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乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究

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(1)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究

著者 卜部 澄子, 片山 倫子, 木曽山 かね, 清水 義雄,  宮崎 照子, 山本 良子

雑誌名 東京家政大学生活科学研究所研究報告

9

ページ 45‑60

発行年 1986‑03

出版者 東京家政大学生活科学研究所

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00009769/

(2)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究

     研究分担者(五十音順)

卜部 澄子  片山 倫子  木曽山かね 清水 義雄  宮崎 照子  山本 良子

Studies on the Adequency of Clothing in Infants and Children

 Sumiko Urabe, Michiko Katayama, Kane Kisoyama,

Yoshio Shimizu, Teruko Miyazaki and Ryoko Yamamoto

第5報乳幼児用被服製品の構成方法とデザインにっいて 分担研究者  木曾山かね  雲田 直子  長塚こずえ

1 緒 言

 本報告は,先の第4報の報告に続くものであ る。主として第1報と第4報に報告された乳幼 児被服の使用実態のアンケート調査結果のうち

0〜1歳児,3歳児の末報告の部分をとりあげ て報告する。合わせて,第3報で報告された着 用実験に用いたパジャマのデザインについて,

本学服飾美術科の学生のアンケートの結果とを 考察して,乳幼児被服の適正条件を考える手が かりを求めたいと考えた。

2 研究方法

2−1乳幼児被服の使用実態のアンケート調査   結果報告第1報への未報告部分の検討 2−2 第3報に報告された着用実験結果の構成   面よりの検討と着用実験前の資料との比較   検討

2−3着用実験に用いたパジャマのカラー写真   に対するデザインの面からのアンケート調

査結果とその考察 3 結果と考察

A 乳幼児被服の使用実態調査の結果より

A−3−1 布地の組織と色彩と明度,柄,地質,

    布地の組織と価格(0〜1歳児)

 図1,図2,図3,図4,図5参照

 乳児は図1及び図2に示されている通り,高 明度の淡い色調がほとんど多く用いられてい て,乳児の被服を衛生的に保つために,汚れ易 い色調は非常に好ましいし,乳児の衣服として 乳児の肌色に調和する。ロンパースは遊着とし て例外である。

 素材では図3の通り綿がほとんどで,綿とポ リエステルがみられる。

 組織については,袖なしハーフコートやサッ クなどの外衣を除いて,編物が好まれている。

無回答のものも多いが,柄物より無地が好ま れ,柄物では花柄,動物柄,その他の食べ物柄 の順である。価格は2,000円以下がほとんどで

ある。

A−3−2 布地の色と柄,色の明度(3歳児)

    図4,図5参照

 3歳児は,肌着のシャツ,パンティなどは白 地が圧倒的に多いが,スリップは淡いブルーが 多い。上衣として着るTシャッ,ブラウス,セ ーター,カーディガンなどは白地,赤,ピソク,

一45一

(3)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

所有

80

40

   色     円グうフ         生地の名前    色の名前   鱗維の名前

[=:コL 1  1綿

Ezz2zz水色  2麻 躍ピンク 3レーヨン 皿ロコt・・畷亨掌,

【巡 赤    6 ポリエステル E≡≡≡ヨ肌色 ?アクリル

四・1 翫謂。ステ、レ

■■■■■■ 黄   Io綿とナイ0ン

[:互:コ 緑   11 その他

〔Eコ灰色 12儲答

〔Cコその他

〔正コ 無解答

図1 乳幼児の被服の色彩傾向 0−1歳児

80

所膏

0

1 119

4■巳.巳0燭..■■■.1・6幽00.55・.■.曝邑0・■・■..■.8■8.■■08..・.鰯巳.  91 112121 1

巳■■■■幽曝o■5幽■■o■■■︐o幽■凸●■9■●■■■尋︐●﹂幽●幽■●■響■︐8■■6幽■9■●︐

幽﹁.0..︐﹁︐●■辱暉巳●色幽■■題..OO幽・昌■■■・■・..■■●O10⁝■■鰯..・●巳■

1        ・

聖.■O幽■a書■■...曝1■■■■・■■.....革幽幽−■畠昌■■..0008.・■■080..8

■■■.9■■■O●■・.0●■9■巳●●冒且魯巳●■■..巴8883■5巳0昌O巳●﹁...●e・5.

・茎量二ー■:.渦●:・:.ーー︐ーー:..ーー......ー.■..ー.

   色    邑の濃さ

〔:=コ淡色 E1Zli22z中色

闘濃色

[[[[田ne解as  生地の名前円ヴラフ  繊碓の名前

1 綿 2 麻 3  レーヨン 4 ナイ11ン お  アセテ ト

1孝郷テル

6   ヒ .二tJン 9  竈窩とホリエステノレ IO 綿とナイuン Il その他 12 黛解答

図2 乳幼児の被服の色調と明度 O−1歳児

所薄贋%

80

40

o

2 1

21 3 i  …  ●

213i

@… 唇

12

3   書 P2 1@ …  昌 11

2 3 :⁝; 112

3

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112 3

⁝⁝: 21 3

:﹂:: 11 3

3 3

⁝﹁ ⁝o ⁝● ⁝■ ⁝■ ⁝:

1

8

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言: ::

C

C D

A C

A i D A

⁝;

Ai ■ A D ⁝3 :⁝ ⁝言

D 3⁝

A

肌霜和洋折衷形

ラツハー 又はキモノ

ナイトドレス ゜

0ンノぐ一ス

サ7ク

曲なしハーフ

おくるみ

ボンネツト

   生地の名前    繊維の名前

[=:コSg uaiz xx 醗レー・ヨン

ロロエロコナ・tvン

亜Sアセテート

E≡≡≡≡≡ヨポリzステル

田王匪1アクリル

■■■■t = 1・ン

[:]一::]綿と;:{ワエステル

〔亘:コ綿とナ イ・ン

〔]:コその他

〔:匡コ無解答

円グラフ  構1 花柄 2 動物柄 3 無地 4 果物柄 5 野菓柄 6 その他の食べ物柄 7 文字樋 8漫画(アニメ)柄 9 シマ樋 10 水玉柄 11その他(  ) 12 無解答

図3 乳幼児の被服の地質の傾向 Or1歳児

一46−一1一 t

(4)

表1 構成面からみた着用実験のパジャマの状況

ー戯刈ー デザインと構成方法

No.

ゴム編部分他  ネック・明き 袖・袖州袖下・脇裾・ デザイン 上下の始末 ゴム通し穴備  考 綿100% ニット アクリル  85%前明き2釦 ゴム編付 普通袖付片返し 二つ折り 明の二つの釦 二つ折り

1 黄ブルーの縞  ズボン黄

ポリウレタン15%衿ぐりゴム編 (セットインスリーブ)讐代゜ツ縫代゜ツク左醐り

       穴かがり 股止り ロヅクしてゴムミシンでつ平紐を当て を通す    くってあるてステッチ

 ト   一 ツ地 レ ニ白%グ   35 %%ル

一〇〇65リルー クブ綿綿ア

2

アクリル  85%明なし ポリウレタン15%丸衿ぐり         黄黒赤のゴム         編

同 上  同 上 同 上 ゴム編付 前みごろに白の      縞,左下に灰色      白地に文字と図      案

同 上 同上脇に線が入

    っている

 ブルーグレー 3    表ニット  綿100%

キルティング中綿前立 4ケ釦袖口二つ折ラグラン ポリエステル  丸衿ぐり

     100%

        見返仕立

縫代ロックスリーブ ゴムテープ 入り

同上二つ折り前明前立   同上

   縫代・ック魏ト付

        ポケットに文字

脇の縫目を股止り 利用してつ平紐をあて

くってあるミシン  綿 90% ニット アクリル  85%明きなし

4 ポリエステル10% ポリウレタン15%丸衿ぐり  濃紺      ゴム編

ゴム編付 普通袖付同 上 ゴム編付 胸に赤い線  ・上は二つ折りゴム通し, 同 上

     欝躍ム編.雛鵡ゴ難ミ

5

綿70% ニット Aクリル  30%

sンク

前明前立釦 ロ衿ぐり

袖裏に当布してゴムを

?黹tリル ニしている

同 上 同 上 共地のフリ 汲ェついて

「る

肩のヨーク,白まわりにフリル

t5ケ

O明前立

・上は前と同じ E裾は袖口と同

@じ

同 上

/00/

0 0

綿赤 1 6

前前丸玉 明立衿縁 き仕ぐ仕 1立り立

衿ぐりと同同上 同

じ玉縁仕立

Nαユ

と 繍り 刺ぐ  こ衿線胸

同 上

綿 80% ニット ポリエステル55%

7ポリエステル20%アクリル

  ライトブルー

         タートルネ

      25%眩編 綿    15% 前明きなし ポリウレタン5%

ゴム編付 ラグラン

     スリーブ 同 上ゴム編付 胸に文字   上衣の衿 ゴム編が色変り袖口の始末と同        じ

同 上

陣尊濁建鶏O嵐囹冷奔π麗呼び謬砂

(5)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究 黄など好まれる。

 図5をみると,上着のような上に着るブラウ スなどは淡い高明度の色調が好まれ,ズボンな ど下体に着用するものは低明度の濃い色調が好 まれるのは,幼児が活発に活動し,汚染が目立 たないものを志向する親の考え方が現われてい

る。

 柄物とか無地に対する好みは,図4の円グラ フで知ることができるが,無地が好まれ,動物 柄,花柄の志向が高い。

 素材は綿が多く,つぎがポリエステルやアク リルが多い。シャツやパンティなどの肌着は麻 が多く用いられ,Tシャツ類などの上衣,ズボ ン,スカートなど,意外にアクリルが高い価を 示しており,Tシャッ,ベスト,ヵ一ディガン に綿とポリエステルが多く用いられていること がわかる。

B 着用実験結果のパジャマの検討

 現代の既製衣料の子供服を充分観察する資料 として着用実験したパジャマがあるので,その 前後に観察を行った。(表1)

 No.1よりNo.8までの縫製図6を示す。

図6No.1肩の縫目ののび止めのゴム   No.2袖口のフリルの作り方       イ 着用前  ロ 着用後   No.3裾口着用後のほつれ

  No.4ゴム通し穴 イ 縫目を利用       ロ 釦穴がかり利用

  No.5股止りの補強の当布とミシン   No.6 裾ロゴム編

  No.7頭を通す明き(釦がけ)

  No.8 (スナップ)

 構成面から見た着用実験パジャマの状況は表 1に示す通りである。縫製のくずれを見い出す ために充分に注意して観察したが,着用回数も あまり多くないので,数的処理をせず図を以て 示した。

 図7の

・No.1とNo.5のスタイルの上着の裾が少   しほつれていた。(図6−No.3)

・No.3のポケットロがほつれかかっていた。

・No.5のスタイルのヨークの刺繍が毛羽立   ち,レースがめくれ上がり,フリルにほっ   れがみえた。(図6−No.2一ロ)

C 着用実験用パジャマのデザインについて  現在の乳幼児被服のデザインは多様化してい るが,デザインの学習をしている本学2年の学 生の嗜好性をみる目的で,着用実験前に撮影し たパジャマのカラー写真の前横後の姿を示し,

(図7−1〜7)パジャマであることを明記して,

好きなスタイルを3つ選ぽせることにした。学 生は110名,色が好きか,スタイルが良いか,

刺繍などのデザインがかわいいか,いずれもそ れ程ではないのか,アンケート用紙に記入させ 集計した。その結果は,表2に示す通りであ

る。

表2

N・・il 1 2 3 4 5 6 7

なンき編

好デ嗜好内容

スタイル デザイン

 61

(21.7)

程なれもそでいきいい  わ好よかい

 46

(16.4)

1わ韓

20

(7.1)

1わ難

42

(14.9)  28

(10.0)

18

(6.4)

 66

(23.5)

で程れなぞもいきいい  わ好よかい程なれもそでいきいい  わ好よかい程なれもそでいきいい  わ好よかい程なれもそでいきいい  わ好よかい

6 47 3

4

一48一

(6)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

所有置

80

40

o

4.    .

P2i     旨     ⁝     ⁝     ⁝     ⁝     ⁝     2

     …3  2 1

P  i

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5 .璽2

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3

2 3 3

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3 3 3

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o

シ,ツ 1  揖)   ,pンティ  :

(肌蔚 Xリップ

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sシ学ツ

2︐ (ヒ衣)  . uラウス 1

(..     …セーター  1(上衣)   、      ,カーディガン・ (衣)

yスト iワンピース

スモック

gDの㊨

0 4

所侍度

   色

  亀の名前

〔:コ白 匠22221絶 囮ピンク[口工口コオレンジ ISSEIESS赤 E≡≡ヨ賦色

9;1;1≡]]青

■■■■黄

⊂1〔]糠

〔亘コ灰色

〔::コその他

[コ巨:]無解9

円クうフ  柄

士 花南 2 動物桶 3 無地 q 果物柄 5 野菜柄 6 その他の食べ物柄

? 文字柄 8 ・漫画(アそメ)柄 9 シマ柄 王0 水玉柄 11 その他 ロ 無解ぞ5

図4幼児の被服の布地の色調と柄 3歳児

80

40

0

2       2

@   …    :  1  :

@   …    :    2    3

@   …    「    富

@   …

.       ●

P       °

31 奄戟Ei291i、・i19翠i91琴i、奨i、駆奪    i  i i i i i i  }    1        ;      ;      1      ;      1      :        1

i    i    i    i    i    i     il      ;      :      5            :        ;

@       ■       9       1

.       1       :       .         , 戟@     l      l      l        ;

堰@ i  i  i   i■       ・       ,       g       o

●       ,

⁝⁝二旨3333:3;:3:2:: ;:3:3:2旨2:;3:: ;2:3::22:2;;且⁝ 33;:3;;33:; :3書33:言3⁝⁝ ;︸2:3:::5:: 言:::⁝:言33⁝ ま::::33;置;:

(肌着)   1  (肌     : (肌符)    1 (上衣)  ; (上衣)  : (」二衣) ・(上衣)   ・ (上衣)  ・■       ε      ■ シャツ  ゜  パンティ  ゜ スリップ  , Tシヤツ , ブラウス   セーター ° カーディガゾ  ベスト  ゜ ワンピース  ゜ スモック

所有度 %

80

40

0

螺)④④

ズボン

謎色色色賭色の淡申濃無色口囮團皿

。 半ズボン , 長ズボン ・

       図5 幼児の被服の布地の色調と明度・素材 3歳児        一49一

円グラフ  生地の名前  繊維の名前 コ 綿 2 麻 3 レー3ン 4 ナイロン 5 アセテート 6 ポリエステル 7 アクリル 8 ビニロン 9 綿とポリエステル ユ0 綿とナイuン 11 その他 11 無解答

(7)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

図6 No.1肩縫目(のび止めゴム)

図6 No.2一イ

    9..・難

縫灘窪、

袖口のフリル

︑雛難

霧㍗轍4繋難

   灘︐   諺 舞鰍

   轟

雛灘欝

図6 No.2一ロ 着用後のほつれ

図6 No.3裾ロ着用実験後のほつれ        一50一

(8)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究

(イ)縫目を利用して (ロ)釦穴を利用して

図6 No.4 ゴム通しの穴

図6 No.5股止りの補強の当布とミシン

図6 No.6裾ロのゴム編     一51一

(9)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

図6 No.7 頭を通す明き(釦がけ)

図6 No.8頭を通す明き(スナップ)

一52一

(10)

No. 1 No.2

No.3 No.4

麟s−

・鰹

︸翫い寛ぬい︑懸騰騨一職黙謙灘鋳纏

崔懸ゼ葱戸醇繋暴

図7 No.,2,3,4

(11)

No 5 No 6

No 7

図7 No.5,6,7

(12)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究  1.最も多くデザインが好きと答えたのは,

No.7のライトブルーの色彩が好まれている。

 2.次に多く選ぼれたデザインは,No.1の 横縞の上着とオレンジ色のズボソが,No.7も

このNo.1 もスタイルもかわいいという値が

高い。

 3.次に多いのは図7−2のスタイルで,衿く りのゴム編や,胸のデザインがかわいらしい。

着用実験の幼児の1人が大好きであったとい

う。

 4.次は図7−4の濃紺に胸に濃赤の太い線が 入っているスタイルが選ばれた。図7の左側が 着用実験前のスタイルである。

D 結果と考察

 1・デザインの項目の内で,素材の選択とい う点から調査結果をみると,幼児の肌につける 衣服は,木綿のニットが多く選ぼれており,伸 縮する素材であり,吸湿性も高く,理想的なも のが選ばれている。

 2.デザインの項目の内の色彩の選択では,

乳児用として白や淡色が選ばれ,幼児用には,

好む色を自由に選んでいる。ライトブルー,イ エPt 一一オレンジ,ブルーなどである。

 3. スタイルがよいとされたのは,自由がき く,活動的であること,かわいいものが好まれ ていて,図7−7,1,2などであった。図7−6,5 のように,刺繍などのデザインは好まれていな

い。

 4. 地味な色彩の図7−3は,学生が選んでい ない。素材もキルティングで厚地のため,縫代 の始末をみると厚くなり,就寝用としてはごろ ごろして適当ではない。パジャマには,薄地が よいと考えられる。

 5. 図7−3のスタイルは,パジャマとしてよ りも,遊着として用いるのに良いスタイルでは ないか。価格も子供用のパジャマとして7,000

円という値段は,相当に高価であると感じる。

 6.着脱のための専門的な考察については,

第6報にゆずることにしたが,学生の選んだ図 7−7の衿ぐりもゴム編上着の裾もゴム編であ

る。これらは着脱にも便利である。図7−1の横 縞の上着とその縞の1色のオレンジ色のズボソ の組合わせも好まれた。衿明きも釦二つがけ で,全部あいているものよりかけ易いと考えら れる。母親達は幼児の就寝後の状況から,上着 の上にズボンを着用させることが多いから,裾 口は図7−7,1のようなスタイルでよいのでは

ないか。

 7. ゴム通し穴など,縫目を利用して作られ たものが丈夫である。

 8.第4報に報告された色彩の退色という点 から考慮すると,学生が色彩が好きとして選ん だ図7−7は,淡く美しいが退色し易く,同じく 図7−1も激しく退色している。(図7参照)

E むすび

 乳幼児被服は活動し易さや,成長に即した機 能性が,デザイソを優先して選ばれるべきで,

母親の立場から,幼児の立場から,学生の立場 から,乳幼児の一般の被服及びパジャマについ ての嗜好とその考察が行えたが,価格の最も高 いパジャマが良いという結果ではなかったこと が興味深く感じられ,着用実験することができ て意義深い研究であった。

F 参考文献

1)尾中明代,木曾山かね,荒井純子:被服立体構  成子供服編,家政教育社,(1976)

2)木曾山かね:服装造形のためのデザイン,同文  書院,(1980)

3)宇留野勝正他:東京家政大学生活科学研究所研  究報告第7集,53(1984)

4)卜部澄子他:東京家政大学生活科学研究所研究  報告第8集,49(1985)

一53一

(13)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

第6報乳幼児被服の着脱および

    機能性に関する研究

研究分担者  宮崎照子 小野明美 1.緒 言

 すでに第3報で報告したパジャマを用いて着 脱実験を行なった。被験者は本学ナースリール

ーム(以下N.R.とする)に通園する幼児4名 である。7枚のパジャマの中から幼児に好きな パジャマを選択させ,着脱を行なわせて,それ をビデオに収録し再生して,観察実験を行なっ たので報告する。

2. 研究方法

対象児 本学N.R.に通園する幼児のうち一     応自分の力でパジャマの着脱が可能で     あると思われる者4名。(表1参照)

日時 昭和60年11月19目〜26日(3〜4回)

   AM.10:00〜11:00

場所 N.R.幼児室(普段午睡用のパジャマの    着脱を行なっている所)。

 パジャマは5報のパジャマ写真No.1〜No.

7の通りである。まず,ジュ・ 一タンの上にすべ てのパジャマを並べておき,幼児自身に好きな パジャマを選択させた。(他児への影響を避け る為,園庭で遊んでいる時に1名ずつ保育室に 呼んで行なった)。次に選んだパジャマを広げ ておき幼児を午睡時と同じパンツ姿にさせて,

「パジャマを着て下さい。」と声をかけ,着られ た時点で「脱いで下さい。」と言って脱ぎ終る までをビデオに収録した。

3.結果と考察

 結果は表2の通りである。今回は幼児に自由 に選択してもらったが,色選び的な要素で色彩 の面から自分の好きな色を選んだり,普段自分 の身につけている服のデザインに似たものを選 ぶ傾向が見られたが,それぞれに聞いても「ピ ンクガ大好キナノ」と言ったA子以外は「コレ ガ好キダカラ」「ワカンナイ」と言った答えで 理由がはっきりせず,雰囲気で選んだものと思 われる。

 3歳くらいになると個々の色の好みなどもだ

表1

H T A K

生 年 月 日 S57。5. 8 S57.6.25 S57.7,13 S57.9.26

生 活年 齢

(S60.11月)

3歳6ケ月 3歳5ケ月 3歳4ケ月 3歳2ケ月

着脱の自立

2歳8ケ月 2歳10ケ月 2歳8ケ月 3歳2ケ月

表2

回数

1回目 2回目 3回目 4回目

供試パジャマ

H   男 (3)1 7 1 1

T   男 6 6 7 6

A   子 欠   席 5 5 5

K   男 (1) 1 1 「ヤリタクナイ」

()内は着られない

一54一

(14)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究 いぶはっきりして来ており,「カッコイイデシ

ョ」「ニアウ?」など自分の着ている服に対し ても関心が高まって来ているが,この年齢では まだ大人の好みで決まることが多く,特に母親 の影響が大きいようで,T男の場合も母親が赤 が好きで赤の衣類がとても多く,その為No.4 を選んだものと思われる。普段本人は「ミドリ ガ好キ」と言っており3回目にグリーン系の No.7を選んでいた。普段からシックな色調の 服を好むH男と縞やチェヅク柄の服の多いK男 がNo.1を選んでいるがブルーと黄土色の縞 のはっきりとしたコントラストが気にいったよ

うである。

 着脱においてN.R.では,集団生活をしてい るので一一般の家庭児に比べ個人差はあるが,ボ タソはめや衣類の着脱の自立が早いと思われ る。また,N. R.ではパジャマの着脱の際に幼 児が簡単に着脱できるような方法として前びら きの場合は,パジャマをひろげ両手を袖に通し てから背負うようにして羽織る方法を指導し,

かぶりの場合はまず,頭を出してから手を通す ようにし,脱ぐ時には袖をひっばり手を抜いて から頭を脱ぐ方法を指導している。その為着脱 の方法において極端な個人差は見られなかった が,個々の指先の器用さや着脱に対する興味,

意欲などによりスムーズに着られる場合とそう でない場合とがあった。他児に比べK男は着脱 の自立も遅く,すぐにイライラして1回目の時 も「モーイヤダ!」と途中で諦めてしまってい る。他児は無意識のうちに片袖を通す時にあい た手で上着の裾を持つなどを行なっていたが,

それをしないK男は袖口に手が入らずとても苦 労していた。パジャマの着やすさ以上に幼児自 身の自分で着ようとする意欲や技術的な面に起 因するところが多いようである。

 このところパジャマにスエットスーツ的な型 のものが増えて機能的に見た場合にも,幼児に

も着やすくボタンやスナップがはずれたり,そ の部分がごろごろしたりすることがなくて良い が頭を出すのが難しいので襟ぐりのきついもの は避けたい。首や肩にスナップやボタンが2つ ほどついた型のものは比較的頭が出しやすいが No.5はスナップが1つついていたにもかかわ らずT男は頭を出す時苦労していた。H男が最 初に選んだNo.3のパジャマも上着のスナッ

プが硬くて着られなかった。またT男の着た No.5のパジャマも襟首のスナップが3回中1 度しか止まらなかった。3歳未満児が一人で着

る場合には肩のボタンやスナップは無理がある ようである。

 今回の実験に使用したパジャマは足首がしま っていて着脱の際足の出し入れが困難であった が,足の丈が合わなくとも引きずって転倒した り,寝ている間に裾が上がって来ないので良い と思われる。

 供試パジャマの中にはなかったが,普段N.R.

で使用している1〜2歳児用のパジャマには上 着とズボンがボタンでつながり,腹部が出ない

ようになったものが多い。No.2,4,5,7の パジャマは上着を上に出すようなデザインだが やはり5歳くらいまでの幼児にはズボンの中に 入れるようにしないと,ほとんどの場合,はだ けて背中や腹部が出てしまうので注意したい。

4. まとめ

 乳幼児の被服の適正という問題を以上のよう な実験結果を通して考えるとき,機能性の面か ら配慮し,子どもの発達や生理的特徴,手先の 器用さなどの個人差を十分に認識して被服を選 択する必要がある。

 親の好みや経済面なども関係するが,あくま でも乳幼児の成熟,自立などを重視するべきで

あろう。

一55一

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東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

第7報パジャマの着用・洗濯による物

    性と構造の変化

分担研究者  山本良子 清水義雄 1. 緒 言

 乳幼児のパジャマはひんばんに着用と洗濯が 繰り返されるが,この繰り返しによりどのよう な変化が生ずるかは,消費科学的な見地から重 要な問題であると考えられる。そこで本報で は,市販乳幼児パジャマの着用・洗濯による物 性および構造の変化を,前報1)に報告されたも のと同一のサンプルを用いて調べた。

 実際の着用および被験者の家庭での洗濯とい う方法を用いたため,条件等が厳密に規定され なかった懸念はあるが,パジャマのような被服 は現実の生活の中でこそ試験されるべきである とする立場に立てば,条件設定が多少曖昧にな ってもこのような消費実験は十分意味をもつと 考えられる。

2. 実験および実験方法

 供試されたサンプルは前報D2)の通りであり,

着用洗濯に伴う染色堅ろう度変化や収縮性につ いてもその中で報告されているので,今回は組 成表示の妥当性,組織や糸密度の測定,織物破

壊強度,通気性,透湿性,吸水性,水分率,保 温性,燃焼性等のパジャマ構成編織物の各種物 性値の変化について報告する。また走査型電子 顕微鏡により表面形態の変化を観察したので報 告する。

 各々の測定方法を表1に示す。測定部位は供 試されたパジャマの後身頃,前身頃,肘,智部,

膝の各部位を通気性,保温性,透湿性,水分率 の順に共通に用いて測定した後,破壊強度や吸 水性,燃焼性の不可逆な実験に適宜ふりわけて 供した。各実験は3回以上の繰り返しを行った

が,パジャマの各部位による違いがほとんどみ られないため,パジャマ全体について平均をと

った。

3.結果および考察

 各パジャマの成分表示と測定した成分組成は 表2に示す如く,ほぼ表示どおりであった。供 試されたパジャマの中で,No.3はキルティン

グになっており,No.4, No.7はパイル地で あり,他は両面編のものであった。

 次に,着用・洗濯による各種物性の変化を示 す。図1は定速伸張型破裂試験機による供試パ ジャマの破壊エネルギーの着用・洗濯による変 化である。横軸の0は未着用・未洗濯のオリジ ナルを示しており,A, B, C, D, E, Fは

表1 各種物性の測定方法 破 壊 強 度

通  気  性 透  湿  性 吸  水  性 水  分  率 保  温  率 燃  焼  性 走査型電子顕微鏡写真

定速伸長形破裂試験機(東洋ボールドウインKK製)を用いてASTM D76−35 ノ準拠して行った。

フラジール形通気性試験機による。JISL 1096 A法に準拠。

透湿カップ法による。

バイレック法による5分後の吸水高さにより測定。

JIS L1096に準拠。

冷却法による保温性試験機(富士冷機工業KK製)による, JISL1096B法に

45°燃焼性試験器(スガ試験機KK製), JISL1091A−3法に準拠 日立SEM 450加速電圧10 kV金コーティング

一56一

(16)

乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究 表2 パジャマの成分表示と編織物構造 パジヤマ

 No.

1

2

3

4

5

本体の素材表示

綿 100%

グレー部分

  (攣。リル1:髪

その他  綿 100%

表・裏  綿100%

綿      90%

ポリエステル 10%

(攣,リル 70%

30%

その他の部分の素材表示 ゴムアミ部分 ︵

  アクリル   85%

 ポリウレタン 15%

ゴムアミ部分 ︵

  アクリル   85%

  ポリウレタン15%

中綿

 ポリエステル 100%

ゴムアミ部分 ︵

  アクリル   85%

 ポリウレタン15%

素材表示の確認と織物構造 本体は両面メリヤスで綿100%,そ の他の部分も表示のとおりであった。

本体は両面メリヤス,表示のとおり の素材構成

キルティングで表地が両面メリヤス,

裏地が平織,素材は中綿を含めて表 示どおり。

本体はパイル編,素材は表示どおり。

両面メリヤス,表示どおりの素材

6

1綿 …%1

陣面・リヤス,表示どおりの素材

7

綿      80%

ポリエステル 20%

 ポリエステル  アクリル  綿

 ポリウレタン 55%

25%

15%

5%

本体はパイル編でパイル糸が綿,基 布がポリエステルと綿の混紡,ゴム 編部分がその他の表示のとおりであ

った。

50a

400

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慧2GD

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00◎x△

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      口

σ一li・:之章

△ぐメー諸  ・ ・

O O       A       B      C       D       E       F

         被 験 考

図1 着用洗濯による破壊エネルギーの変化

前報Dに示すように被験者と洗濯方法を表わし ている。図によれば,多くのパジャマの破壊エ ネルギーは,今回程度の着用洗濯によってほと

んど影響を受けないが,No.3のキルティング のものは逆に強くなっていることがわかる。こ れはポリエステル繊維の中綿が着用・洗濯の繰

り返しにより互いに絡み合って収縮し,破壊強 度を分担することを示唆していると思われる。

 図2はこの素材の着用・洗濯前と着用・洗濯後 のポリエステル中綿の断面図である。着用・洗 濯により厚さ方向に著しい収縮が生じ,フィラ メソトが互いに絡み合っているのが観察され,

図1に示される破壊エネルギーの増大が中綿ポ リエステルの構造変化によるものであることが 確かめられた。

 図3は通気性の変化であるが,No.3は他の ものと比して,キルティング内の緻密な構造へ の変化のため,通気性が低下していることが示 されている。他に着用・洗濯により通気性の低

一57一

(17)

東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集

    (a) 着用前      (b)着用・洗濯後 図2 着用・洗濯によるキルティンゲ素材断面の変化(上下方向が布の厚さ方向)

討..甥

祷  為

図3 着用・洗濯による通気量の変化

下しているものは,No.6であるが,図1に示 されるようにNo.6の破壊エネルギーが着用

・洗濯後増大していることを合わせて考える と,No.6の試料についても着用・洗濯により 布構造内の組織の緻密化が進行するものと考え

られる。

 図4は透湿水分量の変化である。透湿性が着 用・洗濯によって増すものもあるが,低下する

ものもあり,他の物理値と比較しても複雑な挙 動を示している。透湿性の問題はパジャマのも つ被服の機能の中でも重要なものであるので,

着用・洗濯によってどのように変化するのか明 らかにする必要があるが,そのためには着用・

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14

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図4 着用・洗濯による透湿水分量の変化

洗濯の条件を明瞭にして,より多くのサンプル 数による実験がなされなけれぽならない。

 図5は吸水性の変化をみたものである。未使 用の0の試料布はいずれも低い吸水性を示して いるが,これはニット編成時のオイリングの影 響と考えられ,洗濯によっていずれの試料も急 激に吸水性が向上する。ただしDの着用・洗濯 により,No.4とNo.7のパイル地の試料は 非常に低い値を示している。これはDの被験者 の洗濯時に使用する柔軟仕上げ剤の影響と考え ることもできるが,No.5, No.6の試料はそ れ程低い値を示しておらず,柔軟仕上げ剤と素 材との組み合わせによるのか,No.5, No.6

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乳幼児被服の適正条件に関する総合的研究

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図5 着用・洗濯による吸水性の変化 図7 着用・洗濯による保温率の変化

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A B        C        D

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図6 着用・洗濯による水分率の変化

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A        B        C

     被 験 者

D       E       F

図8 着用・洗濯による残炎時間および残じん時間 は柔軟仕上げ剤が使用してなかったのか,追試

が必要とされる。

 図6,図7はそれぞれ水分率,保温性の変化 であるが,着用・洗濯によって水分率,保温率 ともにほとんど変化しないことを示している。

強いていえば,図6ではNo.1およびNo.6 の綿100%のものはわずかに着用・洗濯により 水分率が上昇していることが示され,他の綿以 外の疎水性繊維の混入したものはわずかだが水 分率が減少していることがわかる。

 図8は残炎時間および残儘時間の変化を示し たものである。残炎時間が着用・洗濯によって 増加したものはNo.3のキルティング素材の もので,他の素材のものは変化がみられない。

これも前述のように着用・洗濯により素材の繊 維が緻密になり燃焼しにくくなったためと考え

られる。残儘時間に関してはいずれの試料も着 用・洗濯により増大しており,いつまでもくす ぶり続けるようになることを示している。

4.結 言

 今回のパジャマの着用洗濯実験を通して,お およそ次のようなことが言えよう。

 35回程度の着用・洗濯においては,各パジャ マとも実用的な物性に変化を生ずることはなか った。特に掲げれば,着用・洗濯によって繊維 間の縮充が生ずるような素材では,破壊強度

(エネルギー一・・)が大きくなり,同時に通気性の減 少することがわかった。透湿性の変化は比較的 大きかったが,この原因についてはさらに詳し い実験が必要とされる。素材が綿100%ででき

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東京家政大学生活科学研究所研究報告第9集 ているものは水分率が増大する傾向があるが,

疎水性素材を含んでいるものは減少する。洗濯 方法によって吸水性が極端に低いものがある。

燃焼性は着用前ではいずれも高く,これは編織 時におけるナイリングの影響によるものと考え

られ,燃焼しやすい状態になっているといえ

る。

 このような実用的研究は費用も時間もかか

り,実験計画上も困難な問題を含んでいるが,

今後より十分な実験計画の基にこのような研究 の発展が望まれる。

参考文献

 1)片山倫子,鈴木由美子,井上 薫:東京家政大   学生活科学研究所報告8,49(1985)

 2)卜部澄子,柳沢美文:8,54(1985)

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