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キノイド型π共役系ユニットを用いた新反応開発と 機能性分子の創製

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Academic year: 2022

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キノイド型π共役系ユニットを用いた新反応開発と 機能性分子の創製

著者 戸澤 仁志

URL http://hdl.handle.net/10236/12359

(2)

2013 年度 修士論文要旨

キノイド型π共役系ユニットを用いた新反応開発と 機能性分子の創製

関西学院大学大学院理工学研究科 化学専攻 羽村研究室 戸澤 仁志

縮環

π

電子系化合物には,キノイド型構造がその 部分構造としてしばしば見られるが,この特徴的な

π

共役系構造を活かした新しい合成手法の開発や機

能性分子の創製が期待される。特に,ジエン成分を新たな

π

電子系を縮環させるためのコ アユニットとして利用することにより,多様な分子構造の創出が期待できる。そこで本修 士課程研究では,ヘテロ原子をキノイド型構造に含むイソベンゾフランやイソベンゾチオ フェンに着目し,これらを合成素子とする新しい合成手法の開発とこれらを機能発現のた めの重要な構造をモチーフとして利用した機能性

π

共役系分子の創製に取り組んだ。

1.イソベンゾフラントリマーを用いた多重環付加反応の開発 イソベンゾフランが三量化した分子に相当するイソベンゾフラ ントリマー

2

を用いた連続的な環形成反応を試みた。その結果,

化合物

1

がイソベンゾフラントリマー前駆体として機能し,これ を加熱することによりイソベンゾフラントリマーが効率良く発生 することを見出した。すなわち,

1

とナフトキノンのクロロベン ゼン溶液を加熱したところ,イソベンゾフラントリマーの発生と

ともに,連続的環付加反応が進行した。得られる三重環付加体

3

を酸性条件下で脱水・芳 香族化することによって,トリナフチレン誘導体

4

を与えた。また,反応条件を適切に選 択することによって二重環付加体を選択的に得ることもできた。そこで,二重環付加体の 芳香族化によって得られる化合物

6

を基点として,さらなる環の伸張を試みたところ,巨 大

π

共役系分子

7

の合成に成功した。

π π

π π

X

X = O, S

キノイド型構造

O O

O Ph

Ph Ph

Ph

Ph

Ph Ph

Ph

Ph Ph

Ph Ph O

O O

1

O

O O

O

O

C12H25 C12H25

2

C12H25 C12H25

O O

C12H25 C12H25

O O C12H25

C12H25

O O

3

chlorobenzene reflux

toluene, 50 ºC O

O

O

TsOH

C12H25 C12H25

O O

C12H25 C12H25

O O C12H25

C12H25

O O

4

1

(3)

2.新規

D–π–A

型色素分子の合成と色素増感太陽電池の創製

次に,イソベンゾチオフェンを

π

スペーサーとする新しい色素分子の創製を行った。分 子設計の指針は,ドナー・アクセプターユニットの導入によってキノイド型構造の寄与を 大きくし,電荷分離状態を効率良く生じさせるというものである。まず,最近当研究室で 開発したオルト安息香酸エステル

8

への二重求核付加反応を利用して,ジアリールイソベ ンゾフラン

9

を合成した。次に,これを酸素雰囲気下で

Lawesson

試薬を作用させ,イソベ ンゾチオフェン

10

へと誘導した後,シアノ基の還元,脱水縮合を経て,ジアリールイソ ベンゾチオフェン

11

を得た。同様の方法によって,アミノ基の置換基の種類の異なる種々 の誘導体の合成も行った。

このように合成したこれらの

D–π–A

型分子を色素として用いて色素増感太陽電池を作成 し,その性能評価を行った。これら一連の有機色素を吸着させた酸化チタン電極とヨウ素 レドックス電解液を用いて光電変換測定を行

ったところ,アミノ基の置換基の大きさに起 因して,変換効率

η

の向上が見られた。特に,

ブチル基を有するジアリールアミノ基を持つ 色素分子に関しては,変換効率が

6.33%

を示 した

(

短絡電流密度

J sc = 13.26 mA/cm 2

,開放電

V oc = 0.67 V

,曲線因子

FF = 0.72)

O

O

5

O Ph

Ph

Ph Ph O

C12H25

O Ph

Ph Ph Ph O

O O

C12H25 C12H25

O O C12H25

O

O C12H25 C12H25

6

2) TsOH, toluene, 50 ºC 1)

O O

O O C12H25 C12H25

C12H25 C12H25

O

O

C12H25 C12H25

C12H25 C12H25

O O O

O

7

chlorobenzene reflux

1

Lawesson's Reagant

S

CN NR2

NC COOH

O2, CH2Cl2, r.t. S O

CN NR2

1) DIBAL CH2Cl2 0 ºC → r.t.

2) CO2Me

CHO

R = Me, Et, Bu, Ph, Bu

NR2

COOH

NC H

MS4A, Piperidine CHCl3, reflux

etc.

8 9 10 11

S S

ベンゼノイド キノイド

ArMgBr ArLi

J

sc

(mA/cm

2

) V

oc

(V) FF (%) 1.57 2.12 2.62 3.73 6.33 η (%) 3.40

5.49 6.17 6.82 13.26

0.61 0.57 0.57 0.70 0.67

0.76 0.68 0.74 0.78 0.72 Me

Et Bu Ph

Bu

R

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