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腎アミロイドーシス診断における質量分析法の至適条件とその有用性

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Academic year: 2021

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論 文 内 容 の 要 旨

Optimal conditions and the advantages of using laser microdissection and liquid chromatography tandem mass spectrometry for diagnosing renal amyloidosis

腎アミロイドーシス診断における質量分析法の至適条件とその有用性

日本医科大学大学院医学研究科 解析人体病理分野 大学院生 青木路子

Clinical and Experimental Nephrology 2018 掲載

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背景:

腎アミロイドーシスの病理診断は、congo-red 染色とその偏光顕微鏡での緑色複屈折 (apple green)や特異な細線維構造を電子顕微鏡で確認しアミロイドの沈着を確定し、その 原因アミロイド蛋白を免疫組織化学法・免疫染色法で同定する。しかし、免疫染色法では 非特異的陽性所見や偽陰性所見によりアミロイド蛋白の同定が困難な症例がある。近年、

アミロイド蛋白の同定に液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法(LCMS/MS: Liquid chromatography tandem mass spectrometry)が応用されてきた。本研究では LCMS/MS を 用いて腎アミロイドーシスのアミロイド蛋白を同定するための至適条件と、従来の方法と

比較して LCMS/MS 法の有用性について検討した。

方法:

1994 年から 2016 年に病理診断された 23 例の腎アミロイドーシス [AA アミロイドーシス

(AA)10 例と AL アミロイドーシス(AL)13 例] を用いた。腎疾患コントロールは微小 変化型ネフローゼ症候群 (MCNS)の 5 例とした。腎生検検体を congo-red 染色で染色した 後、糸球体の congo-red 陽性面積を測定し、laser microdissection (LMD)で糸球体を切除し 回収した。切除された糸球体は蛋白分解酵素で分解し、LCMS/MS でアミロイド蛋白を解 析した。解析結果は Scaffold データベースを用いて行い、蛋白のアミノ酸配列の一致した

数の Spectra 値 4 以上を有意の蛋白と判定した。LCMS/MS 解析の至適条件として、用い

る検体の種類、分析する試料の量(congo-red 陽性糸球体数)、添加する分解酵素とその量 を検討した。従来のアミロイド蛋白の同定法と LCMS/MS 法を用いたアミロイド蛋白の解 析結果を比較検討した。

結果および考察:

LCMS/MS 解析に用いる検体として腎生検で保存されている凍結検体とホルマリン固定パ

ラフィン(FFPE)検体とを比較した。AA 4 症例の LCMS/MS 解析結果では、FFPE 検体の方 が凍結検体よりアミロイド蛋白や細胞骨格蛋白の Spectra 値が高く、FFPE 検体が

LCMS/MS 法に適していた。解析に必要な congo-red 陽性糸球体数を、厚さは 5µm の FFPE 検体の、糸球体数 2 個、10 個、50 個で比較検討し、解析糸球体数が増加するに従 いアミロイド蛋白の Spectra 値が増加したが、糸球体 10 個の解析で全症例の Spectra 値 は 4 以上であった。糸球体の congo-red 陽性率は AL では平均 22.1%で AA では 8.5%であ るが、アミロイド蛋白の Spectra 値は AL で平均 10.4、AA で 26.7 であり、AA は AL に比 べてアミロイド蛋白の Spectra 値が高く、アミロイド蛋白の抽出がしやすいと考えた。

次に、蛋白を分解するトリプシン(0.1mg/mL)の量 (3, 6, 12 and 20 µL)と還元剤の

dithiothreitol (DTT)について検討した。解析した 3 例の AL ではトリプシン 3µL (0.1mg/mL)

の 37℃ overnight で Spectra 値が最も高く、AA では 3 例中 2 例でトリプシン 6µL、1 例

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でトリプシン 3µL (0.1mg/mL) と DDT 添加でアミロイド蛋白の Spectra 値は最も高かっ た。しかし AA でも、全例でトリプシン 3µL で Spectra

が 4 以上であり、使用するトリ プシン量は AL, AA ともに 3µL (0.1mg/mL) が適当と考えた。

従来のアミロイド蛋白の同定方法である酵素抗体法や蛍光抗体法と LCMS/MS 法との比 較では、AA では全例 amyloid A の免疫染色は陽性を示したが、非特異的な IgM、IgG、

IgA の免疫グロブリンの陽性所見を認めた。しかし LCMS/MS ではアミロイド蛋白のみが 認められた。AL では凍結検体の蛍光抗体法で非特異的な IgM、IgG、IgA の陽性所見やア ミロイド蛋白である免疫グロブリン軽鎖(κ、λ)の偽陰性所見がみられたが、LCMS/MS 法ではアミロイド蛋白のみが認められた。疾患コントロールの MCNS 5 例では、蛍光抗体 法では免疫グロブリンの非特異的陽性所見を認めたが、LCMS/MS 法ではアミロイド蛋白 や免疫グロブリン成分は認めなかった。

結論:

腎アミロイドーシスのアミロイド蛋白を LCMS/MS 法で解析する場合の至適条件は、

FFPE 検体 (厚さ 5µm) の糸球体 10 個(170,000-220,000μm

2

)を用い、トリプシン量 3 µL

(0.1mg/mL)で溶解する。アミロイド蛋白の同定が 免疫組織化学法や免疫染色法では困難な症

例において、LCMS/MS 法が有用であると考えた。

参照

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