リハビリテーション科学
東北文化学園大学 リハビリテーション学科 紀要 第7巻 第1号 2011年3月
視覚認知課題がアルツハイマー型認知症者に与える影響
:リハビリテインメントマシンを用いた試行より
浅野 朝秋
1)石川 隆志
2)1
)東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科作業療法学専攻
2)秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻作業療法学講座
要旨
認知症者に対する視覚認知課題を用いたリハビリテーションに関する先行研究では,重度者に関する 報告は少ない.これは,重度者に対して適切な難易度の課題を設定することが困難なことも一因と考え られる.本研究ではワニワニパニック
RT(
RT)は重度者でも実行可能な課題ではないかと考え,アル ツハイマー型認知症者および非認知症の高齢者各
10名に対し,週
1~
2回の頻度で計
24回実施した.
結果,
HDS-R各項目および模写課題成績に有意な変化は無かったものの,重度者においても課題遂行
自体は可能になり,実験に対する経験の有無を問う質問にも正しく解答できる傾向が認められた.また
RT
得点と
HDS-R得点間には有意な正の強い相関を認め,中軽度者の
RT得点は有意に増加し最終的に
非認知症者に接近したのに対し,重度者における
RT得点は微増に留まり有意差はみられず,反応時間 短縮・手続き記憶形成に関する注意および
Working Memoryの関連が示唆された.
【キーワード】 視覚認知課題,認知症,手続き記憶
Ⅰ.はじめに
認知症者に対する視覚認知課題を用いたリハ ビリテーションに関する先行研究では,課題遂 行成績(反応時間・正答率等)および改訂長谷 川 式 簡 易 知 能 ス ケ ー ル ( 以 下 ,
HDS-R) や
MMSE(
Mini-Mental State Examination)の 得点が有意に上昇した報告が複数存在する
1)2)3)
.しかし課題の難易度が比較的高いためか,
その対象者は軽症者に偏っており,また注意以 外の認知機能に与える影響に関しては詳述され ていない.
また,平成21
年
12月に熊本県では,リハビ リテインメント機器のひとつであるバンダイナ ムコゲームズ社のワニワニパニック
RTが認知 症予防事業の補助金対象機器として認定された.
同機による介入効果としては,禰占ら
4)が前頭 葉血流の増加と光刺激に対する反応時間の短縮 という
2点を報告しているものの,対象者の認 知機能の変化に関しては詳述されていない.
本実験では,重度な認知症者においてもある 程度操作可能と予想した視覚認知課題としてワ ニワニパニック
RTを用い,その継続的な使用 が記憶や注意などの認知機能,および実生活に おける身辺処理や対人交流などに関してどのよ うな影響を与えるのかを評価し,視覚認知課題 を用いた認知機能訓練の可能性について検討し たので,以下に報告する.
Ⅱ.方法
1.対象
[原著
]通所介護施設および小規模多機能型居宅介 護事業所の利用者で,主治医意見書にアルツハ イマー型認知症
(AD)の診断名がある方,および アルツハイマー型認知症の診断を受けて通院 中の方,合計
10名を対象
(平均年齢
81.7±3.1歳 以下,認知症者
)とした.重症度は臨床的認知症 尺度
(Clinical Dementia Rating:以下
CDR)が
3の者
5名,
CDR2が
4名,
CDR1が
1名であ り,実験直前の
HDS-R平均は
7.9±7.1点であ る
(22~
0点
).また,操作的に今回の被験者
10名を,
HDS-Rが
10点未満の者(
n=5)を重度 者,
10点以上の者(
n=5)を中軽度者と定義し た.これにより
CDR3群は全員が重度者に相当 した.
さらに,比較対照として同施設の介護予防事 業に参加中の特定高齢者(将来的に要介護状態 になる危険性が高い高齢者)で,認知症の診断 が無い
10名(平均年齢
78.1±5.1歳 認知症者 との年齢有意差無し.ただし認知機能は未評価.
以下,非認知症者)に対して同一介入課題を実 施した.尚,認知症者・非認知症者ともにワニ ワニパニックの経験がある可能性はあるが,日 常的には実施していない.
また,本研究の実施にあたっては,全ての被 験者または被験者の御家族に書面にて本研究の 内容と施行方法等を説明し,書面にて同意を得 て実施した.
2.介入課題
視覚認知への介入課題として
ワニワニパニ ック
RTを用いた(図
1).ワニワニパニック
RTとは,アーケードタイプのアミューズメン トマシンであるワニワニパニックに対して,マ シン本体正面下部をカットし車椅子によるアプ ローチ性の改善や,マジックテープ付きの軽量 化ハンマーを採用し,把持機能が低下した者で も操作を可能にする改良等を施し,リハビリテ インメントの略称の
RTを名称に付加した機種 である.今回は
1名のみ車椅子座位で実施し,
他
9名は立位で実施した.音量は絞ってほぼ無 音の状態で実施した.
被験者はマシンに正対し,横一列に並んだ合 計
5つのレーンからランダムに出現して直進し て接近してくるワニを,上方からハンマーを用 いて叩くことで得点となる.一方,ワニが被験 者の手前のラインを越えると失点がカウントさ れる.得点から失点を減じたものが最終得点だ が,今回は純粋にワニを叩いた回数を
RTスコ アとして記録した.尚,得点が上昇する毎にワ ニの出現頻度や移動距離は変化し,難易度が自 動的に上昇するようにプログラムされている.
また得点が
40点以上になると時間が延長され る.総時間は得点が
40点未満では
60秒,
40点以上では
75秒程度である.
本課題を週
1~2回の頻度で実施し,全
24回 セッションをもった.1回のセッションで2回 ワニワニパニック
RTを施行し良い方のスコア を記録した.最初の
3回は慣れの期間とし,
4~
6回目の
RTスコアの平均を初期
RTスコアと し,
22~
24回の平均を最終
RTスコアとした.
3.評価課題
初回セッションの直前と直後,および最終回 セッションの直前と直後に,大まかな認知機能 の変化をとらえるために
HDS-Rを,および視 覚的な注意や認知・構成能力の変化をとらえる 目的で図形模写課題(
MMSEの「重なり合う五 角形」および
N式精神機能検査の「立方体透視 図」
)を実施した.模写課題の採点基準は
MMSE図1.ワニワニパニックRT
浅野朝秋・石川隆志
表
1模写課題採点基準
重 な り あ う 五 角形
3
点 五角形が
1カ所で交わる
2点 五角形が描かれている
1点 何かが描かれている
※
MMSEの基準
五角形が
1カ所で交わる(
1点)
立 方 体 透視図
3
点 立方体が正確に描かれている
2点 立方体が描かれている
1点 何かが描かれている
※
N式精神機能検査の基準
完全に書ける(
2点)何か書ける(
1点)
および
N式精神機能検査の基準に準拠しなが ら,変化を拾うために部分点を設けた(表
1)
.尚,
HDS-Rの「
5つの物品」記銘に用いる物品 は同一セッション前後では別々の物品を用いた.
また,全
24回のセッションの都度,エピソ ード記憶形成の有無を知る目的で「これをやる のは初めてですか?」という質問を実施した.
「やったことがある」という解答が
3セッショ ン連続した場合を,操作的に「本課題を実施し た記憶が定着した」と定義し
,「定着」までの所 要セッション数を記録した.
さらに,継続的な実験への参加が,対人交流 や意欲および身辺処理などに変化を与えるかを 評価する目的で,初回セッション開始前と最終 回セッション終了後に
N式老年者用精神状態 尺度
(以下
NM-SCALE)の採点を施設スタッフ と共に実施した.
4.統計処理および表記
HDS-R
得点,図形模写課題得点,および
NM-SCALE
の前後比較には
Wilcoxonの符号 付き順位和検定を用いた.また
RTスコアの前 後比較には対応のある
t検定を,認知症者と非 認知症者の群間比較には対応の無い
t検定を用 いた.さらに
HDS-R得点と
RTスコアの相関 係数の算出には
spearmanの順位相関係数を用 いた.統計解析ソフトには
SPSS Statistics 17.0 for Windowsを用いた.
表
2 HDS-R総得点と「
5つの物品」得点 上:
HDS-R総得点
下:「
5つの物品」
介入課題 実施前
介入課題 実施後
有意 差 初回セッション
7.9±7.11.7±1.6 8.6±7.0 2.2±1.7 NS
最終セッション
8.5±7.12.0±1.6 8.4±8.0 2.1±1.8 NS
有意差
NS NS表
3模写課題得点(
6点満点)
上:図形模写合計得点
介入課題 実施前
介入課題 実施後
有 意 差 中:重なり合う五角形
下:立方体透視図
初回セッション
3.3±1.8 3.2±1.9 NS 1.8±0.9 1.7±1.2 1.4±1.0 1.5±1.0
最終セッション
3.3±2.3 3.1±2.2 NS 1.7±1.4 1.7±1.3 1.6±1.0 1.4±1.0
有意差
NS NSⅢ.結果
1.
HDS-R得点
初回セッション前後,最終セッション前後,
および初回セッションと最終セッションの間で それぞれ総得点および下位全項目において有意 な得点差は見られなかった(表
2) .下位項目で は中軽度者に「
5つの物品記銘」に若干の上昇傾 向がみられた.また重度者においては,注意の 指標のひとつと考えられる数唱・計算項目にお いても得点困難だった.
2.図形模写課題
HDS-R
同様に全ての組み合わせにおいて,
合計得点およびそれぞれの課題において有意
な得点差は見られなかった(表
3) .重度者にお
いては,全評価時点において完全正答できる者
は皆無であり,セッション直後の評価では,む
しろ若干得点が低下する傾向がみられた.また
指示直後には鉛筆を持って課題に着手するも
のの,ほどなく途中で手が止まり,都度指示を
与えないと遂行困難な様子が観察された.
表
6介入課題を実施した記憶の「定着」に 要した平均セッション回数
セッション回数
HDS-R 1点 以 下
(n=3)
「定着」せず
※
2名には散在有り 同
6~
9点
(n=4) 8.8±9.3回
同
12~
22点
(n=3) 6.7±1.5回 4.介入課題を実施した記憶の「定着」
全
24回の実験を通じて,
HDS-Rが
6点以上 の者
7名全員に関しては,
HDS-Rの遅延再生 課題の成績が不良でも「定着」がみられた(表
6).一方で,
HDS-Rが
1点以下の
3名には最 後までエピソード記憶の「定着」は見られなか った.ただし,うち
2名には後半
12回目のセ ッションを経過してから散発的に「やったこと がある」という解答がみられた.エピソード記 憶の「定着」に要したセッション数と
HDS-R総得点間の相関を
spearmanの順位相関係数を 用いて算出したところ,
rs=0.772(p=0.009)と有 意な強い正相関がみられた.
5.
NM-SCALE24
回のセッションを通じて,初回セッション 前の得点
17.9±9.1に対し,最終セッション後は
18.8±9.5に上昇したが,有意差は認められなか った(
p=0.068,
z=-1.841).下位項目では
4症 例において関心・意欲・交流で
1ランク上昇し,
会話項目においても1症例が
1ランク上昇した.
上昇症例は,中軽度者にのみ認められた.当該 ケースに関して臨床的には,施設内における意 志疎通が改善や,周囲に対する注意や関心の向 上,他者に対する発話量の増加などが変化とし て観察された(表
7).
表
7認知症者における
NM-SCALEの変化
(
n=10)
NM-SCALE
有意差
初回セッション前
17.9±9.1最終セッション後
18.8±9.5 NSⅣ.考察
ワニワニパニック
RTを視覚認知課題として 用いた今回の介入の結果は,中軽度者と重度者 では異なる傾向がみられた.
まず中軽度者に関しては,有意差は無いもの の「5つの物品記銘」に若干の改善傾向を示し,
「関心・意欲・交流」もやや改善を示す者が存 在した.さらに介入課題を体験したエピソード の記憶も全員が持つことに成功し,介入課題に 対するスキルにも上昇傾向が見られた.これら は概ね先行報告と一致するものであった.
一方,重度者においては今回実施した評価課 題に関しては改善を示す項目は無く,むしろ図 形模写課題についてはやや成績が不良になる者 も存在した.そのなかで,重度者であってもエ ピソード記憶が定着した者が存在したこと,お よび介入課題自体は全員が遂行可能になったこ とは,重度者に関する先行報告が少ない中で新 たに得られた知見と考える.
1.「5つの物品記銘」および図形模写課題に対 する影響
今回,大部分の認知機能の評価結果に関して は,介入課題による顕著な影響は認められなか ったが,唯一「5つの物品記銘」に関しては,中 軽度者において若干の改善傾向がみられた.こ れは,四元や村山らの報告
5)6)と一致するもの である.これは課題が直後再生という点と,視 覚性の記憶課題ではあるものの,記憶するため に物品呼称を方策として用いる場合も多く,干 渉課題が入らない点で,聴覚性の直後再生課題 である「
3つの言葉」に類似しており,
HDS-Rの 課題のなかでは難易度が低いことと関連がある と思われる.しかし「
3つの言葉」の直後再生や, 聴覚性の注意と関連する「数唱」 「計算」に関し ては,ほとんど得点変動が見られないことから, 今回の実験課題によってなんらかの視覚的認知 機能,あるいは視覚的注意機能が選択的に賦活 されている可能性も否定できないと考える. 表
4 RTスコア比較
(初期vs
最終,認知症者
vs非認知症者
)初期スコア 最終スコア 有意差
認知症者
(n=10) 42.3±29.1 46.1±31.7
p=0.058 df=9 t=-2.714
非認知症
者
(n=10) 69.2±11.1 76.3±10.9 p=0.004 df=9 t=-3.295有意差
p=0.010 df=18 t=-2.716
p=0.001 df=18 t=-2.853
表
5 HDS-R総得点と
RTスコアの相関 初期スコア 有意水準 初回セッション前
HDS-R
総得点
rs=0.811 p=0.004
初回セッション後
HDS-R総得点
rs=0.832 p=0.003
最終スコア 有意水準 最終セッション前
HDS-R
総得点
rs=0.850 p=0.002最終セッション後
HDS-R
総得点
rs=0.881 p=0.0013.
RTスコア
24
回のセッションを通じて,認知症者と非認 知症者間および,初期RTスコアと最終RTス コアの間にそれぞれ,有意な得点差が認められ た(表
4).非認知症者においてはRTスコアが
69.2±11.1から
76.3±10.9に上昇し,介入期間 の前後で有意なスコア上昇が認められた.また,
認 知 症 者 の 同 ス コ ア は
42.3±29.1か ら
46.1±31.7へと増加し,有意差は見られなかっ たものの上昇傾向を示した(表
4).さらに,R Tスコアと
HDS-R総得点間には有意な強い正 の相関が認められる結果となった(表
5).
認知症者に関して詳細にみると,最終的には 最重度者を含む全ての被験者が,介入課題の遂 行自体は可能となった.重症度別には,中軽度 者にはRTスコアの上昇傾向が認められ,最終 的には非認知症者の成績に近似した.一方,重 度者における同スコアはほぼ横這いであり,小 幅な得点上昇に留まる結果となった(図
3).
図
3.
RTスコア
セッション経過とRTスコアの関係
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
セッション(回目)
RTスコア(点)
認知症者全体(n=10) 重度者(HDS-R<7 n=5) 中軽度者(HDS-R>10 n=5) 非認知症者(n=10)
初期 最終
浅野朝秋・石川隆志
表
6介入課題を実施した記憶の「定着」に 要した平均セッション回数
セッション回数
HDS-R 1点 以 下
(n=3)
「定着」せず
※
2名には散在有り 同
6~
9点
(n=4) 8.8±9.3回
同
12~
22点
(n=3) 6.7±1.5回 4.介入課題を実施した記憶の「定着」
全
24回の実験を通じて,
HDS-Rが
6点以上 の者
7名全員に関しては,
HDS-Rの遅延再生 課題の成績が不良でも「定着」がみられた(表
6).一方で,
HDS-Rが
1点以下の
3名には最 後までエピソード記憶の「定着」は見られなか った.ただし,うち
2名には後半
12回目のセ ッションを経過してから散発的に「やったこと がある」という解答がみられた.エピソード記 憶の「定着」に要したセッション数と
HDS-R総得点間の相関を
spearmanの順位相関係数を 用いて算出したところ,
rs=0.772(p=0.009)と有 意な強い正相関がみられた.
5.
NM-SCALE24
回のセッションを通じて,初回セッション 前の得点
17.9±9.1に対し,最終セッション後は
18.8±9.5に上昇したが,有意差は認められなか った(
p=0.068,
z=-1.841).下位項目では
4症 例において関心・意欲・交流で
1ランク上昇し,
会話項目においても1症例が
1ランク上昇した.
上昇症例は,中軽度者にのみ認められた.当該 ケースに関して臨床的には,施設内における意 志疎通が改善や,周囲に対する注意や関心の向 上,他者に対する発話量の増加などが変化とし て観察された(表
7).
表
7認知症者における
NM-SCALEの変化
(
n=10)
NM-SCALE
有意差
初回セッション前
17.9±9.1最終セッション後
18.8±9.5 NSⅣ.考察
ワニワニパニック
RTを視覚認知課題として 用いた今回の介入の結果は,中軽度者と重度者 では異なる傾向がみられた.
まず中軽度者に関しては,有意差は無いもの の「5つの物品記銘」に若干の改善傾向を示し,
「関心・意欲・交流」もやや改善を示す者が存 在した.さらに介入課題を体験したエピソード の記憶も全員が持つことに成功し,介入課題に 対するスキルにも上昇傾向が見られた.これら は概ね先行報告と一致するものであった.
一方,重度者においては今回実施した評価課 題に関しては改善を示す項目は無く,むしろ図 形模写課題についてはやや成績が不良になる者 も存在した.そのなかで,重度者であってもエ ピソード記憶が定着した者が存在したこと,お よび介入課題自体は全員が遂行可能になったこ とは,重度者に関する先行報告が少ない中で新 たに得られた知見と考える.
1.「5つの物品記銘」および図形模写課題に対 する影響
今回,大部分の認知機能の評価結果に関して は,介入課題による顕著な影響は認められなか ったが,唯一「5つの物品記銘」に関しては,中 軽度者において若干の改善傾向がみられた.こ れは,四元や村山らの報告
5)6)と一致するもの である.これは課題が直後再生という点と,視 覚性の記憶課題ではあるものの,記憶するため に物品呼称を方策として用いる場合も多く,干 渉課題が入らない点で,聴覚性の直後再生課題 である「
3つの言葉」に類似しており,
HDS-Rの 課題のなかでは難易度が低いことと関連がある と思われる.しかし「
3つの言葉」の直後再生や,
聴覚性の注意と関連する「数唱」 「計算」に関し ては,ほとんど得点変動が見られないことから,
今回の実験課題によってなんらかの視覚的認知
機能,あるいは視覚的注意機能が選択的に賦活
されている可能性も否定できないと考える.
に」新たな刺激が出現することで,課題の保持 と遂行が可能だったと考えられる.また村上
9)によれば注意は内発的注意と外発的注意に分類 される.前者は被験者が意志によって意図的に 制御する注意であり,今回の課題では図形模写 課題が相当すると考えられる.一方,後者は意 図にかかわらず顕著な刺激に強制的に向けられ てしまう注意であり,今回の介入課題における 目標物が光や動きを伴うこと,被験者に向かっ て来ることが,これに相当した可能性があると 考える.認知症者における注意障害に関しては,
両者を明確に区別した先行研究は無く,外発性 注意がどの程度維持されているかは不明な点が 多いが,少なくとも今回の結果は,内発性注意 に比べると外発性注意は維持されている可能性 があることを示唆すると考える.
3.介入課題の遂行は可能ではあるが認知症者 の
RTスコアが非認知症者より低い理由 重度認知症者においても介入課題の遂行が可 能だったとは言え,その成績は
HDS-R得点と の強い正相関があり,非認知症者と比較すると 低い値に留まっている.その理由を視覚的認 知・運動企画・運動遂行の各段階から考察する.
まず視覚的認知においては,課題の遂行状況 を観察したところ,認知症者の場合には,複数 のワニが同時に出現した場合には,一匹のワニ だけを注視し叩く傾向が観察された.これは二 重課題を用いた先行研究
10)11)12)13)が示す ように,複数の標的に対して視線を動かし注意 を配分することが,重度者ほど困難なことが影 響していると考えられる.
運動企画段階においては,課題の特性を理解 して満遍なく注意を向けつつ,同じレーンから は連続して出てくる可能性は低いなどと予想し て,他のレーンに注意を重点的に配分するなど の方策を使用している可能性が低いこと,ある いは孫らの報告
14)にあるようにいったん向け られた注意の対象の切り替えに時間がかかるこ
とが影響していると考えられる.
運動遂行という段階においては,高度に進行 した認知症者の場合,錐体路や錐体外路といっ た運動系の神経細胞にも損傷が波及してきてい るため,得点自体は低下すると考えられる.
これらが複合し,認知症者の場合には初期段 階からRTスコアが低かったと考えられる.
4.
RTスコアの上昇度が認知症者において低 い理由
今回の実験結果,
RTスコアは最初から一貫 して非認知症者が高く,最終的にその差は拡大 傾向にあった.一方で,認知症者の得点にも上 昇傾向が見られたことは,単位時間あたりの運 動遂行数増加や運動精度の向上,およびその状 態が運動学習としてある程度記憶されているこ とを意味すると考えられる.これは覚醒度の上 昇や注意持続時間延長による反応時間の短縮の 示唆と,認知症者であっても手続き記憶の形成 能力はある程度残存するという遠藤
15)らの報 告結果を支持しているものと考えられる.しか し山下
16)が「軽度から中度のアルツハイマー病 者においては新しいスキルを獲得する能力は保 たれているものの,同年代の健常者と同程度の 学習が可能であることを示しているわけではな い」と述べるように,今回も非認知症者に比べ ると学習効果は低い結果となった.この理由と しては,手続き記憶に関する神経基盤としては 大脳基底核の尾状核,レンズ核が想定されてお り,初期から中期のアルツハイマー病患者にお いては比較的損傷が少ないものの,進行につれ て同部位も損傷を受けるのではないかと考える.
5.介入課題に対するエピソード記憶に関して 今回の介入においては,重度者においても1 名を除くと,散発的には「やったことがある」と 解答し,また
HDS-Rが
6点以上の認知症者に
おいては
HDS-Rにおける遅延再生課題の成績
が不良であっても,
8週間程度経過すると大半 図
4.実験課題の模式図
一方で図形模写課題においては,介入課題の 影響は中軽度者においても認められず,むしろ 重度者においてはセッション直後の評価では一 部に成績低下者が出現する結果になった.この 解釈としては本介入課題が構成能力に影響を与 えるものではないということと,重度者にとっ ては介入課題の負荷が高く,疲労を与えた可能 性が考えられる.また図形模写課題は一連の評 価課題の最後に実施したため,疲労の影響をよ り強く受けていることも考えられる.さらに模 写課題自体が視覚的注意資源を多く要求する課 題と考えられるため,視覚的注意の変化を検出 する課題で,より負荷が少ないものを実施して いた場合は,異なる結果となっていた可能性も 否定できないと考える.
結論として,村山
6)らが認知的課題は注意を ともなう機能改善への改善を示唆しているよう に,重症度を限定すると何らかの効果が確認で きる可能性もあると考える.
2.重度者においても介入課題が可能な理由 今回の介入においては,最重度者を含む全て の認知症者において,最終的には介入課題を遂 行し得点することが可能になった.これは同レ ベルの認知症者が図形模写課題においては,課 題途中で手が止まり,都度指示を与えないと遂 行できなかったことと対照的である.これには 二つの要因が複合していると考えられる.
第一点は介入課題の容易さ,わかりやすさで ある.本課題においては,最重度者で実際には 得点が困難だった被験者においても,初回セッ ションより課題開始から最後までハンマーを操 作してワニを叩こうとする企図の維持が観察さ れた.このことから本課題は初めて見たとして も,一見して何をすべきか容易に判断がつく課 題だったと言える.久野
7)らによれば,
HDS-R得点と機能年齢(
ADL・
IADL能力をこどもの 発達段階に換算した年齢)間には極めて強い相 関を認め,機能年齢を求める直線回帰式として,
機能年齢(歳)
=0.288×HDS-R得点+
0.312を 挙げている.また山口
8)は, 「眼の中心でしっか りと形を見て詳細な情報を処理する際には大脳 皮質が関与するが,対象が何であるかに関わら ず素早く運動で反応する場合には皮質下で処理 さ れ る 」 と 述 べ て い る . こ れ ら の こ と か ら
HDS-R
得点が
10点未満の重度者においても粗
大な上肢物品操作能力が可能な機能年齢は維持 されていることが示唆され,本課題は重度者に おいても遂行可能なレベルだったと推測される.
第二点としては,介入課題においては,実行 すべき課題内容の保持が容易だった可能性が高 いということである.これは模式図(図
4)に 示すように,次から次に出現する目標物(=ワ ニ)が刺激となり,約
60~
75秒間の遂行中ず っと課題が保持された可能性が高いと思われる.
いわば「何をするべきか忘れてしまわないうち 課題の教示
目標の視覚的認知 運動企画 運動遂行
手続き記憶 符号化 参照
課題遂行中の教示内容の保持
断続的な注意喚起:動き・方向・頻度
刺激
(ワニ
)の提示
浅野朝秋・石川隆志
に」新たな刺激が出現することで,課題の保持 と遂行が可能だったと考えられる.また村上
9)によれば注意は内発的注意と外発的注意に分類 される.前者は被験者が意志によって意図的に 制御する注意であり,今回の課題では図形模写 課題が相当すると考えられる.一方,後者は意 図にかかわらず顕著な刺激に強制的に向けられ てしまう注意であり,今回の介入課題における 目標物が光や動きを伴うこと,被験者に向かっ て来ることが,これに相当した可能性があると 考える.認知症者における注意障害に関しては,
両者を明確に区別した先行研究は無く,外発性 注意がどの程度維持されているかは不明な点が 多いが,少なくとも今回の結果は,内発性注意 に比べると外発性注意は維持されている可能性 があることを示唆すると考える.
3.介入課題の遂行は可能ではあるが認知症者 の
RTスコアが非認知症者より低い理由 重度認知症者においても介入課題の遂行が可 能だったとは言え,その成績は
HDS-R得点と の強い正相関があり,非認知症者と比較すると 低い値に留まっている.その理由を視覚的認 知・運動企画・運動遂行の各段階から考察する.
まず視覚的認知においては,課題の遂行状況 を観察したところ,認知症者の場合には,複数 のワニが同時に出現した場合には,一匹のワニ だけを注視し叩く傾向が観察された.これは二 重課題を用いた先行研究
10)11)12)13)が示す ように,複数の標的に対して視線を動かし注意 を配分することが,重度者ほど困難なことが影 響していると考えられる.
運動企画段階においては,課題の特性を理解 して満遍なく注意を向けつつ,同じレーンから は連続して出てくる可能性は低いなどと予想し て,他のレーンに注意を重点的に配分するなど の方策を使用している可能性が低いこと,ある いは孫らの報告
14)にあるようにいったん向け られた注意の対象の切り替えに時間がかかるこ
とが影響していると考えられる.
運動遂行という段階においては,高度に進行 した認知症者の場合,錐体路や錐体外路といっ た運動系の神経細胞にも損傷が波及してきてい るため,得点自体は低下すると考えられる.
これらが複合し,認知症者の場合には初期段 階からRTスコアが低かったと考えられる.
4.
RTスコアの上昇度が認知症者において低 い理由
今回の実験結果,
RTスコアは最初から一貫 して非認知症者が高く,最終的にその差は拡大 傾向にあった.一方で,認知症者の得点にも上 昇傾向が見られたことは,単位時間あたりの運 動遂行数増加や運動精度の向上,およびその状 態が運動学習としてある程度記憶されているこ とを意味すると考えられる.これは覚醒度の上 昇や注意持続時間延長による反応時間の短縮の 示唆と,認知症者であっても手続き記憶の形成 能力はある程度残存するという遠藤
15)らの報 告結果を支持しているものと考えられる.しか し山下
16)が「軽度から中度のアルツハイマー病 者においては新しいスキルを獲得する能力は保 たれているものの,同年代の健常者と同程度の 学習が可能であることを示しているわけではな い」と述べるように,今回も非認知症者に比べ ると学習効果は低い結果となった.この理由と しては,手続き記憶に関する神経基盤としては 大脳基底核の尾状核,レンズ核が想定されてお り,初期から中期のアルツハイマー病患者にお いては比較的損傷が少ないものの,進行につれ て同部位も損傷を受けるのではないかと考える.
5.介入課題に対するエピソード記憶に関して 今回の介入においては,重度者においても1 名を除くと,散発的には「やったことがある」と 解答し,また
HDS-Rが
6点以上の認知症者に
おいては
HDS-Rにおける遅延再生課題の成績
が不良であっても,
8週間程度経過すると大半
を設定し,ワニワニパニックRTの視覚認知的 要素を抽出・アレンジして手続き記憶の利用が 容易な課題を設定し,手続き記憶システムへの 刺激が,陳述記憶や注意機能にも波及する効果 がある可能性を,注意・記憶に検査項目を絞っ て重症度ごとに比較検討していきたい.
Ⅵ.謝辞
本実験にご協力いただいた被験者の皆様,お よびご協力いただいた施設職員の皆様に深謝致 します.
Ⅶ.文献
1)
豊倉穣,本多哲三,石田暉,他:注意障害 に対する
Attention process trainingの紹 介とその有用性.リハビリテーション医学
1992;
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2):
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2)
郭怡,内山尚志,福本一朗:コンピュータ ー上の視覚探索課題遂行能力を活用した痴 呆老人認知リハビリテーションの試み.生 体医工学
2004;
42(
1):
1-6.
3)
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2003;
MBE2003-56:
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4)
禰占哲郎,高杉紳一郎, 岩本幸英ら
:リハ ビリテインメントマシンの導入効果(第二 報)
.作業療法
2004;
23(特別号):
412.5)
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2009;
48(8):
456)
村山潤子,三村将:音楽刺激が軽症痴呆患
者の認知機能におよぼす影響.認知リハビ リテーション
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と機能年齢の関連.作業療法
2010;
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11
)畠山佳久,佐々木竜二,池田望,他:タッ チパネルを用いた課題によるアルツハイマ ー型患者と高齢者のうつ病患者の視覚的記 憶の予備的検討.老年医学精神雑誌 2006;
17:655-664.12
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13
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:認知症高齢者における視覚認知機 能の生理学的評価.国際医療福祉大学リハ ビリテーション学部紀要
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:高齢者を対象と
したSRC課題における復帰抑制.立命館 人間科学研究
2008;
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遠藤裕美
,岡崎哲也
,蜂須賀研二:高齢者に おける手続き記憶の保持 鏡映読字・鏡映 描写・トロントの塔課題を用いて
(会議録
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2007;
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2008;
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数井裕光,ドロンベコフ・タラント,武田 雅俊:アルツハイマー型痴呆の記憶障害の 変化と長期予後.老年精神医学雑誌
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増本康平
,高井恒夫:被験者実演課題を用
いた
Alzheimer病患者のエピソード記憶
に関する研究.神経心理学
2002;
18(
4) :
239-246.
19)
数井裕光:アルツハイマー病における情動 性記憶と扁桃体.
Clinical Neuroscience 2008;
26(
4):
438-440.
が経験を認識し,最終的には全員が
3連続以上 で「やったことがある」と解答する結果になった.
一般的にはエピソード記憶は,数井ら
17)が述 べるようにアルツハイマー型認知症の初期段階 より障害されるとされるが,今回の結果は障害 されていることは確かだが残存部分も確認でき る結果となった.この解釈であるが,増本ら
18)が被験者実験課題を用いて実験をおこない「運 動行為や視覚からもたされる豊富な符号化資源 を処理する能力は
AD者でも保たれている」と 報告しているように,今回の実験課題も被験者 が実演する課題であり,この見解を支持するも のと思われる.また数井
19)が「強い情動を伴う 阪神淡路大震災報告の記憶は,
AD者において も直近の
MRI経験に比して良く保たれていた」
と報告しているように,今回の実験課題は情動 に働きかける部分が存在した可能性がある.
無論,実験課題の装置自体の視覚的記憶や,
課題遂行のために機器の前に誘導されてきたと いう状況から推測して,体験したという実感が 無くても「やったことがある」と解答している可 能性も排除することはできないが,今回の結果 は,たとえ重度者であっても,エピソード記憶 の形成能力が微弱ながらも残存している可能性 を示唆すると考える.
6.「関心・意欲・交流」の変化
今回,中軽度者に限定すると
NM-SCALEに おける「関心・意欲・交流」に改善傾向がみられ た.その理由としては,山下
16)が一連の実験 報告を総括して「保たれている手続き記憶シス テムへの刺激が,陳述記憶や注意機能にも波及 する効果がある可能性がある」と述べているよ うに,中軽度者に関しては視覚的注意がある程 度賦活された結果,実験課題を繰り返し経験す るうちに,不完全ながらも手続き記憶が形成さ れ,徐々に課題に対する現実感・既知感が生じ たのではないかと考えられる.この新たに形成 された手続き記憶を繰り返し再生することで,
再帰的に視覚的注意が賦活されて,「関心・意 欲・交流」の改善傾向に関連したと考える.
一方,重度者にとっては,今回の課題は一時 的に外発性の視覚的注意が賦活された可能性は 否定できないが,その程度は不十分で手続き記 憶がほとんど形成されなかったことにより,「関 心・意欲・交流」の改善には至らなかったことが 考えられる.山下
16)の見解に従えば,既に獲 得された手続き記憶ならば,注意や陳述記憶へ の波及が期待できる可能性もあると考える.ま た手続き記憶の形成に失敗したと考えられる重
度者は,
HDS-Rの結果において,直後再生に
関してはある程度可能だったものの,数唱や計 算においては得点が困難だった.数唱や計算は 聴覚性注意や
Working Memoryの指標と考え られるので,厳密な意味では視覚的注意とは神 経基盤が異なる部分もあると考えられるが,こ れらのことより聴覚性あるいは視覚性に関する 注意機能が,覚醒や手続き記憶システムに関与 している可能性を示唆していると考える.
Ⅴ.おわりに
今回の実験に関しては,①非介入群としての 対照群が無い,②症例数が少ない.特に,重症 度ごとに影響を検討するだけの数が不足してい る,③重度者にとって検査負荷が高いと考えら れる評価課題が含まれていること,④介入課題 の難易度が自動上昇するので,高得点になるほ ど単位時間あたりの反応数の変化が点数変化と して現れにくい,等といった問題が存在した.
一方で,外発的に視覚的注意 が喚起・持続し やすい課題を用いた場合,一時的に過ぎない可 能性はあるが注意機能が賦活されることで反応 時間が短縮し,技能が向上する可能性が存在し,
かつそれが長期に渡った場合には,「関心・意 欲・交流」の改善といった形につながる可能性が,
とりわけ中軽度者においては否定できない結果 が得られたと思われる.
今後は,十分な症例数を確保した上で対照群
浅野朝秋・石川隆志
を設定し,ワニワニパニックRTの視覚認知的 要素を抽出・アレンジして手続き記憶の利用が 容易な課題を設定し,手続き記憶システムへの 刺激が,陳述記憶や注意機能にも波及する効果 がある可能性を,注意・記憶に検査項目を絞っ て重症度ごとに比較検討していきたい.
Ⅵ.謝辞
本実験にご協力いただいた被験者の皆様,お よびご協力いただいた施設職員の皆様に深謝致 します.
Ⅶ.文献
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豊倉穣,本多哲三,石田暉,他:注意障害 に対する
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四元孝道:作業療法士がおこなった認知症 予防教室の紹介.鹿児島市医報
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と機能年齢の関連.作業療法
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11-17 14)孫琴,吉田甫,土田宣明ら
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遠藤裕美
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300.
16)
山下光:記憶は体でおぼえる?~アルツハ イマー病患者の手続き記憶とリハビリテー ション.こころの科学
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138:
36-40. 幸成
17)
数井裕光,ドロンベコフ・タラント,武田 雅俊:アルツハイマー型痴呆の記憶障害の 変化と長期予後.老年精神医学雑誌
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18)
増本康平
,高井恒夫:被験者実演課題を用
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Alzheimer病患者のエピソード記憶
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2002;
18(
4) :
239-246.
19)
数井裕光:アルツハイマー病における情動
性記憶と扁桃体.
Clinical Neuroscience 2008;
26(
4):
438-440.
田村 美華
東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科視覚機能学専攻
要旨
【目的】手持眼圧計
iCare TA01(以下,アイケア)の体位変換における測定値の信頼性を評価した.
【対象・方法】全身疾患、眼既往歴のない正常若年者
24例
24右眼(平均年齢:
18.4±0.6歳)を対象 とした.座位と右側頭位変換仰臥位でアイケアと
Tono-Pen XL眼圧計(以下,トノペン)を用いて眼圧 測定を行った.体位と機種が測定値に与える影響と各体位における両機種の測定値の関係を検討した.
【結果】眼圧はアイケアで
15.0±2.7mmHg(座位),
19.1±2.2mmHg(右側頭位変換仰臥位) ,トノペ ンで
15.0±2.0mmHg(座位),
18.9±2.0mmHg(右側頭位変換仰臥位)であった.測定値は体位によ って有意に差がみられた(
p<
0.0001)が,機種による有意な差はみられなかった(
p = 0.78).また,
各体位でアイケア測定値はトノペン測定値によって有意に高い直線性が認められた(
p<
0.0001).【結 論】アイケアは座位,右側頭位変換仰臥位での測定値に高い信頼性が示されたため,今後臨床において 有用な機器となることが期待される.
【キーワード】 手持眼圧計アイケア,体位変換,トノペン
Ⅰ.はじめに
眼圧測定は眼科診療の中では必須の検査であ り,日常臨床の場で頻繁に測定されている.眼 圧検査は緑内障の診断,治療方針の決定,治療 効果などの判定に欠かすことのできない必須の 検査であり,また眼内および眼表面部の術後管 理にも必要である.
Goldmann圧平眼圧計(以 下,
GAT)は眼圧測定において,眼球圧迫によ る内圧の変化や眼球壁硬性の影響が少ないため,
現時点で最も信頼度の高い測定値が得られると されている
1).しかし,
GATでは点眼麻酔やフ ルオレセイン染色をし,起座位で顎台に顎をの せて測定するため,乳幼児や座位姿勢を保持す ることが困難な症例では測定ができない.また,
眼圧には日内変動がみられることが知られてお り,緑内障眼は正常眼と比し変動が大きい
2)3). 日内変動において体位の変動もその要因として 重要である.日中の活動時間帯は座位や立位で
あることが多く,就寝時は臥位であるため,夜 間の眼圧値は日中の眼圧値に比べ高い傾向にあ る.座位と仰臥位の眼圧値変動が大きいほど, あるいは仰臥位下眼圧値が高いほど,視野障害 の進行が速いことが示されており
4)5),測定体位 を含めた眼圧の日内変動の評価は,緑内障治療 において重要な指針となる.手持眼圧計は座位 だけでなく仰臥位など測定体位を選ばない有用 な測定機器であり,
Tono-Pen XL眼圧計(以下, トノペン)は現在まで最も多く使用されている. しかし,測定に点眼麻酔が必要なこと,角膜に 接触する測定部が大きいことなどから症例によ っては測定に支障を生じることも少なくない.
2005年に
Tiolat社から点眼麻酔を使用しない 手持眼圧計
iCare TA01(以下,アイケア)が 発売された.トノペンとの比較ではアイケアと トノペンの測定値には有意な相関があることが 示されている
6)7).しかし,これらの報告は座位
体位変換における手持眼圧計アイケアの信頼性
[
原著
]Effects of visual cognitive tasks on Alzheimer disease
: A trial study using a amusement machine for rehabilitation
Tomoaki Asano1) Takashi Ishikawa2)
1) Occupational Therapy Course , Department of Rehabilitation ,Faculty of Medical Science and Welfare, Tohoku Bunka Gakuen University
2) Department of Occupational Therapy , Akita University Graduate School of Health Sciences
Abstract
In the precedent studies there are few reports about the rehabilitation for persons with severe dementia. One of the reasons would be the difficulty to set appropriate task for persons with severe dementia. We thought that the Wani Wani Panic RT(RT), a amusement machine for rehabilitation , is a appropriate task, even for persons with severe dementia. In this study we examined the performance of RT at 10 Alzheimer disease subjects and 10 non-dementia subjects in 24 trials at one or two times a week. There were no significant difference in scores of HDS-R and copying task before and after trials. However, the subjects with severe dementia could play RT and answer the question about the experience of those trials at last. In addition, the RT scores were significantly related to HDS-R scores. Furthermore, the RT scores at subjects with severe dementia did not significantly changed, but the RT scores at subjects with moderate or mild dementia were significantly improved and trended to finally reach the scores of subjects with non-dementia. In conclusion these results suggest that shortening of reaction time and procedure memory formation connect with attention and Working Memory.
【Key Words】 Visual cognitive tasks,Dementia,Procedure memory [Original article]