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九州大学学術情報リポジトリ

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

マルチメディア技術を基盤とする語学教育用ソフト ウェア開発に関する研究

松野, 了二

九州大学システム情報科学研究科情報工学専攻

https://doi.org/10.11501/3180423

出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(情報科学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

第4章

ソフトウェア部品を用いた英語教育ソ フトウェアの開発と実装

本章では, 前章で作成した部品を活用して開発した二つの英語教育用ソフトウエ ア, 1)マルチメディアコンビュータを用いた英語教育のためのテスト作成支援シ ステム(A-MATE: A Multimedia Authoring System for Teaching ESL), 2)日本語 学習者と英語学習者の双方を対象としたマルチメディアパイリンガル辞書(MBD:

Multimedia Bilingual Dictionry for JSL/EFL Learners) について述べる.

4.1 マルチメディア技術を用いた英語教育のためのテス 卜作成支援システムの開発

4.1.1 背景

マルチメディア教材を用いた教育はすでに教室では欠かせないものとなりつつあ る. しかし, 序論で述べたようにマルチメディア教材を用いた教育が個々の教員の 間で盛んに利用されているかといえば, 実態はさほどでもない. この理由として次

(3)

第4章

44

の二つが考えられる. まず, 一般の教員が独自のマルチメディア教材を作成するに はプログラミングを初めとする特殊なスキルが必要であること. もう一つは, マル チメディア技術の進歩が非常に速いため, 教員が苦労して作成した教材が新しいパ ソコンでは動かないなど, 互換性の問題や, 利用者側もいったん新しいメディア技 術に触れると古いものは使わなくなる

[

7

]

, などの問題がある. これは, 先進的に教 材を作成しようとしている教員のやる気をなくしてしまいかねない. このようなこ とから, 実際には一般に流通しているマルチメディア教材をそのまま使うことが多 いのが実態であるが, これにも価格が高いことや, 市販の教材は一般的なレベルの クラスを対象としているので, 必ずしも自分のクラスのレベルと一致しないなどの 問題点が存在する. もし独自のマルチメディア教材を多くの教員が手軽に作成する ことができれば, 自分のクラスのレベルに合った教材をあたかも手作りプリントを 配るように生徒に見せることができ, 授業の効果が上がることが期待できる.

本研究では, マルチメディア教材を特殊なスキルなしで作成・編集でき, しかも マルチメディア技術の進歩に容易に対応可能な環境の構築を目指す. 従来, マルチ メディア教材を作成するために, 各社から市販されているオーサリングソフトウエ アが利用されてきた. オーサリングソフトウェアは, 最新のマルチメディア映像や 文字・音声などの表示順序等をパラメータを指定し細かく操作できる高機能のソフ トウェアであり, 教育に限らず, インターネットのホームページや広告を作成する など多目的に利用できる. “高機能??, “多目的"であるということは, 熟練者にとっ ては長所であるが, 初心者にとっては操作が複雑であるということを意味し, その ためプログラミングの経験がない教員では使いこなせない. また, バージョンアッ プも激しく, 教員がせっかく作成した教材が, 開発に用いたソフトウェアのバージョ ンアップのため, 利用できなくなる事態も起きた. 本研究で開発する環境は, コー

スウェアクリエータとマルチメディア教材用データベースから成る. コースウェア クリエータはマルチメディア教材の作成・編集に用途に絞り, 必要な機能だけを実 装することで教員の使用に対する敷居を低くする. このために, マルチメディア教

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材をいくつかにパターン化し, テンプレートを提供する. 教員のコンビュータリテ ラシ能力は, ワープロと表計算ソフトウェアを扱える程度でよい. あとはA-MATE が出す指示に従って操作するだけで, 動画の作成や音声の録音から, WEBベース のテスト作成までを行うことが可能である.

4.1.2 開発目標

A-MATE利用の想定対象者は, ワープロと表計算ソフトウェアを扱える程度のコ ンビュータリテラシ能力を備えた教員である. すなわち, コンビュータに関する基 礎知識があれば, だれでも容易に実用的なテスト問題を作成できるように以下の開 発目標をたてた.

-多機能化を避け, テスト問題作成に的を絞る. 授業成果を確かめるためのい わゆる, 手作り プリントテスト作成の感覚で問題を作成できるようにする.

-実用的なテスト問題の作成を可能とするために, 主要な英語能力判定試験で ある, TOEFL, TOEIC、英語検定試験問題の作成についてはすべて支援する.

-資源の再利用を促進する. テスト問題作成に用いる素材(テキスト, 音声, 動 画など)は, 再利用を図るために, データベース化する. また, このデータ ベースは将来的にはインターネットを通じて作成者同士が交換可能な仕組み を付加する.

-コンビュータの利点を活かす.

一作成したい問題をデータベースからを選択することにより, 正誤判定機 能つきの問題を生成する.

-問題の傾向分析機能を付加し, 難易度や問題の傾向にバランスがとれた テスト問題を作成可能とする.

(5)

第4章 46

4.1.3 英語能力判定試験問題の分析

試験問題の抽象化

前節で述べたように, A-MATEが支援するテスト形式はTOEFL, TOEIC, 英語 検定試験問題の作成を支援する. また, そのほかに, 市販の学習書に見られる代表

的なテスト形式[69][44] [59]も付加した.

以下にTOEFL のリスニング能力検査テスト例を示す.

問題例 (文献[69], p.337,

p.576より引用)

-指示用素材:音声(以下の文章を聞かせる)

- Woman: You'd better take the car to the garage from now on. They harged

ln

-five dollars for a few minor repairs.

- Man: That's not too bad.

-問題素材:音声(以下の文章を聞かせる) What does the man mean?

-解答形式:4つの選択肢の中から一つの正解を選ぶ

- Car repairs should be done at a garage.

- The price was not too high.

- The garage took advantege of the woman.

- The car had serious problems.

このテスト形式例も含め, すべてのテスト問題形式を分析すると以下のように3 つのステップに抽象化できる.

1) X: Show something

2) Y : Give question(s)

(6)

3)

Z:

Receive Answer(s)

ここで, Xは問題用素材の提示 である. 問題用素材としては, 1)聞き取りテス

トの正誤判定用の画像(静止画, 写真), 2)聞き取りテスト用の正誤判定や多技選 択テストで用いられる音声, 3)読解力テスト用のテキストのいずれかである(問題 用素材の形式として現在, 動画は用いられ ていないが, TOEFLでは1998年度から コンビュータ利用の即時採点方式が導入され, 近い将来動画の採用も十分予測でき るのでA-MATE では問題用素材に動画の利用も認める) . yは問題であり, Xを 提 示後, 音声またはテキストを用いて出題する. また, zは解答形式で次のいずれか の方式である.

1) n-ffi択 n個の選択肢の中からm個の答えを 選ぶ

2) 結合 n対nの項目を結合する

3)穴埋め:空欄を適当な言葉で埋める

4) 並び替え n個の項目を 正しい順に並び替える

5)真偽判定:真か偽かを判定する

問題作成に関する構文を疑似BNF記法を用いて整理したものを表4.1 に示す. こ の構文はA-MATE用のもので, 利用者が知る必要はない. 利用者には表4.2 を用意 する.

(7)

第4章

問題作成 提不用素材 問題素材 解答形式

n-m択

正答リスト 誤答リスト 結合

正答ペアリスト 正答ぺア 穴埋め

穴埋めテキスト

非表不テキスト 並び替え

真偽

表4.1: 問題作成に関する構文

• • 提不用素材and問題素材and解答形式

• • テキストor音声or静止画or動画

• • テキストor音声

::- n択or結合or穴埋めor並び替えor真偽

• • 正答リストand誤答リスト

• • 正答or {正答and正答リスト}

• • 誤答or {誤答and誤答リスト}

_ 正答ぺアリスト

. ._ 正答ペアor {正答ペアand正答ぺアリスト}

• • 左側項目:右側項目

• • 穴埋めテキストor{穴埋めテキストand穴埋め}

. . テキストand非表不テキストandテキスト

or

非表示テキストandテキスト

or

テキストand非表不テキスト

-:= ??["テキスト"]"

. ._ 正解順並び替え済み項目リスト

..

真or偽

48

(8)

表4.2:利用方法(利用者向け) 解答形式 問題( 選択肢)入力例

n-m択 正答と誤答を必要数入力する (例)4-1択の場合

正答欄: 正答

誤答欄:誤答1, 誤答2, 誤答3 結合 正答ぺアを入力する

aaa - AAA bbb

- BBB

ccc -

ccc

穴埋め 非表不にしたいところを[ ]でく くる.

He is白teen [ycars] old

並び替え 正しい順序で文章を入力する He is日fteen years old.

真偽 真か偽かを入力する

4.1.4 システム概要

A-MATE処理例

正答・誤答をシャツフルする 1 )誤答3, 2)誤答2,

3)正答, 4)誤答1

左右の項目をシャツフルする

bbb: AAA

ccc:

BBB

aaa :

CCC

[ ]の部分を非表不にする.(例)

He is fifteen [*****] old.

文章を単語に分け シャツフルする l)is 2)years 3)He 4)old 5)日fteen.

何もしない(真か偽かの情報を保

持)

A-MATEの概略を図 4.1に示す. 図から分かるように, A-MATE には, 以下の二 つの流れがある.

1)問題登録…テスト問題を作成しテスト問題テータベースに登録

2)テスト問題 生成…データベースに登録されたテスト問題を選択し, We bベー スで利用できるように DHTML(DynamicHyper Text Markup L anguage)で 書かれたテスト問題を生成

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第4章

以下に, テスト問題登録とテスト問題生成について概略を述べる.

問題登録

Generate Web-based

一一一一一一. Program Flow 鵬鵬喝静 Data Flow

図4.1: A-MATE Use Flow

50

4.1.3節で示したTOEFL問題(会話文を聞いた後,

4つの選択肢から正解と思う ものを選ぶ)を登録するには,

1)テスト問題形式を選択する(この場合ll-ffi択)

2)指定された項目を埋める

(a)問題素材の音声を録音する(録音済のものを利用する場合はファイル名 を指定する)

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(b)正解欄に正答(2番目:“The price

was not too

high.") を書き込む

(c)誤答欄に残りの3 つを書き込む(}I債不同でよい)

3)登録ボタンを押し, テスト問題テータベースに登録する

音声素材や 画像素材などは作成に手聞がかかり, 一度だけの利用ではコストパ フォーマンスが悪い. A-MATEでは, 作成した各種の素材や問題をデータベース化 し, 再利用支援を行う. これにより, 例えば, 1枚の写真から複数の問題を作成す ることも可能となる.

テスト問題生成

テスト問題を生成するのは容易である. 以下に手順を示す.

1)テスト問題形式を選択する

2)テスト問題テータベースから出力したい問題を選択する 3)テスト生成ボタンを押す

4.1.5 利用部品と新部品

A-MATE開発にあたっては, 基本部品の, シャツフル部品, 拡張リストボックス 部品, 拡張ラベルグループ部品, ファイル操作部品, 得点表示部品, 音声関連部品 の音声録音・再生部品, 音量調節部品, 動画関連部品の動画録画部品, 動画再生部 品, とマルチメディアデータベース部品を再利用した. 新たに作成した部品は下記 のテスト関連部である. 以下に簡単に部品名と機能を示す. インタフェースについ ては付録Aにまとめた.

-問題作成…問題の作成支援を行う

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第4章 52

-結合問題作成部品

一選択問題作成部品

-穴埋め問題作成部品 -並び替え問題作成部品

一真偽判定問題作成部品

-簡易統計処理部品…問題の難易度等や得点率などの統計処理を行う

4.2 日本語学習者と英語学習者の双方を対象としたマル チメディア辞書の開発

4.2.1 背景

日本国内外における日本語学習者数は増加しつつある. 学習者の文化的背景はそ れぞれの出身国によって異なり, また, それぞれの学習者によって学習目的も異な ることから, 日本語の学習?特に漢字学習には, クラスでの一斉学習と同時に個別 の学習形態が必要とされている[6]. この要求に応えるべく, 著者らは非漢字系の 外国人を対象に動画を用いた漢字学習支援教材を開発した[8]. この漢字学習支援 教材は, 漢字の形を15のパターンに分類することにより, 部首や画数の知識なし に漢字を検索することが可能であり, また, 筆順を動画で確認することが可能であ る. 本ソフトウェアは, 私立大学情報教育協会主催における1995年度の第3回情報 教育方法研究発表会にて佳作を受賞した. また, ここで用いた教材用漢字動画デー タ(共同研究者の中部大学, 小森早江子氏製作)は, MITの日本語学習用ホーム ページ, http://web-mit.edu/jpnet/mit/J2/kanji.html/で、採用されており(検索日:

2000.9.18), マルチメディアコンビュータを用いた教材に対する需要が高いことが

うかがえる.

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本節で報告する「日本語学習者と英語学習者の双方を対象としたマルチメディア 辞書(以下MBDと呼ぶ)Jは, 上述した漢字学習支援教材を大幅に改善したもので あり, 漢字混じり文のひらがなへの変換や音声合成を用いた読み上げ機能を備え,

また, 漢字の検索もマウスでクリックするのみで行える. また, 非漢字圏の日本語 学習者のみでなく, 日本人の英語学習者も利用可能なようにバイリンガル辞書の機 能を持たせ, 日本人向に英語の発音練習も可能とした.

4.2.2 開発目標

マルチメディアコンビュータの発達とともに, 優れた電子辞書が数多く発売され ている. 電子辞書は, 英和辞書を例にとると, 英単語を入力すると, その意味, 発 音記号, 用例を表示するのが一般的な機能であり, また, 一部の辞書は発音を聞く ことが可能となっている. また, 和英辞書を例にとると, 漢字を入力すると(ひら がな入力の辞書もある) , その漢字の意味, 読み(音・司11) , 熟語や用例を表示す るのが一般的な機能である. MBDを開発するにあたっては、 これらの一般的な辞 書の機能に加え, 利用者の視点から検討し以下の目標を立てた.

-外国人の利用者に関して

一日本語文の表示は, 普通のかな漢字混じり文とする.

日本語学習者が実際に日本語文を書くときに範例として利用できるよう 普通に書かれる日本語文とする. また, “山に登る", “日が昇る" の文に 現れる“のぼる"など, 同じ読みでも漢字が異なり, このような漢字の使 い分けを学習できるようにする目的もある.

一日本語文の任意の部分をひらがな表示に変換する機能を付加する.

前述の項目の欠点を補うことが目的である. この機能により, 知らない 漢字や熟語でもその読みを知ることができる.

(13)

第4章

54

一日本文の任意の部分を音声合成を用いて読み上げる機能を付加する.

その漢字の読みを聴覚的に知ることを可能とする.

-日本人の利用者に関して

-全単語にネイティブスピーカの発音を付加する. また, 特に発音が難し

い単語には, 動画でネイティブスピーカの発音を表示する.

日本人にとって, 英語の発音を聞き取ること, また, 正しく発音するこ とは, 重要な課題である. 本ソフトウェアでは動画で表示するので唇の 動きや舌の位置を確認でき, 聞き取り練習や発音練習も可能とする.

一英語文の任意の部分を音声合成を用いて読み上げる機能を付加する.

理想的には, すべてネイティプスピーカの発音を付加すればよいが, 音 声や動画は大量の記憶領域を必要とし, また, 作成にも時間がかかるた

め, 音声合成を用いた.

-機能に関して

-検索機能には一般に見られる電子辞書の検索法に加え, カテゴリ別の検

索を可能とする.

本ソフトウェアでは, 1)単語による検索, 2)単語の一部一致検索(例:

rtuでvirtual, opportunity, fortune などを表示), 3)日本語と英語どち

らかでも検索, 4)カテゴリ別の検索(例:“生活" や“感情"などに関連 する用語を表示 )を可能とする.

一見出し英単語数は, 最頻出単語2000語とIT関連の225語とする.

この2000語は"GeneralWord List"と呼ばれるもので, 1953年にWest

が選定したものである[75]. 古いように思われるが, 最近の研究結果で 大学向け教科書で試用されている全語集中76%は, この2000語の中にあ ることが分かっている[20]. これは, 本ソフトウェアが対象とする英語

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初級学習者にとっては, 十分な語数である. また, IT関連の用語は, イ ンターネットの利用が日常のこととなりつつあるので追加した.

一日本語と英語の意味が同じとなるように, 双方を完全な対として作成す る.

一般的に, 英和と和英では例文が異なることが多い. これは, それぞれ

の言語で単語が多義の意味を もっていること, また, 英和, 和英の辞書が 別々に編纂されていることから生じている. 本ソフトウェアでは, 初心 者の学習支援を目的としているので, 混乱しないように日本語と英語 を 見出し語, 例文とも, 1対1に対応させた. そのため, 多義の単語は, 例

えば,

ability

(能力))

ability-2

(才能)のように別々にラベル付けした.

- ユーザインターフェースに関して

-単純なユーザインターフェースとする

.

対象とする利用者が初心者であることを考慮し 操作が複雑にならぬよ う配慮した. 普通の辞書として利用するには, 日本語で入力 すれば和英 辞書として動作し アルファベットで入力 すれば英和辞書として動作す る. また, 日本文や英文の読み上げや漢字からひらがなへの変換は該当 部分をマウスで選択し, マウスの右ボタンをクリックすれば, ポップアッ プメニューが表示され 実行可能である.

4.2.3 システム概要

図4.2にMBDの起動画面を示す. 図から分かるようにMBDは単語入力ウイン

ドウ, 辞書ウインドウ, 日本語用例表示ウインドウ, 英語用例表示ウインドウの4 つのウインドウと, 日本語及び英語語葉目録ボタン, 日本語及び英語ヘルプ表示ボ

タン, ひらがな, カタカナテーブル表示ボタン, 音声ボタン, 動画ボタンを備えて いる. 単語入力ウインドウと辞書ウインドウは一般の電子辞書と同様の機能であり,

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第4章 56

SENτ"ENCE WINDO'WS 京わRD-ENTRY WINDOW

図4.2: l\IBD Star-up Window

日本語で入力すれば和英辞書として機能し, 英語で入力すれば英和辞書として機能 する. 辞書ウインドウにおいて, 任意の単語をマウスでクリックすると対応する用 例が日本語用例表示ウインドウと英語用例表示ウインドウに表示される. 日英用例 表示ウインドウはさらに以下の機能を持つ.

- ジャンプ機能…一般の電子辞書も備えている機能であり 選択した部分につ いて新規検索を行う.

- ひらがな機能…日本語用例ウインドウ中の選択した部分を漢字交じり文から ひらがなヘ変換する.

-読み上げ機能…日本語用例ウインドウ中の選択した部分を日本語の音声合成 で読み上げる. また, 英語用例ウインドウ中の選択した部分は英語で読み上 げる.

その他のボタンについての機能を以下に示す

(16)

-ひらがな及びカタカナテーブル表示ボタン…日本語学習者のために, ひらが な, またはカタカナのローマ字対応表を表示する.

-日本語及び英語ヘルプ表示ボタン …ヘルプを指定された言語で表示する.

-音声ボタン…辞書ウインドウ中の選択した単語をネイティブスピーカの発音 で読み上げる.

-動画ボタン…辞書ウインドウ中の発音重要語(発音が難しい単語および代表 的な発音を含む単語)について, ネイティプスピーカの発音を動画で表示す る. 正確な発音に重要な要素となるネイティプスピーカの唇の動きや舌の位 置(th音など一部ではあるが)を確認できる.

-日本語及び英語語集目録ボタン ・・・語桑田録ウインドウが表示される(図??

参照)

. 語集目録として生活, 社会など14の大項目を備え, さらに各大項目 にはそれぞれいくつかの中項目, さらに小項目を備えている. これは, 関連 ある語集を効率よく学習できるようにしたものである.

4.2.4 利用部品と新部品

MBD の開発には, 基本部品の拡張リストボックス, ファイル操作部品と, 動画 再生部品, 音声録音 ・再生部品, 音量調節部品, マルチメディアデータベース部品 を再利用した. 新部品は, 漢字混じり文からひらがなへの変換を行う, ひらがな変 換部品と音声合成を用いた文章読み上げ部品, 全文検索部品, 辞書部品である. ひ らがな変換部品は, マイクロソフト社が提供しているIME(Input Method Editor:

かな漢字変換)を利用した. また, 文章読み上げ部品もマイクロソフト社のSpeech SDK(Software Development Kit)を利用し, 作成した.

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第4章

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図4.3: MBD Lexicon

58

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4.3 本章のまとめ

HPP開発で作成した部品を活用し作成した二つ の英語教育支援ソフトウェアに ついて述べた. 本節では, この二つのソフトウェアについて, はじめに英語教育支 援ソフトウェアの点からまとめ, その後教育用ソフトウェア部品活用の点からまと

める.

4.3.1 教育用ソフトウェアとしてのまとめ

テスト作成支援システムA-MATEは, コンビュータリテラシ程度のコンビュー タ運用能力を持つ教員を対象に作成した. このように限定したことで, ワープロ 程度のコンビュータ運用能力があれば, A-MATEを 用いてTOEICやTOEFLの問 題作成が可能である. 一般的に, このように初級者用に限定すると, 初級者には利 用が容易でも, 中級者以上では融通性がないという不満を抱きかねない. しかし,

A-MATEはテスト生成支援を目的としたものであり, 代表的な問題形式をほぼすべ てをカバーしているので中級者以上でもそれほどの不満はないものと捉えている.

A-MATEについては本格的な評価はまだ行っていないが現在, 熊本学園大学の英語 教師, 米岡ジュディ氏, ならびに熊本県立大学の英語教師, ギルパート氏によって 利用されている.彼らからはA-MATEの使用感について, 全体的に判断して合格点 をもらっている. 改良点としては, データベースの操作性向上を指摘されている.

この点を改良した後, 本格的な評価を行いたい. A-MATEの開発にあたっては, 英 語教育用教材作成支援の目的で開始したが, 英語に限らず他の分野でも利用可能で ある. 例えば, 物理現象や社会世相などの動画と組み合わせた理科や社会教育用の テスト問題も英語と同様の手順で作成可能である. またテスト作成部品は, オーサ リングツールや前述 の社会世相を動画で見せた後, それに関する豆テストを行うな どの教材開発支援システムで利用可能である.

マルチメディア辞書MBDは?日本語学習者と英語学習者の双方向(パイリンガル)

(19)

第4章 氏リ nu

辞書であることをすでに述べた. 現在, 電子辞書は数多く発売されており, これら の辞書の中には高機能なものも多い. しかし, これらの辞書は英語学習者である日 本人を対象としたものが殆どである. 日本語学習者にとって漢字の読み方は大きな 問題であるがMBDを利用することにより, 読めない漢字でも容易に読むことがで きる. また, 英語学習者にとっては, ネイティブの発音を動画で見ることができる のは, 大きな利点である. 本研究について発表した2回のコンブアレンス

[

23

][

24

]

では, いずれも漢字からひらがなへの変換機能, 日本文読み上げ機能についての日 本語教師達の反響の方が英語教師の反響よりも大きかったことから, これからの方 向としては, 漢字学習に重点をおいた日本語教育支援システム開発も考慮している.

また, MBDの収録語数はGeneral Word Listと呼ばれる頻出単語2000 +コンビュー タ用語約250と少ない. 4 .2.2でも述べたように, この2000語は大学向け教科書に 使われている単語の 76%を占めており初心者には十分な語数であるが, 幅広く利用 されるためには, Academic Word Listと呼ばれる大学教養レベルの語数570語を追 加する必要がある. この追加により, 大学向け教科書の約86%をカバーできる(残 り1 4%は各専門分野に依存した部分である)

[

20

]

. なお, これらの語集リストの特 徴については, これらの語集リストに注目したソフトウェア設計について述べる次 章で詳しくふれる.

4.3.2 教育用ソフトウェア部品活用についてのまとめ

部品には大小の部品があり, 部品数のみで単純に比較することはできないが, 部 品の利用者から見ればそれぞれが一つの部品にすぎないのも事実である. したがっ て, ここでは部品利用者の立場から単純に部品数のみでA-MATEとMBDにおい て活用した既製の部品と新規部品について見てみる.

4.l.5で述べたように, A-MATEではHPP開発時に作成した部品のうち11個を 活用し, 新たに作成したのはクイズ関連部の5つの部品と簡易統計処理部品の6個

(20)

である. また, 4.2.4で述べたように, MBDでは, 既製部品のうち6個を活用し, 新 たに作成した部品は4個である. すなわち, A-MATEでの新規部品の割合は35%で あり, MBDでは40%であり, いずれも約60%以上は既製部品が役にたっているこ とが分かる. この章で述べた新規部品と既製部品の双方を活用したソフトウェア開 発については次章以降で述べる.

(21)

第5章 62

第5章

ソフトウェア部品を前提とした英語教 育ソフトウェアの設計一理系学生英語 読解力教育支援のためのソフトウェア の設計-

本章ではこれまでに作成したソフトウェア部品を利用することを前提にし設計した 大学生向けの英語読解力教育支援ソフトウェア(VOCAL: VOcabulary Concordance and Academic Lexis)について述べる. 本ソフトウェアは, 大学の授業等において,

英語で書かれた教科書を読むのに必要とされる語集についての意昧や用法をコン コーダンスとコーパスを用いて効率的に学習するためのソフトウェアである.

(22)

5.1 作成済みのソフトウェア部品を前提とした英語教育

ソフトウェア

ここで, 開発済みの部品を簡単に振り返り, それらを用いてどのようなソフトウエ アを開発可能か考察してみる. ここまで に, 開発済みの部品を以下に示す.

-基本部品…シャツフル部品, 高精度タイマ部品, 遅延タイマ部品, ファイル 操作部品, 拡張ラベルグループ部品, 拡張リストボックス部品

-音声関連部品…音声録音・ 再生部品, 音声解析部品, 音声波形表示部品, 音 声スペクトル表示部品, 音声ミキサ一部品, 音声変換部品, 音量調節部品

-動画関連部品…動画録画部品, 動画再生部品

-テスト関連部品・・・結合問題部品, 選択問題作成部品, 穴埋め問題部品, 並 び替え問題作成部品, 真偽判定問題作成部品, 得点表示部品, 簡易統計処理 部品

. マルチメデ ィ アデータベース部品

-辞書関連部品…漢字ひらがな変換部品, 文章読み上げ部品, 辞書部品, 全文 検索部品

著者はここで述べた教育用ソフトウェアア以外にもレーザディスクの映画に含まれ ている字幕を利用した英会話教育支援システムLETS(A Language Education Tool for Speaking-up) [70] [71]と難しい漢字が含まれたWebページを易しい日本語(レベ ルの指定が可能, 例えば小学校4年レベルなど)に変換するシステム[63] [72] [73],

の開発に携わっている. これらの教育用ソフトウ ェアの核となっている部品は, 共 同研究者の堤が開発した類似文検索部品と単語の統計情報部品である. 類似文検索 部品を利用すれば英語の構文検索やミニマルペアの検索が可能であり, 単語の統計 情報部品を用いればテキスト中の単語の頻度順や出現順などを得ることができる.

(23)

第5章 64

これらの部品を組み合わせることにより, いくつかの英語教育用ソフトウェアが作 成可能である. 音声録音・再生部品, 動画再生部品を組み合わせた英会話練習ソフ トウェアやシャツフル部品と音声録音・再生部品を組み合わせた英単語モグラたた きゲームはプログラムの初心者でも簡単に作成可能である. また, 辞書部品を利用 したクロスワード作成ソフトウェアや読み上げ部品を利用した書取練習ソフトウェ アなどは, プログラムの中級者なら作成可能であろう. ここでは, ソフトウェア部 品を前提とした英語教育用ソフトウェアの例として理系学生が英語で書かれた専門 書を読む際に有効なソフトウェアを取り上げ設計を行った. これを題材に取り上げ た理由は, 次節以降で詳しく述べるが, 一つは, これまでに開発した部品を基に作 成が可能なこと, もう一つは必要とされている分野のソフトウェアで実用に値する ことである.

本ソフトウェア開発には, 基本部品, 単語の統計処理部品, 音声録音・再生部品,

音量調節部品, 文章読み上げ部品, 動画再生部品, 類似文検索部品, 内部辞書検索 部品, 外部辞書検索部品を利用する. 新部品としては, 類似文検索部品を継承した コンコーダンス部品を開発する. この部品は, 指定された英単語や句を検索し, 検 索結果である文章リストをコロケーションフレームに整列して表示する機能を受け 持つ.

5.2 理系学生英語読解力教育支援のためのソフトウェア 設計の背景

これまで英語教育といえば一般英語を対象にしたものが多かったが, 大学生が専 門分野における英語の文献や専門書を読む能力を身につけることは重要な課題とな り, EAP (English for Academic Purpose)と呼ばれる大学生向け英語教育法の研究 やESP(English for Specific Purpose)と呼ばれる各専門分野に特化した英語教育法 の研究も盛んになってきた(例えば, [38] [21]) . この教育法の一つにコーパスを利

(24)

用した方法がある. しかしながら, 学習者向けのコーパスは少なく, また, コーパ ス作成支援ソフトウェアも少ない.

5.2.1 コンコーダンスとコーパスの教育における利用

コンコーダンス

コンコーダンスとは, もともとは聖書に出てくる言葉の対比研究のために作成さ れたものである. その後シェークスピアの研究などにおいて, 作家がどのような語 集を使っていたか, または, ある語についてテキスト中のどの位置にあるか, どのよ うな使われ方をしているかなど用語(要語)索引の名称として使われるようになっ てきた. このように, コンコーダンスはコンビュータが出現する前から用語研究に 用いられており, その作成に対する労力は大変なものであったと思われるが, 現在 ではコンビュータの出現によりテキストさえ用意できれば容易に作成可能となった.

コンコーダンスは, 英語教育においては, 英語教師が授業の材料を作成する際, あ る語がテキスト中(文脈中)でどのような使われ方をしているかを調べたり, 範例 を作成するのに利用されている.

コーパス

コーパスとは, 膨大な用例を収録した電子テキストのことである. コンコーダン ス同様コンビュータの出現により, テキストさえ用意できれば比較的簡単に作成で きるようになったため, 現在数多くのコーパスが入手可能である. 最近では大規模 なコーパスと連携した辞典も見られるようになり(例えば, COBUILD英語辞典は,

BANK of Englishと呼ばれる41,500万語のコーパスを利用している), 語学や文学 研究者にとって大きな道具となっている. コーパスは, 英語教育においては, 教材 としたいテキスト中の語嚢レベル(難易度)を調べたり, また英作文を書かせ, そ のクラスの学生がどのような語葉を知っているかなどを測定するのに利用されてい

(25)

第5章 66

る. また, 最近では実際の会話を書き起こした「話し言葉コーパス」と呼ばれるも のも徐々に増えてきた[10].

コンコーダンスならびにコーパス作成プログラムの現状

コンコーダンス作成 プログラムは現在数多くあるが, その多くは研究者を対象 としたものであり, 英語教育には使いづらいものが多い. また, コーパス自体はこ れまでに多種のコーパスが作成されているが, 使いやすい検索ソフトウェアが少な く十分に活用されていない. コーパスを英語教育に用いるための学会である「英語 コーパス学会」第1 1回例会(1998)で行われたコンビュータ講習会資料によると,

「ワープロ, エディタでは手聞がかかり, 有効ではないので, コンコーダンサーと 呼ばれる検索ソフトウェアが使われることが多い. Unix で多用されるgrepをはじ め, MicroOCP, WordCruncher, WordSmith等が多く提供されているが, ここで はKWIC Concordance for Win dowsを使用する」 と書かれている. この講習会で 利用されているKWIC Concordance for Windowsは利用されている単語の一覧を 取り出すなどの機能はあるが, 単語の利用率など統計的な処理を行うには, さまざ まな手順で表計算ソフトウェアExcel用のデータに変換し, 表計算ソフトウェア上 で解析する必要がある.

5.2.2 本研究の立場

本研究では, 大学の英語読解力教育支援に特化する. また, 利用者の敷居を低く するためワープロと表計算程度のコンビュータ運用能力で利用可能な英語読解力教 育支援プログラムを目指す. VOCALは, テキスト収集支援プログラム, コンコー ダンス作成支援プログラム, コーパス作成支援プログラム, 辞書部, 使用単語の統 計情報表示部を統合化し, 一連の作業で教育用材料を作成できるようにする. 詳細

については次の節で述べる.

(26)

5.3 設計方針

VOCALは, 英語読解力と知っている語集の数( 語集力と呼ぶ)の関係に注目し たソフトウェアであり, 理系大学生向けのESP教育を行っている英語教師と理系学 部生が利用対象者となる. 教師は, VOCALを利用して, 授業用の教育材料を作成 したり, 専門技術用語を登録したり, 専門分野向け コーパスを作成し学生に与える ことができる. 学生もこのソフトウェアを利用し, 教師から与えられた技術用語や コーパスを利用したり, また, 自分で新語を追加して, 語集力を増強し, 英語で書 かれた専門書の読解力を向上させることができる. 対象を理系としたのは, 熊本県 立大学の英語教師,Meltonの研究で[54], 熊本県立大学の理系学部では読む, 書く,

聞き取る, 話す, の4技能の中で, 読解力が最も重要と捉えられていることと, 専 門分野の技術用語は分野ごとに異なり, 専門用語に関する部分を効率的に学習でき れば学習効果が上がることが期待できるからである.

5.3.1 英語読解力と語暴力

Nation及びStahlがEFL学習者を対象に行った語集力試験を分析した研究結果と して英語の読解力と語集力の聞には強い相関があることが分かっている([56][66]) . このような研究は1 980年代はじめまでにはそれほど興味を持たれず, ここ1 5 年ほどで少しず つ行われるようになってきた. 最近になって興味を持たれるように なったのには3つの要因がある. 一つは, 国際化が進みあらゆる分野において, 英 語の重要性が唱えられるようになってきたこと[38]. これは, 我が国のみでなく,

Woodは「例えばスロバキアのような小国の科学雑誌でさえ, 英語で出版されてい る. これは英語以外の言語で書かれている記事は無視されるからである」と述べて いる[76]. 次に コンビュータの低価格化によりだれでもコンビュータを扱える環境 が整ってきたこと. 最後に, コンビュータの発達により多くのコーパスが作成され,

また, そのコーパスを利用して英語の読解力と語集力の関係について研究ができる

(27)

第5章 68 ようになってきたことがあげられる.

大学向け教科書を読むのに必要な語負数

Webster's Third New International Dictionaryは約11 4,000語の見出し語(語形 の変化語と派生語を一つのグループとして処理する. 例えば, analyzable,analysys,

analyzed, analyzing,

の見出し語は

analyzeである )を備えている. 最近の研究で教

育を受けたネイティプスピーカはこのうち約20,000語の見出し語を知っていること が報告されている. また, 英語を母語としない大学生はこのうち1 0%-1 5%(2,000- 3,000見出し語)を知っていると報告されている[30][77]. 別の角度からの研究として 少々知らない単語があっても文脈から判断して読むことができるにはどれぐらいの パーセンテージの単語を知っていなければならないかという報告がある[45][47][36].

文献によって, そのパーセンテージにばらつきはあるが, Nationは最近の研究結果 をもとに95% (1 行1 0語x 40行/ページとして, 未知の単語が1ページあたり20 語, 2行あたり1語相当) を関値としている. さらに, Nationは, 大学で用いられ ている教科書中の語集を解析し, 1)一般用語または基本語, 2)準専門用語, 3) 専門用語の3つに分類し,「英語を母語としない学生が英語を使用する授業を受けた いと思うなら, はじめに(一般用語または基本語に属する)2000語の高頻出見出し 語を習得し, 次にアカデミックワードリスト(AWL: Academic Word List)と呼ば れる( 準専門用語) 語集グループを習得する必要がある. この二つのグループに属 する見出し語を覚えることにより, 約90%をカバーできるの. その二つの見出し語 グループに適切な固有名詞と専門用語を補完することにより95%をカバーできる」

と述べている[56].

ここで, 2000語の高頻出見出し語は,

4.2で述べたMBDでも採用した語葉リス

トである. 第4章でも述べたように, この2000語は Westによって書かれた本(“A General Service List of Wordsつを基に選ばれている. この本は1953年に書かれた もので非常に古いが, GSLと呼ばれ現在でも最もよい語集リストとされている[55] .

(28)

5.1: Percent

W

ord-Coverage in the A cademic Corpus

Type of Vocabulary

%

of Coverage

GSL 1st 1000 word-families 71.4%

GSL 2nd 1000 word-families 4.7%

A WL 570 word- families 10.0%

TOL 13.9%

Total

100.0%

また, アカデミックワードリスト570 語は 1998年にCoxheadによって選出された 大学教育に必要な高頻出見出し語である[20]. AWLは理系, 文系, 商業系, 法律系 の幅広い分野において使用されている 350万語を調査し, 特定の分野に偏ら ないよ

うに 選出された見出し語である.

整理すると, GSLの2000見出し語と AWLの570見出し語に含まれる 語集は大 学のどの分野においても必要な語集 であり, 計2570見出し語で約90%の必要語集 をカバーできる. 残り約10%は, 各分野の専門用 語かまたは多分野 で利用されるが 頻度の少ない単語や固有名詞である(以下TOLと呼ぶ). TOLは 各専門分野ごとに

異なるので, 各分野においてこの部分を補完すれば各専門教育に必要な95% を達成 可能 である. 表5.1にCoxheadがまとめ た大学での教育に必要な各語集 グループの 割合を示す. なお表5.1には, GSL を使用頻度 でさらに 二つのグループに 分けた も のを示す.

5.4 開発目標

Nationが報告しているように, 読解力をつ けるには 語集力を強化することが重要 である. VOCALは, 新しい語棄を効率的に学習できるようにすることと, そのた めの教育材料作成を支援する. 以下に学習支援機能と 教育材料作成支援機能の二つ

(29)

第5章 70

に分けて, 開発目標を挙げる. なお, 以下の機能には学習支援と教育材料作成支援 の両方に属するものもあり, 分離できない面もあるが, より多く利用されると想定 される方に組み込んだ.

1)学習支援

(

a

) GSL,AWL,TOLの3つの語葉グループを利用した体系的な語集力強化支 援

VOCALでは, 対象とするテキストを解析し使用されている単語の頻度,

GSL,AWL,TOLのどの語集グループに属するか, どのような使われ方が されているかを表示する. 学習者にとっては, 自分が調べたようとして いる語集がどの語集グループに属するかを知ることによって体系化でき る. また, 教師にとっては, 作成中の教材に含まれる各語集グループの 割合を知ることによって, その教材の難易度やバランスを知ることがで きる.

(b)対象とするテキスト種別コーパス作成・表示機能

テキストには教科書, 専門論文誌, 一般雑誌などがある. 同じ語集でも その種類によって書き方が異なる場合がある. VOCALのように区別す れば, 例えば教師が論文を書く場合と教科書を書く場合でコーパスを切 り替えることができ, 種別に応じたテキスト作成が可能となる.

(c)辞書機能を持たせる.

指定した語と用例を英語と日本語で表示する. なお, GSLについては第 4章で述べたマルチメディア辞書を利用する.

(d)コロケーション表示機能

例えばstrong coffeeは正しい語法であるが, powerful coffeeは誤ってい る. コロケーシヨンの表示機能によって語法を調べやすくすることがで きる.

(30)

(e)外部辞書の利用支援機能

インターネット上には数多くの優れた辞書がダウンロード可能であり,

また多くの辞書ページがある. さらに, 有料の電子辞書も数多く発売さ れている. VOCALでは電子辞書の仕様が公開されているものについて は検索機能を組み込み利用可能とする. また, URLを指定することによ り, VOCALから直接辞書ページを閲覧できるようにする.

(f)単 語や文章の読み上げ機能

マルチメディアコンテンツを用いることにより, 記憶への定着率が高い ことが分かっている. 本システムではGSLについてはすべてネイティプ スピーカの 発音音声を備えている, また, AWLについても作成予定で ある. TOLについては, 各分野により異なるので用意しないが, 各分野 で用意されたものがあれば, それを 利用可能である. また, VoiceType のような音声合成エンジンを備えたコンビュータでは, 音声合成による 文章読み上げ機能を備え 任意の部分を読み上げることができるように する.

2)教育材料作成支援

(

a

)

TOL作成支援

GSL.AWLに関する基本情報(辞書情報:英語, 日本語, 発音記号等)は各 分野共通であり, 固定であるので本ソフトウェアが用意する. TOLにつ いては各専門分野の教師や学生個人で用意する必要があるので, VOCAL ではそのための編集支援機能を備える.

(b)教育用テキスト作成支援

材料となるソーステキストは, 本システムが備える簡単なテキストエディ タを利用し作成することや, 他のエディタ等で予め編集したテキストを利 用することができる. また, インターネットのホームページの利用や, 公

(31)

第5章 72

関されているコーパスを利用することも多いと想定されるので, HTML タグやコーパスに含まれている各種のタグを取り外すためのフィルタを 用意する.

(c) 品詞検索機能

同じ単語でも, "play"のように名詞と動詞をもつものがある. 品詞情報 つきのコーパスもいくつか公開されており, これを使えばより効率的に 教育材料を作成可能である. VOCALでは, このような品詞っきコーパ スでは, 吋play, noun)"のような検索方法を可能とする.

(d)マイクロコーパス作成支援

テキスト, コロケーション, 語定義の任意の部分を組み合わせて保存す る機能を備える. この機能により, 自分用の小さなコーパスの作成が可 能である. 大きなコーパスは多種の分野の膨大なデータを含んでいるが,

各専門分野ごとに見ると, 不要なデータが多く, 取り扱いが面倒な部分 もある. 自分用の小さなコーパスは必要データのみ含み, 取り扱い易い という長所がある.

5.5 システム概要

VOCALの利用法については以下の方法を想定している.

1) 教師による利用

1)教材用テキスト の収集を行い, 2)本ソフトウェアのコンコーダンス作成機 能や単語情報表示機能を用いてテキスト教材の解析を行う, 3)教材として利 用可能なら, テキストやコンコーダンスの中から必要な部分を抽出し, コー パスの作成や, 教材の作成を行う.

2)学習者の利用

(32)

E-畠田園圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃圃・:-ftlIJiI

5.1:

VOCAL Main

教材用テキストを入力し, VOCALのコンコーダンス作成機能や, 単語情報 表示機能を用いてテキストの解析を行う, 3)教材を読み, 分からない単語が

あれば, 単語リストの該当単語をチェックする, 4)VOCALが該当単語につい ての各種情報(GSL,AWL,OTLのいずれのグループか)とコロケーションを 表示するので, それを用いて用法を調べる. また, 辞書機能を用いて, 意味 を調べたり, 発音を聞く.

5.5.1 設計画面

VOCALは, 前節で、述べた開発目標に沿って設計を行った. 図5.1にVOCALの起 動画面を示す. 図に示すように, VOCALは, ソーステキストフレーム, ワードリス トフレーム, コロケーションフレームの3つのフレームからなる. また, メニューに は辞書メニュー, コーパスメニュー, 読み上げメニュー, マルチメディアメニュー,

解析メニュー, ウェプサイトメニューを用意している.

(33)

第5章 74 ソーステキストフレーム

教材用のソーステキストを入力する. テキストの入力法は,

1)他のソフトウェアと同様にキーボードを利用したり, 他のテキストエディタや

WEBのホームページからテキストのみをカット&ペーストで入力する 2)URLを指定する

3)CD-ROM等の作成済みのコーパスや電子辞書を利用する

などの方法がある. ここで, 2)の場合にはHTMLで書かれているので, 本システ ムのフィルタがHTMLを除去し, プレインテキストに変更する. また, 3)の場合で タグ付きの場合も本システムのフィルタが タグを除去し, プレインテキストに変更す る. 表5.2にタグ付きコーパスの代表的な4つの例を示す(英語コーパス学会, 第11 回大会, コンビュータ講習会資料を基に作成: http://www.chs.nihon-u.ac伊jjeng­

d pt

/ tukamoto /

wpr kshop

/ corpus j part2-2.

html,検索日: 2000年6月18日) .

ワードリストフレーム

ソーステキストフレームに入力されたテキストを解析し, 抽出した単語とその単 語のソーステキスト中の出現回数を表示する. 表示方法の選択肢を表5.3に示す.

コロケーションフレーム

利用者がワードリストフレーム上の任意の単語またはソーステキストフレーム上 の任意の単語や句を選択すると, 選択された部分のコロケーションが表示される.

また, ここでコーパスを指定するとそのコーパス中のコロケーションが表示される.

メニュー

以下にメニューとその機能を示す.

(34)

表5.2: Representative Tag Styles of Corpora

コーパス形式 | 概要

固定長形式

|

各行の決め れた位置に情報を付加する.

SGML

COCOA

A01 0010 The Fulton Country Grand Jury said A01 0020 of Atlantas's recent primary election A01 0030 any irregularrties took place. The

HTMLの基礎となったSGML形式を用いた方式

くs n=OOOl><w CS> When <w NNB> Captain

<w NP1> Pugwashくw VVZ> retires <w 11> from

A-Zの識別記号を用いてタグ付けしたもの.SGMLと異なり2

6種

のタグのみ定義可能

<B CEFDUC1B>

くN SCOOLMASTER>

<A ASCHAM ROGER>

(35)

第5章 76

表5.3:

Word-List Options

起動画面上のボタン名 機能

ALPHA

ワードリストにアルファベット順に表不

FREQ

ワードリストに頻度順に表不

ASC

上記の アルファベット順または頻度順の 指定された方法 について昇順で、表示

DSC

同じく, 指定された方法について降順で、表示

ALL

全単語を表不

GSL

GSLに属する単語のみを表不

AWL

AWLに属する単語のみを表不

TOL

TOLに属する単語のみを表不

-辞書メニュー…英単語や句の意味を知りたいときに 利用する. VOCALの辞 書の他に, 外部辞書があれば指定できる.

-コーパスメニュー…利用するコーパスを指定する. コーパスは, ACADEMIC,

JOURNAL, GENERAL, USERの中から選択することが可能である.

-読み上げメニュー…指定された部分を音声 合成を用いて読み上げる.

- マルチメディアメニュー…VOCAL辞書に含まれている動画やネイティブの 音声による発音を再生する.

- 解析メニュー…ソーステキスト中の文書を解析し , GSL, AWL,TOLそれぞ れに属する単語の割合を表示する. この機能は, 教師が自分の意図している 目的(例えば専門向け 用語の教育か一般向けの教育かなど)に合致した文章 となっているかを確認したり , AWLの語だけをマークし教育に活用すること ができる

(36)

- ウェブサイト指定メニュー…ソーステキストとしてウェブサイトの情報を使 用したいときに, そのサイトを指定しておく.

5.6 本章のまとめ

これまでのコンコーダンスソフトウェアは研究者向けのものが多かったが, VO­

CALは理系学生の英語読解力教育支援を目的とした. 学生は, 知りたい単語が一般 向け, 大学一般向け, 専門向けのどの分野に属するかを知ることができ, 効率よく学 習できる. また, 教師は教材を作成する際に, 専門向けの英単語の割合を知ること ができ, 教材の難易度を調整することが可能である. 現在よく利用されているコン コーダンス作成ソフトウェアには, l'vIonoConc Pro(Athelstan Press)とWordsmith Tools (Oxford U ni versi ty Press)がある. この二つに含まれないVOCALの機能は,

1)ワードリストの表示が可能, 2)辞書検索機能を備えている, 3)インターネットと の連携が容易,4)コーパスの切り替え機能, である. すなわち, 上にあげた二つの ソフトウェアが言語学の研究者を対象にしたものであるのに比べ, VOCALは学生 を対象にしたものであるので, 英語学習に便利な機能を付加した.

また, VOCAL作成にあたっては, 新しく開発するのはコンコーダンス部品1個 である. この部品も, 類似文検索部品を活用する予定であり, これまで開発した部 品の有効活用が期待できる.

(37)

第6章 78

第6章

結論

6.1 本研究のまとめ

序論で述べたように, 文部省は「ミレニアム・ プロジェクト『教育のJ情報化�Jと いうプロジェクトを推進中であり, 2005年度には我が国における小中高「すべての 教室」の「すべての教科」でコンビュータとインターネットの活用ができるように 計画している. この計画では, コンビュータを教育に利用できる教員の数が少ない こともあり,「時間のコスト」をかけず,「現場のニーズ、」にあった動画コンテンツを 利用することにな っている. しかし, 単に動画を見せるだけの「コンテンツ利用支 援」のみでなく, 動画コンテンツを含むマルチメディア教材の開発支援, さらには

「マルチメディア教材開発支援」のためのソフトウェア開発も並行して行い, ワープ ロならびに表計算ソフトウェア程度のコンビュータリテラシー教員グループからか らプログラミング可能な教員グループまでのすべての層を嵩上げしなければ「現場 のニース、」に対応することは困難である. このことを踏まえ, 本研究では,「マルチ メディア教材開発」支援のためのソフトウェア開発環境を試験的に構築することを 目的とした. 具体的には, 教育分野の中でもっとも需要が高い語学教育に的を絞り,

コンビュータリテラシー教員グループ向けの実用的な英語教育ソフトウェアを実際

(38)

に開発し, また, その開発と同時に英語教育ソフトウェアの構成要素を抽出し, プ ログラミング可能な教員グループへの提供を念頭においたソフトウェアの部品化を 行うことを目的とした. 本研究では, はじめに英語発音・聞き取り練習ソフトウェ ア(HPP)の開発,評価を行った結果, 効果があることが確かめられたので, このソ フトウェアから18個の教育用ソフトウェア部品を抽出した. 次に その部品を再 利用した二つの英語学習支援ソフトウェア, 英語教育のためのテスト作成支援シス テム(A-MATE)と日本語学習者と英語学習者の双方を対象としたマルチメディア 辞書(MBD)の開発とそれに伴う新部品の開発を行った. さらに, これまでに開発 した部品の活用を前提とした英語教育支援ソフトウェアをいくつか検討し, その中 で実用的な需要が高い英語読解力教育支援のためのソフトウェア(VOCAL)の設計 を行った. 以下に, ここまでの研究経過を簡単にまとめる.

はじめに, HPPでは歴史が異なるこつの英語発音・聞き取り学習方法 , 1)英語 教育者の間で行われていたカセットやビデオを用いた学習法と, 2)音響学者の間 で行われていた耳の不自由な人々を対象とする発声練習法を最新のマルチメディア コンビュータを用いて融合化したソフトウェアを構築した. また, 教育用ソフトウェ アは実用が重要である. この点についても, 実際にネイティブスピーカの授業の中 で評価を行い, 効果があることを確かめることができた. また, このソフトウェア から教育用ソフトウェア作成に必要な部品を18個抽出し再利用に供した.

次に, A-MATEは教員がワードプロセッサと表計算程度のコンビュータ運用能力 を備えていれば, WEBベースの英語テスト問題を作成可能とした. これまでにも 述べたように文部省が推進中の「教育のd情報化Jでは, マルチメディア技術の利用 法として作成済みの動画を利用することを主目的としているが, これでは有効活用 とはいえない. A-MATEは有効活用の一手段として, 単に動画の利用にとどまら ず, 教育現場の実状に合わせたテスト問題を手作りプリントを作成するように手軽 に作成可能とした. A-MATEは現在, 二人の英語講師が試用中 であり, 全体的な評 価としては合格点をもらっている. また, MBDは, 一般の電子辞書の機能に加え,

(39)

第6章 80

日本語を母語としない人々が困難とする漢字混じり文の読みを, 漢字からひらがな に変換する機能と読み上げる機能を備えた. また, 英語を母語としない人々が困難 とする発音に関して, ネイティブスピーカによる英単語発音 と音声合成エンジンを 用いた英語文章の読み上げ機能を付加した. MBDについても正式な評価はこれか らであるが, 二つのコンブアレンスにおける日本語教師の反応を紹介し, 日本語教 育, 英語教育双方における有効利用の可能性を示した.

また, VOCALはコンコーダンスとコーパスを用いたEAP (大学生向け英語教育) やESP (専門分野に特化した英語教育)支援のために設計したソフトウェアである.

これまでにも, コンコーダンスやコーパスの作成ソフトウェアは多く発売されてい るが, 研究 者向けのものが多く, 教育における利用は煩雑である. 一方, VOCAL は教育に的を絞った. す なわち, 教育分野におけるコンコーダンスやコーパスの利 用法は, 材料 となるテキストの語集の難易度を調べたり, コロケーションを調べた りするのに利用されている. VOCALはこの点を踏まえた上で これまでの研究に 基づき, 教育材料であるテキストを一般向け頻出単語単語リスト, 大学一般向け頻 出単語単語リスト 専門分野・特殊向け単語リストの3つのグループに分類する機 能や割合を表示する機能を持たせ, 効率よくEAP,ESPの教育・学習を可能とする ことを目的として設計した.

以上に述べたように, 本研究で当初の目的としたコンビュータリテラシー教員グ ループのための実用的な英語教育用ソフトウェア開発とプログラミング可能な教員 グループへの提供を念頭においた教育用ソフトウェア部品の開発は達成できた. 英 語教育用ソフトウェアに関する評価はHPPは効果があることが確かめられ, また,

A-MATE, MBDとも本格的な評価はこれからであるが, 利用者の使用した感想で は合格点を得ている. しかし, ソフトウェア部品の利用評価については, 利用例が 付録Bにあげた一例のみで, いくつかの検討課題がある. これについては, 本章の

「今後の課題と今後の研究の進め方」の節で述べる.

(40)

6.2 関連研究

HPPと類似の研究にATR人間通信研究所の山田らによる" r"と" 1 "の分別を重 点とする英語発音・聞き取り学習ソフトウエアがよく知られている

[

16

][

17

]

. 第3 章で, 英語発音・聞き取り学習ソフトウェアには, 音響音声学者らによる音声解析 を用いた流れと, 英語教育者によるその時代時代に得られるメディアを利用した流 れがあることを述べた. 山田らのソフトウェアは音響音声学者の流れから発達して きたものである. 山田らの研究は音声分析によって得られるスペクトログラムを利 用して自分の発音の特徴を視覚的に確かめることができる. また, 正しく発音する のに重要な要素である口内の舌の動きを, 見る角度を自由に変えることができる3 次元CGやMRIを用いて確かめることができる. 一方, HPPはマルチメディアコ ンビュータ上に音響音声学者と英語教育者の流れを融合したソフトウェアである.

HPPも音声分析によるスペクトログラムを利用する点では山田らの方法と同じで あるが, 口内の動きを見せる機能は備えていない. 口内の動きを見せることは, 著 書も重要であると捉え, HPPの開発当時はアニメで見せることを計画したが, あま りにも作業量が多く一人では無理であり断念した. しかし, HPPでは英語教育者 がこれまで、行ってきた教育方法も取り上げている点で山田等の方法と異なる. HPP では多くの種類のミ ニマルペアの単語や文章の聞き取り練習が可能であり, また,

コンビュータの特徴を活かし, 乱数を使い毎回出題を変えたり, 正解の位置を記憶 できないような仕組みを付加し, 学習者の真の聞き取り能力を確かめることができ る. また, わざわざ環境雑音を付加した聞き取り練習プログラムも備えている. こ れは, 中級者を対象としたもので,「きれいな発音ばかりを聞いていると, きれいな 発音しか聞き取れなしリというような状況に陥らぬように付加した.

次に, A-MATEの類似研究には, Jones

[

39

]

のテンプレートベースのオーサリン グシステムがある. このシステムはデザイナーが用意したテンプレートを呼び出し,

必要な箇所を埋めていくことにより, プログラミングの知識なしにWEBベースの 学習システムを構築することが可能である. A-MATEとの違いは, A-MATEはテ

(41)

第6章 82

スト作成を主体としているところ, また, そのためにいくつかの便利な機能(例え ば, 並び替え問題を例に取ると, 正解順に置けばA-MATEがランダムにシャツフ ルする機能)を備えているところがである. また, MBDについては第4章で電子 辞書は現在多数発売されていることを述べた. これらの辞書の収録語数はいずれも MBDより圧倒的に多い. MBDとこれらの辞書の違いは, MBDは学習者を対象と した機能(漢字混じり文のひらがな変換機能や読み上げ機能)などを備えていると ころ, 14に分けたカテゴリ別に表示する機能を備えているところである.

最後にVOCALについて述べる. コンコーダンス作成プログラムとしてはAthel- tan PressのMonocConc ProとOxford大学のWordsmithが有名である. これら

のソフトウェアとの違いは, この二つのソフトウェアは言語学者を対象としている のに対し, VOCALは教育を目的としているところである. このため, この二つの ソフトウェアに備わっていない教育用の機能(ワードリスト表示機能, 辞書検索機 能)をVOCALは備えているである.

6.3 今後の課題と今後の研究の進め方

英語教育支援ソフトウェアとしての課題については本文中で述べたので, ここで は教育用ソフトウェアの評価における今後の課題とソフトウェア部品活用における 今後の課題と研究の進め方について述べる.

6.3.1 教育用ソフトウェアの評価における今後の課題

本研究で開発したHPPについては, 学生による試用評価を示した. 開発した教 育用ソフトウェアの評価については, この他に以下に挙げる項目も重要である.

1)開発した教育用ソフトウェアを利用した場合と他のメディアを利用した場合 の比較

表 5.1: Percent  W ord-Coverage  in  the A cademic Corpus  Type  of  Vocabulary  %  of  Coverage  GSL  1st 1000  word-families  71.4%  GSL  2nd  1000  word-families  4.7%  A WL  570  word- families  10.0%  TOL  13.9%  Total  100.0%  また, アカデミックワードリスト570 語は 1

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