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(1)

鳥取県西部地震 における被災者 の住宅支援対策 と住 民の評価

高橋 和雄*・中村 聖三*・松木 理‑**

ReliefSystem aboutReconstructionofDwellingsinthe2000 WesternTottoriEarthquakeandResident'sRecelPt

by

KazuoTAKAHASHI*,ShozoNAKAMURA*andRiichiMATSUKI**

Manyhousesweredestroyedbythe2000Tottori‑kenSeibuEarthquake.Totton prefecturemadethenew epoch‑

makingreliefsystem tosupportreconstructionofvictim'shouses.Thispaperdiscussesthenew reliefsystem established byTotton prefecture.ThequestionnairesurveyinHinotowninTotton prefecturewasundertakento studytheresi dent'srecelptaboutthissystem anddesirablereliefsystem aboutvictim'shouses.

1. まえが き

平成 12年 10月 6日に鳥取県西部地震が鳥取県 を中心 に発生 した.死者はなか ったが,住宅や住宅の周辺の 石垣や擁壁 などに被害が生 じた.平成71月の阪神 ・ 淡路大震災後 に発生 した大地震であ り,初動体制の確 立や地域防災計画の見直 しが なされた状況で発生 した.

個人の住宅の再建 に公的支援が必要 なことが議論 され なが ら,被災者生活再建支援法 を除けば,具体 的な支 援策が実現 していなかった.鳥取 県は市町村の協力 を 得て全 国では じめて住宅新築 ・購入,補修 ,液状化復 旧お よび石垣 ・擁壁補修 を行政経費 に よって支援 して いる.個人の復興が なければ地域の復興 はあ りえない とす る明快 な論理 を展開 している.本研究では,鳥取 県西部地震の復興 に対 して鳥取県が導入 した住宅再建 支援策 を紹介す る. さらに,鳥取県西部地震で震度6 強 を記録 した鳥取県 日野町の住民 を対象 とした初動体 制および鳥取県による住宅再建支援策 に関するアンケー

ト調査結果 を述べ る.

2.鳥取県西部地震 と住宅対策') (1)鳥取県西部地震の概要

平成 1210月6日鳥取県西部 で,深 さ11kmでマ グニ チ ュー ド7.3の地震が発 生 し,鳥取 県境港市 お よび 日

平成144月18日受理

*社会開発工学科 (DepartmentofCivilEngineering)

**不動建設(秩)(FudoConstructionCo.)

野町で震度6強,西伯町,会見町,岸本町, 日舌津村, 淀江 町お よび溝 口町で震度6弱 を観測 した. この鳥取 県西部地案によって,鳥取県では死者は 0であったが, 住家被害 は全壊391棟 ,半壊2,472棟 ,一部損壊13,195 棟 と多数発生 した.

被害の原因 としては,直接 的な地震の揺 れの他 に地 盤の液状化による地盤沈下,傾斜 などによる ものであっ た.被害の特徴 と して,地盤の液状化が境港市 お よび 米子市 で発生 し,地盤陥没 によって家屋 の基礎が傾斜 した.築後長期間経過 している家屋が多 く,高齢者率 30%を超 えている中山間地域 では,農家住宅の被害 が大 きい. また,地域 に よっては多 くの住宅で屋根瓦 が被害 を受 けてお り,建物内部 で も柱 や梁 に被害が発 生 した. これ らの地域の大 きな特徴 として,斜面が多 い ことか ら,石垣や擁壁が多 くあ り,石垣の上 に直接 基礎が乗 っている住宅では,崩壊土砂 や隣の石垣が住 家 に迫 っている光景があった.

(2)被 災者住宅再建支援

鳥取県は被災者の住宅再建支援 に, これ まで行政が 踏み込めなかった個 人へ の直接支援方策 を導入 した.

震災直後鳥取県は国に対 して震災復興 に向けた新制度 の要望 を行 った.その趣 旨をまとめ る と

,

鳥取県西

(2)

140 高橋 和雄 ・中村 聖 三 ・松 木 理‑

部地震 の被 災 地 の多 くは 中山間地域 にあ り, これ らの 地域 は県 内で も有数の高齢化率が高い地域 であ る上 に, その財 政 的 も脆弱 であ る.その ため地域 の存立基盤 を 確保 す るため に も一層 の支援 が必 要 となって いる. と りわけ,冬 季 を前 に して高齢被 災者 の生活基 盤 で あ る 住宅再建 は最優先 の課題 であ るが,現 状 で は,今後 の 生活 に不安 を感 じ,地域 か ら住民 が流 出 してい くおそ れが あ る. このため,鳥取 県 で は被 災者 の力 強 い復 興 を願 い,止 む を得 ざる措 置 と して,特例 的 な支援措 置 を独 自に措 置 した」 とあ る.つ いては,国 におい て も 取 り組 み を全 面 的 に支援 をす る こ とを求め, あわせ て 国 による住宅再建支援制度 の早期成立 を要望 している.

この ように,鳥取 県独 自の制度 を創設 す る こ との了解 を国 に求め た上 で県 の制度 を導 入 してい る.

(3)被 災者住 宅再建支援 の内容

支援 の内容 は,住 宅 の建設 ・購 入,補修 ,液状化復 旧お よび石垣 ・擁 壁 の補 修 に対 して補助 (住 宅復 興補 助 金 ) を行 う もの であ る (一 1,2).これ らの住 宅復 興補助 金 の交付主体 は市 町村 であ り,鳥取県 は市 町村 に対 して補助 を行 うこ とと し,補助対 象 の内容 下 限の設 定 ,本 人負 担額等 の事 業 の詳細 な条件 は市 町村 が定 め る よ うにな ってい る.

住宅 については, 自らの居住用 に供す る住宅の建設 ・ 購 入 または補修 を行 うもの に対 して補助 金 を交付 す る.

地震前 に居住 して いた市 町村 内 に建設 ・購 入す る場 合 のみ に限 られ る.補修 につ いては,建物 附属 の敷 地 内 の浄化槽 ,給 排水 設備 ,電気設備, ガス設備 の補 修等 を含 んでい る.液状 化復 旧の内容 は,基礎復 旧の ため の地盤補 強 や住 宅 の整地 な どであ る.石垣 ・擁壁 につ いて は,崩壊 に よ り自己 または他 の住 宅等 の建物 に被 害 を及 ぼ した り,道路 ・水路等 の地域 住民 の生活 に支 障 を きたす と認 め られ る石垣 ・擁壁 を補修 す る者 に対 して補助 金 を交付 す る ものであ る. なお,新 築 と液状 化 または補 修 と液状 化 を組 み合 わせ て利用 す る こ とも 可能 であ る.以上 は鳥取 県 の支援 内容 であ るが,市 町 村 も独 自の支援 や嵩上 げ を行 ってい る.例 えば,溝 口 町で は低所得 者 を対 象 に住宅 の建設 ・補修 に補助 金 の 上乗せ や補助率 の上乗せ を行 ってい る.

鳥取 県 の 中山間部 で は被 災者 の住宅 の大半 が持 ち家 であ ったため, この よ うな施策が取 り易 か った こ とが 考 え られ る.借 家 や公営住 宅が多 い都 市部 で は, さら

に きめ細 か い施 策が要求 され る と考 え られ る.

(4)鳥取 県被 災者住 宅再建支援基 金の創 設

鳥取県 は,鳥取 県西部地震 を契機 と して,今後 の 自

然 災害 に よる住 宅被 害 か らの再建 を公 的 に支援 す るた め,鳥取 県被 災者住 宅再建 支援 基 金 を創 設 し,制度 化 した (衣 ‑3).鳥取 県 お よび市 町村 が 共 同で基 金 を 設置す る制度 であ る.市 町村 の加 入 は任 意 であ るが , 全市 町村 が加 入 して発 足 してい る.鳥取 県 は,加 入す る市 町村 が拠 出す る金額 に相 当す る額 を基金 に拠 出す る こ とになってい る.拠 出 目標金 額 は50億 円で,拠 出 年 数 は25年 を見込 んでい る.国か ら別途50億 円の拠 出 金 を期待 してい る.

鳥取県 は,被 災者住宅再 建支援 基金制度 を全 国規模 の もの にす る こ とに よって,全 国各地 の被 災 地域 の復 興 を支援 で きる よう,国 に対 して新 た な仕組 みの創 設 を働 きか けてい くと してい る. 自然災害 か らの地域 の 復 興 は地方 自治体 だけ に責任 があ るだ けで な く,国 に も責任 が あ る こ とか ら,国が全 国規模 の基金 を創設 す る こ とが望 ま しい と してい る.

被災者 の住宅再建 の公 的支援 問題 は,雲仙 普賢岳 の 火 山災害 お よび阪神 ・淡路 大震災 の復興 過程 で議論 さ れ たが,公 的支援 の合意形 成 はで きてい ない.国土 庁 (硯 内 閣府 ) の委 員 会 で は,住 宅 は公 共性 が あ る とす る認識 は確 認 されてい るが ,現在 の ところ これ以上踏 み込 む動 きは ない.阪神 ・淡路 大 震災後 に個 人 を初 め て対 象 に した被 災者生活再 建支援 法が制定 され てい る が , これ は住宅再建 を対象 と した もの では な く,家財 道 具 の購 入 を支援 す る制 度 で, 支援 上 限 は150万 円 で あ る.鳥取 県 に よる個 人の住宅再 建支援 制度 は,新 た な提案 と して評価 され るが,地域や世代 を越 えてカバ ー で きる制度 の導入 を全 国の都 道府 県や 国が設 ける こ と が不 可欠 であ る.

衣 ‑ 1 被 災者住宅再建支援 にか かわ る鳥取 県 の支援 (住 宅 関連 )

区分 補助対象限度額 補助対象範囲 負 担 割 合 申 込 実 練

建設 300万円 住宅の新築、存の住宅面積の5※既存 し県2/3ていた市 296件

購入 割以上の建替え 村内に又は購入 る場合限る○設.購入 590,500千円

補修 150万円 住宅の補修又は 5既存の住宅面横 500万円以下県1/2円〜1/3150万円 6427 の5割未満の替 ※敷地内浄化槽2,302,773千円 修等を含給排水設備、設備、タス設備のむ○

准状化 150万円 練状化によるものの基礎の復旧( 50万円以下県1/2 188

盤補強、住宅の 50万円〜150万円 105.067千円

(3)

秦‑2 被災者住宅再建支援 にかかわる鳥取県の支援 (石垣関連)

区 分 補助対象限 度 薪 補助対象範 隣 負担割合 申込実績

石 垣 関連 150万 円 被 災 に 関 わ る部 分 に の み o従 前面積 1/3 857

義‑ 3 鳥取県被災者住宅再建支援基金の概要 平成13年6県議会可決

設 置 主 体 鳥取県と県下市町村(市町村 の介入 は任意)

拠 出 目標金額 50億 円 (国から50億 円を別途期待 ) 拠 出 年 数 25

拠 出 割 合 県と市町村各1/2 支 給 対 象 住宅建設および住宅補修

(5)被害調査および解体2)

被災 した建物の被害調査 は市町村で行 い,雁災証明 書 を発行 した.建物の被害調査 ので きる建築関係 の職 員が いない市町村 には,鳥取県が技術支援 として,氏 間の建築技術者 を派遣 した.なお,今回の地震では, 居住が困難で,2次災害の危険があるために解体せ ざ るを得 ない被災家屋が多数発生 した. このため,生活 環境の保全の観点か ら市町村が被災家屋の解体 にあたっ た. この事業 は,災害廃棄物処理事業補助金の対象 に な らないため,鳥取県が補助 した.災害廃棄物の処理 は,国の補助事業で実施 された.阪神 ・淡路大震災で 実施 された被災建築物応急危険度判定が,建築士 ボラ ンテ ィアの支援 を得て実施 された.被害状況 を踏 まえ て,全数調査 ではな く,住民要請 によるパ トロールに よって実施 された.判定結果が危険 (立入禁止),要 注意お よび調査済 (安全)のステ ッカーが貼 られたが,

この ような実施体制 について県 と住民 ・市町村の間の 合意形成が出来ていない こともあって混乱があった よ うである.また,雁災証明のための調査 との混同 もあっ た ようである.建築物応急危険度判定 について,県や 市町村の地域防災計画 に掲載す ることが望 まれる.

3.鳥取県 日野町住 民ア ンケー ト調査 (1)アンケー トの概要

鳥取県西部地震 において,鳥取県 日野郡 日野町は, 1,575世帯 の うち,全壊 ,半壊 お よび一部損壊 を合 わせ る と1,515世帯 もの家屋被害3'が発生 してお り,拷 ち家率の高い この地域 では,ほ とん どの住民が今 回の 地震 において,何 らかの住宅再建支援 を受 けている と 考 えられる.そ こで,本研究では,鳥取県 日野町の住

民 を対象 にア ンケー トを実施 し,家屋の被災状況,県 や町の災害対応の迅速 さや内容お よび鳥取県の住宅再 建関連の施策 に対す る評価等 を明 らかにす る.

鳥取県 日野町の住民 を対象 に 「鳥取県西部地震 に関 す る住民 ア ンケー ト」 を平成13年12月に実施 した.ア ンケー トは,鳥取県 日野郡 日野町役場で,選挙人名簿 より約20%3(犯人を無作為に抽出 し,郵送方式で行 っ た.ア ンケー トの内容 は,家屋の被害状況,県や町の 災害への対応の迅速 さ,地震後の支援制度 に関す る情 報の入手経路,住宅支援制度 に対す る評価 お よび震災 前後の地震‑の備 えの変化等である.アンケー ト調査 票は,配布数300部,回収数135部,回収率 は45%であ る (義 ‑4).

‑4 日野町住民 アンケー トの回収状況

配布数 回収数 回収 率

300 135

45%

(2)鳥取県 日野町住民ア ンケー ト調査結果 (a)被害状況

日野町の家屋被害状況 は,「家の一部が損壊 した」

が最 も多 く52.6%であ った.「全壊」,半壊」 につい て も5.9%,35.6%であ り,全体の94.1%が何 らかの被 害 を受 けている (図 ‑ 1). 日野町は,今 回の地震の 最大震度である震度6強 を記録 してお り,町内全域 に 家屋被害が出ている. この地域 は,震源の南側 に位置 している中山間地域であ り,崖や斜面が多いことか ら, 崖崩れによる道路埋塞や石垣お よび擁壁等の被害 も多

く見 られた. また,全壊 お よび半壊 の多かった黒坂地 区は,築年数が長 く,老朽化 した住宅の多い地区であ

り被害の拡大 を招 いた.

N‑135 家が全壊 した

家が半壊 した 家の一部が損壊 した ほとんど被害がなかった まったく被害がなかった

N.A l lE5.9%l 2(.

l l l E I I 35.6%

l l

;en 5 L E

1.5%l l l 0了%∫

l l 0l7%l

010 20 30 40 50 60 図 ‑1 家屋 (住家)の被害状況

(4)

142 高橋 和雄 ・中村 聖三 ・松木 理‑

次 に家具等の家の中における被害状況をまとめると, 図‑ 2の ようになる.震度6強 を記録 しているのでか な りの揺れがあ り 「タンスな ど安定 した大 きなものが 倒れ,食器や ビン類が こわれた」が最 も多 く48.1%で あった. また

,

倒 れは しなか ったが,扉が開 くな ど して,中の食器 などが こわれた」 とする回答 も40.7%

あるので,家の中の家財道具にも何 らかの被害があ り, 倒れた家具や割れたガラス等が散乱 してお り,家の中

にいた場合は,屋外への避難 も大変困難であった と予 想 される.地震の発生が昼間で不在が多かったために, 外傷人は少なか ったが,就寝時 に地震が発生 した場合

には,人的被害が多 く発生 したことが考 えられる.

N‑135 複数回

010 20 30 40 50‑2 家具等の家の中の物の被害状況

住家 を除 く家屋周辺の被害状況については,山間地 域であるために住宅の周辺 に石垣や擁壁等が多 く,そ のため 「石垣や擁壁が こわれた」 とい う回答が55.6%

と最 も多い (図‑3).日野町では,農家住宅 も多いた めに 「納屋や蔵 などの非住家が被害 を受 けた」が40.7

% と高い割合 になっている.

N‑135 複数回答 石垣や擁壁が こわれた

建 物 の基礎 の地盤 が 陥 没 ま た は隆 起 した

崖が崩れた

納 屋 や蔵 な どの非 住 家 が 被害を受けた

その他 被害はなかった

N.A

0 102030405060‑ 3 家屋 (住家)周辺の被害状況

(b)行政の初動期の対応

今回の地震における,県や町の災害対応 (水の補給, 屋根 シー ト提供,救済制度の運用 など)の迅速 さにつ いては,早かった」 お よび 「まあ まあ早かった」 と する回答が合わせて78.6%あ り,県や町の対応の迅速

さが うかがえる (図‑4).

N‑135 早かった

まあまあ早かった 普通だった やや遅かった 遅かった わか らない N.A

I

39.3

39.I3 輔心.批 = 13.3%

覧 ≡

3.7% l 2.?%

l 0.7% l

1.5l% l I l I

0 10 20 30 40 50一4 県や町の災害対応の迅速 さ

地震直後の初動体制 における安否の確認,避難所の 運営,給水活動,炊 き出 し,救援物資の配布 などにつ いては,「十分 だった」お よび 「どちらか といえば十 分だった」 とい う回答が74.8%もあ り,十分な初動体 制が とれたのではないか と評価 されている (図‑5).

地震の発生時間が,平 日 (金曜 日)の午後130分で, 職月の勤務時間帯であったことか ら,初動体制が取 り 易かったことも見逃せ ない.

地震後の生活再建の支援 メニューなどに対する情報 の入手経路 を聞いた ところ,町の防災行政無線 によ る放送」が65.2%と最 も多 く,次 いで 「町が作成 した チラシ」49.6%,「自治会長か らの連絡」43.0%,「町の

広報誌」28.9%となってお り,町が積極 的に多様 な手 段 を通 じて広報活動 をしていることがわかる (図‑6).

‑5 地震直後の県や町の対応

(5)

N ‑135 複数回答 町 の広報誌

町 が作成 したチ ラシ 町 の防災行政無線 に よる放送

自治会長 か らの連絡 新 聞記 事 テ レビ ・ラジオの放 送

知 人 に よる 口コ ミ 説明会 ・集 会 イ ン ターネ ッ ト

FA X N.A

0 10 20 30 40 50 60 70 ‑6 生活再建支援 メニュー等 の情報 入手経路

‑ 7 生活再建支援 メニ ューの内容の周知度

生活再建支援 メニューの内容 をどの程度知 っている か聞いた ところ,「だいたい知 ってい るが60.0% 最 も多 く,「よ く知 っている」 と 「少 し知 ってい る

が ともに15.5%であ り (‑ 7), 町の積極 的 な広報 活動 によって,生活再建支援 メニューの内容 に関 して, ほ とん どの住民が何 らかの情報 を持 ってお り,周知度 は高い と言 える.

(C)羅災証明について

今回の鳥取県西部地震で,家屋の雁災調査が雁 災証 明 を発行す るために実施 されている.雁災調査 は,各 種の保 険の請求 (地震保険,建更 ),税の減免,義援 金の分配,住宅再建支援等 に利用 される雁災証明 を発 行す るために行 われる調査 であ り,今後の生活再建の 基礎 となる調査である.雁災調査 によって,全壊 ,辛 壊お よび一部損壊の判断が行 われ,その判別 によって 保険金や補助 金の額が大 き く変わって くるので,明確 な基準 や判定方法が必要であ る.そ こで雁 災調査 につ いての意見 を聞い た ところ,雁 災証 明 につ いては,

早 くて適切であ った」 とす る評価があ った反面 ,吹 の ような意見が得 られた.

(1)半壊」 と「一部損壊」の区別が調査 員 によって 異 なった.明確 な判断基準が公平 さの確保 に必要で

ある.

(2)重要 な調査 の割 には,調査時間が短い.外観調 査で判断するだけでな く,内部 も見て欲 しい.

(3)雁災調査後 に余震 によって被害が拡大 した.

(4)半壊」の被害の幅が広 く,被害 に大 きな差が出 て くる.

(5)「一部損壊」 については,支援 が少 な く,新築 の家では補修が大変である.

(6)不在 中に調査が行 なわれ,外観調査のみで判定 された.

(7)被害調査が住家のみ に対 して なされたが, 田 舎では他の建物 も生活の重要 な部分 を占める.非住 家 について も支援が必要であ る.

(8)町の職員が被害調査 に不慣 れで,対応が一貫 し ていなか った.

この ような家屋調査 を巡 る課題が挙げ られてお り,住 民の要望によって再調査が実施 されている.税金 を使 っ て住宅再建支援が なされているため,公平 さが要求 さ れている.震災 を理由に便乗 した再建や補修 に対す る 不満や今後の町の財政 を心配する記述 も見受け られる.

住宅再建支援制度がで きると,被災の ランクや公平性 の要求が高 まって くる.専 門性が高いため,調査 員の 技術訓練,建築士の活用,マニュアルの作成 な どの家 屋被害調査 のマニュアル化が望 まれる. さらに,建物 応急危険判定 との混同 も見受け られ,説明不足 も指摘

されている.

(d)鳥取県の住宅支援策 に対する評佃=こついて 鳥取県は,今回の鳥取県西部地震 において被 災者向 けに住宅復興補助金 (住宅建設,住宅補修お よび液状 化復 旧) を交付す る支援制度 を全 国で初めて設 けてい る.そ こで,鳥取県西部地震 による住宅再建支援制度 の内容 について, どの程度知 っているか を聞いた とこ ,「よ く知 っている」36.3%,「だいたい知 っている

52.6%であ り,88.90/Oの住民 は住宅再建支援制度 の内 容 をだいたい把握 してお り,周知度 は高 い (図‑8).

‑8 住宅関係の支援制度の周知度

(6)

144 高橋 和雄 ・中村 聖三 ・松木 理‑

「少 し知 っている」 の8.9%まで合 わせ る と,97.8%で あ り,アンケー ト対象が世帯主だけではないにもかか わ らず,ほ とん どの人は住宅再建支援制度 についての 何 らかの情報は もっている.

鳥取県が行 った住宅再建支援制度等の施策について の住民の評価 については,「評価 で きる」 が75.6%,

「どち らか といえば評価で きる」 が20.7%であ り,鳥 取県の施策 に対す る住民の評価は非常 に高い.

今回の住宅再建支援制度 における,住宅再建,住宅 補修お よび液状化復旧,石垣 ・擁壁補修等の各補助限 度額の妥当性 について開いた ところ,「適当」 である とい う回答が最 も多 くなってお り,それぞれ54.1%, 55.6%,46.7%となっている (図 ‑9).「多す ぎる

や 「少 なす ぎる」 といった回答 は少 ない. また,

ともいえない」 という回答が 目立 っているが,その内 容 は

,

「補助金 は多 ければ多いほ ど助か るが,金額の 問題ではな く, この制度で住宅 を再建す る補助金が出 た とい うことに感謝 している」 とするこの制度 に対す るプラスの意見が多かった.

鳥取県の地震被災者向けの住宅支援制度 は,市町村 の協力 を得 て全国で初めて実施 された もので,鳥取県 西部地震で被害 を受けた島根県は同 じ制度 を導入 しな かった. また,阪神 ・淡路大震災の被災地で も創設 さ れていない.そこで, この補助金の交付 についての考 えを聞いた ところ,本来,都道府県で行 う制度では な く,国が実施すべ き制度である.国が主体 となるべ きである」 とす る回答が39.2%であ り,「国主体 の制

度 になって欲 しい」 とい う結果 を得 た. また

,

「都道 府県 によって被災者支援 に差が出ない ように全部の都 道府県で この制度 を導入すべ きである」 とする回答は 23.0%である.反対 に,今回の ように 「都道府県の補 助事業で行 うのであれば,都道府県 によって有無の差 があるのは止 むを得 ない」 とする回答 も31.1%あった.

保険制度や 自助努力だけで よい とする回答は皆無に近

0 2m 40 eD 扶)

1 ( 刀

lL適当1 多すぜる■ 少が ざる田 何ともV肋 、田 N.A

図‑ 9 住宅支援制度の各補助限度額 について

‑ 5 住宅支援の交付制度 について

(N‑135)

回答 数

都道府県の補助事業で行うのであれば、都道府県に‑ 42 よって有無の差があるのは止むを得ない (31.1%) 都道府県によって被災者支援に差が出ないように 31 全部の都道府県でこの支援制度を導入すべきである (23.0%) 本来、都道府県で行う制度ではなく、国が実施すべき 53

制度である.国が主体となるべきである (39.2%) 自然災害による個人の財産の損失に対する支援は行政経費を 2

使うべきではなく、保険制度などの別の措置によるべきである (1.5%) 自然災害による個人の財産の損失に対しては、国.支援すべきではない○自助努力に任せるべきである県.市町村は 0

く,仝貞が公的支援制度の創設 を希望 してお り,地域 による制度の有無の差 をな くすため に,全国規模の制 度にして欲 しいとする要望が高いと解釈できる (秦‑5).

(a)地域や個人の地震対策の取 り組み

この地域で震災前の地域への取 り組み と,今回の地 震後の地域や個人の地震に対する備えのあ り方が変わっ たかを調べ るために,地震前後で地域や家庭内で取 り 組 まれていることが らを聞いた.

地域で取 り組 んでいることについては,地震後は各 取 り組み とも地震前か ら増加 してお り,地震 に対す る 備 えが行 われだ している (義‑6).特 に,消火 ・避

難訓練の実施」,災害時の連絡方法」,災害弱者の把

撞」お よび 「災害危険個所の把握」 は15%程度増加 し ている.

次 に,家庭内の取 り組み については,非常持 ち出

し品の用意」,家族 との連絡方法」,家具の固定」,

「ブロ ック塀 の点検 や転倒 防止」 がかな り増加 してい る (秦 ‑7).い くつか減少 している もの も見 られ る が,「ガスボ ンベの転倒防止」 については,各家庭 で す ることではな く,ガス業者が取 り付 けの際 に しっか りと転倒 防止 を して くれているために,減少 している

表‑6 地域で取 り組んでいる地震への備え (N‑135 複数回答)

項 目 地震 前 地兼 後

自主防災組搬 (防火 クラブ、自警 団を含 む)の結成 (14.191%)(17.248%) 消火 訓練や避難 訓練 の実施 (22.302%)(38.525%) 高齢者や病 人などの 自分で避 難 できない人 の把握 (8.l1l%)(23.310%) 災害時の 自治会や班 における連絡 方法 (8.19%)2 (2737.4%) 地 区内の災害危 険個所 の見回りなど (1.25%)(18.255%) 地震などの防 災詐済会などの参加 (2.32%)(14.208%) その他 (0.00%) (3.57%)

何もしてない (1.25%) (8.l1l%) N.A (63.867%)(1723.0%)

(7)

秦‑7 家庭内で取 り組 んでいる地震への備 え (N‑135 複数回答)

項 目 地蕉前 地窯径

非常持出品を用意した (6.97%)(34.478%) ガスボンベが倒れないようにした (25.359%)(8.ll1%) 消火器や水を入れたバケツなどを用意した (12.176%)(8.192%) 家族との連絡方法を決めた (4.64%) (20.270%) 地震保険などに加入した (9.16%)3 (8.192%) 家具が倒れないように固定した (71.4%)0 (28.399%) ブロック塀の点検や転倒防止を施 した (0.00%)(14.191%) その他 (0.

0

0%) (5.89%)

何もしていない (2.32%) (8.19%)2

ようである.また,地域や家庭内の取 り組みにおいて, 地震前 には無 回答が多いが, これはほほ 「何 もしてい ない」 と同様 の もの と考 え られる.

4.まとめ

本調査 で得 られた結果 をまとめ る と,次 の ようにな る.

(1)鳥取県西部地震時の行政の初動体制 は,迅速で 適切であった と評価 され るが,建物被害が多 くしか も鳥取県 による住宅関連 の支援策の導入 もあ って, 建物の被害調査 には混乱 も見受 け られた.地域防災 計画に被害調査 関連のマニュアルの整備が望 まれる.

(2)鳥取県が導入 した被 災者住宅再建支援制度 は,

被災 した地域で住民が 自立復興す るはげましとな り, 被災者か ら高 く評価 されている. この制度 は現在鳥 取県 だけの制度であるが,ア ンケー トに よれば国が 主体 となって,全国的な制度 にすべ きとす る意見が 多い.

(3)雲仙普賢岳の火山災害,阪神 ・淡路大震災 な ど の復興過程で被災者の住宅再建支援 の必要性が指摘 され,議論 されて きた.現在の ところ,被災者生活 再建支援法が成立 しているのみで,住宅 については 公共性 があることが認め られてい る段 階 にある. 自 立復興 を支 えるため に, さらに議論 して公的 な制度 を設けることが望 まれる.

本研究の調査 に当たって,鳥取県 日野町の皆様 にア ンケー トの協力 を, また鳥取県お よび 日野町の担 当者 に資料の提供 な どで協力 を得た ことを付記す る. さら に,ア ンケー ト調査 には,土木学会西部支部調査研究 委員会 「九州 における地震対策の策定 に関す る調査研 究委員会」の調査費 を使用 したこ とを付記す る.

参考文献

1) 鳥取 県 :平 成12年 度鳥取 県西部 地震 の記録 , 仝 178,2

0 0

1.10

2) 鳥取県 日野町 :鳥取県西部地震2(X泊.10.6日野町の 災害 ・復興の記録,仝 112,2

0 0

1.ll

3) 牧範男 :鳥取県西部地震災害 における災害対応 ‑ す まいの災害対応,平成12年度科学研究費補助金 (特別研究促進費)研究成果報告書 「2㈱ 年10月 鳥取県西部地震 に よる災害 に関す る調査研 究,

pp.199‑219,2

( 氾

1.3

参照

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