《原 著》
急性心筋梗塞再灌流例における risk area と
99m
Tc-sestamibi SPECT 逆再分布像の比較検討
田中 良* 藤森 研司** 伊藤 宣明* 岡田 泰尚*
中村 智晴*** 相馬 孝光*** 横井 久卓*** 今川 正吾***
晴山 雅人** 藤田 洽介***
*釧路市医師会病院放射線部
*** 同 循環器内科
**札幌医科大学放射線医学講座
要旨 99mTc-sestamibi は一般に再分布は少ないとされるが,急性心筋梗塞 (AMI) において梗塞巣に
逆再分布が見られることが報告されている.AMI 緊急 PTCA 症例 19 例を対象に,再灌流前にトレー サを静注する フリーズ法 で得られた発症時 SPECT 像と,発症後 5〜25 日以内の SPECT (post-PTCA 像) の早期ならびに後期像 (投与 4 および 6 時間後) を比較し,逆再分布が見られた後期像から risk area を推定し得るか否かを検討した.
再灌流領域の 85% で逆再分布が見られ,発症時像と post-PTCA 像の各領域ごとの %uptake は,直線 回帰で経時的に原点を通る傾き 1 の直線に近づき,6 時間後像では相関係数 r=0.88 を示した.4 段階 の視覚評価でも,6 時間後像で発症時像と 77% の完全一致率を示した.
post-PTCA 6 時間後像は過小評価ではあるものの,発症時の像と類似の画像を示す傾向があり,通常 の早期像と合わせて,risk areaおよび salvaged area の推定に役立つと思われた.
(核医学 36: 229–236, 1999)