量子力学 II 演習問題 8
2018 年 6 月 3 日
1 時間に依存しない摂動論 ( 縮退の無い場合 )
ハミルトニアンがH(g) = ˆˆ H0+gVˆ で与えられるとき、gVˆ をHˆ0に対す る摂動とみなしたときの摂動論を考える。いずれの項も時間に依存せず、更 に非摂動ハミルトニアンHˆ0には縮退が無いとする。Hˆ0の固有値および対応 する固有状態をそれぞれEn,|ψn⟩(n= 1,2,· · ·)とする。Hˆ(g)の固有値およ び対応する固有状態をgについて展開して次のように表す。
En(g) =En+gEn(1)+g2En(2)+· · ·
|ψn(g)⟩=|ψn⟩+gψ(1)n
⟩
+g2ψn(2)
⟩ +· · ·
但し、計算の簡単化のために規格化条件を⟨ψn|ψn(g)⟩= 1とした。この後、
講義ノートにおいてはSchr¨odinger方程式の両辺をgの次数ごとに比較して En(i),ψn(i)
⟩を順に求めていった。この方法をRayleigh-Schr¨odinger摂動展開
という。ここでは、高次の項まで系統的に効率よく計算しやすい、Brillouin-
Wigner摂動展開という方法を導出しよう。
(1)次の等式が近似なしに成立することを示せ。
En(g)−En = ⟨ψn|gVˆ|ψn(g)⟩ (2)次の等式が近似なしに成立することを示せ。
|ψn(g)⟩=|ψn⟩+gRˆn(g) ˆV|ψn(g)⟩ ここで、Rˆn(g)は次のように定義される。
Rˆn(g) := ∑
m̸=n
|ψm⟩ 1
En(g)−Em⟨ψm|
(2)で示した等式については、右辺における|ψn(g)⟩に右辺全体を反復代入 することによって|ψn(g)⟩の展開を構成できることに注意せよ。
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(3)次の等式を示せ。
En(3)= ⟨ψn|VˆRˆn(0) ˆVRˆn(0) ˆV|ψn⟩ − ⟨ψn|VˆRˆn(0) ˆRn(0) ˆV|ψn⟩ ⟨ψn|Vˆ|ψn⟩
2 時間に依存しない摂動論 ( 縮退のある場合 )
ハミルトニアンがH(g) = ˆˆ H0+gVˆ で与えられるとき、gVˆ をHˆ0に対する 摂動とみなしたときの摂動論を考える。いずれの項も時間に依存せず、更に 一般には非摂動ハミルトニアンHˆ0に縮退があるとする。Hˆ0の固有値および 対応する固有状態をそれぞれEn,|ψn,i⟩(n = 1,2,· · ·, i = 1,2,· · · , dn)と する。Hˆ(g)の固有値および対応する固有状態をgについて展開する。計算の 見通しを良くするために、次のように定義される射影演算子Pˆnを導入する。
Pˆn :=
dn
∑
i=1
|ψn,i⟩⟨ψn,i| この射影演算子を用いて|ψn(g)⟩= ˆPn|ψn(g)⟩+
(Iˆ−Pˆn
)|ψn(g)⟩のように 分解する。但し、Iˆは恒等演算子である。
(1)次の等式が近似なしに成立することを示せ。
(En(g)−En) ˆPn|ψn(g)⟩=gPˆnVˆ|ψn(g)⟩ (2)次の等式が近似なしに成立することを示せ。
(Iˆ−Pˆn
)|ψn(g)⟩=gRˆn(g) ˆV|ψn(g)⟩
ここで、Rˆn(g)は次のように定義される。
Rˆn(g) := ∑
m̸=n dm
∑
j=1
|ψm,j⟩ 1
En(g)−Em⟨ψm,j|
(3)次の命題を示せ。
• En(g)−EnはO(g1)まではgPˆnVˆPˆnの固有値である。
• Pˆn|ψn(g)⟩はO(g0)まではPˆnVˆPˆnの固有ベクトルである。
(4)次の命題を示せ。
• En(g)−EnはO(g2)まではgPˆn
(Vˆ +gVˆRˆn(g) ˆV
)Pˆnの固有値である。
• Pˆn|ψn(g)⟩はO(g1)まではPˆn
(Vˆ +gVˆRˆn(g) ˆV
)Pˆnの固有ベクトルで ある。
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3 Stark 効果
一様な電場中に置かれた水素原子を考える。但し、電子のスピン自由度は 考えない。このとき、ハミルトニアンは次のように与えられる。
Hˆ = ˆH0+ ˆV ,
Hˆ0= pˆ2 2m −αℏc
r , Vˆ =eEz=eErcosθ
ここで、α:=4πϵe2
0ℏcは微細構造定数、mは電子の質量、−eは電子の電荷、r は電子の原子中心からの距離、zは電子のz座標である。但し、電場は大き さEでz軸の正の向きに印加されている。Hˆ0を非摂動ハミルトニアン、Vˆ を摂動とみなして摂動論を適用する。
はじめに、1s軌道について考える。非摂動ハミルトニアンの基底状態|1s⟩ に対応する極座標表示の波動関数はψ1s(r, θ, ϕ) :=R1s(r)Y00(θ, ϕ)である。
(1) 1s軌道について、エネルギーの1次の補正を求めよ。
次に、2s, 2p軌道について考える。非摂動ハミルトニアンの固有状態のう ち、4重縮退した第1励起状態を|2s⟩,|2p, m⟩(m=−1,0,1)とすると、それ ぞれに対応した極座標の波動関数は次のように与えられる。
ψ2s(r, θ, ϕ) :=⟨r|2s⟩=R2s(r)Y00(θ, ϕ)
ψ2p,m(r, θ, ϕ) :=⟨r|2p, m⟩=R2p(r)Y1m(θ, ϕ) (m=−1,0,1) R2s(r) =κ3/2(2−2κr)e−κr, R2p(r) =κ3/22κr
√3e−κr Y00(θ, ϕ) = 1
√4π, Y10(θ, ϕ) =
√ 3 4πcosθ,
Y1±1(θ, ϕ) =∓
√ 3
8πsinθe±iϕ 但し、κ:=2a1
B であり、aB:= mcαℏ はBohr半径である。
(2) 2s, 2p軌道について、1次のエネルギー補正、および対応する0次のエネ
ルギー固有状態を求めよ。
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