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紫外線高透過率マイクロリアクターの開発 牛尾 雅樹

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Academic year: 2021

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(1)

紫外線高透過率マイクロリアクターの開発

牛尾 雅樹*1 周善寺 清隆*1 酒井 雅洋*2 沼 浩司*3 伊藤 哲史*4 京谷 忠幸*5 鈴木 裕*6 草壁 克己*7

Development of High Permeability Micro-Reactor for High Precision Machine Tools

Masaki Ushio, Kiyotaka Shuzen, Masahiro Sakai, Koji Numa, Tetsushi Ito, Tadayuki Kyotani, Hiroshi Suzuki, Katsumi Kusakabe

本調査研究は,生化学における部材であるマイクロリアクターの試作について行った。計測用マイクロリアクタ ーは,反応流路途中に反応物の状態計測を行うための計測窓を設ける。その計測窓は,全波長域で高い光透過率が 求められる。また,一般的な反応や混合・攪拌等に用いるマイクロリアクターよりも,耐久性を求められる。した がって本試作では,高硬度材料でかつ,全波長域で高い光透過率を有する合成石英を用いることとした。

加工プロセスの観点からは,その生産効率を保つため,管路はエンドミルによる加工を目指し,透明性の必要と される計測窓にのみ,超音波加振を行った単結晶ヘール工具による平滑加工を行うこととした。本試作で得られた 試作品について,各種評価を行いその有効性を検討し,商品化への方策について検討を行う。

1 はじめに

マイクロリアクターは,化学物質の反応や混合・攪 拌等に用いるもので,一般的に量産加工は,光露光装 置によるエッチング処理により生産されている。

本研究では,研究機関における少量多品種生産に対 応することを目的に,切削加工による加工プロセスの 構築を試みた。光透過型マイクロリアクターを試作例 として,エンドミル加工を主に用いることにより,生 産効率を維持しながら,特に光透過率を求められる計 測窓については,平滑加工の一種である,超音波捻り 加振ヘール工具1) による加工を実施した。

2 研究,実験方法

2-1 合成石英加工特性の把握

計測用リアクターは,反応管路中に計測窓を設け,

反応物質を計測する目的で使用される。その計測窓は 反応物質を鮮明に計測する必要があり,計測窓の管路 底面の面祖度は極力良好なものが望まれる。

回転工具によるリアクター管路の形成では,工具 回転中心の切削速度低下に起因し,加工面面祖度が低

下する。したがって,さらに壁面を平滑化する手法と して,非回転工具(以下ヘール工具)を用いた。

高硬度脆性材料の壁面平滑化には,延性モード切削 の実現が必要不可欠である。ここでは,加工対象を合 成石英とし,ダイヤモンドヘール工具に捻り超音波を 加振した切削プロセスについて考察した。

超音波振動切削は,数種類の加振モードがあり,良 好な加工面を得られることと,切削抵抗が減少し工具 寿命が延長することが報告されている。

ここでは,管路底壁面の平滑性を重視し,幾何学的 に影響を与えにくい捻り振動を採用した。

具体的には,従来のダイヤモンドヘール工具に捻り 超音波を付加し,切削性能の把握を試みた。

捻り超音波加振は,工具軸心を中心とし,工具に捻 りを与えるものである。この加振法では,工具進行方 向にのみ,工具先端が変位するものであり,平滑化を 必要とする管路底面に影響を与えない工具経路を実現 することが可能である。

一方,延性モードによる切削加工は,連続的な切り 屑が発生する条件を設定する必要がある。

種々の研究報告では,切込み量を微少に設定するこ とにより,脆性モード切削から延性モード切削に移行 することが報告がされている。報告例から,切り込み 量0.1μm付近での切削特性について検証実験を行うこ ととした。切削モードの判断は,切り屑の形状により 行うこととする。導出した切削条件により,リアクタ

*1 機械電子研究所

*2 ㈱旭製作所 福岡営業所

*3 ヒートシステム㈱

*4 ㈱加工技術研究所

*5 ㈱ピーエムティー

*6 九州工業大学 情報工学部

*7 福岡女子大学

(2)

S’=Vt+asinωt S=Vt

Time(t)

Cutting Energy

Average Cutting 0

The Amount of Movements(S)

Tool

Work piece Chip

Cutting Direction

Vibration Direction

Amplitude of Vibration ー計測窓の試作加工を行い,管路底面の面祖度・光透

過率測定を通じて,切削特性評価を行う。

2-2 加工機開発・精度確認

図1に 示 すヘ ール 加 工専 用 の試 作 装置(㈱P M T社 製)を用いた。最小位置決め精度50nm及び真直度50nm で動作することを目標にしたものである。

計測用マイクロリアクターの試作は,流路をエンド ミルによる切削加工により,仕上げまでを行い,計測 用窓については,エンドミルによる荒加工の後,超音 波捻り加振ヘール工具を用いた平滑加工を行い,壁面 を平滑化することにより光透過率を高めることを目的 とした。したがって,流路を形成するXY平面では,管 路の正確な形成に,位置決め精度・経路の真直度が必 要となる。

1)XYZの空間精度計測 2)XY平面での位置決め測定 3)XY平面での真直度測定

加工装置の精度確認として,以上の3項目を実施した。

2-3 光透過率の評価

特に計測窓について,紫外線(波長254nm)を照射して,

その透過率を計測した。

3 結果と考察

3-1 合成石英加工特性の把握

超音波加振の切削特性は,振動により工具が切り屑 から離れるため,切り屑の排出が容易かつ切削抵抗が 減少により,仕上げ面粗さが良くなる。また工具が切 り屑から離れる際,切削液が切削点に直接供給される ため,切削液の効果が十分に得られ工具寿命の増長が 期待できる。

切り屑と工具すくい面が規則的に振動し図2のような 空隙ができ,切れ刃の冷却効果や潤滑効果を助長する ことであり,この条件を満足させるためには式(1)を満 たす必要がある。ただし,fは振動数,aは振幅,V`

は切削速度である。

式(1)

このときのV`=2πafを臨界速度とよぶ。この速度以上 の切削加工を行った場合,加振効果は期待できない。

すなわちV<V`の場合は,図3のように切削抵抗はパルス 状の波形となり,1サイクル中に必ず通常切削の移動量

Sの位置に戻る現象を繰り返す。

図1 試作加工装置

図2 超音波捻り加振での刃先挙動

図3 時間軸に対する切削抵抗

種々の条件について切削実験を行った結果,表面粗 さは切込み深さを小さくすることで,低減できること

(3)

(A)加振時

100μm

100μm

図 4 計測窓加工結果(加工面) (B)通常時

を確認できた。図4にその加工面を,図5に切り屑を拡 大顕微鏡写真で示す。(A)は超音波加振時であり,(B) は通常の加工である。計測結果を検証すると,加振に よる切削特性の向上を確認できる。

切り込み深さは双方0.1μmであるが,超音波加振の 有無により,延性モード切削の実現性が示せる。すな わち,切り屑の形状確認を行うことにより,切削加工 モードの違いを顕著に見ることができる。なお形状計 測には,KEYENCE光学式顕微鏡VH8000を用いた。

同箇所をTaylor Hobson社製FormTarysurf-120Lで表 面粗さの計測を行った結果,最も良い加工条件で0.11 μmRyであった。

3-2 加工機開発・精度確認 3-2-1 XYZの空間精度計測

ISO230-6に準拠したXYZ空間精度計測を,動作経路計 測システムにて計測した。

本測定方法は,工作機械の3次元的な位置決め精度を 計測し,工作機械の総合的な精度傾向を示すものであ る。測定範囲を,特にヘール加工を用いる部位に特定 し,その範囲を5mmと定め,3次元的な動作経路を1mm 毎に位置決め誤差を計測した。若干の差異があるもの の,3次元的な空間精度は1.2μmであった。

3-2-2 XY平面での位置決め測定

流路を形成する際に,XY位置決め精度を計測した,

横軸が動作距離であり,縦軸が動作指令に対する機械 動作の誤差量を示している位置決めの不確かさは,特 に流路創成を分割して行う際に,その勘合点の生成に ついて影響を及ぼす。

図6がX軸,図7がY軸で共に動作距離100mmを10mm間隔で 静止し,データを収録している。計測の結果,X軸は 1.82μm/100mm,Y軸は1.25μm/100mmであった。したが って流路形成において,試作加工装置は,ミクロンレ ベルの流路形状形成を行えることが分かる。

3-2-3 XY平面での真直度測定

さらに流路壁面の真直は,加工装置の真直度と密接 な関係がある。したがって,前項と同様に,X軸Y軸の 真直度について計測を行った。

図8がX軸,図9がY軸で共に動作距離100mmの動作経路 を計測した。計測の結果X軸は0.095μm /100mm,Y軸は 0.051μm/100mmであった。

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

-5 0 5 10 15 20x 10-4

X distance mm

positioning error mm

測定データ x方向 #1

x方向 #2 x方向 #3

図6 位置決め精度計測(X軸)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

-4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14x 10-4

Y distance mm

positioning error mm

測定データ y方向 #1

y方向 #2 y方向 #3

図7 位置決め精度計測(Y軸) 100μm 100μm

図 5 計測窓加工結果(切り屑) (A)加振時

(B)通常時

(4)

図8 真直度精度計測(X軸)

図9 真直度精度計測(Y軸)

図10 試作マイクロリアクター

3-3 光透過率の評価

エンドミルによる通常の加工面では波長254nmの紫 外線透過率が62.6%であるのに対して,ヘール加工を 施した面の透過率は86.1%であった(図10参照)。

なお,目標値は紫外線透過率90%であったが,現状 の透過率でも光学的補正により計測が可能である。

共 焦 点 レ ー ザ 顕 微 鏡 で 観 測 し た 加 工 面 の 状 態 を 図11に示す。

エンドミル加工面では切削痕が見えるが,ヘール加 工面では切削痕は消失し,平滑化している。

(A)加振ヘール加工面

(B)エンドミル加工面 図11 計測窓の拡大顕微鏡写真

図12 試作リアクターでの流体計測実験

リアクター内に無着色および着色した水を流したと ころ図12に示すように,流路拡大部で,大きな乱れも なく安定な2相流が形成できることがわかった。

4 まとめ

本調査研究では,高硬度脆性材料である合成石英に 対し,切削加工による微細経路と高い光透過率を有す る計測窓を創成し,検証実験を行った。

その結果,試作リアクターを加工するプロセスの構 築ができた。今後,製造コストのさらなる低減を目指 し,工具開発等を進め,実用化を進める。

5 参考文献

1)鈴木裕,他:精密工学会誌,掲載予定「捻り超音波 加振を用いたヘール工具の加工特性」(2006)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4x 10-4

x mm

y mm

X方向真直度測定 (回転補正済み)

#1

#2

#3

-4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4

x 10-4 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

x mm

y mm

Y方向真直度測定 (回転補正済み)

#1

#2

#3

参照

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