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九州大学学術情報リポジトリ

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

複素芳香環を含む両親媒性化合物の分子間相互作用 と二次元凝集構造に関する研究

竹原, 健司

九州大学工学応化機能応用化学

https://doi.org/10.11501/3065523

出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(b)各表面圧における紫外吸収スペクトル 3-4. 水面上単分子膜の安定官

3-2節では単分子膜の安定性について、 そのπ-A曲線における崩壊圧の高低で考 察を行ったが、単分子膜は圧縮によるドメインの再配列に基づく時定数を有してお り、 見かけの崩壊圧は圧縮速度に依存することが知られている6)。

そこで本節では、 水面上単分子膜の安定性の評価として、 一定の表面圧で保持し た際の表面積の減少(速度)を測定する方法7)を用いた。

3- 4 -

1

.

実 験

サプフェーズにはMilli -Qシステ ム(Millipore社製)によっ て精製した超純水(16 MQ・cm以上)を無調製のまま使用L(pH 5.6)、 水温は17:1:0.3 ocで一定とした。 展開溶 液は、 各両親媒性化合物の約 1.1x10-3 molflクロロホルムまたはクロロホルムーDMF 溶液として調製した。

試料溶液を、 初期分子占有面積が0.63 nm2になる量( 約0.20μmol)だ、け水面上 に展

開した。単分子膜の表面圧を一定にコントロールするために、 コンピュータ制御に よるフィルムバランス(サンエス計測社製、 FSD-20)とそれに連動したバリアー駆動 システムを用いた。 まず、 所定の表面圧に達するまでは0.48cm2js の一定速度で圧

縮し、 到達後は表面圧を一定に保つよう制御するためにバリアーを動かした(0.36 cm2js)。 設定表面圧は、 各両親媒性化合物の水面上単分子膜の 面積弾性率Ks が最大

となる点、KSmaxの表面圧とし、 その許容幅を:1:0.2 mN/mとしたo KSmaxの点では水面上 で分子及びドメイン構造が最も密に充填していると考えられる。 また、 面積弾性率 Ksは前節3-3に示したπ-A曲線より求めた。

M一弘

A

一一F3

K

( 3 .7)

設定表面圧に到達した時を時間t=O (min)とし、 その後120分間、 表面圧を一定に制 御した状態で膜面積変化を測定した。 平均面積減少速度究A(cm2jmin)を、t=O、 120に

おける膜面積をそれぞれA同、 A凶20として(

3

.

8

)式で定義した。

(3)

LlA At=O -At=120

.:JlA==

ー一一一ー

=

L1t

120

( 3 .8)

また各化合物おけるん=0の差を補正した平均面積減少率変化速度究%を(

3

. 9 )式の ように定義した0

9ì%==

L1A/A同 xlOO == JA同-A凶20)/ A同xlOO

L1t

120

( 3

.

9 )

3-4-2. 水面上単分子膜の定温定圧膜面積変化とその安定性の評価

C12 及びC16化合物 のそ れぞれのπ-A曲線 から求めたKsロmの点を、 図3-1 8(a) 及び、

3-19( a)のトA曲線上に←印で示し、 その表面圧において測定 した水面上 単分子膜の 膜面積の時間変化を図3-18(b) 及び3-19(b)に示す。 ただし、 膜面積は時間t=O の時のイ直

に対する比で 表して規格化している。 図3-18及び3-19のデータから求めた各両親媒性 化合物の単 分子 膜の膜面積減 少速度9îA(cm2・min-1)と膜面積減少率変化速度究%(0/0 . min-1)を表3-4に まとめて示す。

まず C12(a)化合物 について比較してみると、 二つのピリミジン化合物三三. 6 aが 他の三つに比べて数十倍速 く、 しかもほぼ一定の速度で単調に膜面積が減少するこ とがわかった。 この膜面積 の 減少の原因としては、 単分子膜の崩壊、 サブフェース への溶解、 クリープ現象等が考え られるが、 1分子の占有面積 にして発色団断面 積

(0.21 nm2)以下の膜面積まで 減少していることから考えて、 前二者の何れかによる可

能性が高い。 しかしな がら、 測定の初期段階(t=O近く) に関しては何れか不明である。

6aでは、 π-A曲線は2aや7aとほとんど変わ らない高い崩壊圧(46.4 mN/m)を示し

たにも関わらず、 その約1/2の表面圧でさえ不安定であり膜面積の速い減少が起こ っ ている。 このことは、 π-A曲線から単分子膜の安定性 に関して十分な情報が得られ ないことを証明 している。 従って、 6aのπ-A曲線 (図3-18)が小さな極限面 積を示し たのは その凝集構造に基づくのではなく、 面積歪み速度 が大きいために生じる圧縮 ノてー近傍の膜の不均一な崩壊による非平衡的な現象によるものと考察した。 一方、

ピラジン化合物2a'ピリジン化合物4a'ピリダジン化合物7aの水面上単分子膜の 面積減少速度は何れも小さく、 特に7aが最も安定な単分子膜を形成す ることがわか

った。

二つ のピリミジン化合物5 a. 6 aのアルキル鎖を延ばしたC16化合物5 b. 6 bは

- 64 -

(4)

図3-19や表3-4を見てわかるように、 その水面上単分子膜の膜面積減少速度が急に小 さくなり、 2aや4aと同程度に安定であった。 このことは、 炭素数4個分のアルキ ル鎖の延長による分子間凝集力の増加による安定化のためである。

表3-4 水面上単分子膜の定温定圧における膜面積減少速度(170C)

Constant Pressurea) タlAb) 9ì%b)

Compound

(

mN'm-1)

(

cm2・min-1

) (

0/0・min-1

)

C120BPya 2a 22 0.149 0.0474

C120BNPy4a 18 0.277 0.0967

C120BPymN5a 18

8.19 2.11

C120BNPym 6a 25

5.33 1.81

C120BPyd7a 12 0.0640 0.0243 C160BPymN5b 24 0.277 0.0821 C160BNPym6b 19 0.149 0.0463

a) The surface pressure at the maximum point of Ks was used.

b)

These are the average rates for

120

minutes.

(5)

(a) 70

Z亘

盆ヨ 豆ョ 皇亘 Z亘 ハU

nu nU ハU 〆hu くJ AH・

勺「J

h・E・之E\凶作比コ的,m,U仕え

LlJ

20

L( ct

10

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

SURFACE AREA / nm 2.・mo/ecule-1 0

0.1

(b)

1.2

2亘:C120BPya 金量: C120BNPy 豆皇:C120BPymN 皇室: C120BNPym

.、

、 \

ハU噌,EA

0.4 0.8 0.6

04〈\主〈。・ζmw止

0.2

Z呈:C120BPyd

nu ハUハU

-- nu nu

150

50

円lln.

図3-18 C12化合物の水面上単分子膜の定圧定温における面積減少 (a)面積弾性率が最大となる点KSmaxの表面圧

(b)定圧定温における膜面積の時間変イヒ(t=Oの時の面積で、規格化)

Time: t /

- 66 -

(6)

(a)

\..

5b

宣b

ハ川v

nu

ベJぷし nnuu

4・

qd h'E-之トヒ\凶作比コm,m,utn凡

70

札J

s:2

20ト

cr:: L(

包10ト

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

SURFACE AREA / nm 2.・molecule-1 0

0.1

(b)

1.2

- ・ ・ ・ ・ ・ ・..ー.. . . ..." . ー・・ ・ . .. . . . ...-一・ ・・・・・・・・・ .-ー-ー・←" .・…・・・・・・・・・・…-一 一 - 一 - ー

ハU噌Ei

0.8 0.6

04〈\2〈O冶mw止

豆長:

C160BPymN

豆�:

C160BNPym 0.4

0.2

ハUハUハU

1i ハU ハU

150

50

円lln.

図3-19 C16化合物の水面上単分子膜の定圧定温における面積減少 (a)面積弾性率が最大となる点、KSmaxの表面圧

(b)定圧定温における膜面積の時間変化(t=Oの時の面積で規格化)

Time: t /

(7)

3-5.

累積膜中での分子配向

前節までは、 複素芳香環両親媒性化合物1 -- 8の水面上単分子膜について比較を 行ってきた。 本節では、 その水面上単分子膜を固体基板上に LB法で累 積した膜(LB 膜-累積膜)における分子配向について比較を行う。

累積膜の場合は、 単分子層を単位構造とする のでその層間隔をX線回折などの方 法で知ることができれば、 分子全体も しくは分子軸の膜面に 垂直方向に対する配向

の情報を得ることができ る8)。 本節では、 累積膜のX線回折 によって求めた層間隔 からの、 分子軸の膜面に垂直方向に 対する配向角の比較について述べる。

3-

5 - 1 . 実 験

水面上に形成させた単分子膜を垂直浸漬法に よって、 ポリスチレン薄 膜( キャスト 法にて作製)上に30層累積した。 サブフェーズが純水では単分子膜が不安定な化合物 もあるので1x10-4 moljlの塩化バリウムを添加し、 水温は170Cとした。

単分子膜を累積したポリスチレン薄膜を幅2 mm の短冊状に切り、 それを積み重 ねて両端を接着剤で固定したものをX線回折測定用の試料とした。 この試料のエッ

ジ方向からX線(CuKα線;入=0.154 nm)を照射し、 回折線をX線フィルムに5時間露光 させた( 図3-20 )。 得られた回折像と石英標準試料を用いて求めたカメラ長Sから層間 隔しを求めた。 累積膜は何れもY膜であったのでしは二分子層間隔である。

L=入 / [2 sin (0.5 tan-1

(z' 1/8))J (

3 . 1 0)

また、 アルキル鎖をトランスジグザグ構造としたCPKモデルに基づくバリウム塩分

子の分子長(Lm=2.93 nm)から分子軸の膜法線方向に対する配向角。molが求められる (図3-21)。

f) mol =

cos-1

(し/しm)

X-ray

( 3

.

1 1 )

Diffraction pa社ern

通・ー

8ample

X-ray Film

図3-20 累積膜のX線回折測定

- 68 -

がZ'1

(8)

Ømol I

図3-21 累積膜における分子の配向角

3- 5

-

2 .

累積膜における分子配向

ピラジン化合物2a、 ピリミジン化合物5a及びピリダジン化合物7aの各バリウム 塩のポリスチレン上累積膜の二分子層間隔とそれから求めた分子軸の配向角を表3-5 に示す。

二分子層間隔しは5a<2a<7aの順に大きくなり、 このことは膜法線方向に対す る配向角化01を見てわかるようにこの順で分子軸がより垂直に立っていることを意味 している。 ピリダジン化合物7aの分子は他に比べて累積膜中で膜面に対してより垂 直方向に配向しており、 この配向構造が他に比べて安定であることを示唆している。

これは分子構造上の相違点であるピリダジン環の効果によるものと考えられる。

ピラジン化合物2aのLB膜における分子配向については、 竹中らがFT-IRスペクト ルを用いた解析を報告している9)。 それによると、 アルキル鎖及び発色団長軸の膜 法線方向からの配向角はそれぞれ310及び270である。

表3-5 累積膜の二分子層間隔と配向角

Compound

L

(nm)

。mol

(0 )

C120BPya 2a

4.71 36.5

C120BPymN

5a 4.56 38.9

C120BPyd

7a 5.45 21.6

(9)

二次元凝集構造と複素芳香環の効果に関する考察

3-6.

本章では、 同じ分子骨格を持つ両親媒性化合 物1�8の水面上単分子膜及びその その相違を明らかに することが目的であった。

累積膜の凝集状 態や膜構造を比較し、

その結果が何に起因してい これまでに記述し た測定 -解析結果をまとめ、

るかを含めて総括的に考察する。

ここで、

3-6-1. 水面上単分子膜における分子凝集状態に対する複素芳香環の影響

アルキル炭素数12の化合物1a� 7 aの これ らの化合物の水面上圧縮過程における 図3-22は3-2節で既に示した図であるが、

この図は、

純水上での π-A曲線である。

π-A挙動が互 い に異なることを示している。 分子形状が互いにほとんど違わないこ この相違が発色団中の複素環の種類、 すなわちピフェニル環中の窒素原子 とから、

L 、,

の数と位置に起因していることが明 らかである。 その因果関係を考えるため に、

の二次元分子集合体中での分子の凝集状態をより明確にする必要がある。

ユa

z.a

3a 全a

5a

豆a 7a

70

ハU ハU ハU ハU fO Fコ 4・

勺コ

でにk・之E\U止ヘ)m,めU止止

LよJ

s2 20

a: 以

v5 10

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

SURFACE AREA / nm 2.mo/ecu/e -1 0

0.1

両親媒性化合物1 a� 7 a の純水上で、のπ-A曲線 図 3-22

ー70 -

(10)

表3-6に各両親煤性化合物の純水上単分子膜のπ-A曲線、 紫外吸収スペクトル、 定 圧安定性についてのデータをまとめて示す。π-A曲線の直線領域での傾きは定性的

に大小のみを記した。また、 最大吸収波長λmax には水面上単分子膜の値と共に、

エタノール溶液中での値も括弧内に示した。

Compound

1a

2a

3a 4a

5a

6a

7a

表3-6 化合物1 a...__ 7 aの水面上単分子膜の性状

π-A Isotherm slope of

πc a)

π-A

curve

b)

20 ×

45

45

30 。

25 ×

47

47

UV

Spectrum λmax

c)

Inm

2 6

5

( 29 1 )

287 (3 29 )

261 (294)

274 (306)

304→280

(288)

284 (306)

279 (297)

ー一一ーー』ー

a)πc; collapse pressure (mNjm)

b) The degree of negative slope of a linear region in

1t-A

curve 0・・・・l訂ge, X…・small

c) The values in parentheses areλmax in EtOH solution.

d) stability at constant pressure and at constant temperature

Stability

d) 5庁%

ーーー

0.0474

0.0967

2.11

1.81

0.0243

この表より、 ピラジン化合物2a、 ピリジン化合物3 a. 4 a、 そしてピリダジン化 合物7aの水面上単分子膜が類似した性質を示すことがわかる。 すなわち、

①崩壊圧が高い。

②π-A曲線の勾配が(負に)大きい。(立ち上がりが急)

(11)

③圧縮によってスペクトルが変化しない。

④定表面圧での安定性が高い。

これらの 化合物は何れも、 水面展開時や分子占有面積が十分に大きい時でもH会合 状態の二次元微結晶を形成し、 その会合状態、や微結晶体 の集合状態は残りの化合物 に比べて安定である。 ただし、 図3-22のπ-A曲線に見られるように極限面積がそれ ぞれ違うことから、 二次元充填構造は互いに異なるものと考えられる。

ピリミジン化合物5a と 6aは、 共に水面上単分子膜が極めて不安定である点で他 の化合物と 明確に異なる。 しかし、 安定性以外では6aはピラジン化合物2a等の一 群と類似ししているのに対して 、 5aは極めて特徴的な性質を示す。 5aは水面展開 時では日会合体を形成せず、 より長波長側に吸収を持つ単量体もしくはJ-li ke会合状 態を と るが、 それが圧縮の段階で日会合状態 に変化するために弾性率の小さい(圧縮 率の大きい)単分子膜と なる。 その 日会合状態の単分子膜は不安定で崩壊圧は低い。

ピラジン化合物2aとピリミジン化合物5aの水面上単分子膜の凝集状態を摸式的 にまとめたものを図3-23に示した。

以上のように、ピフェニル化合物1 aのl個のベンゼン環を4種の含窒素芳香環(ピ ラジン環、 ピリジン環、 ピリミジン環、 ビリダジン環)で置換した両親媒性化合物に おいて、 その水面上単分子膜中での分子の凝集状態が互いに異なる ことは明らかで ある。 次項では、 この凝集状態の違いをもたらす複素芳香環の作用について考察す

る。

- 72 -

(12)

'l vv

((;;@m��@)��Ò@11il

ヨー

H aggregation

一必必佐

川 よC叩 一 一

monomeric dispersion

図3-23 2

a及び5 aの水面上単分子膜形成過程における凝集状態の変化

雪空主主 ・

哩豆 le monolayer

(13)

3-6-2.

前項において、 化合物1�7の水面上での二次元凝集状態、を比較し、 それが発色 団中の複素芳香環の種類によって異なることを明らかにしたが、

二分子会合モデルによる分子閑静電相互作用

それはいかなる因

二工二フ't

これらの化合物はほぼ同じ分子骨格をしているの で、

子によるものであろうか。

間的なパッキングの因子はそれほど重要ではない。 従って、 凝集状態に関与する因 子として、 分子間力またはそれに基づく分子間相互作用を考える必要がある。

まずその無置換化 合窒素複素芳香環に働く 分子間相互作用を明確にする ために、

ピリダジン)の物性について比較を行う。 表 ピリミジン、

ピラジン、

合物(ピリジン、

3-7には、 各複素芳香族化合物及びベンゼンの沸点(1気圧)の値を、 凝縮相において働 く分子間力(凝集力)の目安として示した。

芳香族化合物の物性10) (沸点と双極子モーメント)

aromatic compound boiling point dipole moment

(OC) (Debye)

benzene 80.1

pyridine 115.5 2.15

pyrazlne 116

pyrimidine 124 2.33

pyridazine 208 4.22

表3-7

よ川上川R

'' 、、、

‘『/,A

Arf 、、 」NA

pyridazine pyrimidine

pyr制ne pyridine

benzene

とベンゼンに ベンゼンの一つのCHをN原子で置き換えたピリジンの沸点は115.5 oC

ピリダジンでは 124、 2080Cとさらに高くな ピリミジン、

比べて35.4 oC高くなり、

この沸 点の変化は、 表3-7に並べて示した各分子の双極子モーメントの大きさと る。

これらの複素環分子の凝縮系における分子間相 相関していることがわかる 。 即ち、

ところカ宮、 ビラ 互作用において、 双極子ー双極子相互作用の寄与が大きいと言える。

- 74 -

(14)

ジンの場合はその分子の対称性から双極子モーメントがOであるにも関わらず、 沸 点は116 ocとビリジンと同程度である。 これは、 ピラジン分子中の窒素原子が炭素 原子よりも電気的に陰性であるために、 窒素原子が負に、 炭素及び水素原子が正に 分極しており、 ビラジンが多極子としての性質を有しているためと考えられ る。 そ こで、 このような分極は他の複素環でも同様であるので、 これらの分子の聞の相互

作用としては分子を多極子として捉え、 各電荷ー電荷静電相互作用の総和を考え る必 要がある11)。

次に、 化合物2�7についてその二分子間相互作用を多極子-多極子静電相互作用 に基づいて考える。 化合物2�7は両親媒性化合物であり、 水面上単分子膜中では 親水基(または疎水基)を同じ方向に向けて配列するため、 図3-25に示すように複素環 部分が互いに重なる。 図3-24はピラジン化合物2とピリミジン化合物5について複 素環の重なり部分のみを取りだし、 窒素原子を負電荷、 炭素原子を正電荷として結 合双極子モーメントの向きを示す矢印を付したものである。

(

pyrazine dimer

) (

pyrimidine dimer

)

aJtractive interaction repulsive interaction

図 3-24 ピラジン環及びピリミジン環の重なりと相互作用

ピラジンの場合は図のように安定な重なり方が可能で、あるが、 ピリミジンの 場合は 図のように窒素原子同士、 炭素原子 同士が最近接で重なり、 静電相互作用的 に不安 定な重なり方しか取れない。 同様の考え方を他の化合物に応用して相互作用を考え たのが、 図3-25である。 ピリジン化合物3および4、 ピリダジン化合物7は何れも ピラジン化合物2と同じく安定な重なり方が可能で、ある。 ところが、 ピリミジン化 合物5および6の場合は共に不安定な配置しか取り得ない。

この二分子会合モデルによる定性的な多極子-多極子静電相互作用の化合物による 違いと 、 前項でまとめた水面上単分子膜での凝集状態、の違いを比較してみる。 化合 物2、 3、 4、 7における静電的な安定化は、 これらの化合物の水面上単分子膜の

(15)

αttractiνeoνerlavvinf! revulsiνe overlavvinf!

0 5 0 5 0 5 0 5 o-d了。J了

0\

1

N._' P'、N

��市ñ N'"グ/、-N N'グ/、、N

x x

2 3 4 7 5 6

図3-25 二分子会合モデルと分子間静電相互作用

(16)

高い安定性やH会合性の二次元微結晶体の形成等の性質に良く対応している。 また、

ピリミジン化合物におけ る不安定な重なりは、 これらの化合物の水面上単分子膜 が 極めて不安定であることと、 5が膜面積が広いところでは日会合体を 形成しないこ とを説明することができる。

累積膜に関しては、 全て同じ配向を仮定した 二分子会合モデルでは唯一示した層 間隔の測定結果を説明できず、 以下に述べるよう に相互作用モデルの拡張とエネル

ギ一計算が必要である。

以上のように二分子会合モ デルによる多極子-多極子静電相互作用の考え方は、

個々の化合物系の二次元分子集合体の凝集状態を理解するのに役に立つこと がわか る。 しかし、 実際の二次元凝縮系において このような二分子のみの会合構造が存在 するとは考え難く、 またその相互作用は極めて定性的で 分子集合体の構造や化合物 聞の相対比較には不十分である。 そこで、 分子間の相互作用をできるだけ定量的 に 見積もるために、 より数多くの分子を対象とし、 系統的にその相対配置を決めて 相 互作用エネルギーを計算することが必要で、ある。 これに関しては、 次の第4章で述 べる。

(17)

3-7. まとめ

本章では、 複素芳香環を含む両親媒性化合物の二次元凝集構造を、 水面上単分子 膜に関しては表面圧ー面積曲線、 スペクトjレ特性、 定表面圧安定性によって、 LB膜中 に関してはX線回折によって評価した。 その結果、 発色団中の複素芳香環の構造、

換言すれば窒素原子の位置によって二次元凝集構造が異なることを見いだ、した。 そ の凝集構造の特徴については3-6-1:項で述べた。

また二次元凝集構造の相違に関する要因として、 複素芳香環の多極子としての性 質に基づく分子関の静電相互作用を考え、 二分子会合モデルを用いて定性的な考察 を行った(3-6-2項)。

〈参考文献〉

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- 78 -

(18)

第4章

二次元系における分子関静電相互作用とそのエネルギ一計算

分子性結品は、 個々の分子問に働く種々の相互作用によって形成される。 従って、

その構造もしくは分子配列はその相互作用によって最も安定化される状態、 すなわ ち格子エネルギーが極小と なる状態をとる。 そこで、 格子エネルギーを計算によっ て見積もることができれば、 結品構造を推定することが可能である。 特にX線構造 解析が困難であるような場合や、 新たに合成する化合物の分子設計の指針が必要で ある場合には極めて有効な手段となる。 現在では、 コンビュータの発達により分子 軌道(MO)法や分子力場(MM)法1)を用いて結晶やクラスターの構造を描き出すことも 可能になりつつある。

第3章において、 一連の複素環を含む両親媒性化合物1�7が、 それぞれ凝集状 態や構造の異なる分子集合体(水面上単分子膜、 LB膜の単層)を形成することを示 した。 この現象も二次元の結品または集合体における分子間相互作用がそれぞれ異 なるためであると考えられる。 3-6節では、 二分子会合モデルを用いて分子間相互 作用、 特に複素環部の静電的な相互作用によって凝集構造の違いを説明した。 この モデルによる説明は直観的でわかり易いが、 定性的でありしかも 構造は実際の二次 元分子集合体構造を的確に表現するものではない。

そこで、 両親媒性化合物1�7の集合体構造の差を説明するために、 二次元格子 上に配列させた分子集団系の分子間相互作用エネルギーを計算によって見積もるこ とを試みた。 ただし、 分子や分子数が大きいので、 前述したような分子軌道法によ る計算は実際上適用できず\古典的電気力学を用いた近似法によって計算の簡略化 を行った。

本章では、 まず相互作用エネルギーの計算方法について述べ、 次にその計算結果 を示して分子集合体構造との対応について考察する。

(19)

4-2. 計算法

4- 2

- 1 . 概要2)

分子問に働く相互作用にはファンデルワール ス相互作用、 水素結合相互作 用 そし て電荷移動相互作用があるが、 計算の簡略 化のためにファンデルワールス相 互作用

のみを考える。 分子問に働くファンデルワールス相互作用エネルギーε は次のよう に表される。

ε=εel+εex+εdi+εin ( 4

.

1 )

&1:静電力成分 &x:交換斥力成分 &ii:分散力成分 εin 誘起力成分 こ こで以下のような省略と近似を用いる。

(1

)静電力成分のみを考慮する。

4つの 成分のうち、 誘 起力成分ε10は一般に他の成分に比べて寄与が小さく無視す

ることができる。 交換斥力成分&xと分散力成分白iはいずれもεに対して大きな部分 を占めるが、 本章で対象とする化合物群における互いの差、 すなわち分子中の窒素 原子の数と位置によって あまり変化しない。 従って、 複素環の違いによる分子 集合 体構造 の違いを分子間相互作用によ って相対的に論じるには、 静電力成分の みを考

慮すれば良い ことになる。

(2)安定化エネルギ-L\Eで比較評価を行う。

前項、(1)を受けて、 本章では分子間相互作用の計算による評価値として、 ピフエ

ニル誘導体1を基準(お)としたときのそれからの安定化エネルギ-L\Eを求める。

L\E=ε- ED

&1 - Eb,el = &1 ( 4

.

2 )

*本章で行う計算で、はED,el= 0である。

( 3 )

分子間静電相互作用を点電荷間相互作用の和と

て計算する

これまで、 極性分子の二次元や三次元の集合体における静電相 互作用の見積もり やそれによる最適構造の推定には、 点双極子近 似 が多く用いられている。 し かし、

本章の対象系においては不適当である。 例えば、 ベンゼンとピラジン(どちらも双

- 80 -

(20)

を各原子!日]の点'屯荷一点包荷相互作用の総和として近似する。

εel=ヱ( qa・qb・叫)

qa, q b :原子a,bの電荷 r ab :原子aと原子bの距離

( 4 .3)

以上の仮定を基にすると、 図4-

1に示すようなXY平面上の原点に置いた一つの分

子と二次元裕子上に配列させた分子群のうちの任意の一分子(k)との間の静電相互作 用ß Ekは式(4.4)によって計算できる。

1 qi' q j LJ

E k

=エエ 一一一 J

i j 4πεo r ij

( 4 .4 )

さらに、 中心に置いた分子に及ぼす周囲の全分子の静電相互作用エネルギ一、 即ち 系全体の静電相互作用エネルギーは次式(4.5)で与えられる。

L\E= L(L\Ek) ( 4 . 5 )

(21)

×

(22)

4-2-2.

分子情造と電荷分布

計算の対象とする化合物1---7は、 アルコキシ基とカルボキシル基の部分は共 通 であり、 互いに構造が異なるの は芳香環部分である。 そこで分子問相互作用エネル

ギーの相対的な差ßEを見積もるために、 フェニルヘテロアレーン分子を計算 用分子 とした。

分子の電荷分布はπ電子系の経験的分子軌道法であるppp法3-6)を用い て計算した。

このppp;法を用いて求めたベンゼンおよび含窒素複素芳香環の双極子モーメントの値 を表 4-1に 示す7)。 文献値8)と比較してみると、 ピリジン ・ ピリミジン ・ ピリダ ジン では何れも計算値が小さくなっている。 これは、 ppp;法がπ電子のみを考慮した分子 軌道法であるの に対し、 実際には複素芳香環の窒素原子上の核か ら偏位した非共有 電子対が双極子 モーメントに寄与しているためと考えられる。 特に非常に近接した 分子間の相互作用 を考える際に、 非共有電子対の偏位は無視できない9) 10)。 そこで

双極子モーメントの計算値と実測値が合致するようにその偏位を決定した(偏位距離

0.009 nm、 右図)。 以降の計算では、 この非共有電子対を窒素 原子から分離し、-2の電荷を持った" 原 子" として扱う 。 そ のため窒素原子は最初から+2の電荷を持つことになる。

表4-2 にフェニルビラジン分子の14個の " 原子" (12個の 原

C

01'】A

I �%

�N,

/〆 "'--

/

C....

" ..、・-

子+2偲の非共有電子対)の三次元座標を示す。 他の化合物についても炭素及び窒素の 骨格原子の座標は共通とした。 また、 表4-3には各分子における原子上の電荷を示す。

表 4-1. 含窒素芳香環の双極子モーメント 双極子モーメント

(Debye)

芳 香環

計算値(PPP 法) 文献値

ベンゼン

ピラジン

ピリジン

1.444

2.15

ピリミジン 1.449

2.334

ピリダジン

2.939 4.221

(23)

表4-2. フェニルビラジン分子における各原子のXYZ座標(nm単位)

No.

X Y Z

。 。 0.7090

2 。 0.1212 0.6390

3 。 0.1212 0.4990

4 。 。 0.4290

5 。 ー0.1212 0.4990

6 。 ー0.1212 0.6390

7 。 。 0.2800

8 。 0.1212 0.2100

9 。 0.1212 0.0700

10 。 。 。

11 。 ー0.1212 0.0700

12 。 ー0.1212 0.2100

13*) 。 0.1290 0.2145

14*) 。 ー0.1290 0.0655

*) No. 13及び14は非共有電子対

- 84 -

(24)

4-3.

各分子上の電荷分布

No.

F

2 3 4 5 6 7

0.0100 0.0011 0.0081 0.0022 0.0159 0.0117

2

I 。

0.0010 0.0020 ー0.0000 0.0029 ー0.0026 0.0025

3

0.0210 -0.0004 0.0225 -0.0031 0.0297 0.0267

4

I 。

-0.0118 ー0.0022 -0.0090 -0.0044 -0.0177 ー0.0138

5

0.0077 ー0.0027 0.0076 ー0.0031 0.0297 0.0065

6

ー0.0005 0.0009 ー0.0025 0.0029 -0.0026 ー0.0017

7

0.1240 ー0.0190 0.1383 ー0.0378 0.2741 0.1424

8

9

10

0.1254 0.1472 ー0.0253 0.2938 ー0.0499 0.1468

11

-0.0203 0.0616 0.2118 0.0471

12

0.1351 0.0620 0.0211 0.2127 0.0479

13 -2 -2 -2 -2 -2 -2

14 -2 ー2 -2 -2

* )iが 翠| 部分は窒素原子

(25)

4-2-3.

二次元配置のパラメータ化

静電相互作用エネルギーを計算するに当たって、 分子の可能な二次元配置を全て 網羅するためにその適当なパラメータ化を行う必要がある。

まずできるだけ少ないパラメータで可能な全ての二次元格子を取り扱うために、

図4-2に示すょっに 二次元格子を斜方格子で表した。 単位格子の大きさ及び形を決定 するDX、 DY、 及び艮の三つのパラメータを用いた。 ただし、 単位格子の面積(DX.

DY)即ちl分子当りの占有面積は、 化合物1----7のπ-A曲線から得られた極限面積

の平均的値の0.25 nm2とした。 次に、 二次元格子上での分子の配列様式に関するパ ラメータを考える。 ピラジン

ピリジン

ピリダジンを含む分子は 分子軸に関して C2対称を持たず、 図4-3の左に示すょっに単位格子上四つの可能な相対配置(A) ----(D) がある(ピリミジンの場合 は一つ)。 さらに、 Z軸に関する回転に対して回転角α と回転形式Zの二つのパラメータを用いた。 以上のパラメータを用いて全ての 配置

の静電相互作用を求めた結果が4-3節の垂直配向における計算結果である。

また、 傾斜配向を考えた場合(4-4節)はY軸、 X軸に関する回転角としてそれ ぞれ戸、 γの二つのパラメータを設定した(図4-4)。

以下に、 各パラメータの変化範囲と刻み幅を示す。

parameter

T釦ge

lncrement

DX (nm) 0.300 - 1.400 0.001

R

0.00 - 0.50 0.01

Z

1 or

-1

αC) 0.0 - 90.0

O.l

ß (0) -45.0 - 45.0 0.1

γ(0) -45.0 - 45.0 0.1

*

DY

=

0.25 / DX

- 86 -

(26)

two-dimensionα1 1αttice

R.OX _ι一一ームーーー一戸一一ーター ーφーーーーす.-一-φーーーータト 十一-.一一一-F-一一 戸- 一ーーー吟ー一ーー φ 一一ーー ?

/L よ|

l、OX

'1

DX ; 0.3 to 1 .4

nm

DX・OY= 0.25

nm2

R ; 0.0 to 0.5

図4-2 二次元格子のパラメータ

rotαtzon

fα:

00 to 900

\ Z ー

:

1 or-1

---矛関 z= 1

χ

Y

z= -1 !ピ

� N

Y ⑧診

(D) _j"'"" J"'""

し×

図4-3 単位格子における分子の配列様式パラメータ

(27)

Z

く」ラ α

7

図4-4

XYZ各執に関する回転のパラメータ

- 88-

(28)

4-3.

垂直配向における静電相互作用エネルギ-U王_&_

この節では、 まず芳香環分子の長軸が二次元平面に対して垂直に立っている場合 (戸=y =0)について考える。

4- 3

- 1 .

計算領域の検討

分子間相互作用は静電相互作用のみならず何れも分子間距離Rの関数であり、 R が大きくなるほど相互作用は小さくなる。 従って、 中心に置いた分子の周囲の分子 数を増やしていくと全相互作用エネルギーはあるところで飽和する。

図4-5のように中心分子の周りの分子 を、 第l、 第2、・・・、第n近接分子とし、

その内側の全ての分子との相互作用エネ ルギーの総和を求め、 各パラメータに関 して最適化を行った。 化合物2のモデル 分子であるフェニルピラジンについて、

, , '

各初期配置(A)'"'--(D)において最適化され た構造の 静電相互作用エネルギ-,j

E

pを nに対してプロットしたものを図4-6に示 す。 どの初期配置においても第10近接分 子まで で十分収 束する ことがわかった

(M E p< 0.001 kJ/mol)。 そこで、 化合 物による収束条件の違いを考慮して静電 エネノレギーの計算は全て第12近接分子ま での総:和として求めた。 これは、 分子数

で624、 面積で156 nm2に相当する。

, , , , '

図4-5 中心分子周りの第n近接分子

hu

5

ハU一oE・3

、、、

Z-5

0.. !B) ond !Cl

-10 !Al

10 20 30 LO Il

図4-6 フェニルビラジンにおける 静電相互作用の計算領域依存性

(29)

4-3-2. 最安定配置とその静電安定化エネルギー

垂直配向 (戸=y =0)において求められた最安定配置のパラメータとその時の静

電相互作用安定化エネルギ-L\Epを表4-4に示す。 また図4-7には、 ピラジン化合 物 2、 ピリミジン化合物5、 ピリダジン化合物7の最安定配置の二次元充填構造を示 す (図 中の黒丸 は 窒素原子ある側を表

)

表 4-4 垂直配向おける最安定配置パラメータと静電安化エネルギ

compound

2 3 4 5 6 7

DX (nm) 0.651 0.652 0.652 0.708 0.708 0.909

R

0.50 0.50 0.50 0.50 0.50 0.50

initial紅Tangement -

(A) (D) (D) (D) (D) (D)

α(0) 0.0 0.0 0.0 45.0 45.0 71.8

Z

法�Þ!!(�i; øì0jð). ..

:

::-':0

:

.

:

-. H::.ι 沿 : ぷ2.6 22d 2:I6.9 L30.3

(a) hu

(c)

図4-7 垂直配向のおける最安定配置の充填構造 (a) 2

(b)

5

(c)

7

ピラジン系の2は、 最安定配置でピフェニル系1に比べて11.6 kJjmol の静電的安 定化を示し、 そのとき図4-7(a)に示す充填構造をとる。 この構造は、 面心長方格子上 に全ての分子がピラジン環を同方向に向けて、 ずれたface-to-f ace型 でパッキンし たものである。 図を見ると、 炭素原子の正電荷と窒素原子近傍の負電荷もしくは非

- 90 -

(30)

共有電子対との静電引力によって安定化されていることがわかる。 二つのピリジン 分子3と4はビラジン2とほとんど変らない最安定構造をとるが、 安定化エネルギ

-L1 E pはそれぞれ-1.0、-2.6υ/molと小さい。 これは、 表4-3の電荷分布を見てわかる ように大きな電荷を持つ部分がジアジン(ピラジン、 ピリミジン、 ピリダジン)に比べ

て少ないためである。

一方、 二つのビリミジン系では以上の三つとは大きく異なる結果を示した。 どち らも図4-7(b)の面心立方格子上でのedge-to-face型のパッキングが最安定となった。 し かしその構造で さえも安定化エネルギーは大きい正の値を示し、 ビフェニルよりも かなり不安定であることがわかった。 これは明らかに、 窒素原子部分同士の反発相 互作用が大きく寄与しているためである。 実際には、 このような不安定な状態で分 子が凝集するとは考えられず、 分子が傾いた状態で安定化していると思われるがこ のことは次節で検討する。

ピリダジン分子7は-30.3 kJjmolと最も大きな安定化を示した。 その充填構造は図

4-7(c )のようであり、 ピラジン等の(a)の構造とは異なる。 特に、 71.80 だけ環平面が 回転しているのが特徴であるが、 これはピリダジンを(a)の充填構造に配置すると、

X軸方向の第二近接分子との相互作用が大きく不安定化に寄与するためと考えられ る。

4-

3 -3

. 計算結果の評価

各分子の静電相互作用エネルギ-..1 E pを比較してみると、

ピリダジン[7] <ピラジン[2] <ピリジン[3 ,4]

< (ピフェニル[

1

]=0) <ピリミジン[

5

,6]

の順に(符号を含めて)大きくなり、 その分子集合体系はより不安定となることがわか った。 この序列は、 第3章で用いた二分子会合モデルによる分子間相互作用の説明に 良く対応しており、 この簡単なモデルでも定性的 ・ 相対的には凝集構造を評価でき ることカぎわかった。

また、 この安定化エネルギーの計算結果は第3章で述べた、 水面上単分子 膜の定 圧安定性の比較結果と非常に良く一致することがわかる。 表4-5に単分子膜安定性の 指標として用いた定圧表面積減少率速度究%と垂直配向における静電相互作用エネル ギ- ..1 E p を再度示す。 こ の比較によると、 L1 E pの計算 結果 はピラジン化合物

(31)

C120BPya2 aとピリダジン化合物C120BPyd 7 aの高い単分子膜安定性や、 ピリミ ジン化合物C120BPymN 5 a及びC120BNPym6aの単分子膜の不安定性を良く表し てい

表4-5には本章で用いた点電荷(多極子)相互作用モデjレではなく、 点双極子相互作

用モデルによって求めた相互作用エネルギ-ßEoも記した。 この値は、 表4-4の再安 定充填構造の分子配置をそのまま用いて、 相互作用分子l層分に対して点双極子-点 双極子相互 作用エネルギーの和を求めたものである。 このßEoをみると、 5 aの不 安定化や7aの大きな 安定化は計算されているものの、 2aと6aが同程度で2aの大 きい安定化が全く再現されていない。

以上のこ と は、 この節で行った分子問相互作用エネルギーの計算とそこ で用いた 点電荷(多極子)相互作用モデルの妥当性を示すものであり、 また逆にこの系において 二次元分子集合体の安定性に分子聞の多極子-多極子静電相互作用が大きな寄与をし ていることを示すものである。

しかし、 この節での計算は垂直分子配向に限ったものであり、 実際の膜中での分 子配向とは異なっている。 例えばLB膜中において発色団が膜法線方向に対して傾い ていることが、 X線回折11)・uvスペクトル11) . S HC12)等の測定から確かめられ

ている(第3章参照)。 そこで次節では、 傾斜配向 までを含めた静電相互作用計算を 行つ。

- 92 -

(32)

表4-5 水面上単分子膜安定性と静電相互作用エネルギー

Calculation with Dipole Model Compound 9l% L1 E p

L1 E oa) μL b) μSb)

(%・min-1) (kJ・mol-1)

(kJ.mol-1) (Debye) (Debye)

C120BB

日豆) .' .・-- 。 。 .

().0473 ..11.6

'

C120BPya

包,9)

0.80 0.575 0.015

C120BPyN Q呈) -・軍 事盟 .

�1.0 0.059 0.752 -1.21 C120BNPy

性亘) 0.0967 -2.6

-1.1 -0.234 -1.18

C120BPymN包,9) 2.11 .;:: 22 .. 4

5.4 1.51

1..81 ・ 16.9

C120BNPym位ê)

0.62 0.511

..

C120BPyd

也)日 o.ω3..:

1 ;. ..羽.3 ー13.1 0.646 -2.83

a)The dipole-dipole interaction energy between two molecules is calculated by the next

n 0 ・ua u

E μ判1.μμ2子-引μ似l

守 州/ハI 川附州引叫州|り)( r

戸山仰.仔r巾/

0 = -----

IrlJ

μ; dipolemoment of the molecule Irl; distance between two molecules

b)μis calculated by PPP method, and is not corrected in relation to lone pむrof N atom.

μLme釦s dipole moment with出e long axis of a molecule, and μ5 means dipole moment with the short axis of a molecule.

(33)

4-4. 傾斜配向における静電相互作用エネルギー(JE t)

この節では 、 分子の長軸が二次元平面に対して傾いている場合、 即ちX及びY軸 に対する回転角パラメータγ及びpを変化させたと きの静電相互作用エネルギーを検

討した結果について述べる。

4-4-1.

最安定構造とその静電安定化エネルギー

表 4-6 傾斜配向における最安定配置パラメータと静電安定化エネルギー

compound

2 3 5 6

DX

(nm) 0.792 1.101 0.729 0.745

R

0.50 0.50 0.50 0.50

initial arrangement -

(D) (D) (D) (D)

Z

α(0)

90.0 90.0 75.6 72.2

ß (0) 9.6 0.0 36.7 39.8

y(O)

0.0 38.6 0.0 0.3

4êú:( 主 1・ ri.iÓ.if:�Y::: ;

. . /:

b.

γ山 臼�3.. J�l凡 叫 -:6.8

L1Ep (kJ・mol-1)

-11.6 -1.0 22.4 16.9

L1Ep - L1Et

-1.7 ー2.3 21.3 23.7

(kJ.mol-1 )

7

0.909 0.50

(D)

71.8 0.0 0.0

-30.3 0.0

表4-6に傾斜配向まで考慮した場合において得られた最安定構造のパラメータとそ

の時の静電安定化エネルギ-L1E t、 さらに比較参照のために前節 で求めたL1Epを示 す。 こ の表より 、 垂直配向での計算結果との最も大きな違いとして、 ピリミジン分 子5及び6が400近く傾いたときに垂直配向 のときよりも20 kJjmol余りも安定化す ることがわかる。 それに対して、 ピラジン分子2やピリダジン分子7では分子を傾

けても安定化はほとんど起こらず、 発色団が垂直に立った状態が最も安定である。

何れ も、 一つの分子の窒素原子に別の分子の窒素原子が近接しないような構造にな

っているのが明らかである。 図4-8及び図4-9に最安定充填構造の例として、 それぞ、れ

ビラジン分子2、 ビリミジン分子5の三次元充填構造を示す。 何れの充填構造にお

-94 -

(34)

いても最近接分子聞で炭素 原子と窒素原子の反対電荷部分が重なり、 その静電相互 作用が安定化エネルギーに大きく寄与していることが理解できる。

Z

y�・

題審 c O N

o

H

図4-8 ピラジン分子2の最安定三次元充填構造

C

X ON

図4-9 ピリミジン分子5の最安定三次元充填構造 (水素原子は省略)

(35)

4-4-2.

一分子の占有面積と静電安定化エネルギーの関係

これを基に二 0.25 nm 2に固定し、

これまで行った計算は全て一分子の占有面積を

π-A曲線 しかし、 第3章で見たように、

元 格 子や可能な分子配列てきた。

から得られる極限(占有)面積や凝縮膜での分子占有面積は、 各複素環化合物で一定で はない。 そこで、 分子占有面積を変化させて静電相互作用エネルギーの計算を行つ た。 占有面積を0.21、 0.23、 0.25 nm2 としたときの、 各分子の二次元集合体モデルに 対して求められた静電最安定化エネルギ-11 E tの 変化をプロットしたものを図4-10に

ピリミジ ピ リ 系の56 は不安定化し、

ピリダジン分子7は逆に安定化した。 他の三つはあまり変化しなかった。

ン分子の不安定化は占有面積が小さくなるにつれて、 傾斜配向を取り難くなるため 示す。 分子占有面積を小さくするにつれて、

ピリダジン分子の安定化は分子間距離の減少によって相互作用が大きくな るためである。

であり、

5 6

3一4一

20

-a-05・2\心勺

2

7

四20

0.21 0.23 0.25 Area/nm2・molecule

-1 分子占有面積と最安定化エネルギー 国40

図 4-10

-96 -

(36)

4-4-3. 計算結果の評価と考察

静電安定化エネルギーについては水面上単分子膜の安定性と関連させて、 前節4 - 3-3でその妥当性を評価した。 ここでは、 分子のパッキングや分子配向について計 算結果をπ-A曲線や累積膜のX線回折結果と比較する。 表4-7に最安定構造のパラメ

ータと安定化エネルギーの分子占有面積依存性qL1Et)/JAを、 π-A曲線における極限 面積Ao、 二分子層間隔しを並べて示した。

表4-7 二次元集合体における分子配向 と静電相互作用エネルギー

L1

E t

A

r.a) Length of 2 layers (nm)

ß (0)

y

(0)

と�L1Et)/dA

(υ・mol-1) (nm ・mole ) 2

L b)

しcalC)

2a -13 .3 9.6 0.0

:::::0 0 . 2 61 4.71 5.2

5a 1.1 3 6.7 0.0 0

.

3 3 6 4.56 3 .3

6a

-6.8

39.8 0.3 0 .

2

37 -

-

-

7a -30

.

3 0.0 0.0

+

0 .223 5.45 5.5

a)

Ao

means limitting area in the

π-A

curve.

b) The L is d-spacing measured by X-ray diffraction.

c) The v剖ue of dcal is calculated from the packing parameter (α,ß,γ), molecular length

(2.93 nrn),

the angle between molecular axis and long axis of chromophore

(200).

dについては累積膜のX線回折から求めたdxと、配向パラメータと分子構造データ(表 4-7脚注参照)から計算されたdc討を示した。 図4-11には化合物2a、 5a、 6a、 7aの π-A曲線を示す。

まず、 二次元圧縮過程でのπ-A挙動に注目すると5a、 7aについては静電相互作 用の計算結果でよく説明できる。 ピリミジン化合物5aは水面上で、の圧縮において、

他の複素環化合物と異なってまず膨張膜を形成するが、 これは凝集体のエネルギー が高くて二次元の結晶を形成し難く、 できるだけ安定化するために分子が傾いた配

向を取るためである。 さらに圧縮すると凝縮膜に転移するが、 この系はθ(L1Et)/dAが 負でありより小さい面積での垂直に近い配向を取ることができず、 そのために他よ りも大きな占有面積かっ低い表面圧で崩壊する。 これとは逆にビリダジン化合物7a は凝縮膜の相のみを形成し、 極限面積も0.223 nrn 2と最も小さい。 これはフェニルピ リダジン環が垂直に配向したときが最も安定で、 しかも己責L1Et)/dAは正で占有面積が

(37)

70

ハUハUハUハUハ

U

ハU/CFhJ

A斗 勺コ

ペノ-

1i

TE・之E\凶止コ向的凶作凡止UQ〈比止コめ い斗お一包包Fm一缶詰

0

0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

SURFACE AREA /

nm

�・mo/ecu/e-1

図4-11 純水上でのπ-A曲線(17

oC)

小さくなるほど静電相互作用は安定化するためである。 ピラジン化合物2aは7a程 ではないが僅かに傾いた配向で 安定化する。 従って水面上では安定な凝縮単分子膜 を形成し、 極限面積は0.261 nm2とピリミジン化合物5aに比べてかなり小さい。

次に、 X線回折によって測定された累積膜の二分子 層間隔に関して計算結果を評価する。 測定したのは各 カルボ、ン酸のバリウム塩であ る。 ここでは表4-7に示し たように、 得られた最安定構造の回転角のパラメータ と右図4-12に示す分子構造データを用いて二分子層間隔 dcalを計算した。 6aは累積できずデータがないが 、 そ の序列は良く対応した。 その値自体は必ずしも近くは ないが、 これは相互作用エネルギーの計算を芳香環部 分の静電項 だ けで行ためであ

さらに、 この静電相互作用エネルギ一計算の妥当性 を示すものとして、 類似系のab initio法(STO-3G)による

-98 -

図4-12 分子構造データ

(38)

計算結果を次に挙げる。 図4-13に示すようにピラジン3分子系を対象として分子間 相互作用を計算し、 最安定分子配置を求めた。 その結果得られたピラジン環の傾き 角は5.00で、 表4-7に示した傾斜角9.60 はこれ に近い。 このことは 、 分子間相互作用 を計算するに当たって、 静電相互作用のみを考えるとした仮定が 大きな誤りではな かったことを意味している。 また逆に、 ここ で対象とした分子集合系において、 そ の集合体構造を決定する最も大きな因子が(多極子ー多極子)静電相互作用であると言 える。 π-A曲線や層間隔のデータと良い対応、を示したのもそのためと考えられる。

この よう にピラジン化 合物Cî 20BPya2 a、 ピリミジン化合物 Cî20BPymN5a、

ピリダジン化合物C120BPyd7 aについては静電相互作用エネルギーの計算結果によ って分子集合体構造を説明することができたが、 ビリミジン化合物Cî20BNPym 6 a

についてはうまく説明することができない。 すなわち表4-6、 4-7に示した ように、

6aの最安定構造のパラメータ は何れも5aとあ まり変らない。 ところが、 6aのπ-

A曲線は5aのものとは大きく異なって、 膨張膜を経ずに凝縮膜を形成し、 その極限 面積は0.237 nm2とずっと小さい。 このことは、 6aの凝集状態が発色団部分のみに 依存するのではなく、 他の部分も含めた分子全体のバランスによるためと考えてい る。 しかしながら、 6aの水面上単分子膜の不安定性は計算結果に現れている。

(39)

X Z

-2.5 kJ.mor1

-3.9 kJ・mol・1

(RX= 0.542, RY= 0.220) 0.30

0.25

0.20

Eロ\何回

0.55 RX / nm

0.50

-EL

・叩0:-P5 n二

山o

m

n

・唱EA

m

ハU噌EEA

-5 5

l o g -3

\凶勺

80 40 60

。 20 -20

-40

θ/ degree

ピラジン3分子系に対するab initio計算 図4-13

- 100 -

(40)

4-5. まとめ

本章では、 ピフェニル骨格を含む両親媒性化合物中の複素芳香環の種類によって、

その水面上単分子膜のπ-A挙動や安定性、 累積膜中 での分子配向が異なるのは、 分 子間特に芳香環部分間の 静電相互作用が原因 であると考え、 二次元平面格子上に配 引させた分子集令体モデ)レ系の多極子-多極子静電相互作用エネノレギーを計算によっ て求めた。

計算結果は、 大部分において測定されたデータと矛盾せず、 この系の分子集合体 の凝集状態は静電相互作用によって説明することができた。 しかし、 分子 を点双極 子とみなした場合では十分な結果は得られず、 合窒素芳香環の多極子としての作用 が極めて重要であることがわかった。

この計算方法は、ab initio法などの大きな計算に比べて厳密さには欠けるが、 原子 数の多い大きな系に対してもパーソナルコンピュータ程度で比較的短時間で計算で きる点で有効である。 適当な系に用いれば、 分子集合体形成に対する分子設計の指 針となり得る であろう。

しかしながら、 本章 では計算の簡略化のため に以下に示す点を無視及び仮定した が、 化合物によっては重要な因子と成り得る。 特にこの章の計算結果によって十分 に説明できなかったビリミジン化合物6aの二次元凝集構造は、 ③の仮定を採らずに 三次元的なずれ を考慮して計算を行うことにより実験結果に合致した計算結果が得 られる可能性がある。 実際、 水面上において分子が三次元的に乱れて配列している

ことはあり得るからである。

①アルコキシ基の酸素原子やカルボキシル基及びそれらの上の非共有電子対の影響

②界面の効果特に両親媒性分子(複素環)と水の相互作用

③" 完全な" 二次元構造

これらを含めた計算方法の拡張が今後の課題であろう。

(41)

〈参考文献〉

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- 102 -

(42)

第5章

二成分混合系における二次元分子集合体の構造

分子 集合体における構造や分子配向を思いのままに作製 することは、 その基礎物 性研究や生体機能の解明、 及びエレクトロニクス等への応用など何れに対しでも極 めて重要な課題であり、 その技術を確立するための種々の試みがなされている1)2)。

本論文では前章において、 分子中の複素芳香環の構造が互いに異なる両親媒性化 合物1 � 7に対して、 その分子集合体の 凝集構造や配向の相違に分子問、 特に発色 団間の多極子ー多極子静電相互作用が大きく関与していることを二次元配列モデルの エネルギ一計算によって示した。 これは、 分子構造によってその集合体の構造を制 御するための有効な指針のーっとなり得る。

そこで、 本章では分子間(発色団間)多極子ー多極子静電相互作用の考えに基づいて 新たな 分子集合体系を設計し、 その作製と凝集構造評価を行うことを目的とする。

ここでは新しい分子集合体系として、 以下に示す理由から本論文で用いた両親媒性 化合物1�7のうちのいくつかの化合物の二成分混合系を考える。

化合物1 � 7の混合系分子集合体の混合状態や凝集構造も、 異種分子間の多 極子-多極子静電相互作用に依存すると考えられる。

組み合せによって数多くの分子集合体を構築することが出来る。

既に得ている単一系のデータと比較できる。

気水界面でのこ成分混合単分子膜に関する研究は古くから行われ、 多くの論文3-6) や総説7)が出されている。 古くは長鎖脂肪族のカルボン酸、 エステル、 アルコール 等の混合系に関して表面圧ー面積曲線から熱力学的な解析を行った例が多く、 これら は二次元の混合に関する基礎的な知見を与えてくれる。 また最近では成膜性の悪い 機能分子を支持するマトリックス分子として、 あるいは機能分子間の膜面内距離や 会合状態を調節する希釈分子として長鎖脂肪酸を用いた混合系に関する研究が多く、

生体膜などの層状組織体の面内でのエネルギー移動や反応機構のモデルを提供する ものである。 また斎藤らは、位置のずれたアゾベンゼン発色団を含む二種の分子の

(43)

水面上単分 子膜における分子混合について報告している8)。 この場合は分子の最密 充填因子による 混合と見なされているが、 より積極 的に分子間相互作用を意識して 利用した混合系を設計できれば、 より高度に構造制御された種々の分子集合体の構 築が可能になると考えられる。

本論文では考えられる数多くの二成分 系の内から、複素環化合物1�7の内で最 も特異的な凝集状態をとるピリミジン化合物CnOBPymN 5を中心とした4種の混合 系[1]�[N]を対象とした(図5-1)。

[ 1] CnOBPymNとCnOBNPym

n=12[

1

a], 16(

1

b]

5+6

[ II ] CnOBPymNとCnOBB n=12 5 + 1 [ill] CnOBPymNとステアリン酸(StA) n=12 5 +StA

[N] CnOBPymNとCnOBPyN n=12 5 + 3

この4種の混合系において、 異種分子問の多極子ー多極子静電相互作用が互いに異な ることが予想、され、 それによって分子集合体における混合状態や凝集構造が異なる

ことが期待できる。

また、[ 1 ]�[N]の混合系と は異なるが興味深い混合系として、 二つのピラジン化 合物CnOBPya 2とCnOPyaB 8の混合系[V]についても検討する(図5-1)。 この[V]の 混合系では、複素環間の相互作用ではなく、互いに逆向きと なった発色団部分での 互いのベンゼンーピラジンの相互作用が重要になると考えられる。

[V] CnOBPyaとCnOPyaB n=16 2 + 8

本章では、 以上の混合系[1 ]�[VJに対して、 その水面上単分子膜の凝集状態や混 合状態、を表面圧ー面積曲線、 紫外吸収スペクトル及び安定性によって評価し、 その要 因を第4章で述べた多極子-多極子相互作用の考えに基づいて考察する。

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参照

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