日本原子力研究開発機構 原子力基礎工学研究部門 放射線防護研究グループ 佐藤達彦 放射線生物研究 ( )
マイクロドジメトリとマクロドジメトリの融合 に代わる を の指標とした
新たな生物学的線量計算モデル
概要
損傷率や細胞致死率の測定など、放射線生物学で得られた知見を被ばく線量評価に反映 させるためには、 や細胞など微視的な領域を対象としたマイクロドジメトリと、 人体な ど巨視的な領域を対象としたマクロドジメトリの知見を融合する必要がある。そこで、本稿では マイクロドジメトリとマクロドジメトリ、それぞれの分野で の指標として利用される
と のコンセプトの違いを説明し、両分野の知見を融合した例として、筆者らが構 築した に代わる を指標とした新たな生物学的線量計算手法について解説する。
1.はじめに
粒子線治療や人類の宇宙長期滞在を計画する際、陽子や重イオンなど高エネルギー荷電粒子に よる生物学的効果比( )を考慮した線量評価が必要となる。しかし、 線など低エネルギー荷 電粒子の を表す指標として一般的に用いられている は、高エネルギー荷電粒子の を 適切に表現できない。なぜなら、高エネルギー荷電粒子は、高エネルギー電子( 線)の生成断 面積が大きく、同じ を持つ低エネルギー荷電粒子と比べて細胞スケールのミクロな視点で見 た場合、その飛跡周辺の電離密度が低くなるからである。
そこで、マイクロドジメトリ研究の分野では、細胞や サイズなど局所的な領域における 電離密度を表すパラメータとして、 線エネルギー( ) と呼ばれる量が使用さ れてきた。 と の概念の違いを図1に示す。図は、同じ を持つ2つの放射線(例えば、
陽子と 炭素イオン)飛跡周辺の電離密度の違いを模式的に表しており、トラッ ク構造の違いを的確に表現するためには、単位長さ当たりの付与エネルギー では不充分
茨城県那珂郡東海村白方白根
@
キーワード マイクロドジメトリ