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アルミ・銅事業部門の技術開発動向高橋 徹

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神戸製鋼技報/Vol. 62 No. 2(Oct. 2012) 1

■特集:アルミ・銅  FEATURE : Aluminum and Copper Technology

(巻頭言)

アルミ・銅事業部門の技術開発動向

高橋 徹

代表取締役副社長 アルミ・銅事業部門長

R&D State of the Art in Aluminum and Copper Business

Tetsu TAKAHASHI

 アルミ・銅事業部門はアルミ板,押出,鋳鍛,銅板,

銅管の 5 分野の事業を中心に展開している。それぞれの 事業ではオンリーワン製品を数多く実用化しており,既 存ビジネスではアルミ缶材,コンピュータディスク用基 盤,表面処理フィン材,自動車用アルミパネル,高精度 厚板,電磁成型活用バンパ,ABSハウジング,高強度軽 量アルミ鍛造サスペンション,民間航空機用大型Mg砂 型鋳物,KFCからスタートした高強度・高導電率の半導 体,端子用銅合金,高性能内面溝付き銅管,および高強 度合金銅管などである。

 こうしたアルミ・銅事業部門のオンリーワン製品につ いては既にR&D神戸製鋼技報にて報告されている。今 回の技報では,アルミを中心に銅・マグネ合金の素材を 需要家で適用するための幅広いソリューションについて 報告する。また生産技術関連では,モデル式を活用し従 来と比べて熱間圧延での温度のバラツキを1/3に縮小し たセットアップ技術,銅板工場での通過設備負荷の見え る化,システム活用による物流整流化,設備能力の最大 活用についても紹介する。

 先ず製品関連では,これまでのオンリーワン製品に加 え,近年は軽量のアルミ材料を輸送機に適用し炭酸ガス 排出量を低減する取組が強化されている。アルミ材料は 競合する鉄鋼材料と比較して軽量化効果は大きいもの の,成形性,材料コスト,接合性などでは劣位にあり,

こうした課題を解決しないとアルミ材料の適用可能範囲 を拡大することは難しい。アルミ・銅事業部門ではアル ミ材料の適用範囲を拡大するため,シミュレーションに よる実部品での成型可否を先ず検討し,その結果,適用 可能材料の選定,またプレス加工では金型の難加工部の 変更,改善成型条件の提案,潤滑方法の改善などを行っ ている。

 コストに関連する項目としては素材強度アップによる 素材薄肉化の効果が大きく,そのために現在,自動車用 パネルに適用されているAl-Mg-Si系合金のベークハード 性向上材を開発し実用化している。ベークハード材はプ レス加工時は柔らかく加工が容易である一方,加工後の 塗装・焼付けで材料が硬化して必要な強度が得られる。

現在ではさらに,ヘム加工性(曲げ加工性)を向上した 時効による強度変化が少ない材料も実用化している。

 こうしたベークハード材の適用により,従来の素材使用

のアルミパネル比10−20%の軽量化が可能となっている。

 接合法の改善については,新開発のフラックスコアー ドワイヤを用いてアルミ/鉄の異材接合が可能となって おり,アルミ材適用部品の拡大,組立生産性向上やコス トダウンが期待される。また,溶接以外のかによる 接合も技術的に可能としており,適用部材の拡大を目指 している。

 一方,アルミ/鉄鋼材料を併用した場合,塗装焼付け 時に線膨張率の差に起因する熱変形が問題となる部材も ある。当社では,シミュレーション技術による熱変形に 関する設計因子の影響を明らかにして実用化への指針と している。

 つぎに,銅関連の素材の改善,改良については,いず れも特性の向上による適用可能範囲の拡大や信頼性向上 に結びつく報告である。銅板関連では高温化でのばね接 圧低下を抑制する材料CAC5を開発し,その改善のメカ ニズム(ばね弾性を低下させる転位運動を固溶元素で止 め,さらに固溶元素を高温化で動きにくくする固着方法 を開発・実用化)を明確にした。

 また近年,銅原料の価格が高騰し,需要家からのコス トダウン要求が強くなってきている。高強度銅管用材料 の開発はそうした要求に的確に対応するものであり,管 の薄肉化によるコスト削減が可能となり適用拡大を図っ ている。また,そうした材料の規格化も当社中心に進め ている。

 生産技術の開発では,高品質に加えて高生産性の確保 が重要であり,予測モデルを活用した自動化運転技術の 確立がキーとなる。また,操業の情報を正確に収集し的 確にプロセスをコントロールすることが重要であり,在 庫管理,生産管理のシステム化を含めて開発・実用化を 進めている。

 上述したように,アルミ・銅事業部門では需要家の要 求する特性を網羅しながらさらにQCDS(品質,コスト,

供給,サービス)を加味したオンリーワン製品を強化して 行く所存である。そのためには,製品開発,生産技術の 両面から技術開発を強化して行くことが重要であり,事 業部門内の研究,事業所の技術者に加えて技術開発本部 の支援を得て開発を強化して行きたいと考えている。

参照

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