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ゆみから生まれた「3つの手立て」

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Academic year: 2021

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ゆみから生まれた「3つの手立て」

著者 ESD調査研究協議会, 成田,喜一郎

発行年 2021‑03

URL http://hdl.handle.net/2309/166886

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刊行によせて

ESD で未来の学びを創造する

所沢市 ESD 調査研究協議会 委員長 所沢市立西富小学校長 佐藤 佳岳

私が、ESD(Education for Sustainable Development)と出会ったのは、2010 年 5 月です。東京学芸大学教授(当時)の成田喜一郎先生との出会いもその時です。私自 身も大学の学部生の頃は、「環境教育」や「自然保護」などに興味があり、小学校の教 諭になってからも総合的な学習の時間では、「環境教育」を中心に教育課程を考え、子 供達と日々過ごしていました。その頃は、まだまだ総合的な学習の時間も歩き始めた ばかりで、今よりも多くの時間数があり学習を進めていました。「他者への発信」「児 童の行動変容」などがキーワードになり、子供達と日々、頭を悩ませながらも楽しく 学習を進めていました。しかしながら、当時は、ESD という意識は全くありませんで した。もちろん、ESD という言葉はなかったのですが。それでも自分なりに「つなが り」や「関係」、そして「あなたならどうする、どうしたい」という意識は大切にした いと感じていました。いつも子供達へ「近い将来、今のままでいいの?」と問い続け ました。思えば、出会うべきして出会ったのかもしれませんが、縁あって成田先生と 出会い、ESD 研究協議会と出会い、今まで自分が実践してきたことは、間違っていな かったということに確信がもてました。あれからもう 10 年を超える歳月が経ちました。

当然ながら、ESD ということとはどんなことなのか?成田先生のおっしゃる「本質的 な問い」とはどんなことなのか?全然理解できなかった自分がいました。もちろん今 でもすっきりとしていません、まだモヤモヤは続いていますが。この本を手に取った 皆さんは、いかがですか?ESD ってどんなこと?「つながりへの気づき」「永続的な問 い」「深いふりかえり」とは?と感じたら、どこの章からでもどこのページからでも気 になるページをめくっていただきたいと思います。どのページにも所沢市 ESD 研究協 議会(通称:所沢 ESD ゼミ)が熱意をもって育てたたくさんの「果実」が実っていま す。そして、そのひとつひとつから「新しい種子」が生まれ皆さんと一緒に今度は育 てることのできる新しい学びが創造されることでしょう。10 年を超える年月でこの所 沢 ESD ゼミには、多くの管理職、教諭、そして指導主事が関わってきました。その個 性ある集団を学校法人自由学園 副学園長 成田喜一郎先生が束ねてくださいました。

私達が、貫いてきた ESD は、日々の実践です。日々の授業です。ですから、誰でも実 践ができます。もしかしたら今、実践している授業が実は、もう ESD である可能性も あります。未来の宝である子供達と一緒にそして、私達所沢市 ESD 研究協議会のメン バーと一緒に ESD で「未来の学びを創造」してみませんか。

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刊行によせて

これまでを問い直し、この先を見通すための「記録」へ

所沢市ESD調査研究協議会の11年間

修:指導・助言者から並進者へ 成田喜一郎

(ホリスティック教育/ケア学・越境する教育学)

2010(平成22)年528日、わたくしは、所沢市立教育センターで「ESD Education for

Sustainable Development とは何か―これからの教育のあり方と学びの質を変える―」と題する講演

を行いました。この日から所沢市ESD調査研究協議会(以下、所沢市ESDゼミと呼ばせてくださ い)が始まりました。今、本稿を書いている2021226日現在、所沢ESDゼミは、3,927

10年と8か月29日)の「時」を過ごしてきたことになります。わたくしは、その「時」の記憶を

Web Ethnography 所沢市「ESD学びの時間(授業)」づくりへの道」という記録に残し続けてき

ました。これは、当初、ESDゼミの指導・助言者として招かれ、並び進みながら「並進者」に変わっ てゆくわたくしのライフヒストリーそのものであると言っても過言ではありません。

しかし、本書は、指導・助言者や並進者としてのわたくしのヒストリーではなく、所沢ESDゼミの ヒストリーがもたらした具体的な「果実」と明日に芽生えるだろう「種」の記録です。本書に収めら れた「実践記録」と「理論的な意味づけ」は、すべてESDゼミのメンバーの手によるものです。

そのESDゼミのメンバーによる「実践記録」と「理論的な意味づけ」を拝読して、以下、具体的な

「果実」と、明日をひらく「種」を「問いのかたち」で明らかにさせていただきたいと思います。

⑴「果実(fruit」は何か?

所沢市ESDゼミでは、10年にわたって「鳥の眼」で描くホールスクールアプローチではなく、一 実践者がESDへつながる「学びの時間(授業)」をいかに改善してゆくのか、というどこにでもある 日々の「問い」のもと、「虫の眼」で子どもたちと実践者の「学びの時間(授業)」研究を積み重ねて きました。「時」を重ねた実りは、ユネスコスクールはもちろんすべての学校(高等教育機関を含 む)、否、地域における市民活動や行政・企業におけるESD/SDGs2030とその先にある「持続可能な 学び」に援用されうるだろう3つの「手立て」というかたちの「果実」に結実しました。

その「果実」としての「手立て」は、①「つながりへの気づき(holistic approach、②「永続的 な問い(essential questions、③「深いふりかえり(reflection & contemplation」の3つです。

本書に掲載された「実践記録」には、その3つの「手立て」でデザイン/リデザインされ、実践さ れた「学びの時間」の意味が記録されています。本書をお読みになる方々は、ご自分の現場でその

「手立て」をいかに援用できるか、「問い」を愛し抱えながら、読み進めていただければ幸いです。

いかなる「つながりへの気づき」がもたらされた/されるのか?

いったい「永続的な問い」とは何か、いかなる意味があった/あるのか?

単なる付け足しではなく、「学び」としての「深いふりかえり」がなされた/なされるのか?

これらの「手立て」をめぐる「問い」に応答してゆくには、わたくしたち自らが学習者とともに、

否、学習者として「主体的・対話的で深い学び」を続けてゆく必要があるのではないでしょうか。

その意味で、本書には「正解」や「最適解」はありません。本書にある「実践記録」や「理論的な 意味づけ」でさえも、仮説の検証結果ではなく、仮説の生成過程の一コマにすぎません。

そして、もう一つの「果実」、否、所沢市ESDゼミにつながりかかわった人それぞれの「内面」に 実りつつある「果実」があります。

(6)

それは、学習者の「変容/主体変様」を読み解きつつ、実践者自身の「変容・主体変様」に気づく 場面があったことです。本書のすべてに実践者自身の「変容/主体変様」が言語化されている訳では ありませんが、11年の歳月を並び進んできたわたくしの「記憶」と「記録」には残されています。

例えば、「深いふりかえり」した時、「今まで書けなかったあの子が書けたんです!見てください」

とまさに「ESD for ALL/誰一人取り残さない」を実感する場面に遭遇した実践者がいたこと、ま た、実践者が校種をこえて自他の実践に触れる中で、所沢のESD実践に通底する理論的な意味を読み 解き自らの言葉で語るまでになられたこと、初めてこのESDゼミに入り、なおかつコロナ的状況のも とでESDをめぐる「問い」に向き合い、悶々としながらも実践していった実践者がいたこと、かつて は一実践者であり今は校長や教頭であり、コロナ的状況の中で多忙極まりない管理職自らがESD実践 を行っていったこと、そして、たまたま職務として担当することになった歴代の指導主事の方が、

ESDにつながる「学びの時間(授業)」がデザインされ実践されてゆくプロセスに触れて「変容/主 体変様」を遂げてゆく場面を見てきました。わたくし自身も指導・助言者としての立ち位置から、

ESDゼミのメンバーと並び進む「並進者」に「変容/主体変様」してきました。いずれも単に表面的 一時的な思考や行動の「変容」などではなく、内面の深いところにおいて「学習観」「教育観」「学習 者観」「教師観」「学習者と教師との関係性観」「評価観」など「観」が揺さぶられる「主体変様」が引 き起こされていったのではないかと思われます。この「果実」は、なかなか言語化し目視することは 困難ですが、本書の「実践記録」の行間から観想/観照していただければ幸いです。

⑵「種(seeds)」は何か

所沢市ESDゼミのもたらした「果実」にはいくつかの「種」があります。それも明日に芽を出し、

やがて花ひらき、新たな「果実」をもたらす可能性(question)があります。並進者として見出した さらなる可能性を「問いのかたち」にしてみたいと思います。

これからも「問い」を愛し続けられるか?【探Q・愛Q・レスQの日々】

学習者と共にねらいを「問いのかたち」に翻訳していけるか?【可能性として「問い」へ】

これまでの「観」を問い直しその先を見通せるか?【学習観・教育観、そして評価観を!】

④「啐啄同時」と逆「啐啄同時」の可能性に気づけるか?【殻の中の自分、外から突く学習者】

⑤「理解」に多様な側面があることに気づけるか?【解釈する意味、違和感、自己認識すらも】

深いリフレクションを踏まえた「実践記録」を残せるか?【学びの証、日々の実践記録を!】

これらの「問い」のすべてに今すぐ応答する必要はありません。日々の実践の中で学習者とあなた の学びの文脈の中で出会う「問い」への応答を試みていきませんか。

⑶ 読者の方々へのお願い

本書の「実践記録」や「理論的な意味づけ」をお書きになった文章は、その実践者の今ある「観」

に基づき記述されています。したがって、書きっぷりや用語の使い方を揃えることはしていません。

読者の方々は、ここに記述されたそれぞれの「実践記録」や「理論的な意味づけ」自体、「学びの対 象」としての「対話」をもとに、「自己と対話」し、さらに身の回りにおられる方々(あるいは本書の 執筆者)など「他者との対話」をなさっていっていただけるとありがたいです。そして、「時」を隔て て、現在・過去・未来という「時間との対話」もなさっていっていただけること、祈念いたしており ます。

ESDゼミのみなさん、11年間、ほんとうにお疲れ様でした。ありがとうございました。

2021(令和3)年37

学校法人自由学園 副学園長/最高学部 特任教授

(元 東京学芸大学教職大学院 教授)

(7)

はじめに

所沢市立教育センター 所長 長谷川 陽子

この ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会は、本市が今日的な教育課題と して捉え、平成 22 年に委託したのが始まりでした。その後、委託を継続し、今年度 11 年目 となりました。この「¿ESD で未来への学びを作る

?

」は、これまでの調査研究の成果報告書 となります。今後、多くの皆様にご活用いただければと思います。

ESD とは、Education for Sustainable Development の略で、「持続可能な開発のための教 育」と訳されます。新学習指導要領にも、「一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能 性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働しな がら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となる ことができるようにする。(前文から抜粋)とあり、これに基づき、各学校では、持続可能 な社会を創造し続けるための価値観や行動を生み出す様々教育活動を行っています。

本研究では、ESD(持続可能な開発のための教育)の具体的な取組や概念について調査・

研究し、それに基づいて授業研究を進めてきました。研究の中心となる 3 つのキーワード

「つながりへの気づき」「永続的な問い」「深いふりかえり」を私なりに捉えてみました。

「つながりへの気づき」とは、子ども達が学ぶ全てのモノ・コトがつながりあう可能性を 秘めているという前提に立ち、バラバラになりがちだったそれらがつながりあうことに気づ くことを促す視点だという。

「永続的な問い」とは、持続可能な開発のための価値観を変革したり、既存の変革を促し たりする問いであると同時に現在および将来へ渡って「行動」に結び付く問いのことである。

具体的には、「なぜ森は大切にされなければならないのか?」ではなく、教育者側に社会的 価値観が含まない「森は、大切にされるべきなのか?」ではないかという。

「深いふりかえり」とは、自分自身の考えや思いを自覚・再編成するために表現されたも のであり、「これからどうするべきか」という“未来への視点”や「そもそも必要なことな のか」という“過去への視点”を生み出すものだという。

私たちは、この 1 年余り、コロナウィルス感染症拡大の中で、改めて、この“未来への視 点”や“過去への視点”で物事を捉え、持続可能な社会にするには、どうするべきかと考え るようになりました。今、こうした状況だからこそ、持続可能な社会の創り手を育成するた めに、本研究の 3 つのキーワードの概念を自分なりに捉え、授業の中だけでなく、学校生活 全体の中で、これならできるということから実践してみてはいかがでしょうか。

最後になりますが、ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会において研究を 続けてこられた研究員の皆様のご努力に敬意を表しますと共にご支援くださいました各学 校の校長先生をはじめ教職員の皆様にお礼を申し上げます。

また、この 11 年間、ご指導いただきました学校法人自由学園 副学園長(元東京学芸大 学教職大学院教授) 成田喜一郎様に心から感謝申し上げます。

所沢市教育センター(2019)「ESD のすゝめ」平成 30 年 3 月 ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会

本誌 第 3 章 ESD 理論編 「ESD とは何か ~所沢 ESD が 10 年間積み上げてきたもの~」(所沢市立宮前小学校 木下智実)

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はじめに

所沢市立教育センター 所長 長谷川 陽子

この ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会は、本市が今日的な教育課題と して捉え、平成 22 年に委託したのが始まりでした。その後、委託を継続し、今年度 11 年目 となりました。この「¿ESD で未来への学びを作る

?

」は、これまでの調査研究の成果報告書 となります。今後、多くの皆様にご活用いただければと思います。

ESD とは、Education for Sustainable Development の略で、「持続可能な開発のための教 育」と訳されます。新学習指導要領にも、「一人一人の児童(生徒)が、自分のよさや可能 性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働しな がら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となる ことができるようにする。(前文から抜粋)とあり、これに基づき、各学校では、持続可能 な社会を創造し続けるための価値観や行動を生み出す様々教育活動を行っています。

本研究では、ESD(持続可能な開発のための教育)の具体的な取組や概念について調査・

研究し、それに基づいて授業研究を進めてきました。研究の中心となる 3 つのキーワード

「つながりへの気づき」「永続的な問い」「深いふりかえり」を私なりに捉えてみました。

「つながりへの気づき」とは、子ども達が学ぶ全てのモノ・コトがつながりあう可能性を 秘めているという前提に立ち、バラバラになりがちだったそれらがつながりあうことに気づ くことを促す視点だという。

「永続的な問い」とは、持続可能な開発のための価値観を変革したり、既存の変革を促し たりする問いであると同時に現在および将来へ渡って「行動」に結び付く問いのことである。

具体的には、「なぜ森は大切にされなければならないのか?」ではなく、教育者側に社会的 価値観が含まない「森は、大切にされるべきなのか?」ではないかという。

「深いふりかえり」とは、自分自身の考えや思いを自覚・再編成するために表現されたも のであり、「これからどうするべきか」という“未来への視点”や「そもそも必要なことな のか」という“過去への視点”を生み出すものだという。

私たちは、この 1 年余り、コロナウィルス感染症拡大の中で、改めて、この“未来への視 点”や“過去への視点”で物事を捉え、持続可能な社会にするには、どうするべきかと考え るようになりました。今、こうした状況だからこそ、持続可能な社会の創り手を育成するた めに、本研究の 3 つのキーワードの概念を自分なりに捉え、授業の中だけでなく、学校生活 全体の中で、これならできるということから実践してみてはいかがでしょうか。

最後になりますが、ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会において研究を 続けてこられた研究員の皆様のご努力に敬意を表しますと共にご支援くださいました各学 校の校長先生をはじめ教職員の皆様にお礼を申し上げます。

また、この 11 年間、ご指導いただきました学校法人自由学園 副学園長(元東京学芸大 学教職大学院教授) 成田喜一郎様に心から感謝申し上げます。

所沢市教育センター(2019)「ESD のすゝめ」平成 30 年 3 月 ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会

本誌 第 3 章 ESD 理論編 「ESD とは何か ~所沢 ESD が 10 年間積み上げてきたもの~」(所沢市立宮前小学校 木下智実)

表紙絵を描いた生徒の思い

これは地球を「ピース(平和)」で包み込める ような明るい世界をイメージして描きまし た。手で星形を作るのが1人ではできないの と同じで、持続可能な社会も1人では作れな いという意味を込めました。

生き物が共生できる多くの植物、きれいな空 気、きれいな水のある環境。住むところは衛 生的で、病院、学校も整備されている。すべ ての人が笑顔で、安心して暮らすことのでき る地球。そんな地球をつくり、次の世代に手 渡していきたい。そんな気持ちを絵に表現し ました。

花が生きていくために必要な「水」を、私たちが 環境を変えていくために必要な「協力」や「努力」

を、表現しました。それらを与えることによって 1つの花が「いつまでも光り輝いて欲しい」とい う意味を1番に込めました。枯れた花々は私たち の環境への意識が足りず、人々の協力が十分でな いことを表しています。そして花は花言葉が「平 和」である、デイジー、宝石は石言葉が「幸福」

であるペリドットをイメージしました。花びらの カラフルな色は、SDGsの目標カラーであり、1 7枚の花びらが1枚も落ちることなくしっかり と根を張って欲しいという想いを込めました。

持続可能な社会の実現のためには、「海に ごみを捨てない」「CO₂や有毒ガスを排出 しない」「大規模な焼畑農業をしない」 この3つが思い浮かんだのでこのように 描きました。また、「持続可能」と聞いて、

SDGsも思い浮かび、そのうちの「貧困を

(9)

第1章

ESD 調査研究協議会 これまでの実践記録

はじめに  

ESD調査研究協議会 委員長 佐藤 佳岳

学校法人自由学園 副学園長/最高学部 特任教授 成田喜一郎 所沢市立教育センター 所 長 長谷川陽子

表紙絵を描いた生徒の思い

第1章 ESD調査研究協議会 これまでの実践記録  

宇宙ゴミをなくそう! 所沢市立南小学校(当時)  教諭 佐藤 佳岳 ・・・・・・・・・・・・・・ 3   

持続可能な社会の創り手を育む 所沢市立美原中学校(当時)  教諭 菅原 久寿 ・・・・・・・・・・・・ 8 わりばしから考える林業の今までとこれから 

所沢市立宮前小学校 教諭 木下 智実 ・・・・・・・・・・・ 15 ターザンの森跡地公園計画 所沢市立北秋津小学校  教諭 飯塚 光 ・・・・・・・・・・・ 26 ビオトープへ行こう 所沢市立安松小学校  教諭 五月女竜也 ・・・・・・・・・・・ 29

第2章 令和2年度の実践記録  

なぜ「流れる水の働き」を学ぶの? 所沢市立北小学校   教諭 佐々木祐太 ・・・・・・・・・・・ 35   

教頭としてのESD実践の取組 所沢市立清進小学校  教頭 村野 元裕 ・・・・・・・・・・・ 40  

この状況(コロナをきっかけに)に管理職として思ったこと問い直されたこと

   所沢市立西富小学校  校長 佐藤 佳岳 ・・・・・・・・・・・ 45  

バーチャル林間学校へ行こう! 所沢市立宮前小学校  教諭 木下 智実 ・・・・・・・・・・・ 50

ESD的視点での保健指導の実践 所沢市立北秋津小学校  教諭 飯塚 光 ・・・・・・・・・・・ 57   

第3章 ESD理論編  

ESDとはなにか ~所沢ESDゼミが積み上げてきた3つの手立て~ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61  1 所沢ESDゼミによるESDのとらえ

 2 所沢ESDゼミにおける3つの手立て  3 ESDにおける「学力」とは

 4 ESDとSDGs ~ESDの本質はSDGsの達成ではない~

おわりに  

所沢市立教育センター   指導主事 鈴木 進也 ESD調査研究協議会   副委員長 村野 元裕

(10)

第1章

ESD 調査研究協議会

これまでの実践記録

(11)

【つながりへの気づき】

文部科学省のSPP(サイエン ス・パートナーシップ・プログラム)

に採択され、項目が物理分野のロボ ットであったため、広大な宇宙のご みを取り除こうというテーマで5年 の総合的な学習をすすめた。構想を 練るうちに小学校の先生だけでは、

手に負えないということで、いろい ろな分野の方へアプローチをして人 とのつながりが深まり、気がつけば 産学協同ということになってきた。

また、総合的な学習だけでなく子供 達が発信するためには表現方法を国 語で学び、データの処理をするため には数値を扱い、プレゼンのために パソコンの習得なども必要になる。

そして、発展的に当時としては珍し いプログラミングにまでおよぶ学習 となった。

また、他教科との関連では、社会科

「情報化した社会とわたしたちの生 活」「わたしたちの生活と環境」理科

「電磁石のはたらき」と合わせて横 断的に学習を進めた。

宇宙ゴミをなくそう!

この学習を実践した当時は「はやぶさ」「宇宙兄弟」

「宇宙ステーション」など宇宙に関してのトピックス が、目白押しであった。広大な宇宙から想像できるも のは、近未来的で夢や希望に満ち溢れている。しかし ながら、その素晴らしい開発の裏には「宇宙ゴミ」と いう開発の副産物が存在することがわかってきた。実 際にJAXAの研究者の方から「現在、2万個程の(今 ではきっともっと多く)スペースデブリ(宇宙ゴミ) が回収しきれず軌道を周回している。」と聞いた。この 話を聞いた児童は、このやっかいな宇宙ゴミをいかに して取り除くかに挑戦しようと意欲的に考えた。児童 の思いは、空想の世界であったが、最終的には何か形 にしたいのでロボットとしてどのように取り除くのか を構想してみた。その当時は、雲をつかむような話で あったが、現在は、JAXAもNASAも実現に向け 開発をしている。また、この事業は、ビジネスとして も莫大な利益を生むとまで言われている。このころに 考えた児童のロボットは、まんざら空想ではないとい うことが今になって思うことである。特許申請でもし ておけばよかったのではないだろうかという児童の優 良な構想があったのも事実である。

ロボットとは?

ロボットと言えば、「ドラえもん」しか思いつかない。 当時の児童は、いわゆるヒューマノイド型ロボット(ヒ ト型ロボット)しか考えていない様であった。その偏 った知識と経験を打破するため、某大学の教授陣にお 願いしてロボットとは?という講義を2回ほど聞いた。

宇宙ゴミをなくそう!

持続可能な社会をめざして

2012年実践 総合的な学習の時間 所沢市立南小学校 5年

(12)

【つながりへの気づき】

文部科学省のSPP(サイエン ス・パートナーシップ・プログラム)

に採択され、項目が物理分野のロボ ットであったため、広大な宇宙のご みを取り除こうというテーマで5年 の総合的な学習をすすめた。構想を 練るうちに小学校の先生だけでは、

手に負えないということで、いろい ろな分野の方へアプローチをして人 とのつながりが深まり、気がつけば 産学協同ということになってきた。

また、総合的な学習だけでなく子供 達が発信するためには表現方法を国 語で学び、データの処理をするため には数値を扱い、プレゼンのために パソコンの習得なども必要になる。

そして、発展的に当時としては珍し いプログラミングにまでおよぶ学習 となった。

また、他教科との関連では、社会科

「情報化した社会とわたしたちの生 活」「わたしたちの生活と環境」理科

「電磁石のはたらき」と合わせて横 断的に学習を進めた。

宇宙ゴミをなくそう!

この学習を実践した当時は「はやぶさ」「宇宙兄弟」

「宇宙ステーション」など宇宙に関してのトピックス が、目白押しであった。広大な宇宙から想像できるも のは、近未来的で夢や希望に満ち溢れている。しかし ながら、その素晴らしい開発の裏には「宇宙ゴミ」と いう開発の副産物が存在することがわかってきた。実 際にJAXAの研究者の方から「現在、2万個程の(今 ではきっともっと多く)スペースデブリ(宇宙ゴミ)

が回収しきれず軌道を周回している。」と聞いた。この 話を聞いた児童は、このやっかいな宇宙ゴミをいかに して取り除くかに挑戦しようと意欲的に考えた。児童 の思いは、空想の世界であったが、最終的には何か形 にしたいのでロボットとしてどのように取り除くのか を構想してみた。その当時は、雲をつかむような話で あったが、現在は、JAXAもNASAも実現に向け 開発をしている。また、この事業は、ビジネスとして も莫大な利益を生むとまで言われている。このころに 考えた児童のロボットは、まんざら空想ではないとい うことが今になって思うことである。特許申請でもし ておけばよかったのではないだろうかという児童の優 良な構想があったのも事実である。

ロボットとは?

ロボットと言えば、「ドラえもん」しか思いつかない。

当時の児童は、いわゆるヒューマノイド型ロボット(ヒ ト型ロボット)しか考えていない様であった。その偏 った知識と経験を打破するため、某大学の教授陣にお 願いしてロボットとは?という講義を2回ほど聞いた。

宇宙ゴミをなくそう!

持続可能な社会をめざして

2012年実践 総合的な学習の時間 所沢市立南小学校 5年

(13)

【永続的な問い】

私たちの社会生活が便利になり地 球と宇宙との距離が、だんだんと近 づいてきている。反面、開発から出 るゴミも増えてきているのも事実で ある。はたしてこのまま開発をすす めていいのか、それとも環境が悪化 するこの地球に住み続けるのか。

宇宙は私達だけのものなのか。

私たちが住む地球が、いつまでも住 みやすい場所であるための開発では あるが・・・すぐに答えを出せるも のではないが、人類が生き続けるた めにはずっと考えていかなければな らない問題である。

T:みんなはどう思う?

C:このままだと地球にもゴミが 落ちてくる可能性もあるよ。

C:開発もしなければねえ・・・。

C:ゴミを取ってしまえばいいん じゃない。

T:そんなにうまくいくかな?

C:やってみなければわからない よ。

C:ドラえもんがいればなあ。

T:う〜ん、どうしよう?

低軌道のスペースデブリ https://www.jaxa.jp/projects/

debris/index_j.html

この講義の内容は、主に「ロボットとは?」という こととヒト型ロボットだけではなく、人の腕や足のよ うに動くロボットの紹介をしていただいた。児童の意 識の中にあるロボットという概念が少し変わってきた。

物をつかむことや弾き飛ばすこと、そして人よりも力 が出せること、危険な場所でも作業ができることなど が、知識として加わった。

試行錯誤 あ~でもないこ~でもない

児童は、宇宙ゴミを取り除くためのロボットを考え 始めたが、あまりにもテレビ的?アニメ的?であり実 現するには少し・・・。もう少し機能面について考え る必要があると思い、簡易的なロボットで少し具体的 に作業を取り入れてみた。全児童が、モーターを振動 させるタイプで不規則に動く簡易ロボットを作成した。

動くことに歓喜したが、ハードルをあげて、ペットボ トルキャップを黄色のラインから取り除くような改良 を加えた。何か困難なことができるとそれをうまく乗 り越えようとする子がでてきて、真似からどんどんい ろいろなタイプの振動型ロボットが出来上がってきた。

自律型ロボット プログラミング これは難しい!

ロボットと言えばやはり自律型ロボットがかっこい いと誰もが思っている。ちょっと背伸びして当時とし ては先進的にプログ T ラミングでロ

ボットを動かしてみた。スクラッチ を使ってナノボードにモーターを 付けて。これはもう結構オタクの領 域だと当時感じていたが、今は、こ れも小学生でもやれるのかなあ?

(14)

【深いふりかえり】

当時の個人個人のファイルがあっ たのだが、残念ながら現在実存はし ていない。総合的な学習の時間では、

グループで考えたロボットをブース ごとに時間を決め発表し合った。ゲ ストとして長く関わっていただいた 大学の先生にも参加いただいた。子 供たちの意欲と熱意に感動したとの お褒めの言葉をいただいた。時間の 都合上実現できなかったのだが、ぜ ひとも JAXA の方へもプレゼンし てみたかった。子ども達の考えが大 きなヒントになったのではないかと 今に思うと残念ではあるが。

【学習を終えて】

・学習を進めるには明確なねらい とゴールが必要である。

・学習後どのような行動変容があ るのかを長いスパンでみとる。

・教育課程に位置付ける。毎年毎 年見直しをする。

課題が難しいと児童は、かえってやる気を出し、みん なで頭を悩ませながらもプログラミングを考え、自律 型ロボットを完成しようと努力をした。中には、お手 あげな子も正直いたが、3 人寄れば文殊の知恵として、

協同的な学習を進めながらなんとかがんばった。

私たちが考えた宇宙ゴミ回収ロボット!

長い長い総合的な時間を使って、

ようやく自分たちが考えるロボッ トを完成させた。ロボットについて 体験し、構想を練り作り上げたもの は、当時としては素晴らしいもので あると思うものばかりである。いつの日か実現できる日が 来ることを信じている。

(15)

【児童の変容】

国立教育政策研究所では、なぜ 21 世紀に求められる資質・能力を育成することが必要なのかにつ いていわゆる「アクティブラーニング」も含めた様々教育実践や学術研究の知見を踏まえ、学習過程 の観点から検討を行った。まず,日本における教育実践の特徴から,「知・徳・体」を教育内容ごと に分断するのではなく,それらを統合するために,子供たちが学んだことを世界や自分自身,仲間,

未来との関係を作るために「つなげる」ことが重要であること,また,「基礎的な知識及び技能」と

「思考力,判断力,表現力その他の能力」「主体的に学習に取り組む態度」という学力の三要素につ いても,それぞれを分離して段階的に育成するのではなく,一体的に育むために「思考力等で知識・

技能を習得・活用し,それを通して次の課題を自ら見付けるなど主体的に学習に取り組む態度を養う こと」といった三要素を連関させることが重要で,かつ実現可能であることという示唆を得た。*1 また、新しい学習指導要領では、教育課程全体や各教科などの学びを通じて「何ができるようになる のか」という観点から、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性 など」の 3 つの柱からなる「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくことを目指す。

このような学びの質や深まりを重視する教育や学びの時間では、教育内容と学習活動と資質・能力 を一体化させた学習のモデルが有効であると考えられる。この「宇宙ゴミをなくそう」では、宇宙と いう壮大で夢のある空間を一人一人が思うことにより自然と興味が湧く。しかしながら、その美しい 空間の中に困った存在のゴミが現れる。誰がこんなゴミをすてたのか?何のためにすてたのか?とい う疑問は、すべて自分たちのためであるという現実にぶつかる。ジレンマの中、学習が進んでいく。

このジレンマこそが永続的な問いに繋がっていくと考える。簡単には、解決できないこの永続的な問 いを試行錯誤しながら解決していこうとする。ここに主体的に学習に取り組む態度が生まれた。児童 は、当初、行ったこともない空想の宇宙に迷い・戸惑う。誰かがロボットならできるとつぶやく。そ れはいい考えだ。でもロボットってそんなに簡単にできるのか。新たな疑問にぶつかり、また考える。

この繰り返しの中、学びの時間が進んでいく。このように繰り返し繰り返し考える、わからなければ 調べる。実際に簡単ではあるが動くものを(ロボットらしきものを)作ってみる。物をつくるという 作業は、個人の思考過程を可視化として表現する。作ってみると一人一人デザインが違い、機能が違 うことに気づき、表現する方法が他者と違うということが分かり自分と他者との距離が近づく。それ を見ながら他人を意識し、尊重する態度が生まれる。また、当時としては尚早であるとおもわれたプ ログラミング学習では、協力と判断が求められ、この学びの時間において友達と協力しながら自ら楽 しみながら宇宙ゴミに挑戦していった。結果として、具体的な方法として「氷の球で宇宙ゴミを大気 圏外へ撃ち落とす」「レーザー光線で宇宙ゴミを大気圏外へ撃ち落とす」「電磁石のような強力な磁石 で宇宙ゴミを吸い付け回収する」「巨大な網で宇宙ゴミを回収する」「これからの開発では、大きなも のではなくいかにコンパクトなものにするかを考え、宇宙ゴミを極力少なくする」という JAXA 顔 負けの方策が考えだされた。地球規模の危機を自分たちが何とか解決しなければという思いと様々な 専門家の方々のヒントにより考えられた成果である。

この学びの時間が、きかっけかは分からないが、この学年の卒業式の決意表明では、「宇宙飛行士 となって地球のために働きたい。「ものつくりに興味があるので将来役に立つロボットを作ってみた い。」「何事にもあきらめないでがんばりたい。」という表明をした子が数人いた。いつもは、野球選 手やサッカー選手になりたいという子がほとんどだったので驚いた記憶は鮮明である。

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【児童の変容】

国立教育政策研究所では、なぜ 21 世紀に求められる資質・能力を育成することが必要なのかにつ いていわゆる「アクティブラーニング」も含めた様々教育実践や学術研究の知見を踏まえ、学習過程 の観点から検討を行った。まず,日本における教育実践の特徴から,「知・徳・体」を教育内容ごと に分断するのではなく,それらを統合するために,子供たちが学んだことを世界や自分自身,仲間,

未来との関係を作るために「つなげる」ことが重要であること,また,「基礎的な知識及び技能」と

「思考力,判断力,表現力その他の能力」「主体的に学習に取り組む態度」という学力の三要素につ いても,それぞれを分離して段階的に育成するのではなく,一体的に育むために「思考力等で知識・

技能を習得・活用し,それを通して次の課題を自ら見付けるなど主体的に学習に取り組む態度を養う こと」といった三要素を連関させることが重要で,かつ実現可能であることという示唆を得た。*1 また、新しい学習指導要領では、教育課程全体や各教科などの学びを通じて「何ができるようになる のか」という観点から、「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性 など」の 3 つの柱からなる「資質・能力」を総合的にバランスよく育んでいくことを目指す。

このような学びの質や深まりを重視する教育や学びの時間では、教育内容と学習活動と資質・能力 を一体化させた学習のモデルが有効であると考えられる。この「宇宙ゴミをなくそう」では、宇宙と いう壮大で夢のある空間を一人一人が思うことにより自然と興味が湧く。しかしながら、その美しい 空間の中に困った存在のゴミが現れる。誰がこんなゴミをすてたのか?何のためにすてたのか?とい う疑問は、すべて自分たちのためであるという現実にぶつかる。ジレンマの中、学習が進んでいく。

このジレンマこそが永続的な問いに繋がっていくと考える。簡単には、解決できないこの永続的な問 いを試行錯誤しながら解決していこうとする。ここに主体的に学習に取り組む態度が生まれた。児童 は、当初、行ったこともない空想の宇宙に迷い・戸惑う。誰かがロボットならできるとつぶやく。そ れはいい考えだ。でもロボットってそんなに簡単にできるのか。新たな疑問にぶつかり、また考える。

この繰り返しの中、学びの時間が進んでいく。このように繰り返し繰り返し考える、わからなければ 調べる。実際に簡単ではあるが動くものを(ロボットらしきものを)作ってみる。物をつくるという 作業は、個人の思考過程を可視化として表現する。作ってみると一人一人デザインが違い、機能が違 うことに気づき、表現する方法が他者と違うということが分かり自分と他者との距離が近づく。それ を見ながら他人を意識し、尊重する態度が生まれる。また、当時としては尚早であるとおもわれたプ ログラミング学習では、協力と判断が求められ、この学びの時間において友達と協力しながら自ら楽 しみながら宇宙ゴミに挑戦していった。結果として、具体的な方法として「氷の球で宇宙ゴミを大気 圏外へ撃ち落とす」「レーザー光線で宇宙ゴミを大気圏外へ撃ち落とす」「電磁石のような強力な磁石 で宇宙ゴミを吸い付け回収する」「巨大な網で宇宙ゴミを回収する」「これからの開発では、大きなも のではなくいかにコンパクトなものにするかを考え、宇宙ゴミを極力少なくする」という JAXA 顔 負けの方策が考えだされた。地球規模の危機を自分たちが何とか解決しなければという思いと様々な 専門家の方々のヒントにより考えられた成果である。

この学びの時間が、きかっけかは分からないが、この学年の卒業式の決意表明では、「宇宙飛行士 となって地球のために働きたい。「ものつくりに興味があるので将来役に立つロボットを作ってみた い。」「何事にもあきらめないでがんばりたい。」という表明をした子が数人いた。いつもは、野球選 手やサッカー選手になりたいという子がほとんどだったので驚いた記憶は鮮明である。

【教師の意識の変容 ◇】

5 年 総合的な学習の時間 「宇宙ゴミをなくそう」 持続可能な社会を目指して 55 時間

「宇宙ゴミ」という大きなテーマがある。永続的な問いというよりか、教師としては、児童にこの時 間数でどのように意欲を持続しながら授業を進めていけるのか問い直し/見通しが大きな問題。

・探求したことを解釈できたか?

➡宇宙ゴミ・ロボットという未だかって見たこともないものであるが・・・

⇒JAXA の研究員や大学教授からのお話により、少しイメージができた。

◇学校から外の世界への橋渡し的な役割が教師としてはこれから必要である。

◇教科横断的な意識とアンテナが必要である。

➡最終的には、すべての児童が「宇宙ゴミ」を回収する方法を考えることができた。

・探求や学びに対して共感/違和感を抱いたか?

➡ロボットを構想するにあたり、実際には何をどうやって?

⇒簡易的ではあるが、自分なりにものつくりをする。体験してみる。人と比べる。

◇簡易的なものから少しハードルをあげて、達成感のあるものつくりを試みる。

◇誰もが簡単にしかも発展性のある(競技制のある)ものつくりが必要である。

➡人真似の構想から自分だけの構想へ(それでいいの?そんなんでいけるの?)

・探求や学びのプロセスで自己認識ができたか?

➡一人では無理無理?無理でもなんとかやってみよう!

⇒三人寄れば文殊の知恵。(どこかに絶対ヒントはあるはず)

◇他者からの称賛やアドバイスにより、構想が広がる。自信になる。意欲になる。

➡将来への夢(人の役に立ちたい。役に立つロボットを作りたい。地球の危機を救いたい。

◇日々の授業において常にESDの視点をもち楽しく授業ができるようになる。

引用文献:*1国立教育政策研究所(2015 年)資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究報告書Ⅰ〜使っ て育てて21世紀を生き抜くための資質・能力〜 P.Ⅴ本研究の概要

(文責 所沢市立西富小学校 佐藤佳岳)

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【なぜ、ESD が必要なのか】

なぜ、今、ESD が必要なのか。

現在、今後の社会の変化を予測す ることが困難な時代に入ってい ます。これまで人類が経験してこ なかったことから逃げずに立ち 向かい、よりよい社会を実現して いくには、私たち人間の視点から だけではなく、その他の「もの」

たちからの視点も必要となって くるでしょう。

学校教育においては、多面的・

多角的な視点を失わず、これまで あった教育のつながりを意識し、

統合しながら、全教育活動を行っ ていく必要が生じてきています。

このように、課題を見つけ、課題 の解決に向けた主体的・協働的探 究を通して、学びの成果を行動に 結びつける児童生徒の育成が必 要です。

【ESD のイメージ】

次のページの図は、ESD のイメージを、私たちの協 議会で図に表したものです。(2017年当時)

持続可能な開発のための教育の視点をもつ授業を 通して、物事を本質的に理解し、発信する「能力・

態度・概念」などを育てていくことにより、さまざ まな問題に立ち向かえる力をつける教育をしようと するものです。

所沢市では、学校法人自由学園最高学部特任教授 成田喜一郎先生にご指導いただき、3つの視点を重 視し、取り組んできました。

持続可能な社会の創り手を育む ~すべての教育活動を通じて~

2015年度~2017年度 所沢市立美原中学校

平成30年3月 所沢市立教育センター ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会

「所沢市版 ESD 実践の手引き」より

平成30年3月 所沢市立教育センター ESD(持続可能な開発のための教育)調査研究協議会

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「永続的な問い」を持つ授業】

「永続的な問い」を持続発展的 な価値観を育み、既存の価値観を 変え、行動に結びつく問いと捉え る。学校・家庭・地域における生 徒たちの生活を、未来にわたって つなげていくものである。

すぐには答えを導き出すこと ができないような「問い」につい て考え、クラスの中で議論を行う ことを通し、深く思考していきま す。その問いへの応答は、自分一 人でできるものではなく、さまざ まな人々・資料・そして自分自身 などとの対話が必要です。そして、

この問いを受け止め、自分なりの 考えを抱きつつ、人生において答 えを探しながら学ぶ人間の育成を 目指していきます。

次の実践例は、中学校3年間の授 業の一例です。1、2年生の時に「大 切なものは?」と聞いたところ、命、

健康、食事、家族、友達、部活の時間、

笑顔、勉強・地球・自分の気持ち・プ ライド・心・お金・思い出・後悔しな いようにすること・挑戦すること・努 力すること・他人に迷惑をかけない こと…など多岐にわたりました。時 は流れ3年生になった彼らは、学校 で、家庭で、地域などでさまざまな経 験を積み、以前と「大切なもの」が変 化している生徒もいました。その人 自身が考える「大切なもの」は、その 時々で、その置かれた状況で、変化し ていくものなのかもしれません。き っとこれから先の人生においても、

「何を大切にして生きていきたいか」

と自問自答しながら…。

実践例1【中学1年社会(歴史)の学習】

「東アジア世界とのかかわりと社会の変動」の単元 では、授業のはじめに「自分の大切なものはなにか」と 投げかけました。生徒は自分と向き合い、ノートに記述 し、発表しました。一人一人の「大切なもの」に込めら れた理由も発表しあいました。この発表を共有する過 程で、さまざまな価値観と出会い、生徒たちは深く思考 していきます。

「あなたの大切なものは何ですか」

自分、お金、家族、自由、名前、平和、友達、食べ物、地 球、保険証…

授業はその後、「鎌倉幕府は何を大切にしていたのか」

「御家人は何を大切にしていたのか」などを考えなが ら、展開しました。その後、さまざまな場面でも「大切 なもの」について考えていきました。

実践例2【中学3年特別の教科 道徳の学習】

中学3年、道徳の授業(「天使の声」)を実施しました。

この教材は、宮城県南三陸町の防災無線で町民に避難 を呼びかけ、津波の犠牲になってしまった遠藤未希さ んを主人公とした読み物資料です。遠藤さんの生き方 を通して、人間としての誇り、強さ、気高さなどに焦点 を当てつつ、すべての人への愛情ともいえる他者への 思いやりや命の大切さについても触れながら、自分の 生き方を追求し続ける姿勢を育みたいと考えました。

授業はその後、「遠藤さんの 生き方」に触れ、「遠藤さんは 何を大切にしていたのだろう か」と考え、クラスで共有し ながら議論していきました。

実際の授業では、「永続的な 問い」について、多面的・総 合的に考えたり、時

に は 批 判 的 に 考え たり、クラスの仲間 と コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョン(対話など)を と っ た り し な がら 展開していきます。

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