経済学講義の理解度向上を目指したオンライン・リ アクションペーパーの開発と実践
著者 巽 靖昭, 澤口 隆
著者別名 tatsumi yasuaki, Sawaguchi Takashi
雑誌名 経済論集
巻 40
号 1
ページ 73‑85
発行年 2014‑12
URL http://id.nii.ac.jp/1060/00006893/
東洋大学「経済論集」40巻1号2014年l2月
経済学講義の理解度向上を目指した
オンライン・リアクションペーパーの開発と実践
靖 昭 ・ 澤 口 隆
記華︿
l . は じ め に
2 . リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー と は
3.Moodleを用いたオンライン・リアクションペーパー 3.1学習管理システム(Moodle)
3 . 2 オ ン ラ イ ン ・ リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー ・ モ ジ ュ ー ル の 開 発 4.ミクロ経済学での実践
4 , 1 オ ン ラ イ ン ・ リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー を 活 用 し た 学 習 サ イ ク ル 4.2実践結果の統計分析
4.3授業評価アンケートの結果 5 . ま と め
1 . は じ め に
中央教育審議会(2012)・答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」
求められる学士課程教育の質的転換として次のように提言がされた。
では、
/笙涯にわたって学乙ル瀞ける力,主が的に考える力を芽ったノ(〃ば、堂生からみて受動〃な裁 育の場でば言域することができない。従茨のような知識の伝達・益ノ(を喰心とした授業から、
教員と堂生か意預疏通を図〃つつ、一瀞になって切瑳琢湾L祖互に測徴を与えながら効的に 成長する場を劇ク、堂生が主が〃に〃題を発尾し解を易いた、していぐ能動的学修(アクテブブ・
ラーニンクツヘの転蕊刀泌要である。停7膳ソ堂生には襄前繕傭・授業受講・雲凌展嚴を通し て主駄勿な学修に要する総学修時荷の確疾か不可欠である。一方;教育を撞当する教員の〃Kご ば、堂生の主撤酌な学修の確立のために、教員と堂全あるいば堂生同士のコミュニケーション を駁〃入れた授業方法の̲工夫、ナ分な授業の準臆堂生の学修へのきめの〃かい支援など>ぅj茨 めら打る°ノ
また、平成25年5月28日に出された教育再生実行会議・第三次提言「これからの大学教育等の 在り方について」では、学生の能動的な活動を取り入れた授業や学習法(アクテイブ・ラーニン グ)、双方向の授業展開など、教育方法の質的転換を大学に求めている。これらを受けて文部科学 省は、平成26年度予算で「大学教育再生加速プログラム」(AccelerationProgramforUniversity EducationRebuilding:AP)をスタートさせた。対象事業として、I)アクティブ・ラーニング、Ⅱ)
学修成果の可視化、Ⅲ)入試改革・高大接続の3つのテーマを掲げ、最大5年間の事業補助期間を 予定している。
溝上(2007)は、アクテイブ・ラーニングを「学生の自らの思考を促す能動的な学習」と定義し、
知識の伝達を主とした従来の講義形式に対して、知識の活用を目的としたPBL・創成授業等を目的 とした 高次のアクティブ・ラーニング と、知識の定着・確認を目的とした演習・実験等の 一 般的なアクティブ・ラーニング とを区別している。
東洋大学経済学部では、欧米等で一般的に取り入れられている「モジュール科目」(河合塾、
2011;清水、1998)をモデルとして、経済学基礎科目の理解と習得を目的とした教育カリキュラム を構築・実践している(巽ほか、2012)。学生は、「講義」と「演習」をセットで受講し、溝上(2007) のいう 一般的なアクティブ・ラーニング によって知識の定着をはかっている。これらに加えて、
授業後の時間外学習として、学習支援システム(LMS)を用いたeラーニングによるドリル型反復 問題をホームワークとして学生に課している(児玉ほか、2011)。更に、理解度や学習意欲の低い 学生に対する補習を目的とした サポート・デスク を設置し、きめの細かい学修支援体制を構築 している(児玉・巽、2014)。我々はこうした 講義 − 演習''‑6Ceラーニング − サポート・
デスク の4段階の教育システムを構築し、これまでに、主に後者3つ("演習''‑・6eラーニング
− サポート・デスク")に関するアクティブ・ラーニング型授業としての改善に取り組んできた。
本論文では、親科目となる 講義 をアクティブ・ラーニング型授業とする試みとして、オンライ ン・リアクションペーパーを開発し、実際の経済学基礎科目で実践した結果を報告する。
2 . リ ア ク シ ョ ン パ ー パ ー と は
リアクションペーパー(minutepaper、half‑sheetresponse)は、アメリカの大学で広く使われ る方法で、カリフオルニア大学バークリ一校の物理学の講義で最初に採用されたと方法とされてい る(Stead,2005;Zeilik,2003)。講義の終わり1,2分間を使用し、
1.今日学んだ事柄のうち何が最も重要であると思いますか?
2.今日のクラス講義の終わりに、真っ先に心に浮かんだ疑問は何ですか?
経 済 学 講 義 の 理 解 度 向 上 を 目 指 し た オ ン ラ イ ン ・ リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー の 開 発 と 実 践
等の質問の答えを提出させ、学生の理解度を把握するものである(Davisetal.,1983)。リアクショ ンペーパーを利用することによりStead(2005)は潜在的に以下の利点があるとしている。
[メリット]
1.講義中の重要な箇所を決めるため、学生が集中して講義を聞くようになる。
2.学生にふりかえり(リフレクション)を促す。
3.学生の文章力を向上させる。
4.教員が学生の理解度を把握でき、次の講義で補足説明の材料にできる。
5.教員が当該講義や将来の講義の進度設定の参考にできる。
また、リアクションペーパーに関する実証研究も行われており、ChizmarandOstrosky(1998) では、571名を対象とした初年次経済学の多肢選択問題において、リアクションペーパーを用いて 教育を行ったグループが用いなかったグループよりGPAの影響を取り除いても、有意に得点が高 かったことを示した.またAlmeretal.(1998)は、会計学の入門講義で、(採点を行わない)リア クションペーパーを書いたグループは、書かなかったグループより有意に得点が高かったことを示 した。
ただし、大教室講義でリアクションペーパーを使用する場合、以下の様なデメリットが考えられ る。
[デメリット]
1.講義時間中において、用紙の配布・回収に時間がかかる。
2.全てに目を通したうえで、学籍簿に記録する教員の負担が大きい。
3.優れたペーパーを全学生に紹介するなどのフィードバックがやりにくい。
大教室講義において紙ベースのリアクションペーパーを用いることは、配布・回収・記録にかか る時間労力が大きく、現実的ではない.児島(2013)では学内のLMSにおいて、提出されたリアクショ ンペーパーを一覧表示し、採点を行えるシステムを紹介している.児島(2013)で用いられたシス テムでは(大人数講義であっても)短い文であれば斜め読みができ、次回の授業時間でコメントや 注意を与えると極めて効果的であるとしている。
3.講義科目へのオンライン・リアクションペーパー導入の経緯
我々は、経済学基礎科目の習得にあたり 講義"− 演習''‑C6eラーニング"−"サポート・デスク の4段階の教育システムを構築・実践してきた。演習においてはlクラス50‑80名程度に設定し、
学生10‑15名あたり1人の学生アシスタント(以下SA)を配置することで実質的に少人数教育を行い、
学 生 と 教 員 ・ S A と の 双 方 向 性 を 実 現 し て い る 。 し か し な が ら 、 対 応 す る 講 義 科 目 に お い て は 講 義 内容の「ばらつき」を無くすためと、人的資源の制約のため、1学年(300名程度)1クラスの大 教室講義を行っている。知識伝達型の大教室講義において、教員は学生の理解度の把握が難しく、
出席する学生も教員に対して自分の考えや不明なところをフィードバックすることが難しい。教員 と学生との双方向性を確保し、学生の理解度を進化させる試みとしてリアクションペーパーが国内 外で使用されている。しかしながら履修者300人を超える講義での実践例は少なく、前節デメリッ トにある障害がある。そこで教員の採点負担を考盧したオンライン・リアクションペーパーを開発 した。
加えて、経済学の学問的性質もオンライン・リアクションペーパー導入に至った理由である。一 般に経済学は数学を思考ツールとして用い、様々な経済現象を「ことば」「数式」「図」の3つを用 いて分析する。1節で述べたように、我々は経済学基礎科目の習得を目的とし、"講義 一 演習 − Gdeラーニング − サポート・デスク という4段階の教育システムを構築実践し、演習とeラー ニングは数式と図に関するトレーニングを主に行ってきた。しかしながら、数式や図による問題が 解けても、それが実際に何を意味するのか理解できていない、あるいはことばで説明できない学生 は多い。数学を思考ツールとして用いた講義を行う際の問題点を川添(2012)は以下のように述べ ている。
数学裁員は数式やグラフの/読み書き/に長けていて ;それらを解いた記述うj瀞潔でわか〃や すいという感営か身についているために、数式やグラフなどの/謝学ごとば/を"いた諒鰕を し が ち で あ る 。 し か L 数 堂 が 害 手 な 堂 生 は 数 式 や グ ラ フ か 麦 す 琴 た つ ' 」 て 豐 冨 な ブ メ ー gジ>ク嚥いため,日常的なことばでばなぐ、数式やグラフを戯礎した/溌学ごとはソてう語ら打る と、〃を意味しているのかを理鐸することか鰯になる。
そこで講義科目でわれわれは「図」−「数式」と「ことば」をつなぐ゙「ふりかえり」ををさせ、
経済学理論の理解を進化させることを目的に、講義後にオンライン・リアクションペーパーを実施 するに至った。
3.1Moodleとは
Moodleは、1999年からMartinDougiamasによって開発が進められ、GNU/GPLライセンスで配 布されているオープンソースLMSである(Moodle,online:index.php)。公式サイトでは、Course ManagementSystem(CMS)という呼称が用いられており、コース管理の柔軟性と機能の充実さ が特徴である。日本の大学でも、駒澤大学や三重大学を始め、100校以上の大学でMoodleが導入さ
経 済 学 講 義 の 理 解 度 向 上 を 目 指 し た オ ン ラ イ ン ・ リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー の 開 発 と 実 践
れている。
東洋大学経済学部では、2010年度からMoodleを活用した学習支援システムを学内で独自に管理 している。TEES(Toyouniv.,facultyofEconomics,E‑learningSystem)と名付けられたこのシ ステムを活用して、経済学基礎科目の学修支援とブレンディッドラーニングを実践している(児玉 ほか,2011;巽ほか,2012)。
2014年9月22日現在、リリースされているMoodleの最新バージョンはMoodle2.7.1である。TEES は2014年4月にアップデートを行い、2014年度はMoodle2.6.4+で運営がされているが、それ以前
(2013年度以前)は旧バージョンとなるMoodlel.9.3を利用していた。これは、推薦入学生に対す る入学前教育(澤口・児玉2013)で利用していたUPO‑Net教材を利用するためのモジュールが、
Moodlel.9までしか対応していなかったことが理由である。Moodleは、バージョンlとバージョ ン2で大きな変更があり、デフォルトで設定されているモジュールにも変更が加えられている。レ ポートやオンラインテキストを提出するための課題モジュールに関しては、Moodle2.3以降で大き な修正があった。Moodle2.3には、以前の課題モジュールを書き直して作成した新しい課題モジュー ルと、従来の課題モジュール(区別して課題(2.2)と表記されている)の2つがプレインストー ルされている(MoodleAssignmentmodule,online:Assignmentmodule)。
3.2オンライン・リアクションペーパー・モジュールの開発
2節で概説したリアクションペーパーを、授業時間内に学生に記入させるのではなく、授業時間 後に、Moodleを利用して講義の要約としてまとめさせ、オンラインで提出させるためのオンライン・
リアクションペーパー・モジュールを開発した。
Moodleの既存のモジュールをそのまま利用してリアクションペーパーとして提出をさせるには、
課題モジュールを用いるのが1つの方法として可能である。課題モジュールには、i)ファイルのアッ プロード、ii)オンラインテキスト、iii)オフライン活動、の3つの提出方法があり、リアクションペー パーのような、数百文字程度の短文テキストの提出であれば、ii)オンラインテキストが適当である。
課題モジュールには、Moodle2.3以降で導入された新しい課題モジュールと、Moodle2.2以前に利 用されていた課題(2.2)モジュールの2つがあるが、オンラインテキストの提出方法に関しては
大きな違いはない。学生は、ブラウザに表示されているテキスト記入欄(フォーム)に、直接テキ
ストを入力する形式でアップロードする。
リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー の 目 的 で こ の 課 題 モ ジ ュ ー ル を 利 用 す る 場 合 、 提 出 さ れ た リ ア ク シ ョ ン ペーパーを教員が評価する際に、若干の問題が発生する。Fig.1が、教員が、課題(2.2)のオン ライン提出課題を一覧表示させた一例である。
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Fig.1課頴(2.2)のオンライン提出課題、一覧リスト
履修学生毎に2行ずつのリスト表示がされ、左から、学生氏名、評点、コメント、提出されたオ ンラインテキストと最終更新日時(学生)、最終更新日時(教員)、状態、最終評点、が表示されて いる。教員は、評価欄に評点とコメントを入力していくが、学生が提出したオンラインテキスト表 示欄を見ると、文頭の最初の2〜3文字のみが表示されているだけで、それ以降は省略がされてい る。このテキストにはハイパーリンクが設定されており、これをクリックすることで、テキストの 全文がポップアップ・ウィンドウに表示される(Fig.2)。
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Fig.2課題(2.2)のオンライン提出課題ポツプアツプ表示
経済学講義の理解度向上を目指したオンライン・リアクションペーパーの開発と実践
学生が提出したリアクションペーパーを、1つ1つポップアップ表示させて教員が評価をしてく ことも可能であるが、300名近い講義履修者全員のリアクションペーパーを、この形式で評価する ことは、時間的効率が悪い。そこで、課題(2.2)モジュールをベースに、新しくオンライン・リ アクションペーパーモジュールを作成し、TEESに導入した。変更点としては、i)アップロードさ れたテキスト全文を一覧表示でも表示させ、ii)それに合わせたオンラインテキスト表示領域を拡 張する、の2点である(Fig.3)。
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教 員 評 価 欄 オ ン ラ イ ン テ キ ス ト 表 示 鰯
(評点。コメント〉(テキスト全文が表示されている)
Fig.3オンライン・リアクシヨンペーパー表示例
これによって、教員は提出されたリアクションペーパーの全文を一覧表示の形式のまま確認する ことができ、そのままページ遷移をすることなく、評定やコメントを記入することができる。また、
タブレット端末でも同様の一覧表示が可能となるため、教員は通勤や移動時間にも、リアクション
ペーパーの確認と評定を行うことができる(Fig.4)。児島(2013)のいう 斜め読み"が可能となり、効率よく評価とコメントのフィードバックを行うことが可能となった。
−
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Fig.4タブレット端末(Nexus7)で表示したリアクシヨンペーパー
4.ミクロ経済学での実践
4.1オンライン・リアクションペーパーを活用した学習サイクル
オンライン・リアクションペーパーの有効性と改善点を明らかにするため、2013年度2年次必修 科目「ミクロ経済学」(履修者359名)において試験運用を行った。「ミクロ経済学」は春学期集中 30回で行われる。講義は伝統的な座学方式で行われ、原則的に毎講義後、
「本日の授業を聞いて要点だと思うところ200字程度に整理して書いて下さい。また、講義内容に関 して要望.感想があれば書いて下さい。もう一度説明して欲しい内容等でも結構です(要点整理 200字程度十要望・感想)。」
という課題をTEES上で課した。締め切りは翌日の0:00までとした(例講義日が6/1の場合は6/2 0:00が締め切り)。一般にリアクションペーパーは講義の最後に行うが、図や数式を用いて説明す るミクロ経済学の内容を、自分の言葉で「ふりかえり」を行う時間を充分に与えたかったため、授 業外の課題として行った。
教員は次回講義までに課題の採点を行い、明らかに文字数の足りないもの(150字以上を基準と してクラス内で周知した)、webサイトからの明らかなコピー、学生同士の明らかなコピーは0点 とした。採点はFig.4の様な画面を見ながらタブレット端末(iPad3)かコンピュータを用いて行っ
経 済 学 講 義 の 理 解 度 向 上 を 目 指 し た オ ン ラ イ ン ・ リ ア ク シ ョ ン ペ ー パ ー の 開 発 と 実 践
た。コメントを返すのは一部であるが、毎回およそ10%程度の学生にコメントを返し、毎回できる だけ違った学生にコメントを返すようにした。筆者の場合およそ100名の採点をコメントの入力も 含めて45‑60分程度で行えた。
また、優れたリアクションペーパーと改善を要するリアクションペーパー(0点のものを含む)
を次回講義初めに匿名で投影した(3〜4件程度)。リアクションペーパーに書かれた質問に答え たり、講義についての要望に答えたりする時間をとった(10〜20分程度)。
成績評価の際にはリアクションペーパーは救済措置としてのみ用いるとシラバスにて学生に告知 し、試験の点数のみで評価を行うと不可(D)となってしまう学生にリアクションペーパー提出回 数により加点し、成績評価を行った。
4.2実践結果の統計分析
30回の講義実施日のうち、2回の中間試験と問題演習日2回を除いた計26回でリアクションペー パーを課題として出した。
Tablelリアクションペーパー堤出数
日付 4/8 4/11 4/15 4/18 4/22 4/25 4/29 5/2 5/6 5/9
提出数 238 259 245 241 235 222 224 178 193 218
1点 230 254 237 228 217 215 206 169 187 215
0点 8 5 8 13 18 7 18 9 6 3
日付 5/13 5/16 5/20 5/23 5/27 5/30 6/3 6/6 6/10 6/13
提出数 206 186 1St 189 171 190 168 179 180 169
1点 195 176mindterm
181 163 180 158 167 174 162
0点 11 10 e x a m 8 8 10 10 12 6 7
日付 6/17 6/20 6/24 6/27 7/1 7/4 7/8 7/11 7/18 7/22
提出数 156 151 179 161 2nd 146 127 88
1点 152 143 170 152mindterm 142 120 85 問題演習 問題演習
0点 4 8 9 9 e x a m 4 7 3
第1回中間試験までは履修者の2/3程度が出席し、リアクションペーパーを提出していたが、
講義期間の中盤から終盤にかけては提出数が減少してしまった(7/llは質問日として出席自由と 周知した)。以下に、第1/2回中間試験(マークシート箇所/記述箇所)及び期末試験(マークシー
トのみ)と、各試験範囲を扱った期間のリアクションペーパー堤出回数との相関係数を示す。
Table2堤出回数と試験得点の相関係数
**1%水準有意
リアクションペーパー堤出回数と、それぞれの提出期間の内容が試験範囲になっている試験との 相関係数はそれぞれ0.339,0.269,0.314であり、すべて1%水準で有意な係数である。
リアクションペーパーを多く提出する学生はもともと勤勉であるから、その勤勉さ故に有意な相 関が出ている可能性があり、実際(2)5/23‑6/27堤出回数と、(2)の期間が試験範囲ではない第1 回中間試験の間に、第2回中間試験との相関係数(0.269)よりも大きな相関係数(0.302)が出て いる。ただし(2)の期間リアクションペーパーを全提出したグループ(n=45)と、それ以外(第 1回n=285,第2回n=262)で、第1回中間試験と、第2回中間試験についてそれぞれ平均値の差の 検定をおこなうと、第1回試験においては差が有意ではないが(t=1.589,p>0.05)、第2回中間試 験においては1%水準で有意な差が出る(t=3.544,p<0.01)。
4 . 3 授 業 評 価 ア ン ケ ー ト の 結 果
ミ ク ロ 経 済 学 に つ い て 行 っ た 授 業 評 価 ア ン ケ ー ト の 自 由 記 述 欄 に か か れ た 、 リ ア ク シ ョ ン ペ ー パーについて書かれた全ての回答を下記に示す。
帥副on画跡⑨
多少の救済措置が得られること。
救済措置があること。
リアクションペーパーの提出と授業中に解いた問題が良い点だと思います。
毎回のTEES課題も復習に使えて良いです。
学生の意見もteesを通して話を聞いてくれる。
出席者が有利になる授業展開(が良い)。
ネット(TEES)を活用することで復習ができる。
( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) (1)4/8‑5/16相関係数
堤 出 回 数 観 測 数 (2)5/23‑6/27相関係数
堤 出 回 数 観 測 数 ( 3 ) 全 期 間 相 関 係 数
堤 出 回 数 観 測 数 ( 4 ) 第 1 回 相 関 係 数
中 間 試 験 得 点 観 測 数
( 5 ) 第 2 回 相 関 係 数 中 間 試 験 得 点 観 測 数 ( 6 ) 期 末 試 験 相 関 係 数
得 点 観 測 数
1.000.804** .934拝 .339** .302** .339**
3 6 2 3 6 2 3 6 2 3 3 0 3 1 2 3 1 5 1.000.957秤 157** 、269稗 、274**
3 6 2 3 6 2 3 3 0 3 1 2 3 1 5 1.000.237** 、283善 、314**
3 6 2 3 3 0 3 1 2 3 1 5 1.000.628** .640棒
3 3 0 3 0 2 3 0 7 1.000.609**
3 1 2 3 0 5 1.000 315
経済学講義の理解度向上を目指したオンライン・リアクションペーパーの開発と実践
H) TEESの課題は良いと思った。ちゃんとその日に習ったことを自分で見返すので、しっかり と頭に入れる事ができる。
(リアクションペーパーを読みながら)前回の範囲も軽く復習してくれるので理解しやすい 点。
復習の時間や問題を解く時間がある。
欠席者やサボっている人に対しての対処が少し甘い気がします。
結局ほぼ全てテストで成績をつけるならば、出席はいらない気がする。取るならもっと比率 を増やしても良いと思う。
最初レスポンスシート堤出の回線がとても重かった。(改善済みだが、未だ重い時が時々あ る。)
リアクションペーパーに対するリアクションの時間を少なくしてほしかった。
最初のリアクションペーパーの紹介は必要ないと思う。
せっかく出席していても、TEESをやりわすれてしまうことがあったので、提出時間を伸ば してほしいと思います。
リアクションペーパーの負担が大き過ぎる。
I)
刀幻︑
M)
叩①②
Q)
5 . ま と め
今回、ミクロ経済学講義で実施したオンライン・リアクションペーパーの堤出回数と試験結果の 統計分析および、授業評価アンケートの肯定的回答から考えて、オンライン・リアクションペーパー は、学生の主体的な学修への動機付けと知識の定着に一定の効果があったと考えてよいであろう。
通常のリアクションペーパーは、ミニットペーパーとも呼ばれる通り、授業時間内の短い時間で学 習内容をまとめる、または疑問点を書き留めるのに対し、今回のオンライン・リアクションペーパー は、講義終了後の同日中に学生自らが講義内容のふりかえりを行い、200字の文章にまとめるとい う作業を課している。これによって、学生は講義を集中して聞き、講義後に自分自身で知識を再構 築して文章化する能力を高めることができる。学位の質保証と単位の実質化が求められている日本 の高等教育において、こうしたウェブ技術を活用した学修活動の管理は、ブレンディッドラーニン グの一形態として有効である。
リアクションペーパー実施当初、若干であるが、ほぼ同一内容のリアクションペーパー(いわゆ るコピー&ペースト)を提出する学生がいた。容易に複製の可能なデジタルデータではこうした行 為は安易に行うことができ、学生の罪悪感も小さいのかもしれないが、これに対しては、講義の最 初に注意をして抑止するよう心がけた。
学生のアンケートには、「リアクションペーパーの負担が大き過ぎる」という声もあり、実際に
セメスターの前半は出席率およびオンライン・リアクションペーパーの提出率は2/3以上で高く 推移したが、後半はオンライン・リアクションペーパーの提出率が減少してしまった。提出された リアクションペーパーの中で、優れたまとめを翌週の講義の最初にスクリーンに表示をして紹介す ることで、うまくまとめられない学生の参考にしてもらうなど、講義と一体となった運用を心がけ たが、授業時間外の学修のモチベーションを如何に持続させるかが、今後の課題である。
週2回の毎回の講義後に100〜200名程度の学生が提出したリアクションペーパーを確認し、そ の一部ではあるがコメントを記入する作業は、教員にとっても負荷の高い作業である。今回のオン ライン・リアクションペーパー・モジュールの開発は、この負荷をいかにして下げるかが課題であっ たが、リアクションペーパーの一覧全文表示による可読性を上げることでこれを実現した。今後の 改良点としては、入力文字数の自動カウント機能や、一括評点登録機能などの追加が考えられる。
18歳人口の減少に伴い、ユニバーサル・アクセス段階(マーチン・トロウ,1976)に入った日本 の高等教育は、2018年以降に更なる18歳人口の減少が予想されており(2018年問題)、大学はそれ ぞれの特色を出し、生き残りをかけた大学改革に不断の努力を積み重ねていかなければならない。
今回のようなICTを活用した教育改善を進め、学生の主体的な学修活動を実現するための教育手法 の開発に、継続的に取り組んでいきたい。
引 用 文 献
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経済学講義の理解度向上を目指したオンライン・リアクションペーパーの開発と実践
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