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(杉浦 正昭)論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(杉浦 正昭)論文内容の要旨

主 論 文

Insect spiracle as the main penetration route of pyrethroids

ピレスロイドの主要な浸透経路としての気門の重要性 杉浦正昭 堀部宜裕 川田均 高木正洋

Pesticide Biochemistry and physiology・91 巻 135―140 2008 年

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:高木正洋教授)

緒 言

殺虫剤の昆虫体内への侵入経路としては経口摂取、経皮浸透、経気門吸入等が知られ ているが、どの侵入経路が最も重要であるかは殺虫剤の剤型により異なる。一方、エ アゾール剤はベクターコントロール製剤として最も広く使用されている剤型の1つ であるが、内容物に揮発性有機溶剤を使用しているため、地球環境への負荷軽減のた めには使用量をできるだけ最小限にとどめることが望まれている。このためには、少 量の使用でも十分高い効力が得られるよう、より効率的な処理方法を開発する必要が あるが、虫体への主要な侵入経路については十分解明されていない。

本研究では、より環境負荷の少ないベクターコントロール製剤を提供するため、エア ゾール剤を虫体に噴霧した場合の最も効力の高い部位、および効力発現にとって主要 な薬剤の侵入経路についての基礎的な知見を明らかにした。

対象と方法

対象昆虫:チャバネゴキブリ雌成虫

方法:ピレスロイドを含有する殺虫エアゾールの原液を、マイクロインジェクターを 用いて虫体の各部位に微量滴下し、ノックダウンまでの時間を測定することで各部位 の感受性を比較した。

また、ピレスロイドを含有する殺虫エアゾールを噴霧した供試虫の切片を、走査電顕 と X 線マイクロアナライザー統合システムを用いて観察し、虫体各部位の薬剤浸透量 を測定した。

結 果

ピレスロイドを含有する殺虫エアゾール原液の虫体各部位への微量滴下において、昆 虫の体表面上で最も感受性の高い部位は中胸気門であり、これ以外で最も感受性の高 かった胸部腹面と比較して約 1/20 のピレスロイド処理量で同等のノックダウン効果 が得られた。また、頭部背面、胸部背面、腹部などは、エアゾール直接噴霧時の薬剤 付着量と同量の薬剤が付着してもノックダウン効果の得られない部位であった。腹部 気門上への処理ではノックダウン効果が認められ、腹部の他の部位より感受性は高か ったが、中胸気門、胸部腹面より感受性は低かった。

中胸気門の片側をラッカーにて閉塞した供試虫に対してエアゾールを直接噴霧した 場合のノックダウン効果は、閉塞しないものと比較して大きく低下した。

(2)

エアゾールを直接噴霧後の供試虫の体内に浸透したピレスロイドの量は、中胸気門の 表皮内側周辺への浸透量が、胸部腹面の体表皮内側への浸透量より有意に多かった。

エアゾールのノックダウン効果は使用する溶剤の種類によっても異なるが、直接噴霧 において効果の低い溶剤では、中胸気門内へのエアゾール原液処理においても効果の 高い溶剤と比較してノックダウン効果は低かった。また、効果の低い溶剤を用いたエ アゾールを直接噴霧した場合の中胸気門表皮内側周辺のピレスロイド浸透量は、効果 の高い溶剤の場合より少なかった。

考 察

中胸気門が昆虫の体表上では最も感受性の高かったこと、中胸気門の片側を閉塞した 供試虫に対してエアゾールを直接噴霧した場合のノックダウン効果は大きく低下し たこと、およびエアゾールを直接噴霧後、中胸気門の表皮内側周辺へのピレスロイド 浸透量が、胸部腹面の体表皮内側への浸透量より有意に多かったことから、ピレスロ イドを含有する殺虫エアゾールを直接噴霧した場合、最もノックダウン効果の発現に 関与しているのは中胸気門から侵入し、さらにその表皮から浸透した薬剤であると考 えられる。気門から侵入後、直接中枢神経に到達した薬剤も効力発現に関してある程 度役割を果たしていると考えられるが、効力の低い溶剤では気門内への処理において、

効力、浸透量がともに低かったことから、気門表皮から浸透した薬剤の方が重要な役 割を担っていると考えられる。

以上の知見より、エアゾール剤のより効率的な処理方法を開発するための技術的な方 向性として、虫体への付着性を高めることはもとより、付着後の薬剤を速やかに気門 に流入させる技術、および気門表皮からの浸透を促進させる技術の開発が重要と考え られる。

参照

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