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『ハムレット』 の二つのエスペラント語訳に見る エスペラント語の語源

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- 13 -

『ハムレット』 の二つのエスペラント語訳に見る エスペラント語の語源

The Etymology of Esperanto

as Seen in Two Translations of Hamlet (La Esperanta Etimologio

Vidata en Du Tradukoj de Hamleto)

野 呂 俊 文

(Toshifumi Noro)

この小論はシェイクスピア『ハムレット』の二つのエスペラント訳からそれ ぞれの同じ一節を取り上げ、そこで使用されているほぼすべての語に関してそ の語源を調査したものである。まず最初に、エスペラントの語彙について概観 しておきたい。

(

「エスペラント語」と「エスペラント」という両方の言い方が あるが、この小論の本文では、より一般的である「エスペラント」を用いるこ とにする。

)

エスペラントはポーランドの眼科医ザメンホフ

(Ludwik Lejzer

Zamenhof ) (1859-1917)

によって創案され、

1887

年に発表された人工言語で

ある。エスペラントは共通語を意図してつくられた言語であるため、学習が容 易に行えるよう工夫されている。ヨーロッパの言語は、古典ギリシア語 (以下 では単に「ギリシア語」と呼ぶ) やラテン語に見られるように、もともと非常 に複雑な文法体系を持った言語であった。エスペラントでは学習しやすいよう、

文法は、例外というものが存在しない規則的なものとなっている。例外がない という点では、エスペラントの発音、アクセント、綴りにおいても同様である。

外国語学習の際に、文法と並んで多くの労力と時間を要するのは語彙の習得で ある。語彙の習得をも容易にするために採られた方法が、多くのヨーロッパ人 が知っている、初めて見た場合にも、意味の察しが付くような単語を選んで、

(2)

- 14 -

そこから語根をエスペラントに借用するというものであった。また、充実した 接頭辞、接尾辞、品詞語尾の体系を作り、それらと限られた数の語根とを組み 合わせて、派生語を作るという造語法により、単語の数を何倍にも増やしてい く方式が採られた。

他の言語と比べて、エスペラントの語彙はどのような特徴を持っているので あろうか。エスペラントの単語の特徴を考えた場合、まず第一に、元の言語の 発音および綴りがより単純な覚えやすい形に変えられているということが挙 げられる。エスペラントでは、合成語において語と語が結びつくときなどを別 とすれば、同じ子音を重ねた、

-tt-

-nn-

などのいわゆるイタリア語のよう な「つまり音」は存在しない。このことは単語の発音を簡単にし、記憶しやす くするのに役立っている。

しかしエスペラントの成立過程では常にそうであったわけではなかった。エ スペラントが成立するまでには、

1878

年の

Lingwe Universala

から最終的な エスペラントである

1887

年の

Lingvo Internacia

まで、

2

回か

3

回、根本的な 作り直しがなされている。

1881

年から

1882

年にわたってザメンホフが残した

3

冊のノートでは、

anno (

)

bella (

美しい

)

など、同じ子音を重ねた語が 多いということである。現在のエスペラントでは合成語で異なる要素がくっつ いた場合以外は、このような重ねた子音は無くなり、発音や綴りがよりシンプ ルになっている。たとえば、ラテン語の

effectivus (実際の)

はエスペラントで は -ff-

f

1

個にして

efektiva

となり、イタリア語の

permesso (許可)

は、

-ss-

s

1

個にして

permesi (

許可する

)

となっている。実際

1881-1882

案の

kusso (

キス

)

bella (

美しい

)

のような語は、最終的エスペラントでは

kiso

bela

という形に変えられている。

逆に、単語の過度の短縮化というのも、人工言語の語彙の作成において陥り やすい過ちである。エスペラントが創案されていた当時、ドイツの

Martin

Schleyer

という神父が発表していた

Volapük

という人工言語が陥った過ちも、

またこの単語の過度の短縮化というものであった。Volapük という人工言語は やがて没落し、消滅していったのであった。語をあまりに短縮しすぎれば、初

(3)

- 15 -

めてその単語を目にしたとき、自然言語の語彙からの意味の推測が困難となる ばかりでなく、単語が記号のようなものになってしまい、記憶しにくくなると いう欠点があるからである。

ザメンホフの

1881-1882

年案では「影」

umbro

umbo

であり、「話す」

paroli

palli

であり、「利点」

avantaĝo

vando

であり、「週」

semajno

simo

あったというように、かなり短縮された形をしていた。この

1881-1882

年案の 単語であれば、初めてこれらの語に接した人はその意味を推測することができ ないであろう。ザメンホフはこの

Volapük

が陥ったのと同じ過ちに早くに気づ き、最終案で現在のような形に改めた。改められた形ならすぐに意味の察しが つくのである。

また、エスペラントが語を借用する際の重要な原則は、元の言語の語から一 つの語根を借用してある品詞の語を作り、それ以外の品詞や派生語については、

その借用した語根にエスペラントの接頭辞、接尾辞、語尾を付加して、単語を 作っていくという方式を取っていることである。つまり、様々な品詞の語を元 の言語からそれぞれに借用するのではないのである。たとえば、イタリア語で は「許可する」という動詞は

permettere

であり、「許可」という名詞は

permesso

であるが、エスペラントはイタリア語の

permesso

という名詞から

premes-

いう形を語根として借用し、それから動詞

permes|i (許可する)

を作り、更に それを派生させて

permes|o (許可)

という名詞を作った。あるいはエスペラン トの「答える」という意味の動詞

respond|i

は、その語根

respond-

がラテン

respondere

から採られているが、「答え」という名詞はラテン語の

responsum (

答え

)

という名詞からではなく、エスペラントの動詞

respond|i

に名詞語尾の

-o

を付けて、

respond|o (

答え

)

となるという具合である。

単一の語源から多数の派生語が作られる場合もある。ラテン語では「見る」

という動詞は

videre

であり、「見ること」という名詞は

visus

であり、「見られ るもの、光景」は

visum

であるが、エスペラントでは

videre

から

vid-

という 語根を借用し、そこから

vid|i (

見る

)

という動詞が作られている。そしてこの

vid|i

から様々な品詞の多くの派生語が作られる。例を挙げると、

vid|o (

外観

)

(4)

- 16 -

vid|a (

視覚による

)

vid|ad|o (

見ること

)

vid|aĵ|o (

風景

)

vid|ebl|a (

目に 見える)、vid|ebl|e (目に見えて)、vid|ebl|ig|i (明示する)、vid|em|a (見た がりの

)

vid|ig|i (

見せる

)

vid|ig|il|o (

ディスプレー

)

vid|iĝ|i (

現れる

)

vid|ind|a (見るべき)、vid|ind|aĵ|o (名所)、antaŭ|vid|i (予見する)、

antaŭ|vid|ebl|a (

予見可能な

)

ne|antaŭ|vid|ebl|a (

予想できない

)

akr|e|vid|a (眼力の鋭い)、 aŭdi|o|vid|a (視聴覚の)、 bel|vid|ej|o (展望台)、

ek|vid|i (

見かける

)

el|vid|o (

展望

)

inter|vid|iĝ|i (

会見する

)

klar|vid|a (明晰な)、laŭ|vid|e (外見では)、preter|vid|i (見過ごす)、retro|vid|il|o (バ

ックミラー

)

re|vid|i (

再会する

)

re|vid|o (

再会

)

sen|vid|a (

視界の閉ざ された

)

tra|vid|i (

見通す

)

tra|vid|a (

透明な

)

tra|vid|ebl|ec|o (

透明度

)

unu|a|vid|e (

最初の一目で

)

vid|al|vid|e (

向かい合って

)

tele|vid|i (

テレ ビを見る)、

tele|vid|a (テレビの)、 tele|vid|o (テレビを見ること)、 tele|vid|

ad|o (

テレビ視聴

)

tele|vid|ant|o (

テレビ視聴者

)

tele|vid|at|ec|o (

テレ ビ視聴度)、tel|vid|ig|i (テレビで放送する)、tele|vid|ig|o (テレビ放送)、

tele|vid|il|o (

テレビ

)

などがある。

すなわち、ある関連した単語群に関しては、エスペラントが借用するのはだ だ一つの語根のみであり、それを元にして様々な語を作るという方式を取って いる。こうすることによって、ひとたびエスペラントの接頭辞、接尾辞、語尾 などを覚え、造語法を学習すれば、限られた数の語根から容易に語彙を増やし ていけるようになっている。このように、エスペラントは、借用された限られ た語根から多くの派生語を生み出し、独自の語彙体系を持つにいたっているの である。

反意語や対になる語もこのような方式で作られる場合がある。エスペラント の「父」patroはラテン語の

pater (父)

に由来するが、「母」は、ラテン語の

mater (母)

からではなく、patroに「女性」意味する接尾辞 -in- を追加した

patrino

という形となる。同様に、「兄弟」

frato

はラテン語

frater

に由来する

が、「姉妹」はラテン語

soror (

姉妹

)

からではなく、

frato

-in-

を追加した

fratino

という形になる。あるいは、「右の」を意味する

dekstra

は、ラテン語

(5)

- 17 -

dexter (

右の

)

に由来するが、「左は」ラテン語

sinister (

左の

)

からではなく、

dekstra

に「正反対、逆」を意味する

mal-という接頭辞を付けた maldekstra

となる。

語彙に関しては、エスペラントは、ヨーロッパ人なら容易に察しが付くよう な語を選んで語根として借用しているので、ヨーロッパの言語をある程度知っ ている人にとっては、初めての単語であっても、意味が理解できることが多い。

その語がたとえ派生語として現れていたとしても、エスペラントの接尾辞や接 頭辞などを知っていれば、容易に意味が分かるようになっている。また、書い たり、話したりするときのように、自分で発信する場合にも、語根を知ってい れば、それを使って自分で派生語を作りながら、書いたり、話したりすること ができるのである。

エスペラントが他の言語から語を借用するとき、綴りを似せて語を作る場合 と、発音を似せて作る場合とがある。たとえば、発音より綴りを似せた例とし ては、フランス語や英語の

science

からの

scienco (学問)

や、英語の

sun

から

suno (

太陽

)

があり、発音が似ていて綴りが異なる例としては、英語の

fire

からの

fajro (

)

や、ドイツ語の

scheinen

からの

ŝajni (

~と見える

)

などがあ る。

しかし現在のエスペラントの語彙となるまでに、異なる語源に変更されたも のもあった。

1881-1882

年案では、エスペラントの

letero (手紙)

brivo

であ り、varma (暖かい)

kala

であり、kaj (~と~)

e

であった。最後の英語

and

に相当する

kaj

という語は、最初、ラテン語の

et

あるいはそのイタリア 語形

e

を考えていたようであるが、エスペラントでは

-et

は「小さい」を意味 する接尾辞となったため、それとの混同を避けて、最終的にはギリシア語の

και

(~と~)

から

kaj

が採用された。

では、エスペラントでは実際にはどのような言語から語彙が採られているの であろうか。想像できるのは、かつてヨーロッパの共通語であったラテン語や、

主要な言語とされる英語、ドイツ語、フランス語などが多いのではないだろう かということである。実際にエスペラントの文章を読んで感じる印象は、ラテ

(6)

- 18 -

ン語が最も多く、次にフランス語が続き、さらに次には英語、ドイツ語、イタ リア語などが続くのではないだろうかというものである。イディッシュ、ポー ランド語、ロシア語、ギリシア語などもエスペラントの単語の語源となってい る場合があるが、それらは数の上ではわずかではないかという印象を受ける。

つまり、専門用語を除くエスペラントの大多数の語は、ラテン語、フランス語、

英語、ドイツ語、イタリア語という

5

言語の何れかから採られているように思 われる。

これらの

5

言語の何れか、あるいはそれらのうちの複数を知るヨーロッパ人 は多く存在し、一方、イディッシュ、ポーランド語、ロシア語などはザメンホ フ自身が精通していた言語ではあったが、これらを解するヨーロッパ人はそれ らの母語話者を除けば、限られていたからであろう。また、ギリシア語につい て言えば、ザメンホフはギムナジウムを卒業するとき成績優秀で、特にギリシ ア語の成績が抜群のため、銀メダルを受賞したほどギリシア語やラテン語は得 意であった。しかし科学などの専門用語や、すでにヨーロッパの各言語に広く 採り入れられている語を別とすれば、エスペラントの一般的語彙にはギリシア 語はそれほど多くは入っていないという印象を受ける。フランス語、イタリア 語、スペイン語、ポルトガル語などのロマンス諸語 (ローマ帝国の各地の民衆の話し言葉 としてのラテン語を源とする諸言語で、フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・ルーマニア語な ど) として単語が今日まで続いているラテン語とは異なり、ギリシア語はあくま で学問語という性格が強く、すでにヨーロッパの各言語に取り入れられている 語を別とすれば、だれでもすぐ理解できるというわけではなかったからであろ う。もちろん、上に挙げた言語以外の言語がエスペラントの語源である場合も あるが、それらはそれほど多くはないだろうことが予想される。

では、実際のエスペラントの文章中で用いられている語彙はどのような言語 から取り入れられているのであろうか。それを見るために、シェイクスピアの

『ハムレット』第

2

幕、

2

場を取り上げ、その箇所の

1894

年のザメンホフ訳 および

1962

年のニューエル訳で使用されているほぼすべての語について、語 源を調査したのがこの小論である。エスペラントの語源辞典としては主に

(7)

- 19 -

André Cherpillod, Konciza Etimologia Vortaro

を使用した。この辞典は

Konciza

とはいうものの、網羅的にエスペラントの単語が収録されており、ま

た記述もきわめて学問的であると判断される。また補助的に、ヤマサキ セイ コー編『エスペラント語源小辞典 非縮約版』および

Andras Rajki,

Etymological Dictionary of the Esperanto Language

も参照した。ただし、

語源辞典間で解釈の異なる場合もあり、また解釈に賛同できない場合もあるの で、そのようなときは最終的には筆者自身の解釈によった。

作品で使用されている語の語源がどの言語からのものであるかを調査する 際に直面する困難について説明しておきたい。実は、エスペラントのある語根 がどの言語から採られているかを決定するのは、それほど簡単ではないことが 多いのである。それはラテン語系の語の場合、それに対忚する語がフランス語、

イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などに広く分布することがあり、また 英語はフランス語、ラテン語から多くの単語を取り入れている言語なので、そ れらに対忚する語が英語にも存在する場合が多いからである。

たとえば、エスペラント

aperi (

現れる

)

という語の場合、語源として考えら れる語として、ラテン語

apparere

、フランス語

apparaître、イタリア語 apparire、

英語

appear

、スペイン語

aparecer

、ポルトガル語

aparecer

、ルーマニア語

apǎrea

などがある。Cherpillodの語源辞典ではラテン語

apparere

を最初に挙げ、そ こから出た語として他の言語の語が挙げられている。ヤマサキ編の語源辞典で

は英語

appear

のみが挙げられている。また、Rajkiの語源辞典では、“Fre.

apparaître, Ita. apparire, Eng. appear, Lat. apparere”

のように

4

つの言語が 並列されて記載されている。形の上では

aperi

は、ヤマサキが記しているよう に、英語の

appear

に最も近いのではないかと思われる。したがって、

aperi

の語源が英語

appear

であると記しても正しいのかもしれない。

しかし、もし

appear

に類似した語が英語以外の言語には存在しないと仮定 したらどうであろうか。その場合は、エスペラントの

aperi

という語は採用さ れていなかったのではないだろうか。

aperi

という語がエスペラントに採り入 れられた最大の理由は、それがラテン語

apparere

に由来し、そのラテン語由

(8)

- 20 -

来の語がフランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語、ルーマニア語 などに広く分布し、さらにフランス語経由で英語に

appear

という語が入って いたという事実ではないだろうか。ラテン語

apparere

から語を借用する際、

綴りや発音については英語

appear

に倣って、より単純で覚えやすい

aperi

いう形になったのではないだろうか。ザメンホフはこのようにラテン語からあ る語根を採り入れる際、形を単純化するなどの目的のため、ロマンス諸語など を参考にして、語の形を一部変更している場合がある。それで、

Cherpillod

ラテン語

apparere

aperi

の主要な語源として挙げているのだと思われる。

この小論でも

aperi

の語源はラテン語であるとして数えた。

語源として複数の言語の可能性が考えられる場合には、この小論では一定の 方式で一つの言語を語源として挙げることとした。

Cherpillod

の辞典では、語 源がラテン語と、フランス語、イタリア語などのロマンス諸語とに共通に見ら れる場合は、ラテン語を語源として挙げて、その他の言語に見られる形を同族 の語として示すという形を取っている。このような場合は、この小論でもおお むねその語の語源をラテン語であるとして数えた。また、ラテン語の形態とそ れに由来するロマンス諸語の形態とが大きく異なり、エスペラントの語根が明 らかにロマンス諸語の方から借用されていると思われる場合は、ロマンス諸語 の方の語を語源とした。その際、フランス語と英語、イタリア語とスペイン語、

英語とドイツ語というように、語源と考えられる語が複数の言語に共通に存在 し、形の上からはどちらの言語を語源として考えても差し支えないと思われる 場合は、次のように処理した。

フランス語とイタリア語については、「フランス語>イタリア語」という優 先順位をもうけ、フランス語として数えた。フランス語が、ラテン語に次いで ザメンホフが重視した言語であると考えられるからである。イタリア語、スペ イン語、ポルトガル語は類似した語を持つことが多いのであるが、その場合は、

「イタリア語>スペイン語、ポルトガル語」という優先順位にしたがってイタ リア語に数えた。エスペラントの語彙を概観したとき、ザメンホフが意図的に スペイン語やポルトガル語から語を採用するということはほとんどなかった

(9)

- 21 -

のではないかという印象を受けるからである。また、英語とフランス語に類似 の語が存在する場合、たいていはその語がフランス語から英語に借用されたも のであるので、よほどのことがない限り、フランス語として数えた。英語とド イツ語に類似の語が存在し、形の上からはどちらを語源と考えても差し支えな いような場合は、ドイツ語の方を優先して数えた。ザメンホフにとって、英語 よりもドイツ語の方がはるかに身近な言語であったからである。フランス語と ドイツ語に類似の語が存在し、その語がフランス語からドイツ語に入ったもの である場合、フランス語を語源として数えた。また、英語とイタリア語に類似 の語が存在する場合は、おおむねイタリア語を優先した。これはたいていの場 合、英語の語がロマンス諸語からの借用語であるからである。

以上の方式によって、たとえば

ĝoji (

喜ぶ

)

の語源を見てみよう。一見、この 語は英語の

joy

に近いように見える。

Cherpillod

ĝoji

の語源として、オック

joia

、フランス語

joie

、英語

joy

、イタリア語

gioia

を挙げている。実際、多 くの場合、このように複数の言語を語源として列挙するのがより正確であるか もしれない。あるいはこのような場合は、それらの言語をひっくるめてロマン ス諸語とするのが、適当であるかもしれない。しかしこの小論では、調査のた めの方策として、語源に一つの言語を挙げる方式を取り、「フランス語>イタ リア語」および「フランス語>英語」という優先順位にしたがって、フランス

joie

ĝoji

の語源として数えた。joie [

ʒ wa ]

の場合、ĝojiとは母音の発音が 大きく異なるが、ここでは綴りを基にして借用されていると考えることができ る。

たとえば、

ricevi (

受け取る

)

ribeli (

反乱する

)

の場合、この小論では

Cherpillod

の語源辞典とは異なる解釈を取った。

Cherpillod

では

ricevi

の場 合、イタリア語

ricevere

が語源として挙げられ、それに近い形としては、コル

シカ語

riceve、フランス語 recevoir、英語 receive

なども挙げられている。

Cherpillod

が他の言語よりイタリア語

ricevere

を語源として挙げている理由

は、

ricevi

の語頭が

re-

ではなく、

ri-

となっているからであろう。しかし、

re-

エスペラントでは「再び」を意味する接頭辞として使用される形態であるため、

(10)

- 22 -

それと区別するために、すでに固定した語として借用するとき、意図的に語頭

re-を ri-

に変える場合がある。この

ricevi

ri-もそれであると考えられる。

したがって、この小論ではフランス語

recevoir

ricevi

の語源として数えた。

同様に、

Cherpillod

ribeli (反乱する)

の語源をイタリア語

ribelle (反逆心

のある

)

としているが、これは「反乱する」がラテン語では

rebellare

、フラン

ス語では

rebeller、英語では rebel

であって、すべて語頭が共に

re-

で始まっ

ているのに対して、イタリア語では

ribellare

となって、語頭がエスペラント の場合と同じ

ri-

であるためだと考えられる。エスペラントで元の言語の

re-

ri-

と変えられている例はいくつかあり、例を挙げれば、

rifuzi (

拒絶する

)

rigardi (

眺める

)

rilati (

関係する

)

rimarki (

気づく

)

rimedo (

手段

)

ripari (

理する

)

ripeti (

繰り返す

)

ripozi (

休養する

)

riproĉi (

とがめる

)

などがある。

したがって、

ribeli (反乱する)

の語源として、語頭が

ri-

であるからといって、

他の言語より優先させてイタリア語

ribelle

を挙げる理由はなくなるのである。

この小論では、ロマンス諸語の元であるラテン語

rebellare

ribeli

の語源と して数えた。

エスペラント

havi (

持つ

)

に関しては、

Rajki

やヤマサキの語源辞典が語源 を英語の

have

としているように、語源を英語と考えることもできる。しかし、

この小論では語源としてラテン語の

habere

を挙げた。実は、

have

に対忚する 語は、ラテン語系の言語とゲルマン系の言語に広く分布している。英語

have、

ドイツ語

haben

などのほか、ラテン語

habere

に由来する語として、イタリア

avere

、フランス語

avoir

、カタロニア語

haver

などがある。

Cherpillod

語源辞典はエスペラントの

havi

が、ラテン語

habere

と、英語

have

およびド

イツ語

haben

との混成であるとしている。この小論では語源として一つの言語

を数えるという方針なので、語源がラテン語であるとして数えた。

語源となっている言語を数える際に、以上説明した優先順位にしたがって、

フランス語とイタリア語に類似した形がある場合、語源をフランス語として数 えた語に次のようなものがある。

(11)

- 23 -

manĝo (

食事

) (F. manger, It. mangiare); mondo (

世界

) (F. monde, It.

mondo); paroli (話す) (F. parole, It. parola); peni (努める) (F. peiner, It.

penare); pensi (

考える

) (F. penser, It. pensare); pesi (

~の重さを計る

) (F.

peser, It. pesare); piedo (足) (F. pied, It. piede); saĝa (賢明な) (F. sage, It.

saggio); tuta (

全部の

) (F. tout, It. tutto)

など。

フランス語と英語に類似した形があり、フランス語を優先させて語源をフラ ンス語として数えた語に次のようなものがある。

brava (F. brave, E. brave); dezir (

欲する

) (F. desirer, E. desire); moki (

あざ ける

) (F. moquer, E. mock); obei (

従う

) (F. obeir, E. obey); pala (

青ざめた

) (F. pâle, E. pale); pentri (

描く

) (F. peintre, E. paint); plezuri (

楽しむ

) (F.

plaisir, E. pleasure); princo (君主、王子) (F. prince, E. prince); ŝoki (ショ

ックを与える

) (F. choquer, E. shock); supozi (

仮定する

) (F. supposer, E.

suppose)

など。

ドイツ語と英語に類似した形があり、ドイツ語を優先させて語源をドイツ語 として数えた語に次のようなものがある。

baki (焼く) (G. backen, E. bake); haltigi (止める) (G. halten, E. halt);

hasto (大急ぎ) (G. hasten, E. haste); lando (国土) (G. Land, E. land); sendi (送る) (G. senden, E. send)

など。

イタリア語と英語に類似した形があり、イタリア語を優先させて語源をイタ リア語として数えた語に、provi (It. provare, E. prove) などがある。また、

oficiro (

将校

) (F. officier, G. Offizier)

ではドイツ語よりフランス語を優先させ、

polvo (塵) (It. polvere, S. polvo)

ではスペイン語よりイタリア語を優先させた。

使用語数をカウントする場合、次のような方針を取った。たとえば、

trinki (

む)

trinko (飲むこと)

のように品詞が異なる語は、たとえ語根が同じであっ

ても、別語として数えた。複数語尾

-j

や対格語尾

-n

-jn

などは、それらを取

(12)

- 24 -

り去った形で数えた。動詞に関しては、

-as

-is

-os

-us

-u

などの語尾は、

-i

に直した形で数えた。それ以外の接尾辞が付いた語は、接尾辞が異なれば、

おおむね別語として数えた。接頭辞については、接頭辞が異なれば別語として 数えた。エスペラントの単語はふつう「接頭辞+語根+接尾辞+語尾」のような 構造になることが多いが、語源を数える場合、語根のみを問題とした。複数の 語根を持つ合成語の場合は、調査のカウントからは除外して、語源に関しては 別に示すこととした。なお、厳密には合成語であっても、後半に意味の重点が あり、前半がほとんど接頭辞と見なされ得る

mez|nokt|o (真夜中)

sin|mort|ig|o (

自殺

)

などは合成語の中には入れず、派生語として扱い、中心

となる語根

(

下線部

)

の語源について数えた。同じ語が複数回重複して現れる 場合は、

1

種類、すなわち

1

語として数えた。

また、人名、国名、地名などの固有名詞は除外した。繰り返し使用されてい る機能語などの基本的な語については、調査から除外した。除外した基本語は 次の約

125

語である。ただし、基本語に語尾が付いた

post|e

などに関しては、

調査のカウントに含めた。

ajn, al, aliaj, ankaŭ, ankoraŭ, antaŭ, apud, aŭ, ĉar, ĉe, ĉi, ĉiam, ĉie, ĉio, ĉiu, ĉiuj, ĉu, da, de, eĉ, de, do, dum, ekster, el, en, fi, for, ĝi, ĝin, ĝis, ha, ho, iam, ili, iliaj, inter, ia, io, ion, ja, je, jen, jes, kaj, ke, kelka, kelke, kia, kial, kiam, kie, kiel, kio, kiom, kion, kiu, kiujn, kiun, kontraŭ, kun, kvazaŭ, l’, la, laŭ, li, lia, lian, lin, mem, mi, mia, mian, min, ne, nek, neniam, nenian, nenio, neniun, ni, nia, nian, nin, nu, nun, nur, ol, oni, per, plej, pli, plu, por, post, pri, pro, ŝi, ŝian, se, sed, sen, sia, sian, sin, sur, tamen, tia, tial, tiam, tie, tiel, tio, tiom, tion, tiu, tiuj, tiun, tra, tre, tro, vi, via, vian, vin

台詞の話し手を示す人名、ト書きはすべて調査から除外し、純粋に台詞の部 分のみを取り上げた。『ハムレット』第

2

幕、

2

場について、ザメンホフ訳の総 使用語数は

1857

語である。これから固有名詞および上に挙げた基本語を除外

(13)

- 25 -

すると、ザメンホフ訳の場合、使用語数は

860

語となり、重複を排除すれば、

336

語が使用されている。一方、ニューエル訳の第

2

幕、2場の総使用語数は

1730

語である。これから固有名詞と基本語を除外すると、ニューエル訳の場 合、使用語数は

789

語となり、重複を排除すれば、479 語が使用されているこ とになる。

語根を

2

個重ねた合成語がザメンホフ訳では

5

語、ニューエル訳では

11

使用されている。これらの合成語を除いた、ザメンホフ訳

331

語、ニューエル

468

語について、それらの語源を調査した。これらの語のうちで、両訳で共 通に使用されている語の数は

101

語である。共通に使用されている語は、割合 で示すと、ザメンホフ訳で

30.5%

、ニューエル訳で

21.6%

となる。『ハムレッ ト』の同じ箇所のエスペラント訳としては、両訳間に同じ語の割合が少ないと いう印象を受ける。この両訳で共通に使用されている語の割合が少ないという ことは、おそらく両訳書全体について言えることであろう。

『ハムレット』第

2

幕、2場で使用されているザメンホフ訳

331

語、ニュー エル訳

468

語に関して、それらの語の語根の語源についての調査の結果は、次 の通りである。

ザメンホフ訳

:

ラテン語

214

語 (64.7%) フランス語

74

(22.4%)

イタリア語

10

語 (3.0%) ドイツ語

20

(6.0%)

英語

10

語 (3.0%) イディッシュ

3

(0.9%)

ニューエル訳:

ラテン語

294

(62.8%)

フランス語

104

(20.2%)

イタリア語

22

(4.7%)

(14)

- 26 -

ドイツ語

27

(5.8%)

英語

13

語 (2.8%) イディッシュ

4

(0.8%)

ギリシア語

2

語 (0.4%) ロシア語

1

(0.2%)

ポーランド語 1語 (0.2%)

ザメンホフ訳とニューエル訳では、

7

8

割で互いに異なる語彙が使用されて いるにもかかわらず、その語根の語源の割合は驚くほど近いことが分かる。共

6

割以上の語の語源はラテン語であり、

2

割以上の語源がフランス語である。

ラテン語、フランス語、イタリア語をまとめてラテン語系言語と考えれば、ザ メンホフ訳の場合、ラテン語系言語は

298

語となり、

90.0%

を占めていること が分かる。また、ニューエル訳では、ラテン語系言語は

420

語であり、89.7%

を占めている。つまり、両訳共に、ほぼ

9

割の語がラテン語系言語を語源とし て持つことになる。

それに対して、ドイツ語はザメンホフ訳では

6.0%

、ニューエル訳では

5.8%

と、ともに

6%程度であり、英語はザメンホフ訳では 3%、ニューエル訳では 2.8%

である。ドイツ語と英語を合わせても、それぞれの訳で

9%

程度にしかな らない。また、上記の言語以外の割合は、ザメンホフ訳ではイディッシュだけ なので、

0.9%

、ニューエル訳ではイディッシュ、ギリシア語、ロシア語、ポー ランド語を合わせて、1.7%となる。

以上の調査から、エスペラントの語彙は、一見英語に近いように見えるにも かかわらず、実際には、6割以上がラテン語から採られた語根でできているこ とが分かる。また、フランス語が占める割合も、予想外に大きく、

2

割以上と なっている。したがって、ラテン語とフランス語で、エスペラントの語根の

8

割以上を占めていることが分かる。

ザメンホフは、ドイツ語教師であった父親の影響もあり、ポーランド語、イ ディッシュ、ロシア語に加えて、ドイツ語も学校時代から自由に話すことがで

(15)

- 27 -

きた。母語話者以外では使用する人の少ないポーランド語、イディッシュ、ロ シア語は別として、ドイツ語がエスペラントの中にもっと多く取り入れられて いるのではと予想したくなる。しかしこの予想に反して、エスペラントにおけ るドイツ語の割合は数パーセントに留まり、意外と少ないのである。ザメンホ フが、共通語としてのエスペラントの語彙としてラテン語が最も適当であり、

ラテン語に次いでは、ドイツ語ではなく、フランス語が広く理解される言語で あると考えていたことが分かる。

『ハムレット』第

2

幕、2場の両訳で用いられている実際の語を次に示して おく。括弧内に記載した単語は、エスペラント単語の意味の中心となっている 語根部分の語源を示す。なお、下線を付けた語はザメンホフ訳とニューエル訳 の両方に見られる語である。

≪ザメンホフ訳≫

ザメンホフ訳に見られるラテン語語源の語根を持つ語 (214語):

abomeninda (

いやらしい

) (L. abominari); adulto (

不倫

) (L. adulterari);

agado (

行動

) (L. agere); akcepti (

受け入れる

) (L. acceptare); akvo (

) (L.

aqua); alporti (

持ってくる

) (L. portare); alpreni (

採用する

) (L. prendere);

alta (高い) (L. altus); alvivi (~に生きる) (L. vivere); amanta (愛している) (L. amare); ami (愛する) (L. amare); ambaŭ (両方) (L. ambo); amika (友達

の) (L. amicus); amo (恋) (L. amare); aperi (現れる) (L. apparere); apero

(

出現

) (L. apparere); armi (

武装させる

) (L. armare); aroganta (

尊大な

) (L.

arrogans/-ntis); atesti (

証言する

) (L. attestari); aŭskulti (

聴く

) (L.

auscultare); bele (

美しく

) (L. bellus); besta (

獣のような

) (L. bestia); bone (よく) (L. bonus); bono (善) (L. bonus); cedo (譲歩) (L. cedere); cento (百) (L. centum); ĉesi (やむ) (L. cessare; ĉesi

の語頭の ĉ- 音は

It. cessare

の発 音に倣ったもの

); dece (

ふさわしく

) (L. decere); decidi (

決心する

) (L.

decidere); decido (

決心

) (L. decidere); depremi (

押さえる

) (L. premere);

dispono (

自由裁量

) (L. disponere); disporti (

ばらまく

) (L. portare);

(16)

- 28 -

dispremi (

押しつぶす

) (L. premere); doni (

与える

) (L. donare); dubi (

疑う

) (L. dubium); efektivaĵo (現実) (L. effectivus); efektive (実際に) (L.

effectivus); ekonomio (

節約

) (L. oeconomia); ekstera (

外の

) (L. exterus);

eksteraĵo (外面) (L. exterus); eksterorda (秩序をはずれた) (L. ordo);

ekturmenti (

いじめる

) (L. tormentum; ekturmenti

-u-

音は

F.

tourmenter

の母音の発音に倣ったもの); ekzisti (存在する) (L. existere;

ekzisti

-z-

音は

F. exister

の発音に一部倣ったもの

); elaŭskulti (

最後ま で聞く) (L. auscultare); eluzi (使い切る) (L. usare; eluziの -z- 音は

F. user, It. usare

などの発音に倣ったもの

); enterigo (

埋葬

) (L. terra); esti (

~であ

) (L. est); facile (

容易に

) (L. facilis); fandiĝi (

溶ける

) (L. fundere; fandiĝi

-a-

音は

fundo (

)

と区別するため

); feliĉa (

幸福な

) (L. felix/-icis; feliĉa

の -ĉ- 音は

It. felice

の発音に倣ったもの); fervoro (熱意) (L. fervor); fidele

(

忠実に

) (L. fidelis); fino (

終わり

) (L. finis); forrapidi (

急いで立ち去る

) (L.

rapidus); forte (強く) (L. fortis); forto (強さ) (L. fortis); frato (兄弟) (L.

frater); frunto (

) (L. frons/-ntis; frunto

-u-

音は

fronto (

正面

)

と区別す るため

); funebro (

) (L. funebris); gesto (

身振り

) (L. gestus); guto (

しず

) (L. gutta); ĝemo (

うめき声

) (L. gemere; ĝemo

-ĝ-

音は、

gemo (

宝石

)

と区別するために

F. gémir, It. gemere

の発音に倣ったもの); havi (持って いる) (L. habere); herbo (草) (L. herba); heredantino (女相続人) (L.

hereditare); homa (人間の) (L. homo); indo (価値) (L. endus); infano (幼児) (L. infans); intenco (

意図

) (L. intentio); interne (

内部で

) (L. internus); iri (

行く

) (L. ire); juste (

正しく

) (L. justus); ĵuri (

誓う

) (L. jurare;

語頭の

ĵ-

は、

juro (

)

と区別するために

It. giurare, F. jurer

の発音に倣ったもの

);

kalkulado (計算) (L. calculare); kalkuli (計算する) (L. calculare); kapo (頭) (L. caput); kaŭzo (原因) (L. causa; kaŭzo

の-z- 音は、

F. cause, E. cause, It.

causa

などの発音に倣ったもの

); kolego (

同僚

) (L. collega); kompari (

比較 する

) (L. comparare); konveni (

ふさわしい

) (L. convenire); koro (

) (L.

cor); korpo (

) (L. corpus); kredigi (

信じさせる

) (L. credere); kredi (

信じ

(17)

- 29 -

) (L. credere); krima (

犯罪の

) (L. crimen); krimo (

犯罪

) (L. crimen);

kune (一緒に) (L. cum; kune

の -n- 音は

It. con

の -n に倣ったもの);

kunvoki (

呼び集める

) (L. vocare); laboro (

労働

) (L. laborare); levi (

持ち上 げる) (L. levare); leĝo (法) (L. lex/legis; leĝoの -ĝ- 音は

legi (読む)と区別す

るために

It. legge

の発音に倣ったもの

); libera (

自由な

) (L. liber); liberigi (自由にする) (L. liber); ligi (結ぶ) (L. ligare); ludi (演じる) (L. ludere);

lumo (

) (L. lumen); majesta (

堂々とした

) (L. majestas); malafabla (

愛想 の悪い) (L. affabilis); malamiko (敵) (L. amicus); malbela (醜い) (L.

bellus); maldiligenteco (

怠惰

) (L. diligens/-ntis); maljuna (

年取った

) (L.

juvenis, junior); mallevi (

下げる

) (L. levare); maltrankviligi (

不安を抱か せる

) (L. tranquillus); memoro (

記憶

) (L. memoria); minaci (

脅す

) (L.

minax/-acis); miro (驚き) (L. mirari); mistera (不可解な) (L. mysterium);

momento (

瞬間

) (L. momentum); moro (

風習

) (L. mos/moris); mortigi (

す) (L. mors/mortis); mortinto (死者) (L. mors/mortis); moveto (微動) (L.

movere); multa (

多くの

) (L. multus); murego (

城壁

) (L. murus); naturo (

) (L. natura); necese (

必然的に

) (L. necesse); necesigi (

必要にする

) (L.

necesse); nematura (

未熟な

) (L. maturus); nerapida (

低速の

) (L. rapidus);

nokto (夜) (L. nox/noctis); nomi (名付ける) (L. nomen); nomo (名前) (L.

nomen); nubo (雲) (L. nubes); okazi (起こる) (L. occasio; okazi

の -z- 音は

kaso (金庫)

の発音とではなく、kazo (訴訟、事例、場合) の発音と呼忚す

るように、

F. occasion, It. occasione

の発音に倣ったもの

); okulo (

) (L.

oculus); ordinara (

普通の

) (L. ordinarius); ordo (

順序

) (L. ordo); palpebro (

) (L. palpebra); pasie (

情熱的に

) (L. passio); pasi (

通過する

) (L. passus);

patrino (母) (L. pater); paŝo (歩み) (L. passus; paŝo

の -ŝ- 音は

pasi (通過

する)と区別するため); peko (罪) (L. peccare); perdi (失う) (L. perdere);

perdiĝi (

失われる

) (L. perdere); perei (

滅びる

) (L. perire); perfekte (

完璧

) (L. perfectus); persono (

人物

) (L. persona); petegi (

嘆願する

) (L.

petere); peto (

頼み

) (L. petere); plejpotenca (

全能の

(

)) (L. potentia);

(18)

- 30 -

plena (

満ちた

) (L. plenus); plenigi (

満たす

) (L. plenus); plenumi (

実行す る) (L. plenus); ploro (泣くこと) (L. plorare); popolo (人民) (L. populus);

porti (

持って行く

) (L. poltare); postulo (

要求

) (L. postulare); potenca (

強力 な) (L. potentia); prediki (説く) (L. praedicare); prepariĝo (準備) (L.

praeparare); proksima (

近い

) (L. proximus); proksime (

近く

) (L.

proximus); rapidi (急ぐ) (L. rapidus); rapide (速く) (L. rapidus); redoni (

返す

) (L. donare); reiri (

再び行く

) (L. ire); rekompenci (

報いる

) (L.

recompensare; rekompenci

の -c- 音は、

n

音に続く発音を容易にするため と考えられる

); respekti (

尊敬する

) (L. respectus); respondi (

返答する

) (L.

respondere); resti (

残る

) (L. restare); reteni (

押さえる

) (L. tenere); reviziti (

再訪する

) (L. visitare; reviziti

-z-

音は

F. visiter, It. visitare, E. visit

などの発音に倣ったもの); ribelo (反乱) (L. rebellare); saluto (挨拶) (L.

salutare); sciigi (

知らせる

) (L. scire); sekreto (

秘密

) (L. secretum);

sekvanta (後に続く) (L. sequi); sekve (したがって) (L. sequi); sekvi (後に

ついて行く

) (L. sequi); senco (

意味

) (L. sensus; senco

-c-

音は

senso (

)

と区別するため

); sendube (

疑いなく

) (L. dubium); senescepte (

例外な

) (L. exceptare); senkonsoleco (

慰めのなさ

) (L. consolari); senprudenta (分別のない) (L. prudens/-ntia); serioza (まじめな) (L. seriosus; serioza

-z-

音は

F. serieuse

の発音に倣ったもの); serioze (まじめに) (L. seriosus);

servema (世話好きな) (L. servire); servi (仕える) (L. servire); servo (サー

ビス

) (L. servire); ses (

) (L. sex; ses

において語末が

-ks

音ではなく、

-s

音になっているのは、

F. six [sis]

の発音に倣ったもの

); sigelo (

) (L.

sigillum; sigeli

-el-

音は、道具を示す接尾辞

-il-

との混同を避けるため

G. Siegel (印)

の -elに倣ったもの); signo (合図) (L. signum); silentego

(静寂) (L. silentium); silenti (黙っている) (L. silentium); simila (よく似た) (L. similis); simili (

似ている

) (L. similis); skribo (

書き物

) (L. scribere);

spirito (

精神

) (L. spiritus); subite (

突然に

) (L. subitus); sufero (

苦しみ

) (L.

sufferre); sulkiĝi (

しわを寄せる

) (L. sulcus); tempo (

時間

) (L. tempus);

(19)

- 31 -

teni (

保つ

) (L. tenere); tera (

地上の

) (L. terra); terure (

恐ろしく

) (L.

terror); teruri (恐れさせる) (L. terror); timo (恐れ) (L. timere); trankvile (

平静に

) (L. tranquillus); trankviligi (

静める

) (L. tranquillus); transiri (

えて行く) (L. ire); trono (玉座) (L. thronus); vagadi (さまよう) (L. vagari);

veni (

来る

) (L. venire); venena (

毒の

) (L. venenum); venki (

打ち勝つ

) (L.

vincere; venki

の -e- 音は

F. vaincre

の母音に倣ったもの); vereco (真実性)

(L. verus); vesto (

) (L. vestis); vidi (

見る

) (L. videre); vido (

見ること

) (L.

videre); virino (女) (L. vir); vivi (生きている) (L. vivere)

ザメンホフ訳に見られるフランス語語源の語根を持つ語

(74

):

afero (物事) (F. affaire); aranĝi (手配する) (F. arranger); batalilo (武器) (F.

battaile); brava (

勇敢な

) (F. brave); buŝo (

) (F. bouche); ĉerko (

) (F.

cercueil); devi (~しなければならない) (F. devoir); devo (義務) (F. devoir);

deziri (

欲する

) (F. desirer); ekkrii (

叫び声を上げる

) (F. crier); ekparoli (

し始める) (F. parole); ekpensi (思いつく) (F. penser); eldevigi (強請る(ゆす る)

) (F. devoir); fantomo (

亡霊

) (F. fantôme); fojo (

) (F. fois); garde (

見張っ て) (F. garder); gardi (見張る) (F. garder); gardo (見張り) (F. garder); ĝojo

(

喜び

) (F. joie); halebardo (

矛槍

) (F. hallebarde); kolero (

怒り

) (F. colère);

kovri (覆う) (F. couvrir); krevi (張り裂ける) (F. crever); larmaro (涙) (F.

larme); larmo (

) (F. larme); malbenaĵo (

呪われたもの

) (F. bénir);

malbeni (呪う) (F. bénir); malĝoji (悲しむ) (F. joie); malsaĝo (愚か) (F.

sage); maniero (

やり方

) (F. manière); marŝo (

行進

) (F. marcher); mateno (朝) (F. matin); mensogi (嘘をつく) (F. mensonge); mezuro (寸法) (F.

mesurer); moki (

あざける

) (F. moquer); montri (

示す

) (F. montrer); nevo (おい) (F. neveu); obea (服従した) (F. obéir); obei (従う) (F. obéir); oficiro (

将校

) (F. officier); ombro (

) (F. ombre); ordono (

命令

) (F. ordonner);

orelo (耳) (F. oreille); paroli (話す) (F. parole); peni (努める) (F. peiner);

pensi (

考える

) (F. penser); pesi (

~の重さを計る

) (F. peser); plendi (

苦痛を

(20)

- 32 -

訴える

) (F. plaindre); plezuri (

楽しむ

) (F. plaisir); plezuro (

楽しみ

) (F.

plaisir); povi (~することができる) (F. pouvoir); preta (準備のできた) (F.

prêt); princo (

君主、王子

) (F. prince); rakonti (

語る

) (F. raconter); raporti (報告する) (F. rapporter); renkonti (出会う) (F. rencontrer); renversiĝi (ひ

っくり返る

) (F. renverser); ricevi (

受け取る

) (F. recevoir); rifuzi (

拒絶する

) (F. refuser); rigardi (眺める) (F. regarder); rigardo (まなざし) (F.

regarder); sopiri (

あこがれる

) (F. soupirer); sovaĝa (

野生の

) (F. sauvage);

supozi (仮定する) (F. supposer); teraso (高台) (F. terrasse); tombo (墓) (F.

tombe); trompi (

欺く

) (F. tromper); tuje (

すぐに

) (F. tout de suite); turni (

向ける

) (F. tourner); tuta (

全部の

) (F. tout); verŝi (

注ぐ

) (F. verser; verŝi

-ŝ-

音は

versi (

詩を作る

)

と区別するため

); verŝegi (

大いに注ぐ

) (F.

verser); vizaĝo (顔) (F. visage); vojo (道) (F. voie)

ザメンホフ訳に見られるイタリア語語源の語根を持つ語

(10

):

almenaŭ (少なくとも) (It. almeno); estro (長) (It. maestro); fariĝi (~にな

る、生じる

) (It. fare); festeno (

祝宴

) (It. festino; festeno

-en-

は、女性 を示す接尾辞 -in- との混同を避けるため); malpermesi (禁じる) (It.

permesso); permesi (

許可する

) (It. permesso); polvo (

) (It. polvere);

provi (試す) (It. provare); refarebla (やり直しがきく) (It. fare); sinjoro (紳

) (It. signore)

ザメンホフ訳に見られるドイツ語語源の語根を持つ語

(20

):

danko (

感謝

) (G. danken); disflugiĝi (

飛び去る

) (G. Flug); flugi (

飛ぶ

) (G.

Flug); fremda (

異国の

) (G. fremd); hejme (

自宅で

) (G. Heim); lando (

国土

)

(G. Land); lernejo (学校) (G. lernen); lerni (学ぶ) (G. lernen); monato (月)

(G. Monat); pafilego (大砲) (G. paff); pokalo (杯) (G. Pokal); postene (持ち

場について

) (G. Posten); sencela (

目的のない

) (G. Ziel; sencela

-cel-

Pol. cel

に倣ったもの

); sendi (

送る

) (G. senden); ŝajni (

~と見える

) (G.

(21)

- 33 -

scheinen); ŝuldo (

負債

) (G. schulden); ŝuo (

短靴

) (G. Schuh); tago (

) (G.

Tag); varmega (暑い) (G. warm); vorto (言葉) (G. Wort)

ザメンホフ訳に見られる英語語源の語根を持つ語

(10

):

freŝa (新鮮な) (E. fresh); ĵus (たった今) (E. just); lasta (最後の) (E. last);

preterŝovi (

そばに押しやる

) (E. shove); rajto (

権利

) (E. right); rivero (

) (E. river); serĉi (捜す) (E. search); strange (妙に) (E. strange); tondro (雷) (E. thunder); tondri (

雷鳴する

) (E. thunder)

ザメンホフ訳に見られるイディッシュ語源の語根を持つ語

(3

):

edzino (

) (Y. ); edziĝi (

男性が結婚する

) (Y. ); edziĝo (

結婚

) (Y. )

ザメンホフ訳に見られる合成語

(5

):

dek|du|a (12

番目の) (L. decem+L. duo); du|on|nigr|e-griz|a (半分黒が 混じった灰色

) (L. duo+L. niger/nigra+F. gris, grise); edziĝ|o|fest|a (

結婚 祝いの) (Y+L. festus); nokt|o|meza (真夜中) (L. nox/noctis+It. mezzo);

propr|a|vola (

自発的な

) (L. proprius+L. volere)

≪ニューエル訳≫

ニューエル訳に見られるラテン語語源の語根を持つ語 (294語):

absurda (

不合理な

) (L. absurdus); afabla (

愛想のよい

) (L. affabilis);

aflikto (苦悩) (L. afflictum); ago (行為) (L. agere); akcepti (受け入れる) (L.

acceptare); akviĝi (

水になる

) (L. aqua); ama (

恋の

) (L. amare); amiko (

) (L. amicus); ami (愛する) (L. amare); amo (恋) (L. amare); animo (魂) (L.

anima); aperaĵo (

幽霊

) (L. apparere); aperi (

現れる

) (L. apparere); apetito (食欲) (L. appetitus); arĝentiĝi (銀になる) (L. argentum; arĝentiĝi

の最初

-ĝ-

音は

F. argent, It. argento

の発音に倣ったもの

); armaĵo (

甲冑

) (L.

armare); armi (武装させる) (L. armare); atenti (気づく) (L. attentus);

atesti (

証言する

) (L. attestari); barbo (

あごひげ

) (L. barba); bela (

美しい

)

参照

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