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公民館における 学級・講座等に関する 調査研究報告書

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(1)

平成14年度 

社会教育地域  実 態 調 査  

公民館における 

学級・講座等に関する  調査研究報告書 

 

国立教育政策研究所  社会教育実践研究センター 

(2)

はじめに 

地域における学習・交流の拠点である公民館活動は、社会教育法をはじめとする関係法  令の制定に先立って開始され、既に50余年を経過し、活力と潤いのある地域社会の実現  のため大きな役割を果たしてきました。 

「社会教育法」(昭和24年6月10日法律第207号)では「公民館は、市町村その他  一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を  行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興・社会  福祉の増進に寄与すること」とされています。 

国立教育政策研究所社会教育実践研究センターでは、これらの地域社会における学習拠  点としての公民館の事業の実態を把握し、今後の課題を検討するため、調査研究委員会を  設け、公民館において実施されている学級・講座等の学習内容の実態等を調査しました。 

調査対象は、社会教育法第21条の規定に基づいて設置された公民館とし、全国の公民  館18,257館(平成11年度社会教育調査報告書)のうちの、「中央館」(「公民館の設置及  び運営に関する基準」(昭和34年12月28日文部省告示第98号)第7条第1項に規  定する連絡等にあたる公民館)2,199館としました。 

今日、人々の多様化・高度化する学習ニーズへの対応や、生涯学習社会の進展、地方分  権の推進等新たな状況が生じており、社会の変化に対応した社会教育の推進が求められて  います。特に、公民館については、地域における教育力の再生や、家庭教育支援などにも  一層重要な役割を果たしていくことが期待されています。 

本調査で把握できたのは、多岐にわたる公民館事業の一側面に限られるかと思いますが、 

学級・講座の実態を全国的視点でとらえることができたと思います。この調査報告書が、 

公民館等社会教育関係者の方々の参考として活用されれば幸いです。 

おわりに、本調査研究の実施に当たり、御熱心に御指導いただきました委員長の川村学  園女子大学教授の加藤雅晴氏をはじめ委員各位に感謝申し上げますとともに、調査に御協  力いただきました公民館各位に厚く御礼申し上げます。

平 成 1 5 年 3 月  

国立教育政策研究所 

社会教育実践研究センター長  結 城 光 夫  

ⅰ  

(3)

目 次

はじめに      i

第Ⅰ部 調査の概要       1

第1章 調査計画の概要       1

1.1調査の目的………1

1.2調査対象……… 1

1.3調査主体・調査実施機関………1

1.4調査実施期日……… 2

1.5調査方法……… 2

1.6回収数……… 2

第Ⅱ部 調査の結果       3

第2章 公民館の状況      3

2.1設置者……… 3

2.2単独・槍合……… 4

2.3併設状況……… 5

2.4年間事業予算……… 6

2.5社会教育主事有資格者……… 7

2.6公民館運営審議会……… 8

第3章 公民館の学級・講座の実施状況      9

3.1学級・講座を実施した公民館……… 9

3.2学級・講座の実施形態と実施回数………10

3.3分野別実施件数………11

3.4分野別実施館数………12

3.5家庭教育・家庭生活………13

3.6現代的課題………14

3.7市民意識………15

3.8体育・スポーツ………16

ii

(4)

3.9指導者………17

3.10趣味・けいこごと………18

3.11一般教養………19

3.12職業知識・技術………・20

3.13その他………21

第Ⅲ部 事例       22

第4章 学級・講座について       22

4.1たのしく・パソコン・体験教室 (秋田県 雄勝町公民館)……… 23

4.2まちづくり講座「プロジェクトS」(長野県 須坂市公民館)……… 27

4.3合宿通学(福島県 北会津村公民館)………31

4.4よのうづ海っ子クラブ (大分県 米水津村公民館)…………35

4.5十日町青年学級(新潟県 十日町市公民館)……… 39

4.6ボランティア養成講座(福岡県 北九州市立小倉南公民館)……… 43

第5章 集計表      47

1集計表の見方………  47

2公民館属性および学級・講座事業数の集計表………48

3学習内容の集計表………  54

資料 調査票 ……… 58

(5)

第Ⅰ部 調査の概要

(6)

第1章 調査計画の概要

1.1調査の目的

公民館において実施されている学級・講座等の学習内容について実態を把握し、今後の 施策の参考に資することを目的とする。

1.2調査対象

社会教育法第21条の規定に基づき設置された公民館の中の「中央館」(「公民館の設 置及び運営に関する基準」第7条第1項に規定する連絡等にあたる公民館)を対象とする。

公民館名、所在地等は平成14年10月1日現在とする。ただし、事業実施状況などは 平成13年度間(平成13年4月1日から平成14年3月31日まで)の1年間とする。

1.3調査主体・調査実施機関

国立教育政策研究所社会教育実践研究センターに「公民館の学級・講座等に関する調査 研究委員会」を組織し,調査研究を行った。調査研究委員は以下のとおりである。

伊原 浩昭  国立教育政策研究所社会教育実践研究センター専門調査員

○ 加藤 雅晴  川村学園女子大学教授

鴻上 哲也  佐賀県教育委員会生涯学習課社会教育主事 杉田登志子  埼玉県蕨市下蕨公民館長

鈴木 眞理  東京大学助教授

土屋 隆裕  統計数理研究所助教授 角替 弘志  常葉学園大学教授

林 富士男  広島市教育委員会青少年育成部育成担当課長 原  義彦  宮崎大学生涯学習教育研究センター助教授

真柄 正幸  国立教育政策研究所社会教育実践研究センター社会教育調査官 結城 光夫  国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長

(以上五十音順、○:委員長)

なお、国立教育政策研究所社会教育実践研究センターでは、鳥越留美子(専門職員)

が庶務を担当した。

−1−

(7)

1.4調査実施期日

調査票:   平成14年10月7日〜11月7日 聞き取り調査:平成15年1月28日〜2月4日

1.5調査方法

調査対象とする公民館に、調査票を直接郵送し、担当者に記入を依頼した。回答された 調査票は、返信用封筒により国立教育政策研究所社会教育実践研究センターへ郵送しても

らった。

聞き取り調査については、調査研究委員が直接、公民館を訪問して行った。

1.6回収数

表1.1:回収数

図1.1:回収数

− 2 −

(8)

第Ⅱ部 調査の結果

(9)

第2章 公民館の状況

2.1設置者

調査対象となった2,199館の公民館の内、1,412館より回答があった。回答があった公民館を設置者別に見る と、町立の公民館が最も多く806館(57%)で約6割を占めている。(表2.1.1)

また、調査対象とした公民館と、回答があった公民館の割合は、それぞれ市区立が24%と28%、町立が61

%と57%、村立が15%と15%であり、ほぼ同じ割合であった。(図2.1.1〜3)

表2.1.1:設置者

図2.1.1設置者別調査対象館数

図2.1.2設置者別調査対象館の割合

図2.1.3設置者別回答館の割合

−3−

(10)

2.2単独・複合

公民館の施設状況を単独か複合かで見てみると、複合施設は721館(51%)であり、単独の施設の691館(49

%)を上回っている。設置者別では、市区立の複合施設が57%で、町立や村立よりも複合施設の割合が高い。

(表2.2.1)

職員数別では、職員数10人以上の複合施設は103館(7.3%)であり、職員数10人以上の単独の施設の55 館(3.9%)を上回っている。(表2.2.2)

表2.2.1:単独・複合

図2.2.1設置者別の単独施設と複合施設の割合

表2.2.2:職員数別の単独・複合

図2.2.2職員の数による単独施設と複合施設の比較

− 4 −

(11)

2.3併設状況

複合施設について、公民館に併設されている施設を「図書館」「児童館」「保健所」「その他」の四つの選択肢 で質問した。「その他」は自由記述とし、併設施設の記述を依頼した。「その他」と回答した公民館は.576施設 で、複合施設全体の80%を占め、次いで、図書館が266館で37%を占めた。(なお、複数回答としているため、

割合の計は100%を上回る。)

「その他」に記述された施設を、分類すると、「市町村民会館・センター」等が最も多く128館であり、次い で、「福祉関連施設」が108館、「文化ホール関連施設」が105館、「体育施設」が52館、「博物館・青少年教育 施設等の社会教育施設」が38施設となっている。(表2.3.1〜2)

表2.3.1:併設状況

表2.3.2:「その他」の併設状況内訳

− 5 −

(12)

2.4年間事業予算

公民館の平成13年度の事業予算では、500万〜1,000万円未満と回答した施設が267館と最も多く、1,000 万円以上の事業費を持つ公民館も245館あった。また、50万円未満の公民館も186館あり、多様である。

また、職員数では、5人〜9人と回答した施設が最も多く579館で、次いで2人〜4人の564館となってい る。さらに、事業予算との関係では、事業予算が大きいほど職員数も多くなる傾向が見受けられる。(表2.4.1)

(注)職員数は専任、併任を問わず日常勤務している職員の総数(61ページ参照)

表2.4.1:年間事業予算

図2.4.1年間事業予算別公民館数

−6−

(13)

2.5社会教育主事有資格者

社会教育主事の有資格者を1人以上置いている公民館は、798館(56.5%)で、社会教育主事の有資格者が 配置されてない公民館は565館(40%)である。(表2.5.1)

社会教育主事の有資格者が配置されていない公民館565館の中で、事業予算額が50万円未満の公民館は、106 館で約2割であった。(表2.5.2)

表2.5.1:社会教育主事有資格者の有無 図2.5.1社会教育主事有資格者の有無

表2.5.2:社会教育主事有資格者数

図2.5.2社会教育主事の有資格者数

−7−

(14)

2・6公民館運営審議会

公民館運営審議会を設置している公民館は、1,109館(79%)である。設置者別では、市区立が323館(81

%)、町立が634館(79%)、村立が152館(73%)であった。(表2.6.1)

公民館運営審議会を設置していない公民館296館(21%)のうち、公民館運営審議会に代わる組織を設置し ている公民館は170館であり、その多くは、社会教育委員会議に公民館運営審議会の役割を持たせている。(表

2.6.2)

また、公民館運営審議会やそれに代わるものも設置していない公民館は126館である。なお、設置者別では、

市区立で運営審議会の設置率が高く、村立が低くなっている。

表2.6.1:公民館運営審議会の設置

図2.6.1公民館運営審議会を設置している、いないの比較

表2.6.2:公民館運営審議会に代わる組織の名称

−8−

(15)

第3章 公民館の学級・講座の実施状況

3.1学級・講座を実施した公民館

平成13年度間に学級・講座を実施した公民館は1,362館(96%)であった。実施していない公民館は50館

(4%)である。(表3.1.1)

設置者別では、実施していない公民館の割合は、市区立が12館(3%)、町立が24館(3%)、村立が14館

(7%)であった。(表3.1.1)

学級・講座の総実施件数は46,507件であり、回答のあった公民館1,412館で平均すると、1館あたり32.94件 である。また、学級・講座を実施した公民館1,362館で平均すると1館あたり34.15件となっている。(表3.1.2)

表3.1.1:学級・講座を実施した公民館

図3.1学級・講座を実施した、しないの比較

表3.1.2:学級・講座を実施した公民館の実施総件数と1館当たりの実施件数

−9−

(16)

3.2学級・講座の実施形態と実施回数

学級・講座の実施形態では、主催が33,092件(71%)、共催が8,051件(17%)となっており、受託や委託 は少ない。一つの学級・講座当たりの実施回数は、「8回以上」が17,337件(37%)と最も多く、次いで「1回」

が14,060件(30%)であった。(表3.2.1)

表3.2.1:学級・講座の実施形態と実施回数

図3.2.1学級・講座の実施形態

図3.2.2学級・講座の実施回数

−10−

(17)

3.3分野別実施件数

学級・講座の分野別の実施件数では、「趣味・けいこごと」の分野が最も多く13,794件(30%)、次いで「一 般教養」の10,250件(22%)、「家庭教育・家庭生活」の9,752件(21%)などとなっている。(表3.3.1)

表3.3.1:分野別実施件数

図3.3.1分野別実施件数

−11−

(18)

3.4分野別実施館数

学級・講座の分野別の実施館数では、「家庭教育・家庭生活」が最も多く1,244館(88%)、次いで「趣味・

けいこごと」1,223館(87%)、「一般教養」1,106館(78%)、「現代的課題」817館(58%)、「市民意識」778 館(55%)などとなっている。(表3.4.1)

表3.4.1:分野別実施館数

図3.4.1分野別実施館数

−12−

(19)

3.5家庭教育・家庭生活

「家庭教育・家庭生活」に関する学級・講座を実施した公民館1,244館(88%)について、その学習内容を 見てみると、「料理・食品・食生活」が705館(50%)、「育児・保育・しつけ」が637館(45%)、「ガーデニ

ング・園芸」が409館(29%)、「読書・読み聞かせ」が342館(24%)、「自然観察・天体観測」が306館(22

%)などとなっており、総じて参加体験型の学級・講座が多い。(表3.5.1)

一方、総実施件数で見ると、「育児・保育・しつけ」に関する学級・講座が2,278件と一番多く、全公民館平 均では、一館当たり1.61件、学級・講座を実施している公民館では、一館当たり3.58件となっている。(表3.5.1)

表 3.5.1・家庭教育・家庭生活

図3.5.1家庭教育・家庭生活

−13−

(20)

3.6現代的課題

「現代的課題」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館数817館について、その学習内容を見てみ ると、「同和問題・人権教育」が311館(22%)、「男女共同参画・女性問題」が242館(17%)、「自然保護・

環境問題」213館(15%)、「高齢化・少子化」207館(15%)などとなっている。(表3.6.1)

表3.6.1:現代的課題

図3.6.1現代的課題

−14−

(21)

3.7市民意識

「市民意識」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館数778館について、その学習内容を見てみる と、「郷土の歴史・人物」が466館(33%)、「まちづくり」141館(10%)、「ボランティア・NPO」131館(9%)、

「郷土芸能」113館(8%)などとなっている。(表3.7.1)

表3.7.1:市民意識

図3.7.1市民意識

−15−

(22)

3.8体育・スポーツ

「体育・スポーツ」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館800館について、その学習内容を見て みると、「体操・トレーニング」が305館(22%)、「ニュースポーツ」293館(21%)、「ハイキング・登山」259 館(18%)、「テニス・卓球等球技」239館(17%)などとなっている。(表3.8.1)

表3.8.1:体育・スポーツ

図3.8.1体育・スポーツ

−16−

(23)

3.9指導者

「指導者」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館326館について、その学習内容を見てみると、「各 種指導者リーダー養成」が220館(16%)、「団体育成・運営」が105館(7%)、「各種ボランティア養成」が56 館(4%)などとなっている。(表3.9.1)

表3.9.1:指導者

図3.9.1指導者

−17−

(24)

3.10趣味・けいこごと

「趣味・けいこごと」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館数1,223館について、その学習内容 を見てみると、「工芸・陶芸」が722館(51%)、「美術(絵画・版画等)」が587館(42%)、「華道・茶道・書道」

が582館(41%)、「音楽(演奏・合唱等)」が581館(41%)などとなっている。(表3.10.1)

表3.10.1:趣味・けいこごと

図3.10.1趣味・けいこごと

−18−

(25)

3.11一般教養

「一般教養」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館数1,106館について、その学習内容を見てみ ると、「パソコン教室・IT講習」が816館(58%)、「外国語」が531館(38%)、「文学」が196館(14%)、

「歴史」が159館(11%)などとなっており、この四つで一般教養分野の大部分を占めている。(表3.11.1)

表3.11.1:一般教養

図3.11.1開般教養

−19−

(26)

3.12職業知識・技術

「職業知識・技術」に関する学級・講座の学習内容を実施した公民館数125館について、その学習内容を見 てみると、「コンピュータ技術」が51館(4%)、「農林水産技術」が20館(1%)、「心理学・カウンセリング」

が16館(1%)などとなっている。(表3.12.1)

表3.12.1:職業知識・技術

図3.12.1職業知識・技術

−20−

(27)

3.13その他

「その他」に属する学級。講座を実施した公民館861館について、その学習内容を見てみると、「発表会・作 品展示会」が743館(53%)となっている。(表3.13.1)

表3.13.1:その他

図3.13.1その他

−21−

(28)

第Ⅲ部 事  例

(29)

第4章 学級・講座について

回答のあった1,412館の公民館から、設置者別に市立2館、町立2館、村立2館の・現代的課題、市 民意識、家庭教育、一般教養、指導者養成等に関する学級・講座を行っている公民館6館を抽出し、

事業発足の経緯や事業の運営などについて訪問調査をした。(表4.1.1)

表4.1.1:現地調査対象公民館

−22−

(30)

4.1

たのしく・バソコン・体験教室 (秋田県雄勝町公民館)

4.1.1 事業の概要

(1)ねらいと目的

本事業は、雄勝町公民館小野分館と地域のパソコン技術の教育、

普及を目的としたNPO法人「NPOとぴあ」が協力して実施した パソコン体験教室である。この教室は・完全学校週5日制で休日と なった土曜日を活用し、子どもたちにパソコンの基本的操作方法や その活用方法を習得してもらい、パソコンを利用することの楽しさ やおもしろさを理解してもらうことを目的として実施された。

(2)特色

本事業の特色は次のとおりである。

①公民館および分館とNPO法人との共同による事業であること

②公民館分館の施設をNPO法人に提供することによって実現した事業であること

③市町村の枠を越えた広域的なNPO法人が公民館に関わった事業であること

(3)事業展開

「たのしく・パソコン・体験教室」プログラム

4.1.2 事業発足の経緯

(1)「NPOとびあ」について

事業発足の経緯を説明する前に、本事業に主体的に関わっているNPO法人「NPOとびあ」の 概要について簡単に触れておくことにする。「NPOとびあ」は正式には「秋田県南パソコン支援市 民ネット」といい、秋田県の県南地域を中心に地域の情報化に寄与することを目的に、高齢者、女 性、児童、障害者、求職者等を対象として、パソコンの利活用技術について継続的・総合的に講習

−23−

(31)

や相談等を実施しており、平成14年4月に法人格を取得している。メンバーも広域的なことが特 徴で、雄勝町だけでなく、北隣の湯沢市のほか、雄物ノ岬丁、羽後町など秋田県南部の市町村からの 広域的なメンバーで構成されている。現在、「NPOとぴあ」の事務所は雄勝町公民館小野分館内に ある。

「NPOとぴあ」の前身は、平成13年1月に結成されたパソコンサークル「とぴあ」で、その メンバーを中心にパソコン技術の教育、普及を行う講師団が結成された。ちょうどその頃は全国の 各自治体でIT講習が行われていた時期である。そのための講師の依頼先として、「とぴあ」に注目し たのが雄勝町教育委員会であった。当時、多くの自治体が民間のコンピュータや情報関連の企業に

IT講習の講師を求めたのに対して、雄勝町ではそれを地域のサークルに求めていた。こうしたこ とが、一時的なIT講習に終わらずに、ここで紹介しているような公民館での小学生対象のパソコ ン教室が実現した理由の一つであると思われる。

(2)企画立案の経緯

公民館や教育委員会関係者には、最初の段階では、「とびあ」(当時)と協力して公民館事業を進 めていこうという考えはなかったようである。しかし、雄勝町公民館の職員は、これまでの経験か ら、「地域活動は集まれる場所次第で広がりをもつようになるのではないか」と感じていたらしい。

つまり、それは、有志が自由に集まれる場所があり、そこに集まってこそさまざまなことが生まれ るが、反対に使用場所の時間規則や使用規則に縛られることは彼らの活動を停滞させることになる のではないかというものであった。

こうしたことから、ここで紹介しているパソコンの普及や講師の育成等に関心をもつ「とぴあ」

に自由に集まって活動のできる場所を提供することが最優先ではないかと考えるようになった。ま だ、この時点で公民館事業との結びつけることは考えていなかった。とにかく、「とぴあ」に場所を 提供して彼らのやりたいことを精一杯やってもらうことが第一の目的で、それが仲間づくりや組織

の強化、拡大につながり、さらにはそうした活動が地域の活性化につながるのではないだろうかと 思うようになっていったという。

公民館事業との連携を考え始めたのは、これ以降のことである。町内にある公民館分館で唯一独 立した施設をもつ小野分館の一部を「とぴあ」に提供し、それによって分館の活動を刺激すること ができないかと考えるようになる。具体的には、「とぴあ」の知識や経験、指導力、機材等を提供し てもらい、それを公民館活動に生かせないだろうかというものであった。

その際に、念頭においたことは、雄勝町公民館が毎年かかげる公民館の目標であった。ここ3年 間の目標は次の通りである。

平成12年度 顔の見える公民館活動

平成13年度 「世話」から「自主」そして「支援」のできる公民館活動 平成14年度 「大」から「小」への変革への公民館活動

この中で、平成14年度の目標にある「『大』から『小』への変革」には、大きな組織の支援から 小グループへの支援へという意味や、大人の支援から子どもたちの支援へという意味が込められて

いる。折しも平成14年度から学校週5日制が完全実施されたこともあり、公民館職員の間で「と ぴあ」との連携による公民館活動で地域の子どもたちの学習支援を行えないだろうかという考えに 至った。

平成14年4月から「NPOとぴあ」(同年4月、NPO法人となり「NPOとぴあ」となる)が

−24−

(32)

雄勝町公民館小野分館の一室に事務所を構えるようになると同時に、本事業の構想が一気に具体化 し、同年6月より小野分館との共同で小学生を対象にしたパソコン体験教室を実施することが決定 された。

(3)実施までの工夫

パソコン体験教室の具体的な学習プログラムは、「NPOとぴあ」、雄勝町公民館と同小野分館が 共同して作成した。学習プログラムの作成では、参加した子どもたちが体験や活動を通して楽しく 感じられるような内容となるよう心がけたという。例えば、ハガキや名刺、写真の作成等はその一 例であり、子どもたちからするとパソコン操作を体験することで同時に自作の作品を手にすること

ができる数少ない機会となる。また、家族や学校の先生、友達に披露できるような作品の作成を学 習プログラムに盛り込むことも重要であるという公民館の考え方が反映されている。

さらに、開始後の工夫として、定員以上は場所や機材に余裕があっても申込みは受け付けなかっ たという。これは、受講者一人一人に適切な指導が行き届くためという人数の制限もあるが、定員 のことも考えて申込みをした受講者への配慮でもある。

4.1.3 事業の運営

受講者の募集はチラシを作成し、分館に隣接する小野小学校などの協力を得て行った。体験教室 各回の活動の展開は「NPOとぴあ」が中心に行い、全体的な運営の統括を公民館が行った。

指導する講師と子どもたち 熱心に受講する子どもや親子

4.1.4 成果と課題

(1)本事業の成果

① 子どもたちにとって

参加した子どもたちにとっては、とても楽しくパソコン体験ができ有意義な場となったようであ る。教室の開催日でない日には、参加していない友だちを連れて分館内のパソコンのある教室を訪 れる子どももいたそうである。こうしたことは、内容的な面からいえば、子どもたちが楽しめるよ

うに十分配慮がなされて作成された学習プログラムによるところが大きい。また、情報教育は学校 でも行われているが、本事業では学校ではなく公民館という地域の場で、学校の先生からではなく 地域のプロから指導してもらったり、異年齢の友だちと一緒に、あるいは親といっしょに学習する

−25−

(33)

という普段とは異なった環境であったことも大きく関係していると思われる。

② 地域住民にとって

受講者の募集や活動の展開、公民館だより「ひろば」などでの活動の報告などを通じて、公民館 活動にあまり関心を持たない人も「小野分館では何をやっているのだろう?」と関心を寄せる人が 増えたようである。こうした事業を通じて、地域の子どもたちの活動やNPOの活躍の場が増える

ことは地域の活性化につながっていくものと思われる。

③ 公民館にとって

公民館にとっての第一の成果は、停滞気味であった分館活動が活発になる機会となったことであ る。これまで分館は、地区の定例の会合や行事の後の懇親会等での利用が主であった。しかしなが ら、「NPOとぴあ」の協力により本事業が実現したことは、分館活動を新たに盛り上げたという点 で意味がある。

さらにこの事業を契機として、学童保育としてのパソコン体験や、分館の秋祭りなどが「NPO とぴあ」と共同で実施されたという。「NPOとぴあ」への公民館施設の提供は、分館活動に大きな 影響を与えている。

第二の成果は、公民館活動の新たな方向を模索しながらも追求できた(あるいは追求している)

点である。公的施設の一部をNPOに提供し活動を支援するという事例はあるが、人口が1万人に 満たない町の公民館分館の施設を提供するという例はほとんどない。大きな都市では前例のない実 践に模索しながらも取り組み、公民館とNPOの協力の在り方の一例を示した。

④ 「NPOとぴあ」にとって

「NPOとぴあ」のこれまでの活動は、主に高齢者や障害者を対象にした講習であった。今回、

小学生を対象にした体験教室を実施し、低年齢層の指導内容や方法などで新たな発見があったとい う。雄勝町での体験教室のあと、湯沢市でも子ども向けのパソコン教室を実施することになった。

(2)課題

① 本事業は「NPOとぴあ」に小野分館が施設を提供して実施された。今後もこうした事業を展 開したいが、特定の団体に公共施設を長期的に提供することなどの問題点を整理しておく必要があ る。また、これとの関わりで、分館内に別の団体を誘致し、団体間の相互作用等も期待したい。

② 小野分館のある地区だけにとどめることなく、町全体にパソコン等の学習が広がるようにして いきたい。平成15年度には全町に高速ネットが整備されるというので、それと連動させていくこ

とを期待したい。

4.1.5 おわりに

雄勝町教育委員会、雄勝町公民館、同小野分館、「NPOとぴあ」の方々からお話をお伺いして気 づいたことは、それぞれが個別に求めていた新たな活動の方向が適切に結びついた結果が本事業で あり、また、今の雄勝町の公民館であるということである。それは、偶然によるものではなく、そ れぞれの関係者の先見性と的確な判断によるものではないかと感じた。

(原 義彦)

−26−

(34)

4.2 まちづくり講座 「プロジェクトS」(長野県須坂市公民館)

4.2.1事業の概要

(1)ねらいと目的

全国各地で地方分権に対応した様々なまちづくりが行なわれている。

都市計画制度をはじめ、多くの権限が地方に下ろされ、その地域の特 色を生かしたまちづくりが展開できるようになった。それは、まちと

まちとの競争ともいえる。社会教育を担う公民館が改めて求められる のは、①住民の自発的な学習②人と人との連携を深める場づくり③住 民自治に根ざした地域づくりなどと言えるが、公民館は何をなすべき なのか。

そのような中、須坂市公民館では「公民館の哲学」を語る言葉として次のモットーを掲げた。

〇「須坂学」を学び、誇りを持って未来に伝える「須坂人」の創出

〇 学びから行動と創造

須坂市民がふるさと須坂に関する自然、歴史、文化、景観などを対象とした「須坂学」を学ぶこと によって、須坂市を深く知り、誇りが持て、まちへの愛着を覚える。それがさらなる須坂市の発展に 寄与する原点となる。ゆえに「須坂学」をすすめる。

「プロジェクトS」は、参加者自らが須坂の素晴らしさを学び、知り、再発見しながら、それを背 景や舞台とした物語を作りビデオドラマ制作をする。その過程では、ビデオ制作にかかわる人と人と の交流やそこに住む人たちの心の温かさの大切さ、みんなが力を合わせる尊さなどを体験しながら学 ぶ。さらに、そこで燃やすエネルギーが大きいことから、活気ある須坂のまちおこしを実現する核と なれるグループの育成を目指すものである。

なお、制作する作品は須坂に行きたいと思わせるもので、須高ケーブルテレビをはじめ、CATV ネット局での放映や、新聞などメディアを通して公開し、各種映像コンクールへ出品し、須坂市を対 外的に広くPRする。

また、「プロジェクトS」のその後は、視聴覚教材や須坂市のPR用CMなどを制作するボランティ ア団体に発展させることを期待している

(2)特色

①「須坂学」を学び、受講者の議論から須坂を 見直し、まちを愛する須坂人の育成。

②撮影及び編集技術、シナリオ作成習得。

(実習含む)

③手づくりのシナリオによるビデオドラマの 制作。

④市民へ成果の発表(ケーブルテレビ放映、

公共施設での放映)

⑤映像ボランティアとしての活動 シナリオの検討

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(35)

(3)事業展開

講座開催期間 平成11年度〜平成14年度の4年間

撮影風景1 撮影風景2

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(36)

4.2.2 事業発足の経偉

(1)企画立案の経緯

平成10年度に公民館内で年間事業の見直しを行なった結果・シンポジウムや講座を受けても学 びっぱなしになりがちである。学びから行動して創造する人、自立した人間へとつなげるにはどんな 事業があるか、学びを生かして地域の中で何か出来ないか、映画やビデオを作ったらという話になる。

ドラマ制作なら学んだことを基に、実践し作品が残せる。受講者が映像制作ボランティアになれば、

須坂のPR番組作りなどを通じて活動の継続も出来る。テーマを「須坂を学んで誇りの持てるまちづ くり」にして、ビデオドラマ制作となった。

(2)実施までの工夫

① 企画立案に至るまでには、まず、この事業案について公民館内部で職員から長期間にわたる 事業であるなど、危倶されるいくつかの問題から実現不可能という意見が相次ぎ、職員間の理解 を得るため粘り強い説得の期間があった。

② 講師交渉で計画が無謀であると言われたが、何度も説得の結果、引き受けていただいた。そ して、素人ばかりで実施しようという案が示された。

③ 公民館でも初めての経験であり、先進地へ行き、方法や技術的なことを学んだ。

④ ドラマ制作には長い期間かかるので、撮影にあたっては家庭への影響を考慮し、月2〜3回 程度、日曜日と決め、連休や夏休み期間を外すという、撮影日決定のルールを作った。

⑤ この事業の目的を、市民、スタッフ(受講生)に共通理解していただけるよう様々な機会に 話をした。

4.2.3 事業の運営

(1)情報提供

全市民対象にチラシ配布、ポスター掲示、公民館だよりで度々紹介、一般新聞に記事掲載、地元ケ ーブルテレビで出演者、スタッフ募集などのCM放映、NHKで紹介。

(2)ボランティアや他機関との連携

事業の実施にあたっては、講師である映像作家、カメラ技術者にも、薄謝で年間を通して74回 に及ぶ講座の指導をお願いしたが、基本的にはボランティアの協力で運営する。事業予算は、年間30 万円(講師謝礼金を含む)である。

その他、ドラマの場面によって多数の市民がエキストラとして出演したほか、演劇サークル「劇団 宝虫」はたびたび習作ドラマに出演協力してくれ、須坂市総合情報センターが、撮影部門で全面的な 協力支援をしてくれた。

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4.2.4 成果と課題

(1)成果

①須坂学を学び、議論することで受講者自身が須坂を見直し、誇りを持つことが出来た。

②受動型から能動型へ意識転換が進んでいる。

③目的意識や協働の意義の重要性を体感した。(苦労や楽しさを通して)

(2)課題

①課題への気付きと解決方法を主体的に考え行動する方向へ移行。

②ボランティアとして継続性と協調性の維持。

(3)追記

須坂市は長野県の北東部に位置する。上信越高原国立公園でもある険しい山々と、まちを流れる幾 筋もの川、市の南側を占めるかのように、雄大な千曲川が滑々と流れる。自然風景がすべて整ってい る美しいまちである。長野駅から長野電鉄に乗って15分で須坂駅に着いた。

昭和29年4月に市制施行。人口54,000人余り。工業、農業、観光の町である。須坂市の歴史は古い。

今から12,000年前の縄文時代草創期ごろから人が住みはじめたという。鎌倉、室町時代にできた街道 の交差点あたりに中心市街地が形成されたと考えられている。歴史を語る古い街道。まちを歩くとそ の面影を濃厚に見ることができる。

この講座の初期のころ、テーマを「須坂の好きなところ、嫌いなところ」と題して受講生で話し合 った。その中で、須坂市民の気質や意識について「素晴らしい自然に恵まれている」「特産物がたくさ んある」などの環境面ではよい点がいくつも挙がったが、人に対しては「長く付き合うといい人、親 切な人が多い」「義理堅い」というような長所を挙げる声は少数であった。それに反して、「協調性に 乏しい」「まちづくりで全国的に有名になった隣の小布施町にコンプレックスがある」「閉鎖的で新し

い試みへの実行につながりにくい」というような「閉鎖的」という否定的な意見が目立った。

こうしたまちの様々な現状をふまえて、公民館では、地域課題・まちづくり講座「プロジェクト S」を企画し立ち上げた。事業への理解を求めて市民にことあるごとにアピールする。長期にわたる 膨大な作業である。この講座は、仕掛人であり、コーディネーターである2人の公民館職員の存在を ぬきにして語ることは出来ない。60人余りの受講生とともにビデオドラマの完成に大きな夢をかけて いる。「公民館は地域の拠り所、生涯学習の拠点であるから、そのための何かを考え出し仕掛けていく のが公民館の任務であり、使命です」と淡々と、しかし仕事にかける並々ならない情熱をかい間見せ ながら担当の職員は話した。

(杉田登志子)

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4.3合宿通学(福島県北会津村公民館)会津自然の家を活用した通学合宿

4.3.1北会津村の概要

北会津村は、会津若松市と阿賀野川を挟んで対岸 に位置する一郡一村の農村であり、この阿賀野川と 宮川の扇状地に開ける面積28.18平方キロメートル の平地帯である。

人口7,667人、1,787世帯(H13.4.1現在)で、若 年層の減少が激しく、高齢化が進んでいる。各行政 区にホールや集会場はあるが、公民館の分館はない。

産業は、果実を中心とした農業が中心である。

4.3.2 事業の概要

村では、学社連携・融合事業の一環として本事業「会津自然の家を活用した合宿通学」

を平成12年度から実施している。これは、学校教育と社会教育の接点を見いだして融合 を図ろうとするものである。

(1)事業の目的

①荒舘小学校・川南小学校・両校合同の共同生活を通して交流を深めることと、我慢す る心や、自立する生活態度を育成する。

②様々な自然体験を通じて、学校内では体験できない自然の事象に触れ、自然に対する 興味関心と豊かな心情を育成する。

③家族と離れて生活し、学校に通うことで、家庭の温かさに気づき、家族を思いやる気 持ちを育てる。

(2)事業の内容

①主  催  北会津公民館

②協  力  (財)福島県会津自然の家、荒舘小学校、川南小学校

③開催日程  平成13年10月30日(火)〜11月2日(金)3泊4日

④宿泊場所  (財)福島県会津自然の家

⑤参加対象  荒舘小学校、川南小学校 小学6年生全員

⑥指導者   地域のボランティア(公民館で養成したボランティア、高校生ボランテ ィア)、北会津村公民館職員、(財)福島県会津自然の家職員

出会いのつどい 自然の家を出発

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(3)事業の展開

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4.3.3 事業発足の経緯

(1)企画立案の背景

平成11年度に学社連携・融合フロンティアモデル事業認可を受けたこともあって、ま ず、平成11年度に会津自然の家側から本事業「合宿通学」の提案があった。

本事業で組織した「北会津学社連携・融合実施委員会」の第2回委員会にて、「合宿通 学」について、事業内容、募集方法、緊急連絡方法等を協議し、学校及びPTAからの要 望を聞き入れながら、平成12年度に実施することが決まった。しかし、学校行事予定が 正式に決まっていなかったのと、自然の家の空き状況が把握できなかったため実施時期は 未定となり、当初は予算要望をするに留まった。

なお、委員構成は次のとおりであった(◎は委員長)。

◎教育次長、公民館長、北会津中学校長、荒舘小学校教頭、荒舘小学校教務主任、川南小 学校教頭、川南小学校教務主任、北会津中学校教頭、北会津中学校教務主任、荒舘小学校 父母と教師の会会長、川南小学校父母と教師の会会長、北会津中学校父母と教師の会会長

(2)事業の企画

事業の実施が決まり、予算が確保できたことから、12年度に入りすぐに各学校行事の 予定と自然の家の空き状況を確認し、正式に日程を決めた。

実施が近づいた時期に、直接自然の家に出向き、活動プログラムについて協議した。あ わせて、時間帯や講師、ボランティアについても検討した。初年度は自然の家に紹介され た会津大学短期大学部の大学生をボランティアに依頼したが、14年度より、公民館が養 成したボランティアを活用するという観点から、地域ボランティアや高校生ボランティア

を公募して4名を集めた。

事業の企画についても、初年度は自然の家から全面的に指導助言を受け、13年度あた りからは、公民館の主催事業として、公民館主体で企画するようになった。

4.3.4 事業発足の運営について

当初予算の段階で、「職員の旅費」「ボランティアの特別旅費」「講師、ボランティアの 報償費」「需用費」「バス借り上げ料」など計17万円程度計上した。

事業が実際に動き出したのは、5月であり、会津自然の家と両小学校との日程調整をし、

合宿通学の日程を決めた。合宿通学1ヶ月前までに活動プログラム(案)を作成し、自然 の家に出向いて、活動内容及び時間配分について協議した。その後、公民館と自然の家で 手分けして事業実施の諸準備に取りかかった。

(1)情報の提供

活動プログラム(案)の枠組みが決定したところで、両小学校の教頭・教務主任・学級 担任に公民館に集まってもらい、実施にあたっての留意点、実施期間中の連絡方法の協議、

活動プログラム(案)と参加費の説明を行い、「参加募集のチラシ」を小学6年生全員に 配布してもらうように依頼した。この協議において、学級担任からの学校や児童に関する 情報は、後の事業展開に大いに参考になった。

−33−

(41)

(2)ボランティアや他機関との連携

事業の開始当初は、会津大学短期大学部の大学生ボランティアに協力してもらったが、14 年度より地域のボランティアを公募した。これは、地域の人材活用と、ボランティアに活 動の機会を与えるという観点から始めたものである。14年度の公募による4名のボラン ティアは、45歳の男性1名、30歳の女性1名、女子高校生のボランティア2名の構成で

あった。自然の家と両小学校からは、全面的な協力を得た。児童の自主性を育てるという 観点から、親は原則として自然の家には来ないことにした。

4.3.5 成果と課題

(1)学校の理解と協力

両小学校には、事業の趣旨をよく理解してもらい、実施期間中は、学級担任や校長が視 察に来た。参加人数は小学校6年生のほとんどの児童が参加、特に女子は100%参加であ った。事前の協議で、両小学校の学級担任と情報交換ができたのも大きな成果であった。

(2)児童の交流と成長

本村には、中学校が1校しかないが、その前段階として両小学校の6年生が顔を合わせ、

3泊4日団体生活を過ごしたことは大きな成果である。参加児童に一体感が生まれ、新た な友情の芽生えがあった。

また、児童の中には、その後中学生になってボランティア活動に参加するものも見られ る。まだ積極的に公民館に来るという段階ではないが、呼びかければ図書室の利用などに 来館する児童も見られる。

公民館職員が、村内すべての小学6年生の顔を覚えているということは、後に児童が青 年になった時、公民館活動への参加に何かしらのつながりをもたらすと考えられる。

(3)保護者の信頼

本事業は学校行事でないため、参加は必須ではないが、参加者が100%近いということ は、事業の趣旨や内容が保護者にもよく理解され、各家庭に周知されているためと考えら れる。また、3年間の継続実施の中で、保護者からの公民館事業に対する信頼も得られた と考えられる。

(4)課題

活動プログラムの中に児童の自主的な活動を取り入れたり、児童がボランティア指導者 とともに活動する場面などを積極的に取り入れていくと、より充実した体験プログラムと なるであろう。

(角替 弘志)

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(42)

4.4 よのうづ海っ子クラブ(大分県米水津公民館)

4.4.1 米水津村の概要

大分県の南東部、豊後水道に面した一帯は日豊海 岸国定公園に指定されており、美しいリアス式海岸 がいくつもの天然の良港を生み出している。南海部 郡米水津村も古くから漁業が盛んで、近年ではブリ

・ヒラメ・タイ等の養殖や干物生産等による収入が 増える一方、過疎化と高齢化が進んでおり、平成17 年3月には佐伯市と南海部郡内全町村の合併につい て検討が進められている人口2,589人の漁村である。

小学校が2校で、中学校が1校。教育委員会の組織は生涯学習課が社会教育と学校教育 を併せて所管している。また、宿泊設備もある村民センターが公民館機能を果たしている など、学校教育と社会教育、民間と行政、首長部局と教育委員会など、関係機関や団体が

日常的に連携を取りやすい環境にあるのは、小さな自治体ならではの特徴と言える。

4.4.2 事業の概要

(1)目的

地域の自然や産業・文化・歴史など特徴的な事柄について体験的に学習することによ り、子どもたちに米水津村についての理解を深めるとともに、郷土に誇りと愛着を持たせ ることを目的として、平成5年度から始まった。

(2)事業の特色

完全学校週5日制に伴う土曜休業日の対応事業として、公民館が主催して行うプログラ ムと、学校の総合的な学習の時間として、学校と教育委員会が連携して行うプログラム「学 社共催事業」を合わせて一つの事業にしており、年間13回の活動内容で構成されている が、募集はそのつど行われている。(右表参照)

また、対象者は概ね小学校中・高学年から中学生までだが、総合的な学習の時間として 実施する際には、学年は特定され、学校において事前・事後の学習が行われている。

なお、公民館主体で行う場合は、保護者に参加を呼びかけることも多く、親子のふれあ いや世代間交流などのねらいが加わっている。

水産加工体験活動1(串刺し) 水産加工体験活動2(あじの開き)

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(3)事業の展開

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4.4.3 事業発足の経緯

(1)企画立案の背景

本事業は平成5年度から開始されたが、平成8年度からは国の補助を受けて、学校週5 日制の完全実施を見越した事業に取り組んできている。したがって、当初の目的は、学校 週5日制に伴う地域社会の「受け皿作り」という点が主たる目的であった。村内には土曜

日が休日でない職場が多いため、土曜休業日に保護者が積極的に子どもとかかわれない家 庭も多い。さらに、子どもたちに多様な活動を促進または保障する機会が十分でないため、

スポーツ少年団(少年野球・剣道・バレーボール)に代表される社会体育などソフト事業 による条件整備が志向されてきた。このような背景のもと、本事業の企画に際しては、学 校の総合的な学習の時間の支援と社会教育の少年対象事業といった二つの側面が重視され てきた。

(2)事業の企画

全体計画については、毎年度当初に「学社連携会議」(教育委員会から4名、各学校か ら校長1名・公民館担当1名)を開き、公民館が立てた事業の計画案をもとに昨年度の反 省を踏まえながら検討している。

学社共催事業については、個別の事業を実施する前に生涯学習課の担当者と両小学校の 校長・学年担任を交えて、実施に向けた具体的な協議とプログラムの修正や打ち合わせを 行っている。中学校については、授業日数等の関係で組み合わせが困難なため連携に向け た協議はまだ行っていない。

なお、公民館単独で行う事業については、生涯学習課でも検討し実施している。

4.4.4 事業の運営について

事業全体の計画及び予算化、関連機関・団体や講師等への依頼や連絡調整、さらには広 報と参加者募集等は主として公民館が行うが、特に学社共催事業における児童への直接指 導や安全面の管理監督等は学校側が行うこととしている。

(1)情報の提供

本事業の広報と参加者募集について、以前は年度当初に一括して行っていたが、スポー ツ少年団の行事との錯綜を避けるため、現在は個別の活動ごとに募集している。基本的に は、公民館で募集チラシ等を作成し、学校を通じて参加者を募るスタイルであるが、この 他に村の広報紙やケーブルテレビ等も使っている。

また、参加児童から寄せられた感想文などからなる活動の実施報告書を作成し、事業の ふりかえり資料とするとともに、青少年育成村民会議や関係機関等に配布している。

沖黒島探検少年の集い(カワウの巣の観察) ふるさと体験活動(箕の体験)

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(2)ボランティアや他機関との連携

個別の活動ごとに、関係する機関や団体に対し連携協力を要請している。村民のボラン ティア活動への意欲はやや低調だが、教育や学校に対する支援意識は強い。このため、特 に村内の人材等の活用を図るよう心がけている。(平成14年度の連携機関:各小学校・

水産加工組合・瀬渡し組合・地元自治会・役場内関係課等)

特に、小学校については本事業を長く続けているので、公民館職員と学校教職員が顔見 知りとなっており、協力関係を結びやすい。中学校とはまだ、連携を取りにくいが文化祭 などでの連携(出品協力など)は行っている。

4.4.5 成果と課題

公民館の事業担当の渡辺公広氏は「年を重ねるごとに事業内容が洗練され、小学校3年 生から地元の自然や産業・文化等について体系的に知る機会を提供することができてき た。」と語る。

都市部に比べると、「職と住の分離」がさほど進んではいないように見える本村でも、

子どもたちには自分の地域について改めて学ぶ機会を与えることが必要である。何事につ けても、悪い点は自然と目に付くが、良い点は取りだして見せてもらわないと見えないこ

とが多いからである。

この事業が企画された当初は、子どもたちが楽しく参加できる内容が多かったという。

ところが、子どもたちがさまざまな体験をすることの重要性が主催者にも保護者にも認識 されていく中で、体験の質が問われ出した。地域に生きる「先輩」として、子どもたちに 伝えたいことや守り続けたいことが、地域の自然や歴史。産業には山ほどある。いわば「地 域課題」であり、住民にとっては切実な現実的課題である。

これらの課題解決には、実物や直接体験を通して学習する実践的な手法が効果的である。

しかし、現実には、大人たちが学ばせたいことと、子どもたちが取り組みたいことに少な からぬ相違を生じることがある。従来なら、「3割社会教育」の限界として諦めてきたと

ころかもしれないが、総合的な学習の時間が突破口となった。より多くの子どもたちの参 加が望まれる活動については、小学校と協力して実践する仕組みができあがったのである。

今後は、本事業にかかわる住民ボランティアを拡大し、地域の教育力を高めるための人 的基盤を整備することが重要な課題である。このことは、市町村合併の理念である行政の 効率化では対応できない、地域の自己責任力を高めることに他ならない。米水津村公民館 の新たな存在意義が問われるであろう。

(鴻上 哲也)

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4.5 十日町青年学級(新潟県十日町市公民館)

4.5.1事業の概要

(1)ねらいと目的

この、青年学級のねらい・目的については、以下 のようになっている。

「十日町圏域に住所のある、30歳までの勤労青年 が対象。六つのコース学習で基礎的、専門的な技術 知識を身につけ、全体活動で仲間づくり、地域参加、

自己の確立を考える。全体学習、コース学習を通し て、協調性を持ちながら物事に積極的に取り組んで いく次代を担う有為な人材を養成していく。」

(2)特色

この青年学級の特色については、以下のようになっている。

・勤労青年を対象とした公民館事業が全国的に減少する中で55年目を迎える。

・「焼物」「美術」「手話」「英会話」「パソコン」「シネマ&ビジュアル」の六つのコー スに分かれて、毎週木曜日の夜に活動。

・参加している青年たちで自治会を組織し、青年主体の活動を行っている。

・毎月、青年たちの手作り広報誌も発行している。

・公民館に「青年学級自治会室」として専用の部屋を設置。

「青年学級自治会室」 青年学級自治会室の部屋の中

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