地方自治体における
適応策実装の動向と課題,
ガイドラインの提案
白井信雄
法政大学地域研究センター S8地域班
1
目次
1.S-8研究における地域班の役割 2.先行地域におけるインタビュー結果 3.適応策実装のためのガイドライン 4.今後の課題
2
関東中部地域グループ
長野県 環境保全
研究所
東京都 環境科学 研究所
モデル 地域班
九州 大学
全 国 影 響 予 測 班
地 域 適 応
フ ォ
│ ラ ム
国 際 班
埼玉県 環境科学国際
センター
テーマ 1
テー マ 2-2
テーマ2地域班
テーマ 3
テーマ 2-1地域総括班
法政大学 地域総括グループ
3
1.S-8研究における地域班の役割
法政大学
神奈川、
山梨等と 連系
4
1A. 適応策の モデルスタディ とガイドライン 1B. 影響評価・
適応策検討の ための指標開発
1C. 地域特性に 応じた温暖化研 究と適応策検討
2. 地域適応 フォーラム・情報
プラットフォーム
日本各地での適応策の実装への貢献
*適応策の検討に活用 する指標の構築
*東京(都市豪雨)、
埼玉(農業)、
長野(山岳生態系)等 の影響評価と適応策 適応策の手順と検討方法の具体化、
長野県でのモデルスタディ
S - 8全国班、
地域・九州班、
国際班と連携
S - 8以外の研究
( RECCA 等 ) や
地方自治体と連携 1.S-8研究における地域班の役割
S-8研究における地域班の役割
2.先行地域におけるインタビュー結果
(1)研究の背景
5
1)適応策の実装において、以下の点で地方自治体の役割が 重要である。
「気候変動影響の地域多様性」
「ステイクホルダーの地域密着性」
「地域レベルのきめ細かな気候変動影響対策の必要性」
2)適応策の計画策定に向けた具体的な検討を行っている 先行地域は、長野県、埼玉県、三重県等に限定される。
3)先行地域においても適応策実装の障害も多く、それに追随 する地域の動きも活発とはいえない状況にある。
4)S-8研究の適応策実装への貢献を進めるためには、適応 策普及のための課題と解消方法を明らかにして、適応策普 及のための条件整備や現場に即したガイドラインを提供して いく必要がある。
6
1.自治体・研究機関等へのアンケート調査 (1)調査対象
全都道府県、全政令指定都市及び九州地方の中核都市 (地球温暖化担当)
(2)実施時期
平成22年9月30日(木)~12月 (3) 実施方法
WEBサイト及び質問紙を活用したアンケート調査 (4)回収結果
送付数 72件 回収数 69件 回収率 96%
2.自治体ヒアリング調査(平成22年度)
(1)調査対象
埼玉県、長野県、福岡県、大分県等
都道府県、政令市等の温暖化影響・適応への取組動向の把握
(2)既往研究・報告
●適応策の必要性を認める自治体は8割超
「大変関心がある」「関心がある」との回答が、ほとんどの分野 で8割以上。特に「森林・自然生態系」分野は「大変関心がある」
が約5割。
54.2 20.8
27.1 29.2
47.9 25.0
16.7
43.8 68.8
66.7 64.6
45.8 62.5
66.7
4.2 2.1 2.1 2.1 4.2 8.3
2.1 6.3
4.2 4.2 4.2 8.3 8.3
0% 20% 40% 60% 80% 100%
1.影響、適応策に関する取り組み全般 2.水災害・沿岸被害 3.水環境・水資源 4.農業・食料 5.森林・自然生態系 6.健康 7.伝統文化・暮らし・産業
大変関心がある 関心がある あまり関心がない まったく関心がない わからない・考えていない
(n = 48)
アンケート結果:担当部局の適応の必要性に対する認識状況
7
アンケート結果:適応策を実施するうえでの課題
●情報や技術のノウハウの不足、政策上の位置づけが上位
政策実施に必要な情報が不足と回答した自治体が22と最も多い。その他、技 術・ノウハウの不足、政策上の位置づけ(法や条例制度等の整備)、施策実施 の予算確保、関係部局間の連携・協力の不足などが上位にある。
回答数
8
(3)研究の目的と方法
9
研究の目的
1) 適応策の先行地域では、どのようなプロセスで適応策を 検討してきた。その過程における促進要因や阻害要因は 何か。
2) 1)を踏まえ、適応策普及のための条件整備のあり方を 整理するとともに、Sー8研究の成果である「地域適応策 ガイドライン」に反映する。
研究の方法
1) 適応策先行地域の地球温暖化対策課・農政課への適応 策検討プロセスに関するインタビュー(2013年1~5月)
(長野県、埼玉県、三重県、滋賀県) *
2) 施策の考察と「地域適応策ガイドライン」の修正
*東京都、京都府、長崎県、沖縄県も適応策の計画を策定。
(4)先行地域におけるインタビュー結果
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研究の前提とした適応策の採用・普及要因の仮説
国の適応策
地方自治体の適応策の 条例・計画・実施等
地域の内生的条件
(首長の政策、自然的・地理的。
社会的・経済的条件)
他の 地方自治
体 の適応策 温暖化
対策 部局
農政等 他部局 適応策の
性質
■地域による国の参照
■地域間の 相互参照
●国の地域への介入
■内生条件による自発
●首長の政策による正当性
●権限や行政資源の制約
●適応策の 不確実性
伊藤(2002)の動的相互 依存モデルをもとに作成
①
②
③
④
⑤
11
温暖化対策課 農政課
長野県 ・山岳生態系の脆弱性、果樹や 高原野菜への影響
・長野の気候を活かした産品である リンゴ・ブドウ・ナシといった果樹、レ タス等の高原野菜の脆弱性
・他県に比べると被害は少ないがそ れでも被害があるコメ
埼玉県 ・東京に近接する内陸部、熱中 症・都市近郊野菜の被害
・コメでの深刻な被害:2010年の高 温被害(彩の輝きの一等米比率0)
・果樹(ナシ)への被害はない
三重県 ・海岸線が長く、潮位の影響を受 けやすい
・コメの品質低下やあらゆる農産物 での病害虫被害
・畜産の乳量の低下等の問題発生
・水産資源への影響 滋賀県 ・琵琶湖の垂直循環の停滞によ
る水質悪化の問題
・水田比率の高さ、一等米比率の低 下
・琵琶湖の水産資源への影響
地域の内生的条件(気候変動影響)
12
温暖化対策課 農政課
長野県 ・知事主導による温暖化対策課 設置(緩和策、エネルギー中心)
・長野県環境保全研究所による 適応策研究(5名が適応策を担 当)、S8への参加
・県内の複数の農業試験場
・県農政課における適応技術開発を とりまとめる技術スタッフ
埼玉県 ・埼玉県環境科学国際研究セン ター長の強い意見による立上げ
・県温暖化対策課での適応策担 当(兼任)
・埼玉県環境科学国際研究セン ターの存在、S8への参加
・立ち上げ段階の農水省出向の副 知事のリーダーシィップ(作物転換 の検討)
・農林総合研究センター、水田農業 研究所
三重県 ・県独自の包括配分予算方式、
部長による適応策への問題意識
・県温暖化対策課での適応策担 当(兼任)
・農業研究所(2001年以来の被害 対策)
滋賀県 ・審議会での適応策への質問、
農政の取組を位置付け
・琵琶湖環境科学研究センター の存在
・農業試験場による技術対策
・「環境こだわり農業」を柱とする
地域の内生的条件(行政資源)
適応策実装のための課題とガイドライン
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先行地域の動向・課題 支援施策へのニーズ、検討課題
①地域の内生 的条件(気候 変動影響)
・地域特性に応じて影響が 深刻な地域での適応策の先 行
・地域毎に異なる課題への地域への 取組体制の位置づけ、強化・支援
*「地域適応研究センター」の必要性
①地域の内生 的条件(行政 資源)
・県環境研究所、農業試験 場等による適応策検討
②適応策の性 質
・将来影響の不確実性の優 先順位の低さ
・新しい施策への認知、理解 不足
・将来影響予測の精度改良(地域課 題に答える個別的推計)
・将来影響リスクへの順応型管理や 脆弱性改善の方法論の具体化・提示
③国の適応策
(の影響)
・国のレポートや計画、S8研 究による促進
・適応国家戦略の策定、地域の役割 の明確化
④他の自治体 の適応策(の 相互参照)
・都道府県を超えて広域調 整の動き
・S8における「地域適応フォーラム」
等の継続的運用
⑤温暖化対策 課と農政課の 連携
・適応策における農政と温暖 化対策の親和性
・親和性の低い部局との連携
都道府県及び政令市指定都市等を対象とし,
気候変動の地域への影響を把握し,適応策を 検討する際の
具体的な検討手順と課題等を示した手引 となる「適応策ガイドライン」を作成する ことにより,適応策の普及の一助とする.
3.適応策実装のためのガイドライン
(1)ガイドラインの目的
14
P4
利用対象
・全国の都道府県及び政令指定都市における 地球温暖化対策担当者
*政令指定都市ではない市町村,
地球温暖化対策担当でない担当部局等も活用可能
利用場面
・地球温暖化対策担当が適応策の検討方法を組み立てる場面 から
各種データの収集・整理をへて、適応策の計画への実装 まで
(2)ガイドラインの利用対象・利用場面
15
P4
(3)
ガイドライン の構成
・3編構成
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適応策の基本的 考え方を充実
第Ⅰ編 ガイドラインの使い方と適応策の基本的考え方
第Ⅱ編 適応策検討の進め方とまとめ方
第Ⅲ編 適応策検討のための資料
1.ガイドラインの作り方と使い方
1.適応策に関する知識と認識の共有
2.気候変動影響のリスク の把握・整理
3.既往の適応策の点検と 追加的に実施すべき施策の整理
4.適応策に関する基本方針の検討
6.適応策の基本方針の策定と進行管理
5.利害関係者との リスクコミュニケーション
資料1 適応策動向関連資料リスト 資料2 影響評価・適応策検討資料
主に第Ⅱ編の1 に活用
主に第Ⅱ編の2、3 に活用 2.適応策の基本的
考え方
3.適応策の検討成果 について
4.“追加的適応策”
の具体像 5.用語の説明
(4)ガイドラインの作成方法
17
適応策検討の手順 の設定
●環境省「気候変動適応の方向性」(2010年)及び 海外の地方自治体の適応策に関する関連文献等 を踏まえて
長野県での モデルスタディ
●2010~2011年度に長野県環境保全研究所を 主体とした,長野県の関連する行政分野における 気候変動の将来影響の評価と適応策の検討
(モデルスタディ)の実施
適応策ガイドライン VER.1の作成
●検討手順の見直し,検討成果例の盛り込み
特に長野県での具体的な検討例や適応策導入 における課題とその解決方法等を例示
P5
適応策ガイドライン VER.2の作成
●S8内外との意見交換を経て、
2013年11月の地域適応フォーラム で公開予定(2013年度)
S8内外での
意見交換
●S8内での影響分野別WGでの検討,適応策先行 地域との意見交換(2012年度)
18
●地域適応策基本方針の作成
・行政各分野への影響の共有
・適応策実施の共通方針
・行政各分野での適応策具体化(追加的適応策)の考え方と方法
・適応策の実施工程と進行管理の方法 等
防災 農政 建築・
土木
保健・
衛生
自然保護 環境保全
温暖化緩 和策・
エネル ギー
etc.
●各分野での適応策の具体的検討と実践
・ステイクホルダー調整 ・適応策具体化 ・分野野別計画への盛り込み・実施等
●適応策の進捗管理
・影響と適応策の状況把握 ・適応策効果等の評価・見直し ・報告と情報公開
●分野横断的な重点プロジェクトの具体化と連携体制整備・実施
●地域の温暖化影響・将来影響の把握・見える化、科学的知見
ス テ ッ プ 1
ス テ ッ プ 2
●適応策の体系的計画作成
・ステップ1で整理した基本方針の見直し・改定
・適応策の施策体系、重点プロジェクトの位置づけ 等
ス テ ッ プ 3
(5) 適応策の成果目標
P14(6) 適応策の考え方
19
①緩和策と適応策の関係
②適応策の3つの手段
ハードウエア、ソフトウエア、ヒューマンウエア
③適応策の3つのタイプと3つのレベル
④縮小成熟社会を見通した再構築への適応策の組込み
⑤受動的な適応策と能動的な適応策
⑥地域特性に応じた地域づくり・人づくりとしての適応策
⑦予測知からのトップダウンと現場知・生活知からの ボトムアップの統合的アプローチ
P9
~12
20
地 域 温 暖 化 対 策
気候(外力)
の変化
・気温、降水、降雪、
日照、風 等
自然影響
・土地、水系、生態系、
生物等への影響
経済社会影響
・地域産業、地域経済、
地域社会、国土基盤等 への影響
生活影響
・健康、安全・安心、
意識・行動、家計 等への影響
・熱中症等健康被害
・エネルギー消費の変化
・水質悪化、洪水氾濫
・植生・生息生物の変化 等
温室効果ガス以外の要因 温室効果ガスの排出
・大気中濃度の増加
・エネルギー消費の変化
・ライフライン等の被害
・家計負担・収入の変化
・水害等被害、家計負担、
財産価値の変化
・農林漁業・加工、観光業、
工業等への影響
感受性
・土地利用変化、近隣関係、過疎 化、過度な外部依存、高齢化等身
体的・社会的弱者増加 等
適応能力
・行政制度、モニタリング、住民や 企業における備え・知識 等
緩和策
・温室効果ガスの排出削 減等
適応策
・感受性の改善
・適応能力の向上
緩和策と実施したとし ても回避できない
影響に対して 気候変動の人為的な
要因の改善として
脆弱性の改善による 気候変動と折り合え る適応社会の実現 枯渇性エネルギーに
依存しない、スリム な低炭素社会の実現
■緩和策と適応策の関係
P9
21
レベル1 防御 レベル2 順応 レベル3 根本改善・撤退 タイプ1
人間の命を守る
(豪雨、極端な感 染症対策等)
中小の水・土砂災害
⇒ソフト・ハード・ヒューマ ンウエアで生命・財産を守 る
温暖化による災害外力の上 昇によりハードでは守れなく なった災害
⇒ソフト・ヒューマンウエアで 生命だけは守る
複合災害然ダムの崩壊やダ ム事故等)などの想定外の大 災害
⇒抜本的な感受性の改善等 を講じてレベル2に近づける タイプ2
生活の質や産業 を守る(食糧、
熱中症、水質対 策等)
対策により影響が避けら れる程度の気候変動
⇒ソフト・ハード・ヒューマ ンウエアで影響を発生さ せない
影響が避けられない猛暑
⇒ソフト・ヒューマンウエアの 整備で生活の質や産業への 影響を最小化する
農業や生活の維持の困難な 状態の定常化
⇒抜本的な感受性の改善等 を講じてレベル2に近づける
(農業の経営転換、居住地の 変更等)
タイプ3
倫理や文化を大 事にする(生物多 様性、伝統文化、
地域の固有性の 保護・継承等)
保護・継承ができる程度 の気候変動
⇒ソフト・ハード・ヒューマ ンウエアで影響を抑え、保 護する
保護・継承が一部でできなく なる影響
⇒ソフト・ヒューマンウエアの 整備で影響を最小化する、あ る程度の変化は許容し、保護 すべき重点対象を保護する
自然生態系や伝統文化等の 維持の困難な状態の定常化
⇒自然生態系や伝統文化の 系(まとまり)の移動や移転を 行う
適応策の3つのタイプと3つのレベル P11
22
P15
解消対象とする影響のタイムスケール 過去 現在 短期 中・長期 根
本
対 症
対 応
中・長期 的視点
からの 対
策 の 深 度
脆弱性の改善
に踏み込んだ施策準 備
既 存 施 策 追加
追加
予防
回 復
追加 追加
追加的適応策の2つの視点
脆弱性 = F (気候外力、感受性、適応能力)
23
感受性の改善
a) 土地利用の再構築
b)都市に集中する地域構造の再構築 c)気候変動に対する弱者への配慮 d)社会関係資本の希薄化の解消 e)活動の多様性を高めること
適応能力の向上
a) 影響モニタリング
b) 予算・計画・推進体制 c) 普及啓発・情報発信 d) 関係主体の意識形成
P16
~17
水資源(渇水)における脆弱性の構造
温暖化による 水資源への影響 等に関する情報
の不足
行政予算の 制約
気温上昇
気候外力
影 響 適応能力
土地利用の変化
(森林面積の減少、
人口の偏在化など)
節水等に対する 意識の不足
(再生水/雨水利用率 の低さ、節水器機普及
率の低さなど)
渇水被害
(取水制限、給水制限、
断水、河川流量維持の 困難など)
降水量や降水パ ターンの変化
水消費を前提と した事業活動、ラ イフスタイルの浸
透
気温や降水の 変化によって渇水
が発生しやすい 地域の拡大
生活/工業用水
等の需要の増大 融雪時期の
早まり 積雪量の減少 地理的特性の
脆弱性
(従来から少雨傾向の 地域、大量の水を要す る農業形態の地域な
ど)
保水力の低下・
表面流出率 の増加
温暖化影響の 観点からの渇水 対策に関する研
究の遅れ 適応策としての 渇水対策に関す る施策の不明確
さ
節水等に関する 指導・普及啓発・
情報発信の遅れ
上水分野での適 応策の位置づけ や検討体制の不
足 貯水・配水施設
の容量不足
感受性
「順応型管理」 の具体的要件
a)可能性のあるケースの設定と各ケースに対する対策の設定
・複数の影響ケースを想定して、実施すべき対策をあらかじめ想定しておく。
・影響ケースは、「気候外力」のみならず、「感受性」及び「適応能力」の変化等も設定
b)モニタリングとフィードバックを行う
・気候変動の現象や関連する研究成果を継続的に監視する検証(順応型学習)
・状態変化に応じて方策を変える(フィードバック制御)。
・状況を判断する評価指標(ベンチマーク)を定めておく。
評価指標は、「気候外力」のみならず、「感受性」、「適応能力」についても設定
c)状況に応じて、変更や追加が可能な対策
・対策は、「可変性」や「追加性」、「維持管理容易性」の高いものとする。
d)記録と説明の明確化による関係者との信頼関係
・担当者が変わっても、説明できる記録を残す。
・利害関係者とともに合意を図り、信頼関係を築く
25
P17
~18
農業分野における適応策の体系(例)
影響把握と取組方針・計画の作成
モニタリング、将来予測・影響評価、計画・方針作成
現在影響に対する技術的対策
栽培手法の改良、高温耐性の品種開発、
農作物の転換(適応型新作物の新興産地化)
将来影響に備える感受性の根本改善
農村社会の再構築、経営多様化、流通改善
適応策の推進基盤の整備
研究開発、情報整備、意識形成、組織・ネットワー
クP21
27
影響分野 影響評価
施策の実施
状況 検討課題
現在及び短期 的影響
将来影響の 評価 農業・食糧 ・ 水 稲 、 果 樹 、
高原野菜等 へ 影響あり
・コメの収量は 増 加 、 り ん ご の 生 息 適 地 の 移 動 が 予 測される。
・農業試験場を中 心に技術開発が 実施されている。
・開発した適応技術の 普及のための施策の 創出、長期予測に基 づく対策の検討等が 課題となる。
水環境・
水資源 ・特に観測デー
タなし ・ 懸 濁 物 質 の 増加が予測さ れる。
・特になし ・ 気 候 変 動 の 影 響 評 価から実施する。
水災害・
沿岸被害 ・被害の増加傾 向 は 明 確 で は ない。
・斜面崩壊のリ スクが増加す る。
・洪水、土砂対策 の 強 化 が 進 め られている。
・将来影響予測に基づ く追加的適応策や適 応能力、感受性の改 善等から適応策を検 討する。
森林・
自然生態系 ・松くい虫、鳥獣 被 害 が 懸 念 さ れ る 状 況 で あ る。
・ ブ ナ 等 の 生 育 適 域 の 減 少が予測され る。
・ 影 響 の 研 究 は 進めているが、
適 応 策 の 具 体 化は検討中。
・ 将 来 影 響 の 予 測 結 果をもとに、自然保護 区の見直し等の長期 的適応策の具体化す る。
健康 ・熱中症患者数 が 増 加 傾 向 に ある。
・ 患 者 数 の 増 加が予想され る。
・ 情 報 提 供 が 中
心である。 ・ 高 齢 者 単 独 世 帯 へ の支援や近隣の互助 等による熱中症対策 を検討する。
P49
(8) “追加的適応策”の検討例
6 今後の課題
28
① 追加的適応策の分野別具体化
・水災害、水資源(水質、水量)、感染症 ・社会資本別の分野横断的適応策
② コミュニティベースでの適応策検討等の個別成果の追加 ・農業分野でのステークホルダー調査
・市民参加型モニタリング
・地域への影響を入口とした気候変動学習 ・伝統文化・地域産業への影響と適応策 等
③ 適応策実装上の課題解消
・地域気候変動適応センターの提案
以下、参考
29
「現在及び短期的影響指標(指定統計等に基づく指標)」の例
3.1 現在及び短期的な気候変動の影響整理
30
P32
分野 指標例
農 業 作物統計(農林水産省)、都道府県別・作物別 の災害の被害面積・被害額
水災害 水害統計調査(国土交通省河川局)、水害被害 額・水害区域面積・被害家屋棟数
健 康 熱中症情報(総務省消防庁)、熱中症の患者 数・死亡者数
「将来影響予測評価指標(簡易推計ツールによる)」の例
3.2 長期的な気候変動の影響整理
31
P34
分野 指標例
農 業 コメ15種の収量(2次メッシュ)
みかん・タンカン適域(3次メッシュ)
水 災 害 斜面崩壊発生確率(3次メッシュ)
水 資 源 懸濁物質生産量(3次メッシュ)
森林・自然 生態系
植生12種の潜在生息域(3次メッシュ)
健 康 熱ストレス死亡超過数(都道府県)
熱中症患者数(都道府県)
ヒトスジシマカ分布可能域(3次メッシュ)
ブタ日本脳炎抗体陽性率分布(3次メッシュ)
「適応策進捗管理指標」(チェックリスト)
3.3 既存の適応策の点検
32
P45
1.気候変動の影響把握と取組方針の検討状況について
1-1 現在影響について、情報収集やモニタリングを行っているか
1-2 将来影響について、予測情報の収集や影響の評価を行っているか
1-3 適応策に関する担当部局の取組方針や計画を作成しているか
2.気候変動適応策の実施状況について
2-1 現在影響への対策(短期的適応策)を検討・実施しているか
2-2 将来影響に対する対策(中長期的適応策)を検討・実施しているか
2-3 適応策の進行管理(実施効果の把握と見直し)を行っているか
3.気候変動適応策の推進基盤の整備について
3-1 モニタリングや影響の分析、技術の研究開発等を行っているか
3-2 適応策を検討・推進する体制の整備や人員の確保を行っているか
3-3 関係主体との情報共有や普及啓発を行っているか
「検討すべき課題を抽出する視点」
3.4 今後、検討すべき課題の整理
33
P48
1.気候変動の現在及び短期的影響の状況に対して、十分な
対策(短期的適応策)がとられているか
2.気候変動の将来影響の把握とそれへの対策(中長期的適応
策)の検討が十分になされているか、順応型管理はどうか
3.気候変動に関する脆弱性のうちの適応能力(適応策の推進
基盤)について、十分な整備がなされているか
4.気候変動に関する脆弱性のうち感受性(土地利用、社会関係
資本、社会経済構造等)の改善に踏み込んだ適応策の検討
が十分になされているか
3.5 施策の立案、リスクコミュニケーション、
計画策定と進行管理
34
P50
~55
*以下の記述を今後、充実させる。
・コミュニティ・レベルでのコミュニケーションと適応計画策定 ・ステークホルダー調査、シナリオ・プランニングの方法 の組み合わせ
・「順応型管理」の方法に基づく、進行管理の方法 ・状況を監視する評価指標(ベンチマーク)の設定 ・順応型学習とフィードバック制御