山岳工法(NATM工法)における一般的な作業工程について
山岳工法(NATM工法)における一般的な作業工程について
2
資料提供:前田建設工業株式会社
① 穿孔・発破(発破掘削)or 切削・掘削(機械掘削)
発破掘削
穿孔状況
機械掘削
切削・掘削状況
ドリルジャンボ(穿孔)
自由断面掘削機
(切削、積込) ダンプトラック
(ずり運搬)
② コソク・ズリ出し
ズリ出し状況
大型ブレーカ(コソク)
トラクタショベル(積込)
ダンプトラック(ずり運搬)
③ 一次吹付けコンクリート
一次吹付け状況
吹付けロボット(吹付け)
④ 鋼製支保工建て込み
支保工建て込み状況
ドリルジャンボ(建て込み)ユニック
(資材運搬)
⑤ 二次吹付けコンクリート
二次吹付け状況
吹付けロボット(吹付け)
トラックミキサ
(コンクリート運搬)
⑥ ロックボルト
ロックボルト施工状況
ドリルジャンボ(穿孔)
⑦ インバート掘削
インバート掘削状況
大型ブレーカ(掘削)
バックホウ
(掘削,積込) ダンプトラック
(ずり運搬)
1mごとにこの
サイクルを繰り返し、
24時間で4~5m
進む
⑧ インバートコンクリート
インバートコンクリート打設状況
コンクリートポンプ車(打設)
トラックミキサ
(コンクリート運搬)
3
Ⅰ.新技術・新工法
山岳トンネル
(1)山岳トンネル技術
山岳トンネルの建設においては、NATMの導入が機械化
や様々な技術開発を誘発し生産性の向上と施工時の安
全 性 の 向 上 に 大 き く 貢 献 し ま し た 。 NATM ( New
Austrian Tunneling Method)は、掘削した部分にコ
ンクリートを吹付け、ロックボルト(岩盤およびコンクリートと
一体化するボルト)を周辺岩盤に打ち込み、トンネルの安
定化を図りながら施工する工法です。現在では、ほとんど
の山岳トンネル建設でNATMが採用されています。
支保部材の高強度化
補助工法による適用地質の拡大
○NATMが山岳トンネルの標準
工法として採用されて以降、機
械化の促進が図られた。
○施工機械の大型化や能力向上、
効率的な掘削工法の確立により、
施工の高速化が可能となった。
○トンネル建設において必要と
なる作業員数は、機械化の導
入・発展によって大きく減少し
ている。
施工の高速化
(2)建設生産性向上の内容
機械掘削による平均月進の推移
○鋼製支保工の導入で施工空
間が確保されたことNATMの
導入により、大型機械による
効率的な施工(補助ベンチ付
全断面工法)が可能になると
ともに、施工時の安全性が向
上した。
○支保部材の高強度化により、
大断面トンネルの施工が効率
化され、掘削断面積の削減や
支保施工量の減少が可能と
なった。
○補助工法の開発・採用によ
り、従来の山岳工法では不可
能であった地質でも、トンネ
ル建設が可能となった。
○トンネル掘削による周辺環
境への影響が低減されるとと
もに、施工時の安全性が向上
した。
○情報化施工により施工管理
の合理化が図られ施工性・安
全性が大幅に向上した。
トンネル1mあたりに要する作業員数の比較
東海道新幹線 長野新幹線
(平成8年) 近年の新幹線 (平成22年)
出典:新幹線のインフラコストと建設技術の進展、
廣田良輔、土木学会誌、1997.9付録
新幹線工事における山岳トンネルの変遷、金澤博、
トンネルと地下、2011.3巻頭言
発破掘削による平均月進の推移
○ 在来・底設導坑先進上半工法
□ 在来・側壁導坑先進上半工法
△ 在来・上半先進工法
◇ 在来・全断面工法
▲ NATM・上半先進工法
● NATM・補助ベンチ付全断面工法
◆ NATM・全断面工法
○ 在来・底設導抗先進上半工法
△ 在来・上半先進工法
▲ NATM・上半先進工法
● NATM・補助ベンチ付全断面工法
激 減
さらに減
4
出所:一般社団法人日本建設業連合会「建設イノベーション」
4
山岳トンネル建設における生産性の
向上に
関する
年表
Ⅰ.新技術・新工法
10
20
30
40
50
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
1
2
3
4
<
木製支保工>
●U
型可縮支保工採用(
中山T)
●鋼製支保工の採用(
大原T・
佐久間ダ
ム
導水路T)
●日本初のN
A
TMの採用(
中山T)
●道路ト
ン
ネ
ル初のN
A
TM採用(
国道2
8
9
号・
駒止T)
●土木学会ト
ン
ネ
ル標準示方書(
山岳編)
で
N
A
TMが標準工法に
吹
付
け
コ
ン
ク
リ
ー
ト
→<
N
A
TMで
標準採用>
ロ
ッ
ク
ボ
ル
ト
→<
N
A
TMで
標準採用>
●高品質吹付け
コ
ン
ク
リ
ート
実用化(
J
R
TT
)
●第二東名・
名神(
3
車線断面)
で
の採用
●世界で
初め
て
油圧ジ
ャ
ン
ボ
を
採用(
玉原発電所工事)
●コ
ン
ピ
ュー
タ
ジ
ャ
ン
ボ
(自動削孔)
の導入(
吾妻T)
●油圧削岩機を
使用(
関越T/
道路T初)
●ゼ
ネ
ラ
ルジ
ャ
ン
ボ
の採用(
岩手一戸T)
●コ
ン
ク
リ
ート
吹付け
機
●吹付け
ロ
ボ
ッ
ト
を
導入
●自由断面掘削機を
使用(
新城T/
鉄道T)
●自由断面掘削機の能力ア
ッ
プ
(3
0
0
k
W級)
●自由断面掘削機を
使用(
高窪T/
道路T)
<
レール方式(
ず
り
鋼車)
>
●上部半断面工法に
よ
り
ダ
ン
プ
ト
ラ
ッ
ク
の導入
●コ
ン
テナ
ダ
ン
プ
(キルナ
)の採用(
金剛山T) ●TB
Mト
ン
ネ
ルに
連続ベ
ルコ
ン
導入(
袴腰・
城端T)
●新幹線断面に
連続ベ
ルコ
ン
導入(
田上T)
○導坑先進方式に
よ
る
小断面分割掘削が主流
●底設・
側壁導坑先進を
含む
上部半断面工法が主流
●ベ
ン
チ
カ
ッ
ト
工法が主流
●全断面早期閉合を
継続的に
適用(
飯山T)
●補助ベ
ン
チ
付全断面工法が確立
○初め
て
のめ
がねト
ン
ネ
ル(
在来)
(伊祖T)
○め
がね型N
A
TM(
井吹T)
●初の無導坑め
がねト
ン
ネ
ル(
下到津T)
●ウ
レ
タ
ン
系注入式F
P
実用実験(
鍋立山T
)
●A
G
F
初め
て
採用(
港南T)
●ウ
レ
タ
ン
系注入式F
P
使用(
生駒T
)
●A
G
F
工法技術資料発刊(
ジ
ェオ
フ
ロ
ン
テ研究会)
●ト
レビ
チ
ュー
ブ
工法初め
て
採用(
舞子T)
●R
J
F
P
初め
て
採用(
国分川分水路T)
<
核残し
掘削・
鏡吹付け
・
短尺(
3
~4
m
)鏡ボ
ルト
>
●長尺鏡補強F
IT工法施工(
成出T)
●1
打設長2
0
m
の長尺ボ
ルト
施工(
堀越第二T)
●フ
ッ
ト
パイ
ル、サイ
ド
パイ
ル施工(
矢川放水路T)
●高圧噴射式レッ
グ
パイ
ル(
R
J
P
工法)
施工(
帷子川分水路T)
●油圧式削岩機を
利用し
た切羽前方探査法(
D
R
ISS
)
●長尺水平ボ
ーリ
ン
グ
の世界記録(
2
,1
5
0
m
)
<
コ
ン
バー
ジ
ェ
ン
スメジ
ャ
ー
、三次元計測器に
よ
る
変位計測>
●自動計測管理シ
ス
テム
の確立
●自動制御運転開発
●コ
ン
ピ
ュー
タ
ジ
ャ
ン
ボ
(自動穿孔)
の導入
●エ
レク
タ
ー付き
吹付
け
シ
ス
テム
開発
●吹付け
コ
ン
ク
リ
ー
ト
を
試用(
青函T)
●ロ
ッ
ク
ボ
ルト
を
使用
(第三高野T<
鉄道>
)
●ロ
ッ
ク
ボ
ルト
を
使用
(
今庄T<
道路>
)
●N
E
X
CO
設計要領で高規
格鋼製支保工を
標準化
●N
E
X
CO
設計要領で高強度
吹付け
、高耐力R
B
を
標準化
●高速かつ方向制御が高精 度なボー
リ
ン
グ
機械の開発
坑内計測技
術
坑内変位計測
掘削技術
自由断面掘削機 穿孔精度向上
補助工法 に
よ
る
適
用地質の
拡大
補助工法
先
受
け
工
の
開
発
鏡面の補強工の開発 脚部の補強工の開発
情報化施 工の導入
調査技術
前方探査技術 長
距
離
ボ
ー
リ
ン
グ
ズ
リ
運
搬
方式
タ
イ
ヤ
方
式
(
ダ
ン
プ
ト
ラッ
ク) タイ
ヤ
方
式
(
コ
ン
テ
ナ
式
)
連
続
ベ
ル
コ
ン
方
式
加背割
標準断面掘削工法 め
が
ね
ト
ン
ネ
ル
●3000m
を
超え
る新幹線
ト
ンネ
ルで
標準に
(JR
TT)
施工の高
速化
施工機械 の能力向
上
ド
リ
フ
タ
ー
の
能
力
U
P
吹
付
け
機
の
能
力
U
P
エ
レ
ク
タ
ー
付
き
吹
付
け
機 自由断面掘削機の大 型化
●自由断面掘削機の対応範囲 拡大(
能力ア
ッ
プ
・
掘削範囲拡大)
2
0
1
0
年代
(H
.2
2
)
支保部材 の高強度
化
在来工法の
支保
鋼製支保工の導入
N
A
T
M
支保
N
A
T
M
の
導
入
N
A
T
M
支
保
部
材
の
高
強
度化
生産性の向 上内容
技術項目
技術内容
1
9
6
0
年以前
1
9
6
0
年 (
S
.3
5
)
1
9
7
0
年代 (
S
.4
5
)
1
9
8
0
年代 (
S
.5
5
)
1
9
9
0
年代 (
H
.2
)
2
0
0
0
年代 (
H
.1
2
)
大き
な
施工空
間の確
保
⇒
大型機械の導入
支保の高強度化
⇒
掘削断面削減・支保施工量減少
レ
ー
ル方式
から
タ
イ
ヤ
方式へ
⇒
機動力の向上
施工機械能力向上
⇒
サイクルタイム縮減
無導坑め
がねト
ン
ネ
ル
⇒
施工効率の向上
鋼製支保工の導入
⇒
大き
な
施工空間の確保
⇒
施工性の向上
補助工法の開発
⇒
N
A
T
M
適用地質の拡大
切羽前方地質の把握
⇒
不良
地山
対策
・
湧
水対
策
の事
前
準備
計測作業の効率化
⇒
施工
時間の
確保
余堀量の削減
⇒
サイ
ク
ル
タ
イ
ム
の縮
減
N
A
T
M
の導入
⇒
機械化の促進・掘削の効率化
出所:一般社団法人日本建設業連合会「建設イノベーション」
5