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PZT 繰返し電界誘起き裂進展における電界波形の影響 卒業論文要旨

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Academic year: 2021

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PZT 繰返し電界誘起き裂進展における電界波形の影響

機能性材料工学研究室 有藤太亮

1. 緒言

チタン酸ジルコン酸鉛 (PZT)は,圧電効果と圧電逆効果 を持つ材料であり,センサ,アクチュエータ等に広く利用さ れている.PZT分極材に繰返し電界が負荷される場合,材料 中にき裂が発生しこれが進展することが知られている.これ まで研究室では,切欠きを有する PZT 分極材に正弦波状の 繰返し電界を負荷したとき,切欠き底より発生したき裂が進 展する挙動について調査を行ってきた.その結果,繰返し電 界が大きくなると材料内部で分極反転が生じ,これがき裂進

展に影響を及ぼし,進展が助長,加速されることが分かった.

本研究では,圧電アクチュエータを駆動する際,多く使用 される矩形波や台形波の繰返し電界を負荷した時のき裂進 展挙動を調査し,正弦波によるこれまでの結果と比較した.

2. 実験方法

実験には,板厚方向に分極された PZT分極材(5×5×1mm) を試験片として用いた.試験片の板厚中央部に長さ約 2mm の切欠きを導入した.シリコンオイルで満たした油槽中に試 験片を固定し,矩形波および台形波の電圧を印加した.各波 形の模式図を比較する正弦波と合わせて図1に示す.負荷条 件は,周波数5Hzで矩形波については±400V,±500V,±600V および±700V,台形波については±600Vおよび±700Vとした.

測定間隔はき裂進展に応じた間隔で定め,き裂長さcを測定 し,電界負荷1サイクル当たりのき裂長さの増分をき裂進展

速度dc/dNと定めた.48時間電界を負荷した後もき裂進展が

生じなれば停留とみなし,実験を打ち切った.

また実験が終了した試験片をき裂に沿って長手方向に強 制破断させ,走査型電子顕微鏡(SEM)により切欠き先端から 0.2mm間隔でき裂先端まで破面の観察を行った.

3. 実験結果および考察

2にき裂長さcと電界負荷繰返し数の関係を示す.いず れの条件でも繰返し電界を負荷すると切欠き底にき裂が発 生し,その後多くの場合徐々に進展の速度が低下しやがてき 裂は停留する.図の矢印はき裂の停留を表している.また過 去の研究で得られた正弦波電圧下での結果を比較のため実 線で図中に示した.正弦波の結果と比較すると,矩形波およ び台形波状電圧下ではき裂進展が助長される傾向があり,き 裂進展量は大きい.例えば±500Vで停留したき裂長さを比較 すると矩形波の場合正弦波より約0.9mm長くなっていた.

矩形波のき裂進展速度dc/dNは,電界が大きくなるほど進 展速度のばらつきが大きく,進展速度が一度低下し再び増加 する挙動も観察できた.±400Vは進展速度に関しても正弦波 との大きな差は見られず直線的に低下し,最終的にき裂は停 留した.

圧電体に,抗電界以上の電界を負荷した時,分極反転が生 じる.本実験での矩形波あるいは台形波状電圧では正弦波状 電圧と比べ,ある値以上の電圧が印加される時間が相対的に 長くなる.よって,抗電界を越えるような矩形波あるいは台 形波状の交流電圧では,時間依存現象の分極反転が生じ易く なると言える.このため,矩形波の±500Vでも一部分極反転 によりき裂進展が助長されたと思われる.

3に±600V,矩形波で実験した試験片の SEM 写真を示す.

一般的に機械的負荷で破壊した場合,粒内割れが支配的とな り,電界負荷によるき裂破面は,粒界割れが支配的になる.

1 電圧波形の模式図

2 き裂長さと繰返し数の関係

3 ±600V,矩形波の破面様相

3に示すように,矩形波の繰返し電界によって進展した破 面も粒界割れが支配的であった.このことは切欠き底からの 距離,試験片の表面,中央等で大きな差は無かった.

PZT は多結晶体であり,一般的に結晶ごとに分極方向が異 なる.これにより電界が負荷された時,変形する方向が異な り粒界近傍に応力集中が生じる.この結果,粒界でき裂が進 展したと考えられる.

4.結言

PZT に矩形波電界を負荷した場合,正弦波と比較して分極 反転が生じた結晶が増加し,き裂進展量が増加し,進展速度 のばらつきも大きくなる.また±500V以上では特にその傾向 が強くなる.破面様相は試験片の位置に関係なく粒界割れが 支配的である.

参考文献 省略 卒業論文要旨

参照

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