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の環化カルボニル化反応

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(1)

の環化カルボニル化反応

著者 高橋 万紀

雑誌名 星薬科大学紀要

号 51

ページ 1‑7

発行年 2009

URL http://id.nii.ac.jp/1240/00000132/

(2)

1. はじめに

近年、 有機化学では化学物質の排出による健康被害や 資源の枯渇などから環境への配慮が強く求められていま す。 したがって、 できるだけ短工程で効率的に目的物を 合成する事が求められています。 その解決策の一つとし て、 金属触媒をはじめとする種々の触媒反応が開発され ています。 すなわち、 原料と少量の試薬を用いて目的と する化合物を得る方法です。 その結果として、 反応させ た際に生じる廃棄物が少なくなるため、 環境負荷が少な くなります。 以上の観点から金属触媒を用いた反応は精 力的に研究がなされ、 非常に魅力的な方法となっていま す。 しかしながら、 そのような反応の中には反応条件が 過酷であり、 大量の原料を用いて行うのが困難であるた めに天然物あるいは医薬品合成に用いられない例が少な くありません。

カルボニル基を導入するのに最少の単位は、 一酸化炭 素です。 一酸化炭素は窒息などの危険性から取り扱いが 難しいように思うかも知れませんが、 換気さえ行えばそ れほど危険ではありません。 したがって、 一酸化炭素を 温和な条件で利用できたのであれば、 非常に優れた方法 であると考えられます。 2000年、 高橋らは一酸化炭素 をカルボニル炭素源とし、 高圧 (10気圧) 条件下、 ル テニウム触媒を用い、 5並びに6員環不飽和ラクトンの 合成を報告しています1)。 しかしながら、 本反応は高圧 条件を必要とするため、 高圧に耐えることができる反応 装置 (オートクレーブ) を用いなくてはなりませんでし た。 そこで本研究では、 常圧条件下による一酸化炭素挿 入反応を開発する事を目的としました。

2. ルテニウム触媒環化カルボニル化反応

[2,3]Wittig転位反応を用いた天然物の合成に取り組 んでいた際に、 一酸化炭素挿入反応を行う機会がありま

した2) (Scheme 1)。 反応式で書くと一行で済みますが、

実際はオートクレーブという高圧で反応がかけられる容 器を使用しなくてはなりません。 高圧条件で反応を行う

欠点は、 1) 反応容器が比較的小さく、 大量に反応をか

けることができない、 2) ガスの消費量が多い、 3) 取 り扱い際に安全性に問題があるなどが考えられます。 つ まり、 天然物を合成する時には実験が進むにつれて取り 扱う量が少なくなってくるため、 最初に取り扱う原料は できるだけ大量に反応をかける必要があります。 また、

反応は一度にうまく行くことが少ないので、 反応温度や 試薬の量などを変えて何度も同じ反応をかけ、 反応条件 を最適化しなければいけません。 しかし、 反応容器が小 さく大量の原料を反応にかけられないだけでなく、 オー トクレーブが1つしかなかったので1日あるいは2 1回しか反応をかけることができず、 効率的に実験 を進めることができませんでした。

3. 反応条件の検討―添加剤の影響

どのようにすれば温和な条件で反応が行くようになる だろうかと考え、 報告されている反応機構を参考にしま した3)。 まず基質がルテニウム金属に配位し、 πアリル 錯体を形成した後、 一酸化炭素の挿入が起こると考えら れています。 著者はルテニウム金属から一酸化炭素が放 出される段階が律速段階であると仮説を立てて反応条件 の検討を行うことにしました (Scheme 2)。

実用的ルテニウム触媒を用いたアレニルアルコールの環化カルボニル化反応

高 橋 万 紀

星薬科大学 薬品製造化学教室

Practical Ruthenium-Catalyzed Cyclocarbonylation of Allenyl Alcohols

Kazunori TAKAHASHI

Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hoshi University

HO

OTBDPS I

O O I

TBDPSO Ru3(CO)12

NEt3, dioxane CO (10 atm) 100 °C, 66 %

(3)

ルテニウム金属から一酸化炭素が放出する過程を促進 するような条件がないか考えたところ、 一酸化炭素の挿 入 及 び 環 化 反 応 と い う 点 で 類 似 し て い る Pauson- Khand反応を参考にすることにしました (Scheme 3)。

Pauson-Khand反応は金属触媒としてCo2(CO)8を使う のが代表的な例として知られています4)

この反応は非常に有用な反応のひとつであり、 アルキ ンのジコバルト錯体がアルケン存在下で[2+2+1]付加環 化反応が進行し、 シクロペンテノン誘導体を合成できる 反応です。 その興味深い反応性および有用性から様々な グループによって研究が行われており、 3級アミンオキ シド5)、 アミン6)、 スルフィド7)などを加えると反応が促 進されるという報告がされています (Scheme 4)。

詳細なメカニズムはわかっていませんが、 おそらく金

属に配位した一酸化炭素が酸化され、 二酸化炭素が解離 する事によって金属が配位不飽和となり、 活性化される と考えられています。 そこでPauson-Khand反応で行 われている条件を試みることにしました (Table 1)。

文献既知のアレン体を様々な条件で検討したところ、 添 加剤としてn-ブチルメチルスルフィドを用いた時に望 む生成物であるendo体の収率が若干改善 (Entry 2) さ れ ま し た が 、 添 加 剤 を 加 え な い 文 献 既 知 の 方 法 (Entry 1) と比較しても大差がないことがわかりまし た。 種々の添加剤を検討しましたが、 ほとんど収率が改 善されなかったので、 新たな条件を検討することにしま した。

4. 反応条件の検討―溶媒の影響

過去の論文ではアレン体から5あるいは6員環不飽 和ラクトンだけでなく、 7あるいは8員環ラクトンの合 成が報告されています8)。 これらの反応条件を比べてみ ると5および6員環ラクトンの合成の場合は溶媒とし てジオキサンを用いているのに対して、 7及び8員環ラ クトンの合成の場合にはトリエチルアミンに変えていま す (Scheme 5)。

反応条件を変えた理由として、 遷移金属触媒の反応で は溶媒の選択によりかなり反応性が変わることから溶媒 Scheme 2

Scheme 4

Table 1

Scheme 5 Scheme 3

RL

RS

RL RS Co(CO)3

Co(CO)3

RL RS

Co(CO)3 Co(CO)2

RL RS Co(CO)3

Co(CO)2

R1 RL

RS Co(CO)3 Co(CO)3

R1 RL

RS Co(CO)3 Co(CO)3

R1 O O Co(CO)3Co(CO)3

RL RS

R1 O

R1 RL RS

Co2(CO)8 2CO

Co2(CO)6 CO

R1

CO

CO

E E

Co2(CO)8 additive

solvent CO

E

E O

E = esteretc

Ru3(CO)12 (3 mol%) NEt3, 100 °C CO (5 atm) R' n

n = 0-1

n O O

R' R

R OH R OH R' n

n = 0-1

O O

R' nR

Ru3(CO)12 (1 mol%) NEt3, 1,4-dioxane 100 °C, CO (10 atm) OH

O O

O O

endo exo

Ru3(CO)12 (3 mol%) solvent, additive (1.5 eq.)

CO, 100 °C

solvent additive conv.

(%) yields (endo:exo)

nBuSMe

72 (2.1:1) NEt3

NEt3, NMO

dioxane

dioxane (4.8:1)

dioxane

dioxane 19

72 (2.6:1)

(4.5:1) (5.3:1) (4.8:1) dioxane

NEt3 time

(hr)

pressure (atm) 4

4

4 16 16 16

16

5 5

10 29

10 46

10 55

10

10 dioxane NEt3,nBuSMe

16 10 54 (4.4:1)

NEt3

NEt3

NMO nBuSMe

NEt3 68 (2.6:1)

4 10

nBuSMe Entry

1 2

4 5 6 7

9 8 3

(CO)4 Ru (OC)4Ru Ru(CO)4

CO

(CO)4 Ru (OC)4Ru Ru(CO)3

R OH

(CO)4 Ru (OC)4Ru Ru(CO)3

R OH

(CO)4 Ru (OC)3Ru Ru(CO)3

R O O O

O

R

H (CO)4

Ru (OC)4Ru HRu(CO)3

CO O O

R O H

O

R H

NEt3, Ru cat.

(CO)4 Ru (OC)4Ru Ru(CO)3

R HO

(4)

をジオキサンからトリエチルアミンへと変更したと記述 しています。 先の反応機構 (Scheme 2) に記述してあ るように、 アミンはラクトンに存在する2重結合の異性 化だけに必要なのではない事が示唆されています。 実際、

先に行った反応を比べてみると反応速度の増加が見られ ました (Table 1, Entries 1 and 4)。 そこで著者はさ らに溶媒の条件を検討することにしました(Table 2)。

その結果、 2,4,6-collidine (2,4,6-trimethylpyridine) を用いた時にもっとも収率よく望む成績体が得られまし た (Entry 15)。 また、 先に条件検討を行い若干の収率 が改善したスルフィドを添加しても、 収率の改善は見ら れませんでした (Entry 16)。 続いて2,4,6-collidine 良好な結果が得られたので、 比較的入手が容易なピリジ ン誘導体を用いて条件検討を行いました。 しかしながら、

位に置換基がないピリジンでは全く反応が進行せず (Entry 10)、 ピリジン環の位にメチル基が1つしか ない基質では反応が進まないまたは複雑な生成物が生じ ました (Entries 12 and 13)。 また、 ピリジン環の窒 素原子の電子密度を高くし、 ルテニウム金属に強く配位 させる目的で位にジメトキシ基を有する基質でも条件 を検討しましたが、 目的とする化合物は得られませんで した (Entry 14)。 ピリジン環の位にメチル基を有す 2,6-lutidine (2,6-dimethylpyridine) を用いた場合 では、 反応は進行するものの収率の低下がみられました (Entry 14)。 以上の知見からピリジン環の位に置換

基が必須であり、 窒素原子に適度な塩基性が必要である ことがわかりました。

次に一酸化炭素の圧力を検討しました (Table 3)。

文献記載の方法である1,4-ジオキサン、 1.5当量のトリ エチルアミン、 10気圧の一酸化炭素、 100度で反応を 行い、5員環ラクトンを収率84%で得ました (Entry 1)。

しかし、 圧力を5気圧に減らすと収率は27%に減少し ました (Entry 3)。 続いて、 トリエチルアミンを溶媒 として反応を行ったところ、 10気圧では84%、 5気圧 では79%という結果となりました (Entries 2 and 4)。

しかし、 1気圧で反応を行うと10%しか望む生成物は 得られませんでした (Entry 6)。 次に2,4,6-collidine を用いて反応を行うと収率の低下はそれほど見られず、

1気圧でさえ良好な収率で目的とする化合物を得ること に成功しました (Entries 5,7 and 8)。

5. 反応機構

Ru3(CO)12触媒とピリジン誘導体を基質として用いた 反応例は種々報告されています。 例えば、 ピリジン環の 及びγ位の水素を活性化し、 ケトン単位の導入が行わ れています9) (Scheme 6)。

また、 ピリジン誘導体とヨウ化ベンゼンとのカップリ ング反応も行われています10) (Scheme 7)。

Table 2

Table 3

Scheme 6

OH

Ru3(CO)12 (3 mol%) solvent CO (5 atm) 100 °C

O O

O O

endo exo

solvent yields (endo:exo)

TMEDA

N-methylpyrrolidine NEt3

MeN(CH2CH2NMe2)2 DBU

N-methylpiperidine 71 (2.6:1) Cy2NMe

72 (2.1:1) 43 (2.4:1) 34 (2.1:1)

N-methylmorpholine

aComplex mixture were formed.bStarting material was recovered.c1.5 equiv ofn-BuSMe was added.

a b

25 (2.1:1)

2,4,6-collidine 70 (3.0:1)

a

a

3,5-lutidine 2,6-lutidine 2,4-lutidine

60 (2.6:1)

b a

2,6-dimethoxypyridine b

quinoline a

2,4,6-collidinec 69 (3.0:1) Me2NCH2CH2OH

pyridine b

Entry 1 2

5 3 4 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17

C7H15 C5H11

O O C6H13

C7H15 OH

Ru3(CO)12

(3 mol%) CO, solvent

100 °C

solvent yields (%)

NEt3

2,4,6-collidine 1,4-dioxanea

2,4,6-collidine NEt3

2,4,6-collidine 79c NEt3

84 84 79

a1.5 equiv of NEt3was added.bStarting material was recovered.cSlow addition of allenyl alcohol over 2 h.

10b 83 27b

75 1,4-dioxanea Entry

1 2

5 3 4 6 7 8

time (h) 6 6 4 4 2 2 2.5

pressure (atm) 10 10 5 5 5 4

1 1 1

Ru3(CO)12 CO (10 atm) 150 °C, 16 h

N H 65 % N

O

N H

Ru3(CO)12 CO (20 atm), C2H4

toluene 160 °C, 40 h

86 %

N

O

(5)

これらの反応の中間体としてピリジン環の位あるい はγ位の炭素-水素結合に挿入し、 ルテニウムヒドリド 錯 体 を 経 由 す る メ カ ニ ズ ム が 提 唱 さ れ て い ま す10) (Scheme 8)。

本反応のメカニズムは明らかではありませんが、 おそ らく、 2,4,6-collidineの窒素原子がルテニウム金属に配 位し、 ピリジン環の位にあるメチル基が他の配位子と 立体反発をすることにより、 3量体から単量体および2 量体へと解離し、 反応性の高い触媒を形成しているので はないかと考えています。

6. 基質一般性の検討

次にどのようなアレニルアルコールで常圧条件反応が 進行するのかを調べました (Table 4 and 5)。 その結 果、 5及び6員環ラクトンがそれぞれ58−85%、 58−

76%で得ることに成功しました。 一般的にアルコール の周辺が嵩高いと収率の減少が見られる事がわかりまし た (Table 4 , Entry 3; Table 5, Entries 3 and 4)。

7. 天然物合成への応用

最後に2,4,6-collidineを用いた常圧条件下のルテニウ ム触媒環化カルボニル化反応を天然物の合成に応用する こ と に し ま し た 。 (-)-mintlactone お よ び (+)- isomintlactoneはハッカMentha speciesから単離され たモノテルペンです11) (Figure 1)。 低分子化合物では ありますが、 分子内に不飽和ラクトン及び2つの不斉炭 素中心を有する事から多くのグループによって研究され ています12)

Footeらは天然物である(+)-menthofuranを原料と し て 用 い 、 (-)-mintlactone を 合 成 し て い ま す13) (Scheme 9)。 収率は低いものの、 天然物に存在する不 斉炭素中心を生かし、 わずか3工程で合成を達成してい ます。

Scheme 7

Scheme 8

Table 4

Table 5

Figure 1.

N H I

Ru3(CO)12

Ph3P, Cs2CO3

t-BuOH 150 °C, 18 h

36 %

N

N (OC)3Ru

Ru(CO)3 Ru(CO)3 H

Ru3(CO)12 N

R4 R1

O O OH

Ru3(CO)12 (3 mol%) 2,4,6-collidine

CO (1 atm) 100 °C R2

R3

R1 R2

R4 R3

yields (%)

78

58 85

72 Entry

1

3 2

4

time (h)

4

3

3 allenyl alcohol

R1=R3=R4=H R2=Bn

R2=R3=R4=H R1=C7H15

R1=CH3, R2=H R3+R4=(CH2)4 7 R1=R4=H, R2=CH3 R3=C7H15

product

O O Bn

O O C8H17

O O Et

O O

C7H15

R1

O O Ru3(CO)12

(3 mol%) 2,4,6-collidine

CO (1 atm) 100 °C R2

R1 R2

R4 R3 OH

R4 R3

yields (%)

73

59 76

58 Entry

1

3 2

4

time (h)

5

3

2 allenyl alcohol

R1=R3=R4=H R2=C5H11

R2=R3=R4=H R1=C5H11

R1=C2H5, R2=H R3=R4=C3H7 2

R1=R4=H, R2=CH3 R3=CH(CH3)2

product

O O C5H11

73 5 RR2=R4=H, R3=CH3 2

1=C8H17

O O C6H11

O O C3H7

O O

O O C9H19

C3H7 C3H7

O O

O O (-)-mintlactone (+)-isomintlactone

(6)

著者はすでに合成を終えていましたが、 一足早く Bateらはルテニウム触媒の環化カルボニル化反応を鍵 反応として(-)-mintlactoneの合成を報告しました14) (Scheme 10)。 工程数は10工程と長いものの、 環化反 応の際に生じる不斉炭素中心を高いジアステレオ選択性 で制御し、 目的とする化合物である(-)-mintlactone 良好な収率で得る事に成功しています。

ま た 、 最 近 に な っ て 、 Zhai ら は 分 子 内 ヘ テ ロ Pauson-Khand反応を鍵反応として(-)-mintlactone 合成に成功しています15) (Scheme 11)。 収率は低いも のの、 短工程で合成に成功しています。

以上のことからメチル基の導入及び環化反応の際に生 じる不斉炭素中心の制御が鍵となることがわかります。

このことから著者は以下のように逆合成解析を考えまし

た。 すなわち、 メチル基の不斉炭素中心を構築するため に容易に入手できる化合物である(+)-citronellalを用い ることとしました。 また、 アルコール部位の不斉炭素中 心はプロパルギルシランとアルデヒドとの環化反応によ り導入し、 最後に不飽和ラクトン部分は常圧条件下によ る環化カルボニル化によって達成できると考えました (Scheme 12)。

まず、 文献記載の方法に従って(+)-citronellal di- ethyl acetalから誘導したアルキン体16) をトリメチル シリルメチル体へと変換しました。 続いて、 酢酸酸性条 件下アセタール部分の脱保護を試みました。 幸運なこと に脱保護すると同時に分子内環化反応が進行し、 望みの 環化体へと導くことができました。 さらに環化反応で新 たに生じた不斉炭素中心はほぼ単一の化合物が得ること ができました (Scheme 13)。

参考にした文献の方法によればTFA、 塩化亜鉛、

TBAFなどを用いて行っており、 収率は中程度であり、

TBAFを用いた際には立体選択性が低く、 ジアスレオ マーが生成しています17) (Scheme 14)。 しかしながら、

本反応は非常に温和な酸で反応が進行しているだけでな く、 メチル基だけで立体を制御できているのが興味深い 点です。

Scheme 9

Scheme 10

Scheme 11

Scheme 12

Scheme 13

Scheme 14

O O

OMe

OOH

O OH

O (+)-menthofuran

O2, MeOH Rose Bengal

53%

HCl, H2O MeOH, 31%

NaBH4, NaOH

H2O, 84% (-) mintlactone 3 steps total yields 13.8%

EtSOC

OTHP

MeMgBr,t-BuOMe CuI (1 mol%) (R)-Tol-BINAP(1.4 mol%)

84%

EtSOC

OTHP OHC

Br

SnCl2, NaI H2O, DMF

75% OH

Ru3(CO)12 (2 mol%) Et3N, dioxane

CO (6.8 atm) 83%

(-) mintlactone 10 steps total yields 21.6%

OH (-)-citronellol

NaNO2

AcOH

H2O, 26% OH

PCC Celite CH2Cl2, 68%

O

Mo(CO)3(DMF)3

THF 39 % (dr = 12 :1)

(-) mintlactone 3 steps total yields 6.3%

O O (+)-isomintlactone

CHO

OH Ruthenium

catalyzed cyclo- carbonylation

TMS

Intramolecular cyclization

CHO

(+)-citronellal

OEt OEt

n-BuLi, THF TMSCH2OTf

95%

50% AcOH THF, 75%

R OH

R = H R = CH2TMS

CHO Ph

TMS OH

Ph

ZnCl256%

TFA 46%

TBAF 20%

(α-OH 37%)

(7)

最 後 に 先 ほ ど の 条 件 で 反 応 を 行 っ た と こ ろ 、 (+)- isomintlactoneを収率73%で得ることに

成功しました (Scheme 15)。 文献既知化合物であるア ルキン体から3工程、 全収率52%で 効率的に(+)-iso- mintlactoneを得ることができました。 また、 各種スペ クトルデータおよびその比旋光度は天然物のものと一致 しました12)

8. まとめ

,β-不飽和ラクトンは多くの天然化合物に存在し、

生理活性を発現する重要な構成単位となっています。 し たがって、 効率的な構築法を開発する事は天然物の合成 だけでなく医薬品の合成においても重要となっています。

本研究では、 今まで高圧条件(10~5atm) が必要だった

反応を常圧条件 (1 atm)で行うことが可能になりまし た。 さらに本反応を天然化合物の合成に応用し、 (+)- isomintlactoneの効率的全合成に成功しました18)。 また、

ピリジン環を有する2,4,6-collidineを溶媒として用いる ことによって、 反応速度ならびに収率の改善が認められ たことから、 本反応で見いだされた反応条件がルテニウ ム触媒の活性化に有効であることが示唆されます。 今後、

ルテニウム触媒を用いた種々の反応に展開できると考え ています。

謝辞

本研究に対し、 平成20年度星薬科大学大谷記念研究 助成金を賜りましたことに大谷卓男 理事長ならびに中 島暉躬 学長に深く御礼申し上げます。 また本研究をご 指導いただきました星薬科大学薬品製造化学教室 本多 利雄 教授、 生体分子有機化学研究室 津吹政可 教授 をはじめ星薬科大学薬品製造化学教室の諸氏に感謝いた します。

更に核磁気共鳴スペクトル、 質量分析スペクトル、 元 素分析の労をとられました機器センターの諸氏に感謝い たします。

Scheme 15

参 考 文 献

1) Yoneda, E.; Kaneko, T.; Zhang, S.-W.; Onitsuka, K.; Takahashi, S. Org. Lett. 2000, 2, 441-443.

2) Tsubuki, M.; Takahashi, K.; Sakata, K.; Honda, T. Heterocycles 2005, 65, 531-540.

3)Yoneda, E.; Zhang, S. -W.; Zhou, D.-Y.; Onitsuka, K.; Takahashi, S. J.Org. Chem. 2003, 68, 8571-8576.

4) 総説: (a) Shore, N. E. Org. React. 1991, 40, 1-.(b)Blanco-Urgoiti, J.; Añorbe, L.; Pérez-Serrano, L.; Domínguez, G.;

Pérez-Castells, J.; Chem. Soc. Rev. 2004, 33, 32-42.

5)Shambayati, S.; Crowe, W. E.; Schreiber, S. L. Tetrahedron Lett. 1990, 31, 5289-5292.

6)Rajesh, T.; Periasamy, M. Tetrahedron Lett. 1998, 39, 117-118.

7)Sugihara, T.; Yamada, M.; Yamaguchi, M.; Nishizawa, M. Synlett 1999, 771-773.

8)Yoneda, E.; Zhang, S.-W.; Onitsuka, K.; Takahashi, S. Tetrahedron Lett. 2001, 42, 5459-5461.

9)Moore, E. J.; Pretzer, W. R.; O’Connell, T. J.; Harris, J.; LaBounty, L.; Chou, L.; Grimmer, S. S. J. Am. Chem. Soc.

1992, 114, 5888-5890.

10)Godula, K.; Sezen, B.; Sames, D. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 3648-3649.

11)Takahashi, K.; Someya, T.; Muraki, S.; Yoshida, T. Agric. Biol. Chem. 1980, 44, 1535-1543.

12) 総説: Ferraz, H. M. C.; Longo Jr., L. S.; Grazini, M. V. A. Synthesis 2002, 2155-2164.

13)Foote, C. S.; Wuesthoff, M. T.; Wexler, S.; Burstain, I. G.; Denny, R.; Schenck, G. O.; Schulte-Elte, K. -H. Tetrahe- dron 1967, 23, 2583-2599.

14)Bates, R. W.; Sridhar, S. J. Org. Chem. 2008, 73, 8104-8105.

15)Gao, P.; Xu, P. -H.; Zhai, H. J. Org. Chem. 2009, 74, 2592-2593.

16)Hoffmann, R. W.; Sander, T. Liebigs Ann. Chem. 1993, 1185-1191.

17)Clive, D. L. J.; He, X.; Postema, M. H. D.; Mashimbye, M. J. J. Org. Chem. 1999, 64, 4397-4410.

18)Tsubuki, M.; Takahashi, K.; Honda, T. J. Org. Chem. 2009, 74, 1422-1425.

OH (+)-isomintlactone

3 steps total yields 52%

Ru3(CO)12 2,4,6-collidine CO (1 atm) 100 °C, 73%

(8)

Practical Ruthenium-Catalyzed Cyclocarbonylation of Allenyl Alcohols in 2,4,6-Collidine Leading to,ß-Unsaturated Lactones: Concise Stereoselective Synthesis of(+)-

Isomintlactone.

Kazunori TAKAHASHI

Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hoshi University

We have found that ruthenium-catalyzed cyclocarbonylation of allenyl alcohols in 2,4,6-collidine under atmospheric pres- sure of carbon monoxide smoothly proceeds to afford,,ß-unsaturated five- and six-membered lactones in moderate to good yields. Furthermore, we have completed a highly stereoselective synthesis of(+)-isomintlactone by the cyclocarbonylation of allenyl alcohol using 2,4,6-collidine.

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