

隙間部から抜けてく る放射線を測定する ため、測定装置 を垂 直方向から60度傾け て測定 (オペフロ表 面から検出器までの 距離は約80cm). b

当該 領域から抽出さ れ、又は得ら れる鉱物その他の 天然の物質( から までに 規定するもの

4 4の「分析の方法」には、JIS A 1481 シリーズ1から4まで、ISO 22262 シリーズ1及び2、 「建 材中の石綿含有率の分析方法について」 (平成 18 年8月

変更量 ※1