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工場内のスピーカの適正配置診断法 −快適な労働環境を作るために−

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Academic year: 2021

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工場内のスピーカの適正配置診断法

−快適な労働環境を作るために−

キーワード:音環境、放送設備、スピーカ配置、 コーン型スピーカ、ホーン型スピーカ

はじめに

  職場での労働環境を安全面だけでなく快適 性の面から見直そうという考えが注目されて 久しいのですが、実際に生産現場で取り組むと なるとなかなか思うようには進んでいません。

中でも音への対策が最も後手に回っていると 言えます。現場で働く人にとって、好ましくな い音として挙げられるもののひとつに放送音 があります。本来、スピーカはアナウンスの内 容を確実に伝えるためにその音量と音質に注 意を払わねばならないのに、 さまざまな音が 発生する現場では「伝えること」+「音量を大き くすること」と安易に考えられがちです。その ためたった一人を呼び出すために、工場全体に 聞こえるような大きなボリュームで放送され ていることがしばしばあります。このような音 環境では作業効率の低下のみならず、長期的に みて難聴などの問題が懸念されます。さらに、

スピーカの設置個所に関しても、現場の状況を 考慮した配置とは必ずしもいえないようです。

そのため場所によって聞こえ方にかなりの差 が生じ、結果的に放送設備としての用途が十分 に生かされていないことが多いようです。

ここではこのような問題に対して、工場内の 音環境を良好にするために現場に設置されて いる放送用スピーカに注目し、それらを適正に 配置するための診断方法を提案します。

スピーカ適正配置診断法

  スピーカの診断フローを図1に示します。

①  実際の現場は、消防法に規定されているス ピーカの個数を満たしている注)かどうかさえ あいまいなところが多いので、工場の平面図か ら実際のスピーカの設置場所と個数、その種類 などを確認します。

②  ②  工場内における音のレベルを調査す るために騒音測定を行います。この場合、工場 の規模つまり敷地面積によって残響時間の測

定も並行して行います。

③  ③  ②の結果から図2のようなコンター マップ(等音線)を作成します。これによって色 の濃いA点やB点のように、音のレベルに偏り があり、局所的に

騒音レベルの大き い箇所が視覚的に 把握できます。

④  作業者の作業 動線を目視あるい はビデオ撮影によ って把握します。

動線領域と騒音領 域が重なるかどう かをチェックし、

スピーカの配置対 策の必要性を検討

工場内の平面図

工場の規模 既設スピーカの

位置と個数の確認

狭い 広い

工場内の騒音測定

③ ④ ⑤

コンターマップ 残響時間の 作業者の 作業者の (等音線)の作成 測定 動線調査 意識調査

⑥ ⑦

周波数分析 スピーカの種類の選定と 受け持つエリアの決定

スピーカの数量・位置・方向の検討

スピーカの仮設置

アナウンスの明瞭度の評価

音量の調整

⑫ ⑬

コンターマップの 作業者の

バランス 再意識調査

⑭ 有

総合評価

⑮ 無

スピーカの位置決定 スピーカの数量・位置・方向の検討

   図2 スピーカ配置診断のフロー

(2)

します。

⑤  アンケートあるいは聞き取りによって、現 場の音状況やスピーカの効果に関する作業者 の意識調査をします。

⑥ ②の測定と並行して、室音を録音し周波数 分析を行い、現場の音の特色を把握します。

⑦ ③〜⑥をふまえて、スピーカの個数や位置 を法的通りにするだけでなく、現場内の音のレ ベルや作業者の人数に応じたスピーカの種類 を選定し、一つのスピーカが受け持つ適正なエ リアを決めます。

⑧  現場全体で必要なスピーカの数量を決め (仮設置するスピーカは当研究所で準備しま す)各スピーカの位置や方向を検討します。

⑨  スピーカの仮設置を行います。

⑩  仮設置したスピーカを用いて、アナウンス 時の明瞭度を音質の面から評価します。

⑪  明瞭度(音質)を考慮して、スピーカから出 力される音量の調整を行います。

⑫  工場全体の音響測定を行い、コンターマッ プのバランスチェックを行います。

⑬  作業者の意識調査を再度行います。

⑭  以上の結果を総合評価し、問題点の有無に よって、⑧あるいは⑮のステップに進みます。

スピーカの種類と比較

スピーカの選定に際して、スピーカを音の放射 機構で分類したものを表1に示します。通常、

現場で使用されることの多いホーン型スピー カは安価で丈夫ですが、その特性から音のバラ ンスは良いとはいえません。家庭で使用される ことの多いコーン型スピーカにも防砂・防滴設 計された消防法適合型の軽量のスピーカが開 発され、工場現場にも利用できるようになって います。

おわりに

現在、工場現場のスピーカの使い方には多く の問題が見られます。スピーカを有効に使用し 放送効果を良好にするために、スピーカの種類 や数量、適正な配置を考えることは、快適な職 場作りに貢献すると思います。

注)法的には、放送区域の広さによって異なります。  た とえば 100m2 以上の工場では、L級と呼ばれるスピーカ (スピーカ出力が 92dB(A)以上のもの)を半径 10mの範囲 内に1台設置することになっています。そのほか階段や廊 下、通路にも細かい設置基準が定められています。

作成者    システム技術部情報処理グループ  片桐真子  Phone:0725‑51‑2607 発行日    平成10年7月31日

参照

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