茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)37号(1988)35−51 35
被服構成学についての諸問題
徳 蔵 き み*
(1987年9月12日受理)
Problems on Clothing Construction
Kimi TOKURA*
(Received September 12,1987)
1 はじめに
現代の社会は,国際化情報化,老齢化が進む一方,ニューメディアの導入により生活全般にわ たって大きく変化しつ、ある。家庭生活では,家庭の機能の変化にともなう家族問題,家庭経済,
家庭技術,そして青少年の教育問題など多くの問題が発生している。これらの問題を解決するため に課せられた家政学や家庭科教育は,今後ますます重要なものとなり,新しい時代に即応した教育 内容,教育方法を一日も早く見出すことが,今後の最も大きな課題であると考えられる。
また国連で決議された,あらゆる形の性差別を撤廃する条約により,わが国では,男女雇用機会 均等法が実施されるようになった。このような情勢の中で,家庭科教育では,男女共修問題が一段
と活発に論議されるようになってきた。
男女共修問題でいつも問題視されるのは,被服領域,特に被服製作実習の分野である。被服製作 実習は,女性専科であるという認識が強く,また既製服中心の今の衣生活では,家庭での縫製技術 は必要なしという傾向もある。しかし,家庭科の被服製作分野や大学の被服構成学は,今日では,
科学的裏づけのもとに,全人教育の二端をになう教科としてとりあげられており,創造性を養う教 育として重要な位置をしめている。たゴそのことが,一般には理解されておらず,臨教審の教育改 革の中でも軽視されているようである。そこで今回は,被服構成学について,その現状と,学生の 被服構成学についての意識と実態を調査し,今後の被服構成学のあるべき姿を求めてみたいと考え
た。
皿 方 法
被服構成学については資料により;学生の実態については,被服構成学受講の学生を対象に,昭
* 茨城大学教育学部家政科被服学研究室
和62年5月10日〜20日の間アンケート用紙を配布し,留置法により調査,回収した。対象者の内訳,
回収率については本文に記載する。
皿 結果と考察
1.被服構成学の現状
(1)被服構成学の成立
被服構成学は,戦後生まれの新しい学問領域である。昭和23年に新制大学が発足し,大学の家政 学部に被服学科が設置されたとき,新しい学科として「被服工作および実習」という名がつけられた6
このことについて成田順氏は,Pr被服教育六十年の回顧』の中で,次のようにのべている。
『これは,旧制女子専門学校で主要な教科であった裁縫が前身である。「裁縫」は,布を裁ち,
縫い仕立てることがおもな教授内容であったため,大学の教授内容にふさわしくないということで,
「被服工作および実習」という教科で発足した。被服工作論は単に技をみがくだけでなく,科学的・
合理的研究にまたなければならない。着用に適する素材の研究はもとより,意匠学,色彩学を基礎 とした形態の構造の研究,また着用者の体型をはじめ,心理的な着心地や個性美の問題も重要であ る。一方,着用による社会への影響も大きく,さらに着用法や手入れ・保存などの管理面に関して も,現代の科学の進歩に適合した処理が必要である。もちろん被服経済に関することも見のがせな い問題であり,これら広範囲の事項は,従来の裁縫という概念では処理できなくなった。』
このように,大学での被服構成学は,自然科学,社会科学をはじめ,個性に関する科学を必要と した内容でなければならないとし,技術教育のみでなく,理論教育の必要な教科として生まれてき たものである。
新制大学の家政学部をはじめ,被服学科の新設について,その成立の経過をみると,すでに2)昭 和12年,教育改革を目的として教育審議会が設立し,昭和15年には,女子大学を創設し,女子に男 子と同様最高学府へ進学の必要性を認めたが,その時は,「家政に関する技術は,必要にせまら れれば短い期間でも会得することができる。家をもつためには大学教育はいらない。家政科はせいぜ い専門学校程度でよく,栄養とか衛生医学の教師は,それぞれ大学出の専門家を任命すれはよい。」
という意見もあり,新制大学設立の際にもこのような風潮がみられて,家政学部,被服学科の設置 の障害にもなった。しかし大学の発足後は,そのような意見は姿を消し,戦前の「裁縫」は「被服 工作および実習」という教科に生まれかわり,さらに研究が進められて,「被服構成学」と改称さ れ,今日に至っているものが多い。
② 被服構成学の独自性
被服構成学の3)研究対象は,人間生活における衣生活に関する諸問題である。被服はつねに自然 環境,社会環境をはじめ,文化的,歴史的環境に対応しながら,より美しく,より着心地よい豊か
な機能性を求められている。そのため,その研究領域には,異質の環境がつねに共存している。特 に被服構成学は,素材の選定一創造一構造一加工一人体着装という一連の方法によって組立てられ ているので,その色彩が強い。
素材では物の物性に関する自然科学的研究が必要であり,着装のためには,衣服の機能をはじめ,
徳蔵:被服構成学についての諸問題 37
衛生的研究も必要である。創造や着心地では心理的研究が,服装美については服装美学が必要であ る。さらに文化的な事実には服装史や風俗史等が必要になる。このように被服構成学は,多くの学 問の基礎の上に立った総合科学なのである。
被服構成学はまた,被服の他の分野と異なる独自性を有している。それは,被服を対象とする多 くの研究分野が,被服にみられるそれぞれの価値を目さした研究であるのに対し,被服構成学は,
価値の認識が直接の対象ではなく,O価値を成立させて行く過程を研究の対象としているということ
である。
被服は動物の皮膚や毛皮のように,自然環境に適応するように,自然に作られたものではなく,
自然環境,社会環境,文化的・歴史的環境など,多くの環境に適応するように,人間の技術によっ て作られた文化的所産である。それぞれの時代に適応した被服が作られるということは,その時代 に対応する人間の被服技術があるということで,その被服技術の研究が,被服構成学である。
(3)被服構成学の今日的課題
大学の独自性にもとついて開設されている被服構成学は,本学の場合,教員養成の立場から必修 教科として位置づけ,家庭科教員の資質の向上を目ざしている。家庭科は家政学を基盤として教育・
研究される教科であるので,家政学と家庭科教育は,密接な連携がなされていなければならない。
教員養成学部のカリキュラムについて,5)関東地区8大学の被服関係科目案および,単位数案をみる と次表のとおりである。
表1 関東地区8大学の被服関係科目および単位数案
必 修 選 択
授業内容 単位数 講・演・実 8大学単位数 授業内容 単位数 講・演・実 8大学単位数
被 服 学 2 講 服飾 美学 2 講
被服構成学実習 2 実 服 飾 史 2 講
被服材料学 2 講 6 〜 18 被服構成論 2 講
被服管理タ験・実習 1 実
被服構成実習 閨@ 芸
21 実実
5 〜 18
被服学演習 1 演 被服材料学 2 講 被服衛生学 2 講 被服管理実習 1 実
必修については教員免許法の定める教科の単位数を充足させている。しかし,単位数の充足のみ では,教員として不充分であるので,多くの選択科目が用意され,家庭科教員としての資質の向上
をねらっている。
本学でも同様である。
選択科目の中の被服構成学実習では,受講者が激減する傾向にあるといわれているが,本学の場 合はその傾向はみられない。
学生の中には,被服学について,小学校家庭科の被服領域,中学校家庭科の被服,高等学校家庭 科の被服と同一視している者が多く,また家政科と家庭科の相違についても理解せずに入学してく
る者が多い。さらに,被服構成学については,技術中心の教科と解している者が多い。
中学校技術・家庭,高等学校家庭の被服分野を,それぞれの学習指導要領をみると,基礎的なも のから段階的に,目的一計画一設計一製作一着装一評価にか、わりのある人間社会,自然環境や,
消費者問題家庭環境などを,それぞれ有機的に関連させて指導することになっているが,実際に はそれがうまくいっていないように思われる。被服領域で学習したことについて回答を求めると,
必ず,ブラウス,スカート,パジャマ,スモック,エプロン,小物,袋物という製作品名が返って きて,被服構成理論の分野の回答は極めてわずかである。これは,理論と製作技術が並行に行なわ れず,製作中心の学習であったことを物語っている。教員養成の機関としては反省させられる課題で ある。
一方,最近の衣生活は,既製品中心となり,自己生産の必要がなくなってきた。このような,衣 6)
カ活の変化にともない,被服製作技術は企業等の専門者の手によるところとなり,「般的にみて,
個々の技術は,生活上不必要の傾向がみられるとともに,学校教育の教科としても不必要視される 傾向がみられる。大学の被服構成学も,理論的なこと,科学的な面からの追求を主体とすべきであ るという考えが強い。そのため,被服製作技術が軽視され,被服構成実習時間の削減や,必修から 選択への移行など,実習軽視の影響がでている。これらは,家庭科教育の技術面での実力不足をき
たし,授業への不安感,それにともなう児童,生徒の不安感,家庭科ぎらいを起こさせる要因とも なり,家庭科不振の原因にも連なると思われる。教員養成における基礎的技術の徹底的習得は,欠
くことのできない課題であろう。
21世紀にむけての,教育改革の答申が,臨教審より出された。その教育改革基準のねらいをみる と,次のようである。
(1)豊かな心をもち,たくましく生きる人間の育成をはかる。
(2)自ら学ぶ意欲と,社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を重視すること。
③ 国民として必要とされる基礎的な内容を重視し,個性を生かす教育をはかる。
(4)国際理解を深め,わが国の文化と伝統を尊重する態度の育成を重視すること。
家庭科関係では,小学校家庭科,中学校技術・家庭科,高等学校家庭の内容について,家庭をと りまく環境や,社会の変化に対応し,男女が協力して家庭生活を築いていくことや,生活に必要な 知識と技術を修得させるという観点を配慮し,その内容および履修のありかたについて改善をはか
るとともに,実践的・体験的学習を一層充実する,というように,家庭の機能低下の回復をはかり,
家庭や家庭経済の大切さの理解や,老齢社会の到来に対する身辺処理能力と生活技術を身につける などが望まれている。
小学校家庭では,他教科や,中学校の技術・家庭科の関連性について,内容の見なおしがはから れ,中学校技術・家庭では,基礎的基本的な内容の指導の徹底をはかるという観点から,現行領域 についての内容の見なおしを行なうとともに,時代の進展,家庭の機能の変化に対応するため,新 に情報処理の基礎および,家族や家庭生活に関する領域が加えられている。これによって,その内 容は次のようになる。
木材加工,機櫨電気,栽培,情報処理(仮),被服,食物,住居,保育,家庭生活(仮)
上記領域から7領域以上履習させるものとする。その場合,生徒をとりまく生活環境や,家庭の 機能の変化に対応するため,木材加工,電気,食物,家庭生活の4領域については,すべての生徒 に履修させる。なお領域の構成や,内容および授業時数については,さらに具体的に検討する。
徳蔵:被服構成学についての諸問題 39
これにより,被服は必修4領域には含まれず,7領域履修の場合残り3領域の中にとり入れられ るという保障はないので,中学校では全く被服を学習しない場合も起り得る。
高等学校の家庭科については,次の方向で検討するとしている。
家庭一般については現行どおりの4単位とし,時代の進展を考慮して内容の見なおしを行なう。
家庭一般のほかに,生徒の多様な能力,適性,興味,関心等に応ずることができるようにするため,
新しい科目として,1列えば「生活技術」(仮称)「生活一般」(仮称)を設ける。これについては,
担当教員の確保,施設設備の整備等との関連を考慮しながら,おおむね次のように構想するが,具 体的内容については,引き続き検討する。
「生活技術」(仮称)
家庭生活に関する基礎的な知識とともに,家庭生活に必要な電気,機械,情報処理,園芸などの いずれかに重点をおいて習得する。
「生活一般」(仮称)
前半 家庭生活に関する基礎的な知識と技術を共通に習得させる。
後半 生徒の興味関心等に応じ,家庭生活に関する内容からいくつか選択して履修させ,家庭 に関する知識と技術をさらに深めて習得させる。
上記科目のうち一科目をすべての生徒に選択履修させることとする。たゴし「生活一般」(仮称)
を選択する場合,後半(2単位)の部分については,学校の実態からみて止むを得ないときは,当 分の間「生活一般」(仮称)と関係の深いと考えられる,例えば技術や情報に関する科目又は体育の 履習をもってかえることができるようにすることについて検討する。
この案をみると,家庭科目の男女共修という形が盛りこまれるようになったが,被服領域からみ ると, 「生活技術」(仮称)の中には被服技術は含まれておらず, 「生活一般」(仮称)も後半は技 術や情報処理,体育の履修で代替できることになっているので,家庭科を離れてしまい,こ、でも 被服領域,とくに男女共修での被服は削減され,被服教育軽視の風がみられる。そこで,7}日本家政 学会被服構成学部会では,昭和62年1月5日,文部省および教育課程審議会委員に,次のような要 望書を提出した。
1)被服教育の意義について……省略 2)小学校(家庭科)について
小学校低学年において,体験学習を重視した生活科設置の提言は好ましいことである。生活科の 内容については,たんに理科・社会の統合ということにとどまることなく,家庭生活を含めた総合 的,実践的内容にすることを要望する。その中に,手指の巧緻性を養うため,「編む」「結ぶ」な
ど,生活の中の技術の基礎が習得できるような配慮が必要である。
3)中学校(技術・家庭)について
「中間まとめ」での中学校(技術・家庭)では,11領域の中から,木材加工電気,機楓食物 および家庭生活の4領域について,すべての生徒に履習させることになっているが,生活の中で最 も身近な被服領域が入っていないので,これを加えて5領域とすることを要望する。被服領域では,
人体と被服との関係や,被服の機能を考え,それに適した被服の構造,材料,着装について理解さ せ,さらに,サイズの規格,被服の管理,衣料公害,衣料経済などの観点からも考えさせる。被服 製作を通して,これらのことを体験的に学ばせることは,手指の巧緻性の伸びる中学生の時期が特
に適していると考える。
4)高等学校(家庭科)について
「家庭一般」における被服領域の一層の充実をはかるとともに,新しく「生活技術」 (仮称)を 設ける場合には,その内容として,電気,機械,情報処理,園芸のほかに,被服を加えていただき たい。また「生活一般」 (仮称)では,共修する前半の部分の内容として衣生活の設計を,後半の 選択の部分には被服製作を加えて,被服製作を学びたいと希望している者に対して道をとざすこと のないよう要望したい。
上記の諸点を配慮のうえ,小中,高校を通して児童生徒の発達段階に応じ,実践的,体験的な 被服教育のできる教育課程基準の作成を要望する。
被服教育は,指導者によって左右されることが多いだけに,これからの教員養成での教育内容や 方法をはじめ,教員の現職教育などについても,見なおし,改善が急務である。
2.鯛 査
(1)調査対象者および方法
調査の対象は,本学教育学部家政科専攻生,専修生全員77名を対象として,昭和62年5月20日よ り30日の間にアンケートによって調査した。学生の内訳,回収率は表2のとおりである。
表2 調査対象および回収率
県内出身 県外出身 計 回 答 者
学 年 人数 % 人数 % 人数 % 人数 %
1 10 50.0 10 50.0 20 100 20 1000
2 16 88.9 2 11.1 18 100 16 8&8
3 18 90.0 2 10.0 20 100 17 85.0
4 13 68.4 6 31.6 19 100 17 89.5
計 57 74.0 20 26.0 77 100 70 90.9
②卒業後の志望
1年
ウ員養成の学部学生であるので,教員 650 350
志望の多いことは当然であるが,図1の 2年 875 125
ように,第1学年では教員以外の職業を
3年 765. 235
志す者が3割以上みられ,2年次以上の
学年にくらべて多い。 4年 706 235 5.9 1年次の調査時期が入学当初であった 計
743 186 57
ため,4年後の就職には実感がわかず, 口教員 目教員以外
圃進学 〔撫答
また,教員採用状況の不振,教員への不
図1卒業後の志望安感などの影響によるものと考えられる。
ド
徳蔵:被服構成学についての諸問題 41
4年次の場合は,教員採用試験を間近にひかえた時であり,教育実習の経験を経て,教師としての 適,不適性の自己判断を正確に確認した結果の回答と思う。
③ 被服構成学実習
1)被服構成学の好き嫌い
被服構成学を理論と実習の分野別に好き,嫌いをみてみると,表3,表4のとおりである。
表3 被服構成学の好き嫌い(実習)
す き き ら い どちらでもない 無 答 計
学 年 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 %
1 10 50.0 3 15.0 6 30.0 1 5.0 20 100
2 10 62.5 2 12.5 3 18.8 1 6.3 16 100
3 12 7α6 1 5.9 4 23.5 0 0 17 100
4 0 0 1 5.9 15 88.2 1 5.9 17 100
計 32 45.7 7 10.0 18 25.7 3 4.2 70 100
表4 被服構成学の好き嫌い(理論)
す き き ら い どちらでもない 無 答 計
学 年 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 %
1 1 5.0 11 55.0 8 40.0 0 0 20 100
2 2 12.5 0 0 13 81.3 1 6.3 16 100
3 2 1L7 4 23.5 10 58.8 1 5.9 17 100
4 4 23.5 1 59 12 70.6 0 0 17 100
計 9 12.9 16 22.9 43 6L4 2 2.9 70 100
表3,表4にみられるように,理論より実習が好きとする者が多く,とくに1年次に多い。また 理論はきらいも,1年次は他の学年にくらべて圧倒的に多い。4年次で1よどちらでもない斌理 論,実習とも最も多く,他の学年と異っている。また,実習より理論のほうに興味関心が強いよ うである。被服構成学は,理論と実習は共存すべきであり,両面の学習,研究が必要である。教科 担当者としては,4年次の実習が好き0%,理論が好き23.5%は反省すべき事項であると思う。
2)被服構成学の受講状況
被服構成学は,被服学の中でも最も伝統的教科であり,今日でも裁縫技術のみを伝授しているか のように認識されやすい。被服構成学は現代社会の中では必要ないもの,家庭の中でも必要度の最 も低いものとして,軽視さ礼批判されることが多い。従って,大学での受講にも大きく影響され やすいと考えられるカ㍉本学学生については,必修選択にかかわらず受講するとしている。なか でもこの傾向は,3年次に多い。 (表5)
表5 被服構成学の受講
受講する 必修でなければ講しない 無 答 計
学 年 人 数 % 人 数 % 人 数 % 人 数 %
1 16 80.0 3 15.0 1 5.0 20 100
2 13 81.3 3 1&7 0 0 16 100
3 15 88.2 1 5.9 1 5.9 17 100
4 13 76.5 2 11.7 2 1L7 17 100
計 57 81.4 9 12.9 4 5.7 70 100
3)被服構成学実習受講の理由 1 年 2 年 被服構成学実習を受講する理由をみる 50箔 50%
350 125
と,図2のように,教師としての責任か ら実力をつけるというより,一般教養と
750 750
してという理由を優先させている。
日本家政学会関東支部から出された8} Iao 125
「家政科教育に対する社会的要請」の中 50 250
間報告によると,家政科担当教師は,製 作実習の必要性をあげ,小学校では「手
ぬいの基礎と製作実習」を最も重視して 3 年 4 年 T0% 50%
いる。中学校では「ミシンぬいの基礎と
353 294
製作実習」に8割以上その必要性を認め,
高校でも「製作基礎と製作実習」に7割 471 588
以上その必要性を認めている。 235
176
このように,小,中,高いずれの段階
でも教育現場では,製作実習の必要性を 471 ユ17 認めているが,学生のうちは,学年進行 59 59
と同時に理論を実習より重視する傾向が
圏獅として口搬鞭 皿撃賢雰題[コ臭鵬 %・の他みられる。この傾向は本学においても同
様である。現代の学生気質であろうか。 図2 被服構成学受講の理由
(4)製作用具
用具のうち,裁縫箱とミシンの所有状況をみると,表6,表7のとおりである。裁縫箱は各学年 とも9割以上が自分のものを持っている。小学校ではじめて家庭科を学習するとき各自購入してい るのでこのような結果になったのであろう。ミシンは個人所有のものは極めて少なく,家族と共 用のものが大部分である。
徳蔵:被服構成学にっいての諸問題 43
表6 裁縫箱所有状況 表7 ミシン所有状況
自分のもの 家族・友
lと共有 無 答 計 自分のもの 家族。友lと共有 な し 計 学年 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 学年 人数 % 人数 % 人数 % 人数 %
1 19 95.0 1 5.0 0 0 20 100 1 0 0 6 30.0 14 70.0 20 100
2 15 93.7 1 6.3 0 0 16 100 2 0 0 10 62.5 6 37.5 16 100
3 16 93.1 0 0 1 5.9 17 100 3 1 5.9 11 64.7 5 294 17 100 4 16 93.1 1 5.9 0 0 17 100 4 0 0 9 52.9 8 47.1 17 100 計 66 94.3 3 4.3 1 1.4 70 100 計 1 1.4 36 51.4 33 47」 70 100
(5)製作状況
今までに製作した作品は,表8のとおりである。
表8 被服製作状況
学 小物
ワ物 エプロン パジヤマ スモック ブラウス スカート パンツ ゆかた
直線ぬい ヘおる@もの
あみもの その他
年 人数
%
人数
% 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 %
人数
% 人数 %
人数
%
人数
% 1 18 9α0 8 40.0
小 2 11 68.8 9 56.3 1 6.3
学 3 16 94.1 5 29.4
校 4 17 100 6 35.3
計 62 88.6 28 40.0 1 L4
1 20 100 20 100 1 5.0 3 15D 3 15.0
中 2 16 100 13 81.3 3 18.6 1 6.3
学 3 11 64.7 17 100 6 35.3
校 4 741.2 17 100 10 58B
計 54 77.1 67 95. 4 5.7 16 22.9 3 4.3 4 5.7
1 16 80.0 1 5.0
高 2 7 43.8 1 6.3
3 11 64.9
校 4 14 82.4 1 5.9 1 59
計 48 58.6 3 43 1 M
1
大 2 16 100 16 100
3 17 100 17 100 17 100 17 100
学 4 17 100 17 100 17 100 17 100
計 5071.4 50 71.4 34 34.3 34 34.3
1 5 25.0 6 30.0 315.0
自 2 4 25.0 8 50.0 425.0
主製
3 6 35.3 10 8.8 21L8
作 4 2 11.8 11 64.7 317.6
計 17 24.3 35 50.0 1217.1
表8が示すように,小学校では小物,袋物が中心であるが,エプロンの製作も4割程度あった。
中学校ではスモック,パジャマが多く,なかでもスモックは,2年次を除いて全員が実施している。
2年次の場合は他の学年と異り,ブラウスの製作が2割近くある。また3年次,4年次には,スカ 一トの製作もみられる。教材の選定方法によるものと思われる。
このような,小学校,中学校の製作教材は,いずれも学習指導要領に準拠したものが取りあげら れている。
高校では,スカートの製作が中心である。僅少ではあるが,あみものを教材にとり上げていると ころもあった。製作教材をもたないものが4割もいるが,これは,本学家政科入学者は大部分が普 通科出身で,さらに女子が少数の高校からの入学であるためであろう。
大学での被服構成学製作実習は,1年次が必修で曲線構成(ブラウスとパンッ)をとりあげ,2 年次は選択として直線構成(ゆかたと自由創作物)を実施している。調査の表にあらわれていない のは,調査時期が5月であったため未だ実施していないためである。
自主製作は,小物,袋物に人気があり,次いであみもの,スカートの順に作られている。これは,
高度な技術が必要でなく手軽にできることも時流の手作りブームの影響もあって,製作されたも のであろう。
⑥ 原型および型紙の製作 表9 原型・紙型の使用
衣服を製作する場
合,9)最も面倒と考え 学 年 1 2 3 4 計
るのは型紙づくりで 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % 人数 % ある。1年次は,大 既 製 19 95.0 1 6.3 3 17.6 8 47.1 31 44.3
部分が既製の原型や
自 作 0 0 14 87.5 7 41.2 3 17.6 24 34.3 型紙を使って製作し 両 方 1 5.0 0 0 2 1L8 3 17.6 6 8.6 ている。中学校,高
無 答 0 0 1 6.3 5 29.4 3 17.6 9 12.9 校の多くは既製のも
計 20 100 16 100 17 10ρ 17 100 70 100 のを使用して被服製
作が行なわれている
ので,その結果がでたのであろう。
2年次では,ほとんどが自作のものを使用している。これは,授業時に,自作のものを使用して 被服製作が行なわれるので,当然の結果である。3,4年次になると自作のものが少なくなるのは,
被服製作は受講の対象外になるので,作る場合は便利な既製のものを使用するようになるからであろう。
(7)被服製作技術の習得状況
基礎的な縫製技術について,その習得状況をみると,表10のとおりである。
徳蔵:被服構成学についての諸問題 45
即農
o1口 ゆ 口 の1口 ゆ 浸 頃 護1ゆ 口Fゆ 口 の 9 o 口1頃 口 ゆ 口 o 寒 ゆ 口 ゆ 口 ゆ 口
心 二
ナ廼 o o o o 頃 農 eq 鶏 ト
§ ヨ 窪
◎D
当 o o 曾§ 雪 墓 曽 塗 爵 089舘
爵oり
鵠
岳oう
紹 暮 需 ゆ 祐 $ 爵① 罎 § 8 匿QD 8 § 圏 器 鵠 邉 鴇 ΣqD 塗 § 專 § 專 毯 羽 等卜 等 爵㊤ 等 呂o 等 崖 羽 導
二憶
舶二
イ歪 o o の 口 り 器 ゆ 寒 ① 壁 9 窪 円 コ o o oり 等 o o ① § 鶉 婁 o o ゆ 口 雪 §
最 尉uゆ
o $
自①
8
爲OD
蕊
i≡i
田 塞 專
8ト
專 § 鴇 塞
8 爵① 專 § 專 毯 等 コリ 蕊 等oり 專 § 紹 § コ §
即 q φ σ〜 Q q ⑳ Q q Q Q q q q 9 ㊤
無 一 ゆ 一 頃 一 頃 一 o 一 ゆ 目 頃 一 ゆ 一 o H ゆ 一 o 一 o 一 頃 一 ゆ 一 o 円 の
・」轟 二 的
最雑 o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o o N コ
寸 ゆ 需 縮 ま 曾
ま 頸 ま
曳 ま
曾 ま 豊
ま 9 ま 曾 ま 旨 ま 曾 ま 9 ま 曾 ま 2 ま 曾 ま Σ 器
二
¥ 舶二
oや o o o o o o o o 円 爵 一 爵 H 爵 o o oり 翼 o o ◎り 婁 o o o o o o 一 爵
最 荊ゆb 頸 ま 雲 ま 縮 ま 縮 ま 雪 塞 2 『88 雪
器◎D
響 § 鶉
ε卜
響 ま 曽 邉
曾 ま 雲 ま
雪 暴 曽
ε卜
即聴
一 需
一 需
目 爵
一 鴇
一 爵
一 鵠
一 鍔
一 沼
一 爵
一 爵
一 階
一 爵
一 爵
一 鴇
一 跨
① 二 Q ⑳ 喚 φ ρ Q 燈
最瀞 o o o o o o o o o o 刷 ゆ 一 ゆ o o OQ 賃 一 頃 oり き oり 雲 o o o o oり 雲
o◎ 雪 詫 頸 ま
2 ま 曾 ま 雪 ま 曾 ま 旨
器◎D
雲 毯
雲 ま
鶉 羅
雪
器α9
雪 羅 雪
匿 頸
ま 鷺
ま 曽
羅
¥ 撤后
o誕 o o o o 一 爵 o o cq 讐 一 躇 o o o o o o o o o o 卜 舘矧 o o o o 曽 羅
最 細1ゆ
o 頸 ま 曾 ま 雲
器◎D
曾 ま 三
蕊◎o
Σ
蕊OD
雲 塞 頸 ま
曽 邉 雲 塞
雪 § o 舅 雲 ま 雪 ま o o
蝋u 翰 碗 般 ㊤ 的 η 般 曽 η 的 内 笹 的 般 翰
農 一 り 目 り 一 り 一 ⑩ 一 o 一 o 一 o 一 ㊤ 一 ㊤ 一 ㊤ 一 ⑩ 一 ⑩ 一 o 一 o 一 ⑩
・.9 二 卜 η η 壁 喰 h 翰 η 吟
最雑 o o o o o o o o o o oり 曽 め 房 o o 頃 嗣 oり 曽 σq 9 oo 雪 ゆ 罵 ① 露 コ 器 N ゆ 詫 雪 霧 雲 霧
9 鎧 豊 霧 鷺
器o
轄
羅 8 §暑 霧 9
爲り
撃
§ 雪
日◎o
圏
最 9 § o
壽oり
寸
自eq
二¥
舶二
a饗 o o 一 $ 一 怨 ゆ 塞 ◎o 琶 o◎ 岳一 o o o o o o o o N § 卜 辱 一 $ 寸 § 寸 §
嘔
最 伽 鷺 霧 薯
匿QO
翻
器 9 § 雲 羅 ① § 9 § 雲 霧 9 § 霜 最 コ 馨 の 霧 ① 毯 cq § o o
週ロ o 9 q q Q q o q ⊂〜 ⊂〜 9 q q q 9
農 eq 臼 eq 9 N 9 N 自 eq 臭 eq 皇 eq 臭 eq 9 eq 自 eq 皇 N 9 σq 皇 N 9 cq ヨ eq 皇
・」5 二
ナ誕 o o eq
室 頃
§
◎q
…i
ト 舅
㊤
§ eq
…i
o o OD § 雲 遷 ◎o 8矧 雪 遷 曽 § ヒ 自QO ヒ
自◎D
思 目 ゆ 記 戴 § 雪 きQO 雪 30 曾 800 コ 自ゆ 轄 § 雲 § 曽 8① 自 § oり
量 9 3ゆ ◎り 量 o o 一 自 一 自
二
萎騨鄭
憶 納u二
o静 o o eq 屋 寸 § o o ◎り 量 の § o o o o o o o o 寸 § oり 量 o o 割 自 o o
細緯 最 舶Pゆ
雪
§ コ §
① § 豊 露
゜oo § ト §
田
3◎o
雪
8①
9 § ◎り 量 o § o o o o o o 一 自
照Q寒
母榊 掻く
戦
麟く
検
麟く
検
麟く
硬
麟く
梗
麟く
硬
麟く
譲
勲く
醗
藩く
硬
麟く
譲
癒く
譲
麺く
譲
麟く
漫
麟く
譲
麟く
検
螂鯉憎o
β聴
二逡雨 _)二
エ救
.⊃二
Fざ
二逡曾 二9 二理脂o 赴
SQ楽灸
二選騒魍 簑契
。ハ?M 福X
ヨ Ae製
?g
s.⊃
薄愈
テo
w_)
mユ_⊃
@司P興
む勧 赴9 赴如霜
飛 麺 井黛 粁選 価 燃 il1 ム N _)oむ 賦 粁 田
「なみぬい」では,名称・方法とも各学年全員が習得している。「なみぬい」は,小学校から今 まで,製作の基本となる技術であるので,何度もくりかえし経験してきた結果であろう。
「半がえし」「本がえし」では,1年次を除き9割以上の高い習得状況を示している。特に「半 がえし」では高い。
「まつりぬい」「袋ぬい」「三つ折ぬい」では, 「まつりぬい」がよく知ら礼技術の習得も,
1年次を除けは9割以上と高い。 「三つ折ぬい」は三種の中では名称・技術とも最も低く,1年次 では3割近くが全く知っていない。しかし上学年に行くにしたがって習得率は上り,3年,4年に なるとほとんど全員が習得するようになる。
次にミシンについては,「糸のかけかた」で8割以上が, 「直線ぬい」では回答者全員が名称,
技術とも習得している。機械縫製の基本事項で,今まで多くの経験をしてきたためであろう。
「角のまがりかた」「バックのしかた」では,1年次において知らない者が半数以上あったが,
学年が進むにつれて習得されるようになる。
「しつけ」では,上記の技術と同様,1年次で習得状況が非常に悪い。しかしこれも,学年が進 むにつれて習得されるようになる。
「耳ぐけ」「本ぐけ」「三折ぐけ」では,やはり1年次でほとんどの者が知らない。2年次でも 知らないものの率は高い。しかし3年,4年になると,ほぼ100%の習得を示すようになる。
⑧ 教育実習における製作教材の指導
教育現場で被服の製作教材を担当し指導する場合の指導能力について,はじめて教育実習を経験 する3年次と,基本実習を終了した4年次を対象に調べた結果は,図3のとおりである。
針のもちかた 袋 物
3年 529 471 3年 706 294
4年 35.3 47.1 59 11B 4年 824 118
@ 59
針の種類 小 物 5g 3年 176 41.2 412 3年 529 41.2
4年 235 412 17.3 17.3 4年 7α6 235…≡≡
59
待針の使いかた エプロン 5g 3年 52.9 294 176 3年 35.3 588
4年 941 4年 294 58.8
59 59 59
徳蔵:被服構成学にっいての諸問題 47
スモック パジャマ
3年 23.5 765 3年 882 118
4年 176 706 4年 76.5 11.8
5.9 5.9 5.9 5,9
スカート ブラウス
3年 35.3 52.9 11.8 3年 17.6 70,6 1L8
4年 235 529 17.3 4年 17.6 588 173 5.9 59
ししゅう あみもの
3年 588 412 3年 58.8 29。4 118
4年 529 29.4 118 4年 353 47.1 118 59 59
そめもの [コ指導できる ∈ヨ不安はあるが指導できる
3年 471 52・9 〔コ指導できない皿鰭
4年 17.6 476 29.4
59
図3 製作教材の指導
「針の種類とえらびかた」で自信をもって指導できるのは,3年で1割強,4年で2割強である。
「指導できない」は3年次で4割以上,4年次でも1割強あった。
「針のもちかた」では, 「不安はあるが指導できる」まで加えると,両学年ともほぼ全員が指導 ができると答えている。
「待針のうちかた」では,3年次では「不安はあるが指導できる」が3割近くあり, 「指導でき ない」も2割近くあったが,4年次では自信をもって指導できると回答者全員が答えている。
「表裏の見分けかた」では,指導できないとする者が3年次で3割強いたが,4年次にはない。
しかし,指導できるとしても「不安がある」とする者が,両学年とも5割強を占めている。
「小物」「袋物」では,指導できない者はないが,3年次では「不安」とする者も3割近くでて いた。4年次になると,自信をもって指導できる者が大部分を占めるようになる。
「エプロン」では,やはり大部分が指導できるとしているが,自信をもって指導できるのは,3