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降雨域の移動が流出に与える影響 金沢工業大学大学院

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Academic year: 2022

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(1)II-003. 土木学会中部支部研究発表会 (2010.3). 降雨域の移動が流出に与える影響 金沢工業大学大学院 学生会員 伊藤 優 1.はじめに 局地性の強い降雨や時間的,空間的に変化する降 雨,また降雨域が移動した場合の降雨が河川への流 出にどのような影響を与えるかということは洪水予 測をする上で非常に重要であり,数多くの研究がな さ れ て き た . Hjelmfelt(1981)1) , Parlange と Sanda(1981)2)や Mizumura(2006)3)は,過剰降雨におい て傾斜面上に発生する地表流の非線形のキネマティ ックウェーブモデルによる解法を導いた.また,de Lima と Singh(2003)4)は室内実験により,降雨の移動 速度と地表流のピーク流量の関係を示し,相対的な. 図 1 降雨実験装置(水槽). ピーク流量が最大となるのは地表流の平均流下速度 と降雨の移動速度が等しい場合であることを示した. 本研究では地表流を対象とし,室内実験で降雨を発 生させ,流域内の降雨域が移動した場合における流 出の様相の変化や影響を検討する.これは水村が導 いたキネマティックウェーブ法の非線形解の解明に 対する第一ステップである.. 図 2 トイ部(水槽の周辺). 2.実験概要. 上流側. 図 1,2 に示す降雨実験装置を用いる.降雨域は土. 雨滴ノズル. ラインNo.1. を盛っていないステンレス製の水槽(長さ 4.5m,幅 4.0m)を使用し,水槽を流下した雨水は水槽の周囲に あるトイ(幅 94mm,高さ 47mm)へ流出する.その後,. ラインNo.2. ラインNo.3. 電磁流量計へと流入する.また,水槽の底勾配は 1/50 とする.降雨を発生させる雨滴ノズル(内径 2mm)は 水槽から高さ 2.4m にあり,水槽と同じ面積で設置さ. ラインNo.4. ラインNo.5. れている.雨滴ノズルは図 3 のように 5 分割されて 下流側. おり,同じ数の雨滴ノズルが設置されている.水槽 の上流側から順にライン No.1,No.2,No.3,No.4,. 図 3 降雨実験装置(雨滴ノズル). No.5 とする. 実験ケースを表 1 に示す.降雨域の移動速度を 3 段階に変化させ,移動速度の変化が流出に与える影. 表 1 実験ケース(底勾配 1/50) 底勾配. 響に注目した.各ケースにおいて「降雨域は移動せ. 移動速度(cm/s) 0.6. ず」とあるが,これは降雨域が固定された場合であ り,降雨を発生させる場合は全ラインの雨滴ノズル. 1/50. 1.2. を使用する. 3.0. -121-. 降雨のパターン 上流→下流 下流→上流 降雨域は移動せず 上流→下流 下流→上流 降雨域は移動せず 上流→下流 下流→上流 降雨域は移動せず. 備考 ラインNo.1から開始 ラインNo.5から開始 全ライン使用 ラインNo.1から開始 ラインNo.5から開始 全ライン使用 ラインNo.1から開始 ラインNo.5から開始 全ライン使用.

(2) II-003. 土木学会中部支部研究発表会 (2010.3). 3.実験結果. An exact analytical solution.”J.Hydrol., 53 171-176. Mizumura, K.(2006). “Analytical solution of. 3). (1)総降雨量について 流出に影響するパラメータを移動速度のみとした. nonlinear kinematic wave model,” J. Hydrol. Eng.,. ため,全実験ケースの降雨強度がほぼ一定になるよ うに実験をした.各実験ケースの総降雨量を表 2 に. 11(6), 509-512. 4). de Lima, J.L.M.P. and Singh, V.P.(2003). “Laboratory experiments on the influence of storm. 示す.. movement. (2)降雨域の移動方向が流出に与える影響 図 4 は総降雨量が等しい場合,降雨域が移動した. on. overland. flow,”. Physics. and. Chemistry of the Earth., 28,277-282.. ことによる流出への影響を示している.移動方向は 「上流側から下流側」と「下流側から上流側」の 2. 表 2 各実験ケースの総降雨量. パターンであり,さらに降雨域が固定された場合と. 底勾配. 移動速度(cm/s). も比較した.降雨域が上流側から下流側に移動した 0.6. 場合は流出が遅かったが,降雨域が固定された場合 と比較し,ピーク流量は大きくなった.一方,降雨 域が下流側から上流側に移動した場合は流出が早く,. 1/50. 下流→上流. 0.066. 降雨域は移動せず. 0.065. 上流→下流. 0.033. 下流→上流. 0.034. 降雨域は移動せず. 0.033. 上流→下流. 0.012. 下流→上流. 0.013. 降雨域は移動せず. 0.013. 1.2. ピーク流量は降雨域が固定された場合と比較すると 小さくなった.. 3. (3)移動速度が流出に与える影響. 上流→下流. 総降雨量(m3) 0.066. 降雨のパターン. 図 5 は,各移動速度の降雨域が上流側から下流側 2. へ移動した際のピーク流量と,下流側から上流側へ. 上流から下流(0.6(cm/s)). 移動した際のピーク流量の差を示す.移動速度が大. 流量差は小さくなった. 4.考察. 3. m /s). 降雨域は移動せず. 1.5. -4. るわけではなく,ある移動速度まで達するとピーク. 流出量(×10. きくなるにつれてピーク流量差も上限なく大きくな. 下流から上流(0.6(cm/s)). 流域内の雨水の流下方向と移動速度の方向が等し い場合は流域出口に雨水が早く集中し,ピーク流量. 1. 0.5. 0. が大きくなる.そのため,降雨域が下流側から上流. 0. 側に移動した場合や降雨域が固定された場合と流出. 500. 1000. 1500 時間(s). 2000. 2500. 図 4 降雨域の移動が流出に与える影響. の様相が異なる.したがって,洪水予測をする際は, 流域内の流下方向と速度を考慮する必要がある.ま. 0.4. ーク流量差が無限に大きくならなかったことから, 移動速度はある範囲を超えた場合,流出に影響を与 えなくなることがいえる. 参考文献 1). ピーク流量差(×10-4 m3/s). た,降雨域の移動速度を大きくしていった場合,ピ 0.3. 0.2. 0.1. Hjelmfelt, A.T.(1981).”Overland flow from 0. time-distributed rainfall,” J. Hydraul. Div., 107(2),. 0. 2. 3. 移動速度(cm/s). 227-238. 2). 1. 図 5 ピーク流量差. Parlange, J.Y., Rose, C.W., and Sanda, G.(1981). “Kinematic flow approximation of runoff on a plane: -122-. 4.

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