2017年8月7日
日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部 アジア大洋州課
小林 寛
1.ASEANに関する基礎知識 2.日本企業の投資推移
3.国別のポイント
4.まとめ
ASEAN
経済共同体(AEC)
が2015
年に発足
現時点で96%
以上の品目がゼロ関税。(完成車など一部品目については
2018
年まで猶予あり)
モノに加え、サービス分野、人(熟練労働者など)の移 動などの域内自由化を目指す。 10
カ国の人口を合わせると6
億人。EU
(5
億人)やNAFTA
(5
億人)より大きい。⇒
生産分業や消費市場の視点からの投資ASEAN
=東南アジア諸国連合 東南アジアの10
カ国が加盟する地域連合(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、
ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)
⇒
まだまだ発展する可能性がある国が多いミャンマー
・面積:
67万6,578㎢
・人口:
5,265
万人・名目GDP:
724億ドル
・一人当たり
GDP
:1,375
ドルタイ
・面積:
51
万3,115
㎢・人口:
6,910万人
・名目
GDP
:4,329
億ドル・一人当たりGDP:
6,265ドル
ラオス
・面積:
23万6,800㎢
・人口:
730
万人・名目GDP:
150億ドル
・一人当たり
GDP
:2,051
ドルカンボジア
・面積:
18
万1,035
㎢・人口:
1,601万人
・名目
GDP
:210
億ドル・一人当たりGDP:
1,309ドル
ベトナム
・面積:
33万1,690㎢
・人口:
9,361万人
・名目
GDP
:2,158
億ドル・一人当たりGDP:
2,306ドル
出所: 国際通貨基金 世界経済見通し
2017年4月版、
ジェトロ 国別概況ブルネイ
・面積:
5,675
㎢・人口:
43
万人・名目GDP:
123億ドル
・一人当たり
GDP
:28,740
ドルマレーシア
フィリピン
・面積:
30
万㎢・人口:
1億628万人
・名目
GDP
:3,297
億ドル・一人当たり
GDP
:3,102
ドルシンガポール
・面積:
719.2㎢
・人口:
568
万人・名目GDP:
2,919億ドル
・一人当たり
GDP
:51,431
ドル インドネシア・面積:
191万931㎢
・人口:
2
億6,199
万人・名目GDP:
1兆205億ドル
・一人当たり
GDP
:3,895
ドル・面積:
33
万290
㎢・人口:
3,220万人
・名目GDP:
3,099億ドル
・一人当たり
GDP
:9,623
ドル陸の
ASEAN
(メコン地域) 海のASEAN
面積:459
倍
人口:609
倍
名目GDP
:83
倍
一人当たりGDP:39倍域内格差
国名 主要民族 主要言語 宗教 旧宗主国
陸の
ASEAN
ミャンマー ビルマ族 (
70
%) ビルマ語 仏教 英国タイ タイ族 タイ語 仏教 なし
ラオス ラオ族 (
55
%) ラオス語 仏教 フランスカンボジア クメール人 クメール語 仏教 フランス
ベトナム キン族 (
86
%) ベトナム語 仏教(大乗) フランス海の
ASEAN
ブルネイ マレー系 マレー語 イスラム教 英国
インドネシア マレー系 (
300
種族) インドネシア語 イスラム教 オランダ マレーシア マレー系(67
%)、中華系、印度系 マレー語 イスラム教 英国フィリピン マレー系 フィリピノ語、英語 キリスト教 スペイン、米国
シンガポール 中華系(
74
%)、マレー系、印度系 マレー語、英語ほか 仏教、イスラム教 英国出所: 外務省ウェブサイト等より筆者作成
安くて豊富 な労働力を 活用したい
お客様は 都市部の 富裕層
進出日系 企業相手 の商売
現地企業の 販売網を活 用したい
成長する中 間層を狙う
研究開発 拠点を設け たい
世界のハラル 市場に展開し たい
完成品 部品 部品
部品
完成品 部品
部品
自動車 白物家電
プリンター 携帯電話
富裕層
アッパーミドル ローワーミドル
低所得層
0 40,000 80,000 120,000 160,000
4,211 2,959 756 2,036 6,285 22,343 14,491 3,322 8,511 12,858
137,258
48,666
29,489 33,375 9,074 93,752
34,583 59,880
24,038 2,779
2015年
(1,000人)
富裕層
アッパーミドル ローワーミドル
低所得層
0 40,000 80,000 120,000 160,000
20,972
10,895 3,402 3,476 12,613 99,253
35,428
15,331 13,369 15,059 138,934
51,548 47,404
35,310 6,211 25,346
18,280
35,957 16,482
1,138
2025年
(注) 低所得層: 世帯可処分所得 年間5,000ドル以下
ローワーミドル:世帯可処分所得 年間5,000ドル超 15,000ドル以下 アッパーミドル:世帯可処分所得 年間15,000ドル超 35,000ドル以下 富裕層: 世帯可処分所得 年間35,000ドル超
備考:世帯可処分所得別の家計人口を各所特層の家計比率×人口で算出。
出所:Euromonitor International より作成。
(1,000人)
自社の商品・サービスは? 客層は? 薄利多売?? 厚利少売??
1.ASEANに関する基礎知識 2.日本企業の投資推移
3.国別のポイント
4.まとめ
1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020
プラザ合意(85
年)に伴う円高・ドル安
アジア
NIES
(シンガポール)
ASEAN 4
・タイ
・マレーシア
・インドネシア
・フィリピン
ASEAN 4
+α
・タイ
・マレーシア
・インドネシア
・フィリピン
+
・ベトナムなど
アジア通貨危機
(
97
年)、中国シフト安価で豊富な労働力
消費市場
集積・域内分業
ASEAN
・タイ
・マレーシア
・インドネシア
・フィリピン
・ベトナム
+
・ミャンマー
・カンボジア
・ラオス
ASEAN
経済共同体(
2015
年)リーマンショック
(
2009
年)、円高(貿易摩擦) (中国の改革開放) (中国+1) (タイ洪水) (タイ+1)
(尖閣問題)
717 731
670 649 628
1,005 1,076
887
719.2
1068.3
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000
918
シンガポール インドネシア
マレーシア
フィリピン 中国
左:日本の対中国向け直接投資
2006
ASEAN
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
タイ 右:日本の対
ASEAN
向け直接投資2015
ベトナム ミャンマー ラオス カンボジア タイ フィリピン シンガポール マレーシア インドネシア ブルネイ 中国
2014
810
652 658 771
1,551
857
2,333
2,177
2,407
(注)
2014
年より国際収支統計で新基準適用。そのため2013
年以前とは連続性はないことに注意。2015年のブルネイ・カンボジア・ラオス・ミャンマーのデータは第3四半期時点。
ベトナム
(単位:10億円)
国名
2017 2016 2015 2014 2013
タイ
1,749 1,716 1,624 1,552 1,479
ベトナム
1,683 1,562 1,463 1,323 1,213
シンガポール
854 854 832 801 772
フィリピン
805 776 745 721 674
インドネシア
773 786 743 703 631
マレーシア
574 610 607 582 568
ミャンマー
351 310 239 168 107
カンボジア
245 218 192 168 144
ラオス
93 79 77 71 56
ブルネイ
3 3 3 3 3
合計
7,130 6,914 6,525 6,092 5,647
1.ASEANに関する基礎知識 2.日本企業の投資推移
3.国別のポイント
4.まとめ
【日本企業進出状況】
•
日本企業のASEANにおける一大集積地(特に自動車産業 と電気・電子産業)。日系企業数は8,000社に上ると目され ている。•
近年、特にサービス業を中心に進出企業数が増加。景気停 滞が続く一方で、日系企業の進出が増加していることから、競争環境は年々厳しさを増している。
【注目ポイント】
•
少子高齢化の進展•
タイランド4.0と東部経済回廊•
メコン地域のコネクティビティ•
地域統括会社ジェトロ進出日系企業実態調査(2016)
経営上の問題点
%
1.従業員の賃金上昇
59.3
2.品質管理の難しさ59.0
3.従業員の質
48.5
4.競合相手の台頭(コスト面での競合)
47.3
5.現地通貨の対円為替レートの変動45.0
【日本企業進出状況】
•
北部ハノイ、南部ホーチミンの2大拠点。投資全体(認可ベー ス、累積)で見ると、金額でも件数でも製造業が過半以上。•
世界第4位のバイク市場。•
近年の新規投資では製造業が2~3割に縮小。コンサル等、小売流通、ITの3業種で過半以上を占める。
•
ホテル、飲食業も伸びている。【注目ポイント】
•
人口ボーナスの終焉•
サムスン携帯の世界最大基地•
域内自動車関税がゼロに•
子供関連市場ジェトロ進出日系企業実態調査(2016)
経営上の問題点
%
1.従業員の賃金上昇
75.5
2.原材料・部品の現地調達の難しさ64.8
3.品質管理の難しさ48.5
4.通関等諸手続きが煩雑47.5
5.競合相手の台頭(コスト面での競合)45.7
【日本企業進出状況】
•
ヒト・モノ・カネが交差するアジアのビジネスハブ。金融業、石 油化学産業、エレクトロニクス産業などで古くから日本企業を 始めとした外国企業が進出。•
近年、地域統括本社や研究開発(R&D)施設を設置する企業 が増加。域内の需要拡大を見越して、小売業、飲食業、サー ビス業(法律事務所、人材紹介会社等)など幅広い業種へ。【注目ポイント】
•
「人」と「不動産」•
大激戦の日本食市場•
スタートアップのエコシステム•
アジアのショーウィンドージェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.従業員の賃金上昇
59.8
2.競合相手の台頭(コスト面での競合)52.6
3.新規顧客の開拓が進まない41.6
4.主要販売市場の低迷(消費低迷)40.3
5.日本人出向役職員(駐在員)のコスト36.7
【日本企業進出状況】
• 2011年から日本企業進出の第2の波。大手プリンターメー
カーを中心に新規、追加投資。
•
昇給率が安定的で豊富な労働力、堪能な英語力を狙った輸 出志向型製造業、IT-BPOが進出。•
自動車産業振興戦略(CARS)プログラム投入により、セット メーカーの拡大投資、部品サプライヤーの進出。【注目ポイント】
•
人口1億人を突破(2100年まで)•
ドゥテルテ大統領(2022年まで)•
反政府イスラム勢力•
モータリゼーション到来間近•
外資規制緩和の動き(17.8?)ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.原材料・部品の現地調達の難しさ
62.1
2.従業員の質
57.3
3.品質管理の難しさ
53.5
4.従業員の賃金上昇44.7
5.現地通貨の対ドル為替レートの変動40.2
【日本企業進出状況】
• 2010年以降、「第3次進出ブーム」に沸いていたが一服感。
•
廉価で豊富な労働力を求めた輸出拠点としての位置づけか ら、内需を狙った進出へ。•
業種別では自動車・二輪車などの輸送機器が日本投資をけ ん引。近年、一般消費財、食品・飲料、サービス産業等への 広がりを見せている。【注目ポイント】
•
ジャカルタ首都圏に一極集中•
拡大続く生産年齢人口(2030)•
インフラ不足•
資源価格の回復ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.従業員の賃金上昇
82.2
2.従業員の質
56.3
3.原材料・部品の現地調達の難しさ
56.3
4.品質管理の難しさ54.9
5.現地通貨の対ドル為替レートの変動54.3
【日本企業進出状況】
• 1980年代後半から進出の始まった電気・電子分野企業が製
造業のうち4割を占める。
• ASEANのなかでも所得が高く、近年は外食を中心としたサー
ビス業の進出が増加。
•
国内に加え、来訪するイスラム教徒が増えており、ハラル・ビ ジネスの拠点としても注目される。【注目ポイント】
•
外国人労働者受け入れ凍結•
環境や医療分野•
大型開発案件(高速鉄道など)•
厚みを増す富裕層ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.従業員の賃金上昇
67.7
2.品質管理の難しさ64.2
3.現地通貨の対ドル為替レートの変動56.9
4.従業員の質
53.3
5.競合相手の台頭(コスト面での競合)
46.1
【日本企業進出状況】
• 2011年の民政移管後、日本企業の進出ラッシュが続く。
•
労働集約的な縫製業に加え、ティラワ経済特区の開業により、軽工業を中心に製造業の業種の広がりが見られる。
• 5,000万人超の市場を有し、消費拡大と共にサービス業の進
出も増加中。
【注目ポイント】
•
新投資法の成立、会社法改定•
追いつかない供給•
タイとの分業•
消費財の拡大(スマートフォンなど)
ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.電力不足・停電
85.0
2.従業員の賃金上昇75.3
3.原材料・部品の現地調達の難しさ70.0
4.従業員の質
65.8
5.人材(中間管理職)の採用難
60.3
【日本企業進出状況】
•
タイとベトナムの中間に位置し、主要工業団地とのアクセス面 でも優位性がある。•
低廉で豊富な若年労働力、各種の恩典を活かした労働集約 型産業(縫製業など)、そして軽工業(電子部品や自動車部品 など)が多い。ただし、近年、製造業は減少傾向。•
大規模小売店や総合病院などのサービス業、日本の中古品 を扱う小売業などに広がり。【注目ポイント】
•
熟練労働者不足(識字率78%)•
国政選挙(2018年)、賃金上昇•
中国によるインフラ開発ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.品質管理の難しさ
76.3
2.原材料・部品の現地調達の難しさ73.7
3.従業員の賃金上昇69.7
4.従業員の質
62.9
5.通関等諸手続きが煩雑
44.8
【日本企業進出状況】
•
低廉で豊富な若年労働力、各種恩典を活かし、縫製業を中 心とした労働集約型企業が進出している。• 2000年代後半以降、「タイ+1」として、電子部品や自動車部
品などの軽工業の進出も見られる。
•
その他、イチゴ、シイタケ、花きなどの栽培のほか、漢方薬の 原料生薬の栽培と生薬調製加工を行う企業も進出。【注目ポイント】
•
日系中小企業向け特区•
ラオス‐中国鉄道(一帯一路)•
増加する個人所得(ビエンチャンは4,784ドル)
ジェトロ進出日系企業実態調査(
2016
) 経営上の問題点%
1.品質管理の難しさ
81.8
2.従業員の質
72.2
3.原材料・部品の現地調達の難しさ
63.6
4.人材(中間管理職)の採用難50.0
5.通達・規則内容の周知徹底が不十分47.1
1.ASEANに関する基礎知識 2.日本企業の投資推移
3.国別のポイント
4.まとめ
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
100 中期的(今後
3
年程度)有望事業展開先国の得票率推移中国 インド タイ ベトナム インドネシア
拮抗している