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老人の退院時におけ る生 きがい と生活行動お よび生活信条 との関連

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Academic year: 2022

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(1)

(原 著)

老人の退院時におけ る生 きがい と生活行動お よび生活信条 との関連

渡辺久美 中西代志子 池田敏子 高 田節子1)

近藤益子 太 田に わ 猪下 光2)

要 約

退院 を控 えた老人が, どの程度生 きがいを持 って退院 してい くのか,老人 自身の どの ような生 き方が 生 きがいに影響 しているのかについて知 るため, それ までの健康状態や,生活信条,生活行動につ いて, 退院許可の出た70歳以上の患者92名 を対象 として,独 自の調査用紙 に基づ き面接調査 を行 った。生 きが い とこれ までの健康度,生活信条,生活行動の関連性 を,分散分析及び t検定 によ り解析 した。

生 きがいの平均得点が高か った生活行動 は 「ボランティア」 で,続いて 「植物」 であったQ生 きがい の平均得点が高かった生活信条は 「その 日を楽 しく生 きる」 と回答 した人が, 回答 しなか った人 との間 に有意差があ り,老人の退院時の生 きがいの得点が高い傾 向を示す ことが明 らか となった。

キーワー ド:老人,生 きがい,生活信条,生活行動

序 論

21世紀の高齢化社会 に備 えて,一人一人の高齢 者が,社会の中で存在価値 を兄いだ し,生 きがい を持 って過 ごす ことは大切 なこ とである。生 きが いを感 じることが多いほ ど,幸せ な老後 を過 ごし ているといって も過言ではないだろ う。

高齢者の増加 に伴 い,疾病 のため入院治療 を受 ける高齢者 も増加 しているが,疾病 を経験 した後 に も,生 きがいを持 ち続け ることは,極めて重要 であると考 える。 また,悪性疾患や慢性疾患のた め,退院後 も継続的治療の必要 な患者 も多い。 こ のような高齢者が病院 を退院す るとき, どの桂度 生 きがいを持 っているかはその後の闘病意欲や生 活の質 を大 き く左右す ると考 えられ る。

ところで,高齢者 を対象に した主観的幸福感の 研究ト 4)や生 きが いに関す る研 究5,6)は数 多 くみ ら れ る。 しか しなが ら, これ らの研究は在宅の健康 または病弱老人 を対象に した研究や,施設入所者 を対象 とした研究が多 く,入院中の疾病 を持つ高

岡山大学医療技術短期大学部看護学科 1)広島県立保健福祉短期大学 2)香川医科大学医学部看護学科

齢者 を対象に して生 きがいに関す る調査 をした研 究 は少ない。入院 とい う生活の変化や疾病 を経験 した高齢者に, よ りよい継続看護 を提供 してい く ためには,退院 を迎 える高齢者の生 きがいの程度 を明 らかに し,入院中の看護 の在 り方について検 討す る必要がある。

そこで筆者 らは,入院治療 を終 え社会復帰す る 高齢者,すなわち自宅退院が決定 した高齢者が, どの程度生 きがいを持 って退院 してい くのか, ま た,生 きがいの程度に影響す ると思われ る要 因の 中で特 に, それ までの健康状態や,生活信条,生 活行動 につ いて着 目した。本研究の 目的は, それ らの諸要 因 と生 きがいの関連 を明 らかに し,入院 中の高齢者への看護の在 り方 を検討す る基礎 資料 とす るこ とである。

研 究 方 法 1.対象

中 ・四国地 区におけ る岡山,高知,徳 島の3カ

(2)

所の国立大学付属病院 と1ヵ所の総合病院におい て, 自宅退院の許可のでた70歳以上の患者92名 で ある。

2.

調査方法

退院1週間前か ら前 日の期間に筆者 らが作成 し た質問紙 を用 いて30‑40分 間の個 人面接 を行 った。

質問紙は 1)退院時の身体状態, 2)日常生活能 力, 3)退院時の患者の状況, 4)家族の状況, 5)健康 に対す る意識や取 り組み及び生 きがいに つ いて5項 目で構成 されている。本研究では5項 目の うちの健康 に対す る意識や取 り組み及び生 き がいについてのみ取 り上げる。

健康度,生活信条,生活行動 について, それぞ れ,「これまで健康 で したか」,「健康 のために して きたことは」,「あなたのこれ までの生活信条は」,

「自分 の生活 を豊 か にす るため に して きた こ と は」,とい う質問 を行 い選択肢か ら回答 を求め る形 式で行 った。健康のために して きたこと ・生活信 条 ・生活行動 は複数選択 で回答 を求めた。

生 きがいについては今 の生 きがいが どの程度か につ いて, 1.「か な りあ る」, 2.「まあ まああ る」, 3.「少 しある」, 4.「ない」の4段階評定 で回答 を得 た

3.調査期 間

1993年7月〜1994年12月に行 った0

4.

分析方法

対象者の うち,有効 回答の91名 を分析対象 とし, 得 られた結果 を次の ように分析 した。 まず,生 き がいの程度 を高い方か ら4点, 3点, 2点 とし, ないを1点 として得点化 した。次 に,生 きがい と これ までの健康度,生活信条,生活行動の関連性 を,分散分析及び t検定によ り解析 した。

結 果

対象者の背景 を表1か ら5に示す。対象者91名 の内訳は男性45人,女性46人で平均年齢は75.7±

5.1歳 で,患者のほぼ半数が悪性腫 疾患者 であっ た。退院時の転帰は43人が全快 もしくは軽快 であ った。

1.対象者のこれ までの健康度,生活信条,生活 行動

1 対象患者の性 ・年齢 n‑92

性別 〜74 75‑84 85歳 〜 総数 26(57.8) 18(40.0) 1(2.2) 45(100.0)

22(47̲8) 17(37.0) 7(15.2) 46(100.0)

2 入院 目的 n‑92

手術療法 保 存療法 その他

表3 転機 n‑92

快.軽快 安 定 不 その他

4 自覚症状 ・機能障害 n‑92

な し あ り 不 明

機能障害 l73 l 18 l 1 l92

5 家族形態 n‑92

家 族 形 態 計 (%) 一人暮 らし 9(10.0)

一人暮 らし (身内が近 くに住 む) 8(8.9)

老夫婦 のみ 29(32.2)

同居家族 44(48.9)

(不 明2)

1)これ までの健康状態

これ までの健康状態 を,「健康 に恵 まれた」と回 答 した人は91人中51人で56.0%であった。以下,

「どちらともいえない」が26人 (28.6%),「あま り恵 まれなか った」が13人 (14.3%)無回答が1 人 (1.1%)であった。

2)健康 のために して きたこと

これ まで,健康 のために どの ようなことをして きたかにつ いては 「食 ・生活の管理」 と回答 した 人が もっ とも多 く37人 (40.7%)であった。つい で,「運動 ・リ‑ ビ リ」が28人 (30.8%),「趣味 を 持つ」,「きちん と受診す る」がそれぞれ14人(15.4

%),「民間薬 ・民間療法」 は9人 (9.9%)であっ た。

(3)

3) これ までの生活信条

これ までの生活信条につ いては 「趣味や生 きが いを持つ」と回答 した人が もっ とも多 く

4 2

( 4 6. 2

%)で,「自分 の こ とはで きるだけ 自分 で」が

4 1

( 4 5. 1 %)

であった。以下, 「その 日を楽 し く」が

1 5

( 1 6. 5 %)

,「特 にな し」が

1 2 人( 1 3. 2 %)

,「そ の他

」8

( 8. 8 %)

であった。

4)これ までの生活行動

生活 を豊かにす るため に して きた生活行動 を生 きがいの平均得点 とともに図1に示す。

件数 の多い順 に 「テ レビ ・ラジオ

」2 6

( 2 8. 6

%), 「運動

」2 3

( 2 5. 3 %)

, 「書 ・美術

」2 0

( 2 2. 0

%), 「文芸

」2 0

( 2 2. 0 %)

, 「植物

」1 9

( 2 0. 9

%)で,以下 「手芸

」1 7

( 1 8. 7 %)

「旅行

」1 6

( 1 7. 6 %)

, 「音楽

」1 6

( 1 7. 6 %)

「付 き合 い

」1 5

( 1 6. 5 %)

と続 いた。

(件)

50

2.退院時の生 きが いの程度

今 の生 きがいが どの程度 あ るかについては,「か な りあ る」 と回答 した人が

3 1

( 3 4. 1 %)

, 「まあ まああ る」が

4 1

( 5 0. 5 %)

, 「少 しあ る」が

9

( 9. 9 %)

, 「無 い」が

4

( 4. 4 %)

であった

。8 0

%以上 の老人が生 きがい を持 って退院 を迎 えてい た。

3.生 きが い とこれ までの健康度,生活信条,坐 活行動 との関連性

1)生 きが い とこれ までの健康度

これ までの健康状態 と生 きが いの関係 は,「健康 に恵 まれ た」 と回答 した人 の生 きが いの得 点 が

3. 2 8

点, 「どち らともいえない」が

3. 0 0

点, 「恵 ま れなか った」が

2. 9 2

点 であった。健康 に恵 まれな か った人の得 点は低 いが,健康状 態 と生 きがいの 平均得 点 との間には有意差 はなか った (表6)O

n‑91

ペッ‑

ボランティア

噂好品

内職

付き合い

旅行

植物

文芸

書・美術

運動

テレビ二フジオ

0 9 3 2

1 生活行動の件数 と生 きがいの行動別平均得点

(4)

6 生 きがい とこれ までの健康度 との関連 n‑91 生 きが いの得点 健康 に恵 まれた 51 3.3 どち らともいえない 26 3.0 恵 まれなか った 13 2.9

2)生 きがい とこれ までの生活信条

これ までの生活信条 では 「その 日を楽 しく」 と 回答 した人の得 点が3.60点で最 も高 く, 回答 しな か った人 と比べ有意 に生 きがいの得 点が高か った

( p<0.

01)。他 の生活信条 では有意差 はなか った が,「その他 」が3.37点, 「趣味や生 きがいを もつ」

が3.33点, 「自分 の こ とはで きるだけ 自分 で」が 3.15点 であった。 また, 「特 にない」が2.83点 で最

も低か った (表7)O

7 生 きがい とこれ までの生活信条 (複数 回答)n‑91 これ までの 回答 した人/ 回答 した人/

生活信条 回答しなかつた人の人数 回答しなかつた人の得点

自分 の こ とは

で きるだけ 自分 で 41/50 3.1/3.1

趣味や生 きが いを持つ 42/48 3.3/3.0

その 日を楽 し く 15/76 3.6/3.1 生 きる (p<0.01)

特にない 12/79 2.8/3.

3)生 きがい とこれ までの生活行動

これ までの生活行動別 の生 きが いの平均得点 は 図1で示 した通 りであ るが,生 きが いの得点の高 い順 では 「ボランティア」‑3.43点, 「植物」3.42点 で, 「音楽」3.38.も 「運動」3.35点, 「ペ ッ トを飼 う」3.33点であった。以下, 「文芸」3.30点, 「旅 行」3.13点, 「付 き合 い」3.26点 「書 ・美術」 と続 き, 「テレビ・ラジオ」が3.12点であった。最 も平 均得点が低 か った生活行動 は 「時好 品」 の3.00点 であった。 これ らの生活行動 の回答 の有無 と生 き がいの平均得点 との間には, どの生活行動 の項 目 別 にみて も有意差 はなか った。

考 察

退院前の老人 を対象に,生 きがいの程度 を調査 し,生 きがいに影響 を与 える要 因 として,老人 自 身のそれ までの健康状態や生活信条,生活行動 に 着 目し, これ らの諸要 因 と生 きがい との関連 の分 析 を試みた。

1. これ までの健康度 と生 きが いの関連

これ までの健康状態につ いてであ るが,「恵 まれ た」 とした人の方が, 「どち らで もない」や, 「恵 まれ なか った」 とした人 よ りも生 きが いの得 点が 高 い傾 向にあった。高野 ら7)は,調査 研 究 に よ り, 健康 度 自己評価 が主観 的幸福 感 に最 も寄与す る要 因であ る との結果 を得,入院 中の高齢者の生 きが い意識は, 自分 の健康度 をどの よ うに評価 してい るか に影響 され る と報告 してい る。本研究 では, これ までの健康状態 につ いて質 問 してい るが, こ れ は,入院 までの人生 と退院 を控 えた入院中の全 て を含むの期 間に対す る質 問であ り,高野 らの入 院中の健康状態 につ いての質 問 と若干違 う意味合 い を持つ。 しか しなが ら,退院時に 「健康 に恵 ま れ た」 と回答 した人が悪性疾患患者が半数 を占め る今 回の対象者の中で56.0%を占めた こ とは驚 き であ る。高野 らの調査対象者 は本研究の対象者 と 同様 に悪性疾患群 が59.6%を占めていたが,健康 度 の 自己評価 は半数以上が 「比較的 よい」か 「普 通」 と回答 してお り,悪性疾患 を抱 えて も自己の 健康度 の評価が高 い人が 多数存在 し, また,健康 度の評価 が高 いほ ど生 きが いが高 い といえる。

有意差 はないが,全体 としては,退院時に生 き がいが ある と感 じてい る人は, これ まで健康 に恵 まれた生活 を送 った と感 じていた。本研究の対象 者 を個 々にみてい くと, 「健康 に恵 まれなか った」

とした13人の うち,10人が生 きが いが 「か な りあ る」か 「まあ まああ る」 としてお り,生 きが い と 健康度 との関連 は個 人の考 え方や生活背景 に よ り 左右 され,健康 に恵 まれな くて も生 きが いを持 っ て過 ごす こ とがで きるこ とが示唆 され た。

看護職 は,老人がいわゆ る健康 といわれ る状態 にな くとも,老人の健康観 では健康 に恵 まれた と 感 じ, また,健康 に恵 まれ た と思 わない老人で も 生 きが い を持 って過 ごせ る とい うこ とを念頭 にお

(5)

いて,入院中や退院後に老人の健康状態に応 じた 生 きがいを持て るよう,共 に考 えてい くべ きであ ると考 えるO同時に,健康度の 自己評価 を高め る 看護の働 きかけが必要 である7)0

2.これ までの生活信条 と生 きがいの関連 これ までの生活信条 では,「その 日を楽 しく」と した人が有意に生 きがいの得点が高かったのは興 味深 いこ とである。 その 日を楽 しく一 日一 日を過 ごす こ とができれば,結局有意義 な人生 となると いえる。一見, この生活信条は成 り行 きまかせ の 気楽 な生 き方 と見受け られ るが,不平不満 を抱か ず 日々感謝 して,生か されていることをあ りがた く楽 しく生 きている老人の姿勢が背景にあるので はないか と思われ る。

村上 らの行 った生 きが い活動 に関す る調査研 究8)では,75才以上の高QOL群 の後期高齢者にお いて 「一 日を無事 に過 ごす」の回答割合が大 き く 増加 していた。 この調査か らは,仕事や活動 に打

ち込むこ とがな くて も,一 日一 日を無事 に楽 し く 過 ごせ ることが70才程度 を越 えた高齢者 には重要 なことであることが推測で きる0本研究の結果 と 合 わせ て考 えると,老人が安定 した 日々の生活 を 楽 しく安全 にお くれ るように看護婦 は支援 してい

くべ きである。

3.これ までの生活行動 と生 きがいの関連 これまで生活 を豊かにす るために して きた生活 行動 では, ボランティア志向の人や,植物関係 の 趣味 を持 った り行動 をとって きた人が,生 きがい の得点が高い傾 向にあった。「ボランティア」と「植 物」の2項 目の共通点は,運動 で身体面 を鍛 える のではな く精神面 を豊かにす るとい う点であろ う。

精神面 とい う視点では 「書 ・美術」「文芸」「音楽」

について も精神 を豊かにす るものであるが,「ボラ ンティア」は人に奉仕す るとい う面 をもち,「植物」

は新 しい命 を育て るとい う面 をもつ点で, 自分 だ けでな く自分 の周囲の人に喜んで もらえるこ とも 多 く,利他的な行動であるといえよう。「植物」の 具体的な内容 として園芸 との回答が得 られ, その 他,仕事 として農業 を営んでいるものや,野菜作 りが趣味 とい う情報が得 られた。 これ らの農作物 を周囲の人々に与 え喜んで もらえるとい う経験が

あるのではないか と推測 されたが,面接 によ り情 報が一律 に得 られなか った。

最 も多 くの老 人が とって きた と答 えた 「テ レ ビ ・ラジオ」 とい う生活行動 は,老人の生 きがい の得点でみ ると2番 目に低 い結果 であった。 それ は受動的で, あま り努力 しな くて も誰にで もで き る行為 ととらえるこ とがで きる。 この結果 はただ 与 えられた もの を見 た り闘いた りす るだけでな く,

自分か ら積極 的に主体的に活動 してい くことが生 きがいを高め るためには大切 ではないか とい うこ とを示唆 していると思われ る。 これ らの受動的消 極的な生活行動 は生 きがい とは見 なされていない が, この ような生活行動 をとって きた老人は結果 的に生 きがいの得点が低か った ことになる。

「テレビ ・ラジオ」の回答は,本調査 で最 も多 かったが,老人の余暇時間の過 ごし方 を調査 した 研究9)で も,「テレビ ・ラジオ ・新 聞な どです ごす」

の回答が最 も多い結果 となっていた。 この研究で は,余暇のす ごし方 を 「どうしているか」 と 「ど うしたいか」につ いて質問 しているが, この現状 と希望 の間にギャ ップが あったのが,「テレビ・ラ ジオ」 と 「旅行」の二項 目であった。「テレビ・ラ ジオ」は現状 の方が高いが希望 は低 く,一方, 「旅 行」は希望が高いが,現状が低 い とい う結果だっ た。 このこ とか ら,老人は, テレビ ・ラジオ を中 心 とした毎 日を好 んで送 ってい るわけではないこ とが推測 され る。外部か らの働 きかけや,送迎 の サ ポー トな どがあれば,家か ら外 に出て,活動的 な生活 を送 り,充実感 を得 るこ とので きる老人 も 多いのではないか と思 われ る。

高齢者の生 きがいに関す る研究 は,地域住民 を 対象 として余暇や健康観,家族 との同居の有無 な どとの関連性 に視 点 をあてて行 われているものが 多い10,ll)。 多田12)は病 弱老人 を対象 とした調査 で 趣味が生 きがいの対象 としてあげ られた と報告 し ているが,我々の入院患者 を対象 とした生活行動 の中で 「植物」や 「音楽」, 「文芸」 な どは趣味 と いえる項 目であった。

今 回は,退院 を目前に した疾患 をもつ老人の生 きがいに関連す る要 因 を明 らかにす ることを目的 としたが,柘植13)は,地域住民 を対象 とした高齢者

(6)

の生 きがいの内容 について報告 している。 それに よると,上位 は働 くこ と,旅行,近所 とのつ きあ い とい う結果 であったが,我々の調査 では「旅行」

や 「付 き合 い」は上位 を占めなか った。我々の今 回の対象者が入院患者であったことも影響 してい る可能性があ り,老人の健康状態が生活行動,坐 きがいに影響 を与 えていることが推測 され る。 し か しなが ら,疾病のために体が不 自由で 「旅行」

や 「付 き合 い」 とい う生活行動が減少 していて も, それぞれの状態に応 じた生活行動 を楽 しみ,生 き がいを兄いだ していることが推測 された。

結 論

退院時の老人患者 を対象 とし,以下の結果 を得 た。

1)「その 日を楽 しく生 きる」とい う生活信条 をも つ老人は生 きがいの程度が高か った。

2) これ まで生活 を豊かにす るために して きた生 活行動 で最 も件数 の多い ものは 「テレビ・ラジオ」

であったが, この生活行動 を回答 した人の生 きが いの得,削 ま低か った0

3) これ まで生活 を豊かにす るために して きた生 活行動 で生 きがいの得点が高い傾 向にあったのは,

「ボランティア」や 「植物」であった。

文 献

1)太 田妃久子,神 田清子,大野絢子,土屋 純 二在宅健 康老人の主観 的幸福感及びその関連要 因の検討.群大 医短紀要 15:2529,1994.

2)前 田大作,浅野 仁,谷 口和江 :老人の主観的幸福感 の研究‑ モラ一ル .スケールによる測定 の試み一.礼 会老年学 11:5‑31,1979.

3)前 田大作,坂 田周一,浅野 仁,谷 口和江,西下彰便 : 高齢者のモラー ルの縦断的研究‑都市の在宅老人の場 合 ‑.社会老年学 27:3‑13,1988.

4)大沢正 子,西川千歳, 中野悦子,村上 明美, 山本祥 子, 福 島春 江,近森栄子 :都 市 におけ る高齢者 のQOL(1) 一主観 的幸福感 の測定 と関連要 因‑.神 戸市立看護短 大紀要 13:107‑124,1994.

5)演畑章子,津 田愛子,堀井満 恵,石 山浩美 :健康 な在 宅老人の生活 と生 きがい.QualityNursing 3:41 46,1997.

6)村松十和 :老年 の生 きがいの一考察一生 きが い と生 き がい喪失につ いて福祉 の立場か ら考 える‑.聖隷学 園 浜松短大紀要 13:123‑139,1990.

7)高野雅 子, 山崎清男 :入院 中の高齢者の生 きが い意識 に関す る研究‑健康度 自己評価 ・家族構成 ・社会的活 動性の関連性 の検討‑.第28回 日本看護学会集録 ( 人看護).132‑134,1997.

8)村上明美,川越清子,大沢正子,近森栄子,西川千歳, 中野悦子, 山本祥子,福 島春 江 :都市におけ る高齢者

神 戸市立看護短大紀要 13:107‑124,1995. 9) 三 喜 田龍 次 :老 人 の余 暇 と生 きが い. ジ ュ リス ト

12:279‑286,1978.

10)小玉敏江,長谷川美香 二地域 の高齢者の健康 感 と日常 生 活 行 動 との 関 連. 日本 看 護 学 会 誌 6 :16‑25, 1997.

ll)伊藤孝 治:老人の主観的幸福感 と健康感 に関す る検討.

26回 日本看護学会集録 (老 人看護):5‑7,1994.

12)多田敏子 :病弱老人の生 きが いに関す る研究. 日本看 護科学会誌 9 :2128,1989.

13)柘植 尚子 :三重県の人 口動態か ら見 た老人の特徴. カ リキュラム改革調査研究プ ロジェ ク ト報告書 :8‑19, 1997.

(7)

(Original)

The relation of Ikigai (the meaning of one's life) to one's behavioral pattern and belief, researched through the elderly persons

at their discharge from hospital

Kumi WATANABE, Yoshiko NAKANISHI, Toshiko IKEDA, Setuko TAKATA!!, Masuko KONDO, Niwa OHTA and Hikari INOSHITA2)

Abstract

There have been few researches about Ikigai of the elderly at the time of leaving the hospital and about the ways of their home nursing care. The purpose of this study is to clarify the relation of Ikigai to one's behavioral pattern and belief. In three national university hospitals and a general hospital in Chugoku region and Shikoku region, ninety-two patients above the age of 70, ready to discharge, were interviewed and given a Questionnaire. The Questions were about their body condition, behavioral pattern, and belief, and their Ikigai. More than eighty percent of them seem to lead a life worth living at the time of leaving the hospital. The behavioral pattern scores on the

"working as a volunteer" and "growing plants" are on a high level of Ikigai. The belief scores on the "enjoy every day" is also on a high level of Ikigai.

In this paper the result of this interview is reported and a better nursing care for them is discussed.

Key words: the elderly, Ikigai, behavioral pattern, belief School of Health Sciences, Okayama University

1) Hiroshima Prefectural College of Health and Welfare

2) Kagawa Medical University, Faculty of Medicine, School of Nursing

参照

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