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ここは導出の途中までで、まだ計量は出していません

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Academic year: 2021

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(1)

カー解〜導出〜

軸対称に回転している場合の解を求めます。ここは導出の途中までで、まだ計量は出していません。

シュバルツシルト解のときと同じように軸対称であるという条件から求める方法(S.Chandrasekhar著「The Math- ematical Theory of Black Holes」)もありますが、ここでは別の方法で導出します。

長々と計算をしていくだけなので、途中計算がどうでもいい人は「カー解〜ボイヤー・リンキスト座標〜」を見 てください。

途中で3次元になり、ローマ文字の添え字をi= 1,2,3としています。

 シュバルツシルト解は球対称としたものですが、実際の星は自転しています。なので、軸対称に回転している場 合の解が必要になり、その解をカー(Kerr)解と言います。これは、回転する星の重力崩壊を考えるときなどにも 重要な解です。

 ちなみに、重力源が回転している解は1918年にレンスとティリングによって近似的な解が求められました。こ れはシュバルツシルト半径より大きな星に対しては十分な近似でした。しかし、ブラックホールのように強い重 力に対しては適用できません。

 ここでのカー解の導出は計算がゴチャゴチャして分かりづらいので、先に何をしてるか示しておくと 1.使用する計量の決定。

2.計量を真空のアインシュタイン方程式に入れる。

3.アインシュタイン方程式を簡単化していく。

4.求められた関係式を複素関数γ=α+に適用。

5.γを決定し計量を求める。

このようにして求められたカー解は、定常的で軸対称に回転する物体が作り出す空間を与えます。回転をとめれ ばシュバルツシルト解に一致します。

 カー解を求めていきます。最初に計量の形を決定させるために、シュバルツシルト解を座標変換します。座標変 換は

x0=x0+ 2mlog| r

2m 1| , r=r , θ=θ , φ=φ

dx0=∂x0

∂x0dx0+∂x0

∂r dr=dx0+ ( r

2m1)1dr これをシュバルツシルト解に入れて

ds2= (12m

r )(dx0)2(12m

r )1dr2r2(dθ2+ sin2θdφ2)

= (12m

r )(dx0)2+ (2m)2

r(r2m)dr24m

r drdx0 r2

r(r2m)dr2r2(dθ2+ sin2θdφ2)

= (12m

r )(dx0)2r2(2m)2

r(r2m)dr24m

r drdx0r2(dθ2+ sin2θdφ2)

= (dx0)2dr2r2(dθ2+ sin2θdφ2)2m

r (dx0+dr)2

この座標変換したものをエディントン形式と呼びます。極座標からデカルト座標に変えて

(2)

ds2= (dx0)2(dx)22m

r (dx0+xdx+ydy+zdz

r )2

(r2=x2+y2+z2, dr= ∂r

∂xdx+ ∂r

∂ydy+∂r

∂ydy=xdx+ydy+zdz r

)

計量は

ds2= (dx0)2(dx)22m r ((dx0)2

+x2dx2+y2dy2+z2dz2+ 2xydxdy+ 2xzdxdz+ 2yzdydz

r2 + 2xdx+ydy+zdz

r dx0)

= (12m

r )(dx0)2((dx2+dy2+dz2) + 2mx2dx2+y2dy2+z2dz2

r3 )

2m r

(2xydxdy+ 2xzdxdz+ 2yzdydz

r2 +2xdx0dx+ 2ydx0dy+ 2zdx0dz r

)

これから各成分の係数を抜き出すと

gµν =

12m

r 2mx

r2 2my

r2 2mz

r2

2mx

r2 12mx2

r3 2mxy

r3 2mxz r3

2my

r2 2mxy

r3 12my2

r3 2myz r3

2mz

r2 2mxz

r3 2myz

r3 12mz2 r3

=ηµν2mlµlν

lµ

lµ= 1

r(1,x r,y

r,z r) とし、ηµνはミンコフスキー計量で、lµlνηµν = 0です。この計量の形

gµν =ηµν2mlµlν

を元にして話を進めます。元にするというのはlµが未知で、mが任意定数とすることです。lµに対してはlµlνηµν = 0 という制限がかかっています。

 この段階でわかるlµの性質を求めます。lµの添え字の上付きをミンコフスキー計量によって

lα=ηαγlγ

と与えられると定義してみると

(3)

gµν =ηµν+ 2mlµlν

これとgµνとをかけることで単位行列になるので、gµνgµνの逆行列です。なので、gµνは反変計量テンソルに なっています。このことから、ベクトルlµに対する添え字の上げ下げには

lα=gαγlγ =ηαγlγ

として、本当の計量とミンコフスキー計量のどちらでも行えるのがわかります。これではっきりとlµは知りたい 空間でヌルベクトル(ベクトルの大きさが0)と分かります。

 他にもlµの性質として、lµlνηµν = 0から

lαlα|γ =lαl|αγ =1

2(lν|γlν+lνlν|γ) =1

2µνlµlν)|γ= 0

となっています。共変微分ではどうなってるのかも知りたいので、まずクリストッフェル記号を使って

{ α β µ

} lµ= 1

2gαγ(dgµγ

dxβ +dgγβ

dxµ dgβµ

dxγ )lµ

=mgαγ((lµlγ)|β(lγlβ)|µ+ (lµlβ)|γ)lµ

=mgαγ(lµ(lµlγ)|βlµ(lγlβ)|µ+lµ(lµlβ)|γ)

=mgαγ(lµ(lγlβ)|µ)

= mlν(lαlβ)|ν

ミンコフスキー計量の微分は0です。共変微分ではlτをかけたものを使うので {

τ ν λ

}

lτ=m(lγ(lλlγ)|νlγ(lγlν)|λ+lγ(lνlλ)|γ) =mlγ(lνlλ)|γ

これから共変微分は

lνl||νγ=lνlν||γ=lν(lν|γ {

τ ν γ

}

lτ) = 0 =lνlν|γ

となるために、偏微分と共変微分は同じ結果になるので、どちらでも使用できます。

 今求められたlµの性質

lα=gαγlγ =ηαγlγ

lαlα|γ=lαlα|γ = 0

を使ってさらに計算を進めていきます。

(4)

 計量の形が決まったので、計量を真空でのアインシュタイン方程式

Rµν = {

β µ ν

}

|β

{

β µ β

}

|ν

{

β τ µ

} { τ β ν

} +

{ τ µ ν

} { β τ β

}

= 0

に使っていきます。

{ α ρ α

}

{ α ρ α

}

=

∂xρlog

g

で求められます。行列式gは空間回転に対して不変という性質を利用して、gを求めるために三次元空間での回転 を行います。計算を楽にするために、x軸に合わせたlµ= (a, a,0,0)という座標をとることで

g=

12ma2 2ma2 0 0

2ma2 12ma2 0 0

0 0 1 0

0 0 0 1

= (12ma2)(12ma2)(2ma2)2

= 1 + (2ma2)2(2ma2)2

= 1

よって、g=1なので

{ α ρ α

}

= 0

これによってアインシュタイン方程式は

Rµν = {

α µ ν

}

|α

{

α β µ

} { β α ν

}

= 0

右辺のクリストッフェル記号を第一種に書き換えると

Rµν = (gαρ[µν, ρ])|αgασ[βµ, σ]gβλ[αν, λ]

= (ηαρ+ 2mlαlρ)[µν, ρ]|α+ (ηαρ+ 2mlαlρ)|α[µν, ρ]

ασ+ 2mlαlσ)[βµ, σ](ηβλ+ 2mlβlλ)[αν, λ]

= (ηαρ+ 2mlαlρ)[µν, ρ]|α+ 2m(lαlρ)|α[µν, ρ]

ασ+ 2mlαlσ)[βµ, σ](ηβλ+ 2mlβlλ)[αν, λ] (1)

(5)

第一種クリストッフェル記号は

[βµ, σ] =m((lµlσ)|β(lσlβ)|µ+ (lβlµ)|σ)

このため、mのオーダによって区別でき、m, m2, m3, m4による4つの項が現れます。そして、mは任意なので、

mの各係数は0になるべきです。

(1)mのオーダで分けると

1次:m

ηαρ[µν, ρ]|α= 0

2次:m2

2m(lαlρ[µν, ρ])|αηασηβλ[βµ, σ][αν, λ] = 0

3次:m3

lβlληασ[βµ, σ][αν, λ] +lαlσηβλ[βµ, σ][αν, λ] = 0

4次:m4

lαlσlβlλ[βµ, σ][αν, λ] = 0

この4つを見ていくことで解くべき方程式が何かわかります。ここからの計算にはlµの性質を使っていきます。

m4では第一種クリストッフェル記号からわかるように左辺は普通に0になるので、目新しいことは起きません。

m3では途中式を書くと分かりづらくなるので、ここでは結果だけ示して(導出は「途中式」を見てください)

lµlν(vαvα) = 0 (vα=lβlα||β=lβlα|β)

よって、0になるためには

vαvα= 0

となり、vαはヌルベクトルです。そして、vαlνとの内積をとると

vνlν= (lαlν|α)lν=lα(lν|αlν) = 0

このことから、vνlνは直交しています。さらに、vlはヌルベクトルなので

lν = (|l|,l) , vν = (|v|,v)

(6)

このように書けます。l,v3次元ベクトル、|l|,|v|はベクトルの大きさです。vνの添え字の上げ下げもミンコフ スキー計量によってできます。このように書けるのも

lµlνηµν = 0 , vµvνηµν = 0

であるためです。このことから

lνvν=|l||v| −(l·v) =|l||v|(1cosθ) = 0 (cosθ= l·v

|l||v|)

つまり、cosθ= 1になるので、lvは平行です。そして、l0, v0はそれの絶対値でしかないので、vνlνに適 当な係数をつけて

vν =A(x)lν

A(x)はスカラーです。この関係がm3の式から導かれる結果で、これ以降の計算で使っていきます。

 次にmの式を見ます。これは

ηαρ[µν, ρ]|α=ηαρ((lνlρ)|µ|α+ (lρlµ)|ν|α(lµlν)|ρ|α) = 0

ここでスカラーL

L=l||αα=(lα|α+ {

α α τ

}

lτ) =lα|α

と定義します。これとダランベルシャン= (∂/∂x0)2− ∇2と、m3の式から求められたvµでの

vν =lαlν|α

vν|µ=lα|µlν|α+lαlν|α|µ=A|µlνAlν|µ

を使うことで、mの式は

(7)

(lνlα)|µ|α+ (lαlµ)|ν|α(lµlν)||αα= 0

(lµlν) = (lν|µ|αlα+lνlα|α|µ+lν|µl|αα+lν|αl|αµ) + (lα|α|νlµ+lαlµ|ν|α+lµ|νlα|α+lµ|αlα|ν)

= (vν|µl|αµlν|αlνL|µ+lν|µl|αα+lν|αl|αµ) + (L|νlµ+vµ|νlα|νlµ|α+lµ|νl|αα+lµ|αlα|ν)

= (vν|µ+lν|µlα|αlνL|µ) + (L|νlµ+vµ|ν+lµ|νl|αα)

= (vν|µlν|µLlνL|µ) + (L|νlµ+vµ|νlµ|νL)

= (A|µlνAlν|µlν|µLlνL|µ) + (L|νlµlµ|νLA|νlµAlµ|ν)

= ((A+L)lν)|µ((A+L)lµ)|ν

として、簡単な形になります。

m2の前にmを見てきたのには理由があり、もしlµがこのmの式を満たすなら、m2の式も同時に満たすこと が分かるからです。このことを見るために、m2の式を今までと同じように展開します。展開した結果だけを示す m2の式は(「途中式」参照)

2(lαA)|αA2+lα|βlβ|αl|αβlα|β = 0 (2) となります。この式をさらに変形させていきます。第三項は

lα|βlβ|α= (l|αβlβ)|αl|αβ|αlβ=v|αα+L|βlβ=(Alα)|α+L|βlβ= [LlαAlα]|αLlα|α= [(LA)lα]|α+L2

また、第四項は

l|αβlα|β= (lαl|αβ)|βlαl|αβ|β =lαl|αβ|β (3) これに対してmの式を利用します。つまり、mの式が成り立っているという前提で話を進めます。まずmの式は

(l|µα|αlν+lµl|να|α+ 2lµ|αl|να) =(

(A+L)lν)|µ+ ((A+L)lµ)

|ν

=(

(A+L)|µlν+ (A+L)lν|µ) +(

(A+L)|νlµ+ (A+L)lµ|ν)

= (A+L)|µlν+ (A+L)|νlµ+ (A+L)(lν|µ+lµ|ν)

これにlµをかけて

l|µα|αlνlµ= (A+L)|µlνlµ+ (A+L)lµlν|µ

= (A+L)|µlνlµ(A+L)Alν

(8)

内積の外にいるlνを消して

lµ|α|αlµ = (A+L)|µlµ(A+L)A

= ((L+A)lµ)|µlµ|µ(L+A)A(L+A)

= ((L+A)lµ)|µ+L2A2

この結果を利用することで、(3)

lαlα|β|β=L2A2+ ((L+A)lµ)|µ

そうすると、(2)

2(lαA)|αA2+ [(LA)lµ]|µ+L2L2+A2[(L+A)lµ]|µ

= 2(lαA)|α+ (LA)|µlµ+ (LA)l|µµ(L+A)|µlµ(L+A)lµ|µ

= 2(lαA)|α2Alµ|µ2A|µlµ

= 2(lαA)|α2(lµA)|µ

= 0

となり左辺が0になります。このようにmの式が満たされているなら、m2の式も満たされています。なので、結 局考えるべきアインシュタイン方程式はmの式だけです。

 よって、解くべき方程式はlµに対する

(lµlν) =((A+L)lν)|µ((A+L)lµ)|ν (4)

ここで計量は時間独立という条件を加えます。そして、lµ

lµ =l0(1, λ1, λ2, λ3)

と書くことにします。λjλ2= 1です。

µ, νで場合わけします。時間独立という条件から、時間微分は0になり

µ=ν = 0

2(l20) = 0 (lµlµ=l20) (5a)

µ= 0, ν=j̸= 0

2(l02λj) = ((L+A)l0)|j (lµlj=l02λj) (5b)

参照

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