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第二次審査(論文公開審査)結果の要旨

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Academic year: 2021

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第二次審査(論文公開審査)結果の要旨

Increased H19 long non-coding RNA expression in Schwann cells in the peripheral neuropathic pain

末梢神経障害性疼痛におけるシュワン細胞での

H19

長鎖非コード

RNA

の発現増加

日本医科大学大学院医学研究科 疼痛制御麻酔科学分野 大学院生 岩嵜 宏俊

Journal of Nippon Medical School

2019

年)掲載予定

神経障害性疼痛は体性感覚系の障害による頑性慢性疼痛である。一次感覚ニューロンが 障害を受けると、興奮性が高まると共に、自発的に脊髄へ侵害受容の情報を伝達する。ま た、損傷神経周囲のシュワン細胞も表現型が変化し、様々なシグナル分子を分泌すること で神経炎症を誘導し、一次感覚ニューロンの感作を起こす。一方、タンパク質をコードし ないが機能を有する非コード RNA が侵害受容の重要な調節因子として近年注目され、疼痛 制御に関わるマイクロ RNA は数多く知られているが、長鎖非コード RNA(long non-coding RNA; lncRNA)の関わりはあまり知られていない。申請者は神経障害性疼痛モデルを用いて lncRNA の疼痛制御への関わりを検討した。

ラットを用いて、脊髄神経結紮(spinal nerve ligation; SNL)による神経障害性疼痛 モデルを作製した。SNL により、機械的刺激および熱刺激による痛覚閾値の有意な低下を認 めた。SNL 後 14 日の後根神経節(dorsal root ganglion; DRG)を用いて、lncRNA の可能 性がある遺伝子群の発現をマイクロアレイにより解析したところ、H19 lncRNA が最も大き く発現上昇した。また、DRG および前根、後根、結紮部位から近位および遠位の末梢神経線 維を採取し、PCR により H19 の発現を調べたところ、SNL 後 4 日から 14 日まで継続的に増 加し続けた。In situ hybridization により H19 の発現分布を検討すると、H19 は一次感覚 神経ではほとんど検出されず、神経線維に沿った非神経細胞で発現が上昇していた。末梢 神経結紮近位部および遠位部で顕著に発現増加したが、前根および後根で発現変化はみら れなかった。SNL 後 14 日の末梢神経線維から単離したシュワン細胞においても H19 の発現 は有意に増加していた。これらの結果は、損傷を受けた末梢神経結紮近位部および遠位部 のシュワン細胞で H19 の発現が持続的に増加し、神経炎症を誘発することで神経障害性疼 痛の引き金となっている可能性を示唆し、シュワン細胞における TRPA1 の活性化や、神経 再生の過程でシュワン細胞から分泌される神経栄養因子の関与が考えられた。

(2)

第二次審査では、実験手技の確認、観察期間設定の根拠、網羅的解析における H19 以外 の候補、H19 が選ばれた理由、H19 発現変化と痛みとの相関、今回よりさらに末梢の障害モ デル・炎症モデルにおける H19 の変化、変化が見られた神経細胞が痛覚線維に限定してい るか、IL−6 との関連、中枢におけるオリゴデンドロサイトに起こりうる変化との相関等に つき質問がなされ、いずれも的確に回答した。

本研究は、神経障害性疼痛の発生機序にシュワン細胞における H19 lncRNA の関与を示し、

神経障害性疼痛治療の新たな治療戦略における今後の方向性を示した有意義な研究である という結論がなされた。以上より、本論文は学位論文として価値あるものと認定した。

参照

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